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Aus dem Pathologischen Institut der Okayama Medizinischen Fakultat (Vorstand: Prof. Dr. Tamura). Pathologisch-anatomische und statistische Untersuchun

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(1)

56.

616. 36-006

原發性肝臟癌 ノ病理解剖學的竝 ニ統計學的研究

岡山醫科大學病理學教室(主 任田村教授)

[昭 和10年10月8日 受 稿]

Aus dem Pathologischen Institut der Okayama Medizinischen Fakultat

(Vorstand:

Prof. Dr. Tamura).

Pathologisch-anatomische und

statistische

Untersuchungen

uber den primaren

Leberkrebs.

V on

Toshio Nakamura.

Eingegangen am 8. Oktober 1935.

Im unseren Institut fand sich in den letzten 10 Jahren unter 545 Sektionsfallen der primare Leberkrebs in 16 Fallen (29,17•ñ). Ein solch hoher Prozentsatz ist in der bisherigen Statistik sowohl der ostlichen als auch der westlichen Lander noch nicht angegeben worden. Bei 10 (62,5%) von diesen 16 Fallen handelt es sich um Hepatom und bei 6 um Cholan giom (37,5%). Man findet hier, also einen ungewohnlich hohnen Prozentsatz des letzteren.

Was uns

vor allem

in der Entwick

lung

interessierte,

ist

das

Schmarotzen

von Distoma

spatulatum

bei

10 von 16

Fallen,

insbesonder

bei 5 der

6 Chalan

giomfalle.

Die

Leberzirrhose

findet

sich

beim

Leberkrebs

in 87%.

Bei Hepatomfallen

beobachtet

man

den

zirrhotischen

Vor

gang

in 80%, und

zwar

findet

er sich

dabei

vorwiegend

im Interstitium.

Bei

Cholangiomfallen

trifft

man ihn in 100%

an;

er bildet

dabei

hauptsachlich

eine

intracinose

Leberzirrhose.

Obwohl die Metastase im allgemeinen

nicht bedeutend

ist, erscheinen ihre Pra

dilektionsstellen

in der Reihenfolge:

Le

berhiluslymphdruse,

Lunge,

Milzkapsel,

Mesenteriallymphdruse,

Thoraxwand, Dia

phragma,

grosses

Netz,

Pankreaskopf

lymphdruse und

Nebenniere.

Wenn sich

auch in dieser Beziehung nichts Seltsames

zeigte, so unterscheiden

sich diese

(2)

An-原發性肝臟癌 ノ病理解剖學的竝 ニ統計學的研究

1115

gaben doch ein wenig von deu bisherigen

Berichten

dadurch,

dass

bei

machen

Fallen

von Hepatom

die Metastasenbil

dung im Verhaltnis zu dennen von Cho

langiom

hochgradig

ist.

Ascites

findet

sich in 81% (in 80% von Hepatom, in

83% von Cholangiom), Milztumor in

43,75%

(in 40% von Hepatom, in 50%

von Cholangiom) und

Ikterus in 62,8%

(in 60%, von Hepatom, in 66,7% von

Cholangiom). Der Geschwulstsitz ist

haufiger im rechten Lappen (44%) als

im linken (25%) zu finden, ist in 31%

der Falle mehr diffus, wobei man nicht

entscheiden

kann, ob er sich im rechten

oder linken Lappen primar entwickelt.

Bei Hepatom

findet sich der Primarherd

in 50% im rechten, in 20% im linken

Lappen und

ist

in

30%

diffus.

Bei

Cholangiom

zeigen

die oben

genannten

drei

Lokalisationen

alle

den

gleichen

Prozentsatz.

Ein

histologisch

interessanter

Fall

war Nr. 10 von Hepatom

mit dem Ver

schluss der unteren Hohlvene, so dass ein

Ubergangsbild

zwischen

Geschwuletge

webe und

gesundem

Leberzellstrang

nachzuweisen

war.

Der

16 Fall

stellt

eine gemischte

Form

der beiden Arten

des Leberkrebses

dar.

Bezuglich

des

letzten Falles glaubt Verf., dass sich die

Geschwulst

von Schaltstuck

der Leber

aus entwickelt

hat und

dass das Gesch

wulstgewebe

einerseits

cholangiomatos,

andererseits

mehr hepatomatos

ausgebil

det worden war.

(Autoreferat)

第1章  緒 言 第2章  研 究成 績

第1節  肉眼的所見

第2節  組織學 的所見

第1項  實質 性肝臟 癌

第2項  膽 管上皮 性肝臟癌

第3章  總括及 ビ考按

第1節  統計學的觀 察

性及 ビ年齡

肝硬變 トノ開係

原因的事項

腹水及ビ脾腫

黄 疸

占據 部位

第2節  組織學 的觀察

第4章  結 論

第1章  緒

原 發 性肝 臟 癌 ハ從 來 稀 ナル如 ク考 ヘ ラ レタ

ル モ,本 邦 ニ於 テ ハ三 浦 ノ報告 以 來 山極,貴

家 ノ詳 細 ナ ル研 究 ニ次 イ デ報 告例 及 ビ統 計 的

觀 察 多數 ニ發 表 サ レ,之 ガ研 究 ニ甚 シク進 捗

發 展 ヲ來 セ リ.蓋 シ肝 臟 ナ ル發 生母 地 自己 ガ

其 ノ構 造 官 能 ニ於 テ興 味 深 キ モ ノナ ル ト同時

ニ癌 腫 組 織 トシテ モ其 ノ組織 發 生 上特 異 ナ ル

所 見 ヲ呈 シ,加 フル ニ本邦 ニ於 テ ハ泰 西 ニ比

シ其 ノ頻 度 甚 高 キガ爲 ナ ラ ム.本 邦 ニ於 ケ ル

統 計 的 研 究 ヲ見 ル ニ,東 大貴 家110例,京

新 島34例,九

大 山根57例,金

澤 醫 大 岡 田 ノ

10例,慈

惠醫 大岡 崎12例,海

軍 軍 醫 學 校 中

村 ガ13例 ヲ發 表 シ 其 ノ他 ノ症 例 等 ヲ 合 ス レ

バ 實 ニ300例

ノ多 キ ニ達 ス.岡 山 ニ於 テ ハ 明

治44年 武 内 ガ5例 ヲ發 表 セル ガ 余 ハ最 近10

101

(3)

年 間 ニ 於 テ 剖 檢 セ ラ レタ ル16例 ノ 原 發 性 肝 臟 癌 ヲ得 テ 之 ヲ組 織 學 的 ニ 檢 索 セ シ ニ統 計 上 及 ビ發 生 要 約 上 ニ 於 テ 興 味 ア ル 結 果 ヲ得 タ ル ヲ モ ツ テ 之 ヲ報 告 セ ン トス. 第2章  研 究 成 績 第1節  肉 眼 的 所 見 研 究 ニ供 セ ラ レ タ ル原 發性 肝 臟 癌16例 ニ於 テ 腫 瘍 部 所 見 竝 ニ參 考 資 料 ノ大 要 ヲ表 示 ス レバ次 ノ 如 シ.(第1表)

第1表

(4)

原發性肝臟癌 ノ病理解剖學的竝 ニ統計 學的研 究

1117

(表 中 ● 印 ヲ附 セル ハ 實 質 性肝 癌,他 ハ膽 管 上 皮 性 肝 癌 ナ リ.猶 ホ之 ガ決 定 ノ 準 據 ニ關 シテ ハ 後 述 スル 所 ア リ.)

(5)

上 記表 ニ就 テ 肉 眼 的所 見 及 ビ年齡.性 等 ヲ觀察 ス ル ニ 原 發 性肝 癌16例 中 女 性4例 ニ シテ 他 ハ 男 性,實 質 性肝 癌10例 中 女 性1例,膽 管 上 皮 性肝 癌 6例 中男 女 各 々相 半 バ ス.年 齡 ハ 最 低29歳(實 質 性 肝 癌)最 高 ハ78歳(膽 管 上 皮 性肝 癌)ニ シテ兩 型何 レモ40代 及 ビ50代 ニ多 ク 殊 ニ50代 ニ於 テ 最 多 シ.脾 腫(重 量150g以 上 ノモ ノ ヲ取 ル)ヲ 見 ル モ ノ7例 ニ シテ 實 質 性肝 癌10例 中4例,膽 管 上 皮 性 肝 癌6例 中3例 ニ於 テ脾 腫 ヲ認 ム.腹 水 ハ 實 質 性肝 癌10例 中8例 ニ於 テ認 メ内5例 ハ 血性, 3 例 ハ 漿液 性,膽 管 上 皮 性 肝 癌6例 中5例 ニ 於 テ腹 水 ヲ認 メ内3例 血 性2例 ハ漿 液 性 ナ リ.浮 腫 ハ兩 種 癌 共 ニ各 々1例 宛 上半 身 ニ比 較的 高度 ナ ル モ ノ ヲ認 メ タル外 著 シキ モ ノナ シ.黄 疸 ハ10例 ニ於 テ 之 ヲ認 メ實 質 性肝 癌 ニ6例,膽 管上 皮 性肝 癌 ニ於 テ4例 ヲ算 セ リ. 肝 重 量(健 態肝 臟 重 量 平均1.-1.35kg)ニ 就 テ 見 ル ニ,最 上 平 均 値 以 上 ノモ ノ9例,平 均 値 以 内 ノモ ノ7例.最 低平 均 値 以 下 ノモ ノハ 之 ヲ認 メ ズ. 最 上 平 均 以上 ノモ ノハ實 質 性 肝 癌 ニ5例,膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ4例 ナ リ. 肝 癌 ノ肝 臟 ニ於 ケル 占 據 部 位 ヲ見 ル ニ,右 葉7 例,左 葉4例,左 右 孰 レ トモ 明 ナ ラザ ル モ ノ5例 ニ シ テ之 ヲ 内別 ス レバ實 質 性 肝 癌 ニ於 テ ハ 右葉5 例,左 葉2例,左 右 ニ存 スル モ ノ3例,膽 管 上 皮 性癌 ニテ3部 位 何 レモ2例 宛 ニ存 ス. 腫 瘍 自 己 ノ肉 眼的 性状 ニ 就 テ見 ル ニ表 面 ハ概 ネ 凹 凸 不 平 ニ シテ 色 ハ 一 様 ナ ラザ ル モ灰 白調 ヲ呈 ス ル モ ノ多 ク其 ノ限 界 ハ 概 ネ鋭利 ニ シテ腫 瘍 組 織 ハ 蜂 窩 状 ヲ呈 ス ル場 合 多 ク,硬 度 ハ鞏 固 ナ ル モ大 ナ ル腫 瘍 ニテ ハ屡 中心 性 軟 化 ヲ來 シ崩 壞 性 トナ ル モ ノ多 シ.之 等 肉 眼 的 性 状 ニ就 テ ハ實 質 性 肝 癌 ナ ル カ,膽 管 上 皮 性肝 癌 ナ ル カ判 然 タル區 別 ヲ擧 ゲ得 ザ ル場 合 多 シ.但 シ(6), (13), (15)ノ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ於 テ ハ 腫 瘍 ノ境界 比 較 的 鋭 利 ナ ラザ ル所 ヲ 認 メラ レ, (13), (15)ニ 於 テ ハ 周 邊 部 ニ線 状 走行 ヲ認 ム.猶 ホ(8), (15)ニ 於 テ 表 面腫 瘍 部 ハ 僅 ニ 凹 部 ヲ來 ス モ ノア リ. (9), (11)ノ 實 質 性肝 癌 ニ於 テ ハ腫 瘍 内 ニ出 血竈 ヲ著 明 ニ認 メシ ム. 腫 瘍 ノ轉 移 ハ肝 門 淋 巴 腺 最 多 ニ シテ6例,次 イ デ 肺 ノ5例,腸 間 膜 淋 巴 腺 及 ビ脾 臟 被 膜 各 々3例, 後 腹 膜 淋 巴 腺2例,肺 門 及 ビ縱 隔 竇 淋 巴腺,胸 廓, 横 隔 膜,大 網,膵 臟 頭 部 淋 巴 腺,副 腎 各 々1例 ナ リ.實 質 性肝 癌 ニ於 ケル 轉 移 ハ肝 門 淋 巴 腺4例, 肺 腸 間膜 淋 巴 腺,脾 被 膜 各 々3例,後 腹 膜 淋 巴腺 2例,肺 門 淋 巴 腺,縱 隔 竇 淋 巴 腺,胸 廓,大 網, 副 腎 ノ各 々1例 ニ シヲ膽 管上 皮 性 肝 癌 ニテ ハ肝 門 淋 巴 腺 及 ビ肺 各 々2例,横 隔 膜,膵 臟 頭 部淋 巴腺 各 々1例 宛 ナ リ. 第2節  組 織 學 的 所 見 本 研 究 ニ供 シ タ ル材 料16例 ヲ山 極,貴 家 ノ分 類 ニ從 ヒテ 實 質 性肝 癌 ト膽 管 上 皮 性 肝癌 ニ大 別 シテ 記 述 セ ン トス.

