1) 早稲田大学スポーツ科学学術院
〒3591192 埼玉県所沢市三ヶ島 257915 2) 筑波大学大学院人間総合科学研究科
〒3058574 茨城県つくば市天王台 111 連絡先 松井泰二
1. Faculty of Sport Sciences, Waseda University 257915 Mikajima, Tokorozawa, Saitama 3591192 2. Graduate School of Comprehensive Human Sciences,
University of Tsukuba
111 Tennodai, Tsukuba, Ibaraki 3058574 Corresponding author matsui@waseda.jp
事例報告
男子バレーボールのブロックパフォーマンス改善に関する
実践研究遂行過程におけるゲーム局面
および攻撃テンポに着目して
松井 泰二1) 矢島 忠明1) 都澤 凡夫2)
Taiji Matsui1, Tadaaki Yajima1and Tadao Miyakozawa2: Practical research on improving blocking
per-formance in men's volleyball: Focusing on the game situation and spike tempo in the blocking process. Japan J. Phys. Educ. Hlth. Sport Sci. 57: 699720, December, 2012
AbstractThe purpose of this study was to determine the eŠectiveness of a program created to improve the blocking performance of a men's university volleyball team. Its eŠectiveness was veriˆed by compar-ing the performance of the volleyball team before and after the introduction of the program. We hypothe-sized that improving the six component elements of body movement in the preparatory phase of blocking would be eŠective for improving blocking performance. A practice program was thus created to improve the blocking skills of the team. The team members used this practice program six days a week for ten weeks. The numerical values for each component element of two teams―Japan's top team in the V・Pre-mier League and the university team―were compared. The practice program was then created on the basis of these data. The team trained with this program six days a week for ten weeks. The university team consisted of six men: height 187.7±3.4 cm, weight 77.3±6.4 kg, age 19.3±0.5 years and career 9.7±2.6 years. The autumn league games were played after training with the new practice program. Performances in the spring and autumn seasons were compared based on an analysis of the six compo-nent elements. The analysis results showed that the six compocompo-nent elements of body movement in the blocking process improved after training with the new practice program. Furthermore, the number of eŠective blocking performances increased dramatically. Thus, the results of this study show that improv-ing the individual components of the blockimprov-ing process is eŠective for improvement of overall blockimprov-ing performance.
Key wordsvolleyball, blocking, process, improve the performance キーワードバレーボール,ブロック,遂行過程,パフォーマンス改善
.緒
言
バレーボール競技(以下「バレーボール」と略 す)は,自分のコート内においては相手に妨害を されることなく自由意志で攻撃の戦術を構築する ことが可能な競技であるといえる.現在のバレー ボール男子トップレベルにおける主たる戦術で は,相手側の攻撃に関する戦術の構築をいかに阻 止するかが重要な事項の一つとされている.これ は,サーブ権を有しなければ得点できなかった以 前のルールからラリーポイント制に移行し,サー ブ権がなくても得点できるようになり,特に男子 においてはサーブをおこなうチームが必ずしも有利でなくなったと考えられる.スパイク技術を用 いたジャンピングサーブにより相手の守備陣形を 崩し,攻撃者数や攻撃種などを限定させることに より,サーブ側のブロックが有利になるような状 況を創出し,勝機を見出そうとしている(松井ほ か,2008).実際,自チームのサーブ時の相手攻 撃に対する最初の攻撃(ファースト・トランジシ ョン)であるディグ・アタック(スパイクレシー ブからの攻撃)局面による得点が,ゲームの勝敗 に 最 も 影 響 を 及 ぼ し て い る ( 吉 田 ・ 箕 輪 , 2001).一方,レセプション・アタック(サーブ レシーブからの攻撃)局面のサイドアウト(相手 チームのサーブから始まるラリーによる得点)率 を向上させることも重要とされており(メイフ ォース,2006箕輪,2002),サーブ権のない状 況で得点できる能力が重要であるとの指摘もあ る.このような,相手の攻撃決定率を減少させる ための要因を含む技術として,ブロックによるフ ァースト・ディフェンスを第一にあげることがで きる(Selinger and Ackermann-Blount, 1986; Gozansky, 2001 レ ゼ ン デ , 2003 Reynaud, 2011).このブロックは得点を得るために相手の 攻撃を阻止して相手コートにボールを落とすばか りではなく,スパイクの速度を減速させることで 味方の攻撃の機会を増大させる可能性を生み出 し,味方チームの攻撃機会を獲得するスキルとも 捉えられる(Gozansky,2001). ブロックは,セット(トス)やアタック等の味 方同士における自由意思下によるスキルとは異な り,相手攻撃に対する「対応スキル」と位置づけ られているため自由意思によるプレイは不可能で ある.仮に優れたブロック技術を有していても, す べ て の ボ ー ル を ブ ロ ッ ク す る こ と は で き ず (McGown et al., 2001),アタッカーの技術によ っては逆に自チームの失点に繋がる場合もある ( 日 本 バ レ ー ボ ー ル 協 会 監 , 2000 ). こ の よ う に,複雑な多要素を含む複合的技術であることか ら,ブロックはバレーボールスキルの中でも特に 習得・完成までに時間を要する難しいスキルに位 置づけられている(マクガウン,1998白数, 2002). このような難しい技術について,ゲームでのパ フォーマンスを効果的に上げるためには,プレイ ヤーは試合中に状況が絶え間なく変化するゲーム 状況に応じてプレイすることが必要である(中川, 2000).そのため,ゲームアナリシス(パフォー マンス分析)の立場についても,ゲーム分析を単 なる数値の意味の解釈にとどまらせず,フィール ドの場所や敵・味方選手のポジションなどの試合 状況を含んだ観点でとらえることが必要となる ( 山 中 , 1999 ). バレ ー ボ ール を 対 象 と し て , ゲームの状況を反映させたゲームアナリシス的見 地からは,ブロックの技術特性についての報告 (佐賀野ほか,1996佐賀野ほか,2002)が散見 されるだけであるが,研究対象の試技数が少なす ぎるため,結論が見いだせない.また,相手のレ セプション・アタック局面の分析(米沢・宮本, 1999)や大学女子チームの 1 チームを対象に相 手の攻撃者数に対する技術結果および攻撃テンポ に対するブロックの参加者数の結果についての分 析(米沢,2001)も見られるが,これらの報告 では,ゲーム状況を考慮したブロックの本質を捉 えていないと考えられる.バレーボールを対象と してゲーム状況を踏まえたブロック遂行過程に関 する研究は,わずかに松井ほか(2010)が主要 局面の評価と共にそれにつながる遂行過程を評価 することは有意義であるとの仮説を提唱し,国内 男子トップリーグに属するチームスタッフを対象 とした調査を通じて,ブロックにおける遂行過程 の構成要素を明らかにした.さらに,松井ほか (2011)は国内男子トップリーグの試合を対象と して,相手攻撃の「局面」および「攻撃テンポ」 の異なった状況下において,重視すべきブロック 遂行過程の各構成要素を明らかにした.さらに, コーチがプレイヤーに的確な指示を出す,あるい はプレイヤー自身でその状況を理解しパフォーマ ンスを発揮するためには,攻撃側の要因となる様 々な条件を詳細に分類し,それに対応したブロッ クの遂行過程を明らかにすることができれば,ブ ロックの成功率向上に有益な情報となり得ること が期待できる.また,ブロックにおける遂行過程 の改善には多様なゲーム状況に対するプレイヤー
表 対象者の身体的特徴およびポジション 大 学 (n=6) 国内トップリーグ(n=48) 身 長 187.7±3.4 cm 192.9±6.8 cm 体 重 77.3±6.4 kg 85.0±8.7 kg 年 齢 19.3±0.5歳 27.8±3.4歳 ポジション (人数) ウイングスパイカー (2) ウイングスパイカー(16) ミドルブロッカー (2) ミドルブロッカー(16) オポジット (1) オポジット (8) セッター (1) セッター (8) の対応力を習得させるプログラムが必要であると 考えられる.このような特性を有するブロックで はあるが,これまでの研究では,プレイの結果で ある主要局面に着目したものが多数を占めてお り,またゲームの一部分のみを対象とした研究で あった.スキルの獲得を目的とする場合,コーチ ング・プログラムの構築も重要な要因の一つであ ると想定されるが,Martens(1990)はスキルを 獲得するためには正しい技術を練習すること,試 合に近い状況での練習をすることなどを挙げてお り,その条件を踏まえたうえでスキルを獲得する ためのプログラムを構築し,実践することの検討 が必要であろう. しかしながら,これまでにゲーム状況を捉えブ ロックスキルの遂行過程における構成要素を明ら かにした上で,結果との関係を導出し,そのパフ ォーマンスの改善を目的としたプログラムを構築 し実践をおこなった研究はみられない.以上のこ とを背景に本研究では,大学男子バレーボールプ レイヤーを対象として,◯サーブ局面およびラ リー局面ならびに相手の攻撃テンポの違いにおけ るブロック遂行過程の構成要素を明らかにし,◯ それを反映させたブロックパフォーマンスを改善 するためのプログラムの構築およびその実践によ ってブロックのパフォーマンスに対する効果を検 討し,新たな知見を提供することを目的とした.
