医療的ケアのある重複障害児や超重症児が地域生活をおくるためのコーディネートと多職種連携システムの構築
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(3) 目. 次. Ⅰ 研究代表者が本研究に取り組んだ背景と経過 Ⅱ 日本における医療的ケアのある重複障害児や超重症児の地域での 生活の現状. 分 担 者. 頁. 佐鹿. 孝子. 1. 久保. 恭子. 2. Ⅲ 文献検討. 3. 1. 子どもの権利条約-障害のある子どもの権利-. 川合. 美奈. 3. 2. 子どもにとっての成長発達と健康的な生活. 藤沼 小智子. 7. 3. 子どもにとっての社会生活. 藤沼 小智子. 8. 4. 医療的ケアのある重複障害児や超重症児. 宍戸. 路佳. 10. 5. 諸外国での医療的ケアのある小児の在宅生活について-資料-. 宍戸. 路佳. 14. 6. コーディネートの文献検討. 坂口 由紀子. 16. 1) 発行年別の文献数. 16. 2) 発行年別の文献内容. 16. 3) 入院時におけるコーディネート. 21. 4) 地域生活におけるコーディネート. 22. 5) 医療的ケア児が地域生活を送るためのコーディネートを担う人材に. 22. ついて Ⅳ 関東地区での重症心身障害児の在宅生活について. 24. 1. 神奈川県内の重症児の現状. 箱石. 文恵. 24. 2. 横浜市の多機能型施設の構想と現状. 箱石. 文恵. 26. 3. 多機能型拠点の運営整備について. 箱石. 文恵. 31. 4. 埼玉県の重症児の対策. 川合. 美奈. 32. 1) 重症心身障害児者の家族のためのレスパイトケアについて. 32. 2) 埼玉県障害児等療育支援事業について. 33. 3) 災害時の要配慮者のための支援マニュアルについて. 33. Ⅴ 研究の実際(1. ~ 5. までは在宅医療助成研究申請書の内容を掲載). 佐鹿. 孝子. 36. 1. 学術的背景・国内外の研究動向. 36. 2. 研究目的. 37. 3. 在宅医療の中での本研究の意義と独創性. 37. 4. 研究計画・方法. 38. 5. 期待される成果・波及効果. 39.
(4) 6. 親へのインタビュー調査の結果. 佐鹿. 孝子. 40. 佐鹿. 孝子. 45. 第 65 回小児保健協会学術集会発表内容: 医療的ケアのある重複障害児や超重症児の社会生活に向けた 親のエンパワーメントの過程 7. 専門職へのインタビュー調査の結果 第 44 回日本重症心身障害学会発表予定: 医療的ケアのある重複障害児や超重症児のウェルビーイングに 向けた多職種連携の過程 Ⅵ 見学報告. 50. 社会福祉法人 ゆうかり学園. 久保. 恭子. Ⅶ 長年にわたり、重症心身障害児・者の支援にあたられている方からの. 52. 緒言 みんな一緒に 今、思うこと. 社会福祉法人 訪問の家 朋 前理事長. 「共に生きる」ことをめざして. 社会福祉法人 訪問の家 朋 理事長. 小児在宅支援の現状. 公益財団法人 埼玉県看護協会 鳩ヶ谷訪問看護ステーション 所長. 50. 日浦 美智江. 52. 名里. 晴美. 55. 白石. 恵子. 57. Ⅷ おわりに. 59. 謝辞. 61. 研究代表者・共同研究者一覧(五十音順). 61. 研究協力者一覧(五十音順). 61.
(5) Ⅰ 研究代表者が本研究に取り組んだ背景と経過 (佐鹿 孝子) 研究代表者はこれまで、障害のある子どもと親の方々と接する機会が多くあった。その 中で、 「親の方々が障害のあるわが子を受容し、育てていく過程では親と子どものライフサ イクルの節目で様々な課題(問題)がある」ことが分かった。先行研究. 1), 2). では、下記の. 10 項目の支援の指針と課題を導きだすことができた。 1) 専門職による適切な説明と支援と説明のもとに、親が子どもの成長発達の過程を理解 し今後の成長発達への見通しを予測することができるように、支援が必要である。 2) 専門職は、親の障害受容に関わる、① わが子の受容、② 家族の問題の受容、③ 親自 身の人生の受容、④ 社会受容の4つの要因についてアセスメントし、親が抱えている 課題を分析し、整理して支援を行う。 3) 親が危機的状況に陥る時期は、福祉サービスや制度や担当者(担当の専門職)が切り 変わる時期と一致する傾向がある。すなわち、専門職の連携が変化する時に生じる「支 援の隙間」が誘因となっており、窓口の一本化などの対応が望まれる。 4) 専門職は、障害のある子どもへの支援と同時に、親と家族への支援を行うことが必要 である。そのようにすることにより子どもと親のウェルビーイングが実現しやすい。 5) 地域の人たちに障害のある子どもたちの現状を理解してもらいインフォーマルな支 え合いが芽生えるような機会を設ける必要がある。 6) 親が求めている支援は児童福祉法や障害者総合支援法に基づいての支援だけでは充 たされず、家事支援やきょうだい児への日常的な支援も必要としている。 7) 各発達段階の支援において、いつ、誰が、どのようなコーディネートをしたらよいか が課題であり、地域のコーディネーターの育成も必要となる。 8) 専門職が専門性を活かすと同時に、重なりあう領域の仕事内容をそれぞれが積極的に 協働し、チームによるアプローチを行うことが重要である。 9) わが子の終末期や死後のグリーフケアは、親がわが子の生活を肯定できることができ るように支援することが大切である。 10) 親が自分の思いや自己実現についての考えを表現できる機会や場所が必要であり、 それを側面から支援することが大切である。 特に、ライフサイクルの節目で支援の狭間にさしかかった時は、親は子どもの利用でき るサービスを求めて奔走する。これらの課題を検討し今後の支援の方向性を見いだす一助 になればと考え、本研究に取り組んだ。 本研究のテーマは、「医療的ケアのある重複障害児や超重症児が地域生活をおくるため のコーディネートと多職種連携のシステムの構築」である。研究の詳細については、 「Ⅴ 研 究の実際」の章で述べる。. -1-.
(6) 用語の定義: ・ウェルビーイング (well-being):個人の権利や自己実現が保障され、身体的・精神的・ 社会的に良好な状態であること3)。 引用文献 1) 佐鹿孝子 (2007):親が障害のあるわが子を受容していく過程での支援(第 4 報);ライ フサイクルを通した支援の指針.小児保健研究、66 (6): 779-788. 2) 佐鹿孝子 (2010):障害のある子どもと親のウェルビ-イングをめざした支援;ライフ サイクルを通した地域生活に焦点をあてて.鴨台社会福祉学論集、第 19 号, p.45-53. 3) 山縣文治 (2002):こども家庭福祉という考え方;山縣文治・岡田忠克編;よくわかる 社会福祉.ミネルバァ書房、p.122. Ⅱ. 日本における医療的ケアのある重複障害児や超重症児の地域での生活の現状 (久保 恭子) 医療的ケアのある重複障害児や超重症児とは、大島の分類でいう 4 以下の重症心身障が. い児の中でも、日常的に痰の吸引や経管栄養等の医療的ケアを必要とする子どもをさし、 先行研究では、彼らの生活を支えるキーパーソンは母親であり、養育者の精神健康状態に 影響する要因は子どもと意思疎通ができないこと、子どもの入浴を介助する事であった 1)。 また、養育者が自覚している身体症状は呼吸器疾患や感染症状よりも、目や肩の疲れ、精 神面での疲れがあることがわかっている. 2). 。病児のきょうだい児への支援が必要であるこ. と、療育を巡って夫婦間、家族間で何らかの葛藤があることは記述するまでもない。彼ら の地域生活の現状は、居住地により保健医療福祉の制度、彼らのもっているインフォーマ ルな支援の実態等により大きく左右され、また、彼らの持つ価値観によって、彼らの感じ る幸福感は様々である。近年、法整備が進み、母親の療育負担やきょうだい児への支援、 医療的ケアのある重複障害児への支援は充実してきたが、いまだ十分とは言えない。今後 も引き続き、私たち医療者は彼らのウェルビーイングを目指した支援を提供すべく、活動 をしていく必要がある。彼らの生活の実態については p. 29 ~ 32 に後掲した。 引用文献: 1) 久保恭子 (2008):ムコ多糖症児の養育者の精神健康状態と関連要因.小児保健研究、 67 (6): 878-884. 2) 田崎知恵子、久保恭子 (2010):ムコ多糖症児の親が抱える健康上の問題-質問紙によ る身体自覚症状の主観調査から-.東京学芸大学紀要第 6 部門 第 61 集、p.77-83.. -2-. 技術・家庭・環境教育.
