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ハイデッキR-100を型枠に用いた高性能コンクリート床版構造

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Academic year: 2021

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*1平成14年 7 月 1 日原稿受付 *2川鉄鋼板(株) 建材営業部 課長補 − 67 −

1 はじめに

ハイデッキ R-100 を型枠に用いたコンクリート床版構造(以下, R スラブ)は次の用途に適している。 ( 1 ) マンションなどの住居系用途の床 ( 2 ) 天井デッキ面あらわし仕様の床(仕上げ天井材のない仕様) 本稿では R スラブの特性と諸性能および施工事例を紹介する。

2 ハイデッキ R-100 の断面形状

ハイデッキ R-100 標準タイプの断面形状寸法を Fig. 1 に示す。 従来のフラットデッキの形状を上下逆さとし,勘合部ではメス部を 爪に引っ掛ける形式を採用することによりデッキ裏面を平坦にして いる。デッキリブ高さは 100 mm,素材鋼板板厚は t 0.8∼1.6 mm, 表面処理は GI, GL いずれも対応可能である。

3 R スラブの断面形状

R スラブの断面形状と従来のフラットデッキを型枠として用いた 通常の 2 方向配筋床スラブの断面形状を模式的に Fig. 2 に示す。 デッキプレートを型枠として用いる工法では,型枠解体の手間を省 略するため通常デッキには適切な防錆処理(表面処理)を施し床コ ンクリートスラブ下に残存させる。R スラブではデッキリブがコン クリートスラブに深く食い込みスラブ裏面(デッキ面)がフラット な形状となる。一方,従来のフラットデッキを用いた工法ではコン クリートスラブ下からデッキリブが飛び出す形状となり,リブ高さ 分の空間が無駄となる。

4 R スラブの特性と諸性能

4.1 階高の低減が可能

Fig. 2 に示したように R スラブではコンクリートスラブ下に各種 設備配管の取り廻しの支障となるデッキリブがないため,天井ふと ころ高および階高を低減できる。空間のボリューム,容積率の制約 が厳しいマンション建築において階高の低減は特に有効である。R スラブのスラブ下面状況を Photo 1 に示す。

ハイデッキ R-100 を型枠に用いた高性能コンクリート床版構造

*

1

High Performance of Reinforced Concrete Slab Using Hi-Deck R-100

川 崎 製 鉄 技 報

34 (2002) 4, 209–211

新 製 品 ・ 新 技 術

村田 正刀*

2

宮腰 昌平*

2

Masato Murata

Shohei Miyakoshi

Deformed bar or wire mesh

Deformed bar Deformed bar Flat deck Deformed bar

Deck rib height Hi-Deck R-100

Concrete slab using Hi-Deck R-100

Usual concrete slab using flat deck

Fig. 2 Cross sectional geometries of concrete slab using Hi-Deck R-100 and usual concrete slab using flat deck

40 20 200 180 Unit: mm 100 45 55 400

(2)

4.2 床二時間耐火性能認定の取得

以下の条件を満たす場合,R スラブは無被覆で床二時間耐火構造 とすることができる。 ( 1 ) スラブ厚:s´ 150 mm 以上 ( 2 ) ハイデッキ R-100 の素材鋼板板厚:t 1.0 mm 以上 近年のマンション建築ではスラブ厚を大きくとる(s´ 200 mm 前後)傾向にあるため,R スラブは十分な床耐火性能を確保できる。 一般に床コンクリートスラブの耐火構造としては,通常の 2 方向 配筋コンクリートスラブ(断面均一)の場合,旧建設省告示第 1675 号に該当するもの,また U 型デッキプレートを用いる場合は メーカー各社の個別指定(F2068 など)によるものが認められてい るが,R スラブはいずれにも該当しない。そのため(財)建材試験 センター中央試験所において旧建設省告示第 2999 号に基づいた加 熱試験を実施し(平成 7 年 11 月),評価項目となるスラブ内鉄筋温 度(550°C 以下)およびスラブ裏面温度(260°C 以下)の基準を満 足することを確認し,上述したように床二時間耐火性能の国土交通 大臣認定 (FP120FL-9074)を取得した。

4.3 高い遮音性能

マンション建築において,近年特に問題となっている重量衝撃音 源(子供が走り回る音など)の遮音性能に関し,R スラブの性能値 は通常の 2 方向配筋コンクリートスラブを上回る。一般に軽量衝撃 音は床の仕上げ材料によりある程度軽減できるが,重量衝撃音はコ ンクリートスラブ自体の特性(主に重量と剛性)に大きく依存し, フローリングからカーペットへの変更程度の改修では防ぎきれない ものが多い。 R スラブの床衝撃遮音性能試験結果を Fig. 3 に示す。試験は (財)建材試験センター中央試験所において JIS A 1418 に準じて実施 した。比較のため同時に試験を実施した通常の 2 方向配筋コンクリ ートスラブのデータも同グラフに重ねてプロットする。両者はとも にスラブ厚:s´ 200 mm,試験体 L 寸法:(2 640  4 140),その他 試験条件もまったく同等である。