.方
法
. 本研究における用語および技術の定義 用語の定義 この論文で使用される主な用語について,以下 のように定義した. ◯ 遂行過程相手セッターのセット・アップ (トスを上げること)前0.6 sec 時におけるブ ロッカーの一連の動作である基本の位置取り から相手のアタック・ヒット(アタックを打 つこと)までの運動過程のこと. ◯ サーブ局面味方のサーブ打球後における 相手の 1 回目のレセプション・アタックが おこなわれた直後のブロック場面までのこと. ◯ ラリー局面 味方のサーブ打球後における相手の 1 回目のレセプション・アタック後に味方 がディグなどによりラリーを継続し相手 へ攻撃後,そのままラリーが継続され, 相手の 2 回目(2 回目以降の攻撃を含む) のディグ・アタックに対するブロック場 面のこと. 相手がサーブの権利を有し,味方がレセ プション・アタック後に相手がディグな どによりラリーを継続し,相手のディ グ・アタックに対する味方のブロック場 面のこと. ◯ 攻撃のテンポセット・アップからアタッ ク・ヒットまでの時間のこと.テンポはセッ ト・アップからアタック・ヒットまでの時間 により 3 段階に分けられ,その時間が短い 順に,ファースト・テンポ(以下「1st テン ポ 」 と 略 す ), セ カ ン ド ・ テ ン ポ ( 以 下 「2nd テンポ」と略す),サード・テンポ(以 下「3rd テンポ」と略す)とする(日本バレー ボール学会編,2010). . 大学生におけるブロック技術向上に向けた 修正課題の抽出 対象者 関東大学バレーボール連盟に加盟する大学チー ムの中から 1 チームを選択し,そのチームの所 属プレイヤーの中から,2010年に開催された春 季関東大学バレーボール男子リーグ戦における 3表 遂行過程における構成要素の定義 測定項目 定 義 基本の位置取り ボール接触前におけるホームポジションの位置 ブロックの構え 意思決定時にスムーズに移れるような効率的な構え 実行人数 ブロックの参加人数 アタックエリアでの 待機の早さ 相手攻撃のエリアへ移動完了後の待機時間 アタッカーへの 近づき との距 離 対象 アタ ッカー 基準ブロッカー レフトサイドからの攻撃に対してはライトブロッカー ミドルからの攻撃に対してはミドルブロッカー ライトサイドからの攻撃に対してはレフトブロッカー 追従 1 ブロッカー 2 人でのブロック形成時,基準ブロッカーではない追従するブロッカー 追従 2 ブロッカー 3 人でのブロック形成時,基準ブロッカーからいちばん離れたブロッカー ブロックの高さ アタックヒット時のブロックの高さ 試合(12セット,263試技)に常時出場していた 6 名を分析の対象とした(表 1).また,大学チー ムのブロック遂行過程における課題を抽出するた めの比較対照群としては,2007年から2008年に かけて開催された V・プレミアリーグ男子大会 の 4 試合(8 チーム,14セット,606試技)に常 時出場していたプレイヤー48名を採用した(表 1). 撮影および分析手段 バレーボールコートのエンドライン上後方観覧 席にデジタルビデオカメラ(30 f/sec)を設置し, コート全面(18 m×9 m)が画面に収まるように して,試合開始から終了まで全プレイを撮影し た.収録した画像は AVI ファイルに変換した上 で , 2 次 元 ・ 3 次 元 ビ デ オ 動 作 解 析 シ ス テ ム ( Frame DIAS , version3. ディ ケ イエ イ チ 社 製)によりデジタイズし,60 f/sec で 2 次元解析 した. 本研究では,ゲーム局面および相手の攻撃テン ポが異なる状況下でのブロックにおける遂行過程 の各構成要素が,どの場面で重視されるのかを明 らかにすることを目的としている.したがって, 少数の断片的なサンプルによる実験では,ゲーム の状況や流れを反映した実験結果が得られるとは 考え難い.また,ゲーム内で発揮されたさまざま な場面でのパフォーマンスから抽出されたサンプ ルを分析することが不可欠であり,少しでも多く のサンプルを確保することで研究の信頼性を保証 しうるものになる.そのため,測定方法の煩雑さ による分析精度の低下などを考慮し,選手が複雑 に移動方向の転換や体の回転などについては定量 解析できないものの,直線的に移動しているサー ブやブロック動作では観客席から斜め方向に撮影 したフィルムでも定量解析できる 2 次元 DLT 法 による VTR 動作分析システム(橋原・西村, 1995)を採用した. 遂行過程の構成要素 1) 測定項目および定義 ブロックにおける遂行過程の構成要素について は,国内男子トップリーグである V・プレミア リーグのスタッフを対象におこなった研究結果 (松井ほか,2010)に基づき,基本の位置取り, ブロックの構え,ブロックの実行人数,アタック エリアでの待機の早さ,ボールへの近づきおよび ブロックの高さの 6 つの構成要素を採用し,測 定項目とした(表 2). 2) 測定方法 表 2 に示したブロック遂行過程の構成要素の うち,「基本の位置取り」,「アタックエリアでの
図 較正点 A 図 較正点 B 図 基本の位置取り 待機の早さ」および「アタッカーへの近づき」の 3 つの分析に際しては,バレーボールコートライ ン 上 の 10 点 の 交 点 を 較 正 点 A と 設 定 し た ( 図 1).また,「ブロックの構え」および「ブロック の高さ」の分析に際しては,佐賀野ほか(2002) の研究をモデルとして,コートラインのセンター ラインとサイドラインとの交点,さらにセンター ラインとサイドラインの交点における垂直線上に 較正点 B を設定した(図 2). 「基本の位置取り」は,セッターがセット・ア ップをおこなう0.6 sec 前の時点におけるブロッ カー 3 人のコート上の位置を示す項目とした. バレーボールコートのネットに向かい左側サイド ラインとセンターラインの交点を原点(0 m)と して,レフトポジションとミドルポジションおよ びライトポジションは2.50 m, 4.50 m, 6.50 m の 地点を基本の位置として設定した(図 3).3 人 がポジショニングした位置で各プレイヤーの両踵 を直線で結んだ中間位置を計測し,基本の位置と その距離の差を算出した.また,「ブロックの構 え」は,セッターがセット・アップをおこなう 0.6 sec 前の時点におけるブロッカー 3 人が構え た姿勢での両掌指尖部の高さ(位置)とした.バ レーボールコートのサイドラインとセンターライ ンの交点を原点(0 m)として,ネット上方方向 に設定し 3 人がポジショニングした位置におけ る各プレイヤーの両掌指尖部の中間位置を計測し た.「ブロックの実行人数」は,相手のアタック・ ヒットされた時点において,ブロッカーの両掌が 完全にネット上に出ている場合を 1 人,片掌の 場合は0.5人,両掌ともにネット上に完全に出て いない場合は 0 人として算出した.また,2 人あ るいは 3 人がブロックに参加した場合は,各ブ ロッカーの片掌のみがネット上に出ている場合は 1 人などと合算して計測しないこととした.さら に,「アタックエリアでの待機の早さ」は,ブロ ッカーがブロック位置に移動し,それ以降ステッ プを変更しない位置に踏み込んだ時点の時間を移 動完了と定義し,アタック・ヒット時の時間との 差を計測した.「アタッカーへの近づき」は,ア タッカーについては,スパイク時の踏み切り時に おける両踵の中間位置を計測し,ブロッカーにつ いてはブロック時の踏み切り位置における両踵を 直線で結んだ中間位置を計測し,両者間における 距離の差を計測した(図 4).また,ブロックは 相手が攻撃をするエリアの違いによりブロッカー 3 人のポジションごとに役割が異なることから, それぞれを「基準ブロッカー」,「追従 1 ブロッ カー」,「追従 2 ブロッカー」と称した(表 2). 「ブロックの高さ」は,バレーボールコートのサ イドラインとセンターラインの交点を原点(0 m)
図 アタッカーへの近づき として,アタック・ヒット時点における,ブロッ ク参加者の両掌指尖部のネット上方向への高さ (位置)を測定し,中間位置を計測点とした. ブロックの結果についての評価 ブロックの結果は 6 段階で評価した.相手の 攻撃に対するブロックの評価は,ブロック決定 (得点),ブロックにあたり継続(継続),ブロッ クにあたらない継続(継続),ブロックにあたる がスパイク決定(失点),ブロックにあたらずス パイク決定(失点),アタッカーによる反則およ びブロックにあたらずにスパイク失敗(得点)の それぞれを 5, 4, 3, 2, 1, 0 評価とした.この評価 をさらに,上位 5 および 4 評価を「貢献群」,下 位 1 および 2 評価を「非貢献群」の 2 群に分類 した.また,3 および 0 評価については,ブロッ クの貢献度を客観的に判断できないことから研究 対象外として扱った. 課題抽出の手続き 大学生のブロックパフォーマンスを改善するこ とを目的とした遂行過程における構成要素の修正 課題を抽出するために,以下の分析をおこなった. 始めに,サーブ局面およびラリー局面における 1st テンポ,2nd テンポおよび 3rd テンポの異な った攻撃テンポに対する状況下での重視すべき構 成要素を明らかにするために,大学チームを対象 として修正プログラムの実施前におけるブロック の結果について貢献群と非貢献群での群間比較を おこない,有意差が認められた項目を重視すべき 構成要素と定義した.これに続いて,課題抽出に 際しての比較対象は国内男子トップリーグチーム とし,「バレーボールにおける効果的なブロック パフォーマンスを生み出す遂行過程の構成要素」 (松井ほか,2011)で示された項目に基づいてお こなわれた.国内男子トップリーグチームと大学 チームにおける測定結果の相違項目について, 「修正すべき課題」と定義し検討をした. 統計処理 大学チーム所属プレイヤーを対象としたブロッ ク遂行過程の構成要素における貢献群と非貢献群 について,対応のない t 検定を用いて群間比較を おこなった.測定結果は平均値と標準偏差で示し た.統計的水準はすべて 5 に設定した. 分析の一致率 分析の一致率については,上記の「ブロック の結果についての評価」を対象とし,分析結果の 客観性を検証することを目的として 2 名の分析 者間での結果の一致率を検討した.バレーボール のコーチ経験を10年以上有した者 2 名(国内ト ップレベルチームでのアナリスト経験者を含む) が,同一映像を用いて分析をおこなった.この分 析結果を用いて,一致率(Siedentop and Tanne-hill, 1999)を算出した.一致率は,一致数を総 数(一致数+不一致数)で除し,100を乗じて求 めた.分析の結果,不一致と判定されたプレイに ついては再度分析をした. . 修正課題に伴う修正プログラムの提示およ びパフォーマンスの変化 対象者 上記の 2「大学生におけるブロック技術向上 に向けた修正課題の抽出」と同一の大学チームの プレイヤーのうち,試合で実際にブロックをおこ なうプレイヤーを修正課題に取り組む対象者とし た.これらの対象者に対し,試合におけるブロッ クが改善されることを目的として,2010年 7 月 初旬から秋季リーグ戦がおこなわれる 9 月中旬 までの10週間(6 回/週)にわたり,上記の 2 によって導き出された課題を修正するための修正 プログラムを提供し,実践させた.対象チームは ブロックについてコーチングをされた経験がほと んどなく,個人の経験に基づいてのみ練習および プレイをしていた.
