Title 草原再生過程における植物群落の動態と火が草原性植物の発芽に与える影響( 要約版(Digest) ) Author(s) 増井, 太樹 Report No.(Doctoral Degree) 博士(農学) 甲第727号 Issue Date 2020-03-13 Type 博士論文 Version none URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/79369 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
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された。 次に国内の4 つの半自然草原において火入れ地と、火入れをしていない対照地で同 時期に地温測定を実施し、火入れ後の半自然草原の地温変動の特徴を明らかにした。 調査の結果、 いずれの調査地においても火入れ地の方が対照地に比べ、火入れ後の 日最高地温は高く、40℃以上になった地域もみられた。一方、日最低地温は火入れ地 と対照地で違いがなかった。そのため、日最高地温と日最低地温の差(日較差)は火 入れ地の方が大きくなった。この日較差は火入れから3-4 か月間継続するものの、そ れ以降になると火入れ地と対照地の地温差はなくなった。地温変動が生じた要因とし て、火入れによりリターが消失することで、光が地面に直接当たるようになり地温が 上昇したものと考えられた。火入れから4-5 か月ほど経過すると火入れ地と対照地の 地温差がなくなったのは、火入れ後に一度消失した植生が次第に繁茂し、光を遮るこ とで火入れ地と対照地が同じ環境となり地温差がなくなったものと考えられた。日本 の半自然草原で火入れを行うことで、火入れ後の地温を変化させ、日最高地温が上昇 し日較差が大きくなった。 最後にこのような火入れによる環境変化を想定した発芽実験を、草原性植物を対象 に実施した。その結果、加熱により発芽が促進される種がいる一方で、多くの植物は 発芽しないことや、火入れ地を模した変温環境ではオカトラノオやサワヒヨドリなど 発芽率が最も上がることが示された。このことは、火入れを行うことで、発芽適温が 高い植物や、変温条件が発芽のシグナルとなっている植物の発芽を促進させ、それに より半自然草原の群落の維持に影響を及ぼしている可能性があることを示しており、 草原再生過程においても火の攪乱やそれとともに生じる地温環境の変化が影響し、種 組成の変化が起きている可能性が示唆された。 これらの事から半自然草原再生過程においては、火による地温変動幅の増加が特定 の植物の発芽に影響を与えていること。また、草原再生が進むにつれ、加熱の影響を より多く受け、ヤマハギなどの加熱で発芽が促進される種が増加することなどが推察 され、火の攪乱が半自然草原の再生過程において異なる影響を与えていることが示唆 された。