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塑性加工の潤滑における極圧添加剤の作用機構に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

塑性加工の潤滑における極圧添加剤の作用機構に関する研

究( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

柏谷, 智

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第004号

Issue Date

1995-03-24

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1725

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍) 学位の種類 学位記番号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委員 柏 谷 智(秋田県) 博

士(工学)

甲第 4 号 平成 7 年 3 月 24 日 生産開発システム工学専攻 塑性加エの潤滑における極圧添加剤の作用機構に関する研究 (主査)教授 後 藤

(副査)教授 藤 井 洋 教授 丸

悦 男 教授 堂 田 邦 明

論文内容の要旨

塑性加工における工具と被加工材間の摩擦の問題は、新生面の出現など塑性加工特 有の影響因子が存在し、一般の摺動部分以上に複雑な問題が絡み合う。本研究では、 塑性加工特有の上記現象をシミュレートする塑性加工用摩擦試験機を作成し、塑性加 工用潤滑剤に使用される極圧添加剤を評価し、表面分析器等により作用機構に対して

検討を行った。本研究は以下の内容からなる。

第1章は序論とし、過去の研究と本研究の目的を述べた。 第2章において潤滑油の導入速度と相対滑り速度を広範囲に独立に変更し得る摩擦 試験機を試作し、冷延鋼板をモデル素材として摩擦試験を行った。その結果、加工速 度の増加による摩擦係数の減少は、それに伴う相対滑り速度の増加による影響が大き いことを見いだした。 第3章においては、冷延鋼板に対する極圧添加剤の摩擦係数低減効果について検討 した。その結果亜リン酸ジエステルは、加工条件の変化によらずほぼ一定した摩擦係 数低減効果を示したのに対し、硫黄系・塩素系極圧漆加剤は加工条件が厳しくなるに 従って摩擦係数低減効果が少なくなる。さらに亜リン酸トリエステルは炭素数の大小

により、各加工率によって低減効果の選択性を示し、被加工材表面に対する吸着性が

酸化物・新生面によって異なることを明らかにした。 第4章においては、亜鉛メッキ鋼板のトライポ特性の評価を行った。その結果加工 中の摩擦係数は、メッキ層自身の摩擦係数の大小とともに、加工中のメッキ層の破壊 挙動が摩擦係数を大きく左右すること、リン系の極圧添加剤は鉄元素の多いものに摩 擦係数の低減効果を示し、硫黄系添加剤は、亜鉛元素の多いものにより優れた摩擦係 数の低減効果を示すことを明らかにした。 第5章においては、アルミニウム合金のしごき加工における極圧添加剤の効果につ いて検討した。硫黄系極圧添加剤のアルミニウム合金に対する低減効果の選択性を明 らかにするとともに、亜リン酸ジエステルの効果の発現が炭素鎖長によって異なる点、 亜リン酸トリエステルが鉄系材料に対し示した、酸化物と新生面への低減効果の選択 性をアルミニウム合金でも示すことを明らかにした。 -4-で の 必

(3)

第6章においては、極圧添加剤の作用機構に関して述べた。・しごき加工時の摩擦面 での現象と、各極圧添加剤の摩擦係数の低減効果の発現挙動から、リン系極圧涼加剤 の作用の本質は新生面での吸着であり、硫黄系の効果の発現にはその後の硫化反応が 必要不可欠であることを明らかにした。

論文審査の結果の要旨

工具表面と材料が相対すべりをするばかりではなく、材料が一般に大きな塑性変形をし、表

面拡大(新生面の出現)が生ずるという点で,塑性加工における摩擦・潤滑の問題は、通常の 剛体どうしの場合に比して大変困難なものである。トライボロジーの名の下で近時盛んな表面 工学の研究においても、ひときわユニークな部分を占めている。その系統的研究はまだ緒につ いたばかりと言ってよい。本研究は、特に冷問塑性加工に限定して、種々開発されている塑性 加工用潤滑剤と、その性能を高めるために用いられる極圧添加剤の効果及び作用機構について

実験的に詳細に検討したものである。まず、潤滑剤の流入速度と工具一試片の表面の相対すべ

り速度を種々変えられる圧延形摩擦試験機を開発・試作し、その他種々の既製摩擦試験機を併

用しつつ、特に摩擦係数〝の測定を通して潤滑剤及び極圧添加剤の特性評価を行っている。そ

の結果、相対すべり速度の増加による〝の減少は油膜の均一分布及び界面温度上昇による粘性

抵抗の減少によるものと結論している。極圧添加剤としては塩素系、硫黄系及びリン系を対象

に検討を加えている。鉄系材料の加工におけるそれらの〝低減効果特性を評価し、また各種亜

鉛メッキ鋼板の成形に際しての同様の特性評価を行っている。特にリン系がどの鋼板にも同様

の効果のあること、硫黄系では適性に選択性のあることなどを明らかにしている。アルミニウ

ム合金のしごき加工において、亜リン酸系添加剤は炭素数にも依存して〝低減効果が変わるは

か、合金種に対して選択性を示す場合のあることを示している。極圧添加剤の作用機構を、Ⅹ 線光電子分光法(ⅩPS:装置名ESCA)による表面分析により考察している。亜リン酸ジ エステルとトリエステルの作用機構の差異や、硫黄系ジテルトドデシルポリサルファイドの作 用機構が、ケモメカニカル効果と吸着分子層の効果の相乗作用であろうとしている。その他、 現時点のこの分野の研究としては、相当踏み込んだものとなっており、さらに今後の研究の展

開に大いに期待させるものを多く含んでいる。以上より、本論文は博士学位に十分値すると判

断された。

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