表 基礎プログラム 1 ゲームにおけるブロックについての技術特性 ブロックに対する意識変化を誘導するコーチングポイント ブロックはディフェンスの第一線である フロア・ディフェンス(ディグ)を 1 番目に考えるのではなく,ネット・ディフェンスの成功がフロア・ディフェンス の負担軽減になる バレーボールの総得点の60はスパイクによるも のである バレーボールの総得点中の60を占めるスパイク得点を低 下させることにより,勝機が見いだせる可能性.ブロックに より,この値を下げることが有効 1 セット平均での 1 人のブロック得点 男子0.84点,女子0.84点 (2009/10年国内トップリーグ個人最高得点者) 国内トップレベルの男女では,1 セットに 1 点に満たない難 しいスキル バレーボールスキルの中でも特に習得・完成までに 時間を要する難しいスキルである 習得することに時間がかかるため継続的な練習が必要であり,毎回の練習に取り入れた上で,時間をかけておこなう 相手コートにボールをはね返すばかりではなく,味 方にカウンターアタックの可能性を生み出している 相手コートへ決定させるスキルばかりでなく,ブロック接触 数を増加することによりディグをしやすくし,味方の攻撃回 数を増やすこと サーブ局面では事前に蓄積された相手攻撃のデータ の分析結果に基づき,戦術を構築した上でプレイを することが可能である 相手の攻撃局面および攻撃のテンポならびに攻撃パターンや 攻撃者を予測し,戦術を構築したうえでプレイをすること 表 基礎プログラム 2 改善のコンセプト コーチングポイント リードブロックを習得する リードブロックの習得により,ブロックの実行人数が増え,ワンタッチ数の増加が期待される.コミットブロックとの使い分けはさらに効果的 ミドルブロッカーとサイドブロッ カーの役割の明確化 ブロッカーのポジションの違いによる役割およびブロックエリアでの責任範囲の明確化は,各自すべきことに専念できる.失敗時の責任の所在が明確 ブロッカー同士とバックプレイヤー とのコミュニケーション能力の向上 相手の攻撃状況について情報を獲得したプレイヤーは必ず声にだし,他のプレイヤーに伝達する 1st テンポ攻撃に対しストレスをか ける 複雑な攻撃を単調化させるために,1st テンポの攻撃に対してはスパイク決定率を低下させる 3rd テンポ攻撃への貢献ブロック増 加 相手の攻撃が悪い状況であるので,実行人数を増やし貢献ブロックを増加させる 表 基礎プログラム 3 構成要素 コーチングポイント 基本の位置取り 決められた位置に必ず戻り適切な行動ができる準備をする ブロックの構え 掌を高い位置に準備をし,反応後ネット上に掌が出るようにする 実行人数 セッターに惑わされずにボールに反応して,多くの人数で参加 アタックエリア での待機の早さ セット・アップ後に素早くブロック地点へ移動し,早めにブロックジャンプの準備をする.2 人または 3 人ブロックの際にはジャンプするタイミングを合わせる準備時間の確保 アタッカーへの 近づき 基準ブロッカーは,セット・アップ後 2 人または 3 人ブロックの基準を形成し,追従ブロッ カーと共にエリアの壁を作る.追従ブロッカー 1 および追従ブロッカー 2 は基準ブロッカーと の隙間を開けない ブロックの高さ できるだけ高い障害壁を形成する.アタッカーのタイミングに合わせ,高い位置でブロック
練習 1 練習 2 練習 3 練習 4 練習 5 基本の 位置取り繰 り返し 2 分 4 ・ 5 パス 3 人ブロック 3 vs 5 4vs 3 + 14 v s3 + 2 練習のねらい 基 本の 位置 取り で構 え, すば やく 戻る 構 えを でき る限 り高 い位 置に 掌を 置い て構 える 連 続し た動 きの 中で 正し く動 作を おこ なう 実 行人 数を 増や す タ イミ ング をあ わせ 高さ を出 す ブ ロッ カー 3 人の タイ ミン グを 合わ せる セ ット ・ア ップ される 場所 の判 断力 を身 につ ける 1s t テン ポの 3 種 類の攻撃 の違い, 2n d テンポと の違 いを 見極 め, アタッ クエ リア での 待機 時間 を確 保で きる よう にす る ブ ロッ カー 数が アタ ッカ ー数 より 不利 な状 況で の 対応 力を 身に つけ る 1s t テンポ に配球 されな いよ う,構 えを正 確に お こな い, 相手 の攻 撃状 況の 手掛 かり を獲 得で きる よ うに する 相 手攻 撃, レセ プシ ョン から の攻 撃お よび ハイ ・ セッ トの 3 つ の場面 につ いて, 相手の 状況 を素早 く判 断し , 6 つの 構成 要素 を意 識し てお こな う 異 なる 3 つ の場面 状況 を理解 し,素 早く 判断・ 行動 する こと 記号 ● ブロッ カー ○ アタッカ ー △ セッター □ レシ ーバー ■ BOX C コーチ ボールの 動き スパイカー の動き ブロ ッカーの動 き コート図 練習の手順 1 ) レフ ト,ミ ドル, ライト の各基 本の位置 にセン ター ライ ンと 垂直 に交 差す るラ イン を引 く 2 ) ブロ ッカー はライ ンをま たいで 基本の位 置で構 える 3) コ ーチは ブロッ ク側 のコー トか らアタ ック側 コー トの レシ ーバ ーに フリ ーボ ール を入 れる 4 ) レシーバ ーはセッター に返球し,セ ッターは 3 人 のアタッカー (ミドルの 1 人は BO X 上でジャン プせ ずに スパ イク を打 つ) にラ ンダ ムに セッ ト・ ア ップ をお こな う 5 ) ブロ ッカー はセッ ト・ア ップ後 にブロッ クの位 置に 移動 し, スパ イク に対 して ブロ ック をお こな う 6 ) ブロ ック完 了後, コーチ はプレ イの間隔 をあけ ずに 続け てレ シー バー に向 けて フリ ーボ ール を入 れ る 7) ブロ ッカー はすぐ に基本 の位置 に戻り, ライン をま たい で構 える 1 ) ブロ ッカ ー 3 人は 練習 1 と同様 に基 本の 位置 に 構え る 2 ) コー チはア タック 側のセ ッター (レシ ーバーの 場合 もあ る) にワ ンバ ウン ドの ボー ルを 送る 3 ) セッ ター( レシー バー) はレフ トまた はライト のど ちら かの アタ ッカ ーに ハイ ・セ ット を上 げる 4 ) ブロ ッカー は,セ ット・ アップ された ことを確 認後,素早くその位置をコー ルをし, 3 人で移動 を しブ ロッ クを する 5 ) セッ ト・ア ップは ランダ ムに行 い,コ ーチから 出さ れた ボー ルが アタ ック ライ ン付 近の 場合 には , ミド ル攻 撃も おこ なう 6 ) ブロ ック完 了後, コーチ は続け てセッ ター(レ シー バー )に ワン バウ ンド ボー ルを 送る 7 ) ブロ ッカー はすぐ に基本 の位置 に戻り ,ライン をま たい で構 え, セッ ター (レ シー バー )のセ ット ・ アッ プの 状況 を注 視す る 1 )ブロ ッカ ー 3 人は 基本 の位 置に 構え る 2 ) コ ーチは ブロ ック側 のコー トか らアタ ック 側 コー トの レシ ーバ ーにフ リー ボー ルを 入れ る 3 ) レシーバ ーはセッター に返球し,セ ッターは 5 人 のアタッカ ー(ミドルの 3 人は BO X 上でジャ ン プせ ずに スパ イク を打つ )に ラン ダム にセ ット ・ア ップ をお こな う 4 ) ブロ ッカー はセッ ト・ア ップ後 にブロ ックの 位 置に 移動 し, スパ イクに 対し てブ ロッ クを おこ なう 5 ) ブ ロック 完了 後,コ ーチは 続け てボー ルを レ シー バー に向 かっ てフリ ーボ ール を入 れる 6 ) ブロ ッカー はすぐ に基本 の位置 に戻り ,ライ ン をま たい で構 える 7 ) 1 ) ~ 6 )を繰 り返 す 1 ) ブロ ッカ ー 3 人は 基本 の位 置に 構え る 2 ) コー チはブ ロック 側のコ ートか らサー ブをア タ ック 側に 打ち ,レ セプ ショ ン・ アタ ック をお こな う 3 ) レシーバ ーはセッターに 返球し,セ ッターは 4 人の アタ ッカ ーに ラン ダム にセ ット ・ア ップ をお こ なう .