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論文誌「多様な価値を創出する情報システム」特集号の総括

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2011-IS-115 No.17 2011/3/15. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 1. 緒. 論文誌「多様な価値を創出する情報システム」 特集号の総括. 言. 本年度は情報システム(以下,時に IS と記す)に関する特集を組み始めてから 7 年目 となる.この間,毎年,1 回,特集号を発刊して今日に至っている.本年度のテーマ は,拡大を続ける情報システムをとらえ,昨年度の「身近になる情報システム -理論 と実践-」に続いて「多様な価値を創出する情報システム」とした.情報システムは その利用方法によって創り出す価値が大きく変化する.今回の特集は,近年,適用範 囲や利用形態が急速に変化し,システムの規模,ユーザー数,ユーザー層において, 拡大・浸透し続ける情報システムの価値の側面に着目した特集である. 本稿はこのような狙いをもった本特集号を総括し,情報システム学の分野における 今後の諸活動の改善・発展に資することを目的としてまとめたものである.. 淺井達雄† 多様な価値を創出する情報システム特集号編集委員長 本稿は論文誌「多様な価値を創出する情報システム」特集号を総括し,今後の 情報システム学の分野における諸活動の改善・発展に役立てようとするものであ る.本特集には 21 件の応募があり,6 件を採択した.採択した論文は,社会基盤 としての属性情報の新しい管理方式を提案するものから安全な地図情報配信シ ステムの構築を論じたものまで広い範囲をカバーしている.採択率は 29%であっ て,その改善が引き続き課題となっている.. 2. 編. 集. 本特集は,新たなテーマのもとで,情報システムの分析・設計・構築・運用,情報 やデータの管理などの理論と実践,情報システムと人間・組織・社会との相互関連, さまざまな組織における情報化ニーズをとらえた新しい情報システムの提案や実践的 な開発事例など広範な対象範囲の論文を一括して掲載することをねらいとした. このために,本特集号編集委員会は,本年度のテーマに関する分野を専門とする 16 名の委員(うち論文誌編集委員 2 名,編集委員会幹事会メンバー1 名)によって構成 した.委員は,企業所属者 3 名のほか,現在は大学所属であってもほとんどは企業経 験者であり,実社会と密接に関係する IS 論文査読者にふさわしい委員となった.査読 は,通常の査読と同様に論文 1 件にたいして 1 名のメタレビューアと 2 名の査読者を 割り当てた.編集および査読にあたっては,基本的な考え方として, 「情報システム論 文の特質と評価(神沼靖子,情報処理学会論文誌,Vol.48, No.3. 以下,神沼論文)」[1] を参照するようにした. 2009 年 12 月に論文募集を開始し,2010 年 5 月 24 日に論文の投稿を締め切り,6 月 1 日に第 1 回特集号編集委員会を開催,各論文のメタレビューアを選定,スケジュー ル,編集方針と査読上の注意事項を確認した.7 月 29 日に第 2 回特集号編集委員会を 開催し,第 1 回目の判定を実施,9 月 2 日の論文誌編集委員会に途中報告を行なった. 10 月 22 日に第 3 回特集号編集委員会を開催して採択論文を最終的に決定した.. Overall Review of Editing Special Issue of IPSJ Journal Entitled “Information Systems Bringing about Various Creative Values” Tatsuo Asai† This report summarizes editing activities concerning the special issue of the IPSJ Journal entitled “Information Systems Bringing about Various Creative Values.” The purpose of this report is to improve various activities in the field of information systems. The editorial committee received 21 papers and accepted 6 papers out of them. The accepted papers cover a wide range of applications ranging from social infrastructure such as the management of attribute data exchanged on networks to the construction of a secured system to distribute indoor geographical information, paying attention to privacy. The ratio of acceptance is not so high as expected. This is one of the subjects to overcome.. †. 1. 長岡技術科学大学 Nagaoka University of Technology. ⓒ2011 Information Processing Society of Japan.

