過程 系列 最も単純な 強 定常過程 各時点において, は互いに独立に同一の分布に従う : が期待値 ,標準偏差 の 系列に従う 各時点 において, は互いに独立に標準正規分布 に従う 期待値 : は平均的に の値とる 標準偏差 : は平均的に のばらつきをもつ 標準正規分布の特徴 対称な釣鐘状の分布 となる確率は約 % となる確率は約 %
μ=0, σ=1 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 μ=2, σ=1 -1 0 1 2 3 4 5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 μ=0, σ=2 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 μ=2, σ=2 -4 -2 0 2 4 6 8 μ=1, θ1=0.5, σ=1 -2 -1 0 1 2 3 4 5 μ=1, θ1=0.5, σ=1 -2 -1 0 1 2 3 4 5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
独立の意味 は各時点でバラバラな値をとる 過去の の値は,将来の には影響しない 自己相関は 平均的なばらつきは のまま 期待値は となる 各観測値は,独立のまま 期待値を一般的に というパラメータで表し,より一般的な過程に することができる
平均は のまま 平均的なばらつきは となる 各観測値は,独立のまま 標準偏差を一般的に というパラメータで表し,より一般的な過程 にすることができる 期待値と標準偏差の両方をパラメータで表すことによって,より一 般的な 系列を作成することができる
ホワイトノイズ もっとも基本的な 弱 定常過程 分布を仮定する必要はない 独立性を仮定する必要はない と表記 条件 を とする場合もある ホワイトノイズは定常過程 系列はホワイトノイズ 正規分布に従うホワイトノイズのことを正規ホワイトノイズと呼ぶ
正規ホワイトノイズは 系列
正規分布において独立と無相関は同値
一般の分布については,独立と無相関は異なる概念 一般的に,ホワイトノイズは 系列ではない
自己相関の検定 標本自己相関係数用いた検定 帰無仮説 検定したい仮説 : の仮定の下での検定統計量: (漸近的に) の値と標準正規分布の両側 %分位点( )を比較し, のほうが大きければ,帰無仮説を棄却する. 値が利用 可能なときは, 値が より小さければ,帰無仮説を棄却する 検定 かばん検定 帰無仮説 検定したい仮説 : の仮定の下での検定統計量: の選択は難しい
自己相関のモデル化 多くの経済・ファイナンスデータは自己相関をもつ 現実のデータをホワイトノイズでモデル化することは難しい 多くの時系列モデルはホワイトノイズを基に構築される 自己相関をどのようにモデル化するか? 例: 次自己相関のモデル化 と のモデルが同一の要素を含んでいれば良い モデル のモデルが を含んでいれば良い モデル
次移動平均過程
過程,
現在と 期の過去のホワイトノイズの加重平均 移動平均 次の自己相関をもつ最も単純なモデル
μ=0, σ=1 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 μ=2, σ=1 -1 0 1 2 3 4 5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 μ=0, σ=2 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 μ=2, σ=2 -4 -2 0 2 4 6 8 10 μ=1, θ1=0.5, σ=1 -2 -1 0 1 2 3 4 5 μ=1, θ1=0.5, σ=1 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
時点 において,確率的な項は のみ 平均は に等しい 分散はホワイトノイズの分散より大きい 次の自己共分散をもち、その符号は, の符号に一致する 次以降の自己共分散は 理由: と は共通の項をもたない 過程は定常過程
次の自己相関をもつ 次の自己相関の符号は, の符号に一致する 正の 次自己相関 負の 次自己相関 次以降の自己相関は 次の自己相関だけをもつデータを記述できるモデル 高次の自己相関を記述できない
θ1=0.5, θ2=0 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関 θ1=-0.5, θ2=0 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関 θ1=0.8, θ2=0.3 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関 θ1=0.3, θ2=0.8 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関 θ1=0.8, θ2=-0.3 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関 θ1=-0.8, θ2=-0.3 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関
