• 検索結果がありません。

( 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換 ) 第 18 条同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約 ( 契約期間の始期の到来前のものを除く 以下この条において同じ ) の契約期間を通算した期間 ( 次項において 通算契約期間 という ) が 5 年を超える労働者が 当該使用者に対

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "( 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換 ) 第 18 条同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約 ( 契約期間の始期の到来前のものを除く 以下この条において同じ ) の契約期間を通算した期間 ( 次項において 通算契約期間 という ) が 5 年を超える労働者が 当該使用者に対"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

「多様な働き方」時代の

連 載

<23>無期転換時の賃金の取り扱い方法

株式会社プライムコンサルタント 

田中博志

賃金設計

賃金設計

賃金設計

無期転換時にもランク型賃金表を応用

 正社員、嘱託社員、パートタイム社員、契約社員、派遣社員、勤務地限定社員…。 近年、雇用形態の細分化が進み、さまざまな働き方の「社員」が増えてきた。そのよ うな働き方の異なる社員の賃金はどのように決めればよいのか?「多様な働き方」時 代の賃金設計の考え方・ノウハウについて、株式会社プライムコンサルタントの田中 博志氏に解説いただく。連載第23回は「無期転換時の賃金の取り扱い方法」です。  連載第 19 回では、勤務地限定社員の賃 金の決め方を考えました。さらに、連載第 20 回から 22 回にかけて、非正規社員の代 表格であるパート社員と契約社員の賃金を、 正社員のランク型賃金表 ®(※ 1)と関連付 けて取り扱う方法を考えました。ランク型 賃金表がさまざまな就労形態や多様な働き 方に応用できることが実感できたと思いま す。 ※ 1:「ランク型賃金表」は株式会社プライ ムコンサルタントの登録商標です。  図表 1 は、過去 3 回の連載で例示した X 社の正社員、勤務地限定社員、契約社員、 パート社員の賃金の決め方を一覧にしたも のです。  ところで、この X 社の例を考える際、パ ート社員と契約社員は、期間の定めのある 雇用契約(有期契約)を想定していました。 読者の中には、「無期転換」になった場合は どうするのかという疑問を持たれた方も多 いと思います。無期転換とは、労働契約法 に基づいて、有期契約を反復更新して通算 5 年を超えた場合、本人の希望により無期 契約にできるというものであり、いよいよ 来年 4 月から該当者が誕生します。そこで 今回は、無期転換時の賃金の取り扱い方法 について考えたいと思います。(※ 2) ※ 2:高度専門職と定年後再雇用者につい ては、2015 年 4 月に施行された有期雇用 特別措置法に定める無期転換ルールの特 例の適用を受けることにより、5 年超で の無期転換の対象外にすることができま す。 1無期転換ルールと処遇のポイント  まず、法の定めを確認しておきましょう。 2013 年 4 月に施行された改正労働契約法第 18 条には次のように規定されています。な お、第 2 項は、通算期間に参入しない空白 期間、いわゆるクーリング期間を定めたも のですので省略しました。

(2)

