Title
日本と韓国の日刊紙における外信報道の紙面分析
Sub Title
A comparative content analysis on the foreign news of Japanese and Korean dailies
Author
李, 光鎬(E. Gwangho)
Publisher
慶應義塾大学大学院社会学研究科
Publication year
1993
Jtitle
慶応義塾大学大学院社会学研究科紀要 : 社会学心理学教育学 (Studies in sociology, psychology and
education). No.37 (1993. ) ,p.9- 16
Abstract
Notes
論文
Genre
Departmental Bulletin Paper
URL
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=AN0006957X-00000037
-0009
日本と韓国の日刊紙における外信報道の紙面分析
AComparativeContentAnalysisontheForeignNews
ofJapaneseandKoreanDailies
光鎬*
G〃α",ハoE
李
“Newsisawindowontheworld…But,1ikeanyframethatdelineatesaworl。,the newsframemaybeconsideredproblematic・Theviewthroughawindowdependsupon whetherthewindowislargeorsmall,hasmanypanesorfew,whethertheglassis opaqueorclear,whetherthewindowfacesastreetorabackyard.”(Tuchman,197881) ItiswidelyacceptedthatconsiderabIeamountsofourknowledgeandconceptionabout theworldareachievedfromandaffectedbythecontentsofnewsmedia・However,as masscommunicationtheoriestshavepointedout,thosemessagessentoutbynewsmedia arenotcompletenorobjectivedepiction,butjustaselectedrepresentationoftheworId whichisrecognizedbyjournalistsashavingvaluetopublish・ Inthefieldofforeignnewscommunicationwithwhichthisstudyisconcerned,three majorfactorshavebeensuggestedasinfluencingthenewsvalueofforeignnews・They arel)pllysical,culturaldistanceandfunctiona]relationsbetweencountries,2)natureof newsevents,3)political,economicstatusofcertaincountryintheinternationalsociety・ Withconsiderationofthesefindings,inthisstudytheforeignnewscontentsoftwo Japanese(AsahiShimbunandYomiuriShimbun)andtwoKoreandailies(Chosunllboand Dongallbo)areanalyzedcomparativelyintermsofstory、Origin,subjectmatter,mentioned region,owncountryinvolvementandsofo「th・SomeofthefindingsareasfolIows.』apa‐ nesepaperspubishedmoreforeignnews,morecorrespondent、originatedandmoreown・ country-invoIveditemsthanKoreanpapers・Rank.ordercorrelationsintermsofemphasized subjectmatterandofemphasizedregionamongpaperswereconsiderablyhigh. の一部分から,また選択され加工された一部分なのであ る。