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法面緑化用木本・草本種子の発芽特性

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広葉もHi汗多e  Nα4  75∼83(1987) (75) 〈論文〉

法面緑化用木本・草本種子の発芽特性

橋詰隼人*

Characteristics of Seed Germination in Some woody and Herbaceous Plants Used for Replanting on Slope Surfaces Hayato HAS壬IIZUMゼ

Summary

 Seed germinatio!〕was examined in some woody and herbaceous plants used for replanting oll s王ope surfaces.  Seed germ{nation of A/ηzるガγ勿α,んμμ42磁andβ硫イZαg♂ηsαwas found to be light −requiring, such that a high ger111hlation percentage could be obtained by a continuous light exposure of 2∼5 days. The germhlation of these seeds was also accelerated by treating with g{bberellill at conce就rations of 100∼1,000ppm.  Seeds of Soジ加s 60勿7フ2斑αa1〕d Li励θ7㊨z%ろε1姥αwere very deep in dormancy. To break the donnancy of these seeds, gibberellh}treatment at a concentration of 1,000ppm combined with stratification for more than 90 days was found effective. The germmation o仁4/b匂㌘∫2〃砺イss仇seeds was enhanced by treathlg with concentrated sulfuric acid for te:1 nMnutes.  Seeds of Lε萄りα2εz〔τ ろioo/o)∼ レ托忽4α 1∼oフ〆τ¢フ2sδ and ∠1γ飽〃3る㌘ ♪γiη6匂りs germinated considerably, either in continuous light condition or in the dark. The germination of 〃泣αη〃2〃s s仇¢η蕊 seeds was enhanced tmder col〕tinuous light conditions. The germinatio1、 of Rの功o↓彦》)物ノψo,2icαseeds was enhanced by treating with gibberelUn at collcentrations of 250∼500pplγ1,        1 緒       言  林道法面の緑化にはケンタッキー31・フェスク,ウイーピング・ラブグラスなど外来草が使用され ることが多い。これは,これらの草類がせき悪な土壌条件の下でおう盛に繁茂して法面を短期間に被 覆するからである。しかし,外来草はその地方の固有の植物でないので自然保護上問題があり,国立 公園など自然保護に重点を置く地域ではその地方固有の植物を用いて植生工を施し,緑化をはかる必 要がある。また条来草で植生工を施しても永続することはむずかしく,遷移によって自然植生に戻る *鳥取大学辰学部造林学研究室:Lζめωτ1∫ωyげS∼∼WZf∼r〃胤磁α晦・0ブAg’宿幽θで,7Y)〃o’イU川〃¢戚ζv  本研究は,昭和61年度民間等との共同研究(雨水及び流水による法面の侵食機構とそθ)保護工に関する研 究)による袖助金によって行ったものである。

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(76) 橋 狛 集 人 ことが多い。したがって,その土地の固有植物によって植生工を施すことが最も好ましいことである。 本研究はこのような園的のために,鳥取地方に自生する植物の中で法面緑化に使用可能な木本及び草 本植物について,法面緑化の基礎研究として種子の発芽特性を調べた。  本研究は昭和60,61年度民間との共同研究(研究課題:雨水及び流水による法面の侵食機構とその 保護工に関する研究,代表者鳥大工学部教授道上正規)によるものである。お世話になった三協商会 株式会社(鳥取市)に対し厚くお礼を申し上げる。