(7) Ⅲ. 文献検討. 1.子どもの権利条約-障害のある子どもの権利- (川合 美奈) 子どもの権利条約とは、「子どもの最善の利益」を考慮して、子どもの「人格の完全な かつ調和のとれた発達」のために不可欠である子どもの権利が、あらゆる場で実現される ことを求めた条約である。1989 年 11 月 20 日に第 44 回国連総会で採択され、日本では 1994 年 5 月 22 日に発効された。現在、条約締結国・地域の数は、世界で 196(2017 年 2 月現在. 外務省ホームページによる)となっている. 1). 。子どもの権利条約には障害児の権利として. 第 23 条がある。 第 23 条の基礎とされた 1975 年の障害者の権利宣 2)とは以下の内容である。本決議は「障 害者の権利宣言(Declaration on the Rights of Disabled Persons)」として、1975 年 12 月 9 日、 国際連合総会で総会決議 3447 をもって採択された。 総会では国際連合憲章のもとに、国連加盟諸国が国連と協力しつつ、生活水準の向上、 完全雇用、経済・社会の進歩・発展の条件を促進することを目ざして、共同でまたは独自 の行動を起こすという誓約に留意し、国際連合憲章に宣言してある人権、基本的自由及び 平和、さらに人間の尊厳と価値及び社会正義の諸原則を誓約することを再確認し、世界人 権宣言の諸原則(Universal Declaration of Human Rights )、世界人権規約(International Covenants on Human Rights) 、児童憲章(Declaration of the Rights of the Child)、及び精神薄 弱者の権利宣言(Declaration on the Rights of Mentally Retarded Persons)、国際労働機関 (International Labour Organization)、国連教育科学文化機関(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization) 、国連児童基金(United Nations Children's Fund)及び他 の関係諸機関の規約、条約、勧告及び決議において、すでに社会発展を目的として定めら れた規準を想起し、「障害予防」及び「障害者のリハビリテーション」に関する 1975 年 5 月 6 日の経済社会理事会決議第 1921(LVIII)をもまた想起し、社会の進歩、発展に関する 宣言が心身障害者の権利を保護し、また福祉及びリハビリテーションを確保する必要性を 宣言したことを強調し、身体及び精神障害を予防し、障害者ができる限り諸々の活動分野 において、その能力を発揮できるよう援助し、かつ、できる限り普通の生活に統合するよ う促進する必要性を認知し、数か国においては、現在の発展段階では、この目的のために 限られた努力しか払えないことを認識し、この「障害者の権利に関する宣言」を宣言し、 かつ、これらの諸権利の保護のために共通に基礎、及び指針として使用されることを明確 にするために、国内及び国家間の行動を要求する。 1)「障害者」という言葉は先天的か否かにかかわらず、身体的または精神的能力の欠如の ために、普通の個人または社会生活に必要なことを、自分自身で完全、または部分的に 行うことができない人のことを意味する。 2) 障害者は、この宣言で言及されたすべての権利を享受する。これらの権利はいかなる -3-.
(8) 例外もなく、人種、皮膚の色、性別、言語、宗教、政治的または、その他の意見、国ま たは社会的身分、貧富、出生及び障害者自身または、その家族がおかれているいかなる 状況下でも区別または、差別なく享受される。 3) 障害者は、人間としての尊厳が尊重される生まれながらの権利を有している。障害者 は障害の原因、特質及び程度にかかわらず、同年齢の市民と同様な基本的権利を持ち、 このことは、まず第一に、できる限り普通の、また十分に満たされた、相応の生活を送 ることができる権利を有することである。 4) 障害者は、他の人々と同様に市民権及び政治的権利を持つ:「精神薄弱者の権利宣言」 の第7条は、精神障害者のこういった諸権利のいかなる制限または抑制にも適用される。 5) 障害者は、できる限り、自立を目的とした施策を受ける資格がある。 6) 障害者は、補装具を含む医学的、心理学的及び機能的治療を受け、医学的・社会的リ ハビリテーション、教育、職業教育、訓練リハビリテーション、介助、カウンセリング、 職業あっ旋及びその他、障害者の能力と技能を最大限に開発でき、社会統合または、再 統合する過程を促進させるようなサービスを受ける権利を有する。 7) 障害者は、経済的・社会的保障を受け、生活水準の向上を保つ権利を有する。障害者 は、その能力に従い保障を受け、雇用されまたは、有益で生産的かつ十分な報酬を受け る職業に従事し、労働組合に参加する権利を有する。 8) 障害者は、経済・社会計画のすべての段階で、特別に考慮される資格を有する。 9) 障害者は、その家族または里親とともに生活し、すべての社会的・創造的活動または、 レクリエーション活動に参加する権利を有する。障害者の在宅に関しては、障害者の状 態によって必要とされ、あるいは、彼らがその状態から行う改善によって必要とされる 場合以外、差別的な扱いをまぬがれる。もし、障害者が施設に入所する場合でも、そこ での環境や生活状態は、同年齢の人の普通の生活にできるだけ似通ったものであるべき である。 10) 障害者は、あらゆる規則、あらゆる搾取及び差別的、侮辱的または卑しい扱いから保 護されるものである。 11) 障害者は、その人格及び財産の保護のために法的援助が必要な場合は、それらを受け ることができるようにされなければならない。もし、障害者に対して訴訟が起こされた 場合には、その手続きの過程では身体的・精神的状態が十分に考慮されるべきものであ る。 12) 障害者の諸権利に関するすべての問題は、障害者の福祉を図る団体に有益な意見を求 めるものとする。 13) この宣言で言及されている諸権利は、すべての適切な手段で、障害者、その家族及び コミュニティに、十分に知らしめるべきである。 第 23 条 (障害児の権利)は以下の内容である。 -4-.
(9) 1) 締約国は、精神的または身体的に障害を負う子どもが、尊厳を確保し、自立を促進し、 かつ地域社会への積極的な参加を助長する条件の下で、十分かつ人間に値する生活を享 受すべきであることを認める。 2) 締約国は、障害児の特別なケアへの権利を認め、かつ、利用可能な手段の下で、援助 を受ける資格のある子どもおよびその養育に責任を負う者に対して、申請に基づく援助 であって、子どもの条件および親または子どもを養育する他の者の状況に適した援助の 拡充を奨励しかつ確保する。 3) 障害児の特別なニーズを認め、2) に従い拡充された援助は、親または子どもを養育す る他の者の財源を考慮しつつ、可能な場合にはいつでも無償で与えられる。その援助は、 障害児が可能なかぎり全面的な社会的統合ならびに文化的および精神的発達を含む個 人の発達を達成することに貢献する方法で、教育、訓練、保健サービス、リハビリテー ションサービス、雇用準備およびレクリエーションの機会に効果 的にアクセスしかつ それらを享受することを確保することを目的とする。 4) 締約国は、国際協力の精神の下で、障害児の予防保健ならびに医学的、心理学的およ び機能的治療の分野における適当な情報交換を促進する。その中には、締約国が当該分 野においてその能力および技術を向上させ、かつ経験を拡大することを可能にするため に、リハビリテーション教育および職業上のサービスの方法に関する情報の普及および それへのアクセスが含まれる。この点については、発展途上国のニーズに特別な考慮を 払う。 第 23 条の解説を永井らの「新解説 子どもの権利条約」3)から抜粋する。第 23 条は、前 掲の 1975 年の障害者の権利宣言、1982 年の障害者の世界行動計画などを基礎とし、これ らを子どもの観点から再確認した意味を持つ。 まず、一項は障害児処遇の理念・原則を示している。障害児が他の人々と同様に価値あ る存在として尊ばれるよう人間の尊厳が確保されるべきこと、自立の促進と参加の助長を めざし処遇が行われるべきことを確認する。ここでいう自立とは経済的自立や日常生活動 作の自立といった限定的なものではなく、残された能力を生かし自己決定を行いながら自 己実現をはかることをめざす人格的自立を意味する。 障害児の権利の規定として、長い間、偏見と差別から不当な扱いを受け社会から隔離さ れてきた障害児には、何よりもまず、一人の人間として十分に満たされかつ人間に値する 生活を享受する権利が保障されなければならない(一項)。しかし同時に、障害があるとい うことから、特別なケアへの権利(二項)、特別なニーズを考慮される権利(三項)が必要 となる。ケアは障害児が生活上必要となる援助活動の全般を指す。さらに、教育、訓練、 リハビリテーション等の機会を利用しかつ教授できる権利(三項)は、自立・参加・社会 的統合・発達を実現する手段にもなる。これらの権利実現には、本人と保護者への適切な 援助が欠かせない。国には援助の義務があり、当事者の申請をまって行われる。そして、. -5-.