4.4 床たわみ量の低減

R スラブは通常の 2 方向配筋コンクリートスラブに比べて床たわ み量を低減することができる。近年のマンション建築の設計では 広々とした無梁空間を確保し梁間スパンを大きくとるため,スラブ たわみ量も増大傾向にある。 R スラブにおけるハイデッキ R-100 はあくまで型枠であるため床 版強度計算上は構造部材として考慮しない。しかし,実際には永久 型枠としてデッキ鋼材がコンクリートスラブに深く食い込み,デッ キとコンクリートが一体化することによりスラブ剛性は計算上20% 程度向上する。 R スラブのたわみ量の計算値(コンクリートひび割れ発生の前と 後)と試験値および比較のため通常の 2 方向配筋コンクリートスラ ブの同計算値(ひび割れ発生前)を,また計算値算出の前提条件を Fig. 4 に示す。試験はスパン 4 m の両端ピン支持,スラブ厚:s´ 200 mm,デッキ板厚:t 1.2 mm で実施した。縦軸荷重は通常の 住居系スラブ上積載荷重(260 kgf/m2( 2 600 N/m2):仕上げ含む) を 1 とし無次元化している。ひび割れ発生前の荷重領域(通常の住 居系積載荷重レベルの約 2.5 倍程度まで)において,R スラブの実 験値は同計算値にほぼ一致し高い剛性を確保している。

4.5 すっきりとした見上げフラット面

R スラブではコンクリートスラブ下デッキ面がフラット面となる ため,天井デッキ面あらわし仕様の床(仕上げ天井材のない仕様) では高い意匠性が得られる。若洲ゴルフリンクス練習場における使 用例を Photo 2 に示す。また,JR 立川駅北口駅前広場におけるペ デストリアンデッキ(人工地盤裏面デッキ)での使用例を Photo 3 に示す。いずれもデッキは溶融亜鉛めっき処理後,建設現場におい て防錆ペンキ塗装仕上げとしている。天井仕上げがないにもかかわ らず,デッキフラット面によりすっきりとした清涼感あふれる空間 を演出している。 ハイデッキ R-100 を型枠に用いた高性能コンクリート床版構造 210 − 68 − 川崎製鉄技報 Vol. 34 No. 4 2002

Performance of sound insulation

High

Low

Light impact sound 90 80 70 60 50 40 30 20 R-slab

Impact sound level (dB)

Usual slab

Heavy impact sound

Main frequency in octave band (Hz)

63 125 250 500 1 000 2 000 4 000 L-85 L-80 L-75 L-70 L-65 L-60 L-55 L-50 L-45

Fig. 3 Performance of sound insulation

Residential load level: w  260 kgf/m2 ( 2 600 N/m2) Occurrence of concrete crack Measured data R-slab P/Pa (Residential load level: w  260 kgf/m2 (

 2 600 N/m2)) Calculation. 1 R-slab (Before crack generating) Calculation. 2 Usual slab (Before crack generating) Calculation. 3 R-slab (After crack generating) 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0

Calculation. 1 R-slab full section (Before crack generating)

Centroid C_con deck 91.2 200 100 200 117.6 200 T_con deck C_con T_con C_con T_deck Centroid

Calcuration. 2 Usual slab full section (Before crack generating)

Centroid

Calcuration. 3 R-slab effective section (After crack generating) (mm)

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0

(3)

5 おわりに

ハイデッキ R-100 を型枠に用いたコンクリート床版構造の固有の 特性および性能として以下の項目を紹介した。 ( 1 ) 階高の低減が可能 ( 2 ) 床二時間耐火性能認定の取得 ( 3 ) 高い遮音性能 ( 4 ) 床たわみ量の低減 ( 5 ) すっきりとした見上げフラット面 川崎製鉄グループでは,各種床版用デッキプレートに対しこれま でに培った薄板製品に関する幅広い応用技術を活用し,多用なニー ズに対応できる体制を整えている。 ハイデッキ R-100 を型枠に用いた高性能コンクリート床版構造 211 − 69 − 川崎製鉄技報 Vol. 34 No. 4 2002

Photo 3 JR Tachikawa Station pedestrian deck using Hi-Deck R-100 Photo 2 Wakasu golf links using Hi-Deck R-100

Fig. 1 Sectional shape and dimensions of Hi-Deck R-100 Photo 1 Under view of concrete slab using Hi-Deck R-100
Fig. 3 Performance of sound insulation

参照

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