過程
現在と 期の過去のホワイトノイズの加重平均 移動平均 時点 において,確率的なのは のみ
平均は に等しい: 分散はホワイトノイズの分散より大きい 次の自己共分散をもつ 理由: と はともに をもつ 次の自己相関の符号は, の全てに依存 次の自己共分散をもつ 理由: と はともに をもつ 次以降の自己共分散は 理由: と は共通の項をもたない
過程は定常過程 次の自己相関をもつ 次の自己相関の符号は, の全てに依存 次の自己相関をもつ 次以降の自己相関は 次までの自己相関をもつモデル
θ1=0.5, θ2=0 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関 θ1=-0.5, θ2=0 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関 θ1=0.8, θ2=0.3 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関 θ1=0.3, θ2=0.8 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関 θ1=0.8, θ2=-0.3 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関 θ1=-0.8, θ2=-0.3 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ラグ 自己相関
過程の問題点 長期の自己相関をモデル化するには多くのパラメータが必要 例: 期の自己相関をもつモデル モデルを考える必要がある の値は観測不可能 モデルの解釈が難しい 予測が難しい モデルの推定が困難 モデルにより,これらの問題を緩和できる可能性がある
次自己回帰過程
過程,
を定数と自身の 期の過去に回帰したモデル 時点 において確率的なのは のみ
過程は必ず定常になるとは限らない 過程の場合,過程が定常となるのは, のとき の場合,過程は単位根過程と呼ばれ,単位根過程については, この授業の後半で扱う 経済・ファイナンスの分野では, の値が考えられることはほ とんどない 以下では, のときの定常 過程の性質を見ていく 定常 過程は 過程に書き直すことができる
c=1, φ1=0.5, σ=1 -2 -1 0 1 2 3 4 5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 c=1, φ1=1, σ=1 0 20 40 60 80 100 120 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 c=1, φ1=1.1, σ=1 0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 c=-2, φ1=0.3, σ=0.5 -4.5 -4 -3.5 -3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 c=0, φ1=-0.3, σ=2 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 c=-2, φ1=-0.8, σ=1 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
分散はホワイトノイズの分散より大きい
次の自己共分散をもつ 理由: は を含む
次の自己共分散をもつ
過程は無限次の自己共分散をもつが,自己共分散は指数的に 減衰していく 次の自己相関をもつ 次の自己相関をもつ 過程は無限次の自己相関をもつが,自己相関は指数的に減衰 していく
φ1=0.8, φ2=0 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関 φ1=-0.8, φ2=0 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関 φ1=0.5, φ2=0.35 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関 φ1=0.1, φ2=0.5 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関 φ1=0.5, φ2=-0.8 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関 φ1=0.9, φ2=-0.8 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関