(10) 保護者の経済状態によっては無償で提供される(二項)。援助の目的は、全面的な社会的統 合と発達の達成にあり、教育・訓練・リハビリテーション等はその目的を達成しうる方法 で提供されなければならない(三項)。そして、国際協力の観点から、自国の能力・技術・ 経験を向上させるため、予防保健、医学的・心理学的・機能的治療等の分野で情報交換を 行うこと、その際、とくにこれらの分野で先進諸国と格差のある発展途上国のニーズを考 慮することを求める(四項) 。 さらに、永井ら. 2). は第 23 条を活かすために、次の五つの問題の改善が挙げられるとし. ている。 第一に処遇理念・原則や権利に関する立法が不十分である。理念や権利を具体的に実現 する立法が十分になされていない。 第二に障害児を取り巻く障壁が多く残されている。社会環境の整備は「完全参加と平等」 実現の不可欠な条件である。公共機関や交通機関でのバリアフリーはもちろん、障害児を 不幸な人とみる意識を変えるべく、国民意識の啓発は障害児権利保障の大前提となる。 第三に教育面では世界の潮流に反して分離教育を原則としている。障害児と健常児を学 校教育の段階から統合することが、 相互理解や障害理解を促進し社会的統合を容易にする。 しかし、政府は通常の学校・学級で十分教育効果を期待できない子どものために特別な学 校・学級を設け、特別な配慮の基により手厚く決め細やかな教育を行っていると繰り返し 主張し、依然として分離教育を障害児教育の原則として保持していくことを強調している。 第四に福祉分野では、まだ施設福祉中心の考え方を採っている。子どもの権利委員会は 施設収容に代わる措置の実施を勧告しているが、受け入れ施設や人手不足、自治体格差も 大きい。 第五に職業指導・訓練は、計画が不十分で、機関数や定員数も限られ、一部の障害児し かサービスを受けられない。とりわけ重度・重複の障害児は、職業指導・訓練と無縁の状 態にある。 障害者の権利宣言から 43 年、子どもの権利条約が発効されて 24 年となる現在も問題は 山積している。しかも、法整備や経済支援制度、人材養成・確保等が関係しており、短時 間では解決が困難である。しかし、大きな改善がなくとも諦めず、歩みを進めることが重 要である。 引用文献 1) 日 本 弁 護 士 連 合 会 ( 子 ど も の 権 利 委 員 会 ): 子 ど も の 権 利 条 約 に つ い て . https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/child_rights.html#jouyaku(2018 年 5 月 26 日閲 覧) 2) 障 害 保 健 福 祉 研 究 情 報 シ ス テ ム : 国 際 連 合 の 障 害 者 の 権 利 に 関 す る 決 議 . http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/rehab/r022/r022_038.html(2018 年 5 月 26 日閲 覧) -6-.
(11) 3) 永井憲一、寺脇隆夫、喜多明人、荒牧重人 編:新解説 子どもの権利条約.株式会社 日本評論社、2002 年 2 月 20 日発行. 2.子どもにとっての成長発達と健康的な生活 (藤沼 小智子) 成長とは、一般に生まれて育つ過程での同化作用が異化作用を超えることによって生ず る形態や重量や数量などの大きさの増加をいう。発達とは、生物、事物、事象が低い段階 から高い完全な段階への向かうことをさし、質的な変化である。青年期以降成長は停止す るにもかかわらず人間の質的な変化は継続し、発達は生涯にわたる 1)ことからも、子ども は成長発達し続ける存在であるといえる。成長発達は脳の発達の結果として現れるが、脳 の発達は遺伝的な要素と栄養と環境との相互作用を通して育まれ、呼吸や体温などの生命 維持機能、知覚や統合、記憶、評価、意思、運動発達、言語など高次機能の獲得をもたら す2)。子どもにとって健康的で日常的な生活や環境が成長発達に影響することがわかる。 人間の成長発達は乳幼児期の経験によってその後の様相が決定されてしまうわけではなく、 いろいろな因子. 身体的特徴、家族、学校、地域、栄養の摂取や健康管理などのライフス. タイル、病気・離婚・収入の増減などのライフイベント、歴史的事件などによって影響さ れ生涯にわたって変化する1)。子どもにおいては、親やきょうだいなど家庭内の環境や友 人関係など学校の中での経験が成長発達に大きく影響することになる。 人間の発達過程の各時期には、その時期に特有な発達課題を持つと考えられている。そ の時期にある個人の欲求を満足させると同時にその個人の属する社会が期待する知識、技 術、 態度などの行動を達成することである。乳幼児期における大おきな発達課題の一つは、 基本的生活習慣を身に着けることである。これは社会人として生活していく上で必要なこ とであり、社会から子どもに期待される行動であるが、同時に乳幼児も脳神経系の成熟な どに伴って家族・社会の一員となることに興味を持ち、大人を模倣し、大人からの導きに よってこのような行動を獲得していく 1)。しかし、乳幼児期に基本的生活習慣が確立され ずに学童期に入ると、次の発達課題となる学校生活への適応に困難を伴うことになりやす い。また、発達には臨界期があり脳がある機能を獲得するための学習に適切な時期を逃さ ないことが重要である2)。 両親から引き継がれる遺伝的に決定された生物学的要因が発達に影響し出生時におけ る酸素不足などの非遺伝的に決定された生物学的要因がその子どもの発達に決定的役割を 果たすこともある1)。重症心身障害は脳の発達時期に起きた障害が原因となるため、様々 な器官の成長や機能の発達に影響するが、脳損傷を受けていない部位は標準的な発達とし て現れる3)。重症心身障害児の成長発達の特徴は、① 成長・発達の原理原則は健常児と同 様に一定の順序性・方向性がある、② 成長・発達は脳障害の影響が表れる部分と標準的に 発達する部分がある、③ 成長・発達の現れ方や進み方は脳障害の部位と原因となるエピソ. -7-.