第1項 

實 質 性 肝 癌

腫瘍部所見:腫

瘍ハ肥厚 セル間質結締織ニヨ

リテ 大 小種 々 ノ胞 巣 ニ 區劃 サ レ,其 ノ大 サ及 ビ形 ハ 例 ニ ヨ リテ 異 リ,又 同 一 例中 ニ於 テ モ部 位 ニ ヨ リテ 異 ル.實 質細 胞 ハ其 ノ大 サ 肝 細胞 ヨ リ大 ナル ヲ通 常 トシ,多 ク ハ圓 形,骰 子 形 ナル モ不整 形, 紡錘 形 或 ハ圓 柱 状 ヲ交 フ ル場 合 モ 少 カ ラ ズ.稀 ニ Monocyten様 圓 形 細 胞 ヨ リナ ル モ ノア リ.而 シテ 之 等 腫 瘍 細 胞 ハ一 般 ニ細 胞 膜 顯 著 ニ シテ原 形 質 ノ 性 状 ハ 一 定 セザ ル モ概 ネ「ニ オ ジ ン」ニ 好染 シ更 ニ 輕 ク「ヘ マ トキ シ リン」ヲ取 リテ 淡 紫色 ヲ帶 ビ タル モ ノ多 ク,又 甚 シ ク透 明 性 ナル モ ノア リ.猶 ホ原 形 質 中「グ リコ ー ゲ ン」ノ存 在 ヲ思 ハ シム ル顆粒, 或 ハ 膽 色 素 顆 粒 ヲ認 ムル モ ノア リ.核 ハ胞 體 ニ比 シテ 大 ニ シテ 圓 形,卵 圓 形 ヲ主 トス レ ド不 整形 紡

(6)

原發性肝臟癌 ノ病理解剖學的竝 ニ統計學的研 究

1119

錘 形 ヲ 混 ズ ル場 合 ア リテ,細 胞 體 ノ略 ボ 中 央 ニ 占 據 シ 染 色 性 ニ 富 ミ 核 仁 ハ1-2ニ シ テ 明 カ ナ リ. 斯 カ ル 細 胞 ハ 單 核 ナ ル 事 ア リ,多 キ モ ノ ニ 於 テ ハ 數 箇 ノ核 ヲ入 レ,胞 體 モ 甚 シ ク 大 トナ リ テ 巨 態 細 胞 ノ状 ヲ呈 ス ル モ ノア リ.核 分 剖 像 モ 通 常 多 數 ニ 認 メ ラ ル. 而 シテ 斯 カ ル 細 胞 ヨ リ成 ル 組 織 ハ 配 列 ニ ヨ リ テ 略 ボ2型 ニ 區 分 サ レ,第1型 ハ(5), (9), (10), 健 態 肝 組 織 或 ハ 結 節 状 増 生 竈 ノ如 ク ニ 單 列 乃 至 2-3列 ノ 細 胞 ガ 迂 曲 セ ル 細 胞 索 ヲ ナ シ テ 相 互 ニ 不 規 則 ニ吻 合 ヲ 成 ス モ ノ ニ シ テ 索 状 ノ或 モ ノハ 中 央 ニ 管 状 腺 腔 ヲ 形 成 シ 所 謂 花 冠 状 像 ヲ 呈 ス ル モ ノ ア リテ(2), (5), (7), (9), (10)内 ニ 膽 汁 様 物 質 ヲ入 ル ル モ ノ ア リ.第2型 ニ 屬 ス ル モ ノハ(2), (3), (4), (7), (11), (14), (16)ノ 胞 巣 内 ノ 實 質 ハ 十 數 列 ノ細 胞 ヨ リナ リテ 充 實 性 ヲ 示 ス モ ノ ナ リ. コ ノ兩 型 孰 レ モ 索 状 或 ハ 胞 巣 ハ 毛 細 血 管 ノ脉 絡 ニ ヨ リテ 區 劃 サ レ,其 ノ 間 ニ 密 接 ナ ル 關 聯 ヲ 有 ス ル 點 ニ於 テ ハ 同 様 ニ シ テ 毛 細 血 管 ハ 狹 小 ナ ル モ ノ 又 ハ 甚 シ ク擴 大 充 血 セ ル モ ノア リテ,甚 シ キ ハ 實 質 細 胞 群 ハ 横 斷 サ レ タ ル 毛 細 血 管 ヲ 中 心 ト シ テ 其 ノ 周 圍 ニ ノ ミ蝟 集 セ ル モ ノ ア リ.或 ハ 又 胞 巣 周 圍 ノ 腫 瘍 細 胞 ハ 健 在 ニ シ テ 相 連 絡 セ ル モ 中 心 部 ハ 變 性 壞 死 ニ陷 レ ル モ ノ ア リ.猶 ホ 一 般 ニ 胞 巣 周 圍 ノ毛 細 血 管 ニ 接 觸 ス ル 部 ニ 於 テ 圓 柱 細 胞 或 ハ 時 ニ 紡 錘 形 細 胞 ヲ 見 ル 事 ア ル ヲ モ ツ テ 恰 モ 血 管 肉 腫(3), (11)ヲ 思 ハ ス ル 如 キ モ ノ 出 現 ス.腫 瘍 組 織 ヲ 大 小 種 々 ノ分 野 ニ 區 劃 セ ル 腫 瘍 間 質 ハ 増 生 セ ル 結 締 織 ナ ル モ,其 ノ胞 巣 間 組 織 ノ主 體 ハ 原 發 結 節 ナ ル ト 轉 移 結 節 ナ ル トヲ 問 ハ ズ 毛 細 血 管 ニ ヨ リ テ 形 成 サ ル ル 事 ハ 前 述 ノ如 キ モ 陳 舊 ノ度 ヲ 重 ヲ ル ニ 隨 ヒ テ 結 締 織 ハ 毛 細 血 管 ニ 沿 ヒ テ 深 ク 分 野 内 ニ 侵 入 シ 索 状 胞 巣 ヲ圍 繞 セ ル 毛 細 血 管 ハ 結 締 織 ニ ヨ リ テ 置 換 サ レ,單 純 癌 ノ像 ヲ 呈 ス(4), (5),而 シ テ 漸 次 中 心 壞 死 ノ起 ル ニ ツ レ テ 間 質 結 締 織 ハ 益 々 侵 入 シ テ 遂 ニ 「ス キ ル ス 像 」ヲ呈 ス ル ニ 至 リ(2), (3), (14), (16)恰 モ 僞 膽 管 ニ 似 タ ル 癌 索 ヲ ナ ス モ ノ ア リ(16) 且 間 質 結 締 織 ハ 異 常 ニ 増 殖 シ硝 子 様 變 性 ニ 陷 レ ル モ ノ ア リ. 實 質 性 肝 癌 ハ 主 ト シ テ 排 壓 性 ノ發 育 ヲ 營 ム 場 合 多 キ モ(2), (3), (4), (5), (9), (10), (14),浸 潤 性 發 育 ヲ 螢 ム モ ノ モ 亦 稀 ニ 認 メ ラ ル(11), (16). 而 シ テ 前 者 ニ 屬 ス ル モ ノ ハ 肝 組 織 ト ノ境 界 ニ 於 テ 結 締 織 ノ増 生 サ ル ル 事 多 ク其 ノ 部 ニ 小 圓 形 細 胞 ノ 浸 潤 ヲ 認 ム ル 事 屡 ナ リ.後 者 ニ 於 テ モ 結 締 織 ノ増 生 ヲ 認 ム ル 事 ア ル モ 腫 瘍 細 胞 ハ 直 接 肝 組 織 ト接 シ 其 ノ境 界 ニ 於 テ ハ 腫 瘍 細 胞 間 ニ 壓 迫 萎 縮 或 ハ 變 性 ヲ 起 セ ル 肝 細 胞 ノ介 在 セ ル ヲ認 メ 其 ノ 間 腫 瘍 細 胞 ト肝 細 胞 間 一 般 ニ 移 行 像 ハ 認 メ シ メ ズ.唯(10)ニ 於 テ ノ ミ2箇 所 ノ切 片 ニ 明 カ ニ 正 常 ノ細 胞 索 ヨ リ 直 接 ニ腫 瘍 細 胞 ニ 移 行 セ ル ノ像 ヲ認 メ得 タ リ.即 チ 「エ オ ジ ン」ニ 強 ク染 色 セ ル 正 常 ノ肝 細 胞 索 ハ 直 接,空 胞 様 ノ「ク ロ マ チ ン」ニ 富 メ ル 核 ヲ有 シ 原 形 質 ニ 乏 シ ク胞 體 淡 明 ナ ル 細 胞 索 ニ 連 續 セ ル ヲ認 メ タ リ(詳 細 八 木 報 告 參 照). 尚 ホ組 織 學 的 ニ稍 々異 型 ヲ呈 シ タル 第16例 ニ 關 シテ ハ次 ニ述 ブ ル ガ如 キ興 味 ア ル所 見 ニ接 セ リ. 即 チ本 例 ニ於 テ ハ腫 瘍 細 胞 自己 及 ビ其 ノ配 列状 態 ニ 於 テ 特 異 ニ シ テ甚 ダ幼 若 ナ ル結 節 竈 ニ於 テ ハ グ リ ソン氏 鞘 ヲ中 心 トシテ腺 癌 様 構 成 ヲモ ツテ發 育 シ,細 胞 ハ低 圓 柱 乃至 圓形 ニ シテ核 ハ 中 心 性 ナ ル ア リ或 ハ低 位 ニ存 スル モ ノア リ.斯 カ ル細胞 ハ 1層 又 ハ2-3重 層 ヲナ シ,之 等 細 胞 ガ放線 状 ヲナ シ テ中 心腔 ヲ有 ス ル如 ク配 列 ス ル モ ノア リ.又 ハ 單 ニ充 實 性 ノ細胞 團 ヲ形 成 ス ル モ ノア リ.而 シテ 結 締 織 ハ 之 等 細胞 ニ 伴 ヒ テ強 ク發 達 シ比 較 的毛 細 血管 ニ乏 シ キ状 ヲ見 ル.而 シテ陳 舊 ノ度 ヲ加 フル ニ從 ツ テ結 締 織 ハ 之等 細 胞 ヲ十數 箇 宛胞 巣 スル如 ク侵 入 シ,甚 シ ク陳 舊 ナ ル場 所 ニ於 テハ3-5列 ノ 細胞 索 ガ或 ハ 長 ク,或 ハ短 ク胞 巣 トシテ 區 劃 サ レ, 105

