<論文>企業の統合モデル(1) : 生産・投資・財務・
市場価格統合の経営経済学上の意味
著者
亀川 俊雄
著者別名
Kamekawa Toshio
雑誌名
経営論集
巻
28
ページ
25-54
発行年
1987-03-23
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005767/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja企業 の統 合 モ デ ル(i)
生産・投資・財務・市場価格統合の経営経済学上 の意味― ■
亀
川
俊
雄
25は し が き
「企業理論 上や 「経 営 財務論」 の研究 領域におけ る, 企業 の意思 決定 モデ
ル の設計 の う ち に,〈生産 関数〉 が含 まれるにい たう た。 生産 関数 は物 量に
よる「要 素投 入量」 と 「産 出量」 との関 係を示 す ものであ り, 物 的生産 性 へ
瀾 連づけら れる から, モデル内に, 市 場価 格の要因が含 め ら れ るこ ととな る。
企 業 の経営 目的を 株 価 のご とき,時 間を含 めた概念 が設 定 さ れ れば, そ のよ
うなモデルは 経 営経 済学 の研 究対象 であ る〈生産〉・
〈投資 〉・< 財 務〉・<市場
価 格〉 のす べ ての経 済的 事象 が 〈動学 的 方法〉 で統一 され , 体系 化 された企
業 経営のモデ ルが設 計さ れ るこ とを 意 味す る。 この ような モデル に対 応し て,
経 営 経済学 の体 系 が構 築 されれ ば, 企 茉経営に関す る経済 事象 のすべ てを 体
系 的 に説明で き る基 礎理 論 への形 成が 可能 となる よ うに思 われ る。
\
こ のよ うな モデ ル化 が, 抽象レ ベル の高い純粋理 論 の性 格を もつ もの であ
れ, あるい は そ の よ うな抽象 的 モデルに 対応し た,〈技 術論 〉的 あ るいぱく応
用 科学〉的 性 格を も つ ,「管 理 会計学」 や 「経営 分析論 」 な どの研 究体系 に
と りいれら れ れば, さら に実 践的 能力は 倍増され るに い た る と思 われ る。
小稿では √ そ の よ うな 意図から, 最近 の「生産 関数」を 含 め た意思 決定論
とし ての企業 モ デル ないし 財務 モデル のい くつ かを取 り上げ, これら の モデ
ル が,j応用論的 技術論 的経 営学 の系 譜 とどのよ うに関 連づ け ら れ るかを模索
す るとともに, 他方に お い て,一 般的 ・記 述的 「経営(経済)学 」 の体系 化
へ の架橋とな り うる もの と考え, そり ような観点 から, 「 企業経 営 の統合 モ
デ ル」の問 題を 取 り扱い たい。
以下, づ ぎ の 目次にし たが っ て, 小 稿を取 りまとめ るぺ
こ と とす る。 ただし ,
ペ ージ数の関 係 で, 今 回 の研究 テ ーマ の もとに, 本号 と次 号 の2 部に 分け て,
本 号は第1 部 とし て掲載 させ て頂 くこ とにし た。
なお ,小 稿(I.
皿を通して)で用い る経 済変 数 の 記 号 ぱ 〔表1 〕 お よび
〔表2 〕 の 〈統一 記 号〉
(1)
・
(2)
を用い るこ ととす る。 ただし ,原 著 の趣 旨を生
か す ため, 例外的 に統一 記号外 の記 号を用い るときがあ る。 そ のさいには,
そ の個所 でそ の 旨を指摘 す る方 法を とらし て頂 く。
(1 部) 企業の統合モデル(1)
― 生産・投資・財務・市場価格統合の経営経済
学上の意味-はし がき1.
問題提起
(1) 理論やモデルの役割
(2) 純粋理論と応用(技術)蕊 の総合的研究の必要性
/2.
企業経営における経済変数統合システム化の必要性
(1) 経営(経済)学と経営組織論
(2) 経営(経済)学と企業の経済変数3.
若干の「企業」および「経営財務」モデル一 生産関数の導入をめぐって
こ
咄
倒
M.J. ゴ ードン の財務モデル しD. ヴィッカーズの企業 モデルs.J. ターノフスキーの統合モデル (2 部 ) 企 業 の 統 合 モ デ ル(2)( 次 号 )1. ラ ー ナ ー と カ ー ル ト ン の 財 務 モ デ ル に お け る 「 生 産 ( 性 ) 変 数 」 の 導 入 バ1 )LC の デ ュ ポン ・ シ ス テ ム に 対 す る 批 判 (2)LC 関 数 と デ ュ ポ ン シ ス テ ム2.G. エ リ ク ソ ン の 統 合 モ デ ル (1) コ・リ ク ソ ソ の 「 基 礎 モ デ ル 」 (2) 企 業 経 済 変 数 ( 経 営 指 標 ) の フ=・ ―. チ ャ ー ト3. エ リ ク ソ ン ・ モ デ ル と 筆 者 の 「 全 体 的 経 営 指 標 の シ ス テ ム ・ モ デ ル 」 (1) 経 営 指 標 (TKSM ) の フpi ―・ チ ャ ― ト (2) エ リ ク ソン ・ モ デ ル とTKSM の 若 干 の 比 較4. 長 期 経 営 構 造 計 画 と 短 期 利 益 計 画 基 礎 理 論 の 統 合 ○ 例TKSM 応 用O1 例 一 犬 (1) 長 期 分 析 と 短 期 分 析 統 合 の 前 提 (2) 残 余 利 潤 ペ ー ス に よ るCVP 関 連 の 基 本 公 式 (3)CVP 分 析 と 生 産 性 分 析 十 (4) キ ャ ッシ ュ ・ フg 二分 析 とCVP 分 析 お わ りにS 呪 び 9≪9 九 応j れ £E ら み μh 「rArBz 揖V
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み
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り
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表1
統 一
記 号1
株式資本時価総額
? 株価,N 発行株式数
株主の純富(キャピ タル・ダイン)
総配当金(期待値)
配当金成長率(期待値)
企業(の一般的)成長率
自己資本コストj
期税引利益(期待値)
残余(経済)利潤
負債(簿価・時価)
ニ
自己資本の簿価
税引自己資本利益率
利益留保率(期待値)
配当性向(期待値)
財務レ バレ ッジL/E
総資本(産)利益率
経営資本(産)利益率
経言外資本(産)利益率
負債利子率
利 嘔率(外割)
総(経営)資本(産)回転率
企業 の統 合 モデ ル(1 ) 表2 統 一 記 号2 売上高 総業 務(生産)費 総費用(生産費十利 子費 十税金) 資産 生産物(商品) の価 格 生産要素の価格(各要素を総括) 労働の価格(賃率) 資本(固定資 産) の価格 減価償却率(貨幣) 減価償却率(物量) 平均業務(生 産)費 平均総費用<「生 産費十利子費 十税金」の平均費用> 産出量(物量) 要素投入量(各要素投入量を総括) 27。み ’j λ ア
亀
石
O
坑
労働投入量(物量) 資 本(固定資産等) の投 入量 (物量) 資産 の有高(物量) 物的 生産性(フロ ー) 物的生産性(ストッ ク) <生産性要因> 規模(量的) 技 術 十 組織product-mix <製品多 様化率>Be
上操業率E
。
能率・効率
Df5CO く く く 小 稿 の 論 文 で は 原 則 とし て 〈 統 一 記 号〉 を 用 い る 。 〈 統 一 記 号 〉 以 外 に 必 要 な 記 号 の さい に は , そ の 場 で 指 示 す る 。 や む を え な い と き に 変 更 す る と きは. そ の 場 で 指 示 す る 。1.