(12) ード時期との関連が深い、④ 興味があっても、こども自らが成長・発達を促す環境を作る ことができないなど、脳障害の症状が成長・発達の環境に影響する、⑤ 脳の可塑性をふま え「臨界期」を逃さない援助により発達を促すことができる、の5つがある4)。このよう に重症心身障害児の障害や成長発達は個別性があり、個の特徴に合わせた日常生活や生活 環境を整えることが必要とされる。人間らしい行動習慣を身につけるようになるにも、遺 伝的因子ばかりでなく、外界からの意図的、あるいは自然な働きかけが加わっているので ある1)。ケア提供者である親は子どもの成長発達を促すためには日々の家庭生活の中での 自然な環境とともに意図的な外界とのかかわりをつくることが求められる。 引用文献 1) 上田礼子:生涯人間発達学. 改訂第 2 版増補版.三輪書店、2016 年 1 月 31 日発行. 2) 五十嵐隆 監修:小児科学 第 10 版.文光堂、2011 年 4 月 1 日発行 3) 髙嶋幸男(2015):神経病理から見た療育・リハビリテーションの発展.小児保健研究 74 (2): 191-195. 4) 倉田慶子、樋口和郎、麻生幸三郎 編集:ケアの基本がわかる重症心身障碍児の看護. へるす出版、2016 年 2 月 8 日発行 3.子どもにとっての社会生活 (藤沼 小智子) 子どもたちは普段の生活の中で人間どうしがどう生きているかを、人とじかに接してみ て感じとる。人々とどのように暮らしていくかを、目撃したことや行動を共にしたかかわ りを経験する中で体得していく 1) とあるように、子どもにとって社会の中で生活すること の意義がわかる。 人は発生的あるいは生物学的に社会的存在であり、人間社会に誕生したその瞬間から、 両親をはじめきょうだい、祖父母、家族以外の大人や子どもといった多様な人間とのかか わりを持つ。また、人間は人とのかかわりを全くもつことなく、単独で生活していくこと は困難であり、何らかの集団に帰属し、社会生活を営んでいる。したがって、他者との人 間関係が上手に結べること(社会性の発達)は、人間が身につけるべき能力の一つとして 重要であり、これらの発達には幼い頃からの仲間の存在が大きいと考えられている1)。 各発達段階別に考えると、新生児・乳児期には母親やそれに代わる養育者の保護がなけ ればその生命を維持することは難しい時期であり、母と子の相互作用を通して人間的な結 びつきが強められる。特定の人物との愛着関係は他者との健全な相互関係を成立させるも ととなり乳児が行動を起こす際に安全な拠りどころとしての役割がある。幼児期になると、 移動動作を行い言語の使用が可能になることから自分の意志で外界に能動的にかかわろう とする傾向が芽生える。しかし幼児期前期の場合には相互影響的な関係とは言えず、4 歳 以降になると集団生活の場に参加する経験を通して社会関係の認知、相互の社会的地位の -8-.
(13) 理解、仲間の選択などを行い感情的結合に立った交友関係になる。学童期後期になると家 庭中心の生活から集団での生活へ興味が移り、仲間との集団行動に多くの時間を費やすよ うになる。また思春期には仲間関係に質的な変化が生じ、異性への関心が強くなることや 仲間との協同、承認の欲求が高まる1)。 家族や社会の在り方として、子どもを守り育てることを最優先するという考え方をチル ドレンファースト(children first)という2)。平成 22 年厚生労働省は「子ども・子育てビ ジョン」を少子化社会対策基本法第 7 条の規定に基づく大綱として定め、子どもと子育て を応援する社会を実現するための基本的な考え方として、子どもを守り最優先するチルド レンファーストという考えを示した。子育て支援の基本的な考え方として社会全体で子育 てを支えることを掲げ具体策として、① 子どもを大切にする、② ライフサイクル全体を 通じて社会的に支える、③ 地域のネットワークで支える、の3点を挙げている。これらの ことを具体的に述べれば、どのような状況にある子どもであっても、① 多様性を尊重し、 困難な状況に対しての支援を行うことで、すべての子どもの生きる権利、育つ権利、学ぶ 権利が等しく確実に保証され、子どもを大切にすること、② 社会的に支えることとして多 様な家族形態や親の就労の有無にかかわらず、すべての子どもの育ちと子育てを切れ目な く包括的に支えること、③ 地域の子育て力を高め、それぞれの地域の特色を生かし、子ど もと子育てを中心として地域のネットワークで支えるとともに地域を再生すること、であ る。これらの取り組みを通じて障害の有無にかかわらず子どもが社会生活を送れることが 望まれる。 日常的に医療的ケアを必要とする患者の生活を支えるには、① 生命の保障と苦痛の緩 和と除去という生命の安全、② 体調の安定や体力の向上といった健康の維持、③ 遊びや 出会い、外出、学び、仕事のそれぞれが維持され安定していなければならない 3)とされて いる。すべての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から擁護し、健康で文化的な生活の実現に つなげるよう社会の構成員として包み支えあうことをソーシャルインクルージョン(社会 的包摂)という4)。障害者権利条約にもインクルージョンの重要性が示されているが、ソ ーシャルインクルージョンのキーワードは「だれもがともに生き支え合う」 5)である。ま た、子どもにおいては障害のある者と障害のない者が共に学ぶインクルーシブ 教育システ ムという仕組みがある. 6). 。障害のある子どもが他の子どもと平等に「教育を受ける権利」. を享有・行使することを確保するために、学校の設置者や学校が必要かつ適当な変更・調 整を行う合理的配慮が提供されることなどが必要とされている。ソーシャルインクルージ ョンの体現のためには、医療と福祉、教育の連携が必要不可欠である。 引用文献 1) 日本家政学会 編:. 子どもの発達と社会生活.朝倉書店、1992 年 4 月 1 日発行. 2) 内閣府:「子ども子育てビジョン~子どもの笑顔があふれる社会のために~」 . http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/family/vision/pdf/honbun.pdf(2018 年 5 月 18 日閲 -9-.
(14) 覧) 3) 前田浩利(2015):在宅医療ニーズの高まりの社会的背景と在宅医療がもたらす医療 のパラダイムシフト.保健医療社会学論集、26 (1): p.3-13. 4) 日本障害者リハビリテーション協会:「障害保健福祉研究情報システム. ソーシャル. インクルージョン.http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/glossary/Social_Inclusion.html(2018 年 5 月 18 日閲覧) 5) 吉川雅博 (2012):ソーシャル・インクルージョン概説.職業リハビリテーション、 25 (2): 38-43. 6) 文部科学省:「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特 別支援教育の推進(報告). http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1321669.htm(2018 年 5 月 18 日閲覧) 4.医療的ケアのある重複障害児や超重症児 (宍戸 路佳) 医療的ケアについて考える。まず、医療とは一般に医術や薬により治療を行うことなど といわれているが、日本では、医師もしくはその指示を経て医療従事者が行うことができ る。 医療的ケア児を考えていく上で、法律や教育の側面から考えていきたい。平成 28 年法 律第 65 号改正の際、児童福祉法第 56 条 6 の 2. 1). に「地方公共団体は、人工呼吸器を装着. している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児が、」と追加 された。厚生労働省、内閣府、文部科学省. 2). の合同通知文書、「医療的ケア児の支援に関. する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について」の文章の中に「地方公共団 体は、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態 にある障害児(以下 「医療的ケア児」という。)の支援に関する保健、医療、障害福祉、 保育、教育等の 連携の一層の推進を図るよう努めることとされたところである。」とし、 医療的ケア児について記している。また同一通知の中の改正趣旨の文言の中には「医療技 術の進歩等を背景として、NICU 等に長期間入院した後、引き続き人工呼吸器や胃瘻等を 使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な障害児(医療的ケア児)が増加 している。 」と記されている。このことから医療的ケア児とは、人工呼吸器や胃瘻等を使用 し、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な障害児ということができる。 医療的ケアに関する論文では、昭和 54 年に養護学校における教育が義務化された際に 医療依存度の高い障害児への対応が求められるようになった。肢体不自由養護学校での医 療的ケアについて栗谷 3)は、茨木養護学校で医療的ケア等検討委員会が設置され、医療的 ケアを、① 常用薬の投与、② 経管栄養の注入、③ 自己導尿の管理、④ 口腔内の吸引器 による吸引、⑤ 蒸留水の吸入器による吸入、⑥ 緊急時の投薬、⑦ 介助が必要な導尿、⑧ - 10 -.