(7)

其 ノ周 圍 ハ 主 トシテ 結 締 織 ニテ 包埋 サ レ毛 細 血 管 ハ 比 較 的 貧 弱 ナ リ.サ レ ド癌 細 胞 自己 ハ 主 トシ テ 圓 形,骰 子形 ニ シテ 間 々低 圓 柱 形 ノモ ノヲ交 へ 核 ノ大 サ 甚 シ ク不 整 ニ シ テ且 染 色 力 不 定 ナ リ.胞 體 中 ニ ハ 泡 沫 状 ニ 脂 肪 顆 粒 ヲ入 ルル モ ノ多 ク,中 ニ ハ 全 ク脂 肪 變 性 ニ陷 レ ル モ ノア リ.又 少 數 乍 ラ黄 褐 色 ノ色 素 顆粒 ヲ有 ス ル モ ノ ヲモ認 ム. 猶 ホ第7例 ハ 嘗 テ 河 村 ノ報 告 セ ル モ ノナ ルモ其 ノ材 料 ヲ得 ラ レザ リシ ヲモ ツテ 主 トシテ組 織 學的 所 見 ハ 報告 記載 ニ ヨ リタル モ ノナ ル 事 ヲ附 言 シ, 第10例 ニ 於 テハ 八 木 ニ ヨ リテ 下 空 静脉 閉 鎖 ヲ伴 ヘ ル「ヘ バ トーム」ニ就 テ ト題 シテ 報告 セ ルモ ノナ ル 事 ヲモ 附 記 ス. 肝 實質 部所 見:腫 瘍 細胞 ニ接 ス ル肝 實 質 ハ壓 迫 萎 縮 ニ 陷 リ テ 胞 體 及 ビ 核 モ 細 長 トナ レ ル モ ノ ア リ.甚 シ キ モ ノ ハ 變 性 ニ 陷 ル.殊 ニ 排 壓 性 發 育 ヲ ナ ス モ ノ ニ 於 テ 著 シ.之 ニ 反 シ テ 肝 實 質 ノ肥 大 増 生 ヲ螢 ミ テ 結 節 状 ヲ ナ セ ル モ ノ ア リ.膽 毛 細 管 ノ 擴 張 シ膽 汁 ヲ充 セ ル モ ノ ヲ 認 ム ル 事 ア リ.又 中 心 静 脉 及 ビ 毛 細 血 管 ノ鬱 血 著 明 ナ ル モ ノ亦 少 カ ラ ズ. 間 質 結 締 織 ハ 増 殖 肥 厚 及 ビ 小 圓 形 細 胞 ノ浸 潤 ヲ 認 メ 細 葉 間 性 肝 硬 變 ヲ 呈 セ ル モ ノ多 ク(2), (3), (4), (10), (14),更 ニ 強 ク肝 細 胞 索 間 ニ 繊 細 ナ ル 結 締 織 ノ 侵 入 ヲ 伴 フ モ ノア リ(4). (10)又 全 ク 細 葉 内 性 肝 硬 變 ノ ミ ヲ呈 ス ル モ ノ ア リ(9), (16)又 血 管 壁 周 圍 ニ ノ ミ結 締 織 肥 厚 ヲ 見 ル モ ノ(5)或 ハ 肝 硬 變 ノ全 ク認 メ ラ レ ザ ル モ ノ2例 存 ス(7), (11).間 質 ノ 増 殖 甚 シ キ モ ノ ニ 於 テ ハ 其 ノ結 締 織 中 ニ 肝 細 胞 索 ヲ認 ム ル 事 ア リ,又 結 締 織 間 ニ「肝 ヂ ス トマ 」ノ 卵 ヲ介 在 ス ル モ ノ ア リ.大 小 膽 管 ニ 就 テ ハ 増 殖 ノ 見 ラ レザ ル モ ノ(2), (3), (7),稍 々 著 明 ナ ル モ ノ (5), (10). (11), (14), (16),又 著 明 ニ 大 膽 管 上 皮 ノ増 殖 及 ビ 細 小 管 ノ増 生 及 ビ 擴 張 ヲ 認 ム ル モ ノ ア リ(4), (9).但 シ(4), (5), (9), (11), (16)ニ 於 テ ハ 「肝 ヂ ス ト マ 」ノ寄 生 ヲ 認 メ タ ル モ ノナ リ.

第2項 

膽 管上 皮性肝 癌

腫瘍部所見:通

常 ノ腺腫性癌或 ハ腺癌 ト同様

ニ結 締 織 性 間 質 ト實 質 細 胞 トニ ヨ リテ腫 様 構造 ヲ ナ セ ル胞 巣 ヲ形 成 シ,胞 巣 ハ 圓 形,或 ハ類 圓形 ヲ ナ シテ 腺腔 ヲ圍 メル モ ノア リ.或 ハ 又樹 枝 状 ニ分 岐 シテ 互 ニ網 状 ニ 連絡 セ ル モ ノア リ.實 質 細胞 ノ 形 状 ハ 圓 柱 状.短 圓柱 状,骰 子形,不 整 形 ナ ル事 ア リ,或 ハ 又紡 錘状 ヲナ セ ル事 ア リ.大 サ ハ種 々 ナ ル モ 正 常 膽管 上 皮 細 胞 ニ比 シテ大 ナ リ.形,大 サ ハ 各 々 例 ニ ヨ リテ異 リ又 同 一 例 ニ於 テ モ其 ノ部 位 ニ ヨ リテ異 レル モ ノア リ,或 ハ形 態 種 々 ノモ ノ ヲ交 ユ ル時 ア リテ巨 態 細 胞 ヲ見 出 ス事 ア リ.核 ノ 分 剖 及 ビ變 性 壞 死 ハ隨 所 ニ認 メ ラル.而 シテ之 等 腫 瘍 細 胞 ハ細 胞 膜 顯 著 ニ シテ 原 形 質 ハ顆 粒 ナ ク透 明 性 ナ リ.核 ハ主 ニ圓 形,卵 圓 形 ヲ呈 シ核 染 色 性 ニ 富 ミ濃 染 シ細 胞 ノ基 底 ニ存 ス.斯 カ ル細胞 ハ或 ハ單 層 或 ハ重 層 ヲ ナ シ テ存 在 シ甚 シキ ハ腺腔 内 ニ 充 實 セ ル モ ノア リ.之 ヲ重層 セ ル モ ノニ於 テ ハ腔 ニ近 キ細 胞 ニ於 テ 扁 平細 胞 ニ化 生 ス ル傾 向 ヲ見 ル モ ノア リ.腫 瘍 部 ニ於 テ ハ 血管 ニ乏 シク腫瘍 組 織 ハ毛 細 血 管 ト密 接 ナル 關 聯 ヲ認 メ難 ク隨 ツテ實 質 ハ 貧 血性 ニ シテ 且壞 死 性變 化 ヲ認 ム ル事 屡 ナ リ. 幼 若 竈 ニ於 テ ハ肥 厚 セ リグ リ ソ ン氏 鞘 ヲ中心 トシ テ 兩 側 ニ或 ハ片 側 ニ進 展 シ之 ニ伴 フ間 質結 締 織 ハ 稍 少 キ モ陳 舊 ナ ル部 位 ニ於 テ ハ 間 質著 シク増 量 シ 實 質細 胞 群 ハ狹 小 ナ ル胞 巣 状 ヲナ ス ニ至 ル.コ ノ 間 質 結 締 織 ト實 質 細 胞 ト ノ比 率 ニ種 々 ノ階 梯 ノモ ノ ヲ認 メラ ル.サ レ ド發 育 甚 シ ク迅 速 ニ シテ 間質 ノ之 ニ伴 ハ ズ シテ 細 胞 ハ壓 迫 サ レテ紡 錘 状 ヲナ シ 恰 モ紡 錘 状 細 胞 肉腫 ヲ見 ル ガ如 キ モ ノア リ.コ ト ニ周 縁 部 浸 潤 部 ニ於 テ 斯 カル状 顯 著 ナ リ.猶 ホ間 質 及 ビ腫 瘍 實 質 部 ニ於 テ 小 圓形 細 胞 ノ侵 潤 ヲ見 ル モ ノ多 シ.膽 管 上 皮 性癌 ノ發有 ハ 主 トシテ浸 潤 性 破 壞 性 ニ シテ排 壓 性 ノモ ノナ シ.隨 ツテ腫瘍 細 胞 ト肝 實 質 ノ境 界 ハ 徐 々 ニ シテ肉 芽 組 織 ノ形 成 ヲ見

(8)

原 發 性 肝 臟 癌 ノ病 理 解 剖 學 的 竝 ニ統 計 學 的研 究 1121 ル事 ナ キモ,該 部 小 圓 形 細 胞 ノ浸 潤 ヲ認 ム ル事 少 カラズ.サ レ ド浸 潤 性 發 育 ヲナ ス モ ノニ於 テ モ, 其 ノ發 育迅 速 ナ ル タメ ニ周 圍 ノ肝 實 質 ハ 壓 迫 サ レ テ紡錘 状 ヲ呈 ス ル事 ア リ. 肝 實 質 部所 見:腫 瘍 周 邊 部 ノ肝 實 質 ハ壓 迫 萎 縮 ニ陷 レル モ ノハ稀 ニ シテ,肝 實 質 ハ 高 度 ナ ル鬱 血及 ビ膽 汁鬱 滯 ア リ,之 ガ タ メ著 シキ萎 縮 或 ハ 變 性壞 死 ニ陷 リク ツバ ー氏 細 胞 ハ甚 シ ク肥 大 シ且 膽 汁色素 顆粒 ヲ トル モ ノ多 シ.猶 ホ肝 實 質 細 胞 ニ於 テ代 償性 ニ進 行 性 變 化 ヲ示 セ ル モ ノハ部 分 的 ニ モ 殆 ド認 メ ラ レズ.膽 管 ノ大 ナ ル モ ノニ於 テ ハ擴 大 シ且 上皮 細胞 ノ増 殖 著 明 ナ ル モ ノ多 ク シテ,腺 腫 状 ヲナ スモ ノア リ(6), (12), (15),且 細 小 膽 管 ハ 増生著 明 ニ シテ又 上 皮 ノ増 殖 著 シキ モ ノア リ.之 等膽管 ヲ繞 リテ結 締 織 性 間 質 ハ 何 レ モ甚 シ ク増 量 セル モ細葉 間 性 硬 變 ヲ呈 セ ル モ ノハ 少 ク唯1例 ア ル ノミ(12).而 シテ他 ノ膽 管 上 皮 性 癌 ノ例 ハ 多 ク 小 葉間 間 質結 締 織 ヨ リ更 ニ小 葉 間 ニ繊 細 ナ ル結 締 織 ノ侵 入著 明 ニ シ テ主 トシテ 膽 汁 性,「 肝 ヂ ス ト マ性」硬變 ノ像 ヲ呈 ス.且 間 質 結 締 織 ノ膽 管附 近, 肝 實質 ニ ハ小 圓 形 細 胞 ノ浸 潤 著 明 ニ認 メ ラル.即 チ之等 ノ例 ニ於 テ 其 ノ大 部 分 ニ「肝 ヂ ス トマ」ノ寄 生 ヲ見 ル 事及 ビ間 質 結 締 織,膽 管 等 ノ所 見 ヨ リ シ テ「肝 ヂ ス トマ」寄 生 ニ ヨ ル慢 性 増 殖 性 膽 管炎,膽 管周 圍炎 ヲ呈 シ且「肝 ヂ ス トマ」ニ ヨル肝 硬 變 ヲ來 セルモ ノナ リ.

