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DSpace at My University: Ⅴ 実践記録・実践報告・自由論考 実践報告 1 「私の授業への挑戦−スローラーナーにいかに寄り添うか−」滋賀県立伊香高等学校教諭 坂本美佳

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Academic year: 2021

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V 実践記録 ・ 実践報告 ・ 自由論考 ■実践記録 「私の授業への挑戦-スローラーナーにいかに寄り添うか-」 滋賀県立伊香高等学校教諭 坂本美佳 1. 私の教育哲学  授業を計画し実践する上で、 私は常に念頭に置いている考えがある。 それは、 それぞれの生徒が高校を卒業するときには learner autonomy を確立し、 独立した学習者にならなければいけないということである。 目まぐるしく変化する社会を生き抜くため には、 常に能動的に学ぶことが必要で、 さらに学んだことを自分の仕事に取り入れ一層発展させていくことが求められるのではと 考えている。 しかしながら、 学校現場では生徒は受身の姿勢で授業を受けているように感じる。 Harmer(2007) によると、 徐々に、 自分の学習に対する責任を増していくことで、 教師主導の学びから生徒中心の学びに移行していけるということである。 そこで、 私の実践では、 授業の一部に生徒が能動的に学べるスモール ・ ステップを多く設けるように心がけ、 生徒が徐々に自分から学ん でいけるような工夫を実践している。 2. 授業計画と実践の指針   私の教育哲学である learner autonomy の確立を目指すために、 実際の授業では、 「言語活動の充実」 が一番重要であると 考えている。 これを私なりに解釈し、 以下の3点を授業で実践した。 1) 生徒同士が英語を発する時間 (speaking) と書く時間 (writing) を積極的に設ける授業 2) 生徒が楽しいと感じる授業 3) 生徒が自分の考えを持ち、 それをクラスで共有する授業 以上のように、 これらを指導の基軸とし、 生徒に自分が勉強している内容を実際に使わせること、 同時に自分の意見を発表させ ることによって能動的に学ぶとはどのようなことかを体験させることを授業計画の理念としている。 その際、生徒にとって身近なトピッ クを扱ったり、 生徒に自分でトピックを選ばせたりすることで、 学ぶ楽しさを感じさせることに加え、 自分の学習に責任を持たせる ことができるということを指導実践の指針としている。 3. 本校の現状  ・本校は創立116年で、 校訓は 「致学竭誠」 精一杯学問に励み、 真心を尽くすことである ・ 部活動盛ん (柔道、 ソフトテニス部インターハイ出場) である ・ 卒業後の進路は、 就職4割、 進学6割 (4大、 短大、 専門学校) である ・ 1学年は4クラス (1組は進学、 2~4組就職、 進学) である。  本校の生徒の特徴としては、生徒は学習に対しての成功体験が乏しく、学習に後ろ向きである。 よって、ほとんどの生徒がスロー ラーナーであると考えられる。 4. スローラーナーの特徴  昨年度の勉強会での発表で、 中井先生や参加者の先生方より、 スローラーナーをどのように意識するかが、 スローラーナーへ の授業法を考える上で必要であるとご指導頂いた。 ご指導頂いた内容を基にまとめると、 スローラーナーとは以下の特徴があると 考えた。 ・ 学習への興味関心が低いため、 授業での集中力が続かない。 ・ 教員が行いがちな速くてきぱきとした授業にはついていけない。 ・ よって、 十分な学習ができておらず、 学習における成功体験が乏しいため、 皆の前で自分の考えを述べることが極めて苦手 である。 ・ なおかつ、 ペア活動やグループ活動への参加も消極的である。 このように、 スローラーナーは学習を否定的にとらえている傾 向がある。  このような特徴を有するスローラーナーに寄り添う立場として、 教員は、 最終到達目標に対し、 到達しやすい小さなゴールをい くつも設定し、 いくつもの小さな成功体験をスローラーナーに積ませることが必要であると考えた。 以下が私の取組である。

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5. 取組1 : スローラーナーが文法を楽しく学び、 文法力をつける 1) 授業の対象、 方法、 目的 対象 : 2年生の学校設定科目である 「総合英語」 (文法を学ぶ科目) の受講者 方法 : 多種多様な音読活動を積極的に取り入れる 目的 : 1、 文法の理解度と定着度を高める 2、 英語を話すことへの関心や態度を育てる 2) レッスンの流れ      表1 3時限のレッスンの流れ 以上のような授業の流れで、 音読を指導の核としている。 3) 音読のバリエーション 個人 : パラパラ ・ リーディング ペア : 回転寿司 ( 回転寿司のようにペア回転させ交代していく活動)、 インタビュー活動、 隣の生徒とペアでの音読 グループ : インドネシアゲーム、 Crisscross 4) 音読活動に使用したプリント 表 2 音読活動に使用したプリント表側

( ) ( ) ( ) ( ) is hard for me. 1 早起きすることは私には難しい。 The important thing is ( ) ( ) a lesson from

it.