II材料と方法

1.供試種子  木本種子はヤシャブシ,ヒメヤシャブシなど8種類,草木種子はイタドリ,ヨモギ,ススキの3種 類を用いた。これらの種子は鳥大蒜山演習林,大山国有林,倉吉市大平山などで採取した。種子は10 月に採取し,脱粒後,水選可能なものは1昼夜水につけて選別した。 2.発芽試験  発芽床は,直径9cmのシャーレにろ紙を敷くか,あるいは脱脂綿を敷いて蒸留水を十分含ませ,そ の上にろ紙を敷いて用いた。1シャーレに小粒種子は100粒,中粒種子は50粒まき付け,2回または3 回くり返して試験した。発芽温度は25℃で,15∼40日で試験を締め切った。  光照射は,昼光色螢光燈を用い,照度を1,500∼2,0001uxとした。暗黒発芽は主に連続黒暗条件で試 験したが,一部の実験は給水,調査時に光にさらした。連続暗黒発芽はシャーレを黒布袋に包んで恒 温器に入れて発芽させた。この場合給水は暗室で行った。  ジベレリン等のホルモン処理は,種子を小型管ビンに入れてホルモン剤を注ぎ,25℃暗黒下で24時間 あるいは48時間(クロモジのみ)浸漬処理した。ジベレリンは100∼1,000ppm,カイネチンは100∼500 PPmの濃度で用いた。  冷湿処理は,シャーレにろ紙あるいは脱脂綿を敷いて蒸留水を注ぎ,その上に種子をまき付け,発 芽試験と同じように準備したものを黒布袋に入れて,暗黒処件で5℃の冷蔵庫に収めて処理した。

III結果と考察

1.ヤシャブシ,ヒメヤシャブシ種子の発芽  ヤシャブシ,ヒメヤシャブシの種子は光発芽種子であるといわれているが4},連続光下ではよく発芽 し,連続暗黒下では全く発芽しなかった(図1)。ヒメヤシャブシの種子は入床後約10日でほぼ生えそ ろった。ヤシャブシの種子はヒメヤシャブシ種子に比べて発芽率が低かったが,これは供試種子が悪 かったためで,その後に行った別の実験では連続光下でよく発芽した。両樹種とも実粒発芽率は80% 以上である。  次に光の照射日数を変えて発芽試験を行った(図2)。ヒメヤシャブシ種子は入床後最初の1日(24

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法面緑化用木本・草本種子の発芽特性 (77)    =:1:;1:フ:引懸繍エ∼) (%) 竺ゴξ類:ζ1:発灘編Ilu 1⑪0 発 “兄50 率 0 0 5 10 15 20(1ヨ) 図1 ヤシャプシ,ヒメヤシャブシ種子の連続   光及び暗黒下における発芽経過 (%) 100 発 克50 率 0

 0246      

20(EI)         光照射日数 図2 ヤシャブシ,ヒメヤシャブシ種子におけ   る光照射日数と発芽率との関係 (%) 100 50 o 0 5 10 15(}ヨ) 図3 ヤシャブシ種子の発芽に対するジベレリ   ンの影響 (%) 100 50 0 0 5 10 15(日) 図4 ヒメヤシャブシ種子の発芽に対するジベ   レリンの影響 時間)の光照射で70%の発芽率を示し,3日間の照射で発芽率は90%以上になった。ヤシャブシ種子 は,1日程度の光照射では発芽率はあまり増加しなかったが,5∼6Elの照射で最終発芽率の80%程 度に達した。ヒメヤシャブシに比べてやや光に対する感受性が劣るようである。  ジベレリンは種子の発芽を促進するので,その効果を調べた。100∼500ppmのジベレリン水溶液に 24時間浸漬処理して連続光下で発芽させると,ヤシャブシ,ヒメヤシャブシの種子はよく発芽した(図 3∼図4)。最終発芽率は95%以上であった。連続暗黒下でもジベレリン処理によって発芽が促進され た。ジベレリンの効果は100PPmよりも500PPmで大であった。これらのことからヤシャブシ,ヒメヤ シャブシの種子を播種する際は,水に1日浸漬して吸水させ,水切り後3∼5日間光に当ててまくか, ジベレリンの500ppm水溶液に1昼夜浸漬処理してまくと発芽が促進される。 2.ミズメ種子の発芽 ミズメはカバノキ科で光発芽種子と考えられる。連続光での発芽は,入床後3日罵から始まり,約