過程 を定数と自身の 期間の過去に回帰したモデル 時点 において確率的なのは のみ 攪乱項が確率的な 次差分方程式と見ることもできる 過程は常に定常とは限らない 以下では,定常 過程の性質を述べる 定常 過程は 過程に書き直すことができる
過程は無限次の自己共分散 自己相関 をもつが,自己共分散 自 己相関 は指数的に減衰 は が従う 過程と同一の係数をもつ 次差分方程式に従う ユール・ウォーカー方程式 ユール・ウォーカー方程式と を用いてすべての次数 の自己相関を求めることができる 過程
ユール・ウォーカー方程式 のとき のとき 一般的に, の異なる 解の逆数を とす ると, 過程の自己相関は循環も記述できる
φ1=0.8, φ2=0 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関 φ1=-0.8, φ2=0 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関 φ1=0.5, φ2=0.35 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関 φ1=0.1, φ2=0.5 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関 φ1=0.5, φ2=-0.8 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関 φ1=0.9, φ2=-0.8 -0.8 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1 5 10 15 20 ラグ 自己相関
過程の定常条件 過程は必ず定常になるとは限らない 過程の定常性は差分方程式の理論に基づく 過程を差分方程式と見たときに,その差分方程式が安定的であ るかどうかを確認すればよい 詳細は の 章を参照 のこと 多項式: 特性方程式: 定常条件: 特性方程式 のすべての解の絶対値が より大きい 定常 過程は 過程に書き直すことができる
過程
特性方程式: 定常条件:
過程の反転可能性
任意の 過程に関して,同一の平均と自己共分散関数をもつ異な る 過程が存在する
過程
データの自己相関構造を記述できる 過程は複数存在する どの 過程を選択するべきか? ひとつの規準⇒反転可能性 過程が 過程に書き直せるとき, 過程は反転可能とい われる 反転可能表現に伴う を の本源的な撹乱項と呼ぶ 本源的な撹乱項は過去の の関数として書ける 本源的な撹乱項は過去の を用いて を予測したときの予測誤差と 解釈できる 今後の議論では, 過程はすべて反転可能とする
反転可能条件 多項式: 特性方程式: 反転可能条件: 特性方程式 のすべての解の絶対値が より大きい 過程 特性方程式: 反転可能条件:
自己回帰移動平均過程 過程, 過程は常に定常とは限らない ⇒ 部分が定常条件を満たせば 過程は定常 定常 過程は 過程で書き直すことができる 過程は常に反転可能とは限らない ⇒ 部分が反転可能条件を満たせば 過程は反転可能 ユールウォーカー方程式 過程の自己相関は指数的に減衰
過程
定常条件:
反転可能条件:
ユール・ウォーカー方程式:
過程の推定とモデル選択 最尤法 最小 乗法とともに計量モデルのパラメータを推定するのによく用 いられる方法 複雑な時系列モデルは最尤法で推定されることが多い :推定したいパラメータ 観測値 の確率密度を の関数としてみたものを尤度 と呼び,その対数を対数尤度と呼ぶ 対数 尤度は得られた観測値の起こりやすさを表す この 対数 尤度を最大にするようにパラメータ を選択することを 最尤推定法という
コインの表の出る確率 表の出る確率が のコインがあるとする このコインを 回投げたとき,表が 回出たとする このとき, の自然な推定値は? という推定値は良い推定値だろうか? は自然な推定値ではない 理由: のとき,表が 回出ることはほとんど期待できない 最尤法の考え方 回という観測値が得られたのは,表が 回出る確率,つまり尤度が 最も大きかったからであると考える
表が出る回数は 項分布 に従う 尤度 表が 回出る確率を の関数としてみたもの の表 尤度 最尤推定値: 実際には,解析的に尤度を最大にするような を求めたり, の値 をより細かく動かして,尤度が最大になるような を求める
過程への応用手順 を 系列と仮定し, の分布を仮定する 推定したいパラメータを とする モデル 得られた観測値の 条件付き 尤度を計算する モデル 尤度を最大化するようにパラメータを選択する 解析的に最大化することは難しい場合は数値最適化を行う
条件付き最尤法 尤度の計算や最大化を簡単にするために, や に初期値を与える モデルの場合,最初の 個の観測値を用いる モデルの場合,最初の 個の は とする モデルの場合,両方の組み合わせ モデルの場合,係数の条件付き最尤推定量は 推定量に一致 する 観測値数 が大きい場合,初期値の影響は小さい 実際の解析でも用いられるのは,ほとんどの場合,条件付き最尤法 である 条件付き最尤推定量のことを単に最尤推定量と呼ぶことも多い