(15) 鼻もしくは咽頭から下咽頭にかけての吸入、⑨ 酸素吸入、⑩薬液の吸入器による吸入、⑪ 介助が必要な人工膀胱の管理、⑫ 気管切開部の管理をあげていた。その後、医療的ケアは、 文部科学省初等中等教育局長より「盲・聾・養 護学校におけるたんの吸引等の取扱いにつ いて(通知)」 (16 国文科初第 43 号)4)が出され、特別支援学校で看護師等の適切な配置及 び指導のもと教員も可能となり注目を集めはじめた。さらに、平成 24 年 4 月に「介護サー ビスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」及び 「児童福祉法の一部改 正」がなされ、特別支援学校の教員等でも研修を受ける等一定の条件を満たすことで、痰 の吸引等の医療的ケアを実施することが可能であるということが謳われている。 このことから医療的ケア児とは、日常生活を送る上で欠かせない医療行為(以前は医師 や看護師等医療従事者のみが許されていた行為)が必要な児と解釈することができる。 医療的ケア児が注目され始めた背景の 1 つに、医療の進歩があり、助けられる命の増加 が挙げられる。1980 年代に入り、出生数は減少しているが、2,500g未満児の出生数は増 加し、平成 24 年には 9.6%となっている 5)。田村 6)の報告では、超低出生体重児の死亡率 の減少により NICU 長期入院児、人工呼吸器管理退院児は 2010 年以降増加している。さら に、文部科学省 7)の報告では、 「7,774 名の幼児児童生徒が、延べ 23,396 件の医療的ケア を必要としており、一人で複数の医療的ケアを必要とする幼児児童生徒が多い状況である。 行為別に見ると、延べ件数のうち、痰の吸引等呼吸器関係が 69.0%、経管 栄養等栄養関 係が 24.1%、導尿が 2.3%、その他が 4.6%であり、このうち鼻腔に留置されている管からの 栄養注入など認定特定行為業務従事者に許容されている行為は 47.7%である。」とのことで ある。さらに厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 障害児・発達障害者支援 室 8)によると、主な介護者の負担感では、 「介護、見守りのための時間的拘束に係る負担」 について「負担感がある」 「やや負担感がある」と答えた者が約 8 割おり、主な介護者の睡 眠時間は「5~6 時間未満」 「6~7 時間未満」で各々3 割、睡眠時間の取り方については約 1/4 の介護者が「断続的に取っている」状況であるとし、56.7%が障害福祉サービスを利用 しておらず、障害児通所支援も 59.5%が利用していないという現状がある。なぜ支援の利 用がすすまないのか、負担感を軽減するための施策が急務であるといえる。 障がい児といっても障がいの程度は様々である。いわゆる重症心身障害児の分類では大 島の分類がよく用いられ、4 点以下とされる。また超重症児、準超重症児は、重症児(者)・ 準超重症児(者)の判定基準が用いられ、判定スコアの合計で 25 点以上を「超重症児」、 10~24 点を「準超重症児」とされ 9)、いわゆる医療依存度が高い児を指しているといえる。 また重複障害児という言葉もよく聞かれる。重複障害児の定義は明確なものがないが、公 立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律. 10). の第 4 条に「文部科. 学大臣が定める障害を二以上併せ有する児童又は生徒で学級を編制する場合にあって は・・・・・・」とあり、文部科学大臣が定める障害を学校教育法第 72 条にある視覚障害者、聴 覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者ということができ、これらの障害を 2 つ 以上持つものと解釈できる。 - 11 -.
(16) また、重度・重複障害児という考え方もあり、辻村 11)の報告の中で、「重度・重複障害 児」には、これまで「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」 等で定められている重複障害児(学校教育法施行令第二二条の二に規定する障害-盲・聾・ 知的障害・肢体不自由・病弱者を 2 つ以上あわせ有する者)のほかに、発達的側面からみ て、「精神発達の遅れが著しく、ほとんど言語を持たず、自他の意思の交換及び環境への 適応が著しく困難であって、日常生活において常時介護を必要とする程度」の者、行動的 側面からみて、「破壊的行動、多動傾向、異常な習慣、自傷行為、自閉性、その他の問題 行動が著しく、常時介護を必要とする程度」の者を加えて考えたと記されている。障がい 児と称してもいろいろな見方があり、医療からのとらえ方、教育の上での捉え方など様々 である。そのため、1 人の子どもを支援するには、多方面からとらえていく必要があり、 子どもや家族の思いを尊重し、最善の施策を見出すためにも、子どもの権利を守るために も多職種で考えていくことが必要不可欠である。特に重複障害児や超重症児の教育は見過 ごされがちであるが、どんな状態、状況の子どもたちにも共通した権利があり、周囲の人 はそれを守る義務がある。そのため、医療と教育は切り離せないものになると考えられる ため、連携協働は密にしていかなければ成り立たず、必要不可欠なものになると考えられ る。 医療的ケアに関する研究の動向として、1990 年代後半から現在にいたるまでは養護学校、 学校における医療的ケアのあり方に関係する研究. 13~19). がされ、その他に医療的ケア児の. コーディネートに関する研究も散見されるが、 「6.コーディネートの文献検討」で後述す る。2010 年代にはいり、研究数が増加し、母親の思いや負担、ニーズに関する研究. 20~24). が広くされるようになってきているが、前述のように医療の進歩により、助けられる命も 増えており、在宅で生活する医療的ケアが必要な児を長期にわたって支えるためのシステ ムが急務であると考えられる。 引用文献 1) 児童福祉法(平成 30 年 4 月 1 日). http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC000000 0164(閲覧 2018 年 7 月 16 日) http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/190.html(閲覧 2018 年 7 月 14 日) 2) 厚生労働省医政局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部長、内閣府子ども・子育て本部統括官,文部科学省初等中等教育局長(平 成 28 年 6 月 3 日) :医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一 層の推進について. http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/h280603/renkei_suishin.pdf (閲覧 2018 年 7 月 16 日) 3) 栗谷玲子 (1996):肢体不自由養護学校における医療的ケア.脳と発達、28: 220-224. - 12 -.
(17) 4) 文部科学省初等中等教育局長(平成 16 年 10 月 22 日):盲・聾・養護学校におけるたん の吸引等の取扱いについて(通知). http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/087/shiryo/attach/1313155.htm(閲覧 2018 年 7 月 16 日) 5) 「健やか親子21」の最終評価等に関する検討会 (2014) : 「健やか親子21(第2次)」 について検討会報告書 3. 母子保健の水準等. http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/000 0045649.pdf(閲覧 2018 年 7 月 16 日) 6) 田村正徳:資料 2. NICU の整備及び NICU 勤務医師の充足に関する報告.. http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000105602.pdf(閲覧 2018 年 7 月 16 日) 7) 文部科学省:平成 26 年度特別支援学校等の医療的ケアに関する調査結果について. http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/2015/03/27/13562 15_1.pdf(閲覧 2018 年 7 月 16 日) 8) 厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部障害福祉課 障害児・発達障害者支援室:医 療的ケア児について. http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukush ibu/0000118079.pdf(閲覧 2018 年 7 月 16 日) 9) 末光茂(2010):3 回総合福祉部会 資料. http://www.wam.go.jp/wamappl/bb15GS60.nsf/0/2a194e8f4e6958b0492577360024c47e/$FILE /20100602_3sankou1~2.pdf(閲覧 2018 年 7 月 16 日) 10) 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律.平成二十九年五 月十七日公布(平成二十九年法律第二十九号)改正: http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=333AC000000 0116(閲覧 2018 年 7 月 16 日) 11) 学校教育法施行規則.平成 29 年 5 月 31 日公布(平成 29 年法律第 41 号)改正: http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?openerCode=1&lawId =322AC0000000026_20170401_429AC0000000005#265(閲覧 2018 年 7 月 16 日) 12) 辻村泰男(1975 年):重度・重複障害児に対する学校教育の在り方について(報告). http://www.nise.go.jp/blog/2000/05/b2_s500331_01.html(閲覧 2018 年 7 月 16 日) 13) 津島ひろ江 (2000):医療的ケアを要する子どものトータルケアとサポートに関する 研究. 通常学級在籍児の実態を中心に.小児保健研究、59 (1): 9-16.. 14) 小河育恵 (2000):養護学校における重度・重複障害児の健康管理. 医療的ケアを要. する児童の健康管理の検討.教育保健研究.11: 119-127. 15) 村上貴孝 (2007):学校医から見た肢体不自由養護学校の現状と問題点.脳と発達、 39 (6): 423-426. - 13 -.