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(78) 橋 詰 隼 人 10日で発芽はほぼ完了した(図5)。連続暗黒下では発芽率は0.5%で,ほとんど発芽しなかった。ウ ダイカンバ,ダケカンバ,シラカンバなどと同じ性質のようである↓∼2’5∼珊光照射日数については(図 6),入床後最初の1El(24時間)の照射で63%発芽し,2∼3日間の照射で連続15日照射と同程度の 発芽率を示した。 (%) 100 発 芽50 率 0 (%) 100 75 発 芽50 率 25 0 0 日 5 数10 15 0 5 図5 ミズメ,ナナカマド,   連続光での発芽経過 互0 ナナカマド  クロモジ 15(日) クロモジ種子の 1 2 3 4 5光照射鷹 図7 ミズメ種子における光照射日と発芽   率との関係    (x[ヨ目に24時問光照射,CL:連続   光でθ)発芽率ライン) (%) 100  75 発 芽50 率  25 0 El 5 0 数10 15 光∬召身寸[ヨ数 15(iヨ) 光 照 射 暗 黒 図6 ミズメ柱子における光照射騨数と発芽率    との関係   CL:連続光での発芽率ライン(発芽率80   %) (%) 100  75 発 芽50 率  25 0 0 4 8 光照射時11 16 24(時間) 図8 ミズメ種子における光照射時門と発芽   率とのβ9イ系

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法面緑化用本本・草本穏子の発芽特性 (79)  次に最適光照射日について検討した。1日目,2日目,∼5日目にそれぞれ24時間光を照射し,そ の他の期間は暗黒条件下に置いた(図7)。入床後2日目の光照射で最も発芽率が高く,連続光照射と 同程度の発芽率を示した。3日日以降の照射では徐々に発芽率が低下しており,光に対する感受性が 衰えるようである。入床後1日目と2日目に時間を変えて光をあて,発芽に必要な最低光照射時間を 調べたところ(図8,表1),前の実験と同様に1日目よりも2日目の方が光に対する感受性が高く, 2E旧照射では5分間という短時間の光照射で35%発芽した。1日目の照射では2時間照射で発芽率 は30%であった。以上の実験から,ミズメ種子は5分間の光照射で発芽するようになり,2∼4E燗 光照射すれば連続照射と同程度の発芽を示すことがわかった。 表1 ミズメ種子における光照射時間    と発芽率との関係 発   芽 率 (%) 光照射時間 1日目照射 2日日照射 0 一 0.5 5分 一 35.5 30分 0 42.3 1時間 2.9 43.0 2時間 30.2 46.6 4時間 48.3 60.0 8時間 52.7

6L7

16時聞 61.9 71.7 24時間 63.0 77.9  次に冷湿処理の効果を調べた(図9)。0 ∼90日間冷湿処理した種子を25℃暗黒下で 15日間発芽させた。冷湿処理した種子は暗 黒下でも発芽するようになり,60∼90日の 冷湿処理で連続光と同程度の高い発芽率を 示した。ホルモン剤処理の効果についても 試験した(表2)。ジベレリンで処理した種 子を暗黒下で発芽させたところ100PPm処 理で74%発芽し,500∼1,000ppm処理では 90%以上の発芽率を示した。実用的には50 (%) 100 発 芽50 率 0 0     15     30     45     60       冷湿処理の日数 go(日) 図9 ミズメ種子における冷湿処理と発芽率と の関係 (CL:連続光での発芽率ライン) 表2 ジベレリン処理と発芽率との関係 発   芽   率 (%) ジベレリン濃度 @(ppm) ミ ズ メ ナナカマド クロモジ 01005001,000 0.5 V4 X7 X4 〇−00 0…00 発 芽 条 件

連続暗黒

連 続 光 連 続 光 Oppmで24時間処理が適当と思われる。カイネチンの効果についても試験したが, 著しい効果はみら れなかった。ジベレリンとカイネチンの組合わせ処理の効果ははっきりしなかった。ジベレリン処理と 冷湿処理の組合わせ処理はジベレリン単独処理よりも発芽を促進したが,実用的にはジベレリンの単 独処理で十分である。