問 題 提 起
二
十
(1) 理論やモデルめ役割
レ
企業 経営 を対象 とす る学問 領域 とし ては, 経済学 ・経 営 経済学 ・会 計学 ・
経 営 管理論 ・人 間関係 論 ・行動 科学 ・制度 経済(営)学 等 々が挙げ ら れる。
そ れぞれ め学問 は, 固有 の認 識対 象 とアプ= −チ のも とに, 経 営学 系統に限
って も, 多 様な専門 研究 領域を 形成し てい る。い うまで もな く, そ れぞれ の
分 野に おけ る理論や モデ ル 乱
特 定の認識 目標 と対 象に っ い ての経験 現象 の
原 因を 追究し , 説 明し ,予 測し , 判 断す るた めの理論的 道具 とし て の役割を
もつ。
これら の理論や モデ ル がどれ は どの価値があ る かど うかは,多 様かつ 重要
な 現 象 の うち の1 側面を 理 論化す るため, そ れぞ れ の認 識対 象 の重要性 と広
さ , 現実 へ の説 明力(抽象的レベルの次元は異なるにし ても)に よっ て決定 され
る も のと考え られ る。
ひ るがえ って, 企業 経 営に 関 す る最近 のト ピ ッ クスのい くつ かを ひろ って
み よ う。 これら のトピ ッ クスが提 起す る間題 の解決 策あ るい は,討 論す べき
場を , どの経営学 の系譜 が 提供し て くれ るのであろ うか。(昭和61年12月現在)
バ1 ) わが国 の実質GNP
の成 長率 は, ここ10 数年, 先進1 力国 の中 で も。
か な り高水準 の成 長を 示し てい るが, 企業レ ベ ル(生産レベル)から みて。
企業の統合モデル(1)291
)
この よ うな事象をい かに 説 明で きる のであ ろ うか。こ 時〈 日本的経営 論〉
に よっ て, この事実 を説 明し よ うとし てきたが, は たし て, 十全 の説明
がなさ れた のであ ろ うか。
摺
円 高 が急速に すす み, 昭和50 年に は,1
ドル 約300 円 前後 の相場 であ
った ものが, 昭和61 年 には,150 ∼160 円に まで騰 貴し た。 い わゆ る円の
ニ対外価 値は 約2 倍に も上昇し た こ とに な る。 これら の研究 は「為替 相場
論」 とか, 「経済学 」 の役割 か も知 れ ない が,経 営 経済学 の系 譜 から説
明可 能 な領域は ない のだろ うか。 また, 円 高に よって,産 業界や 企業は
どの よ うな影響を うけ るであ ろ うか の説 明は,「経 営(経済)学 」側 から
の理 論 の固有 の役割 と思 わ れ るが, い かな る経営学 系 譜が この役 割を引
受け る ことが でき るのだ ろ うか。-
ノ
佃
自動 車産業 や 情報産業 の輸 出が急 速に進 んだ 結果, わが国 の対 米貿易
は大 幅 な黒 字 が続い てい る が√何 故そ の よ うな現 象 が起 きた のであろ う
か。業 種別「経 営分析 ・比 較」 など で, そ れら の原 因を 追究し てい る実
』
クス」 の理論 は, 実 務的 分析 の「解 釈」に 対し , 理論 的武 器を 提供す る
力を もってい るであろ う
孔
ニ
強
円 高に よっ て,あ る産業 は成 長し , 他 の産業 は衰 退 ・滅亡す るとい わ
れる。 そ れは何 故か, また, どの よ うな産業 が成 長し , どの よ うな産業
が衰退 す るのであろ うか。 た とえばノ
い るが, 本年 度 め審議 では米 価 の据置 が決定 され てい る。 折柄, ア メリ
カの カリフ ォル ニア米 が 日本米価 の1/5 ∼1/6 とい われ てい る。 それは 何
故か。 また, わが国 の農業 の将来 性, 自動 車産業 等 の成長 と のかかお り
合い などを どの よ うに考 えたら よい のか。
仙ト<
円高不 況〉 とい われ る。 そ れ は国民 経済全体 の不況を 指す のか, あ
るい はい くつ か の特定 の産業を 指 す のか, に もか か わら ず, 貿易黒字 が
続い てい る のは何 故だろ うか。 将 来, 政府 はい か な る経済政 策 聚決定す
るであろ うか。 このこ とは, 企業 を取 り巻 く, 国際 的 ・国 内的市場 環境
の変化を 予測 する ことが必 要 であ る ことを意 味し てい る。
帽
毎年 の行事 とし て, 春 闘 で賃金 闘争 が戦 かわ され て い る。 日経連は
「生産性原 理」を主 張し , 労 働 者団体 は, よ り高 目 に よる賃金 水準 の確
保によって景気刺戟策を主張する。一 一昔以 前とは全く違った論拠で
前者は どちら か といえ ば, ミクロ的 アプ ロ ーチ が,\後 者はマ クロ的
アプpt − チが 根拠 となっ てい ると思 われるが, 土 俵 のす れ違い が感ぜら
れ る。 はたし て,(経 営べ経済)学」 は共通 の理論的 土 俵を 提供す ること
ができるのだろ うか。また,今年の賃金決定は来年以降 の賃金水準
それは, 来年以降 の国民経済や企業成長と関連すると思われるが。
にどのような影響を与えるのであろ うか。
国民所得 の配分 のレ ベル で考え る と,「株価 の利 回 り」
よ るダウ平均 に
と「賃金 のベア率」を 比較 する と興 味あ る事実 が見 出され る。
前者 の 〔株価 成長 率〕 は, 昭和40 年 一昭 和58 年 に わた っ て,年 約12.0 %
であ り, 同期 間中 の〈製造業〉 のベ ア率す なわち 〔賃金 成長率〕 も年約12.0
%であ った
ノ 戻
指 標は略等し い 成長 率を 示し てい3) 。 この よ うな事
実は, 後に述 べ る〈企業 の均 衡成 長率〉 の分 析に よって その根拠を知 る
こ とがで きる。
(7) 国 鉄の赤 字累 積が 著し〈 嵩み, ついに民 営化 へ と 〈組織〉替 え への道
を歩 みはじ め た。 このた めに 国鉄 職員 の大幅 な解雇 や 配転 が予 測 される。
従業員 をはじ め,多 くの利害関係 者 の不安や動 揺 は 想 像に 余 るもO があ
る。「赤字 問題」 は 経済的問 題であ り,「民営 化問題 」 は 組織的問 題であ
るが, いず れ も経 営問題 であ り, 両 者はど の よ うに か かお り合 うのであ
ろ うか。「経営(経済)学」 は どの ように解 答を 与え るの であろ うか。
(8) ア メリカでは, 景気動 向指 数に 財し て, 史 上最低 のプ ラ イムレ ートO
引下げ の金融 政策を 決定し てい る。 そ れに伴い, 日 ・独 との金利 格差 の
拡張を 防ぐた め, ア メリカは, 日 ・独の金利 の再 々 引下げ を要 求するに
いた った。 こ の結果, 国際的視 野に たって, 資 本市 場 や生 産市場 へどO
よ うな影響を 与え るかは, 経済学 の研究領域 と思 わ れ るが, 市場 環境にム
適 応す る企業 経営 に とっ ても重要 な研究課題 であ る。
以上 の ような「経 営(経済)学 」が 要求 さ れ る研 究課 題は 枚挙にい とまか
ない。 上記に か かげ た諸問 題は, 粗 雑労ぱあ るが, 問題 ご とに経営 経済事象
を 選 んだ もの であ る。 す なわち,バ1)は〈市場経 済 シス テ ム〉と〈経 済成 長〉も
し くは べ企業 成長〉 が相 互に 関連し 合 ってお り, 企業 成 長 の理論 の形 成が重
要 であ るこ と。
(2)
は 為替 相場 乱
市場 の価格原 理にし た が っ て決定 され る。
企業の統合モデル(1)31
円 高は, 輸 出産業に と っては, ドル建て 契 約 の円基 準0 「販売 価格」 の切 ヴ
下 げ とな り, また, 輸 入産業 に とっ ては, ドル建 て契 約 の輸入原 材料やサゞ
ビ スの円 換 算 の「要 素価 格」の切 り下げ を もたらす。 前 者 は収益 の下落 を,後
者 は費用 の 切 り下げ 効果 を もつ。 企業 の経営 者は, これ ら の市場 環境 の変化
に 適応し た 経営 戦略 の決定が要 求さ れる。(3)は, 自動 車産業 の成 長は, 市場
忙 おける価 格競争 力が 強い ため, 需 要が増 大し↓ 売上0 成 長を もたらし たも
の である。 し た が っ て,〈売 上 の成長〉 の背後に 〈価 格競 争力〉 モ の背 後に
は 〈平均 コ スト〉 が低い こと, そ の背後に は< 生 産性〉 が高い こ と, そ の背
後 に は〈技 術力〉 等 が優れ てい る こと, モの背後 には 〈革 新的 投資〉 がなさ
れ てきた こ と, そ の背 後には 〈利 益成 長〉 が高か った こ と等 々時間経過 を含
始 だ,循環的 現 象がか ら まり合っ て い る。 こ れら の理論 的武 器を 提供 する
「企業の統 合」 モデ ルの成立 が必要 な のではない だろ うか。(4)
は, 比 較生産
費 とその背 後にあ る, 比較要 素価 格 ・比 較生産 匝 が決定因 となる。 たとえば。
日 ・米の 自動 車産 業 の生虐 陸と, 農業 の生 産性比 較に よ り, 日本 の自動 車産
業 と農業 の成長 力 が推 定 され うる。(3)
と同様,日 ・米 の産業 別「統 合 モデル」
の 比較が重 要 な意 味を もつ と思 われる。 同様 のこ とは, (5)