こ の練 習で はバ ック アタ ック も入 れる ため 数 的不 利な 状況 であ るの で, より 早く 的確 な状 況判 断 をお こな う 4 ) ブロ ッカー は,デ ィグの 返球が 乱れた 場合な ど の状 況判 断を 的確 にお こな う. ワン タッ チ等 によ り ラリ ーが 継続 した 場合 には プレ イは 続け てお こな う 5 ) ブロ ック側 のブロ ック決 定また は反転 攻撃が 決 定し た場 合は ,ア タッ ク側 にフ リー ボー ルを 入れ , 相手 の攻 撃に 対し てブ ロッ クの 準備 をお こな う 6 ) ブロ ッカー はすぐ に基本 の位置 に戻り ,ライ ン をま たい で構 える 7 ) 1 ) ~ 6 )を繰 り返 す 1 ) ブロ ッカ ー 3 人は 基本 の位 置に 構え る 2 ) ブ ロック側 のプレ イヤー はサー ブをア タック 側 に打 ち, レセ プシ ョン ・ア タッ クを おこ なう 3 ) レシーバ ーはセッターに 返球し,セ ッターは 5 人の スパ イカ ーに ラン ダム にセ ット ・ア ップ をお こ なう .こ の際 に, レシ ーバ ーは 意図 的に 返球 位置 を 動か す 4 ) ブ ロッカー は,状 況判断 を的確 におこ ない, 味 方に コー ルを する 5 ) ワ ンタッチ 等によ りラリ ーが継 続した 場合に は プレ イは 続け てお こな う 6 ) ブ ロック側 のブロ ック決 定また は反転 攻撃が 決 定し た場 合は ,ア タッ ク側 にフ リー ボー ルを 入れ , 相手 の攻 撃に 対し てブ ロッ クの 準備 をお こな う 7 ) 相 手の攻撃 に対し ワンタ ッチ等 により ラリー が 継続 した 場合 には プレ イは 続け てお こな い, ブロ ッ ク側 のブ ロッ ク決 定ま たは 反転 攻撃 が決 定し た場 合 は, アタ ック 側に ワン バウ ンド のボ ール を入 れ, セ ッタ ーま たは レシ ーバ ーが ハイ ・セ ット をし 攻撃 す る 8) 1 ) ~ 7 )を繰 り返 す 2 分間 同じ プレ イヤ ーが 連続 して おこ なう 時間 内で 3 度以上 基本 の位置 に戻 らなか った 場 合に は, その プレ イヤ ーは やり 直し とし て再 度お こ ない ,で きる まで おこ なう 6 回の 攻撃 を同じ プレ イヤー が連 続して おこ な う 6 回の攻撃 でグループが 3 回以上, 3 人でブロ ッ クに 参加 でき なか った 場合 には ,そ のグ ルー プは や り直 しと して 再度 おこ ない ,で きる まで おこ なう 7 回の 攻撃 を同じ プレ イヤー が連 続して おこな う 7 回の攻 撃で 4 本 ワンタッ チで交代 .できなか った 場合 には ,そ のグル ープ はや り直 しと して 再度 おこ ない ,で きる までお こな う レ セプ ショ ン・ アタ ック のブ ロッ クま たは 反転 攻 撃の 成功 ,お よび フリ ーボ ール から のア タッ クに 対 する ブロ ック また は反 転攻 撃の 両方 で 1 点 5 点で 交代 する レ セプ ショ ン・ アタ ック のブ ロッ クま たは 反転 攻 撃の 成功 ,お よび フリ ーボ ール から のア タッ クに 対 するブロックまたは反転攻撃の両方で 1 点,ハ イ・ セッ トの ブロ ック で 1 点. 7 点で 交代 する 練習の留意点 ブ ロッ クの 終了 後, 基本 の位 置に 素早 く戻 るこ と を意 識を する 構 える 際に は両 掌を 頭よ り高 い位 置に する よう に 意識 をす る レ シー バー の返 球状 況や セッ ト・ アッ プの 方向 等 の共 有す る情 報が わか った 場合 ,声 に出 して 伝達 を する ど こに セッ ト・ アッ プが なさ れた のか を気 づい た プレイヤーがコールし, 3 人のブロッカー同士の コ ミュ ニケ ーシ ョン を図 り, 実行 人数 を多 くす る 早 く戻 るこ とを 意識 をす る ブ ロッ クの 高さ を出 すた めに タイ ミン グの 取り 方 が重 要で ある こと の意 識を する 3 人の ブロ ッカー 同士 のジャ ンプ 等のタ イミ ン グを 同じ にす るよ うに 意識 をす る セ ット ・ア ップ された ボー ルの 飛び 出し 角度 や方 向を 見極 める こと に意識 を集 中す る セ ット ・ア ップ された 方向 がわ かっ たら ,大 きな 声で コー ルす る 8 回の 攻撃 を同じ プレ イヤー が連 続して おこな う ワン タッチ をし た場合 は 1 点 ,ブ ロック を決定 した 場合 には 2 点を 与え , 6 点以 上を 目標 とす る 数 的不 利な 状況 であ るの で, 配球 の確 率が 低い ア タッ カー をコ ール する など して ,数 的不 利な 状況 を おぎ なう ミ ドル ブロ ッカ ーは バッ クア タッ クが ある こと に より ,ミ ドル 付近 を注 視す る. サイ ド攻 撃に 対し て 遅れ てブ ロッ ク参 加を した 場合 の対 応を サイ ドブ ロ ッカ ーは おこ なう 相 手の 状況 が悪 い場 合に は待 機時 間を 確保 し, 実 行人 数を 増や す 相 手の 攻撃 状況 を把 握す るこ とと 共に 場面 別に お ける 重視 され る構 成要 素を 意識 して おこ なう ブロックが数的 不利であるので 1s t テンポの攻撃 に対 して は, ワン タッ チを 獲得 する 手段 を選 択し , サイ ド攻 撃 には 2 人 以上 の参加 人数に なる よう意 識を する ブ ロッ カー はボ ール を止 めに 行く 場面 とワ ンタ ッ チす べき場 面の 判断 をし ,フ ロア ディ フェ ンス と コー ディ ネー トす るこ と 図 状 況別 プログ ラム 1 (一 部)
表 状況別プログラム 2(一部) 局面 テン ポ 構成要素 考慮したコーチングポイント局面および攻撃のテンポを サーブ 1 待機の早さ セッターおよびミドルブロッカーの動作に注意をしながら,1st テンポ攻撃に反 応が遅れない 2 構え 1st テンポ攻撃への配球を防ぐため,掌を高くする 待機の 早さ 基準ブロッカーは 1st テンポ攻撃の見極めを正確におこなう 3 構え 1st および 2nd テンポ攻撃への配球を防ぐため,掌を高くする 高さ アタッカーのジャンプに対し,ブロッカー同士がタイミングを合わせたジャン プを意識し,高い障害壁を形成する 修正課題の明確化 1) 修正プログラム 修正プログラムは,有識者の指摘および先行研 究を参考に以下の 5 つのプログラムで構成され た.1 つ目は技術特性を示した基礎プログラム 1 (表 3)とした.このプログラムの実施に際して は,事例を用いながらブロックに対する意識変化 を誘導するコーチングを対象者全員が理解の可能 な用語を用いて十分に時間をかけて説明をした. 2 つ目は,改善のコンセプトを示した基礎プログ ラム 2 とした(表 4).春季リーグ戦において, 対象となったプレイヤーが所属する大学チームが おこなった全10試合を VTR にて確認した上で, 改善すべき点を「改善のコンセプト」として 5 項目を挙げ,具体的な指導言語を用いてコーチン グポイントとして伝達した.次いで,ブロックの 構成要素に関わる基礎プログラム 3(表 5)を実 践させた.松井ほか(2010)が報告したブロッ ク遂行過程における 6 つの構成要素について, それらの各項目について具体的にどのようにプレ イすべきかを明確にし,その上で留意事項も説明 をした.4 つ目は実際の練習方法を示した状況別 プログラム 1(図 5)とした.試合に近い状況を 意識的に取りいれ,基礎プログラム 1・2・3 を 念頭に練習をおこなった. これら 4 つのプログラムの実践に続き,ゲー ム局面や相手攻撃の状況に対応して重視すべき構 成要素を示した状況別プログラム 2(表 6)を実 践させた.相手の攻撃テンポなどの攻撃パターン やセッターの配球を戦術的に予測して対応するこ とにより「貢献ブロック」(貢献群)の生起数が 増加することが予想されることから,相手攻撃の 特徴を事前に収集したデータをもとに修正プログ ラムを実行させた.さらに,国内トップリーグ チームとの比較結果に差異がない項目について は,継続して意識をしておこなわせた.プログラ ムは,ブロックが習得することに時間のかかる技 術であることを周知した上で,練習の前半部分で 基礎練習を後半で状況別練習に取り組むことを確 認した. パフォーマンスの変化 1) ブロックスキルの結果についての比較 パフォーマンスの変化についての分析対象は, 2010年に開催された秋季関東大学バレーボール 男子リーグ戦における 3 試合(10セット,240試 技)とした.プレイヤーのパフォーマンスの変化 について検討をおこなうため,前出のの 2 に おける撮影および分析手段,遂行過程の構成 要素,1)測定項目および定義,2)測定方 法,ブロックスキルの結果についての評価, 分析の一致率については同一の設定で測定をおこ なった. 2) 統計処理 ブロックにおける遂行過程の構成要素につい て,相手攻撃のテンポ差と実施前後差(プログラ ム実施前後)の値を要因とする二要因の分散分析 による検定をおこなった.本研究では,サーブ局 面およびラリー局面における相手攻撃のテンポの 違いによるブロックパフォーマンスの変化ならび にプログラム実施前後のテンポ差でのパフォーマ ンスの変化を検討している.二要因の分散分析を おこない主効果が認められた場合には Tukey 法 により多重比較をおこなった.また,要因間に有 意な交互作用が得られた際には,単純主効果分析 を実施し,Bonferroni 法により多重比較をおこ なった.また,各テンポにおけるプログラム実施 前後の数値変化を検討するためには t 検定を用い