第3章  總括及 ビ考按

第1節  統計的觀察

頻 度:肝

臟 ニ於 テ ハ 其 ノ血 行 等 ノ關 係 及

ビ位置 的關 係 ヨ リシテ轉 移 性 癌 腫 ノ多 數 招 來

スル事 アル ハ周 知 ノ事 實 ニ シテ原 發 性 肝 癌 ハ

洋 ノ東 西 ヲ問 ハ ズ比 較 的 稀 ナ ル事 ハ前 述 セ ル

所 ナル ガ此 處 ニ試 ミニ諸 學 者 ノ統 計 ヲ比 較 ス

ル ニ表記 ノ如 シ.

第2表

猶 ホCounceller Mc Indoeハ 米 國 ヲ 主 ト セ ル 諸 統 計 蒐 集 ニ於 テ 解 屍 總 數42276體 中, 原 發 性 肝 癌 ハ62例(1.4‰)ナ ル ヲ報 ジ,表 記 中,歐 米總 解 屍 體49462體 中 原 發 性 肝 癌 ハ總 計67ニ シ テ1.15‰ ヲ 示 ス.本 邦 ニ 於 ケ ル 總 計 ハ 岡 山 ヲ ノ ゾ キ テ 總 計 解 屍 體21013中, 236 例 ニ シ テ11.23‰ ヲ算 シ,本 邦 ハ歐 米 ニ比 シ テ 遙 ニ 平 均 頻 度 ノ大 ナ ル ヲ 知 ル.然 ル ニ 當 岡 山 ニ 於 テ ハ10年 以 前 ノ モ ノ ハ 灰 燼 ニ 歸 シ タ ル タ メ 不 明 ナ ル モ,其 ノ後 約10年 間 ニ 於 ケ ル 解 屍 體545例 中 原 發 性 肝 癌16例 ヲ 見 タ ル モ ノ ニ シテ29.17‰ ニ 達 ス.又 癌 腫 屍 總 數98例 ニ 對 シテ 約18%ヲ 示 シ,肝 癌(轉 移 性 ヲ 含 ム) 38例 ニ 對 シテ47%ニ 相 當 ス ル モ ノナ リ.而 シ テ 原發 性 肝 癌16例 ヲ内 別 ス ル ニ 實 質 性 肝 癌10例(62.5%)膽 管 上皮 性 肝 癌6例(37.5%) ニ シ テ上 記 兩 腫 癌 ノ比 ヲ 内 外 ノ統 計 ニ ヨ リ テ 見 ル ニEggelノ 泰 西 ニ 於 ケ ル 蒐 集 例116例 ニ 於 テ實 質 性 肝 癌99例(85.3%)膽 管 上 皮 性 肝 107

(9)

癌17例(14.7%)ヲ 示 シ,岡 田 ガ 本 邦 ニ 於 ケ ル 昭 和2年 度 迄 ノ蒐 集 例187例 ノ内 實 質 性 肝 癌 147 (78.56%)膽 管 上 皮 性 肝 癌40 (21.44%)ニ シ テ,其 ノ後 ノ發 表 ヲ 見 ル ニ 貴 家110例 ノ内 實 質 性 肝 癌83 (75.45%)膽 管 上 皮 性 肝 癌27 (24.55%),中 村13例 ノ内 實 質 性 肝 癌10 (77%) 膽 管 上 皮 性 肝 癌3 (23%)ニ シ テ 略 ボ 一 定 値 ヲ 示 セ リ(第3表).

第3表

然 ル ニ 當 地 方 ニ 於 ケ ル 兩 種 癌 ノ比 ハ 全 ク從 來 ノ統 計 ト格 段 ノ 差 ア ル ハ 注 目 ニ値 ス. 性 及 ビ年 齡:東 西 ノ統 計 ヲ 見 ル ニ 實 質 性 肝 癌 ガ 男 性 ニ 多 キ ハ 略 ボ 一 致 セ ル所 ナ ル モ, 兩 性 ノ 差 ニ 至 リ テ ハ 本 邦 ニ 於 テ 殊 ニ 著 明 ナ ル ガ 如 ク,本 研 究 ノ結 果 モ,男 性9例 女 性1例 ニ シ テ 從 來 ノ統 計 ト略 ボ 同 様 ノ 結 果 ヲ 示 セ リ.膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ 泰 西 ノ統 計 蒐 集 セ ルEggelニ ヨ レバ 男 :女=6:8ニ シ テ 女 性 ニ 多 ク,我 國 ニ 於 テ ハ 山 極1:1,山 根3:1, 岡 田7:3,貴 家2:1ニ シ テ 泰 西 ノ ソ レ ト相 反 シ テ 男 性 ニ 多 シ.余 ノ統 計 ニ 於 テ ハ3:3ノ 同 數 値 ヲ 示 セ リ. 年 齡 的 關 係 ニ 就 テ 見 ル ニ 實 質 性 肝 癌 ハ 西 歐 ニ 於 テ ハ50-70歳 ニ 於 テ 最 モ 多 ク, 70歳 以 上 ノ モ ノ モ 可 成 リ存 シEggelノ 統 計 ニ 於 テ モ8例 ノ多 キ ニ 達 セ リ.我 國 ニ 於 テ ハ30-60 代 ニ 於 テ,コ トニ40代 ニ 於 テ 最 モ 多 ク70歳 以 上 ノ モ ノ ハ 未 ダ經 驗 サ レズ.膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ 西 歐(Eggelニ ヨ ル)ニ テ ハ60代 ニ 多 ク我 國(岡 田 ニ ヨ ル)ニ 於 テ ハ40-60ノ 間 ニ 最 モ 多 シ.而 シテ70歳 以 上 ノ モ ノ ニ 於 テ ハEggel 1例,我 國 ニ 於 テ ハ 岡 田 及 ビ尾 河 各 々1例 ヲ見 タ ル ノ ミニ シ テ 何 レモ 女 性 ニ シ テ 洋 ノ 東 西 ヲ 間 ハ ズ60歳 以 上 ノ 男 性 ニ 於 テ 經 驗 セ ル モ ノ ナ シ,當 教 室 例 ニ 於 テ ハ 實 質 性 肝 癌 及 ビ膽 管 上 皮 性 肝 癌 何 レモ40代 及 ビ50 代 ニ 多 ク50代 ヲ 最 多 トナ ス.即 チ 本 邦 ノ平 均 年 齡 ヨ リ稍 々高 ク西 歐 ニ比 シ テ 稍 々低 ク,其 ノ中 間 年 齡 ニ 於 テ 最 多 ナ ル モ 從 來 ノ 本 邦 例 ト 同 様60歳 以 上 ノ男 性 ニ 於 テ 之 ヲ認 メ得 ズ, 西 歐 ノ如 キ實 質 性 肝 癌 ニ テ 高 齡 者 ヲ認 ノ得 ザ リ シ モ 膽 管 上 皮 癌 ニ 於 テ ハ78歳 ノ 最 高 年 齡 ヲ經 驗 セ リ.サ レ ド先 述 セ ルEggel,岡 田, 尾 河 ノ 各 例 ト同 様 女 性 ニ シ テ 男 性 ノ高 齡 者 ハ 同 様 ニ經 驗 セ ザ リ キ.

肝 硬變 トノ關 係:原

發性 肝 癌 ガ屡 肝 硬變

ト同 時 ニ 經 驗 セ ラ ル ル 事 ハ 歐 米 及 ビ本 邦 ニ 於 ケ ル 統 計 ニ ヨ リテ モ 明 カ ナ ル 所 ニ シテEggel ハ 實 質 性 肝 癌 ニ 於 テ86.4%膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ テ ハ62.5%ニ 於 テ肝 硬 變 ヲ伴 フ トナ シ,其 ノ 後Goldzieher, Von Bokayハ 實 質 性 肝 癌 ニ

100%,膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ42.8%, Karsner,

Winternitz, Fried, Von Glahn & Lamb, Councellen Mc Indoe等 ハ 兩 型 ヲ 通 ジ テ 常

ニ 硬 變 ノ 存 ス ル 事 ニ 一 致 セ リ.我 國 ニ 於 テ モ

(10)