(有期労働契約の期間の定めのない労 働契約への転換) 第 18 条 同一の使用者との間で締結 された二以上の有期労働契約(契約期 間の始期の到来前のものを除く。以下 この条において同じ。)の契約期間を通 算した期間(次項において「通算契約 期間」という。)が 5 年を超える労働者 が、当該使用者に対し、現に締結して いる有期労働契約の契約期間が満了す る日までの間に、当該満了する日の翌 日から労務が提供される期間の定めの ない労働契約の締結の申込みをしたと きは、使用者は当該申込みを承諾した ものとみなす。この場合において、当 該申込みに係る期間の定めのない労働 契約の内容である労働条件は、現に締 結している有期労働契約の内容である 労働条件(契約期間を除く。)と同一の 図表1:X 社の基本給表の全体構成(全国社員、勤務地限定社員、契約社員、パート社員の適用ランクの設定例) 基本給表 役割責任 号数 ランク 月額 時給 P1等級 [アシスタント]P2等級[一般][一般]K1等級[担当]K2等級 [一般]Ⅰ等級 [担当]Ⅱ等級 [主任]Ⅲ等級 [課長]Ⅳ等級 [部長]Ⅴ等級 パート社員 /※職種・勤務 地限定社員(パ ートタイム) 契約社員 /※職種・勤務 地限定社員(フ ルタイム) 正社員 136 ・・ ・・ 17 526,270 ・・・・・ ・・・・・ S=17点 ・・ ・・ ・・ 16 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ A=16点 ・・ ・・ ・・ 15 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ S=15点 B=15点 ・・ ・・ ・・ 14 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ A=14点 C=14点 ・・ ・・ ・・ 13 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ S=13点 B=13点 D=13点 ・・ ・・ ・・ 12 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ S=12点 A=12点 C=12点 ・・ ・・ ・・ 11 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ S=11点 A=11点 B=11点 D=11点 ・・ ・・ ・・ 10 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ S=10点 A=10点 B=10点 C=10点 ・・ ・・ ・・ 9 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ S=9点 S=9点 A=9点 B=9点 C=9点 D=9点 ・・ ・・ ・・ 8 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ A=8点 S=8点 A=8点 B=8点 C=8点 D=8点 ・・ ・・ ・・ 7 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 1,409 ・・・ ・・・ S=7点 S=7点 B=7点 A=7点 B=7点 C=7点 D=7点 ・・ ・・ ・・ 6 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・・ ・・・ A=6点 A=6点 C=6点 B=6点 C=6点 D=6点 ・・ ・・ ・・ 5 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・・ ・・・ S=5点 B=5点 B=5点 D=5点 C=5点 D=5点 ・・ ・・ ・・ 4 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・・ ・・・ A=4点 C=4点 C=4点 D=4点 全国社員 ・・ ・・ ・・ 3 ・・・・・ ・・・・・ 165,000 ・・・ ・・・ 1,032 B=3点 D=3点 D=3点 勤務地 限定社員 ・・ ・・ ・・ 2 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・・ ・・・ C=2点 ・・ ・・ 1 1 ・・・・・ ・・・・・ 130,760 ・・・ ・・・ 818 D=1点 (注)表中の点数(1点〜17点)は対応する評価レートを表す    Ⅰ等級〜Ⅴ等級のランクは、全国社員にはグレーの範囲、勤務地限定社員には白地の範囲を適用する    パート社員、契約社員の欄の「※職種・勤務地限定社員」は、労働契約法第18条に基づく無期転換ルールの適用後を示す

(3)

労働条件(当〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰該労働条件(契約期間を 除 〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰く。)について別段の定めがある部分 を〰〰〰〰〰〰〰除く。)とする。 2(省略)  条文中の下線、二重線、波線は筆者が加 えたものです。まず下線部は、「有期契約を 更新して通算期間が 5 年を超えた場合、労 働者の申込みがあれば無期契約に転換され る」という、無期転換ルールの核心部分を 述べています。「…使用者は当該申込みを 承諾したものとみなす」とありますが、「み なす」は法的効果を与えることを示す法律 用語です。したがって、「労働者が申込めば、 使用者が承諾した」として取り扱うという ことであり、会社は拒むことができない強 い規定なのです。  賃金などの処遇について注目すべきは二 重線を引いた部分であり、これに波線部の 条件がついています。二重線部を簡単に言 うと、「無期契約の労働条件は、契約期間の 定めがなくなること以外は、現在の有期契 約と同じ労働条件とする」となります。一 方、波線部は、「就業規則や個別労働契約な どで契約期間以外に別段の定めをしている 場合には、同じ労働条件とはならない」と いう条件を示しています。  この 2 つを組み合わせて処遇の取り扱い を読み解くと、「無期転換しても、契約期間 が変わるだけで働き方が変わらないなら処 遇条件も変わらない」「働き方が変わるなら 処遇条件も変わる」ということになります。  今となっては当たり前のことを述べまし たが、この無期転換ルールが制定された当 時は、有期契約から無期契約に変えると同 時に処遇を上げる必要があるのではと考え た人も少なくなかったと思います。その背 景には、「無期契約は有期契約よりも格が高 い」という暗黙の前提があったと思われま すが、法律は、契約期間の定めが無くなる だけで、処遇は変える必要がないことを明 言しています。  ここで注意しなければならないのは、無 期転換後も同じ働き方を続ける従業員に対 して、安易に処遇を上げてしまうと、労働 契約法第 20 条の「期間の定めがあることに よる不合理な労働条件の禁止」に触れる恐 れがあることです。もしそうなった場合は、 無期転換後の高い処遇を有期契約の従業員 にも適用すべきとの指摘を受けかねません。 無期転換後の処遇を変える場合は、前回ま で注目してきた職務の内容か人材活用の仕 組みも変える必要があることを忘れないで ください。 2無期転換後の処遇のポイント  法律の条文を読み解くことで、無期転換 後の処遇は、今後の就労条件に応じて考え ればよいことが浮かび上がってきました。  就労条件は、前回触れたように、①職務 の内容、②人材活用の仕組み、③労働時間 の 3 つに分類されます。本連載で解説して きたランク型賃金表を使った取り扱いでは、 ①と②は貢献度の違いとして評価レートに 反映させ、③は時間比例で計算するという ものでした。無期転換後の処遇もこれに沿 ってていねいに組み立てていくことになり ます。 3実際の取り扱い事例  まず、具体的にイメージできるように、 図表 2- ①のような X 社の契約社員 M さん (K1 等級のフルタイム、職種・勤務地限定) が、図表 2- ②に掲げる 4 つのパターンで無 期転換するケースを考えてみます。(※ 3)