2 大切なのは、それから教訓を学ぶことだ。 表3 音読活動に使用したプリント裏側

( To ) ( get ) ( up ) ( early ) is hard for me. 1 早起きすることは私には難しい。

The important thing is ( to ) ( learn ) a lesson from it. 2 大切なのは、それから教訓を学ぶことだ。 5) 生徒アンケートより ・ 質問1は 「将来役に立つので音読活動に積極的に取り組むか」 ・ 質問2は 「単調な音読活動に積極的に取り組むか」 ・ 質問3は 「インドネシアゲームなどのように、 ゲームを取り入れた活動に積 極的に取り組むか」 である。  回答項目は、 左から 「A : 本当にそう思う」 「B : そう思う」 「C : どちらとも 言えない」 「D : そう思わない」 である。  このアンケートより、 生徒はゲーム感覚で楽しい活動の方が、 積極的に取り 組むということがわかった。 楽しく学習することで、 能動的に学ぶ習慣をつけ る第一歩になるのではと考える。 6) 先生方からのアドバイスと考察  私が実践してきた文法指導は、 ただ、 復唱し暗記するだけにとどまり、 伝統的な方法とあまり差異が見られないというアドバイス を頂いた。 この意見には同意である。 しかし、 Brown(2007) によると、 多くの英文の例に触れた上で文法のルールを理解していく 図1 生徒アンケート結果

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という学習方法を好む生徒もいる。 スローラーナーは説明を聞いて問題演習を行っただけで、 学習内容を理解することは難しい。 このような生徒にとっては記憶するという学習段階が、 ひとつのスモール ・ ステップとして必要だと考える。 学んだことを断片的で はあるが、 たくさんの英文を記憶するには、 やはり単純な反復練習は必要である。 ただし、 反復練習で授業を終えるのでは、 知 識は身につかない。 Brown(2007) によると、 学んだことを知識として定着させるには、 単なる反復練習だけでなく、 意味が絡んだ 活動をすることで、 学んだことはより深く知識として蓄積される可能性が高いということである。 よって、 授業では、 生徒は学んだ ことを反復練習することでまず記憶した後、 生徒にとって身近な題材を用い、 学んだ文法で文章を作るなどの活動をさせることが 効果的だと考えた。 7) 発表後の実践とこれからの取り組み  2年目の今は、 英語表現Ⅰという授業において、 文法を説明し、 問題を解かせて、 音読活動を通して英文に触れさせた後、 教師からの質問に答えることで、 生徒は自分の身の回りに関することを英語で書くという活動を取り入れて授業を行うように努めて いる。 まだ、 このような活動が生徒には定着しておらず、 活動への取り組みが消極的な生徒も見受けられる。 題材を再度考慮し、 生徒が興味を持って取り組めるようにさらなる工夫をしていきたいと思う。 6. 取組2 : スローラーナーに適した output 活動   learner autonomy を確立するためには、 知識を提示するだけの授業ではなく、 生徒が実際に英語を使う授業をしていくべきだ と考えた。 しかし、 学習者がスローラーナーであるため、 スモール ・ ステップを多く設けることで、 徐々に生徒の自分の学習に対 する責任の比重を大きくしていくように授業を構成した。 そうすることで、 スローラーナーでも自信を持って活動に取り組めると考え た。 1) スローラーナーに適した output 活動1 授業の対象、 方法、 目的 対象 : 2年生の学校設定科目である 「総合英語」 (文法を学ぶ科目) の受講者 方法 : 新年の誓いを英語で書く 目的 : 1. 文法の理解度と定着度を高める      2. 英語を話すことへの関心や態度を育てる 使用したワークシート :New Year’s Resolution Worksheet

STEP 1 : Brainstorming! STEP 2 : Make sentences!

     ( I want to ---, so I will ---. ) STEP 3 : Make a card!

STEP 4 : Now, share your new year’s resolution with class! 2) スローラーナーに適した output 活動2 授業の対象、 方法、 目的 対象 : 1年生の Oral Communication Ⅰの受講者20名 方法 : 生徒自身が選んだ日本文化をALTに紹介する文章を1段落で書く 目的 : 1. 段落構成を学び、 学んだことを実際使ってみる 2. 英語を書くことへの関心や態度を育てる   4 授業構成の中で意識したこと : Brown(2007) よると、 効果的に学習するには authenticity が不可欠である。 そこで、 例の 文章のトピックには生徒にとって身近な題材を用い、 生徒が行うタスクとしては、 生徒が将来遭遇しそうな状況 (外国人に日本 について紹介する) を実際に体験 させるものとした。     使用したワークシート ( 一部抜粋 )     STEP 1,2 : 以下のきゃりーぱみゅぱみゅを紹介する1段落をモデルとし、 段落の構成を知る (topic sentence, supporting details, concluding sentence を生徒に意識させる)