原發性肝臟 癌 ノ病理解剖學的竝 ニ統計 學的研究

1123

ニ51.8%ニ 於 テ肝 硬 變 ヲ 認 メ 岡 田 ノ昭 和2 年度 迄 ノ本 邦 統 計 蒐 集 ニ ヨ レバ,實 質 性 肝 癌 ニ69.5%,膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ39.6%ニ 於 テ 肝硬 變 ヲ示 セ リ.隨 ツ テ 由 來Orth,山 極, Huguenin, Schmieden,其 ノ 他 ノ 諸 家 ハ肝 癌 ト肝 硬 變 ノ因 果 的 關 係 ヲ論 ジ,山極 ハ 本 邦 ニ 於 ケ ル 原 發 性 肝 癌 ノ頻 度 多 キ ハ 肝 硬 變 多 キ ニ 由來 スル モ ノ ナ リ ト唱 道 ス ル ニ 至 レ リ.本 研 究 ニ於 ケ ル統 計 ヲ見 ル ニ 肝 硬 變 ハ16例 中2 例(7), (11)ニ 於 テ 全 ク之 ヲ認 メ得 ズ,他 ノ 14例 ニ於 テ ハ 硬 變 ノ種 類 及 ビ 其 ノ程 度 ニ 差 アル モ何 レモ 之 ヲ認 メ得,之 ヲ兩 種 癌 ニ 分 別 ス レバ 實 質 性 肝 癌10例 中8例(80%)ニ 於 テ, 膽 管上 皮 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ100%ニ 於 テ 認 メ タ ル モ ノ ナ リ.サ レ ド之 ヲ 硬 變 ノ腫 類 ニ ヨ リテ 分 類 ス ル ニ,實 質 性 肝 癌8例 中5例 ニ 於 テ 細 葉 間 性 硬 變 ヲ認 メ2例 ニ於 テ 細 葉 内 性 硬 變, 1例 ニ於 テ ハ 主 ニ血 管 外 膜 ノ肥 厚 ヲ來 シ タ ル モ ノ ナ リ.膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ6例 中 細 葉 間 性 硬 變 ヲ認 メタ ル モ ノ ハ僅 ニ1例 ニ シ テ 他 ノ5例 ハ何 レモ 細 葉 内 性 硬 變 ヲ 認 メ タ リ. 上 記 成 績 ヲ本 邦 ニ 於 ケ ル 先 輩 諸 氏 ノ統 計 ニ 比 ス ル ニ實 質 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ 硬 變 ノ 伴 フ 百 分 率 ニ 於 テ モ,細 葉 間 性 硬 變 ノ多 數 ヲ 占 ム ル點 ニ於 テ モ略 ボ 近 似 ヲ示 ス モ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ著 シ キ 相 違 ア リ.思 フ ニ 後 者 ニ 於 ケ ル 相 違 ハ次 項 ニ 於 テ 述 ブ ル 如 ク「肝 ヂ ス トマ 」ノ 寄 生 ニ ヨル モ ノ ナ ラ ン カ.即 チ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ於 ケ ル 殆 ド全 例 及 ビ實 質 性 肝 癌 ニ 於 ケ ル 細 葉 内 性 硬 變 ヲ 呈 ス ル モ ノ ハ2例 共 ニ 「肝 ヂ ス トマ」 ノ 寄 生 ヲ 認 メタ ル 事 ,且 全 ク硬 變 ヲ 見 ザ ル2例 ニ 於 テ ハ「肝 ヂ ス トマ 」ノ寄 生 ヲ認 メ得 ザ リ シ事 等 ヲ併 考 ス ル ニ「肝 ヂ ス トマ」ノ 寄 生 ハ 又 肝 硬 變 ノ一 因 タ ル 事 ヲ首 肯 セ ザ ル ヲ 得 ズ. 原 因 事 項:前 述 セ ル 性,年 齡,肝 硬 變 等 ハ 何 レモ 原 因 的 要 約 ニ 屬 ス ベ キ ハ 勿 論 ナ ル モ 其 ノ他 ニ 今 日迄 ニ現 レタ ル 諸 家 ノ統 計 ニ ヨ リ テ 本 腫 瘍 ノ所 謂 原 因 トシ テ 認 メ得 ラ レタ ル 事 項 ヲ見 ル ニ,西 歐 ニ於 ケ ルEggelノ 統 計 ニ ヨ ル ニ 「ア ル コ ー ル」 中 毒30,膽 石 症14 ,肝 臟 ノ 後 搾 溝7,肝 臟 外 傷 的 刺 戟7,遺 傳 素 因4 , 黴 毒3,肋 骨 骨 折 治 癒 部 ト肝 及 ビ横 行 結 腸 ト ノ癒 着1例 トナ リ,木 邦 ニ 於 テ ハ貴 家 ニ ヨ レ バ 「ア ル コー ル」17,黴 毒15,膽 石 症12,「 肝 ヂ ス トマ 」寄 生10等 ヲ 其 ノ主 ナ ル 原 因 トセ リ. 猶 ホ 岡 田 ノ 總 括 的 統 計 ニ ヨ レバ 「ア ル コ ー ル 」 26,「 肝 ヂ ス トマ」16,黴 毒12,膽 石6,日 本 住 血 蟲4ヲ 其 ノ 主 ナ ル モ ノ トセ リ.即 チ 彼 此 何 レ ニ 於 テ モ 「ア ル コー ル」ガ 本 腫 瘍 ノ發 生 ニ 重 大 ナ ル 役 ヲ演 ズ ル モ ノ ナ ル 事,一 致 セ ル 事 實 ニ シ テ寄 生 蟲 コ トニ「肝 ヂ ス トマ 」ノ寄 生 ハ 西 歐 ニ 於 テ ハ 全 ク 皆 無 ニ シ テ,我 國 ニ 於 テ ハ 桂 田,鵜 飼,貴 家,服 部,渡 邊,尾 河,田 中 ハ珍 奇 ナ ル モ ノ トシ テ 發 表 セ ル モ 最 近 主 要 要 約 トシ テ 見 做 サ ル ル ニ 至 レ リ.之 ガ タ メ,本 邦 ニ於 テ特 ニ 該 癌 腫 ノ多 數 ヲ 見 ル ハ 之 等 寄 生 蟲 ニ ヨル モ ノ ナ リ ト西 歐 諸 家 ノ 唱 道 ス ル ハ 亦 故 ナ キ ニ 非 ズ. 飜 ツ テ 本 研 究 ニ 於 ケ ル 之 等 諸 原 因 ヲ探 究 ス ル ニ,「 ア ル コー ル 」及 ビ黴 毒 有 無 ノ 明 カ ナ ル 9例 ニ 於 テ 「ア ル コ ー ル 」5,黴 毒4ニ シ テ 全 例 ヲ通 ジ テ 「肝 ヂ ス トマ 」寄 生10例 ヲ示 シ其 ノ他 膽 石 症 及 ビ下 空 静 脉 閉 鎖 各 々1例 宛 ヲ見 タ リ.即 チ 本 研 究 ニ 於 ケ ル 原 因 的 要 約 ト見 做 サ ル ル モ ノ ノ從 來 ノ統 計 ニ現 レタ ル 要 約 ト著 109

(11)

シ フ異 ル點 ハ 「肝 ヂ ス トマ 」寄 生 例 ノ頻 數 ナル 事 ニ シテ コ トニ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ6例 中5例 ニ 於 テ 之 ヲ認 メ實 質 性 肝 癌 ニ 於 テ モ9 例 中5例 ニ 於 テ 之 ヲ 認 メタ リ.即 チ 本 研 究 ニ 於 テ モ 從 來 ノ統 計 ノ示 ス如 ケ「ア ル コ ー ル 」, 徽 毒 等 モ 肝 癌 發 生 要 約 ト シ テ 意 義 ヲ 有 ス ル ハ 勿 論 ナ レ ド 「肝 ヂ ス トマ 」 ノ寄 生 ガ 重 要 ナ ル 役 割 ヲ 演 ゼ シ モ ノ ナ ル 事 ニ 注 意 セ ザ ル 可 カ ラ ズ.

斯 カル「肝 ヂ ス トマ」

寄 生 例 ニ於 テ ハ何 レモ

慢 性 増 殖 性 膽 管 炎 及 ビ周 圍 炎 ヲ呈 シテ間 質 ノ

結 締 織 ノ増 殖 ヲ來 ス ヲ認 ム.之 蟲 體 ノ機 械 的

刺 戟 竝 ニ其 ノ新 陳 代 謝 産 物 ニ ヨル化 學 的 刺 戟

ニ ヨル モ ノ ナ ル ベ シ.又 膽 汁 ノ慢 性 鬱 滞 ノ タ

メニ 末 梢膽 管 ノ擴 張 及 ビ膽 汁刺 戟 ニ ヨル 上 皮

細 胞 ノ新 生増 殖 ヲ促 シテ肥 厚擴 張 シ炎 性 増 殖

ヨ リ遂 ニ癌 腫 ヲ惹 起 セ シモ ノナ ラム.肝 細 胞

ニ對 シテ モ「肝 ヂ ス トマ」ハ肝 實 質 ノ諸 種 變 性

壊 死 ノ原 因 トナ リテ肝 細 胞 ノ補 綴 的 再 生 ヲ促

シテ山極,貴

家,吉 田 ノ説 ノ如 キ結 節 状 増 生

ヨ リスル 實質 性 肝 癌 ノ誘 因 ヲモ ナ シ得 ベ シ.

上 記 所 見 ニ ヨ リ斯 カ ル寄 生 蟲 ニ ヨル化 學 的,

機 械 的刺 戟 ハ直接 及 ビ間 接 ニ,又 主因 的 ニ又

補 助 的要 約 トナ リテ原 發 性 肝 癌 ノ發 生 ヲ營 爲

スル モ ノ ト思 考 スル ヲ得 べ シ.

當 地 方 ニ 於 ケ ル 原 發 性 肝 癌 ガ 歐 米 ハ 勿 論, 本 邦 ノ 他 地 方 ニ於 ケ ル ヨ リ,其 ノ頻 度 ニ 於 テ 最 高 率 ヲ示 シ,殊 ニ膽 管 上 皮 癌 ニ 於 テ 著 シ キ ハ 特 筆 ス ベ キ 事 實 ナ リ.而 シ テ 之 等 「肝 ヂ ス トマ」 ノ 寄 生 ガ發 生 原 因 ノ大 勢 ヲ支 配 セ ルレハ 國 民 衛 生 上 大 イ ニ注 目 ス べ キ事 ナ リ. 轉 移: Freiches, Schuppel等 ハ 嘗 テ 原 發 性 肝 癌 ハ 轉 移 極 メ テ稀 有 或 ハ皆 無 ナ リ ト唱 へ シ ハ餘 リ ニ モ極 論 ニ 過 グ ル モ現 今 ニ 於 テ ハ肝 内 ニ 於 ケ ル 轉 移 ハ 早 期 ニ 且 多 數 ニ 行 ハ ル ル モ 肝 外 ハ 比 較 的 遲 ク 且 稀 ナ ル モ ノ トハ諸 家 ノ 一 致 ス ル所 ナ リ. Eggelノ 表 ニ ヨ レバ164例 中 102例 即 チ62.19%ニ,我 國 ニ 於 ケ ル170例 中 98例 即 チ57.54%ニ 於 テ 肝 外 轉 移 ヲ 見 タ リ ト 云 フ.而 シ テ 之 ヲ 兩 種 癌 ニ 就 テ 見 ル ニEggel ハ 實 質 性 肝 癌 中34%,膽 管 上 皮 性 癌 中35% ニ,本 邦 ニ 於 テ ハ 前 者 ハ54%,後 者 ハ71%ニ 於 テ轉 移 ヲ 認 メラ レ シ ガ 如 シ.余 ノ研 究 例 ノ 統 計 ヲ 見 ル ニ16例 中12例 ニ 於 テ 肝 外 轉 移 ヲ 見 タ ル モ ノ ニ シ テ75%ニ 該 當 ス.猶 ホ 兩 種 癌 ニ テ之 ヲ 見 ル ニ 實 質 性 肝 癌 ニ 於 テ77%,膽 管 上 皮 性 肝 癌 中66%ヲ 示 ス.即 チ 一 般 ニ諸 家 ノ統 計 ニ比 シ テ 高 率 ヲ示 ス モ ノ ナ ル モ單 ニ 肝 門 淋 巴 腺 或 ハ 後 腹 膜 淋 巴 腺 ノ シ ニ 止 マ ル モ ノ 實 質 性 肝 癌 ニ4例,膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ1例, 計5例 ヲ 見 ル.而 シテ 轉 移 部 位 ハ 從 來 ノ報 告 ヲ 見 ル ニ 甲 状 腺,副 腎 以 外 ノ 内 分 泌 腺 及 ビ眼 球,口 腔,攝 護 腺,子 宮 ニ 於 テ ハ 未 ダ 認 メ ラ レザ ル モ,其 ノ他 ノ諸 臟 器 ニ 於 テ ハ總 テ 經 驗 セ ラ レタ リ.余 ノ例 ニ 於 テ モ 特 ニ 珍 奇 ナ ル 部 位 ニ 轉 移 ノ認 メ ラ レ シ事 ナ ク,實 質 性 肝 癌 ニ 於 テ肝 門 淋 巴 腺4例,肺 及 ビ腸 間 膜 淋 巴 腺 脾 被 膜 各 々3例,後 腹 膜 淋 巴 腺2例,肺 門 及 ビ 縦 隔 實 淋 巴 腺,胸 廓,大 網,副 腎 ノ各 々1例 ニ シ テ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ テ ハ 肝 門 淋 巴 腺,肺 各 々2例,横 隔 膜,膵 臟 頭 部 淋 巴 腺 各 々1例 ニ シ テ 好 轉 移 部 位 ハ概 ネ諸 先 輩 ノ報 告 ト同 ジ ウ ス ル モ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ノ例 ニ 比 シ テ實 質 性 肝 癌 ノ轉 移 ノ 多 數 且 高 度 ナ ル モ ノ多 キ ハ從 來 ノ 統 計 ニ 比 シ稍 々趣 ヲ異 ニ セ ル 所 ナ リ.