(4)

※ 3:X 社の具体的な基本給表は、連載第 22 回の図表 4 を参照してください。 【パターン A】  職務の内容(以下、「役割責任」と言うこ とにします)も人材活用の仕組みも同じ場 合です。  契約期間以外には何も変わりませんので、 法律通り処遇条件はこれまでと同一としま す。すなわち、基本給は 5 ランク・33 号 で移行します。引き続き一般職の評価基準 で評価し、評価レートは「D=3 点から S=7 点」を適用します。(※ 4)  くどいようですが、ここで処遇条件を引 き上げてしまうと有期契約の処遇まで引き 上げざるを得なくなりますので注意してく ださい。なお、無期契約には「契約社員」 という呼び方は馴染まないので、無期転換 後は職種・勤務地限定社員(フルタイム) のⅠ等級としています。 ※ 4:もし有期契約時に評価も賃金改定も なかった場合はそれを踏襲することにな りますが、無期契約社員に評価や賃金改 定をしないのではモチベーションに悪影 響を及ぼします。そうしないためにも、連 載第 20 回、22 回でパートタイマーや契 約社員に対しても評価・賃金改定をお奨 めしてきたのです。 【パターン B】  この機に役割責任を一つ上げますが、人 材活用の仕組みは変わらないというパター ンです。  この場合は通常の役割責任異動の取り扱 いをします。すなわち、基本給はそのまま とし、今後の評価基準と評価レートを適用 します。M さんのケースでは、今後は担当 職(Ⅱ等級)として評価し、評価レートは 従来より 2 点ずつ高い「D=5 点から S=9 点」 を適用します。役割責任の変更は、次回の 評価と賃金改定から反映されることになる 図表2:X 社の契約社員 M さんが無期転換になるケース ①無期転換前の M さんの就労条件と処遇  ・職務の内容:一般職の役割責任(K 1等級)  ・人材活用の仕組み:職種、勤務地ともに変更の可能性はない(職種・勤務地限定)  ・労働時間:フルタイム  ・基本給:5 ランク・33 号 ② M さんの無期転換のパターン パタ ーン 無期転換後の就労条件 契約期間以外に 変わること 無期転換後の呼び方 職務の内容 <役割責任> 人材活用の仕組み 労働時間 A 一般職(Ⅰ等級)職種・勤務地限定 フルタイム なし 職種・勤務地限定社員(フルタイム)のⅠ等級 B 担当職(Ⅱ等級)職種・勤務地限定 フルタイム 役割責任が一つ上がる 職種・勤務地限定社員(フルタイム)のⅡ等級 C 一般職(Ⅰ等級) 勤務地限定 タイム 職種の限定がなくなるフル 勤務地限定社員(フルタイム)のⅠ等級 D 担当職(Ⅱ等級) 勤務地限定 タイムフル 役割責任が一つ上がる職種の限定がなくなる 勤務地限定社員(フルタイム)のⅡ等級

(5)