Kyarypamyupamyu is one of the most popular singers in Japan. She is a fashion leader among teenaged girls. Her clothing is very colorful and cute with a lot of ribbons. Her trademark is a ribbon on the top of her head. Her songs along with her voice and dance performance are also appealing to teenagers. Her voice is like a bird, which is soft and cute. Her dance performance is also cute and easy to remember. Many Japanese girls dance with Kyarypamyupamyu’s songs. Her fashion and songs let Kyarypamyupamyu

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become popular among teenagers in Japan. STEP 2 1月25日 (金) 提出! 1. まず、 上の解説を読み、 段落はどのように構成されているか、 頭の中で整理しよう! 2. 段落の構成を勉強したところで、 もう一度同じ問いに答えてみよう!今回は、 なぜそうなるか、 理由も考えてみよう! ①上の文章で、 筆者が読者に伝えたいことは何ですか?1文でまとめよう! ②また、 筆者の伝えたいことは何かと考えるとき、 段落のどことどこを探すべきですか? (はじめ?真ん中?最後?) ③筆者はキャリーパミュパミュに関して、 2つのことについて話しています。 何と何ですか? ④上の文章に題名をつけるとすれば、 どんな題名をつけますか?英語で書いてみよう! STEP3,4 : Brainstorming (何について書くかを考える。 自分の選んだトピックに関する単語をリストアップする。) STEP5 : topic sentence

STEP6,7 : supporting details STEP8 : concluding sentence と清書  表4 各ステップの段階別到達目標の設定 現在、 表 4 のように各ステップ分けをする際の段階別到達目標を基本的にまとめ、 最終ゴールをめざすように整理している。 こ のように整理しておかないと、 ステップに揺らぎブレが大きくなり越えるのが難しい課題を設定することがある。 スモール ・ ステッ プを設けることで一歩ずつの達成感を持たせるように心がけている。 3) 先生方からのアドバイスと考察  中井先生や参加くださった先生方から、 スローラーナーを指導するためには、 活動内容の可視化を図ることが大切だというコメ ントを頂いた。 確かに、 理解の遅い学習者への指導には、 板書を使い目に見える形で説明することは不可欠である。 しかし、 た だ教師がモデルを見せるだけでは不十分で、 どのように活動を行うべきかということをスローラーナーに明確にするためには、 思 考の可視化を図ることも必要なステップであるというアドバイスも頂いた。 具体的には、 たとえばKJ法を使い、 生徒とのやりとりを 通して拾い上げた内容を板書し、 その内容を分類することで、 スローラーナーにも自分が学習していることが焦点化されるというこ とである。 先生方がおっしゃるように、 スローラーナーは理解をするのに時間が必要なため、 アドバイスを頂いたような活動を取り 入れ、 活動内容をシンプルにわかりやすく説明することは必要であると感じた。 4) 発表後の実践とこれからの取組  先生方からのアドバイスを取り入れるように努めている。 2年目の今は、 3年生の英語Rのクラスにおいて、 生徒に教科書の本文 の内容を理解させるステップでは、 教科書の本文のキーワードを見つけさせ、 そのキーワードに関連する語句をグラフィックオー ガナイザーを使い、 書き出させ、 それらを板書することで、 生徒に活動の内容だけでなく、 どのように本文を理解していくべきか を体験させることをねらいとする活動を取り入れた。 そうすることで、 先生方から頂いたアドバイスである思考の可視化を図るように 努めた。  今後は、 さらにスローラーナーに取り組みやすいように、 授業の構成や活動を改良していきたいと思う。

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7. これからの課題  未熟な教師2年目として、 今後もスローラーナーに寄り添い、 どのような活動をどのような方法で行っていくべきか、 考えて、 実 践を行いたいと思う。 文部科学省の指針である 「言語活動の充実」 を念頭に置き、 ただ教え込み、 その知識を確かめるだけで 終わるのではなく、 教えたことを生徒が使う授業を行っていきたいと思う。 その際も、 スモール ・ ステップを大切にし、 活動内容 や思考の可視化を図ることで、 スローラーナーが積極的に学べる学習環境を作りたい。 また、 生徒の興味を意識した題材やタス クを取り入れ、 生徒が自分で学んでいるという意識付けを行い、 learner autonomy の確立をめざしたい。        8. 謝意   最後になりましたが、 このような発表の機会を与えてくださった、 大阪女学院大学の中井先生や関係者の方々、 また、 未熟な 発表を聞きに来てくださった先生方に感謝しています。 先生方から頂いた貴重 アドバイスを参考に今後もスローラーナーに向き 合い、 自分自身の授業をよりよいものにしていきたいと思います。 本当に有難うございました 参考文献

Brown, D.H. (2007). PRINCIPLES of LANGUAGE AND TEACHING. White Plains, NY: Person Education, Inc. Brown, D.H. (2007). TEACHING by PRINCIPLES. White Plains, NY: Person Education, Inc.

参照

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