従って,我々が接触するマス・メディアが,どのよ うな出来事をどこまで知覚し,どのような基準医基づい て選択を行ない,そしてどのように加工しているのかに 関する問題,すなわち,タックマンの比楡でいえば,我 々が世界を眺める「窓」が,どのようなものであるかに 関する問題は,我々の世界観とも関わってくるきわめて 重要性の高い研究課題であるといえよう。 マス・メディアが,どのような基準に基づいてニュー スを収集・選択・加工するかに関してば,主にニュース 価値(newsvalue)の研究がその解明にあたっているが, 特に本研究が分析の対象としている外信に関しては,国 1.研究の課題 「ニュース}よ世界に向けられた窓である。[中略]窓を 通した眺めは,窓の大きさや格子の数,ガラスの曇り具 合い,窓の向き……,によって変わってくる。」(Tuch‐ man,1978:1) 世界に関する我々の知識および認識は,マス・メディ アの報道に少なからず依存している。しかし]その報道 が客観的世界の全体でないことは,言うまでもない。マ ス・メディアの報道は,マス・メディアが知覚した世界 *社会学研究科社会学専攻博士課程 (マス・コミュニケーター論)10 社会学研究科紀要第37号1993 際コミュニケーション分野において,国家間情報流通の 規定要因を発見しようとする研究により,その編集基準 の具体的な内容がり]らかIこされてきている。 その主な研究結果を整理すると,外信の報道は1)二 国間関係,2)事件や出来事それ自体の特性,3)特定国 の国際社会における政治経済的地位,などに影響されて いることになる。まず二国間関係の側面においては,地 理的近接性(MacLeanJr.,1958;GaltungandRuge, 1965;Schramm,1980),文化的近接性(Hester,1973), 機能的関連性(Nam,1970)などが影響要因として挙げ られる。すなわち,ある国家と地理的・文化的に近いほ ど,また機能的関連性が強いほど,その国に関連した外 信がよく報道される傾向があるとされるのである。次に 事件や出来事それ自体の特性としては,政治・経済,戦 争などのいわゆる「ハード・ニュース」が(Adams, 1964),葛藤的な内容の出来事が(GaltungandRuge, 1965;Peterson,1981),一般民衆よりは政治指導者や有 名人関連の出来事が(HicksandGordon,1974),よく 紙面に載る傾向があるとの研究結果が報告されている。 そして,国際社会における政治・経済的地位の高い,い わゆる「エリート国家」に関連したニュースが,外信報 道の多くを占めていることが明らかにされている(Ost‐ gaard,1965;KarielandRosenvalL1984)。 本研究は,このような研究結果を背景に,地理的に近 く,また文化的にも比較的近いとされるが,国際社会に おける政治・経済的地位にかなりの差が存在する日本と 韓国の日刊紙において,その外信報道がいくつかの側面 においてどのような共通点や相違点を持っているのか を,紙面分析を通じ,明らかにしようとしたものである。 2.分析の対象と方法 分析対象紙としては,日本の日刊紙の中では,読売新 聞と朝日新聞を.韓国の日刊紙の中ては,朝鮮日報と東 亜日報を選定し1992年3月2日(月)から同年4月 19日(日)までの7週のなかから,曜日が与える影響と 大きな事件の影響を抑制するため,8日おきで標本抽出 を行ない,1週間を柵成した。')この1週間分の紙面に 掲載されていた4紙合計998件の外信が分析対象の記事 となった(〈表1〉参照)。 分析の項目としては,取材者,発信地,記事の内容, 関連地域,日lR1UU連の可否,日本と韓国の相互報道など を設定した。取材者項目は,特派員と主要通信社(AP, REUTER,UPI,AFP)および自国通信社(日本の共同・ 時事通信,韓国の連合通信)などに,記事の内容カテゴ リーはL・ErwinAtwood(1987)がアメリカと日本の 日刊紙の紙面分析に用いたカテゴリーを-部修正し,国 内政治,外交関係,軍事・政治葛藤,経済,社会,スポ ーツ,生活・文化,自然・環境などに分類した。2)関連 地域は,記事の中で言及された国を11の地域に分類し 集計した。S) 集計には,記事の件数と面積を用いた。記事の面積は, 日本と韓国両方とも15段の組版であったため,段cm を単位にした。