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DSpace at My University: 英語教育リレー随想 121号「英語教育における機械翻訳の役割」

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Academic year: 2021

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大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 121 号 1 授業中に電子辞書を使う学生を見かけなくなった。その代わりに iPad やスマートフォン でオンライン辞書を参照している。また、それらを使えば単語だけでなく、文も瞬時に翻訳 してくれる。AI(Artificial Intelligence, 人工知能) の進化に伴い、翻訳のスピードや精 度は向上しており、その実力は侮れない。異論はあると思うが、ルールを決めた上での授業 における機械翻訳の使用は問題ないのではないだろうか。無論、使い方を誤れば害になり得 る。日本語で書いたエッセイを一気に機械翻訳にかけても何の力もつかないだろう。できる 限り自力で英文を書いた上で、指導者のアドバイスを受けながら機械翻訳を参照することを 勧めたい。この AI 機能をうまく英語教育に導入することで、日本人が苦手とするアウトプッ ト能力を向上させることができるのではないかと思っている。 高校3年生を対象に実施された英語力調査結果によると、CEFR (ヨーロッパ言語共通参照 枠)の A2レベル(英検準2級程度)以上の割合は、「聞くこと(33.6%)」、「話すこと(12.9%)」、 「読むこと(33.5%)」、「書くこと(19.7%)」であった。つまり「話すこと」、「書くこと」では、 8割以上の生徒が A2レベルにも達していない(文部科学省, 2018) 。CEFR という物差しを 使わなくても、アウトプット力不足は、日本で英語教育に関わる先生方が実感していること だと思う。この発信力の弱さを補う手段の一つとして、機械翻訳の活用を提案する。 林、水落、桐生、神崎(2012)は、「桃太郎」をグループごとに英訳させ、オリジナルのシ ナリオで英語劇を発表するという活動で、iPad の翻訳音声読み上げソフトである「Google 翻 訳」を導入した。各グループ(3~4 人)が英語を翻訳するのにかかった時間は平均 18 分程 度で、翻訳や発音の確認のために iPad を使った回数は平均で 92 回、6グループ全体で合計 552 回であった。英語の先生がたとえ 10 人いたとしてもこの質問の回数には対応しきれな い。このソフトがあれば短い時間で効率的にシナリオを作ることができ、それを先生に確認 してもらえば、残った時間を英語劇の練習に使えるのである。 酒井(2020)は大学の英語のエッセイライティングで機械翻訳の使用を促したところ、英文 の質が向上しただけでなく、学生全員のライティングに対する自信を高めることができたと 述べている。また、書く時間が短縮され、残った時間でエッセイをもとにしたディベートを 行い、発信力をつけさせることができたとしている。このように書いた内容をすぐに使うこ とで定着も期待できよう。 前述の通り機械翻訳の精度は高く、音声機能を使って発音のチェックも可能である。うま く活用することで、アウトプットの量と質を高められる。もちろん、機械翻訳は単なる道具 であるので、それを適切に利用させ、発信力に結びつけるのが教員の役目であることは言う までもない。 文部科学省 (2018).「平成 29 年度英語教育改善のための英語力調査 事業報告」. http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1403470.htm 林 俊行, 水落 芳明, 桐生 徹, 神崎 弘範 (2012). 「小学校外国語活動におけるタブレッ 大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター

〈英語教育リレー随想〉

2020 年 11 月

英語教育における機械翻訳の役割

山本 淳子 第 121 号

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大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 121 号 2 ト型端末の音声認識機能による翻訳活動に関する事例的研究」.『日本教育工学会論文誌』36 (Suppl.), 45-48. 酒井志延 (2020). 「グローバル化時代における日本の大学の機械翻訳を使った複言語教育 の研究」. 『言語教師教育』7(1), 51-64. (やまもと じゅんこ 教授/教員養成センター)

参照

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