・
(6)づ7 に もあて
ぱ まる。 〈 日経連〉 対 〈総評〉レ ベル での賃金 決定 闘争は, 単な る, 賃金獲
得 競争であ るよ り, より高い 次元に おけ る 〈日本経 済〉 とそ の将来 性 の観点
(将来の賃金水準や雇用問題を含めて)から決 定さ れ るべき てあ り, 産業 別組織
や 企業別 組織 の場合に も, それら の組織 の運 命を 予測し な がら, 早い段 階で,
総 合的見地 から 意思 決定 がなさ れるべ きであ る。 そ の よ うな基礎的理 論 とし
て も「企業 の統合 モデル」 の形 成が必要 な のでは ない だろ うか。
(8)の問題 は, 資 本市場 関連 の問題 であ る。 政 府 の金融政 策(たとえば利子率
操 作)に よ り, 株式 市場 の株価 も変 動す る。 企業 の立 場 から みれば,く資金調
達〉 のコ スト の変化 を もたらす のであ るから, 新し い市 場 環境の変 化に 応じ
て , より有 利 な経営 財務政 策り 変 更 と, 新 たな投 資戦略 の 再検討 が迫 ら れる。
これらの 〈投 資〉 水準 の変化は, 企業 の技術 開発 令生産 匠に 変化 を与え る可
能 性 があ るから, 財務政策 と業 務(生産)政 策は 区分し 難 い。 この意 味で。
「企業の統合 モデル 」 の中 に は,〈利子 率〉や 〈株式 利回 り〉 の経 済的変数
を 織 りこむ こ とが必要 とい え る。
なお,(7)の国鉄 の 〈赤字卜 と〈組織〉替 え の問 題 は, 企 業 成長 (国鉄の負ひ
成長)と組 織 の生 産性 と の問 題 が俎上に 乗鶯ら れたも の であ る。 この ことは。
経営学 の方 法 論に 対 す る警 鐘 とな ると思 われる。 従来, 経営学 では 「利潤原
理」(経済理論)と「利 害関 係 の調 整原理」(利害関係者理論)は, 対 立し た方
法論 とし て 捉え られ てき た。し かし , 経 済理論 の側 から みて も, 犬
「長 期動学
理 論」 と「短 期静学 理論」 では全 く,し ばし ば, 逆な結 論に 導び か れること4
)
があ る。 経 済理論 とし て の「 企業成長 論」 は,長 期動学 論に 基 礎を お き,「利
害関 係者理 論」は, 市 場原理 を考 慮し ない 短 期理論に基 礎をおい てい る と思
われ る。 筆 者は, 両 理論につ い て も,「∼ と∼」 とい う立 場 から 考察す るこ
ととし てい る。
ニ
(2) 純粋理論と応用(技術)理論の総合的研究の必要性
前 記
(1)にか かげ たい ず れ の問題 も, 広 く奥 深い問題 を か かえ てお り,小 橋
で正面 から取 り上げ るべ き課題 懲は ない。 ただ,い ず れ も経済問 題 が焦 点 と
な ってい るため, ①経 済的 観点 から の「経営 経済学」\
が , 判断 材料 の基 礎ど
な るべ きこと。 ② 企業 経営 の経 済理論 であ って も, 「部 分理論」 では, い く
ら 精 密であ って も, 現実 への 〈合 理的 説 明能力〉 はそ れ ほど高 くなる とは思
われ ない。 部 分領域 を対 象 とし た 部分 理論の関 連を 統合 す る理論 に よっ ては
じ め て, 現実 の説明 能力 の増大 が図 られ うる。 何故 なら ば, 経営 者 の意思 決
定は, 市場 環境を予 測し な がら, 生産 ・投資 ・財務 の諸 領域 の要 素が, すぺ
七高度に 依存関 係を もっ てい る事実 にか んが み,総合的 判 断 の かとに 経済的 言
意思 決定 を下 すべ きであ る。 こ の意味 で, 経済的 意思 決定 に対し 理論的 武器
を 提供 するた めには, これら の要 素を 統合す る理論 の構 築が必要 といえ る。
③ 「投資」。
「財務」 上 の意思 決定 は, 長期 の箭 間的 影響 を も つ。(たとえば。
設備投資の意思決定のごとく)そ のた め, 長 期利益(経営)総 合計 画 が必要 とさ
れ るゆえ んであ る。 そ の意 味 で, そ の基 礎理論とし て0 「株価 理論」 や 「キ
ャッシ ュ・フロ ー分析 の理 論」 の整 理が要 求され る。 さ らにに あ る時期 にお
け る意思 決定 はけ 時間的 に 連続す る意思決定 が要求 され る。 そ の 意 味で。
「長 期理論 」 と短 期利 益 計画 の背後 の基 礎理論であ る 「短 期理論」 との関連。'
た とえば,「株価論」 と 「短 期CVP
分析」 の関連 など の究 明 のた め の研究
が 必 要 とされ るもの と考 え ら れる。
経 済的観点 からに 企業 理論 が構 築 された 研究領域 とし ては, ミ クロ経済学=
企業の統合モデル(1)35 に お け るト「企 業 (経済)理 論 」, ド イ ツ に お け る 「経 営 経 済 学 」, ア メ リ カ に お い て企 業 ( 経済)理 論 の方 法 論 に よ っ て 発 展し た , マ ネ ジ リブ ル ,エ コ ノ ミ ッ クスあ る い は ビ ズ ネ ス ・ エ コ ノ ミ ッ ク ス, さ ら に は,「 経営 財 務 論」(ManagerialFinance ) の系 譜 な ど が 挙げ ら れ る。 ま た, 数 学 的 手 法 を , 企業 経 営 の経 済 的 問 題 に 応 用 さ れ る 「OR 」 や 「 経 営 科 学 」 な ど も,< 経 済 規 範 的 意 思 決定 論 〉 の理 論 的 道 具 を 提 供 す る とい う 意 味 で, 同 一 の 研 究 領 域 に 属す る も のと 解 さ れ る。 広 い 意 味 に お け る, こ れ ら の 〈経 営 経 済 理 論〉 は, そ れ ぞ れ の認 識 目 標 の食 い 違 い , し た が っ て 認 識 対 象 の食 い 違 い が あ り, 方 法論 上 の 抽象 的 レ ベ ル に 相 違 が あ る 。 た と え ば , 市 場 価 格 の形 成 を 説 明 す る 「企 業 経 済理 論 」 に あ っ て は , 瞬 間 ・ 短 期 ・長 期 に つ い て, 市 場 や 企 業 の需 要 関 数 と供 給 関 数り 背 後 に あ る 多 く の変 数 は , 所 与 (parameters)と さ れ る。 需 要 関 数 は, 価 格 と需 要 量 にっ い て焦 点 が あ て ら れ, い わ ゆ るd −d' 曲 線 の 分 析 に む け ら れ る。 同 様 の こ とは , 供 給 関 数 の 背 後 に あ る, 限 界費 用 に つ い て も あ て は ま る。 費 用 曲線 の 経 過 に つ い て も, そ れ ほ ど 具 体 的 な 研 究 は 要 求 さ れ な い し, ま た , 費 用 水 準 を 決定 す る 要 素 価 格 や 長 期 の 生 産 性 要 因 も所 与 と さ れ , 必要 に 応じ て, パ ラ メ ー ダ ー変 化 の さ い に は , シ フ ト とし て 処 理 さ れ る。 経 営経 済 学 や マ ネ ジ リ ア ル ・エ コ ノ ミ ッ ク ス等 々は , 経 済 的 意 思 決定 に 必 要 な 変数 が , 意 思 決 定 変 数 とし て , 内 生 化 さ れ る。 た とえ ば , 意 思 決定 のた め に マ ネ ジ リ ア ル ・,エ コ ノ ミ ッ ク ス で も , 需 要 関 数 は 利 用 さ れ る。 そ の さ い, 商 品 別, 場 所 別 , 時 間 別 等 々 の セ グ メン ト 別 の 変 数 の型 が 検討 さ れ る のみ な ら ず ,価 格 (そ の商品 の価格, 補完品 の価格,代替 品の価格) の み なら ず , 広 告 費 投 入, 研 究 開 発 費 等 々 経 営 固 有 の 意 思 決 定 変 数 が 追 加 さ れ る。 そ の 意 味 で。 「 経 済的 意 思 決 定 」 と い う認 識 目 標 に し た が っ て , 同じ 需 要 関 数 で も方 法 論 は 同じ で あ っ て も, 意 思 決 定 変 数 の 追 加 に よ っ て, 抽 象 的 レ ベ ル は 低 く な り。 そ れ だけ , 具 体 的 問 題 に 対 処 す る こ と が 可 能 と な る。 以 上 の 経 営 経 済 理 論 の 系 譜 に 対 し , 経 済 的 観 点 か ら 企 業 行 動 に つ い て の, よ り実践 的 な 理 論 (し ばし ば,〈技術論〉 とか〈応用科学〉とい う研究領域を形成し ているとい う意味で,企業経済理論と対置さ れる)は , 会 計 学 系 譜 と みら れ る。 「財 務会 計 学 」,「管 理 会 計 学 」。「財 務 (諸表) 分 析」 。「 経 営 分 析」。「会 計 唐 報 」 な ど の 領 域 に お い て形 成 さ れ て い る 分 野 であ る。 前 記 経 営 経 済 理 論 で は。 多 く の与 件 の も と に, 計 量 的 分 析 に 応 用 さ れ る。 し かし な が ら , 現 実 の 意 思
決定 のた めに は,〈与 件〉とされた パラ メー ターは非常に 多 く, 意 思 決定変 数
よ り, こ れら のパ ラ メータ ーとそ の背後 の事情 の方 が, 実 際 の意思 決定に と