過程
条件付き 最尤推定量
モデル選択の流れ データを定常にするために変換を行う 階差をとる 対数をとる,対数階差をとる モデルの候補を決める ⇒標本自己相関関数や標本偏自己相関関数の利用 モデルを選択する ⇒検定や情報量規準の利用 モデルの診断 ⇒誤差項の自己相関の検定
モデル候補の選択 実際にモデルの選択を行う前に,標本自己相関関数や標本偏自己相関 関数を用いてモデルの候補を決める 標本自己相関関数 コレログラム データから自己相関関数を計算したもの 標本自己相関係数: 標本自己共分散: 標本平均: 標本自己共分散は の値にかかわらず で割ることが多い 理由:標本分散共分散行列が必ず正定値になる
自己相関関数と同様の性質をもつと期待される 過程の自己相関関数の絶対値は指数的に減衰していく 過程の 次以降の自己相関関数は 過程の自己相関関数の絶対値は指数的に減衰していく 標本自己相関関数をプロットし, 次で切断が確認されれば, 過程の可能性が高い 自己相関関数だけでは 過程と 過程の区別は難しい
偏自己相関関数 と から の影響を取り除いたものの間の 相関は 次偏自己相関といわれる 次偏自己相関は と表記されることが多い 次自己相関は を定数と に線形射影したときの の射影 係数と考えることができる 次偏自己相関は を定数と に線形射影したと きの の射影係数と考えることができる 過程の 次以降の偏自己相関関数は 過程の偏自己相関関数の絶対値は指数的に減衰していく 過程の偏自己相関関数の絶対値は指数的に減衰していく
標本偏自己相関関数 データから偏自己相関関数を計算したもの 次標本偏自己相関は を に 回帰したとき の の 係数推定値 標本偏自己相関関数は偏自己相関関数と同様の性質をもつと期待 される 標本偏自己相関関数をプロットし, 次で切断が確認されれ ば, 過程の可能性が高い
まとめと注意 自己相関と偏自己相関の性質 モデル 自己相関 偏自己相関 モデル 減衰していく 次以降 モデル 次以降 減衰していく モデル 減衰していく 減衰していく 標本自己相関 と標本偏自己相関 は,ともに推定誤差を含む ひとつの目安は,有意に と異なるかどうか 過程の次数を決めることはできない と だけで,ひとつのモデルを選択することは難しい モデルの選択規準が主観的である 通常は,保守的に複数のモデル候補を選択した後,客観的なモデル 選択規準を利用して最良のモデルを選択する
Correlogram of DATA1
Autocorrelation Partial Correlation AC PAC Q-Stat Prob
1 0.859 0.859 186.50 0.000 2 0.649 -0.333 293.64 0.000 3 0.464 0.029 348.57 0.000 4 0.314 -0.038 373.78 0.000 5 0.201 0.003 384.20 0.000 6 0.110 -0.058 387.30 0.000 7 0.013 -0.116 387.34 0.000 8 -0.080 -0.057 389.02 0.000 9 -0.134 0.059 393.71 0.000 10 -0.170 -0.086 401.29 0.000 11 -0.182 0.032 410.00 0.000 12 -0.147 0.111 415.71 0.000 13 -0.109 -0.063 418.89 0.000 14 -0.095 -0.059 421.27 0.000 15 -0.081 0.027 423.03 0.000 16 -0.031 0.147 423.29 0.000 17 0.046 0.074 423.85 0.000 18 0.133 0.048 428.63 0.000 19 0.188 -0.051 438.28 0.000 20 0.182 -0.078 447.31 0.000
Correlogram of DATA2
Autocorrelation Partial Correlation AC PAC Q-Stat Prob
1 0.423 0.423 45.187 0.000 2 0.279 0.122 64.895 0.000 3 -0.108 -0.325 67.889 0.000 4 0.013 0.176 67.934 0.000 5 0.012 0.091 67.972 0.000 6 -0.054 -0.264 68.738 0.000 7 -0.065 0.060 69.836 0.000 8 -0.042 0.132 70.298 0.000 9 0.048 -0.061 70.894 0.000 10 0.102 0.077 73.636 0.000 11 0.166 0.192 80.884 0.000 12 0.069 -0.168 82.135 0.000 13 0.052 0.005 82.860 0.000 14 0.002 0.159 82.862 0.000 15 0.129 0.064 87.314 0.000 16 0.096 -0.071 89.785 0.000 17 -0.006 -0.074 89.795 0.000 18 -0.165 -0.101 97.160 0.000 19 -0.145 0.014 102.88 0.000 20 -0.044 0.053 103.41 0.000