(2) Vol.2011-IS-115 No.17 2011/3/15. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 具備すべき要件が次第に理解されてきたためではないかとも考えられる.. 3. 投稿論文の傾向 投稿論文数は 21 件で前年と同数であった.投稿された論文は,情報システム構築に 関するものはもとより,そのライフサイクル全体にわたるとともに,主題は社会基盤・ 教育・医療・福祉・組織運営・企業経営など広範囲に及んでいる. 投稿者の所属も大学や研究所だけでなく企業における現場の担当者など多岐にわた った.投稿者の内訳は,IS 研究会関係者とそれ以外でほぼ半々であり,企業関係から の投稿も約 2 割あった.これは,企業関係者を含めた学会全体で IS 論文を投稿する場 に対するニーズが高いことを示すものであり,企業の研究成果の公表の場の提供とい う観点からもこのような場を提供し続けることの意義は大きい. 採択した論文は 6 件であって,対前年比で 2 件の増加をみたが採択率は約 29%にと どまり,目標の 50%には至らなかった.しかし,投稿者の所属に関する内訳でみてみ ると,企業からの論文の採択率は,大学からの論文の採択率 24%に比べてかなり良好 で,目標に達する 50%であった.なお,不採択となった論文には興味深いテーマのも のが多く,完成度を高めて再投稿されることを期待したいものが多かった. 採択した論文は,社会基盤としての属性情報の新しい管理方式を提案するものから 安全な地図情報配信システムの構築を論じたものまで広い範囲をカバーしている.ま た,対象領域は,情報システム企業の経営感覚を身につけさせるシステムを提案する ものなど,これまでとは異なった視点からの論文も採択することができた.採択した 6 件の論文のうち 4 件がセキュリティに自然に関与する論文である.これは情報シス テムの社会への浸透に伴って必然的に生じる課題を避けて通ることができないことを 示している.. 5. 採択率の変化とその分析 今回の特集への投稿数は先に述べたとおり 21 件で,採択数は 6 件,採択率は 6/21 =29%となった.これまでの実績は,採択数,投稿数とともに示せば,第 1 回にあた る 2004 年度は 12/43=28%,2005 年度は 11/30=37%,2006 年度は 6/19=31%,2007 年 度は 8/40=20%,2008 年度は 8/21=38%,2009 年度は 4/21=19%であり,この間の平均 採択率は 29%ということになる.投稿数の停滞が採択率の向上につながっているとは いえない.採択率のさらなる向上策が必要である. IS 研究会では,「情報システム論文執筆に関するワークショップ」を 2006 年 4 月以 降継続して開催し,論文の質の向上に取り組んでいる.しかし,ワークショップによ る直接指導には時間的に限界があり,論文の構成や論旨展開の指導までいたっていな いのが現状である.. 6. 論文改善に向けたヒント IS 論文には特有の難しさがある.難しさは執筆する場合と評価する場合とのいずれ の場合にもある.この点についてはすでに永田論文[2]や神沼論文[1]にまとめられてい る.論文を書く人にも査読する人にもこれらの論文を熟読してから作業にとりかかる ことを勧めたい. 筆者は大学に奉職する前に 31 年間,産業界において情報システム関係の仕事に従事 してきた.最初に勤務したのは日本 IBM であったが,日本 IBM では 1970 年頃にはす でに IS 論文(IBM では当時 SE 論文,現在ではプロフェッショナル論文と呼んでいる.) による技術の蓄積を重んじ,年に 1 度,SE 論文の全国的な発表会を社内で開催してい た.筆者はその SE 論文募集に毎年,応募していたが,日本 IBM では SE 職種がスタ ートして 25 周年にあたる 1985 年に,筆者と現在では企業論文の書き方で知られる永 田恒一氏との二人に対して,記念事業の一環として,それぞれのそれまでの最優秀, 優秀を含む入選論文を一冊にまとめたそれぞれの「DP セミナー・情報システムセミ ナー論文 10 回入選記念論文集」を発行している.永田氏は 2010 年 11 月に発行された IBM ユーザー研究会機関誌 IBM USERS にも,主として若い IT 技術者に向けではある が,「これで書ける企業論文」と題して IS 論文の書き方について分かりやすく解説し ている[3].永田氏は学術論文に対して企業論文という表現を使用しているが情報シス テムという実学が重んじられる分野においては永田氏の著書[4][5]や記事[3]は一読に 値する.. 4. 投稿数の変化とその分析 論文募集に際しては,これまで同様,ホームページやメーリングリストによる告知 のほか,IS 研究会研究報告への論文募集掲載,IS 論文執筆に関するワークショップや 全国大会の IS 関連セッション座長による会場での募集告知など,広報に努めた.しか し,実際の投稿数は設定目標 30 の 70%である 21 件にとどまった.IS 関連の特集号の 投稿数は,これまで第 1 回の 2004 年度 43 件に始まり,30 件,19 件,40 件,21 件, 21 件,今回も 21 件と 3 年連続して 21 件となった.IS 論文はシステムの評価に時間を 要する(一年以上かかる場合も珍しくない)という特徴があり,前回不採録の研究の 再評価を含め投稿までに時間がかかるために減少したと思われる面がある.また,2~3 年前まで多く見られた「情報システム開発事例報告」にとどまっている論文が減少し たことも投稿数全体の減少,停滞傾向につながっている.これまでの特集号の採録論 文や不採録の理由,IS 論文執筆に関するワークショップなどを通じて,IS 論文として. 2. ⓒ2011 Information Processing Society of Japan.