っ て より 重要 であ るのが 普通であ る。 た とえば丿 戦争 ・政変 ・大 地 震や火 山
め爆発 な どな ど, そ れら のすべ てについ て モデル化を図 るこ とは困 難 であ 芯
が, 前 記 ①∼③ にし たが う経済的 統合 モデルを構 築し てお く こ とは, 経済的
意思 決定 を より合 理的 ・ 効率的に 行 う意味で重要 であ る。 こり 点 「会計学」
等 の系譜 に おい て も, 経営 の経 済理論 の場合 と全 く同様 であ る。 た だ,「会
計学 」 系 譜に おけ る領域 では, 経営 の経 済理論におけ る計 量分 析 が,多 くの
経済 変数 を パ ラ メーター とみなす のに 対し , より実践 的 な,〈実 数〉 や く比
率〉 すな わち 記述 統計学 的手 法を用い て, 総合的 「解釈 」 に よっ て評価 が下
さ れる。 また, 同じ 測 定概 念たとえ ば,ROI1
つ を と っ ても,「経済理論」
と「 会計 附報」 では, そ の測 定値は 異な る。 意思 決定 の理論 とし ては, 前者
が 妥当す るが客観 的測 定値は えら れない のであ るから, 後 者に よって代替せ
ざ るをえ ない。 そ のさい ,理 論的に は, 前者 の理論 に依 拠し つつ , 後者 の測
定 尺度を 「解 釈」す るこ とが必要 となる。
へ 相対的 に, 純 粋理 論的 性格を もつ 「 経営(経済)学」 と よ り実 践的 ・技術
的 性格を もつ 「会 計学」 が相 互に 補完し あ って,学 際的 研究 が必 要 となる。
「企業 (経済)理 論」や 「経営 財務 論」 で 乱
次第に , 財務諸 表や貸借対
照 表分析 ・ 損益 計算書 分 析が, 理 論的 観点 から 俎上に乗 せら れてい るし ,一
方< 投資 理論〉や〈生産 理論〉は, キ ャッシ ュ・フ ロー 分析 とかCVP
分 析の
名称 の もとに, 管理 会計学 等 の領域 で扱 われ てい る。前 者は理 論的 母胎を形
成 し , 後 者は技 術的 応用 論 とし て の性格を もち, 両 理論 の総合的 な 研究に よ
り,企業 の経 営経 済的 意思 決定を よ り効果的 に下す 理論 的 地盤 が与え られ る
沌 のと思 われ る。
・I-
・
2。 企業 経 営におけ る経 済変数 (経 営指標) の統合シ ステ ム化 の 必要性
(1) 経営(経済)学と経営組織論
経営学 比は, そ の認 識対象 と アプ ロ ―チ の差にし たが っ てよ り多 ぐ の系 譜
が 生成し , それ ぞれ 独 自な研究 領域が形 成さ れてい る。 そし て, それらは,
才目互に没 交渉 な研究 が なされ てい るか, あ るい は, それ ら の関 係領 域 の区 分
が曖 昧 なま ま発展し つっ あ る よ うに みら れ る。
企業の統合モデル(1 )35 し かし い ろ い ろ 分 類 基 準 は あ る が , 大 づ か み に い え ば , 企 業 経 営 に 研 究対 象 を 限定 す れ ば, 「企 業 経営 の 経 済 理 論 」 と 「経 営 組 織 論 」 お よ び 両 者 の共6 ) 通 研究 領 域 また は 架 橋 とな るべ き 「 経 営 目的 論 」 とに 大 別 さ れ よ う。 企業 経 営 の 径 済 理 論 ぱ , 企 業 ( とくに営利企業) は , 本 質 的 に 経 済的 使 命 を 果 すた めに 形 成 さ れ た 組 織 で あ る か ら , 経 済 的 観 点 か ら , 理 論 構 築 が な さ れ う る。 「企 業 経 済 理 論 」。「経営 経 済 学 」。「 マ ネ ジ リア ル ・エ コ ノ ミ ッ ク ス」 な どは , こ の 系 譜 に 属 す る。 ま た , こ れ ら の 研 究 領 域 と対 応 す る も のが , 記 述 統計 学 手 法 を 用 い た, よ り技 術 的 な 性 格 を も つ 「管 理 会 計 学 」。「 原 価 管 理」 。「経営 分 析 」 等 が 挙 げ ら れ る。 さ ら に, ア プ =r− チ と し て ,数 学 ・ 統 計 学 的 方法 を 用 い てい る 「OR 」 や 「 経 営 科 学 」 も 経 済 規 範 論 的 性 格 を も っ て い る。 とい う意 味 にお い て √ 同 一 の 系 譜 に 属 す る と み ら れ る。 一 方 , 企 業 経営 を 組織論 的 に み た 場 合 ,組 織 論 とし ては ,「科 学 的 管 理 論 」「 一 般 経 営 管 理 論 」 (経営職能に応じ て, 各論 とし て, 販売・生産・労務・財務 等々の管理論の各論を含 む)等 の 古 典 的 組織 論 (ClassicOrganizationTheory ), 人 間 関 係 論 の ご と き 新 古典 的 組 織 論 (NeoClassicOrganizationTheory ), 近 代 的 組 織 論 (ModernOrganizationTheory ) と 名 づ け ら れ て い る 「 行 動 科 学 」 等 の 諸 系 譜 が 挙げ ら れ る。 い うま で もな く , こ れ ら の 組 織 論 は , 企 業 組 織 を 対 象 とす る 以 上 , 経 済 的問 題 を 除 い て, 組 織 問 題 を 考 え る こ と は で き な い 。 な ぜ な ら 凪 企 業 は 経 済 の失 敗 に よ り, 倒 産 す な わ ち 組 織 は 崩 壊 す る か ら で あ る。 経 営 学 を< 経 済 理論〉 か< 組 織 理 論 〉 か とい う問 題 提 起 が な さ れ る。 い ず れ も, 学 問 領 域 とし て 重 要 で あ り, 固 有 な 研 究 領 域 を もつ こ とは 理 解 さ れ る が, 企 業 と くに 営 利 企 業 は √ 経 済 的 使 命 を も っ て 形 成 さ れ た 組 織 であ る か ら , 両 理 論 が全 く 独 立し た 学 問 とし て √ 相 互 に 無 関 係 に 構 築 さ れ る なら ば , 現 実 へ の合 理的 判 断 力は 着し く 減 殺 さ れ るり で ぱ あ る まい か。 逆 に い え ば , 両 者 の統 合 化 が 可 能 であ れ ば , 現 実 へ の合 理 的 説 明能 力 は 著し く 増 大 す る こ とが で き る。 もち ろ ん, 現 段 階 では , 両 者 の接 点 は 余 り 明 白 で は ない 。 まし て 両 者 の く統 合 理7 ) 論 〉 を 構 築 す る こ と は 夢 物 語 り か も知 れ な い 。 一 方, 経 営 の 経 済 理 論 の系 譜 に 属 す る 「 企 業 の経 済 理 論 」。「 経 営 経済 学 」・ 「会 計学 」 等 の研 究 領 域 に お い 七 も, そ れ ぞ れ の 〈 部 分 研 究 領 域 〉 の 内 部 に あ って も, そ れ ぞ れ の 研 究 対 象 に つ い て の 相 互 関 連 性 は 余 り問 題 意識 とし て 採 用 さ れ た 形 跡 が 薄 い 。 た と え ば,J レ デ ィー ソ の 「 マ ネジ リ ア ル ・エ コ ノ
ミッ クス」 の 目次を 再構成し て要約し て かかげ る と,
(1) 「 目 的 論 」定 され るが
利 潤 論競争
資 本 の需要(企業の投資)と 資 本 の調達 (資金調達)
が と ら 、 (2 ) 「市 場 理 論 」 (5) 「資 本 予 算 」 等(3) 「多品種政策」
究分野
一
製 品多様化あ るい はプl=Zダ ク ツ・ ミッ クス等の研
(4) 「企業 の経済問題」一
需要分析・コストの分析 一広告費の経済理論
・商品 の価格決定問題
の体系 に まとめら れ る。 「マネジ リアル ・エ コ ノ ミッ ク ス」 は 「企業 の経済
理 論」 より抽 象的レ ベル は低 く, より, 現実経 済 の説 明 の応 用論的 色彩が強,
い が, い ささ か, 乱 暴 な要 約を すれば,(1)
∼{4)は, 主 とし て,〈短期 静学論〉
の基礎的方法一
細目では, 長期予測の問題が包含されているが
を 統合す る こ とも可 能な のでは ない か。
れ,(5)
は, 本質的 に 「長 期動学 理論」 が基礎 となっ て い る。 何故 ならば,
「資 本の理 論」 は 必然的 に 〈長 期 の時 間〉 を含む理 論 だ から であ る。
さ て,(1)
∼(5)
は, 「経営 管理 論」におけ る各論 に当 る, 販 売 ,製造 ・調達
・労務 ・財 務 の研究対 象に 対応し た経 済理論にほ かな ら ない。 す でに指摘し
た よ うに, こ れら の職 能ぱ 柏互 に依存的 であ る。し た が って, 経営管 理論に
お い て 右, マ ネジ リアル ・こ コ ノミッ クスにおい て も, 統合 理論 の形 成が,
現 実を 説 明す る上 で優 れた 方法 論を形 成 す ると思 わ れる。
より, 広 大な研 究 領域を形 成す るか も知 れないが, 経済 的 観点か ら, 「組
織 の経 済性」。
「組織 の生産 性」を 取扱え ば, 経済理 論 の立 場 から 「組織論」
そ の逆 の方法 論 もあ り うる と推