の 3.分析の結果 (1)外信の総報、l丘における比較 〈表1>は,分析の対象となった1週間分の紙面に掲載 された外信の件数および面積を表している。1日の平均 でみると,日本の日刊紙が45件から50件前後,韓国 の日刊紙は20件強の外信を掲載している。件数・面積 ともに朝日新聞が最も多く,朝国の日刊紙lま,その半 分くらいの報道丘となっている。朝日新聞の1日平均 1580.5段cmという記事面積は,広告の載っていない 新聞紙面の2.75面にあたる量である。 報道件数を朝・夕刊別にふると,朝日新聞は全外信の 21.9%(79件)を,読売新聞は35.4%(112件)を夕刊 に掲載している。韓国の朝鮮日報は朝刊だけを,東亜日 報は夕刊だけを発行していた。の 〈表1>新聞別分析対象記事の件数及び面積 新聞名 朝日新聞読売新聞朝鮮日報東亜日報 1週間全体の 記事件数 記事面積(段c、) 1日平均の 記事件数 記事面積(段c、) 365 11063.7 316 8209.1 164 5208.1 153 4100.2 52.1 1580.5 23.4 744.0 21.9 585.7 45.1 1172.7
日本と韓国の日刊紙1こおける外信報道の紙面分析 〈麦2〉各新聞における取材者別外信報道件数 新聞名 朝日新聞読売新聞朝鮮日報東亜日報 記事の取材者 特派員 231 (63.3%) 25 (6.8%) 1 (、3%) 8 (2.2%) O (、0%) 35 (9.6%) 23 (6.3%) O (、0%) 13 (3.6%) 26 (7.1%) 3 (、8%) 365 (100.0%) 185 (58.7%) 22 (7.0%) O (、0%) 14 (4.4%) O (、0%) 31 (9.8%) 26 (8.3%) O (、0%) 13 (4.1%) 20 (6.3%) 4 (1.3%) 315 000.0%) 31 (18.9%) 28 (17.1%) 3 (1.8%) 21 U2.8%) 20 02.2%) 1 (、6%) O (、0%) 22 (13.4%) 8 (4.9%) 28 (17.1%) 2 (1.2%) 164 u00,0%) 42 (27.5%) 10 (6.5%) 8 (5.2%) 15 (9.8%) 8 (5.2%) O (、0%) 0 (、0%) 23 (15.0%) 6 (3.9%) 31 (20.3%) 10 (6.5%) 153 (100.0%) AP UPI REUTER AFP 共同 時事 連合 その他 複数ソース 不明 合計 工2=412.18df=30p<、001 (2)取材者における比較 誰が取材した記事をどのくらい載せるのかという編集 作業lこお'十る比較はく表2〉のような結果となった。何 よりも明らかな違いは,自社特派員発信対通信社発信の 記事比率である。日本の日刊紙においては,自社特派員 の記事が全外信の60%前後を占めているのに対し韓 国の日刊紙においては,それが朝鮮日報18.9%,東亜日 報27.5%と少ない。逆に通信社からの記事Iま朝鮮日報 が57.9%,東亜日報が41.7%と高い反面,朝日新聞 25.2%,読売新聞29.5%と少なく,その違いが歴然とし ている。 自国通信社の利用比率は,両国の日刊紙において,15% 前後とほぼ同じであった。また,両国の日刊紙は相手国 の通信社を全然利用していないという点でも共通してい る。しかし,実際においては東京特派員やソウル特派員 がこれらの通信社からのニュースを記事の中で引用する 形でよく利用されていた。 もう一つの違いは複数ソースの利用である。韓国の日 刊紙は,およそ20%前後の記事を複数ソースから引用 しているのに対し,日本のそれは7%前後と少ない。こ れは,韓国の日刊紙において,同一の事件や出来事に関 する主要通信社からの複数の記事を,一つの記事にまと めて報道する編集作業がよく行なわれていることを示す ものであると思われる。 取材者別に記事の平均面積を比較した結果ば,〈表3〉 〈表3>取材者別記事面積の平均値 日本の日刊紙韓国の日刊紙 平均N=平均N= 全体 記事の取材者 特派員 主要通信社 その他 28.167329.5305 36.6 12.8 28.9 416 231 26 51.4 21.0 47.2 73 218 14 *F=35.015p<、001(日本) F=31.672p<、001(韓国)