わけですね。 【パターン C】  役割責任は従来のままですが、人材活用 については職種限定をなくして勤務地限定 のみにする場合です。今後は長期間働くこ とになるので、臨機応変に職種変更ができ るようにしようという考えです。  ランク型賃金表では、人材活用上の制約 の有無を基本給の適用ランクと評価レート に反映しますので、それに従うことになり ます。  M さんは、勤務地限定の一般職になりま すから、基本給の適用ランクは従来より 1 ランク高い「4 ランクから 8 ランク」を、評 価レートは 1 点ずつ高い「D=4 点から S=8 点」を適用します。なお評価については、役 割責任は同じですので、引き続き一般職用 の基準を使います。  一般職で「D=4 点から S=8 点」を適用し ますので、図表 1 から分かるように、これ からは「勤務地限定社員のⅠ等級」と同じ 処遇条件になります。  さて、ここで基本給(現在 5 ランク・33 号)をどのようにするかという問題が生じ ます。言いかえると人材活用上の制約が一 つに減ることを、すぐに賃金に反映すべき かどうかという問題です。  これには、次の 2 つの方法が考えられま す。 (ア)基本給を 1 ランク分(8 号)高い 6 ラ ンク・41 号に移行する (イ)基本給は 5 ランク・33 号のまま移行 し、制約が緩んだことに対しては、今後 の賃金改定で高い評価レートを適用する ことで報いる ○方法(ア)  これは、人材活用上の柔軟性も会社に対 する貢献の一つであることをストレートに 表すという原理原則的な取り扱いです。 ○方法(イ)  (ア)は、筋は通ってはいますが、なんと なくしっくりこない方もいるでしょう。腑 に落ちない感じがするのは 2 つの疑問があ るからだと思います。  一つは、職種の限定はなくなるけれど、実 際に職種変更はあるだろうかという「現実 性に関する疑問」であり、もう一つは、将 来、止むを得ない事情によって再び職種限 定になり、職種・勤務地限定に戻るときは 1 ランク下げるのかという「逆パターンに 関する疑問」です。  前者は、定期的な人事ローテーションが ない会社では抱きやすい疑問ですね。  後者は、例えば、家族の介護のために出 張や外回りが多い営業職への異動要請を避 けるために事務職限定を申請するなどのケ ースが考えられます。仮に介護が理由だっ た場合、介護費用がかさむときに基本給を 一気に 1 ランク(金額にして数万円)下げ るのは忍びないという心情が働くかもしれ ません。  (イ)は、これら 2 つの疑問に応えるため の方法です。賃金については極端な変動を 避け、段階的に改定するという基本方針に 沿うことによって、職種限定の有無にもソ フトランディングで対応しようという考え 方です。  (ア)(イ)のどちらを選ぶかについては、 今後の法整備や行政指導によって何らかの 規定が加わるかもしれませんが、現段階で は各社の事情に応じて判断すればよいと考 えています。

(6)

【パターン D】  役割責任を一つ上げるとともに、職種限 定をなくして勤務地限定にする場合です。 この場合の取り扱いは、パターン B と C の 組み合わせで考えればよいでしょう。  まず、役割責任が担当職・Ⅱ等級に上が りますので、評価基準は担当職用に変わり、 評価レートは 2 点ずつ高い「D=5 点から S=9 点」になります。  さらに、職種限定がなくなることによっ て、基本給の適用ランクは 1 ランク高い「6 ランクから10ランク」、評価レートは1点ず つ高い「D=6 点から S=10 点」になります。 その結果、今後は「勤務地限定社員のⅡ等 級」として取り扱うことになります(図表 1 参照)。  さて、ここでも移行時の基本給をどうす るかという問題がありますが、パターン C と全く同じように考えればよいでしょう。 評価レートの上昇は合計 3 点ですが、人材 活用上の制約がなくなることによる適用ラ ンクのアップは 1 ランク分ですので、前述 の(ア)「1 ランク分アップして移行する」 か、(イ)「移行時はアップせずに今後の賃 金改定で報いる」の 2 つの方法から選択し ます。やはり、各社の実情に応じて判断す ることになります。 図表3:X 社の契約社員 M さんの無期転換後の処遇条件 図表4:ランク型賃金表における無期転換後の処遇の取り扱いルール 無期転換後の役割責任 一般職(Ⅰ等級) 担当職(Ⅱ等級) 無期転換後の 人材活用の仕組み 職種・ 勤務地限定 【パターン A】 従来と同じ (無期転換のみ) 【パターン B】 ・評価基準:担当職用に変える ・評価レート:+2点 ・移行時の基本給:従来と同じ 勤務地限定 ・評価基準:一般職用のまま【パターン C】 ・評価レート:+1点 ・移行時の基本給:職種限定がなくなる ことにより1ランクアップさせるかどう かは判断 【パターン D】 ・評価基準:担当職用に変える ・評価レート:+3点(役割責任上昇で +2点、職種限定をなくすことで+1点) ・移行時の基本給:職種限定がなくなる ことにより1ランクアップさせるかどう かは判断 無期転換後の役割責任 従来と同じ 従来より高い 無期転換後の 人材活用の仕組み 従来と同じ 【A】 従来と同じ (無期転換のみ) 【B】 ・評価基準:新しい役割責任用に変える ・評価レート:役割責任の変化に応じて プラスする ・移行時の基本給:従来と同じ 従来より 制約が少ない ・評価基準:従来と同じ【C】 ・評価レート:制約の変化に応じてプラ スする ・移行時の基本給:制約が減ることによ りランクアップさせるかどうかは判断 【D】 ・評価基準:新しい役割責任用に変える ・評価レート:役割責任と制約の変化に 応じてプラスする(両者のプラス分を合 計する) ・移行時の基本給:制約が減ることによ りランクアップさせるかどうかは判断 注1)無期転換前後で労働時間が変化した場合の基本給は、時間比例で計算した金額とする 注2)上表では役割責任の下降や人材活用上の制約が増える場合には触れていないが、そういうケースは評価レートが下がる方向で考える