表 サーブ局面における修正課題の抽出 基本の位置 (m) 構(m)え 実行人数(n) 待機の早さ(sec) 近づき(m) 高 さ (m) 基準 追従 1 追従 2 1st テンポ 貢 献 (n=28) 0.85±0.42 1.22±0.32 1.47±0.50 0.42±0.27 0.74±0.67 1.11±0.68 ― 2.75±0.09 非貢献 (n=61) 0.93±0.43 1.17±0.34 1.28±0.45 0.41±0.21 0.77±0.46 1.20±0.80 ― 2.58±0.12 2nd テンポ 貢 献 (n=33) 0.85±0.52 1.12±0.30 1.39±0.50 0.41±0.08 0.89±0.40 1.73±0.36 ― 2.77±0.09 非貢献 (n=63) 0.96±0.53 1.13±0.34 1.38±0.49 0.35±0.20 0.90±0.56 1.86±0.85 ― 2.65±0.10 3rd テンポ 貢 献 (n=5) 0.61±0.36 1.09±0.27 2.00±0.21 0.46±0.07 0.88±0.78 0.98±0.03 ― 2.76±0.08 非貢献 (n=7) 0.95±0.18 0.99±0.30 1.88±0.25 0.42±0.08 0.52±0.16 1.29±0.60 ― 2.72±0.05 データは平均値±標準偏差 p<.05(貢献群との比較) た.測定結果は平均値±標準偏差で示した.統計 水準はすべて 5 に設定した.
.結
果
. 修正課題の抽出 分析記録の一致率 分析記録の一致率については93であり,不 一致であったプレイについては再検証し100で あった.このことから 2 名による分析の客観性 は保たれていると判断した. 大学生プレイヤーにおける修正プログラム 実施前のパフォーマンス測定 1) サーブ局面 相手の攻撃をテンポ別に 1st テンポ,2nd テン ポおよび 3rd テンポに分類し,それぞれ分析をお こなった結果,サーブ局面においては相手の攻撃 が 1st テンポおよび 2nd テンポでおこなわれた時 には,「ブロックの高さ」の項目について貢献群 および非貢献群間に差異が認められ,「基本の位 置取り」の項目については,2nd テンポにおいて 差異が認められた(表 7). 2) ラリー局面 相手の攻撃が 1st テンポでおこなわれた時に は,「基本の位置取り」の項目について群間差異 が認められ,3rd テンポで攻撃がおこなわれた時 は,「基本の位置取り」,「ブロックの構え」およ び「ブロックの高さ」の項目について差異が認め られた(表 8). 国内トップリーグチームとの比較ならびに 修正課題の抽出 1) サーブ局面 松井ほか(2011)が示した項目に基づき,サー ブ局面と相手攻撃をテンポ別に 1st テンポ,2nd テンポおよび 3rd テンポに分類をして国内トップ リーグチームと比較をおこなった結果,相手の攻 撃が 1st テンポでおこなわれた時には,「アタッ クエリアでの待機の早さ」が重要項目であると認 められ,2nd テンポで攻撃がおこなわれた時に は,「ブロックの構え」および「アタックエリア での待機の早さ」,3rd テンポで攻撃がおこなわ れた時には,「ブロックの構え」および「ブロッ クの高さ」に差異が認められ,修正すべき課題が 提示された. 2) ラリー局面 相手の攻撃が 1st テンポでおこなわれた時に は,「アタッックエリアでの待機の早さ」および 「ブロックの高さ」の項目について国内トップリー グチームとの差異が認められ,また,2nd テンポ でおこなわれた時には,「ブロックの実行人数」表 ラリー局面における修正課題の抽出 基本の位置 (m) 構(m)え 実行人数(n) 待機の早さ(sec) 近づき(m) 高 さ (m) 基準 追従 1 追従 2 1st テンポ 貢 献 (n=4) 0.43±0.21 1.32±0.09 1.25±0.50 0.38±0.12 0.60±0.12 0.81±0.86 ― 2.70±0.04 非貢献 (n=9) 1.46±0.65 1.31±0.33 1.22±0.44 0.26±0.23 0.73±0.25 1.20±0.67 ― 2.62±0.08 2nd テンポ 貢 献 (n=14) 0.90±0.75 1.13±0.36 1.64±0.50 0.40±0.06 1.19±0.69 1.51±0.54 ― 2.74±0.05 非貢献 (n=27) 1.06±0.35 1.06±0.36 1.56±0.58 0.37±0.10 0.55±0.51 1.61±1.01 ― 2.66±0.18 3rd テンポ 貢 献 (n=5) 0.84±0.14 1.13±0.26 2.00±0.12 0.53±0.35 0.62±0.09 1.22±0.63 ― 2.82±0.05 非貢献 (n=7) 1.48±0.52 0.82±0.13 1.86±0.38 0.39±0.17 0.62±0.22 1.69±0.40 ― 2.71±0.04 データは平均値±標準偏差 p<.05(貢献群との比較) 図 サーブ局面におけるプログラム実施前後のブロ ック生起数 の項目について認められ,修正すべき課題が提示 された. . 修正プログラム実施後におけるパフォーマ ンスの変化 貢献群および非貢献群のブロック生起数の 変化 1) サーブ局面 サーブ局面での貢献群について分析をした結 果,テンポ差と実施前後差の両要因について有意 な主効果が認められた(テンポ差F=6.70,p <0.05,実施前後差F=12.14,p<0.05)(図 6).しかしながら,有意な交互作用は認められ なかった.また,二つの要因に主効果が認められ たことから多重比較検定をおこなったところ, 3rd テンポと比較して,2nd テンポが有意に高値 を示した(図 6).また,実施前後差についてテ ンポごとに t 検定をおこなったところ,2nd テン ポおよび 3rd テンポにおいて有意差が認められ た.また,ブロック本数については 2nd テンポ が最も多く,1st テンポ,3rd テンポの順であっ た.一方,非貢献群について分析した結果,テン ポ差と実施前後差の両要因について有意な主効果 が認められた(テンポ差F=11.70,p<0.05, 実施前後差F=4.75,p<0.05).また,二つの 要因に主効果が認められたことから多重比較検定 をおこなったところ,3rd テンポと比較して 1st テンポおよび 2nd テンポが有意に高値を示した (図 6).さらに,実施前後差についてテンポごと に t 検定をおこなったところ,1st テンポについ てのみ有意差が認められた(図 6). 2) ラリー局面 ラリー局面における貢献群について分析した結 果,テンポ差について有意な主効果が認められた (テンポ差F=4.75,p<0.05)(図 7).また,