とい うのが 筆者 の経 営経済 の理論を 構 築す る さい の基 本的 ヴ
9)イジ ョソ であ る。
企業 の経済 理論 の立 場から みれ ば, 意思 決定的 「企業 理論」。
「経営 財務 論」
・
の うち の一 つ の傾 向が モの ような方 向を辿 りつ つあ る よ うに考 えら れる。 前
述(1)∼(5)の 分野 では, それぞ れ の固有な 領域にお い て,< 経 済変数〉 が用い
ら れる。 た とえ ば, 価格 ・販売 量・生産 量 ・売 上高 ・コ スト ・ROI ・投資高
…… 等 々の諸変 数 があげ られ る。1960 年代 の「経 営 財務 論」 の中 には, 株価
お よび類 似 の変 数を, 企業 の 目的 変数 とし てこれら の変数 を 総合 す るモデル
企業の統合モデル(1)3710 ) 化 が 試 み ら れ た 。 こ れ ら の モ デ ル 化 ぱ , 経 済 的 な 〈長 期 動 学 論 〉 と く短 期静 学 理 論〉 を 統 合 化 し た も の で あ り, 経 営 経 済 理 論 で い え ば,< 市 場 の価 格理 論 〉・〈生 産 理 論 〉 べ 需 要 理 論 〉・〈投 資 理 論〉一〈資 金 調 達 論〉 等 の 統 合 理 論構 築 の問題 で あ り, 組 織 論 や 経 営 管 理 論 に お け る 複 数 目 標(multiplegoals )を 単一 目標 に 統 合 化 す る た め の理 論 とい え る。j(2 ) 経営(経 済) 学と企業 の経済変数 企業 の 経 済 変 数は , 経 営 (経済)学 に お い て は , 経 営 指 標 と か 経 営 計 数 (Betriebskennzahlen) と い う用 語 を 用 い て広 範 囲 に 利 用 さ れ て き た 。 そ れは。 計 量的 経 営 経 済 学 に お い て も , 記 述 論 的 経 営 (経済)学 の 分 野 に お い て も し ばし ば , 経 営 経 済 の 現 象 を 説 明 す る た め に 用 い ら れ る。 経 営 指 標 は , と き に は 経営 比 率 (managementratio ) の形 態 を と る こ と も あ れ ば , ま た , 絶 対 数 ま た は実 数(absolutenumber ) の形 態 を と る 場 合 も あ る。 経営 指 標 そ の も のを 研 究 対 象 とす る 研 究 領 域 は , ア メ リ カ で は ,「財 務 (諧 表)分 析」(financialstatementsanalysis,financialanalysis) と い う 表 題 の もと に 研究 さ れ る 分 野 で あ り, ド イ ツ語 圏 では , 経 営 分 析 ・経 営 比 較 (Betriebs-analyse,Betriebsvergleich )等 の 研 究 分 野 が こ れ に 当 る。 こ れ ら の 分 野 で は ,経 営 指標 の シ ス テ ム ・概 念 ・測 定 ・解 釈 (経営評価)な ど が 研 究 対 象 とし て 取 り上げ ら れ る。 た とえ ば , 資 産A, 負 債 £, 自己 資 本E , 売 上 高R , 各 種で の ロ ス トc , そ れら に 対 応 す る 各 種 の利 益 等 の財 務 指 標 や , 生 産 量0, 従 業 員 数や 作 業 時 間a , 材 料 消 費 量 や 設 備 等 の生 産 的 サ ービ ス の 消 費 量 ろ等 の生 産 統計, さ ら に は こ れ ら の 実 数 か ら 求 め ら れ る多 く の 財 務 ・ 経 営 比 率 た とえ ばROL , マ ージ ン 率m , 資 産 回 転 率V , 財務 レ ペ ン ツジ 比 率 み, 流 動 比 率 や 労 働生 産 性 ・資 本 生 産 性 λ,γ,さ ら に は , 規 模 の 生 産 性 や 経 済 性 , 技 術 や 組 織 の経 済 性 ・ 生 産 性 等 が 用 い ら れ て き た。 こ れら の 指 標 は , 経 営 学 系 譜 の 多 く の 分 野 に お い て は ,「∼ か ∼」 とい う 方 法論 で 研 究 さ れ て き た 。 す な わ ち 「 財務 (諸表)分 析 」 や 「 経 営 分 析 」(7>. み なら ず , そ れら の 指 標 を 利 用 す る 「経 営 (経済)学 」 や 「会 計 学 」 の 領 域 に おい て も 同 様 の方 法 が と ら れ が ち であ っ た 。 た と え ば , 総 合 指 標 (overallmeasure )とし て ,「総 資 本 利 益 率 」 が よい か,「自己 資 本 利 益 率 」 が 優 れ てい る か, と か。 事 業 部 の業 績 尺 度 とし て,「残 余 利 潤 」(residualprofit)が よ い か,ROI (前述 の総資 本利益率) が 優 れ てい る か と か, な ど に つ い て, ド イツ
・
の 伝統 的経 営経済学や ア メリカ の管理 会 計学 の領域 で も, こ の ようなアプp11)
− チ が採用 され てきた。 同様 のこ とは, 「企 業 の行動 科学」 や 「一 般 管理論」
な どでし ばし ば追求 さ れ て き た 「 目標に よる管理」(MOB,managementbyobjectives
) や 複数 目標管理論 等に もみら れ る。 これら の研 究領域 では, 各種
の 経営 指 標が個別的 ・独立的 ・並列的 に 取 り扱 われ るか, そ れら の矛盾につ12
)
い ての調整 の基 準も抽象論に 陥い りがち であ る。
し か るに, 企業 の経営 諸領域 の 活動は, 高度に 相互 依存 性を もちな がら,
・
統 一 的 な企業 目的に 向っ て調 整 され るの であ るから,そ れぞ れの活動レ ベル
を示 す 経営 指標 も同様 に 高度 に 相互依 存性を もっ 七い る のであ るから, 経営
指 標 も独立し て分析 ・評 価す べ きでは な くそれ ぞ れの領域 の 指標 もまた相互13)
惘 連 性を総 合し て評価 でき る分析体 系 が必 要と考 えら れ る。
経 営財 務論 もし くは 企業理 論 の モデル の一 角 には, 生 産 ・投 資 ・財務 の統
合 モデル の研 究がす す んでい るこ とを 指 摘し たが, これら のモデルは, 生産
・投 資 ・財務 のそれぞ れ の分 野に属 す る経済変 数(経営指標)が,そ れぞ れの
関 連 性を 示す形 態で 毎デル 化さ れ てい る。
これら のモデルは, 従 来, 支 配的 な, す くな くと も有 力 な経営学 の体系と
基 本的 な食い 違いを示し てい る。 重要 な食い違い をあげ る と, つ ぎの ように
収 斂 さ れ よ う。
(1) 企業 経営 の目的 は, 理論的 に は, 「利潤 最大 化原 理」 もし くは 「株主
の富最大 化原理」 が肯定 さ れ てい る。し たが って, 経営 経済学 の体系は,
こ の目的 に収斂 さ れる。
企業 の大規 模化 とか, 社 会的責 任 の増大, 資 本と 経営 の分離に より,
「株主は一 利害 関係 者に す ぎ ない 」 とい う理 由で, し ばし ば< 利潤 最大
化政 策〉 または< 株価 最大 化政策〉 を 否定 す る論述 が なされ る。し かし,
こ の ような結論 の誘導 は,〈自由市場 競争 原理〉 の 社会 経済的 意義すな
わ ち市場 の価格 メカ ユズ ムの もとにお け る 〈社 会分業 シ ステ ム〉 を否定
す るこ とに よ り, 却って, 利害 関 係者に対し 損失を 与 え るとい う矛盾を
ば ら か ことに な る。 企業 が, もし 継続的 に利 潤追求 政 策に成 功すれ ば,
す なわち , 企業 成長 が連 続的 に 成 功す るなら ば, 企 業 ・株主 ・そ の他 の
利 害 関係 者に とって, 原 則的 に有利 となるは ず であ る。 この点, 「もし,
ニ経 営者 が利 潤追 求に消 極的 であ れば, こ のこ とは長 い 目でみて, や がて