社会学研究科紀要第37号1993 <表4>各新聞におけるソース別写真の数 12 新聞名 朝日新聞読売新聞朝鮮日報東亜日報 写真のソース 特派員 15 (21.7%) 17 (24.6%) 16 (23.2%) 1 (1.4%) 20 (29.0%) 69 (100.0%) 8 (13.8%) 16 (27.6%) 10 (17.2%) 3 (5.2%) 21 (36.2%) 58 (100.0%) 0 (、0%) 18 (37.5%) 7 (14.6%) 9 (18.8%) 14 (29.2%) 48 (100.0%) O (、0%) 3 (15.0%) 2 (10.0%) 7 (35.0%) 8 (40.0%) 20 (100.0%) AP REUTER AFP その他 合計 鋲=42.16。f=12p<、001 のように出た。両国の日刊紙において,自社特派員の取 材した記事は主要通信社からの記事よりも2倍以上の大 きさで扱われており,その差は統計的にも有意味であっ た。しかしこの結果は,同じ記事を対象にした比較では ないため,この結果から直ちに,自社特派員が取材すれ ば,大きく報道されると結論づけることはできない。む しろ,大きく報道されるような事件や出来事を特派員に 取材させた結果が,このように現れたのかも知れないの である。 〈表4〉は,写真のソースを集計した結果である。まず 韓国の日刊紙においては自社の特派員が写して電送した 写真が一つもなく,全てを通信社に依存していることが 分かる。日本の日刊紙は,朝日新聞が21.7%,読売新聞 が13.8%の写真を特派員の取ったものを載せてばいる ものの,やはり外国の通信社に多くを依存している。す なわち,自社の特派員が香いた記事に外国の通信社から の写真を添える,といった編集がよく行なわれているの である。 (3)発信地における比較 外信の発信地として登場した都市の数は,朝日新聞 69,読売新聞64,朝鮮日報59,東亜日報41であった。 発信回数の多い上位7つの発信都市が全外信記事に占め る割合は,朝日新聞42.4%,読売新聞46.6%,朝鮮日報 52.6%,東亜日報51.6%であり,発信地の多様性Iま,日 〈表5>新聞別発信件数の多い7大都市 新 間 名 読売新聞 朝鮮日報 朝日新聞 東亜日報 東京 (15.2%) モスクワ (11.0%) ワシントン (11.0%) 香港 (4.3%) 力イロ (3.7%) ロソドソ (3.7%) ニューヨーク (3.7%) 東京 (17.6%) モスクワ (11.8%) ワシントン (8.5%) 香港 (4.6%) ロソドン (3.9%) ペノレリソ (2.6%) ニューヨーク (2.6%) 位位位位位位位 1234567 ワシントン (11.4%) モスクワ (10.1%) ロソドン (7.0%) ニューヨーク (6.0%) ソウル (5.1%) 北京 (3.5%) リ シ、● (3.5%) ワシントン (9.9%) モスクワ (9.3%) ロソドソ (6.8%) ニューヨーク (6.0%) ソウル (3.8%) 北京 (3.6%) 少、 リ (3.0%)
13 日本と韓国の日刊紙における外信報道の紙面分析 り,内容カテゴリーの間に大きな差が見られなかった。 各地域に関する報道件数をデータとして,両国の日刊 紙の間にどのような違いがあるのかを調べた結果がく表 7>である。日本の日刊紙の間には.923,韓国の日刊紙 の間には.870の相関があったのをはじめ,朝日新聞と 東亜日報の'11]に.931,また読売新聞と東亜日報の間に 、930の相関が見られるなど,全体的に非常に高い相関が あった。 具体的な内訳は,次のようである。まず4紙全体にお いて最も多く報道された地域は北東アジアで,東亜日報 28.6%,朝鮮日報23.4%,読売新聞21.8%,朝日新聞 20.5%など全外信件数の5分の1以上を占めていた。次 に報道件数の多かった地域は北アメリカで,15%から 20%前後を占めている。3番目に報道件数の多かった地 域は,韓国の日刊紙においては旧ソ連地域,日本の日刊 紙においては西ヨーロッパであり,4番目の地域Iよその 逆になっている。 従来の調査研究からも明らかにされてきたように,南 アメリカ,アフリカ,東ヨーロッパなどの地域は,両国 の日刊紙からあまり注目されていなかった。そして,最 も報道件数の少なかった地域ば,北ヨーロッパで,韓国 の日刊紙においてはたったの1件,日本の日刊紙}こおい ても7件に過ぎなかった。オセアニア地域も北ヨーロッ パ同様,ほとんど報道されていなかった。 (5)自国関連報道丘における比較 〈表8〉は,全外信の中で自国関連記事がどれくらいを 占めているのかを示したものである。