図 ラリー局面におけるプログラム実施前後のブロ ック生起数 両要因間に有意な交互作用が認められた( F= 5.81,p<0.05)ため,二要因の水準ごとの単純 主効果を検定したところ,テンポ差については, プログラム実施後に有意な単純主効果が認めら れ,多重比較の結果,3rd テンポは 1st テンポと 比較して高値を示した.さらに,実施前後差につ いてテンポごとに t 検定をおこなったところ, 3rd テンポについてのみ有意差が認められ,プロ グラム実施後が有意に高値であった(図 7).ま た,非貢献群について分析した結果,テンポ差と 実施前後差の両要因について有意な主効果が認め られなかった(図 7).また,実施前後差につい てテンポごとに t 検定をおこなったところ,1st テンポについてのみ有意差が認められた(図 7). 各構成要素におけるパフォーマンスの変化 1) サーブ局面 「ブロックの構え」の項目では,貢献群におい て実施前後差に主効果が認められた(実施前後 差F=7.49,p<0.05)(表 9).さらに実施前後 差について t 検定をおこなったところ,貢献群の 1st テンポについて有意差が認められた.「ブロ ックの実行人数」では,貢献群においてテンポ差 および実施前後差に主効果が認められた(テンポ 差F=7.16,p<0.05,実施前後差F=9.69, p<0.05)(表 9).また,非貢献群においても同 様に両者間に主効果が認められた(テンポ差F =9.59 ,p< 0.05 ,実施 前後差 F =5.41 ,p< 0.05)(表 9).テンポ差間において多重比較をお こなったところ,貢献群および非貢献群の両者と もに,3rd テンポが 1st テンポおよび 2nd テンポ よりも有意に高値を示した.さらに実施前後差に ついて t 検定をおこなったところ,貢献群の 2nd テンポについて有意差が認められた.「アタック エリアでの待機の早さ」の項目では,実施前後差 について t 検定をおこなったところ,2nd テンポ の貢献群について有意差が認められた(表 9). 「アタッカーへの近づき」における「基準ブロッ カー」の非貢献群では,テンポ差および実施前後 差に主効果が認められ(テンポ差F=7.03,p <0.05,実施前後差F=11.72,p<0.05)(表 9),さらに両要因間に有意な交互作用が認めら れた( F=12.65, p<0.05).二要因の水準ごとの 単純主効果を検定したところ,テンポ差について はプログラム実施後に有意な単純主効果が認めら れ,多重比較の結果,3rd テンポは他のテンポと 比較して高値を示し,また,実施前後差において は,3rd テンポに有意な単純主効果が認められ た.さらに実施前後差について t 検定をおこなっ たところ,3rd テンポについて有意差が認められ た.「追従ブロック 2」においては,プログラム 実施前においてプレイの発現がなかったことから 比較分析をすることができなかった.「ブロック の高さ」の項目では,貢献群においてテンポ差の 要因について有意な主効果が認められた(テンポ 差F=7.31,p<0.05)(表 9).また,両要因間 に有意な交互作用が認められた( F=4.58, p< 0.05)ことから二要因の水準ごとの単純主効果を 検定したところ,テンポ差についてはプログラム 実施後に有意な単純主効果が認められ,多重比較 の結果,3rd テンポは他のテンポと比較して高値 を示した.実施前後差においては,1st テンポに 有意な単純主効果が認められた.さらに実施前後 差について t 検定をおこなったところ,1st テン ポおよび 3rd について有意差が認められた.非貢 献群においてはテンポ差の要因について有意な主 効果が認められた(テンポ差F=18.84,p< 0.05).また,両要因間に有意な交互作用が認め
表 サーブ 局面 におけ る構 成要素 の貢 献群・ 非貢 献群間 の比 較 基本 の位 置 ( m ) 構え ( m ) 実行 人数 ( n ) 待機 の早 さ ( se c) 近づ き ( m ) 高さ ( m ) 基準 追従 1 追従 2 pr e p o st p re po st pr e p o st p re p o st pr e p o st p re po st pr e p o st p re po st pr e p o st 1s t テンポ 貢献 ( n = 28 )( n = 30 ) 0. 85 ± 0. 4 2 0. 83 ± 0. 75 1. 22 ± 0. 32 1. 4 9 ± 0. 35 1. 4 7 ± 0. 5 0 1. 70 ± 0. 4 7 0. 42 ± 0. 27 0. 45 ± 0. 22 0. 7 4 ± 0. 67 0. 5 7 ± 0. 4 7 1. 11 ± 0. 6 8 0. 98 ± 0. 75 ―― 2. 75 ± 0. 09 2. 6 6 ± 0. 22 非貢 献 ( n = 61 )( n = 27 ) 0. 93 ± 0. 4 3 0. 92 ± 0. 59 1. 17 ± 0. 34 1. 2 7 ± 0. 52 1. 2 8 ± 0. 4 5 1. 56 ± 0. 5 0 0. 41 ± 0. 21 0. 34 ± 0. 16 0. 7 7 ± 0. 46 0. 5 4 ± 0. 4 3 1. 20 ± 0. 8 0 1. 29 ± 0. 95 ―― 2. 58 ± 0. 12 2. 4 7 ± 0. 33 2n d テンポ 貢献 ( n = 33 )( n = 49 ) 0. 85 ± 0. 5 2 0. 69 ± 0. 46 1. 12 ± 0. 30 1. 3 3 ± 0. 37 1. 3 9 ± 0. 5 0 1. 90 ± 0. 3 1 0. 41 ± 0. 08 0. 46 ± 0. 14 0. 8 9 ± 0. 40 0. 9 4 ± 0. 4 1 1. 73 ± 0. 3 6 1. 67 ± 0. 64 ―― 2. 77 ± 0. 09 2. 8 0 ± 0. 13 非貢 献 (n =63 )( n =30 ) 0. 96 ±0. 5 3 0. 78 ±0. 44 1. 13 ± 0. 34 1. 1 4 ±0. 37 1. 3 8 ±0. 4 9 1. 53 ±0. 5 7 0. 35 ±0. 20 0. 35 ±0. 18 0. 9 0 ± 0. 56 0. 8 3 ±0. 5 7 1. 86 ±0. 8 5 1. 63 ±0. 92 ―― 2. 65 ± 0. 10 2. 7 0 ±0. 13 3r d テンポ 貢献 (n =5 )( n =23 ) 0. 61 ±0. 3 6 0. 71 ±0. 50 1. 09 ± 0. 27 1. 4 0 ±0. 38 2. 0 0 ±0. 2 1 2. 09 ±0. 5 1 0. 46 ±0. 07 0. 47 ±0. 10 0. 8 8 ± 0. 78 0. 9 3 ±0. 6 7 0. 98 ±0. 0 3 1. 52 ±1. 09 ―― 2. 76 ± 0. 08 2. 8 3 ±0. 07 非貢 献 ( n = 7 )( n = 13 ) 0. 95 ± 0. 1 8 0. 77 ± 0. 38 0. 99 ± 0. 30 1. 0 8 ± 0. 40 1. 8 8 ± 0. 2 5 2. 08 ± 0. 4 9 0. 42 ± 0. 08 0. 43 ± 0. 07 0. 5 2 ± 0. 16 2. 2 8 ± 0. 6 0 1. 29 ± 0. 6 0 1. 59 ± 0. 53 ― 2. 3 7 ± 0. 36 2. 72 ± 0. 05 2. 7 4 ± 0. 11 貢献 主効果 テン ポ差 (ns ), 実施 前後差 (ns ) 交互作 用 (ns ) 主効果 テンポ 差 (ns ), 実施前 後差 (p < .0 5) 交互作用 (ns ) 主効果 テンポ差 (p < .0 5, 3r d> 1s t, 2n d) , 実施前後 差 (p < .0 5) 交互作用 (ns ) 主 効果 テンポ差 (ns ), 実施前後差 (ns ) 交 互作用 (ns ) 主効 果 テ ンポ差 (p < .05, 3r d> 1s t, 2n d) , 実 施前後差 (p < .0 5) 交互 作用 (p < .0 5) 主効果 テン ポ差 (ns ), 実施 前後差 (ns ) 交互作 用 (ns ) 主効果 テンポ 差 (p < .05, 3r d> 1s t, 2n d) , 実施前 後差 (p < .0 5) 交互作用 (p < .0 5) 非貢献 主効果 テン ポ差 (ns ), 実施 前後差 (p <.0 5) 交互作 用 (ns ) 主効果 テンポ 差 (p <.0 5, 1s t> 3r d) , 実施前 後差 (ns ) 交互作用 (ns ) 主効果 テンポ差 (p < .0 5, 3r d> 1s t, 2n d) , 実施前後 差 (p <.0 5) 交互作用 (ns ) 主 効果 テンポ差 (p < .0 5, 1s t< 2nd, 3r d) , 実施前後差 (ns ) 交 互作用 (ns ) 主効 果 テ ンポ差 (ns ), 実 施前後差 (ns ) 交互 作用 (ns ) 主効果 テン ポ差 (ns ), 実施 前後差 (ns ) 交互作 用 (ns ) 主効果 テンポ 差 (p < .05, 3r d> 1s t, 2n d) , 実施前 後差 (p <.0 5) 交互作用 (p <.0 5) デー タは 平均値 ±標 準偏差 p< .0 5