腹 水 及 ビ脾 腫:原

發 性肝 癌 ニ於 ケ ル腹 水

110

(12)

原發性肝臟 癌 ノ病理解剖學的竝ニ統計學的研究

1125

ノ存 在 ハEggelニ ヨ レバ58.5%ニ 於 テ 認 メ ラ レ實 質 性 肝 癌 中68%,膽 管 上 皮 性 肝 癌 中38 %ナ ル ガ 本 邦 ニ 於 ケ ル 總 括 的 統 計 ニ ヨ レバ 肝 癌 中91%ニ 於 テ 腹 水 ヲ認 メ ラ レ,實 質 性 肝 癌 中93.1%,膽 管 上 皮 性 肝 癌 中82.5%ニ 當 ル, 即 チ實 質 性 肝 癌 ニ 於 テ 多 數 ヲ 占 ム ル ハ 彼 此 ノ 一致 セ ル 所 ナ ル モ,總 計 ニ 於 テ 腹 水 ノ頻 度 ハ 我 ハ彼 ニ 比 シ 遙 ニ 多 ク 本 研 究 例 ニ 於 テ モ16 例 中13例(81%)ニ 於 テ 腹 水 ヲ認 メ内 別 ス レ バ實 質 性 肝 癌 中80%,膽 管 上 皮 性 肝 癌 中83% ヲ示 シ略 ボ 我 國 ノ平 均 値 ニ 近 キ モ 膽 管 上 皮 性 肝癌 ニ 於 テ 稍 々 高 率 ナ ル ヲ異 ニ ス.而 シ テ 腹 水 ノ性 状 ヲ 見 ル ニ13例 中8例 ニ 於 テ 血 性4 例 ニ於 テ 黄 色 微 濁, 1例 ニ 於 テ 黄 色 透 明 ニ シ テ最 高 量(解 屍 體 時)2200ccニ シ テ1L以 上 ヲ有 スル モ ノ6例 ナ リ キ.斯 カ ル 腹 水 ノ依 テ 來 ル理 由 ヲ考 察 ス ル ニ 門 脉 枝 ノ腫 瘍 塞 及 ビ肝 硬變 等 ニ ヨ ル 腹 部 静 脉 系 ノ鬱 血 ガ 重 大 ナ ル 關 係 ヲ有 ス ル 事 ハ 何 人 モ 容 易 ニ 推 察 シ得 ル所 ニ シテ 或 ハ 又 癌 腫 性 腹 膜 炎 及 ビ全 身 俘 腫 ノ 一部 分現 象 トシ テ 出 現 ス ル 事 モ考 へ 得 ベ シ.而 シ テ統 計 上 ヨ リ シテ 血 性 腹 水 ノ 比 較 的 多 數 ヲ 占 ム ル ハ門 脉 系 内 鬱 血 ニ更 ニ 血 行 ノ變 調 ヨ リ ス ル 濾 出 性 出 血,又 ハ 腫 瘍 組 織 ノ軟 化,壊 死,崩 解 ニ續 ク 破 綻 性 出 血 ニ 因 ス ル モ ノ ナ ラ ム. 脾 腫 ハ昔 時 ハ 原 發 性 肝 臓 癌 ニ ハ 皆 無 トサ レ,之 ガ 肝 硬 變 症 トノ鑑 別 ニ 利 用 サ ル ベ シ ト ナ セ ル モ,前 述 腹 水 ノ主 要 誘 因 タ ル腹 部 静 脉 系 ノ血 行 障 碍 ハ 同 時 ニ 脾 腫 ノ誘 因 トナ リ得 ベ キ モ ノナ ル ヲ 思 ヘ バ 之 ガ 存 在 ヲ 否 定 ス ル ノ誤 ナ ル 事 ハ 明 カ ニ シ テEggelハ147例 中47例 (31.3%)岡 田 ノ總 統 計 ニ テ ハ185例 中84例 (45.4%)ニ 於 テ 脾 腫 ガ 見 ラ レ,實 質 性 肝 癌 中 48.9%膽 管 上 皮 性 肝 癌 中32.5%ニ 内 別 サ ル. 本 研 究 ニ 於 テ モ16例 中7例(43.75%)ニ 於 テ 脾 腫 ヲ認 メ實 質 性 肝 癌 中40%,膽 管 上 皮 性 肝 癌 中50%ニ 於 テ 出 現 セ リ. 黄 疸:肝 臟 癌 ニ 於 ケ ル 黄 疸 ノ 有 無 ハ 主 ト シ テ グ リ ソ ン氏 鞘 内 ノ細 膽 管 ガ 廣 キ範 圍 ニ亙 リ塞 セ ラ ル ル カ 又 ハ粗 大 膽 管 ノ壓 迫 狹 窄 其 ノ 他 機 械 的 障 碍 ニ歸 因 ス ル モ ノ ノ 如 ク,本 研 究 16例 中10例 ニ於 テ(62.8%)黄 疸 ヲ 認 メ ラ レ 之 ヲ 兩 種 癌 ニ 分 別 ス レバ 實 質 性 肝 癌 中60% ニ,膽 管 上 皮 性 肝 癌 中66.7%ヲ 示 セ リ.即 チ 之 ヲ木 邦 平 均 ノ54%及 ビ西 歐 平 均 ノ61%ニ 比 ス ル ニ 稍 々 高 率 ヲ示 ス.サ レ ド何 レ ノ統 計 ニ 於 テ モ 膽 管 上 皮 癌 ニ 於 テ 優 勢 ヲ 示 セ ル 點 ニ 於 テ ハ 同 様 ニ シテ 癌 腫 發 生 母 地 ガ 膽 管 ニ 密 接 ナ ル 關 係 ニ ア ル ガ 爲 メ ナ ル ハ 論 ヲ俟 タ ズ.サ レ ド實 質 性 肝 癌 ニ於 テ モ 猶 ホ 多 數 例 ニ 黄 疸 ノ 出 現 セ ル ハ 外 方 ヨ リノ 膽 道 壓 迫 ハ 勿 論 ナ ル モ 肝 腫 瘍 細 胞 ノ膽 汁 分 泌 ア ル ハ 周 知 ノ所 ニ シ テ 之 ガ 排 出 道 ナ ク,腫 瘍 構 造 上 血 管 中 廣 ク排 泄 サ ル ニ 因 ル. 占 據 部 位:主 腫 瘍 ノ 占 據 部 位 ニ 關 シ テ ハ Eggelハ 主 ト シ テ右 葉 及 ビ瀰 蔓 性 ニ 來 ル モ ノ ニ シ テ 左 葉 ハ極 メ テ 稀 ナ リ ト云 ヒ,岡 田 ノ 總 統 計 ニ ヨ レバ,右 葉96例(内 實 質 性 肝 癌 ニ74 例,膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ22例)左 葉21例(内 實 質 性 肝 癌 ニ13例,膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ8例) 瀰 蔓 性33例 ヲ示 シ,右 葉 ニ 占 居 ス ル モ ノ多 數 ヲ 占 ム ル ハ 一般 ニ認 メ ラ レタ ル 所 ナ リ.本 研 究 ニ 於 テ ハ 實 質 性 肝 癌 ハ 右 葉 ニ5例,左 葉 ニ 2例,何 レ トモ 決 定 シ難 キ モ ノ3例 ニ シ テ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ於 テ ハ 上 記3部 位 各 々2例 宛 ヲ得 タ リ,最 近 ノ 貴 家 ノ統 計 ニ 於 テ ハ 膽 管 上 111

(13)

皮 性 肝 癌 ニ 於 テ 左 葉 ニ 占 據 セ ル モ ノ 右 葉 ニ 比 シ テ遙 ニ 多 キ結 果 トナ リ注 目 ニ値 ス トナ セ ル ガ,本 研 究 ニ 於 テ ハ 兩 説 ノ中 間 ニ在 リテ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ガ 左 右 何 レ ニ ヨ リ多 數 ニ 占 據 ス ル モ ノ ナ リ ト強 調 ス ル 能 ハ ザ ル モ 本 邦 ニ 於 テ ハ Eggelノ 西 歐 統 計 ニ 示 ス如 ク 一 般 ニ 原 發 性 肝 癌 ガ 左 葉 ニ 占 據 ス ル ノ極 メ テ 稀 ナ ル モ ノ ニ 非 ズ,膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ 寧 ロ實 質 性 肝 癌 ニ 比 シ テ 左 葉 ニ 占 據 ス ル モ ノ ノ比 率 ニ 於 テ 優 勢 ナ ル ハ 興 味 ア ル 事 ナ リ. 第2節  組 織 學 的 觀 察 原 發 性 肝 臟 癌 ノ發 生 學 上 ノ議 論 ハ 今 日 ニ 於 テ ハ 殆 ド一 定 セ ラ レ議 論 ノ 餘 地 ナ キ ノ 觀 ア ル モ 既 往 ニ 於 テ 諸 説 紛 々 タ ル モ ノ ア リ テRie senfeldハ 大 膽 管 及 ビ膽 嚢 ヲ發 生 母 地 トナ シ, Raunyn一 派 ハ肝 小 葉 間 細 膽 管 ヲ起 源 地 トナ セ リ.サ レ 〓Raunyn一 派 中 ノWaldyerハ 理 論 上 肝 實 質 細 胞 ヨ リモ 本 症 ノ發 生 シ得 ベ キ ラ 認 容 シ居 タ ル モEberthニ 至 リ テ 初 メ テ 肝 實 質 細 胞 ヲ以 テ 其 ノ發 生 母 地 トナ シ多 數 學 者 之 ニ 賛 セ リ.サ レ ド原 發 性 肝 癌 ヲ 分 類 ス ル ニ 當 リ組 織 學 的 ニ 如 何 ナ ル 根 據 ニ依 ル ベ キ ヤ ハ 未 ダ 渾 沌 タ ル モ ノ ア リ シ ガ, 1901年 ニ 山 極 ガ 肝 實 質 ヨ リ ス ル 癌 腫 ニ 於 テ ハ不 可 缺 標 識 トシ テ 「間 質 ガ 毛 細 血 管 ニ ヨ リテ 成 立 ス ル 」 事 ヲ 主 張 シ次 イ デWegelinモ 全 ク 同 様 ノ見 解 ヲ 發 表 ス ル ニ 至 リ兩 種 癌 ノ組 織 的 診 斷 上 ニ 一 大 劃 期 ヲ見 タ リ.次 イ デ 貴 家 ハ 組 織 學 的 發 生 學 的 見 地 ヨ リ シ テ 原 發 性 肝 癌 ヲ 實 質 性 肝 臟 癌 (Parenchymatoses Lebercarcinom)ト 膽 管 上 皮 細 胞 癌(Carcinoma aus den Gallengan gsepithelien)ニ 分 類 シ,次 イデGoldzieher ニ ヨ リテCarcinoma hepatocellulare(肝 細 胞 性 癌)Carcinoma cholangocellulare(膽 管 細 胞 性 癌)ト 命 名 分 類 シ,後 ニ 山 極 ハ 前 者 ヲ Hepatom(實 質 性 肝 癌)後 者 ヲCholangiom (膽 管 上 皮 性 癌)ト ス ベ キ ヲ 提 唱 セ リ.斯 カ ル 山 極, Wegelin,貴 家 ノ貴 重 ナ ル 劃 期 的 研 究 ノ物 セ ラ レザ ル以 前 ニ 於 テ ハ 肝 實 質 ヨ リナ ル カ,或 ハ 膽 管 上 皮 ヨ リ ナ ル カ ノ判 定 ニ 當 リテ ハ 其 ノ移 行 像 ヲ 認 ム ル ニ 在 リ トナ セ シ ガ如 グ 斯 かル 當 時 ハ 勿 論,ソ レ以 後 ニ 於 テ モ 肝 癌 ト 肝 實 質 或 ハ 膽 管 上 皮 トノ移 行 像 ノ有 無 ニ關 ス ル 檢 索 ニ甚 ダ努 力 セ リ.之 ガ 移 行 ヲ 認 メ タ ル モ ノ ハShmidt, Goldzieher & v. vokay, Mirolubow, Siegenbeck von Heukelom,