自国関連記事Iま, 朝鮮日報13.4%,東亜日報17.0%,朝日新聞22.5%, 読売新聞23.4%など,日本の日刊紙において若干多く 報道される傾向があった。また自国関連記事はそうでな い記事より面積が大きくなるのではないかと考え,内容 カテゴリーや取材者などの影響を統制しⅢ分析を実施し た結果,平均面積が若干大きくなる傾向はあったが,統 計的に有意味な差はなかった。 (6)相互報道丘 く表9〉は,日本と韓国の日刊紙における相互報道量を 示している。韓国の日刊紙に掲載された日本関連記事 は,朝鮮日報15.2%,東亜日報20.3%と比較的多いのに 対し,|]本の日刊紙}こおける韓国関連記事は,朝日新聞 4.1%,読売新聞5.1%と,相対的に少ないことが分かる。 また輔国の日刊紙における日本関連記事の方が日本の日 刊紙iこおける韓国関連記事より平均記事面積が若干大き い傾向があったが,統計的に有意味な差はなかった。 1991年,成躍大学アジア太平洋研究センターが韓国 本の日刊紙の方が若干高かった。 〈表5>は,発信地として登場回数の多かった上位7つ の都市を示したものである。日本の朝日新聞と読売新聞 は上位7つまでの発信都市が完全に一致しており,韓国 の朝鮮日報と東亜日報もほとんど同じ都市が同じ順序で 並んでいる。 日本の日刊紙においては,ワシントンやニューヨーク, ロンドン発信の外信が相対的に多いが,韓国の日刊紙に おいては,東京発信の外信が断然多く,香港からの外信 が相対的に多いのが特徴であった。韓国の日刊紙に東京 発信の外信が多いのは,日本関連の外信以外にも,中国 や北朝鮮関連外信の一部が東京から入ってくるためであ ると考えられる。 (4)強調内容と強調地域における比較 く表6>は内容カテゴリー別の件数をデータに,両国の 日刊紙の間の順位相関を求めたものである。韓国の日刊 紙の間に.884,日本の日刊紙の間に.729の相lHIがあっ たのをはじめ,両国の日刊紙の間にも.70前後の高い相 関が見られた。 具体的にその内容をみると,国内政治・外交関係の記 事が最も多いの{圭4紙全てにおいて共通であったが,2 番目,3番目に多かったのほ,朝日新聞においては社会, 経済記事,読売新聞においてはスポーツ,経済記事,朝 鮮日報においては軍事・政治葛藤,経済記事,東亜日報 においては社会,軍事・政治葛藤記事などと,違いがあ ったc もう一つ注目すべき点('よ,特定の内容カテゴリーへの 偏りにおける違いである。韓国の日刊紙の場合,国内政 治,外交関係,軍事・政事葛藤の上位3つのカテゴリー が全記事の約60%を占めている反面,日本の日刊紙は 上位3つのカテゴリーが全記事の50%前後を占めてお <表6>強澗内容でぶた各日刊紙間順位相関(tau.b) 朝日新聞読売新聞朝鮮日報 読売新聞 朝鮮日報 東亜日報 、729b 、719b 、677a 、748b 、646a 、884b a8p<、01b:p<、001 <表7>強調地域でみた各日刊紙間順位相関(tau.b) 朝日新聞読売新聞朝鮮日報 読売新聞 朝鮮日報 東亜日報 、923 .849 .931 、861 .930 、870 注:すべての係数はp<、001水準で有意
14 社会学研究科紀要第37号1993 <表8>各新聞における自国関連外信の報道件数 新聞名 朝日新聞読売新聞朝鮮日報東亜日報 自国関連の可否 関連している 82 (22.5%) 283 (77.5%) 365 (100.0%) 74 (23.4%) 242 (76.6%) 316 (100.0%) 22 (13.4%) 142 (86.6%) 164 (100.0%) 26 (17.0%) 127 (83.0%) 153 (100.0%) 関連していない 合計 が=8.74。f=3p<、05 〈表9〉日本と韓国の有力日刊紙における相互報道件数 新聞名 朝日新聞読売新聞朝鮮日報東亜日報 区分 韓国/日本 その他の国 15 (4.1%) 350 (95.9%) 365 (100.0%) 16 (5.1%) 300 (94.9%) 316 (100.0%) 31 (20.3%) 122 (79.7%) 153 (100.0%) 25 (15.2%) 139 (84.8%) 164 (100.0%) 合計 jr2=49.44。f=3p<、001 が出た。自国関連報道量は日本の日刊紙の方が多く,相 互報道且においては韓国日刊紙の日本関連報道の方が多 かった。 外信の総報道丘における大きな差は,新聞社の規模に おける差をそのまま反映した結果であると考えられる。 