企業 の統合モデル(1)39 企 業 の 成 長 に 対 す る 制 約 とな っ て あ ら わ れ る。 株 主 の 利 益 を 重 視し て√ 利 潤 の 最 大 化 に 努 め, また 資 金 調 達 の タ イ ミン グ の 選 択 や 配当 ・ 増資 等 に つ い て も 株 主 の利 益 に 合 致 す る 政 策 を と る 企 業 の 株 式 は 他 の 事 情 が 同 じ で あ る か ぎ り, そ うで な い 企 業 よ り も, 市 場 に お い て 高 く評 価 され る14) であ ろ う」 とい わ れ る。 こ の こ と は ,〈利 潤 極 大 化 〉 政 策 の成 否 は, 実 質 的 な 〈企 業 価 値 極 大 化 〉 と同 じ 条 件 の も と に 実 現 さ れ る こ と に な る。 (2) 合 理 的 意 味 で の 〈利 潤 極 大 化 原 理〉 は , 所 有 と経 営 が 分 離 し ない , 中 小 企 業 で あ る う と, 分 離 し てい る 大 企 業 で あ る う と, (1 )の 理 由 か ら, 区 別 さ れ な い 。 こ の意 味 で , 経営 の経 済理 論 と , 経営 組 織 に お け る< 利 害 関 係 者 理 論 〉 と 〈経 済 理 論 〉 の対 立 的 な 〈 解 釈 〉 や , 会 計 学 に お け る 〈資 本 主 理 論 〉(ProprietaryTheory ) と< 企 業 実 体 理 論 〉(EntityTheory ) や 〈企 業 理 論 〉(EnterpriseTheory ) な ど の 対 立 的 取 扱 い と は , 同 じ企 業 を 研 究 対 象 とし て い る に も か か わ らず , 極 め て 対 照 的 結 論 と い え る。(3) 〈企 業 経 営 の 経 済 理 論 〉 は , 利 潤 極 大 化 原 理 を 認 め てい る の で あ る か ら , 企 業 経 営 の 〈目的〉は 利 潤 であ る から , 計 量 分 析 の さい に も, 目的 関 数 は< 利潤〉 で あ り, 被 説 明変 数 と さ れ る。 こ れ に 対 し , 収 益 性 ・ 生 産 性 ・ 財 務 安 全 性 〔その逆表現とし ての 「 財務 リス ク」(financialrisk)で把 握し た概念を利用し ても同じ であ る〕等 の 経 済 変 数 は 説 明 変 数 と な る。 こO 事 実 は , 先 に 述 べ た よ うに , 経 済 的 複数 目 標 は , 経 済 理 論 の も と で は, 単一 の 目 標 に 吸 収 さ れ, 利 潤 を 頂 点 す る 〈目標ヒエ ラルヒ ー〉 の 体 系 が構 築 さ れ る こ とを 示 し て い る。
3.
若干 の 「企業」 お よび 「経営 財務」 の理 論モデ ル
ー とくに生産関数の導入をめぐって一
企業お よび 財務 の理論 モデルに 生産 関数を 含 めた もの が,1960 年後半から15
)
次 第に構築 され るに い た った。 経営 の財務理論 に 生産理 論を 含め る ことは,
一方におい て, 経 営 の内部的 要因を要約 する変 数を 計量 的 ・抽象的 に導入し。'
全 体経営 (利潤追求という財務単位としての企業経営)の うちに, 生 産経営(生産
コストおよび生産技術単位とし ての経営)の 諸 領域を 包含す ることを 意味する。
他方におい て, 市場 におけ る価格要 因を示 す変 数を モデ ル の うちに 明示的に
位 置づけ る ことに な るから, モデル の構築い か んに よっ ては, 企業 経営を取
り 巻く経済的市場環境の変化が,企業に どのような影響を与え るか。逆に,
寡 占企業や独占的競争企業は どのような要因を考え て価 格決定を下 すべきで
あるかを,全体経営的立場・将来的展望のもとに討議し うる理論的場を与え
ることとなる。かくて, 財務モデルのうちに,企業のす べての領域におけ る
主 要な経済変数がシステマテ ィックに含められ,企業経営におけ るすべての
経 済的意思決定について,企業経営を全体的・長期的視野から分析・評価す
る ことを可能とするものと思われる。
以下,生産・投資 ・財務・市場価格を統合する若干のモデルを取りあげ,
そ の特色を要約することとする。
(1)M.J. ゴ ードン の財 務モデ ル 生 産 ・投 資 ・ 財 務 (資 金調達)を 統− せ る 財 務 モ デ ル の 先駆 的 役 割 を 果 た 七 て き た , 周 知 のM.J. ゴ ード ン の モ デ ル は ,〈投 資 〉 と 〈財 務〉 を 統 合 せ る モ デ ル で あ る が , 後 に 続〈 〈 生 産 〉 や 〈市 場 価 格〉 を 含 江 よ り 拡 張 さ れ た 統 合 モ デ ル 構 築 へ の 架 橋 とし て の 役 割 を 果 たし てい る 。 そ の 橋 渡 し 的 役 割16 ) と い う意 味 に 限 定 し て , 小 項 で 要 約 す る こ と と す る。 周 知 の よ うに ,ゴ ード ン の 干 デ ル は , 株 価 の成 長 モ デ ル とし て , 配 当 金 じ, 芒I己 資 本 コ ス ト 恥, 配 当 金 成 長 率9 の3 変 数 か ら, 株 価 ? を 導 び く モ デル を 開 発し た 。 こ の成 長 モ デ ル は , 後 に 多 く の企 業 経 済 学 や 経 営 財 務 論 研 究 者 が 利 用 す る に い た っ てい る の み な ら ず, そ れ ら の 内 容 に つ い て, 次 第 に 吟 味 ・ 拡 張 さ れ る に い た っ た 。 と く に , 成 長 率9 を 自己 資 本 利 益 率 ら お よび利 益 留 保 率b (すなわち, 配当性向u との関連で,<b =l 一心 と規定した上 で) の 積 す な わ ち,〔9 ニみら, あ るい は ,9 =〔l −めり〕 と規 定 す る こ と に よ っ て, 企 業 成 長 と 収 益 性 の関 係 が ,于ヒ例 的 で あ る こ とを 端 的 に 示 し て く れ る 。 こ の モブ ルが正しければ,一
筆者はこのモデル化にしたがう立場をとる
従 来 ,“企業 の成 長か 収益性 が
とい う間題 提起 がなさ れがち であ ったが, このモ
デ ルに よって , こ の よ うな問題 提 起そ のも のが無 意 味であ るこ とが判 る。 こ
のQ =献, を 用い た株価 モ デルは, 論 者に よって,「内部 金融 モデル 」 と名づ17)18)
廿 ら れてい る。
自己資 本利 益率re は, ゴ ードン に よって, 会 訃巨等式 で使 わ れて きた,
抄。
=(-1-
−ら){ 十(r−i)ゐ}〕 の モデルを 株価 モデルに導 入 す るよ う に 拡張し
企業 の 統合モ デ ル(1)41 て き た 。 し た が っ て , 自 己 資 本 利 益 率re は , 資 産 利 益 率r の 増 加 関 数 で あ り , 利 子 率 沁 財 務 挺 子 率 (financialleverage ) と し て,r ≧j の 関 係 の も と に 決 定 さ れ る 。 か く て,g は ら の 増 加 関 数, ら はr の 増 加 関 数 と な る 。 こ の モ デ ル に よ っ て ,re はr と 正 比 例 の 関 係 に あ る こ と が 簡 略 に 示 さ れ て い る 。 こ の モ デ ル の 内 容 か ら , 伝 統 的 経 営 学 や 会 計 学 の 領 域 の 一 部 に お い て , 自 己 資 本 利 益 率(dieRentabilitiitdesEigenkapitals ) は 株 主 の 投 資 効 率 の 指 標 で あ り , 総 資 本 利 益 率(dieRentabilitatdesGesamtkapitals ) は , 資 本 を 委 託 さ れ た 経 営 者 の 投 資 効 率 め 指 標 で あ り ,〈 資 本 と 経 営 の 分 離 〉 に よ り , 支 配 権 を 握 る 経 営 者 支 配 時 代 に あ っ て はr が 重 視 さ れ る , と い う 所 論 と 正 反 `対 の 結 論 に 到 達 す る よ う に 思 わ れ る 。 ゴ ー ド ン モ デ ル は,9,re,r, … … の 変 数 を 用 い て , 株 価p を 目 的 関 数 と し て ,〔じ =( \−b ){r十(r −i)h]E 〈 た だ し, ら =O と す る 〉,P = び( 礼 一g )-'〕の 行: 動 方 程 式 の モ デ ル を 提 案 す る 。 ゴ ー ド ン の 財 務 モ デ ル は , 一 面 「 伝 統 的 経 営 ( 経 済 ) 学 」 の 結 論 に 対 し , 多 く の 異 な っ た 結 論 を 提 示 す る と と も に , 他 面 , 多 く の 財 務 り 理 論 家 達 に よ っ て 継 承 さ れ て い る 面 が あ っ た 。 つ ゴ ー ド ン の 財 務 モ デ ル は , 「 経 営 財 務 論 」 の 発 展 に 貢 献 し た も の と 思 わ れ る が , 隣 接 学 問 領 域 す な わ ち 「 経 営 ( 経 済 ) 学 」 や 「 会 計 学 」 の 理 論 的 発 展 忙 も 多 く の 貢 献 を す る も の と 思 わ れ る 。 と く に, 前 者 の 一 般 理 論 構 築 に は, 方 法 論 に つ い て 重 要 な 示 唆 を 与 え て い る よ う に 思 わ れ る 。 し か し , こ の 財 務 干 デ ル に は ,「 生 産 」 の 要 因 ,「 経 営 ( 経 済 ) 学 」 上 で い え ば 〈 業 務 〉 の 問 題 が 含 ま れ て い な い た め , 経 営 の 一 般 基 礎 理 論 を 形 成 す る た め に は , 重 要 な 領 域 が 欠 落 し て い る こ と と な る 。 逆 に い え ば ,「 財 務 モ デ ル 」 も し く は 「 株 価 モ デ ル 」 の う ち に ,「 生 産 関 数 」 の 導 入 に よ っ て , 伺 時 に 「 市 場 価 格 」 の 要 因 を 含 社 こ と と な り ,「 経 営 ( 経 済 ) 学 」 の う ち に ,「 市 場 価 格 」 の 要 因 と そ の 位 置 づ け を 明 確 に す る こ と と な る 。
(2)D.