Polak-Daniels,桂 田,長 與,貴 家,内 村,藤 井,俣 野,太 田,八 木 ノ諸 氏 ニ 過 ギ ズ.而 シテ Herxheimerハ 總 括 的 ニ 常 ニ ハ 之 ヲ認 メ得 ル モ ノニ ア ラ ズ トナ シ,又Ribbert一 派 ハ癌 ハ 常 ニ 癌 細 胞 ヨ リナ ル モ ノ ニ シ テ 其 ノ 周 圍 ハ 受 働 的 ニ シ テ移 行 ス ル モ ノ ニ非 ズ トノ所 論 ニ ヨ リ強 ク 之 ヲ否 定 セ シ所 ナ リ.余 モ 亦1例 ニ 於 テ(第10例 八 木 發 表 セ シ モ ノ)之 ガ移 行 像 ヲ 認 メ得 タ ル モ ノ ニ シ テ 勿 論Ribbertノ 如 ク 否 定 ス ル モ ノ ニ ハ 非 ザ ル モ 常 在 ス ル モ ノ ト解 サ レ ズ,吾 人 ノ解 屍 ニ ヨ リ テ 認 ム ル 癌 腫 ニ 於 テ ハ 腫 瘍 ノ發 育 顯 著 ナ ル 末 期 ノ モ ノ多 ク シテ, 斯 カ ル 状 態 ニ 於 ケ ル 腫 瘍 中 ニ 於 テ 移 行 像 ヲ求 メ ン トス ル ハ 至 難 事 ニ シ テ,之 ヲ 認 メ ザ リ シ 場 合 ト雖 モ發 生 初 期 ニ遡 リテ 移 行 像 ヲ否 定 シ 得 ザ ル ハ論 ズ ル 迄 モ ナ シ. 而 シ テ腫 瘍 發 育 顯 著 ナ ル 癌 腫 ニ 於 テ實 質 性 ヨ リス ル モ ノ ナ ル ヤ 膽 管 上 皮 性 ヨ リ ス ル モ ノ ナ ル ヤ ノ鑑 別 ハ前 節 ニ 於 テ 述 ベ タ ル統 計 學 的

(14)

原發 性肝臟癌 ノ病理解剖學的竝 ニ統計學的研 究

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定論 ヲ考 慮 シ肉 眼 的 所 見 ニ 依 ル所 多 シ ト雖 モ 何 レモ決 定 的 ノ モ ノ ニ 非 ズ,肉 眼 的 所 見 ニ 於 テ ハ 前 述 セル 如 ク 特 定 ノ モ ノヲ 除 キ テ ハ 決 定 ニ苦 シ ム モ ノ 甚 多 シ.依 テ之 ガ 鑑 別 ハ 組 織 學 的 所 見 ニ 待 タ ザ ル 可 ラ ザ ル ナ リ.而 シ テ 定 型 的 ノモ ノ ニ在 リテ ハ 組 織 學 的 ニ ハ 兩 者 間 ニ 明 カ ナ ル 差 別 ア リテ 實 質 性 肝 癌 ニ 在 リ テ ハ 其 ノ 構 成 ハ肝 健 組 織 ニ類 似 セル 索 條 状 ヲ ナ シ,或 ハ胞 巣 状 ヲナ シ,前 者 ニ 於 テ ハ 屡 細 胞 相 集 リ テ 腺 管 腔 即 チ 花 冠 状 像 ヲ 呈 シ内 ニ膽 汁 栓 子 ヲ 入 ル ル事 ア リ.斯 カ ル 花 冠 状 像 ハ 主 トシ テ 索 條 状 配 列 ヲ ナ セ ル モ ノ ニ 多 シ.最 モ 重 要 ナ ル ハ斯 カ ル 索 條 或 ハ 胞 巣 ガ 毛 細 血 管 ニ ヨ リ テ纒 絡 ヲ ナ ス 事 ナ リ,之 ニ 反 シ テ 膽 管 上 皮 性 ノ モ ノニ 於 テ ハ 實 質 胞 巣 ト間 質 結 締 織 ノ關 係 ハ 普 通癌 腫 ト異 ル 所 ナ ク シ テ 管 状 腺 腫,乳 嘴 性, 腺 腫 性 癌 ヲ呈 ス.實 質 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ 腫 瘍 細 胞 ハ 圓 形,骰 子 形 ニ シ テ 細 胞 體 ハ 稍 々 淡 明 ニ テ膽 色 素 顆 粒 或 ハ「グ リ コ 一 ゲ ン」様 ノ顆 粒 ヲ 入 レ,又 好 ン デ 脂 肪 變 性 ニ陷 ル ノ傾 向 ア リ. 膽 管 上 皮 性 癌 ニ於 テ ハ 癌 組 織 ハ主 ト シ テ 圓 柱 状,低 圓 柱 状 ニ シ テ 胞 體 ハ 前 者 ニ 比 シ テ ヨ リ 淡 明 ニ シ テ顆 粒 物 ヲ入 レ ズ.又 好 ン デ粘 液 様 變 性 ノ單 純 壊 死,凝 固 壊 死 ニ 陷 ル ノ 傾 向 強 シ. 而 シ テ實 質 性 癌 ニ 於 テ ハ 其 ノ構 造 上 ヨ リ明 カ ナ ル如 ク甚 シ ク 血 液 ニ 富 シ一 般 ニ 充 血 性 ナ ル 事 多 キ ニ 反 シ膽 管 上 皮 性 ノ モ ノ ニ 於 テ ハ 貧 血 性 ナ リ. 腫 瘍 部 ノ發 育 状 態 ニ於 テ モ實 質 性 ノ モ ノ ハ 主 トシテ排 壓 性 ニ,膽 管 上 皮 性 ノ モ ノ ハ 主 ト シテ 浸 潤 性 ナ ル 事 モ 又 鑑 別 ノ 一 助 トナ リ得 ベ ク,更 ニ周 圍 ノ肝 實 質 ニ 於 テ ハ實 質性 肝 癌 ノ モ ノ ハ細 葉 間 性 肝 硬 變 ヲ作 フ 事 多 キ ハ前 述 ノ

如 キモ實 質 細 胞 コ トニ細 葉 周 邊 部 ニ限 局性 ノ

肥 大増 生 ヲ示 ス ヲ常 トスル ニ 反 シ膽 管上 皮 性

肝 癌 ニ於 テ ハ斯 力 ル肥 大 増 生 ハ 殆 ド之 ヲ 見

ズ.

以 上 ハ 略 ボ 定 型 的 ニ現 レタ ル 兩 種 癌 ノ鑑 別 ナ ル モ,此 處 ニ 注 目 ス ベ キ ハ 斯 カ ル 定 型 的 組 織 像 ハ 腫 瘍 細 胞 ノ化 生 及 ビ變 性,血 管 ノ 充 血, 周 圍 ヨ リ ス ル 壓 迫,間 質 結 締 織 ノ増 殖,殊 ニ 間 質 毛 細 血 管 ノ結 締 織 化 等 ノ タ メ ニ組 織 的 姿 態 ヲ 變 ズ ル ニ至 ル 事 ナ リ(扁 平 上 皮 性 癌,血 管 肉 腫 様,「 ス キ ル ス」,單 純 癌). 上 述 ノ諸 要 點 中 特 ニ 實 質 性 肝 癌 ニ 於 ケ ル 毛 細 血 管 間 質 ト實 質 トノ關 係,花 冠 状 構 造 ノ形 成 腫 瘍 細 胞 内 膽 汁 色 素 顆 粒 ノ存 在 等 ハ殊 ニ 重 要 ナ ル 組 織 像 ナ リ.而 シ テ第1條 件 ハ1901年 ニ 山 極,次 イ デWege1inノ 主 張 ノ根 源 ヲ ナ ス モ ノ ニ シ テ 氏 等 ハ實 質 性 肝 癌 ノ間 質 ハ 毛 細 血 管 ニ シ テ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ハ 一 般 癌 腫 ト同 ジ ク 結 締 織 ナ ル 事 ニ 注 意 シ此 一 事 ヲ モ ツ テ シ テ モ 兩 種 癌 組 織 ヲ鑑 別 シ得 べ シ トナ セ リ.爾 來 諸 研 究 者 ノ何 レモ 之 ニ 賛 意 ヲ 呈 ス ル 所 ニ シ テ 尚 ホ 山 極 ハ第2條 件 ト シテ 花 冠 状 像 ノ 存 存 ヲ指 摘 シ,此 ニ 大 特 長 ヲ 主 張 セ ラ レ タ リ.サ レ ド 後 者 ハ實 質 性 肝 癌 ニ特 有 ナ ル 組 織 像 ナ ル モ 常 在 ス ル モ ノニ 非 ズ シ テ前 述 セ ル 如 ク 索 條 状 配 列 ヲ ナ ス モ ノ ニ 多 ク實 質 性 胞 巣 状 ヲ ナ セ ル モ ノ ニ 少 キ ハ 注 意 ス ベ キ事 項 ナ リ.尚 ホ 胞 體 中 ニ 膽 汁 色 素 顆 粒 ヲ 有 ス ル 事 ハ 本 腫 瘍 細 胞 ガ 肝 實 質 細 胞 ヲ母 細 胞 トナ ス タ メ膽 汁 分 泌 機 能 ヲ 現 ス モ ノ ナ ル モ,之 ガ 陽 性 ナ ル 時 ハ確 實 ナ ル 表 徴 トナ リ碍 ベ キ モ 然 ラザ ル 時 ト雖 モ必 ズ シ モ 反 證 トハ ナ リ難 キ モ ノナ リ.