特に,発行部数や発行紙面数における差は歴然としてい る。朝日新聞は819万部,読売新聞は972万部(朝日 年鑑,1992)を発行しているのに対し,韓国では発行部 数の公査機関であるABC(AuditBureauofCircula‐ tion)がまだ公査を実行していないため,正確な発行部 数は公表されていないが,朝鮮日報が250万部,東亜日 報が200万部強を発行しているといわれている。発行氏 面数においても,一日約16から20面近くまでの差が 存在している。 特派員対通信社依存の比率における差1,土,外信部門へ の投資の違いに原因を求めることができる。その一つの 指標として,海外特派員数を比較して承ると,読売新聞 と朝日新聞はともに60人であるのに対し(日本新聞年 鑑,1992),朝鮮日報は9人,東亜日報は10人で,およ そ6倍もの差が存在していることが分かる。の韓国の新 聞社が外信部門への投資を充実させなかった理由の一つ の漢陽大学言論文化研究所と共同で行なったジャーナリ ストの意識調査の結果によると,このような相互報道量 は十分でないと考えられていることが分かる。韓国に関 する報道量に対し,調査対象となった日本の新聞ジャー ナリストの59.2%,放送ジャーナリストの72.8%が十 分でないと答えている。また,日本に関する報道量に対 し韓国の新聞ジャーナリストの59.8%,放送ジャーナ リストの60.1%が十分でないと答えている。さらにこ の調査によると,自国マス・メディアの相手国報道が両 国の相互理解に役立っていると思うかという質問に対 し,日本の新聞ジャーナリストの40.5%,放送ジャーナ リストの45.6%が,また韓国の新聞ジャーナリストの 52.4%,放送ジャーナリストの52.4%が,否定的な見 解を示している。 4.考察 以上述べてきた紙面分析の結果を簡単に要約し,若干 の考察を加える。堂ず,両国の日刊紙の間には,外信の 総報道量,特派員対通信社依存の比率などの側面庭おい てかなりの差が存在する。しかし,報道件数の多さでみ た強調内容や強調地域の側面は非常に似ているとの結果
日本と韓国の日刊紙における外信報道の紙面分析 15 として,長年にわたる軸|型|の政治状況を挙げることしで きる。すなわち,約30年間つづいた軍事政権の厳しい 情報統制により,外信部門の活動は委縮され,外信部門 への新たなる投資は無意味なものとして認識されてきた のである。7) 自国関連外信の報道量について}よ,これを報道のeth、 nocentrism性として解釈する見解もあるが(例えば, HicksandGordon,1974),これはむしろ当該国の国際 社会における活動の頻度や重要性などの要因に影響され るのではないかと考えられる。特定国の政治経済的地位 と自国関連の外信報道量との間に正の相関関係があるか どうかは,今後の検討課題であろう。 相互報道量における差は,相手国の国際社会にお|ナる 地位や相手国に関する関心の差,そして自国に対する相 手国の機能的重要性の違いなどによるものであると考え られる。 日本と韓国の国際社会における地位の違い,また両国 の新聞社の情報収集能力や収集体制の違いにもかかわら ず,強調内容や強調地域の点で両国の日刊紙が非常に似 ていることは,ある種のニュース価値判断が両国のジャ ーナリストの間に共有されていることを意味するもので ある。しかし,今まで数多くの研究により明らかにされ てきた外信報道のパターンが,両国の日刊紙の報道傾向 と一致していたことを考慮すれば,その共有されている ある種の編集基準は,韓国と日本だけに限られた特殊な ものではなく,ある程度普遍化されたものであると解釈 すべきであろう。 最後にもう一度クヅクマンの比愉を借りていえば,日 本人の持つ「世界に向けられた窓」と韓国人の持つそれ とば,窓の向きはほぼ同じ方向であっても,その大きさ にばかなりの差があったということになるであろう。 元=(観察された一致の比率一偶然一致する碗率) ÷(1-偶然一致する確率)を用いた(Scott,1955)。 この係数は,完全不一致の場合-1,観察された 一致の比率が偶然一致する砿率と同じである場合 0,完全一致の場合1となる。 3)地域は,北東アジア,東南アジア,北アメリカ, 南アメリカ,lロソ連地域,東ヨーロッパ,西ヨー 1コシバ,北ヨーロッパ,中東,アフリカ,オセア ニア,世界に区分した。国連やオリンピック関連 の記事などを処理するため「世界」という項目が 股けられた。 