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(80) 橋 詰 隼 人 3.ナナカマド,クロモジ種子の発芽  ナナカマドの種子は暗黒条件及び連続光下で発芽しなかった。90日以上の冷湿処理ではじめて発芽 した。しかし,発芽率は低く,150日の冷湿処理で10%程度であった。発芽促進にはホルモン剤の処理 が有効であったが,ジベレリン及びカイネチンの単独処理は効果が認められず(表2),ジベレリンあ るいはカイネチン処理と冷湿処理の組合わせ処理が有効であった(図10)。最も効果があったのはGA 1,000PPm+冷湿処理で,90日の冷湿処理で約20%発芽した。しかし,冷湿処理中に(連続暗黒下で)発 芽したものが多く,連続光下に置いても発芽率はあまり増加しなかった。 (%) 20  15 発 芽10 率  5 0 o 40   60 冷湿処理の日数

 PPm

GAI、000 90(1ヨ) 図10 ナナカマド種子の発芽に対するホルモ   ン剤処理と冷湿処理の組合わせ処理の   効果    (発芽条件:25℃連続光,15日で締め   切る) (%) 25 20 発15 芽 ⇒ノ10 牟 5 0 ⑪        PPm 片……一唱6溜1益 40   60 冷湿処理の日数 go(日) 図11 クロモジ種子の発芽に対するホルモン   剤処理と冷湿処理の組合わせ処理の効   果    (発芽条件:25℃連続光,40EIで締め   切る)  クロモジ種子は暗黒条件及び連続光下で発芽せず,また20∼150日の冷湿処理及びジベレリン,カイ ネチンの単独処理でも発芽しなかった。ジベレリンあるいはカイネチンの単独あるいは併用処理と冷 湿処理の組合わせ処理ではじめて発芽した(図11)。最も有効な方法は,ジベレリン1,000PPm液ある いはジベレリン500ppmとカイネチン500PPmの混合液に2日間浸漬処理して90日以上冷湿処理する方 法であった。休眠が深く長期間の冷湿処理が必要である。 4.ネムノキ,ヤマハギ,タニウツギ種子の発芽  ネムノキの種子は硬粒を含んでおり,無処理では連続光,暗黒(本実験の暗黒は連続暗黒でなく調 査時に光にさらした)のいずれにおいても発芽率は低く,20%程度であった。しかし,濃硫酸に5∼10 分間処理すると吸水が促進され,種子は著しく膨大して80%以上の発芽率を示した(図12)。吸水が妨 げられて膨大しない種子は発芽しない。ジベレリンの単独処理は吸水を促進せず,発芽も促進しなか った。  ヤマハギ種子は連続光,暗黒のいずれでも発芽し,70%以上の発芽率を示した(図13)。濃硫酸処理

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法面緑化用木本・草本種子の発芽特性 (81) (%) 80  60 発 芽40 率  20 0 ,!       濃硫酸 /一’{°一一’ 一’一一’一一゜一’一’〔一’一・一・一一・一・一・一・一・一・ 連続光  暗・羅     5      10      15     20      25(Eヨ) 図12 ネムノキ種子の発芽経過    (図12∼図17の実験における‖音黒は連続    暗黒でなく,調査時に光にさらした) (%) 80  60 発 芽40 率  20 0 ,.〆 ! ノ ’ ’ ! / ノ ’ ノ ’ ’ ./’       暗黒 ./一’一’@ 連続光 〆 及びジベレリン処理は効果がみられなかった。  タニウツギ種子は連続光,暗黒のいずれでも発 芽し,70∼80%の発芽率を示した(図14)。また250 ppmのジベレリン処理によって発芽は促進された。  5.イタドリ,ヨモギ,ススキ種子の発芽 (%) 80  60 発 芽40 率  20 0

510152025(日)