(18) 16) 瀧波慶和、氏家靖浩、竹下治男他 (2016):特別支援学校における医療的ケアの現状 と課題.臨床心理学研究、53 (2): 0-86. 17) 山田景子、津島ひろ江、小河孝則 (2015):医療的ケアを必要とする子どもへのケア 技術習得に関する養護教諭のニーズ調査. 全国肢体不自由特別支援学校を中心に.小児. 保健研究、74 (2): 214-222. 18) 金城やす子、八田早恵子 (2015):保育園における障害児や医療的ケア児の受け入れ と課題. 保育園看護職の配置との関連において.保育と保健、21 (1): 37-40.. 19) 盛岡淳美、松浦和代 (2017):特別支援学校における児童生徒の医療的ケアに関する 保護者の視点からみた現状の問題とニーズ.日本小児看護学会誌、26: 118-124. 20) 浅井佳士、浅野みどり (2017):重症心身障がい児をもつ主養育者の在宅移行期にお ける意識. 子どもへの思い及び影響要因に焦点を当てて.日本小児看護学会誌、26:. 159-165. 21) 橘ゆり、鈴木ひろ子 (2017):医療的ケアを必要とする子どもの在宅生活を継続して いる母親の思い. 在宅生活へ移行後 1 年半未満の子どもの母親に焦点をあてて.小児看. 護学会誌、26: 45-50. 22) 草野淳子 (2017):在宅療養児の母親が子育ての喜びを感じるまでのプロセス.母性 衛生、57 (4): 718-725. 23) 大久保明子、北村千章、山田真衣他 (2016):医療的ケアが必要な在宅療養児を育て る母親が体験した困りごとへの対応の構造.日本小児看護学会誌、25 (1): 8-14. 24) 馬場恵子、泊祐子、古株ひろみ (2013):医療的ケアが必要な子どもをもつ養育者が 在宅療養を受け入れるプロセス.日本小児看護学会誌、22 (1): 72-79.. 5.諸外国での医療的ケアのある小児の在宅生活について(資料程度) (宍戸 路佳) 吉利 1)によるとアメリカ合衆国において、1975 年に全障害児教育法、これを引き継ぐ形 で、1990 年に個別障害者教育法が制定され、1997 年に改正されるが、障害者も無償で教育 が受ける権利が記されているが、医療的ケアをめぐる論争はアメリカの学校でも起こって いるとしている。また、アメリカで在宅生活を送る子どもが受けられるサービスは様々あ るが、細分化されており、コーディネートが難しいということ 2))や医療的ケアのある子ど もを持つ親の睡眠時間とレスパイトの関係の調査では、6 歳未満の子どもを持つ親は、12 ~17 歳の子どもを持つ親の 3 倍レスパイトを必要としていたが、アメリカでもアクセスに 偏りがあるとの報告 3)がされていた。その後、アメリカ合衆国ミネソタ州にて在宅小児ケ ア調整 1)に関する研究がなされ、試験的にいろんなシステムの検討及び円滑に成人移行が できるように検討がなされている。 一方、障害児教育に力を入れたのはフランスである。1975 年に障害者福祉基本法が制定. - 14 -.
(19) されており、1982 年には、障害児教育に関した法令が制定されている 5)。2005 年の「障害 者の権利及び機会の平等並びに参加及び市民権のための法律」により、障害児教育制度が 「原則統合」(学籍一元化)に向けて動き出すことになった。 ただ、フランスは独自の医療政策、教育政策をとっている。以下、2018 年 5 月にフラン スで視察してきた内容を簡単に述べる。 フランスの医療制度は、かかりつけ医制度をとっており、国民一人一人にだされたカー ドをもって受診する。そこでの診察により、処方箋をもって、レントゲンをとりに行った り、開業看護師のところへ行き、採血をしてもらう、薬をもらいに薬局へ行く、開業理学 療法士のところでリハビリを受けるということになり、それぞれが独立している。また、 子ども医療と教育については、入院中でも、在宅入院であっても、一時的な外来通院であ っても、子どもが医療を受けながらも誰もが平等に教育が受けられるようなシステムが整 っている。 日本のように転校手続きを取らなくても同じような教育が受けられる。しかし、 重症心身障害児に対する対応については視察できなかった。 妊娠中に児に何か異常があると診断されれば、妊娠期間中のどの時期でも人工妊娠中絶 を行うことができる注)という説明を受けたが、全ての疾患を妊娠中に診断できることは難 しいことや個々の考え方は異なる為、出産を望む方もいると考える。そのため、障がいを もっている子どもは、医療が中心の生活になるということであった。星野. 6). の報告にも、. 医療的ケアの必要な重度・重複障害児の教育はいちども見たことがないと述べている。入 院期間を短くし、在宅医療を推進している国であるため、在宅もしくは専門施設での療育 をしていると予測できるが、推察の域をでない。そのため、子どもにとって一番良い状況、 システムを組むためにも様々な国での対応から学んでいく必要がある。 注)フランスでは、障害をもつなど胎児の状態を理由とする中絶(医学的人工妊娠中絶) が合法化されており、妊娠期間の期限制限なく認められている 7)。 引用文献 1) 吉利宗久、手島由紀子、母里誠一 (2000):アメリカ合衆国における医療的ケアの教育 的保障-関連7判例の検討を通して-.川崎医療福祉学会誌、10 (2): 237-242. 2) Reichman NE1, Corman H, Noonan K (2008): Impact of child disability on the family.. Ma-. tern Child Health J, 12 (6): 679-683. 3) Nageswaran S (2009): Respite care for children with special health care needs. Arch Pediatr Adolesc Med, 163: 49-54. 4) Cady RG, Looman WS, Lindeke LL, et al. (2015): Pediatric Care Coordination: Lessons Learned and Future Priorities. The Online Journal of Issues in Nursing. Vol. 20 No. 3. http://ojin.nursingworld.org/MainMenuCategories/ANAMarketplace/ANAPeriodicals/OJIN/Tab leofContents/Vol-20-2015/No3-Sept-2015/Pediatric-Care-Coordination.html(閲覧 2018 年 7 月 16 日) - 15 -.
(20) 5) 星野常夫 (1981):フランスの「障害者福祉基本法」とアメリカ合衆国の「全障害児教 育法について-教育学的視点を中心にした比較-.文教大学教育学部紀要、15: p.67-82. 6) 星野常夫 (2013):フランス障害児教育の現状報告-インクルーシブ教育への対応と展 開-.文教大学教育学部紀要、47: p.159-169. 7) 山本由美子 (2011):現代フランスにおける医学的人工妊娠中絶(IMG)と 「死産」 の技法.立命館人間科学研究、23; p.25-36.. 6.コーディネートの文献検討 (坂口 由紀子) コーディネートとは、「① 物事を調整し、まとめること。② 衣服や装身具などの、色・ 材質・形などを調和させて組み合わせること」 1)とされており、様々な分野で使用されて いる。コーディネートに関する研究動向を把握するため、医中誌 web 版を用いて、過去 10 年間の 「会議録除く」 文献から、 「コーディネート」をキーワー ドに 292 件抽出した。 1)発行年別の文献数(表Ⅲ-1) コーディネートに関する文 献数は 2009 年が最も多く 53. 表Ⅲ-1.発行年別コーディネート文献数:n=292 件) 発行年. 原著. 解説・特集. 合計. 2017. 12. 28. 40. 2016. 9. 23. 32. 2015. 13. 17. 30. 2014. 10. 18. 28. 件であったが、その後 20 件前. 2013. 13. 36. 49. 後で経過し、2013 年に 49 件ま. 2012. 4. 13. 17. で増えて、30~40 件で経過し. 2011. 5. 12. 17. ていた。年間文献数平均は. 2010. 10. 7. 17. 2008~2012 年で 22.6 件、2013. 2009. 7. 46. 53. 2008. 4. 5. 9. ~2017 年で 35.8 件と、直近 5. 5 年平均. 35.8 /年. 22.6 /年. 年の方が多くなっており、コー ディネートへの関心の高まりが. 表Ⅲ-2.2008 年発行のコーディネート文献:9 件 文献の内容. 伺える。. 文献数. 薬剤師の役割. 1. 脳卒中の地域連携クリティカルパスの開発. 1. 2)発行年別の文献内容. 長期療養児の養育者の精神健康状態. 1. 2008 年に発行されたコーディネ. 入退院をくり返す慢性疾患児の療養生活. 1. ートに関する文献(表Ⅲ-2)は、. 養護教諭が養育者へ行った支援. 1. 特定の専門職ではなく様々な医. 治験現場の未来. 1. 療福祉専門職が行うコーディネ. うつ病からのリワーク支援. 1. ートが散見された。. 保健師の自信と力量形成研究. 1. ケアマネによるソーシャルワーク. 1. - 16 -.
