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[報文]2017年11月28日から29日におけるPM2.5高濃度事例について

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(1)

PM

2.5 High Concentration Event from Novenber 28 to Novenber 29 in 2017 **Kentaro T

AKAYAMA,Yuki HENMI(山形県環境科学研究センター)Environmental Science Research Center of Yamagata Prefecture

***Satoru M

URAOKA(山形県環境エネルギー部水大気環境課) Environment and Energy section Water Atmospheric Environment Division of Yamagata Prefecture

****Yayoi N

ARITA (山形県最上総合支庁)Mogami Area General Branch Administration Office of Yamagata Prefecture

<報 文>

2017年11月28日から29日におけるPM

2.5

高濃度事例について

髙山賢太郎

**

・村岡 悟

***

・逸見祐樹

**

・成田弥生

****

キーワード ①PM2.5 ②広域的汚染 ③後方流跡線解析 ④光化学オキシダント ⑤2017年11月28日から29日 要 旨 2017年環境大気常時監視において,山形県内のPM2.5の測定値が11月28日から29日にかけ高濃度を記録した。同期間に他 県でも高濃度が観測されており,広域的な汚染であることが示唆された。本県におけるPM2.5 高濃度の要因について,今後 の知見とするため,後方流跡線や,他の汚染物質(光化学オキシダント)の動向から解析した結果,28日と29日は異なる 経路による汚染と推測した。 1.はじめに 2017年11月28日から29日にかけ,本県の環境大気常時 監視局中,PM2.5測定局(13局)において質量濃度の1時 間値の最高値が20~40µg/m3と,高い値が観測された。 また,そらまめくん1)に掲載された速報値によると,同 期間に国内の常時監視局でPM2.5質量濃度が100µg/m 3を超 えた地点が確認された。 本報では,山形県においてPM2.5が高濃度となった要因 について,当日の気象状況や大気汚染物質の濃度推移等 から解析した結果を報告する。 2.期間内のPM2.5の概況 2.1 PM2.5質量濃度の1時間値 11月28日から29日の県内各測定局におけるPM2.5質量濃 度について,1時間値の最高値を図1に示す。山形下山家 局は自動車排ガス測定局であり,その他の局は一般局で ある。この期間では,山形市(山形十日町,山形下山家) 及び周辺地域(天童市,上山市)が高い値を示していた。 また,本県は気象特性から4地域に区分(日本海に面 する沿岸部と内陸部,更に内陸は村山,最上,置賜の3 地域)されているが,その中で日本海に面している庄内 地方は28日はそれほど高い値を示さず,29日に上昇した 傾向がみられた。 図1 山形県内の常時監視局における PM2.5質量濃度の一時間値の最高値

(2)

11月28日から29日にかけての全国のPM2.5質量濃度を調 べたところ,北陸地方(富山県婦中速星局),九州地方 (福岡県柳川局),中国地方(岡山県倉敷美和局)にお いて100μg/m3を超える値を記録するなど,国内の広い範 囲で高濃度となっていた。 2.2 PM2.5濃度の推移 県内のPM2.5の1時間値の濃度推移をみると,内陸部(村 山,置賜,及び最上地方)では28日午前から29日夜にか けて高濃度を記録した。一方,日本海に面した庄内地方 では,28日は顕著な濃度上昇はみられず,29日午後から 同日夕方にかけて高い値が記録された。(図2) PM2.5濃度推移が同様な傾向を示した内陸部と,庄内地 方に区分して1時間値の最高値を比較したところ,28日 は,内陸部が34µg/m3(山形下山家局:16時),庄内地方が 15µg/m3(遊佐局:16時,鶴岡錦町局:13時)であった。ま た,同様に,29日においては内陸部が40µg/m3(山形下山 家局:11時),庄内地方が29µg/m3(鶴岡錦町局:14時) であった。 3.高濃度発生時の状況及び解析 3.1 天候及び気象概況 11月28日及び29日の天気図2)を図3に示す。29日におい ては,日本列島の西側に高気圧が存在し,全国的に西 からの風が吹きやすい状況であった。 また,山形市における気温,風速,天気概況は表1の とおりである。両日とも風速は小さいことから,大気が 拡散されにくい状況となっていたことが考えられる。 図3 11月28日及び29日の天気図 (気象庁ホームページより) 図2 山形県内の測定局におけるPM2.5質量濃度の推移 11月28日 11月29日

(3)