図13 ヤマハギ種子の発芽経過    ∫ 連続光 / 〆 ’  ! ∫ ∫ / ! 暗黒  イタドリ種子は連続光,暗黒いずれでも発芽が 悪く,発芽率は10%以下であった。しかし,250∼500 PPmのジベレリン水溶液の処理によって発芽は促 進された(図15)。250PPm区では暗黒条件で90% の発芽率を示した。  ヨモギ種子は連続光,暗黒いずれでも発芽がよ く,75∼80%の発芽率を示した(図16)。ススキ種 (%) 100  80 発60 芽 率40  20 o GA250ppm暗黒   //   /!   !/   !〆   ’1  ∫!  ∫!  !l  ∫ ’ ノ1 ’ F ∫l

ll

l! (%) 80  60 発 ぷ40 率  20 0  5     10     15     20     25([ヨ) 図14 タニウツギ種子の発芽経過 / ’ 連枇光 ! ! 暗黒 /一一〔’一・一一・一’一弁〔”       GA500ppm暗ぷ ノL・’△〔一△一一△一・∠込一・一◇一・一△一・一△一一←一△一会一△一・一心 [暗黒 ,.〆一一一一一一一…’”一’”一……… @羅光 5 10 15 20 図15 イタドリ種子の発芽経過 (%)  60 発40 芽 率20  0 5 図16 ’  10   15   20 ヨモギ種子の発芽経過 ’ ’ ’ 25(日) 25(印 連続光 暗諜. ’ ’ ’ ’ ’ 5   10   15   20 図17 ススキ種子の発牙経過 25(ED

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(82) 橘  詰  隼  人 子は暗黒条件では30%,連続光では60%の発芽率を示した(図17)。ススキは分けつによって繁殖する が,種子の発芽率もかなり高かった。 6.発芽促進法の検討  ヤシャブシ,ヒメヤシャブシ,ミズメは光発芽種子で,ミズメでの実験によると,吸水後2日日に 光照射すると,わずか5分間の照射で光を感受して30%以上発芽する。ミズメでは2∼3日,ヒメヤ シャブシでは3∼4日,ヤシャブシでは5∼6日の光照射で連続光照射と同じ程度の発芽率が得られ る。また,ジベレリン処理は有効で,100∼1,000ppmのジベレリン水溶液に1昼夜浸漬処理すると光 を照射しなくても発芽が促進される。実用的にはジベレリン500PPm水溶液に24時間浸漬処理して播種 する方法が最も簡便な方法である。  ナナカマド,クロモジの種子は休眠が深く,長時間冷湿処理を行わなければ休眠が破れない。しか し,ジベレリン処理あるいはジベレリンとカイネチンを併用処理して更に冷湿処理すると,発芽が促 進される。実用的にはGA1,000PPm液あるいはGA500PPrn+KIN500PPn互液に2∼3E}間浸漬処理して, 90日以上冷湿処理して播種すると発芽が促進される。しかし,発芽率は低く?更に菊効な方法を研究す る必要がある。  ネムノキ種子の発芽促進には濃硫酸処理が有効である。5∼10分間処理すると吸水が促進されて種 子は膨大し,2∼3Elで発芽する。原圧13}によると温湯処理(50℃で5分∼30分)が有効であるという。 ヤマハギ種子は種皮がやや厚く,水につけても吸水せず,発芽しないものがかなり多くみられる。濃 硫酸(5分間)あるいは熱湯処理すると吸水が促進されて種子は膨大するが,発芽率は必ずしも高く ならない。発芽促進法については更に研究が必要である。タニウツギ種子は明所,暗所いずれでも発 芽したが,ジベレリン処理が有効で,100∼250PPmのジベレリン水溶液に1昼夜浸漬処理して播種す るとよい。  イタドリ種子は無処理では発芽率が低く,ジベレリン処理によって発芽率が高くなった。ジベレリ ン250ppm溶液に1昼夜浸漬処理して播種するとよい。ススキ種子は暗所よりも明所で発芽率が高かっ た。ジベレリン処理は効果がみられなかったが,更に研究する必要がある。ヨモギ種子は明所,暗所 いずれでも発芽率が高く,水に1昼夜浸漬処理して播種するとよい。これらの種子は鳥大蒜山演習林 の林道法面に施工したハニカム・フレーム・スパイク工法による法面に実地に播種した。ヤシャブシ, ヒメヤシャブシ,ミズメ,イタドリはジベレリン200ppm水溶液に1昼夜浸漬処理して,ネムノキは濃 硫酸に10分間処理して,ヤマハギ,ススキ,イタドリは水に1昼夜浸漬処理して播種したところ,い ずれの種子もよく発芽し順調に生育している。