(7)

 A から D まで 4 パターンの対応方法を見 てきましたが、賃金については、役割責任 と人材活用の仕組みの変化に対して評価レ ートと適用ランクを変えていけばよいこと がわかりました。図表 3 は、横軸に役割責 任、縦軸に人材活用の仕組みをとって、4 パターンでの処遇条件を整理したものです。 4無期転換時の取り扱いルール  M さんのケースを通してランク型賃金 表を使っている場合の取り扱い方が見えて きました。図表 4 は、図表 3 をもとに一般 的にルール化したものです。図表中の【A】 から【D】は先ほどの 4 パターンに対応し ていますので、M さんの事例を読み返しな がら内容を確認してみてください。  なお、人材活用の制約が 2 つなくなる場 合(X 社で言えば M さんが無期転換時に全 国社員に変わるようなケース)は、基本給 の適用ランクは一気に 2 ランク上がります。 こうしたときの基本給の移行方法について は、先ほどの 2 つの考え方だけでなく折衷 案を加えた 3 種類が考えられます。すなわ ち── (カ)基本給を 2 ランク分(16 号)高い号 数に移行する (キ)基本給はそのままとし、制約が緩んだ ことに対しては、今後の賃金改定で高い 評価レートを適用することで報いる (ク)折衷案:基本給を 1 ランク分(8 号) 高い号数に移行し、あとは今後の賃金改 定で高い評価レートを適用することで報 いる  ここまで、フルタイムの契約社員がフル タイムの無期社員になる場合を考えてきま したが、実際には無期転換前後に労働時間 を変えることもあり得ます。そういう場合 は、賃金を時間比例で計算しますが、時給 制のパートタイマーをフルタイムに変更す る場合は、簡素化のために月給制に変更す ることにしてもよいでしょう。パート時給 はフルタイム社員の時間単価に合わせてい ましたので有利不利はありません。  今回は、無期転換時の対応方法をパター ン分けして解説しましたがいかがでしょう か。ランク型賃金表という一つの軸に乗っ ているので基本的な考え方さえ押さえれば すっきり整理できますね。これを参考に、自 社の実情に合わせて応用してみてください。 <補足>  今回、有期契約から無期契約に転換する 方法を考えましたが、労働契約法の無期転 換ルールへの対応としては、「無期転換を回 避するために、5 年以内で雇止めする」と いう方法もあります。このように、理論上 は無期転換しないという選択肢もあります が、労働政策研究・研修機構の「改正労働 契約法とその特例への対応状況及び多様な 正社員の活用状況に関する調査」(2015 年 12 月 18 日公表)によると、2015 年 7 月時 点で、「有期契約が更新を含めて通算 5 年 を超えないように運用していく」と考える 企業は 6%とごく少数になっています。約 4 分の 1 の企業が対応方法を決めていませ んが、6 割は何らかの形で無期契約の対応 をすると答えており、人手不足による人材 確保ニーズも相まって、大半の企業で無期 転換が進んでいくと考えられます。

参照

関連したドキュメント

[r]

契約約款第 18 条第 1 項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については,契約約 款第 18 条第

契約者は,(1)ロ(ハ)の事項およびハの事項を,需要抑制契約者は,ニの

契約者は,(1)ロ(ハ)の事項およびハの事項を,需要抑制契約者は,ニの

契約者は,(1)ロ(ハ)の事項およびハの事項を,需要抑制契約者は,ニの

非正社員の正社員化については、 いずれの就業形態でも 「考えていない」 とする事業所が最も多い。 一 方、 「契約社員」

問 11.雇用されている会社から契約期間、労働時間、休日、賃金などの条件が示された

翻って︑再交渉義務違反の効果については︑契約調整︵契約