ヴ ィッカーズの「企業モデル」
ゴードン の成 長 モデル に対し,D.
ヴ ィッカ ーズ(DouglasVickers)の「企
業 理論」 では, 株価 の非成 長 モデル の うちに, 生産関数 を 含めた モデ ルを 開
発し た。 し か も, そ の体系は, 慣習的 な 財務諸表 の分析 体系に対 応し て,損
益計 算書 の区分利 益 であ る「営業利益 」。
「経 常利 益」。
「 税引利 益」 と, 貸借
対照 表上 の「 資産」。
「 負債」。
「自己資 本」を 対 応 せる, 経 営諸比 率を関数体
系に まと め, 株価を 目的 関数 とす る行動方程式 のモデル を 設計し てい る。慣
習的 財務諸 表 には, 市 場価 格や物量的 な 生産(性)の情 報 のシ ステ ムは 開示
され てい ない。 し た がっ て,「経営分 析」 では, そ の背 後 にあ る〈経営統計〉
や 〈経営 附報〉 に よって, 生産 関数に対 応す る生産(性)統計を 分 析す る必
要 が生ず る。 ヴ ィッカ ー ズが「生 産関数」 をモ デル中 に 含め る ことに より,
全 経営シ ステ ムにおけ る「生産」 の位 置づけ が明白に さ れ るこ ととなる。19
)
ヴィッ カ ーズの基 礎モ デルは,つ ぎの方 程式 体系に よ って要 約 される。
(:),
=靴 ゐ 汪)
戸= 戸(瓦) 冗t= かpt 一 )a^t一 九 心 友 − 江 , i =i(Lt;Et) … … … ……(3.1 ) … …… ・●●・*●… … …(3 ●2) (3.3) (3.4a)恥=恥U ぶEt) ………(3.4b)
?, = πtなお,∂杓 ∂a>0 ,dF/ ∂ゐ
>0,dp/dF
<0,dk .dL >0 とされ る。
こ こで, 「 経常利益」 列 ま,r丿 =π であ り, 刎 ま「 営業 利 益jG
から支
払利 息:話 を 差引い た ものであ る。 また,G
=rA,A
=九瓦 に ほ かならない
から,G =rA =pP ー戸ad一八みλ
が 誘導 され る。 こO 結果, (3,3)式 は,
「損益計 算書」 の区 分 損益と全 く対応し てい るこ とが分 る。
ここで, とくに注 目に 値す る概 念は,し
(3.3) 式におけ る〈物的 償却率 み〉
であ る。 み は 物 量を基 準 とず る減価 償却率を 表わし てい る。 こ の み にょ
って, 会 計 または経 済 償却率 の本質 の一 側面 が明ら かに さ れる とと もに,固
定 資産に含 ま元 るサ ービ ス λ の消耗 量 とし て の, 生 産 関数におけ る物 理的
要 素投 大量 の測定値 みは,〔呂= みλ〕 の計 算から えら れ る。し たが って,貨
幣 的 償却費Dp
は, (D ,=戸
丿 =か^
μ ]
の式 から 導びか れ, 減 価 償去p費 の要20
)21)
鋼 が 計量的に 明ら かに さ れる もの と思 われ る。
ヴ ィッ カ ーズの モデ ルは, エ リクソンが指 摘す る よ う に,「投入要 素量→
産出量」 と 「借入 資金 調達」に 伴 う選択 を含 む相 互関連 の もと とに,企 業 目
的 であ る 「株 価最大化 」を実 現す るた めの意思 決定問題 を 体系化し た もので
企業の統合モデル(1)43
あ る。そ れは,「財務諸 表」 の体 系を数式 化し た も のであ る から ,「財務諸表
分 析」さら には生 産関 数 の導入に よ っ て,「経営 分 析」 の理 論的 基 礎を提供
す る役割を 果た す もの と考えら れる。
瑞S.J.
ターノフスキーの統合モデル
ヴィッカ ーズの モデル は,1968 年に 公表さ れた が, 続い てS.J.
ターノフ
スキ ー(Turnovsky )も独 自の問題 意識 のも と に,「生 産」 と「 財 務」 の統合
モ デルを 提案し てい る。 か れ のモデル も, モデ ル の財務面 では ゴ ー下 ンのモ
デ ルと共通 す る面 があ る。い ま, ター ノフ スキ ー・チ デル の基 本的 な 体系を
要約する と,
:
ト
G =pF(り)一φ …………
Tt=G 一iL (3.6) … … … ……(3.7 ) (注)^ ,G は. モれぞれ の確率変数の平均値 い まMM のG の確 率 分 布 に つ い て , タ ー ノフ ス キ ー は 仮 定 を つ け 加え。1 株当 り利 益f の 確 率 分 布 が 業 務 の 規 模 と 独立 で あ る と仮 定 す る。 また , 発 行 株式 数 を 二 定 と す る と, π/Tt はf に つ い て 独 立 , す な わ ち, π=u;r(u は 確 率変数) づ 石`r.-,ぺ-1xハ 、u ノ ― ・ /り ∩ へvo ・ ○ノVar(u) =ff2(一 定) ……… ……… …… ………… …… …・●
…●(3.9)
こ こで,a
\
ま企業 の リス ククラスを示し てい る。 ところ で,
ゐ=G /V =〔ゐβ 十話 〕/V … ……(3.10)
な お ,(3.11 ) 式 の, 孔 = 礼( び i ―i( アKg,t は, ター ノフ スキ ー.