IV 総

括  林道法面緑化用木本・草本種子について発芽特性を調べた。供試種子は木本が8種類,草本が3種 類である。  1.ヤシャブシ,ヒメヤシャブシ,ミズメ種子は光発芽種子で,暗黒条件ではほとんど発芽せず, 光の照射によって発芽が著しく促進された。ミズメ種子はわずか5分間の光照射で発芽するようにな

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法面緑化用木本・草本種子の発芽特性 (83) った。これらの種子は2∼5日間の光照射で連続光照射と同程度の発芽率を示した。またこれらの種 子の発芽は,ジベレリン100∼1,000ppm水溶液の処理によって促進された。実用的には種子を水に1 昼夜浸漬して吸水させてから2∼5El問光に当ててまくか,ジベレリンの200∼500ppm水溶液に24時 間浸漬処理してまくとよい。  2.ナナカマド,クロモジ種子は休眠が深く,光照射あるいは短時間の冷湿処理では発芽しなかっ た。休眠打破にはジベレリン処理と冷湿処理の組合わせ処理が有効で,ジベレリンの1,000ppm水溶液 に1∼2El間浸漬処理して,90日以上冷湿処理するとある程度発芽するようになった。  3.ネムノキ種子は硬粒を含んでおり,無処理では発芽が悪かった。発芽促進には濃硫酸処理が有 効で,5∼10分間浸潰処理してまくと短時間で発芽した。ヤマハギ,タニウツギ種子は水に1昼夜浸 漬処理してまくとよく発芽した。タニウツギ種子は250ppmのジベレリン水溶液の処理によって発芽が 健進された。  4.イタドリ種子は連続光,暗黒条件いずれでも発芽が悪かった。250∼500ppmのジベレリン水溶 液の処理によって発芽が促進された。ジベレリン水溶液に1昼夜浸潰処理してまくとよい。ヨモギ種 子は連続光,暗黒いずれでもよく発芽した。ススキ種子は連続光の下でよく発芽した。 文 献 1)花房 尚・永田 洋・佐藤大七郎:林木の光周性(V) ウダイカンバ種子発芽の光周性.77回   Eヨ林ξ薄, 167∼169 (1966) 2)花房 尚・永田 洋・佐藤大七郎:同上(VD ウダイカンバ種子発芽における光にかわりうる  要因.77回日林講,169∼170(1966) 3)原田 洗:ネムノキのタネの2型(硬粒と硬粒でない型)とその選別および硬粒型のタネに対す   る発芽促進.日林誌,35,186∼189(1953) 4)原田 洗・大森一男:ヒメヤシャブシのタネの発芽におよぼす光の効果.日林関西支講,3,   44∼45 (1953) 5)小水内正明:ダケカンバ,シラカンバの発芽に対する一実験.日生態誌,22,19∼23(1972) 6)永田 洋・花房 尚・林勇治郎・佐藤大七郎:林木の光周性(IX)ウダイカンバ種子発芽におよ   ぼす低温処理と温周処理の影響.北海道林試報,6,50∼55(1968) 7)永田 洋・飛岡完治・矢頭献一・肥後 純:林木の光周性(XDシラカンバ種子の発芽と低温湿   層処理.80回日林講,182∼184(1969) 8)斉藤昌宏・小沢進吾・中山 昇:木本植物の発芽試験(1)試験方法の検討.新大演報,12,   81∼86 (1979) 9)内田燈二:シラカンバの発芽∼覆土の厚さについて.81回日林講,172∼174(1970)

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