(21) 2009 年発行の文献(表Ⅲ-3). 表Ⅲ-3.2009 年発行のコーディネート文献:53 件. では、「生活習慣指導」に関す. 文献の内容. 文献数. るものが 26 件と一番多く、次い. 生活習慣指導コーディネート術. 26. で「看護師」8 件、「医師」「臨. 病棟・施設・訪問看護師によるコーディネート. 8. 床検査」が 3 件、「臨床検査」. 医師によるコーディネート. 3. 臨床研究におけるコーディネート. 3. チーム医療と臨床検査. 2. 移植コーディネート. 2. 海外の情報. 1. ケアマネージャーの業務. 1. 被災地ボランティアのコーディネート. 1. 精神障害者の就労に関する現状と課題. 1. 若年認知症のオーダーメイド支援. 1. 重症児の受入についての課題. 1. 保健師による社会福祉援助活動の現状. 1. 薬剤師による CAPD 業務の取り組み. 1. MSW 連携入退院モデルの分析. 1. 「移植」2 件の順であり、生活習 慣病への関心の高さが伺えた。. 2010 年発行の文献(表Ⅲ-4). 表Ⅲ-4.2010 年発行のコーディネート文献:17 件. では、「看護師」に関するもの. 文献の内容. 文献数. が 6 件と一番多く、次いで、「医. 病棟・訪問看護師によるコーディネート. 6. 師」「移植」の順であり、様々. 医師によるコーディネート. 2. 移植コーディネート支援. 2. 海外の情報. 1. NST 専従者としての管理栄養士の関わり. 1. 連携をコーディネートするケアマネの在り方. 1. 薬剤師によるHPNコーディネート. 1. 臨床検査技師による診察前検査の課題. 1. 臨床心理士による就労支援の利点と課題. 1. MSW 連携入退院モデルの分析. 1. な専門職によるコーディネート が散見された。. 2011 年発行の文献(表Ⅲ-5) では、「看護師」に関するもの. 表Ⅲ-5.2011 年発行のコーディネート文献:17 件 文献の内容. 文献数. 手術室・病棟・産業看護師によるコーディネート. 9. が 9 件と一番多く、次いで、「医. 医師によるコーディネート. 2. 師」の順であった。「看護師」. 生体ドナー移植の課題. 1. の中でも「産業看護師」の文献. 患児に対する地域連携の現状. 1. が目立った。. てんかんのある人の就労コーディネート. 1. 災害時における生活環境. 1. 円滑な NST 活動をコーディネート. 1. POC コーディネーター. 1. - 17 -.
(22) 2012 年発行の文献(表Ⅲ-6). 表Ⅲ-6.2012 年発行のコーディネート文献:17 件. では、「看護師」に関するもの. 文献の内容. 文献数. が 6 件と一番多く、次いで、「災. 手術室・訪問看護師によるコーディネート. 6. 害」4 件、「医師」2 件の順であ. 災害医療コーディネート. 4. り、東日本大震災における活動. 医師によるコーディネート. 2. がん対策システム. 1. 西洋医学と補完代替医療のコーディネート. 1. 学術支援室の薬剤師業務. 1. 脳死下臓器提供による移植の課題. 1. NICU から退院支援コーディネーターへ望むこと. 1. が報告されていた。. 2013 年発行の文献(表Ⅲ-7). 表Ⅲ-7.2013 年発行のコーディネート文献:49 件. では、「歯科」に関するものが. 文献の内容. 文献数. 10 件と一番多く、次いで「看護. 歯ブラシコーディネート・歯列育成. 10. 師」が 7 件、「保健師」が 4 件、. 病棟・外来看護師によるコーディネート. 7. 保健師による支援. 4. 介護支援相談員によるコーディネート. 4. 医師によるコーディネート. 3. 海外の情報. 3. ートや、ある疾患に特化したコ. 地域リハビリテーション. 2. ーディネートについての文献が. 感染制御に向けた県のコーディネート. 2. あった。. 災害時におけるコーディネート. 2. 地域医療・在宅医療に関するコーディネート. 2. 助産師の母体搬送時の困難さ. 1. 医療事務によるコーディネート. 1. 放射線技師の単純撮影コーディネート. 1. 薬剤師外来. 1. 言語聴覚士によるリハビリアプローチ. 1. 精神保健福祉士の役割. 1. がん緩和ケアにおけるコーディネート. 1. 認知症グループ形成におけるコーディネート. 1. 重症心身障がい児のショートステイシステム. 1. 食育コーディネート. 1. 「介護支援相談員」が 4 件、「医 師」が 3 件であった。その他、 コメディカルによるコーディネ. - 18 -.
(23) 2014 年発行の文献(表Ⅲ-8). 表Ⅲ-8.2014 年発行のコーディネート文献:28 件. では、「災害医療」「看護師」. 文献の内容. 文献数. に関するものが 5 件と一番多く、. 災害医療コーディネート. 5. 次いで「助産師」「養護教諭」. 外来・病棟看護師、フライトナースの役割. 5. 「医師」「社会福祉士」「障害. 助産師の支援. 2. 者就労支援」に関するものが 2. 養護教諭に求められるコーディネート. 2. 件の順であった。東日本大震災. 遺伝子診療部. 2. での活動が論文として多く発表 されたことが考えられる。. 2015 年発行の文献(表Ⅲ-9). 医師のコーディネート. 社会福祉士の役割・業務. 2. 障害者就労支援における役割. 2. 発達障害児の医療的支援の課題. 1. 地域包括支援センターによるコーディネート. 1. フットケア指導士のコーディネート役割. 1. 獣医師の業務. 1. 骨髄バンク(移植)コーディネート. 1. がんの地域連携クリティカルパス. 1. 大学生の食生活サポート. 1. 歯ブラシコーディネート. 1. 表Ⅲ-9.2015 年発行のコーディネート文献:30 件. では、「災害医療」に関するも. 文献の内容. 文献数. のが 5 件と一番多く、次いで「看. 災害医療コーディネート. 5. 護師」4 件、「医師」3 件の順で. 病棟・訪問看護師のコーディネート. 4. あった。2014 年と同様に、東日. 医師によるコーディネート. 3. 本大震災での活動が論文として. 社会福祉士の役割・業務. 2. 看護学実習の効果と課題. 2. 海外の情報. 2. 精神障害者の地域支援コーディネート. 2. アスリートのメンタルケア. 1. 医療経営士による議論コーディネート役. 1. 感染制御に向けた県のコーディネート. 1. がん緩和ケアにおけるコーディネート. 1. 重症心身障がい児の支援課題. 1. 障害者就労支援における役割. 1. 精神障碍者による認知症高齢者介護. 1. 重症心身障がい児の父親の役割. 1. 養護教諭に求められるコーディネート. 1. 小児ソーシャルワーク支援の実践モデル. 1. 多く発表されたことが考えられ る。. - 19 -.