此 處 ニ 最 モ組 織 學 的 ニ興味 アル ハ 第16例

113

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ニ シ テ前 述 セ ル 如 ク 一 部 幼 若 結 節 ニ 於 テ ハ 甚 シ ク 未 分 化 ノ細 胞 ヨ リ ナ リ テ 實 質 性 ナ ル ヤ 膽 管 上 皮 性 ナ ル ヤ判 定 ニ 苦 シ ム モ ノ ニ シ テ,其 ノ組 織 構 成 ニ 於 テ 膽 管 上 皮 性 ノ如 ク,腫 瘍 細 胞 自 己 ノ 形 態 ハ稍 々實 質 性 肝 癌 ニ 近 ク 恰 モ 潤 管 上 皮 ノ腫 瘍 状 増 殖 ヲ思 ハ シ ム ル モ ノ ア リ. 然 ル ニ 陳 舊 ナ ル モ ノ ノ 一 部 ニ 於 テ ハ 組 織 所 見 ノ 部 ニ 於 テ 述 ベ タ ル ガ 如 ク 明 カ ニ 實 質 性 肝 癌 ナ ル 事 ノ判 定 ヲ得 タ ル モ ノ ニ シ テ,潤 管 上 皮 癌 ト實 質 性 肝 癌 ノ間 ニ 種 々 ナ ル 中 間 型 ヲ モ 認 メ得 タ リ.本 例 ハ斯 ノ如 キ未 分 化 ノ細 胞 ニ ヨ リテ 組 成 サ レ一 部 ノ モ ノ ハ 化 生 ニ ヨ リテ 遂 ニ 實 質 性 肝 癌 ノ出 現 ヲ 見 タ ル モ ノ ナ リ ト解 ズ ル ヲ 安 當 トス.此 處 ニ 於 テ最 モ注 意 ス ベ キ ハ潤 管 ノ 存 在 ニ シ テ貴 家 ハ該 部 ハ 生 理 的 ニ ハ 全 ク 認 識 ス ル ヲ得 ズ シ テ 唯 病 的 ノ場 合 ニ ノ シ現 ル ル モ ノ ニ シテ 隨 ツ テ其 ノ本 態 ハ 果 シ テ 小 膽 管 ナ ル ヤ 又 ハ肝 細 胞 ニ屬 ス ベ キモ ノ ナ ル カ全 ク 不 明 ニ シ テ斯 カ ル 病 的 組 織 ニ 癌 腫 發 生 母 地 ヲ 求 ム ル ハ 穏 當 ナ ラ ズ トシ テ 之 ヲ 否 定 セ リ.サ レ ド潤 管 ハ貴 家 ノ唱 道 ス ル ガ 如 ク 生 理 的 ニ 認 メ難 キ ハ 事 實 ナ ル モ,併 シ生 理 的 存 在 ス ル モ ノ ナ ル ハ 云 フ迄 モ ナ シ.貴 家 ノ考 フ ル 如 ク 病 的 ニ 始 メ テ 新 生 サ ル ル モ ノ ニ 非 ズ シ テ,唯 病 的 ニ 認 メ 易 ク ナ ル ノ シ.又 潤 管 ハ 肝 組織 中 最 モ 未 分 化 ノ組 織 ニ シ テ 該 部 ヨ リ輸 送 管 竝 ニ 腺 房 上 皮 孰 レニ モ 分 化 シ得 ル 事 ハ 胎 生 學 上 明 カ ナ ル 事 實 ニ シ テ,此 部 ニ 發 生 母 地 ヲ 求 メ ン ト ス ル ニ 何 等 ノ矛 盾 ヲ 感 ゼ ザ ル モ ノ ナ リ.最 近 俣 野,岡 田 ノ經 驗 セ ル 僞 膽 管 上 皮 癌 モ潤 管 上 皮 ト關 係 ナ キ ヤ 一 應 吟 味 ス ル ノ要 ア リ ト信 ズ. 飜 ツ テ 本 例 ニ 於 テ ハ 肝 細 胞 索 ヨ リナ ル僞 膽 管 ノ形 成 後 ニ 出 現 シタ ル モ ノ トハ解 シ難 ク 之 ガ 名 稱 ニ 當 篏 ラ ザ ル モ ノ ナ リ.而 シテ 同 一 肝 臟 ヨ リ兩 種 癌 ノ併 發 シ得 ベ キ 可 能 性 ハ 何 人 モ 思 考 シ得 ル 所 ナ ル モ,コ ノ 併 發 可 能 性 ニ關 シ テ ハ 尚 ホ 見 解 ノ.一致 ヲ 見 ザ ル モ ノ ア リ シガ,既 ニ 事 實 ニ 於 テFrassenハ 兩 種 腺 腫 ノ共 存 ヲ報 ジ, Davideohnハ 膽 管 上 皮 性 腺 腫 ヲ 圍 シテ 二 次 的 ニ 肝 細 胞 癌 ノ發 生 セ ル 例 ヲ上 グ,牟 田 ハ 實 質 性 肝 癌 ニ 附 隨 的 ニ 輕 度 ナ ル 初 期 膽 管 上 皮 癌 ノ 發 生 ヲ 見 タ ル ヲ 報 ゼ リ.又Landeteiner ハ貴 質 性 肝 癌 ト膽 管 上 皮 性 肝 癌 ノ兩 型 及 ビ更 ニ前 者 癌 腫 細 胞 ガ 圓 柱 状 ニ 移 行 ス ル ノ像 ヲ認 ノ タ リ ト.最 近 吉 田 ハ 實 驗 的 ニ 大 黒 鼠 ニ就 キ 0-Amidoazotoluolノ 飼 養 試 驗 ニ ヨ リテ 始 メ テ 實 驗 的 ニ 實 質 性 肝 癌 ヲ發 生 セ シ ム ル ニ成 功 シ タ ル ガ, 112例 中14例 ニ 於 テ ハ 同 時 ニ膽 管 上 皮 癌 ノ併 發 ヲ見, 1例 ニ 於 テ 兩 癌 腫 細 胞 ノ 混 在 セ ル ヲ 見 タ リ ト云 フ.本 例 ハ 之 等 併 發 例 ト聊 カ 其 ノ趣 ヲ異 ニ シ,一 部 ハ潤 管 ヨ リ發 生 シタ ル 膽 管 上 皮 性 癌 ニ 準 ズ ベ キ 癌 腫 ト,一 部 ニ 於 テ 明 カ ニ 實 質 性 肝 癌 ノ鏡 像 ヲ呈 セ ル モ ノ ニ シ テ,一 腫 瘍 ガ 部 分 的 ニ 組 織 學 的 所 見 ヲ 異 ニ セ ル モ ノ ナ リ.

第4章  結

1)當 教 室 最 近 ニ 於 テ 經 驗 セ ラ レタ ル 解 屍 體545例 中,原 發 性 肝 臟 癌16例 ニ シ テ29.17 %ニ 當 リ從 來 ノ統 計 中 最 高 率 ヲ 示 ス モ ノ ナ リ. 2)原 發 性 肝 臟 癌16例 中 實 質 性 肝 癌10例 (62.5%),膽 管 上 皮 性 肝 癌6例(37.5%)ニ シ テ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ノ 百 分 率 高 キ 事 モ亦 從 來 ノ 統 計 ニ 見 ザ ル 所 ナ リ. 3)原 發 性 肝 臟 癌 中87%ニ 於 テ 肝 硬 變 ヲ

(16)

原 發 性肝 臟 癌 ノ病 理解 剖學 的 竝 ニ統 計 學 的 研 究 1129 見 タ ル モ ノ ニ シ テ 實 質 性 肝 癌 中80%,膽 管 上 皮 性肝 癌 ノ全 部 ニ 於 テ 之 テ 見 々 リ. 4)原 發 性 肝 臟 癌 中62.5%ニ 於 テ 「肝 臟 ヂ ス トマ蟲 」 ノ 寄 生 ヲ 認 メ實 質 性 肝 癌 中50%, 膽 管 上 皮 性 肝 癌 中83.3%ニ 於 テ 認 メ タ ル モ ノ ニ シテ當 教 室 剖 檢 例 ニ 在 リテ ハ 諸 發 生 要 約 中 「肝 ヂ ス トマ 症 」ガ主 役 ヲ演 ズ ル モ ノ ナ リ. 5)轉 移 バ 一 般 ニ 僅 少 ニ シ テ 其 ノ部 位 ハ 肝 門淋 巴 腺,肺,腸 間 膜 淋 巴 腺,脾 被 膜,後 腹 膜 淋 巴 腺,肺 門 淋 巴 腺,縦 隔 竇 淋 巴 腺,胸 廓 横隔 膜,大 網,膵 臟 頭 部 淋 巴 腺,副 腎 ノ順 位 ニ シテ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ 比 シ實 質 性 肝 癌 ニ 轉 移 ノ高 度 ナ ル モ ノ 多 キ ハ 從 來 ノ報 告 卜趣 ヲ異 ニ セ ル所 ナ リ. 6)腹 水 ハ81%ニ 於 テ 認 メ,實 質 性 肝 癌 中 80%膽 管 上 皮 性肝 癌 中83%ニ 常 ル. 7)脾 腫 ハ43.75%ニ 於 テ 認 メ,實 質 性 肝 癌 中40%,膽 管 上 皮 性 肝 癌 中50%ニ 於 テ 出 現 セ リ. 8)黄 疸 ハ62.8%ニ 於 テ 見 ラ レ,實 質 性 肝 癌 中60%,膽 管 上 皮 性 肝 癌 中66.7%ヲ 示 ス. 9).腫 瘍 ノ 占 據 部 ハ 右 葉 ニ44%,左 葉 ニ 25%,左 右 何 レ トモ 決 定 シ難 キ モ ノ31%ニ シ テ之 テ 兩 種 癌 ニ 分 別 ス レバ 實 質 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ右 葉50% ,左 葉20%,決 定 シ難 キ モ ノ30%, 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ニ 於 テ ハ3部 位 ハ 何 レ モ同 數 ラ示 ス. 10)第10例 ニ 於 テ ハ 下 空 静 脉 閉 鎖 ニ作 フ 實質 性 肝 癌 ニ シ テ 且 本 例 ニ 於 テ ハ 腫 瘍 組 織 ト 健 康 肝 細 胞 索 ト ノ間 ニ 移 行 像 ヲ 證 明 シ 得 タ リ. 11)第16例 ハ 兩 種 肝 臟 癌 ノ 混 合 型 ノ 一 種 ニ シ テ腫 瘍 發 生 母 地 ガ 潤 管 ニ 在 リ シ タ メ 一 部 ハ 實 質 性 肝 癌 ノ組 織 像 ヲ現 シ,又 一 部 ハ 膽 管 上 皮 性 肝 癌 ノ 鏡 像 ヲ 呈 セ ル モ ノ ナ リ ト解 サ ル ル モ ノナ リ.

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(18)

村 論

文 附

Fig. 1. Fig. 2.

(19)

Fig. 5. Fig. 6.

Fig.  1. Fig.  2.
Fig.  5. Fig.  6.

参照

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