表 ラリー 局面 におけ る構 成要素 の貢 献群・ 非貢 献群間 の比 較 基本 の位 置 ( m ) 構え ( m ) 実行 人数 ( n ) 待機 の早 さ ( se c) 近づ き ( m ) 高さ ( m ) 基準 追従 1 追従 2 pr e p o st p re po st pr e p o st p re p o st pr e p o st p re po st pr e p o st p re po st pr e p o st 1s t テンポ 貢献 ( n = 4 )( n = 3 ) 0. 43 ± 0. 2 1 0. 60 ± 0. 35 1. 32 ± 0. 09 1. 5 5 ± 0. 38 1. 2 5 ± 0. 5 0 1. 67 ± 0. 5 8 0. 38 ± 0. 12 0. 46 ± 0. 03 0. 6 0 ± 0. 12 1. 8 0 ± 0. 2 2 0. 81 ± 0. 8 6 0. 27 ± 0. 13 ―― 2. 70 ± 0. 04 2. 8 0 ± 0. 09 非貢 献 ( n = 9 )( n = 5 ) 1. 46 ± 0. 6 5 0. 60 ± 0. 76 1. 31 ± 0. 33 1. 2 3 ± 0. 34 1. 2 2 ± 0. 4 4 1. 60 ± 0. 5 5 0. 26 ± 0. 23 0. 25 ± 0. 13 0. 7 3 ± 0. 25 0. 4 2 ± 0. 2 1 1. 20 ± 0. 6 7 0. 99 ± 0. 14 ― 0. 2 6 ± 0. 16 2. 62 ± 0. 08 2. 6 3 ± 0. 10 2n d テンポ 貢献 (n = 14 )( n = 9 ) 0. 90 ± 0. 7 5 0. 87 ± 0. 83 1. 13 ± 0. 36 1. 1 6 ± 0. 42 1. 6 4 ± 0. 5 0 1. 78 ± 0. 4 4 0. 40 ± 0. 06 0. 49 ± 0. 11 1. 1 9 ± 0. 69 1. 0 0 ± 0. 6 0 1. 51 ± 0. 5 4 1. 18 ± 1. 02 ―― 2. 74 ± 0. 05 2. 7 9 ± 0. 07 非貢 献 (n =27 )( n =11 ) 1. 06 ±0. 3 5 0. 80 ±0. 23 1. 06 ± 0. 36 1. 1 2 ±0. 45 1. 5 6 ±0. 5 8 1. 45 ±0. 5 2 0. 37 ±0. 10 0. 55 ±0. 28 0. 5 5 ± 0. 51 1. 0 5 ±1. 3 8 1. 61 ±1. 0 1 1. 33 ±0. 25 ―― 2. 66 ± 0. 18 2. 7 0 ±0. 07 3r d テンポ 貢献 (n =5 )( n =23 ) 0. 84 ±0. 1 4 1. 16 ±0. 71 1. 13 ± 0. 26 0. 9 6 ±0. 39 2. 0 0 ±0. 1 2 2. 22 ±0. 4 2 0. 53 ±0. 35 0. 57 ±0. 20 0. 6 2 ± 0. 09 0. 9 0 ±0. 3 0 1. 22 ±0. 6 3 1. 74 ±0. 56 ― 1. 9 0 ±1. 65 2. 82 ± 0. 05 2. 8 5 ±0. 06 非貢 献 ( n = 7 )( n = 17 ) 1. 48 ± 0. 5 2 1. 05 ± 0. 76 0. 82 ± 0. 13 0. 9 0 ± 0. 43 1. 8 6 ± 0. 3 8 2. 18 ± 0. 5 3 0. 39 ± 0. 17 0. 43 ± 0. 15 0. 6 2 ± 0. 22 0. 7 7 ± 0. 4 8 1. 69 ± 0. 4 0 1. 70 ± 0. 32 ― 1. 8 6 ± 0. 56 2. 71 ± 0. 04 2. 8 0 ± 0. 10 貢献 主効果 テン ポ差 (ns ), 実施 前後差 (ns ) 交互作 用 (ns ) 主効果 テンポ 差 (ns ), 実施前 後差 (ns ) 交互作用 (ns ) 主効果 テンポ差 (p < .0 5, 3r d> 1s t, 2n d) , 実施前後 差 (ns ) 交互作用 (ns ) 主 効果 テンポ差 (ns ), 実施前後差 (ns ) 交 互作用 (ns ) 主効 果 テ ンポ差 (ns ), 実 施前後差 (ns ) 交互 作用 (ns ) 主効果 テン ポ差 (ns ), 実施 前後差 (ns ) 交互作 用 (ns ) 主効果 テンポ 差 (p < .0 5, 3r d> 1s t, 2n d) , 実施前 後差 (p < .0 5) 交互作用 (ns ) 非貢献 主効果 テン ポ差 (ns ), 実施 前後差 (p <.0 5) 交互作 用 (ns ) 主効果 テンポ 差 (p < .0 5, 1s t> 3r d) , 実施前 後差 (ns ) 交互作用 (ns ) 主効果 テンポ差 (p <.0 5, 3r d> 1s t, 2n d) , 実施前後 差 (ns ) 交互作用 (ns ) 主 効果 テンポ差 (p <.0 5, 1s t< 2nd, 3r d) , 実施前後差 (ns ) 交 互作用 (ns ) 主効 果 テ ンポ差 (ns ), 実 施前後差 (ns ) 交互 作用 (ns ) 主効果 テン ポ差 (ns ), 実施 前後差 (ns ) 交互作 用 (ns ) 主効果 テンポ 差 (p <.05, 3r d> 1s t, 2n d) , 実施前 後差 (ns ) 交互作用 (ns ) デー タは 平均値 ±標 準偏差 p< .0 5
表 修正プログラム実施後におけるサーブ局面のパフォーマンス 基本の位置 (m) 構(m)え 実行人数(n) 待機の早さ(sec) 近づき(m) 高 さ (m) 基準 追従 1 追従 2 1st テンポ 貢 献 (n=30) 0.83±0.75 1.49±0.35 1.70±0.47 0.45±0.22 0.57±0.47 0.98±0.75 ― 2.66±0.22 非貢献 (n=27) 0.92±0.59 1.27±0.52 1.56±0.50 0.34±0.16 0.54±0.43 1.29±0.95 ― 2.47±0.33 2nd テンポ 貢 献 (n=49) 0.69±0.46 1.33±0.37 1.90±0.31 0.46±0.14 0.94±0.41 1.67±0.64 ― 2.80±0.13 非貢献 (n=30) 0.78±0.44 1.14±0.37 1.53±0.57 0.35±0.18 0.83±0.57 1.63±0.92 ― 2.70±0.13 3rd テンポ 貢 献 (n=23) 0.71±0.50 1.40±0.38 2.09±0.51 0.47±0.10 0.93±0.67 1.52±1.09 ― 2.83±0.07 非貢献 (n=13) 0.77±0.38 1.08±0.40 2.08±0.49 ±0.070.43 2.28±0.60 1.59±0.53 2.37±0.36 2.74±0.11 データは平均値±標準偏差 p<.05(貢献群との比較) られた( F=9.05, p<0.05)ことから二要因の水 準ごとの単純主効果を検定したところ,テンポ差 については,プログラム実施後に有意な単純主効 果が認められ,多重比較の結果,3rd テンポは他 のテンポと比較して高値を示した.実施前後差に おいては,1st テンポに有意な単純主効果が認め られた(表 9). 2) ラリー局面 「ブロックの構え」の項目における非貢献群で は,テンポ差において主効果が認められた(テン ポ差F=5.06,p<0.05)(表10).多重比較検 定をおこなったところ,3rd テンポと比較して 1st テンポが有意に高値を示した.さらに実施前 後差について t 検定をおこなったところ,2nd テ ンポについて有意差が認められた.「ブロックの 実行人数」では,貢献群においてテンポ差の要因 について有意な主効果が認められ(テンポ差F =6.51,p<0.05)(表10),非貢献群においても テンポ差の要因について有意な主効果が認められ た(テンポ差F=7.29,p<0.05).また,両群 共に主効果が認められたことから多重比較検定を おこなったところ,3rd テンポと比較して 1st テ ンポおよび 2nd テンポが有意に高値を示した. さらに,実施前後差について t 検定をおこなった ところ,3rd テンポについて有意差が認められ た.「アタックエリアでの待機の早さ」の項目で の非貢献群では,テンポ差の要因について有意な 主効果が認められた(テンポ差F=6.41,p< 0.05)(表10).さらに実施前後差について t 検定 をおこなったところ,貢献群および非貢献群とも に 2nd テンポについて有意差が認められた.ま た,非貢献群において主効果が認められたことか ら多重比較検定をおこなったところ,1st テンポ は 2nd テンポおよび 3rd テンポと比較して有意 に低値を示した.「ブロックの高さ」の項目では, 貢献群においてテンポ差と実施前後差の両要因に ついて有意な主効果が認められた(テンポ差F =7.84 ,p< 0.05 ,実施 前後差 F =7.70 ,p< 0.05)(表10).また,多重比較検定をおこなった ところ,3rd テンポは 1st テンポおよび 2nd テン ポと比較して有意に高値を示した.一方,非貢献 群ではテンポ差について有意な主効果が認められ た(テンポ差F=4.07,p<0.05)(表10).ま た,多重比較検定をおこなったところ,3rd テン ポは 1st テンポおよび 2nd テンポと比較して有意 に高値を示した.さらに実施前後差について t 検 定をおこなったところ,3rd テンポについて有意 差が認められた. 国内トップリーグチームとの比較 トレーニングの修正課題であった 8 つの項目