(24) 2016 年発行の文献(表Ⅲ-10). 表Ⅲ-10.2016 年発行のコーディネート文献:32 件. では、「災害医療」「看護師」. 文献の内容. 文献数. 「社会福祉士」 「地域包括ケア」. 災害医療コーディネート. 4. に関するものが 4 件と一番多く、. 病棟・訪問看護師のコーディネート. 4. 社会福祉士の役割・業務. 4. 地域包括ケア政策・事業. 4. 骨髄バンク(移植)コーディネート. 3. 長期療養児の支援の現状と課題. 1. 発達障害児への発達支援センターの役割. 1. 臨床研究マネジメント人材育成. 1. 認知症透析患者のコーディネート(ケアマネ). 1. 在宅移行期の在宅支援専門員の役割. 1. 特別支援学校での作業療法士の役割. 1. 精神障碍者の地域支援コーディネート. 1. 食生活サポートナビの開発. 1. 地域ひきこもり支援(機関)の課題. 1. 臨床実習指導者の意識調査(理学療法士). 1. 訪問心臓リハの在宅生活コーディネート. 1. 子育て支援コーディネート. 1. 糖尿病の連携パス. 1. 次いで「移植」3 件の順であった。 東日本大震災での活動報告が続 く中、様々な対象への地域支援 に関する文献が増加した。. 2017 年発行の文献(表Ⅲ-11). 表Ⅲ-11.2017 年発行のコーディネート文献:40 件 文献の内容. では、「地域包括ケア」に関す. 文献数. 地域包括ケア政策・事業. 9. 骨髄・臓器移植コーディネート. 6. 社会福祉士の役割・業務. 4. 4 件、「災害医療」「看護師」3. 災害医療コーディネート. 3. 件の順であった。様々な対象へ. 病棟・外来看護師のコーディネート. 3. の地域支援に関する文献が急増. 障害者・心臓リハビリの在宅生活コーディネート. 2. した。. フード・食育コーディネート. 2. 新生児マススクリーニングのコーディネート. 2. 難病治療におけるコーディネート医師. 1. 海外の情報. 1. ボランティアサークル顧問の役割. 1. 地域ひきこもり支援(機関)の課題. 1. 美容コーディネート. 1. るものが 9 件と一番多く、次い で「移植」6 件、「社会福祉士」. 以上のことから、地域生活に おけるコーディネートについて の論文が近年急増していること が明らかとなり、在宅移行を推. 市町村保健師の日常業務. 1. し進める社会情勢が反映されて. 入院中の精神疾患患者への退院支援. 1. いると考えられる。専門職の変. 自殺予防ゲートキーパーの役割. 1. 化として、2009 年~2016 年は 「看. 養護教諭に求められるコーディネート. 1. - 20 -.
(25) 護師」によるコーディネートが常に上位にあったが、2017 年は「社会福祉士」が上昇し、 在宅移行が進む中でコーディネートとして「社会福祉士」に関心が集まっていることが 伺えた。 3)入院時におけるコーディネート 入院時におけるコーディネート内容を検討した。福光. 2). によると、集中ケア認定看護. 師の役割のひとつに、患者・家族の一番近くにいる立場の者として他職種をコーディネ ートし、パートナーシップを形成することが挙げられており、入院中のチーム医療にお けるコーディネートは看護師の役割であることが伺えた。 内田 3), 4)によると、手術室のコーディネートナースが、外来での情報収集とアセスメン ト、入院前日に患者へ電話で最終確認、周手術期管理、初回外来までフォローアップ窓 口を行っており、安全で効率的な手術室運営につながっていることを報告している。一 定期間に限られたコーディネートだが、周手術期ケアのスペシャリストとして、様々な 技術と経験が不可欠になると述べられている。 杉山ら. 5). によると、NICU 全入院児にスクリーニングを実施し、54%に周産期支援コ. ーディネーターの介入を行った結果、退院前に社会資源などの情報を的確に提供するこ とが可能になったと報告している。地域保健センターへの連絡により退院後も支援が途 切れず、対症への継続した支援と結びついたと述べている。 加納. 6). によると、入院時より退院コーディネート(患者と家族が退院後もそれぞれの. QOL を維持し自分らしい生活が送れるように、患者と家族に指導を行い、必要な情報を 提供し、介護保険制度を中心とした社会福祉制度の活用を支援することをシステム化し た活動)をすることで、自宅への退院率が上がったことを報告している。しかし、入院 中の退院コーディネートは、退院と同時に終了し、地域生活はサポートされていなかっ た。 古舘. 7). の研究でも同様に、退院調整看護師が入院時より退院スクリーニングを行い、. 退院に向けた療養指導や社会資源の紹介など、安心して退院できるように多職種と連携 しながらサポート体制を構築していた。しかし、退院で終わりではなく、退院後も「顔 の見える連携」をめざし、病院にいながら在宅医療を支援する窓口としての連携コーデ ィネーターを行う必要性を述べ、医師同士の Fax 連絡用に作成した「在宅医療連携シー ト」を病院スタッフと在宅スタッフとの連携に活用することを提案している。情報共有 なく院内外の連携は不可能であるが、Fax は誤送もゼロではないため、個人情報流出対策 を講じる必要があると考える。 以上のことから、入院中のコーディネートでは、チーム医療におけるコーディネート と退院コーディネートが存在した。対象によって連携する機関やコーディネートする内 容が異なっているが、一様に退院後の地域生活までは十分サポートされていないことが 伺えた。個人情報保護を厳守しつつ、病院からも患者の地域生活をサポートするような - 21 -.
(26) 連携方法を検討する移行期にあると考える。. 4)地域生活におけるコーディネート 次に、地域生活におけるコーディネート内容を検討した。竹内ら. 8). が行った第 1 次~. 第 3 次医療機関および行政機関への調査によると、継続看護が必要な患児に対する地域 連携において、「窓口が一本化されていない」「誰と連携していいのか分からない」「ス タッフの認識不足」「他機関と情報交換できない」「ネットワークが整備されていない」 という課題が挙げられていた。これらの課題を解決するにあたっては、「関係機関同士 のネットワークづくりと、それをコーディネートする専門職の存在が必要であり、看護 職がその役割を担うことが望ましいことが示唆された」と述べている。 服部. 9). によると、福祉施設の看護師は、子どもの自己導尿手技獲得に向けて、多職種. 連携で関わり、親に対して家庭訪問や通園時を通して導尿の協力依頼と特別支援学校の 見学を促し、病院受診へ同行し指導方法の統一化を図り、訪問看護師の導入を検討する ことで、自己導尿が定着できるように働きかけていた。医療的ケアに関しては各施設の 看護師がキーパーソンになることで、円滑な施設間移行や支援ができるのではないかと 述べている。 定村ら. 10). の研究によると、精神科訪問看護師は、患者との信頼関係を構築してから、. 社会資源の情報を提供し、理解に基づく同意を得た後、関係機関への訪問に同席し、患 者と一緒に手続きを行うことで、患者が社会資源を活用できるように働きかけていた。 精神障がい者が在宅生活を維持するためには、訪問看護師による地域関係機関のコーデ ィネート能力やリーダーシップが求められていると述べている。 平原 11)によると、訪問看護の専門性は幅広い全人的ケアのための知識と、必要な医療・ ケアを判断してそれぞれのサービスをつなげることができるコーディネーターとしての 技術であると述べている。 以上のことから、地域生活におけるコーディネートの多くが看護職に求められている ことが伺えた。中でも、訪問看護師がコーディネートする場合は、高度化した在宅医療 に関する訪問看護に加え、訪問時間外で他機関と連携し、個々のニーズに合わせた丁寧 なコーディネートを実践することの労力は計り知れない。特に対象が医療的ケア児の場 合は、連携する機関も多く、成長と共に関係機関や社会資源が変化していくため、複雑 かつ高度化したコーディネート力が求められると考える。 5)医療的ケア児が地域生活を送るためのコーディネートを担う人材について 福岡 12)によると、医療的ケア児等コーディネーターに求められる資質と役割には、 「① 医療的ケア児等に関する専門的な知識と経験の蓄積、② 多職種連携を実現するための水 平関係(パートナーシップ)の構築力、③ 本人中心支援と自立支援を継続していくため の家族との信頼関係づくり、④ 医療的ケア児等の相談支援業務(基本相談、計画相談、 - 22 -.
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