3.2 高層気象 本県に最も近い高層気象観測地点である秋田県におけ る高層気温3)を図4に示す。 11月28日21時には,地表から高度約300m及び約1300~ 1700mにおいて気温の上昇が認められ,逆転層が観測され ていることから,その時間帯は大気が拡散されにくい状 況であったと考えられる。 一般的に逆転層が起こると,大気が拡散しないため PM2.5の二次生成が起こりやすく,そのことが28日の濃度 上昇に寄与していると推測される。 29日21時には,高度2000mを超える高層で逆転層がみら れるが,高度が高いため,地表付近の大気環境への影響 は考えにくい状況であった。 3.3 後方流跡線解析 米国海洋大気庁(NOAA)のHYSPLIT MODELを用いて,気塊 の後方流跡線解析を行った。 起点を庄内地方の鶴岡市とし,28日及び29日の6時,12 時,18時を基準とし,過去72時間分の解析を行った結果を 図5に示す。なお,省略するが,内陸にある山形市を起点 にした場合も,数時間のずれがあるが,図5と類似した解 析結果が得られている。 この結果より,山形県の大気は,11月28日と29日の夕 方は中国北部から,29日の日中は中国南部から流入した 気団の影響を受けたと考えられる。 表1 気温,風速及び天気概況 図4 秋田県における11月28日~29日の高層気温 図5 後方流跡線解析結果(過去72時間分) 天気概況 風速 風向 昼(06:00-18:00) 夜(18:00-翌日06:00) 11月28日 0.9 1.4 北北西 霧後薄曇一時晴 晴後霧 11月29日 3.9 1.5 西南西 曇一時雨、霧を伴う 曇一時雨 風向・風速(m/s)(12:00時点) 平均気温(℃)

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3.4 光化学オキシダント濃度推移との比較 自動測定局において測定しているPM2.5以外の測定項目 の濃度推移を確認したところ,光化学オキシダント(Ox) において,28日と29日は全く異なる傾向がみられた。 Oxの自動測定機を設置している8局のPM2.5とOxの濃度 推移を示す(図6)。 Ox濃度推移に着目すると,全県的に28日は昼間に上昇 し,夜間は下降するという,日常的にみられるような濃 度推移をしている。しかし,29日は時間のずれはあるも のの,昼間から夕方のある時間に濃度が急上昇し,さら に夜間の光化学反応がおきにくい状況となっても,濃度 が低下しなかった。 このことから、29日のOx濃度の上昇は光化学反応によ り他地域で生成して高濃度となった大気の流入による寄 与の方が大きいことが示唆され,夜間もその大気が拡散 せず漂っていたと推測された。さらに前述の後方流跡線 解析の結果も加味すれば,Ox濃度が急上昇した時間帯は, 中国南部からの気塊の流入があった時刻とほぼ一致する ことから,Ox濃度の上昇はこの気塊の影響によるものと 推測される。 一方,PM2.5濃度推移は,28日はOxと連動している様子 はないが,29日は28日に濃度が上昇していなかった庄内 地方も含め,Ox濃度推移との間に類似性がみられた。こ のことから,29日にOx濃度の上昇をもたらした気塊の中 には高濃度のPM2.5も含まれており,その寄与により濃度 上昇が起こったことが推測される。 補足として,二次生成大気汚染物質としてのPM2.5生成 には,光化学オキシダント(Ox)との関連性がある4)とい われているが,今回は、気象状況等から二次生成による 粒子の影響は小さいと推測され,二次生成による濃度上 昇の可能性については,考察に至っていない。 4.まとめ 気象概況や後方流跡線解析,逆転層の発生状況などか ら,この期間におけるPM2.5濃度の上昇の原因は,28日は 大陸北部から高濃度のPM2.5を含む気団が国内及び本県に おいては内陸部を中心に流入し,滞留したことであると 考えられる。 しかし,29日における濃度上昇は,上記の影響は薄く, むしろ,PM2.5とOxの濃度推移の類似性や後方流跡線解析 の結果などから,大陸南部からの気団が流入した影響が 大きいことが考えられる。

(5)

図6 PM2.5と光化学オキシダント濃度の推移 PM2.5(μg/㎥) Ox(ppb)

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引用文献 1) 環境省大気汚染物質広域監視システム(そらまめくん) http://soramame.taiki.go.jp/ 2)気象庁ホームページ(天気図) http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/wxchart/quick monthly.html 3) 気象庁ホームページ(高層の気温) http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/upper/i ndex.php?year=2017&month=11&day=&hour=&atm=&poin t=47582 4)若松伸司,岡﨑友紀代:二次生成大気汚染物質(オゾ ン,PM2.5)に関する近年の研究の状況.日本マリンエン ジニアリング学会誌, 49,pp.54-59, 2014

参照

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