表 修正プログラム実施後におけるラリー局面のパフォーマンス 基本の位置 (m) 構(m)え 実行人数(n) 待機の早さ(sec) 近づき(m) 高 さ (m) 基準 追従 1 追従 2 1st テンポ 貢 献 (n=3) 0.60±0.35 1.55±0.38 1.67±0.58 0.46±0.03 1.80±0.22 0.27±0.13 ― 2.80±0.09 非貢献 (n=5) 0.60±0.76 1.23±0.34 1.60±0.55 ±0.130.25 0.42±0.21 0.99±0.14 0.26±0.16 2.63±0.10 2nd テンポ 貢 献 (n=9) 0.87±0.83 1.16±0.42 1.78±0.44 0.49±0.11 1.00±0.60 1.18±1.02 ― 2.79±0.07 非貢献 (n=11) 0.80±0.23 1.12±0.45 1.45±0.52 0.55±0.28 1.05±1.38 1.33±0.25 ― 2.70±0.07 3rd テンポ 貢 献 (n=23) 1.16±0.71 0.96±0.39 2.22±0.42 ±0.200.57 0.90±0.30 1.74±0.56 1.90±1.65 2.85±0.06 非貢献 (n=17) 1.05±0.76 0.90±0.43 2.18±0.53 ±0.150.43 0.77±0.48 1.70±0.32 1.86±0.56 2.80±0.10 データは平均値±標準偏差 p<.05(貢献群との比較) について修正プログラムをおこなった結果,サー ブ局面においては,相手攻撃が 2nd テンポでお こなわれた際の「ブロックの構え」および「アタ ックエリアでの待機の早さ」の項目について改善 が認められ,3rd テンポについては「ブロックの 構え」および「ブロックの高さ」の項目に改善が 見受けられた(表11).また,ラリー局面につい ては,相手攻撃が 1st テンポでおこなわれた際の 「アタックエリアでの待機の早さ」に改善が認め られた(表12).
.考
察
. 修正課題の抽出 大学生プレイヤーにおけるブロック技術遂 行のための課題抽出について 本研究では,大学チームに所属するプレイヤー を対象に,ブロックパフォーマンスの改善を目的 として,ブロックにおける遂行過程の各構成要素 からサーブ局面およびラリー局面での 3 つの異 なる攻撃テンポの違いによる重視すべき構成要素 を明らかにした上で,パフォーマンス改善プログ ラムの構築ならびに実践をし,プログラムの有用 性を検証することにより現場でのコーチングに有 用な示唆を得ることを目的としている.そこで, 国内トップリーグチームと大学チームの遂行過程 のパフォーマンスの違いに焦点を当てることによ り大学チームの修正課題が明確化することから考 察を進めることとする. 1) サーブ局面 国内トップリーグチームに所属するプレイヤー と比較した結果,サーブ局面における 1st テンポ の攻撃に対しては,「アタックエリアでの待機の 早さ」が課題として抽出された.さらに,2nd テ ンポの攻撃に対しては,「ブロックの構え」と 「アタックエリアでの待機の早さ」の項目,3rd テンポの攻撃に対しては,「ブロックの構え」と 「ブロックの高さ」の項目について,パフォーマ ンスの改善が必要であると解釈された.Selinger and Ackermann-Blount (1986) は,ブ ロッカーがトスの方向とアタックエリアを明確に 予測できる場合,トスより早くその地点に移動す べきであると指摘している.1st テンポの攻撃 は,セッターがセット・アップをしてからアタッ カーが攻撃を完了するまでの時間が他のテンポの 攻撃と比較して非常に短いことが特徴である.し たがって,1st テンポの攻撃に対応するために は,相手攻撃がなされる位置にあらかじめ移動を 早く完了しておく必要がある.2nd テンポでも同 様の項目が抽出されたことからも,1st テンポ,
2nd テンポともに,待機時間を延長しうるトレー ニングが重要であると推察される.また,マクガ ウン(1998)は,1st テンポの攻撃はブロックの メカニズムに影響を及ぼすほどブロッカーに対し て強いプレッシャーを与えると述べ,1st テンポ 攻撃の重要性を指摘している.2nd テンポの攻撃 に対しては「ブロックの構え」と「アタックエリ アでの待機の早さ」の項目が重要であることが示 されたが,ブロックの構えについては,1st テン ポで攻撃しようとしているアタッカーがジャンプ するとき,前にいるブロッカーは腕を頭より高い 位置で広げ,ひじは肩よりも下げないように高く 上 げ て お く べ き で あ る ( Selinger and Acker-mann-Blount, 1986; Kiraly, 1990日本バレー ボール協会編,2008).攻撃側のセッターが配球 を選択する際に,相手のブロッカーが腕(掌)を 高く保持することにより,1st テンポの攻撃に対 してブロッカーの準備が整っていると理解し, 1st テンポの攻撃を敬遠し 2nd テンポの攻撃に配 球する確率が高まる可能性もある.したがって, ブロックの構えは,1st テンポの攻撃に対してブ ロックの決定を狙うことよりも,ワンタッチをし て味方の攻撃機会を増やし,アタック決定率の高 い 1st テンポの攻撃を防ぐ役割を担うと考えられ る. また,3rd テンポの攻撃に対するブロックの構 えは,2nd テンポの攻撃と同様に,1st テンポ攻 撃の配球を少なくすることを目的として腕を高く して構えるべきであると考えられよう.さらに, 3rd テンポの攻撃に対する「ブロックの高さ」に ついての項目であるが,3rd テンポの攻撃は味方 のアタッカーが,アタック・ヒットするまでの準 備に時間的余裕を与えることを主眼におく攻撃 (日本バレーボール学会編,2010)であることか ら,ブロッカーはアタッカーにタイミングを合わ せたジャンプが可能であり,ブロックの高さを保 持することが可能であると考えられる. 2) ラリー局面 ラリー局面では,1st テンポ攻撃においては, 「アタックエリアでの待機の早さ」および「ブロ ックの高さ」の項目,2nd テンポの攻撃に対して は「ブロックの実行人数」の項目が課題抽出され た. 1st テンポの攻撃に対して,「アタックエリア での待機の早さ」の項目では,相手のセッターや アタッカーの状況から次はどこにトスを上げてく るかを予想することが大切である(Selinger and Ackermann-Blount, 1986豊田,1987).そのた め,相手の状況を判断する能力を養うことが必要 であり,攻撃テンポの中でセット・アップからア タック・ヒットまでの時間が最も短い攻撃である 1st テンポ攻撃への対策は重要であろう.2nd テ ンポの攻撃に対しては,すべての攻撃に対して 2 人以上,できれば 3 人でのブロックをおこなう べきである(吉田・小笠原,2002).つまり,ブ ロッカーの参加人数はアタッカーの参加人数と比 較して数的に優位な状況が求められるが,その反 面,複数人がブロックに参加した場合に連携が乱 れた結果,味方レシーブシフトへの乱れを生じ, ディフェンス全体に悪影響ももたらす(日本バ レーボール協会編,2008)可能性も示唆されて おり,参加者の連携プレイが重要である. . 修正プログラム実施後におけるパフォーマ ンスの変化 ブロック生起数の変化 1) サーブ局面 貢献群および非貢献群の両者においては,テン ポ差および実施前後差において有意差が認められ ている(図 6).相手攻撃におけるテンポ差を見 ると,2nd テンポは 3rd テンポと比較して有意に 高値を示したが,サーブ局面では,ブロック側の サーブ後におけるファーストプレイがブロックと なる場合が多いことから,相手の攻撃に対して十 分に準備することができ,相手セッターによって 構成される攻撃の種類や配球に関わらず,2nd テ ンポのブロック数が有意であったと推察される. 3rd テンポの攻撃は,セッターが相手ブロッカー の状況に関係なくセット・アップをし,アタッ カーの高い打点などを生かしたプレイである.吉 原ほか(1986)は,ブロック技術に関与する要 因について,男子ではブロックの高さが重要な条