(3) Vol.2011-IS-115 No.17 2011/3/15. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 7. 結. ウ, 工業調査会 (1999). 5) 永田恒一: これで書ける企業論文―失敗例と図解で納得, 工業調査会 (2007).. 言. 本特集には 21 件の応募があり 6 件を採択できた.採択した論文は,属性情報の新し い管理方式を提案するものから安全な地図情報配信システムの構築を論じたものまで 広い範囲をカバーしている.また,情報システム企業の経営感覚を身につけさせるシ ステムを提案するものなど,これまでとは異なった視点からの論文も採択できた.採 択した 6 件の論文のうち 4 件がセキュリティに自然に関与する論文であり,情報シス テムの社会への浸透に伴って必然的に生じる課題への対応が必要であることを示して いる.採択率は 29%と高くない.その改善が今後の課題である. また,編集委員会において次の 2 点が課題としてあげられたことを報じて本稿の結 びとしたい.一つは,論文に対する採録条件提示の難しさについてである.採録の条 件として新規性や有用性,評価の補足を要請した論文が数多くあった.大部分の論文 は,新規性や有用性の点で採録基準を満たす修正が行なわれたが,数編の論文では査 読者間の判断がわかれる結果となった.採録の条件の記述に関しては,メタレビュー アのみならず編集委員会の場においても精査をしているが,さらなる精査が必要であ ると思われる. もう一点は,日本語の推敲不足(誤字・脱字や日本語として意味の不明な文)の論 文が散見されたことである.これは,採択率の低下の要因の一つでもあるが,複数の 著者による論文にもかかわらず推敲不足が目立ち,共著者が推敲していないのではな いかと疑われる論文があったことである.基本的なことではあるがさらなる啓発活動 が必要である. 謝辞 最後に,本特集号の機会を与えていただいた論文誌編集委員会,短い期間に 迅速かつ丁寧に査読していただいた査読者各位と特集号編集委員,なかでも編集委員 会の実質的な運営管理を担当していただいた幹事 冨澤眞樹先生,スケジュール管理 を含めさまざまな支援をしていただいた学会担当者の方々に深く感謝の意を表する.. 参考文献 1) 神沼靖子: 情報システム論文の特質と評価, 情報処理学会論文誌, Vol.48, No.3, pp. 970-975 (2007). 2) 永田守男: 情報システム論文の書き方と査読基準の提案, 情報処理学会研究報告, 2001-IS-77(4), pp. 25-30 (2001). 3) 永田恒一:これで書ける企業論文, IBM USERS, No.583, pp. 4-9 (2010). 4) 永田恒一: 図解・企業論文の書き方―日本 IBM・SE 論文 10 年連続入選の経験に学ぶノウハ. 3. ⓒ2011 Information Processing Society of Japan.

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参照

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