Correlogram of DATA3
Autocorrelation Partial Correlation AC PAC Q-Stat Prob
1 0.662 0.662 111.00 0.000 2 0.309 -0.232 135.19 0.000 3 0.247 0.280 150.74 0.000 4 0.214 -0.096 162.48 0.000 5 0.145 0.054 167.88 0.000 6 0.102 -0.013 170.55 0.000 7 0.126 0.104 174.67 0.000 8 0.085 -0.126 176.52 0.000 9 -0.048 -0.101 177.13 0.000 10 -0.129 -0.062 181.48 0.000 11 -0.079 0.083 183.10 0.000 12 -0.015 0.005 183.16 0.000 13 -0.043 -0.046 183.65 0.000 14 -0.068 0.003 184.89 0.000 15 -0.022 0.052 185.02 0.000 16 0.001 -0.009 185.02 0.000 17 -0.024 0.009 185.18 0.000 18 0.002 0.049 185.18 0.000 19 0.046 -0.025 185.75 0.000 20 0.022 -0.044 185.89 0.000
情報量規準 客観的なモデル選択規準 情報量規準を最小にするようなモデルが最適なモデルとなる 情報量規準の計算には の分布を決める必要がある 例: は正規分布に従う は正規ホワイトノイズ 情報量規準 :パラメータの最尤推定量 :モデルの最大対数尤度 :モデルの推定に用いた標本数 : の関数 推定したパラメータ数
一般的に,情報量規準は つの部分からなる 第 項はモデルの当てはまりを表す 第 項はモデルが複雑になることに対するペナルティーを表す モデルが複雑になると,パラメータの推定精度が下がるため,ペナ ルティーが必要となる パラメータを増やせば,第 項は必ず小さくなり,第 項は必ず大 きくなる パラメータを増やすペナルティー以上にモデルが改善しなくなると き,つまり情報量規準が最小になるとき,モデルは最適と考える このペナルティーの違いによって,様々な情報量規準が存在する 情報量規準
情報量規準 は よりも,ペナルティが大きい は よりも,小さいモデルを選ぶ傾向がある は標本数が大きくなっても,過大なモデルを選択する確率が とはならない は標本数が大きければ,ほぼ必ず正しいモデルを選択する 真のモデルが の場合, はある種の漸近最適性をもつ
モデルの診断 最適なモデルが選択できれば,そのモデルが適切かどうか診断する 必要がある モデルが適切ならば, は 正規 ホワイトノイズであるので,自己 相関をもたない モデルから推定された もほとんど自己相関をもたないはず の自己相関を検定することによって,モデルの診断を行うことが できる が互いに独立に正規分布に従うことを利用してモデルの診断を行 うこともできる
検定 かばん検定 帰無仮説 検定したい仮説 : 検定統計量: 帰無仮説の下で, は近似的に自由度 のカイ 乗分布 に従う の値と の %分位点を比較し, のほうが大 きければ,帰無仮説を棄却する.または, 値が利用可能なときは, 値が より小さければ,帰無仮説を棄却する.このとき,モデ ルはあまり良いものとは言えない 単なる自己相関の検定のときと比較して, 個のパラメータを 多く推定しているので,自由度が 小さくなっていることに注 意する
分析例 データ: モデルから発生させたデータ 標本自己相関関数と標本偏自己相関関数から モデルを候補として選択 各モデルを最尤法で推定し, と をまとめたもの は モデルを選択し, は モデルを選択 モデルと モデルはともに診断をパスする 残 差には有意な自己相関は見られない
Correlogram of DATA3
Autocorrelation Partial Correlation AC PAC Q-Stat Prob