4)1段の高さ(3.4cm)は4紙全て同じである゜ 5)東亜日報は1993年4月1日から朝刊に変更し 発行している。 6)朝鮮日報と東亜ロ報の発行部数および海外特派員 数は,各新聞の東京支社から得た情報である。 7)韓国日報の外信部記者とのインタビューから。 参考文献 朝日新聞社,「朝日年鑑’92J1992. 奥野昌宏,「マス・メディアと日韓関係に関するジャー ナリストの意鍬」,了新聞研究」No.484,1991.11.. pp、57-63. 日本新聞協会,『日本新聞年鑑’92」,1992. Adams,JB.,“AQualitativeAnalysisofDomestic andForeignNewsontheAPTAWire,,,Caze〃e 10,1964,pp、285-295. Atwood,L・Erwin,“NewsofUS・andJapanin EachOther,sPapers,,,CazerZe39,1987,pp、 73-89. Galtung,JohanandMariH・Ruge,“TheStructure ofForeignNews,”ん!”"αノ〃圧accResearcA 2,1965,pp、64-91. Hicks,RonaldG・andAvishagGordon,“Foreign NewsContentmlsraeliandU.S・Newspapers,'’ ノリ!{γ"αノis池QJ4a"cγb'51,1974,pp、639-644. Hester,AL"TheoreticalConsiderationsinPredict- ingVolumeandDirectionoflnternationa1In-formationF1ow,”Gazerjel9,1973,pp、238-247. Kariel,H、G・andLynnA・Rosenvall,“Factorsln・ HuencinglnternationalNewsF1ow,”ノリ”"αJis"z QlIαγre7ノン61,1984,pp、509-516. MacLean,M・S、Jr.&L、Pinna,“DistanceandNews lnterest:Scarperia,Italy,,'ノひ”"αZis"zQrイロァノcγly 35,1958,pp、3548. Ostgaard,Einar,‘TactorslnHuencingtheFlowof News,,,JournalofPeaceResearch2,1965,pp、 39-63. PetersonSophia,“InternationalNewsSeIectionby theE1itePress:ACaseStudy,''Pz‘6/jcOPjlzjo》z Qlmr/cγb'45,1981,pp、143-163. Schramm,Wilbur,`CirculationofNewsintheThird World:AStudyofAsia,”MtzssCoか2"2"〃jcajjo〃 ReUie”YFa7booルVol、1,1980,pp、589-619. 注 1)咽日が与える影響の一つは,紙面数の変動であ る。新聞社の営業パターンによって異なるが,一 般的には,週明けと週末より週の半淫において紙 面数が多くなる傾向があり,広告量の変化が主な 原因であるとされる(StempelllII,1981:125)。 このような紙面数の変動には,ニュースの主な取 材源である政府や官庁などの活動との関連でニュ ースの量が変わることも影響していると考えられ る。 2)記事内容コーディングの一致度は,日本の日刊紙 において.906,韓国の日刊紙において.873で あった。一致度係数の計算式は,特定のカテゴリ ー数における偶然一致の確率を考慮したScottの
16社会学研究科紀要 Scott,WilliamA.,“ReliabilityofContentAnaIysis: TheCaseofNorminalScaleCoding,'’P"b"C Oノウノ"jo〃Qlイα〃c7lyl9,1955,pp、321-375. Stempel,GuidoH・’11,“ContentAnalysis,”Guido H・StempelIII&BruceH・Westley(eds.),Rc‐ 第37号1993 sca7c〃』ん2A0㎡sj'zjMzssCo1""21ィ"jcaノブ0〃,Prentice HaU,1981,pp、119-131. Tuchman,Gaye,jlm豚"g八極0s,FreePress,1978. (鶴木侭・機内篤子訳『ニュース社会学」三嶺書房, 1991年)