の モデル で は
‥…(3.12)
とし てニ と もに, 営業 利 益 の リス ククラス であ る標 準偏差 と簿 価 に よる財務
レ バレ ッジ から導 び かれ てい る。 また,(3.13) 式は 独 自 の 『自己資 本コ スト
』
の モデルを用い でい る ことを 示し てい る。
また,「営 業利 益jG
や「経常 利 益」利 よ, ヴ ィッ カ= ズと同 様(3.6) 式お
よび次式 が示す よ うに生 産関 数を導 入し て求め る。 す なわ ち,
ダ
π=〔/ぶ(り) 一Cぬ 一iia,GLノE)L 〕
二・… ……… ……
…・
・‥‥‥
‥(3.14)
タ ーノフ スキ ーの モデルにおけ る, 企業 の 目的 は,(現在総 株価 のキ ャピ22)
タル ・ダイ ン」 の最大化 すな わち,(3.16 )式 の最 大化 を仮定 す る。
し た力^^
つて
十
ざ= π/恥(a ,ah) oo 畿 ・¨ ・・(3.15) (3.16)こ こで,(P 。
=π−恥E〕,ね£ は〈必要自己資本利益〉を 意味する。
ターノフスキーは,生産と財務り 理論を統合するために,時価に よる平均
資本コストのほかに,簿価に よる平均資本コスト の導入を図うて√独自の統
合理論を展開し てい る。
注 1) 実質GNP や実質NI につい ての問題は,経営学系譜 の領域 で は, 余り問題 の俎上に のせられていなかった。た だ, ド イツの伝統的 経営経済学り 研究課題と し て,「国民経済学にたいする経営経済学 の関係」が抽象的にとり あ げ ら れた (た とえば,A. モ ッ ク スターの『方法論』のごとく)。しかし ながら,国民経 済的な観点 からみれば,「共同経済的 経済性」とか「共同 経済的生産性」は マ ク ロ経 済学に属するGNP やNI 関連から導びかれる概念であ る,とい うのが筆者 の立場であ る。 その ような立場が容認されれば,「経営経 済学」 の側から,GNP やNI とめ接点が研究されるべきものと提 唱したい。 い ずれに せよ, わが国のマ クロ経済 の成長(GNP 等の成長)は,中 ・長期で みる限力, 優れた数字を示し てい るこ とは 各種 の統計が示 すとお りであ る。とく に 最近は 「円高」を契機と し て,「1 人当 り国 民所得」の国際比較の水準は著し く上昇した。 こ のような事実は,企業経営 の活動の結果であることはい うまで も ない。 アドルフ・モッ クスター著,池内信行・鈴木英寿共訳『経営経済学の基 本問題』 (森山書店, 昭和46 年)pp.127-145. 経済企画庁調 査局編『r経済要覧』(昭和60 年版)p.394. 東洋経済社編『経済統計年鑑』(1986)p.310.2 ) 業種別あ るいは企業 別の業績評価には, 経営 分析の手法が用いら れる。たとえ ば, 「自動車産業 ハン ドブ ッ ク」では, 周知 のDu-Pont シ ステムが使われてい る。し かし , その内容をみ ると,「総資本利益率Jr の測定に疑問が残されるし , また,r を 総合指標,総合業 績尺度にし てよいか ど うか,経営学系譜 の領域では 未解決であ る。一方,分析手法におい ても,実 務上混乱し ている。た とえば,教 育社編の「経営比較」においては, 体系的 分析方法は 使われず,もっぱら,経営 指標 の個別評価に終始し てい る。企業の統合モデル(1)45 このよ うな事実は, 理論的分析技術が確立されておらず √ さらにモの背後には。 それら の技術 の母胎となるべき「経営経済学」の研究が, これら の問題について 理論的武 器を与 えていないとい う事実を示し てい る。 日産 自動車株式会社編『自動車産業 ハ ン ド ブ ッ ク』(紀伊囚屋書店,1986 年 版),pp,72-84. 教育社編 『自動車業 界の経営比較』(1980)./3 ) 株式 の配当利回 りとし て,配当利回 り=配当金/ 株価が用い られた り,PER = 株価/1 株利益あ るい は, 株価利益率=1 株利益/ 株価が用いら れる。 いずれの指 標も,「利回り」 とか「利益率」 と い う用語が用い られるが,それらの指標は, 真の利益率で も利回 りでもない。利益 率や利回 りは, 短年 度 では計算で きない。 これを誤 用し て,経営的事実の結論を導びくヶ− スがし ばし ば みられ る。 本来, 真の利回 り,利益率は同一 心ものであ る。 一例をか かけ てみ よう。 い ま, 大づかみながら,日本巨大株式会社の 株 価に つ い て, 株価 の 成長率を 「日経 ダウ」で求めると,昭和30年, タ425.69(高値) 昭和60 年5 月,u12,790.27 (高値)であるから,値上 り率は, 高値平均 で, 年 率12.0 %=(Sf12,790.27/ ぶ425.69)'"−! となる。 この年12.0 %は, 株価の「成長 率」 にほかならない。 株主が受取 る真の「配当 利回り」 すなわち,「株式投資利益率」は, この成長率に, 株主が受取 る, 年配 当率=配当 金/ 株価にほかならないから, 真の配当利回 り は , 年12 %強 となるは ずであ るo しかるに,たとえばレ 慣行に よるPER は, 特定 の年度にっい て計算される。NEC のPER は,55 倍(昭和58 年8 月) と記されてい る。 そ の逆数は,時価に もとづ く自己 (株式)資 本利益率を意味し,約年1.8 % とな る。しかし ,この値 は,真 の自己 (株式)資本の利回 りで も利益 率で もない。長 期的 な利益 の成長要 因が考慮 されていないからであ る。 短年度では,時 価に も とづい て, 利回りすな わち利益 率は計 算できない。 慣行に よる利回り等は この事実を見落し てい るから, その「解釈」につい ての限界を理解し てお く必要があ る。 経済企画庁,前掲書,p.21,p.236. 犬 日本経済新 聞社『会社情報』(1985,1 )4 )R. マリスは, ボーモルの売上 高最大化仮説は,短 期静学 論を前提とし てお り, もし長期 動学論に よる「企業均 衡成長論」をあては めれば ,売上の成長 率と利益 の成長 率は原 則とし て一致する筈 とな る。 こ の こ と は, 短期理論を 基礎 とする 「利害関係者 理論」 と「 経済理論」 との関係につい てもあ ては まると思われる。 「国鉄の赤字問題」が多 くの利害関 係者 とくに雇用者 の不安定な要囚をかもし出 してい る事実を考慮するとき,しばしば 「利害関係者論」か「経済理論」か,と い う見地から問題提起が されるが,むしろ,両理論は 補完的 理論とし て位置づけ, 「∼と∼」とい う方法論で検討すべ きではないだろ うか。RobinMarris,"AnIntroductiontoTheoriesofCorporateGrowth",in
Marris,R.andWood,A.,ed. ,TheCorporateEconomy (London,1971 》p.3.5 ) ヴ ィッカーズは, 株価行動方 程式 のモデル設計にさいし, 企業の財務諸表の昔 造に着 目した。 こ の会計構造を基 礎にし て,意思決定ネ キサ ス (TheEnterpriseDecisionNexus )を 体系づけ, 経済学的 アプl==・−チ と結合し て,企業 理論を展陽 し た もの と み ら れ る。 こ の 株価理論は,管理職能と 結合し,長期 の構造計匪 (StructualPlanning )を 意味し 短期の管理(Short-runFunctioningandMana-gement )の理論的母 胎とな る。前者は ,連続的期間り キ ャッシ ュ・フ1==・一利益 の・ 二 分 析が,後者は,単年度 のキャッシ ュ ーフl=・一利益の分 析 の理論的母 胎を提供す る。長期 ・短期の分 析の資料 とし て,それぞれ の期間に対 応する会計的損益計算 書(IncomeStatement )が利用されうる。か くし て,企業 の「経済学」。「経営(経 済)学」・「会計学」が1 つ の認識対 象 「Erkenntnisob」ect)一 企業 の経済的行動 の解明- のため のアプローチ とし て利用され ることとなる。DouglasVickers,TheTheoryof `theFirm:Production,Capital,andFinance (NewYork,1968 ),pp.37-49.6 ) 「経営 目的論」 もさ まざ まな観点やいろい ろな経営学系譜におい て,多 様な展 開がなされてい る。 た とえば,行動科学者は, 「目的論」は経営者の 目的を決定 するプl=1セスを 分析する, とい う立場から の研究を行 う。し たがって,経済理論 におけ る「 目的論」 が, 企業 の社会的 ・客観的制度とし て分析す るのとは対照府 であ る。行動科学 では, 目標につい ての動機を もつ個人ないし は組織 メン バー£7> 意識につい ての認識 目標を対象とする。 とくに, トップ の経営者は ,「資本と経 営 の分離」に より, 会社の支配権を握 る。彼等 の動機は. 株主 の利益を追求する。 のでは なく,/多 数 の利害関係者のため, また,そ れぞれ の部門 の役割 に応じ て, 複数 目的(MultipleGoals 卜 を もつとされる。 たとえば, 行動科学 者の一角 とし て,行動科学的経済理論を 展開し てい る,R.M. サ イヤートとG.J. マ ーチ が設定 する5 つの目標をしP.J. カーウ ェンは紹介 し てい る。 すなわち, ①生産 目標,②在庫 目標, ③販売 目標, ④マーケット・シ ェアーの目標,⑤利益 目標, の項 目を 挙げ る。 これらの5 つ の目標の うち, 経営 者は ⑤の利益について興味を もっ て い る か 「利潤極大化 原理」は , 他の目標 と同時的に追求す るさいには矛盾を起すとみら れる。 小稿の「統合モデル」では, 前記⑤の利潤は①∼④の目標のすべてを含む のみ ならず,時 間的経過を含む理論に よ っ て,「株価極大化 原理」。「株主 の富極大化 原理」。「企業 価値極大化 原理」へ と展開される。 したがって, ①∼④り 目標は, 「利潤極大化 原理」等から導びかれ る適量値を求め る政 策がとられるべ きである。 とい う立場を とる。 =p.J.Curwen,TheTheoryoftheFirm (London,1976 ),pp.140-148・7 ) 伝統的企業 の理論(F 理論) に対し, 近代的組織理論 (O 理論) との比歌検討
企業の統合モデル(1)47 ・の権威あ る説明はiH.A. サ イモンに よって綿密な 分析がされてい る。 そこでは。 「誘因」 と「貢献」 の体系とし て,利害関係者の矛盾関係をご くかんた んなヶ− スを 想定し て, つぎの図式をかかげ て説明する。(点線一筆 者) 〈 参 加 者 〉 企 業 家 従業員 顧・ 客