1 0.662 0.662 111.00 0.000 2 0.309 -0.232 135.19 0.000 3 0.247 0.280 150.74 0.000 4 0.214 -0.096 162.48 0.000 5 0.145 0.054 167.88 0.000 6 0.102 -0.013 170.55 0.000 7 0.126 0.104 174.67 0.000 8 0.085 -0.126 176.52 0.000 9 -0.048 -0.101 177.13 0.000 10 -0.129 -0.062 181.48 0.000 11 -0.079 0.083 183.10 0.000 12 -0.015 0.005 183.16 0.000 13 -0.043 -0.046 183.65 0.000 14 -0.068 0.003 184.89 0.000 15 -0.022 0.052 185.02 0.000 16 0.001 -0.009 185.02 0.000 17 -0.024 0.009 185.18 0.000 18 0.002 0.049 185.18 0.000 19 0.046 -0.025 185.75 0.000 20 0.022 -0.044 185.89 0.000
Correlogram of Residuals from ARMA(1,2) model
Autocorrelation Partial Correlation AC PAC Q-Stat Prob
1 0.001 0.001 0.0003 2 -0.011 -0.011 0.0304 3 0.006 0.007 0.0411 4 0.079 0.079 1.6273 0.202 5 0.009 0.009 1.6487 0.439 6 -0.037 -0.036 2.0008 0.572 7 0.088 0.088 4.0221 0.403 8 0.090 0.084 6.1219 0.295 9 -0.038 -0.039 6.5008 0.369 10 -0.132 -0.129 11.031 0.137 11 -0.004 -0.018 11.035 0.200 12 0.062 0.048 12.045 0.211 13 -0.004 0.009 12.048 0.282 14 -0.095 -0.081 14.425 0.210 15 0.017 0.001 14.501 0.270 16 0.033 0.021 14.787 0.321 17 -0.038 -0.009 15.185 0.366 18 -0.017 0.019 15.262 0.433 19 0.058 0.042 16.164 0.442 20 0.055 0.023 17.001 0.454
Correlogram of Residuals from ARMA(1,1) model
Autocorrelation Partial Correlation AC PAC Q-Stat Prob
1 -0.023 -0.023 0.1290 2 0.016 0.015 0.1933 3 0.099 0.099 2.6691 0.102 4 0.101 0.107 5.2902 0.071 5 0.050 0.054 5.9369 0.115 6 -0.034 -0.044 6.2283 0.183 7 0.095 0.071 8.5380 0.129 8 0.087 0.075 10.507 0.105 9 -0.030 -0.030 10.744 0.150 10 -0.125 -0.147 14.849 0.062 11 0.004 -0.036 14.853 0.095 12 0.056 0.044 15.691 0.109 13 -0.003 0.035 15.694 0.153 14 -0.097 -0.074 18.212 0.109 15 0.024 0.005 18.369 0.144 16 0.030 0.020 18.617 0.180 17 -0.037 0.006 18.981 0.215 18 -0.025 0.009 19.148 0.261 19 0.052 0.039 19.877 0.281 20 0.053 0.023 20.630 0.298
効率的市場仮説の検証 市場は効率的である 現在の株価は,現在利用可能な情報をすべて反映して,合理的に決 まっている 将来の株価収益率は,現在の情報から予測することは不可能 つの効率性 強い効率性:インサイダー情報を含む全ての情報を用いても将来 の収益率を予測することは不可能 やや強い効率性:公に利用可能な情報から将来の収益率を予測す ることは不可能 弱い効率性:過去の収益率から将来の収益率を予測することは不 可能 強い効率性は成立していない
やや強い効率性の検証は,考えられるモデルが多いので難しい 弱い効率性は, 過程を用いて,簡単に検証することができる ウォルド分解 任意の定常過程は,完全に予測可能な部分と 過程の和で表 現できる ウォルド分解により,定常過程に関しては, 過程を考えるだ けでほとんどの場合,十分である 弱い効率性の検証手順 株式収益率が定常であると仮定する 株式収益率に関して,最適な モデルを選択する 最適な モデルにおいて,定数項を除く全ての係数が であ るという帰無仮説を検定する 上の検定が棄却されれば,弱い効率性は棄却されることになる