2018年2月
富士通株式会社
Windows Server® 2012/2012 R2
Active Directory® 環境への
ドメイン移行の考え方
第2.3版
改版日時
版数
改版内容
2012.9
1.0
新規作成
2013.4
1.1
・ADMTツールのWindows Server 2012対応状況を更新。
・「新規ドメイン構築&アカウント移行」のデメリットに、「クライア
ントPCのドメイン再参加作業が必要となり、移行時のユーザ
負担が増加」の記載を追加。
2013.10
2.0
・Windows Server 2012 R2に対応
2014.3
2.1
・ADMTツールのWindows Server 2012/2012 R2対応状況を
更新。
2014.12
2.2
・ADMTツールのWindows Server 2012/2012 R2対応に伴い、
記載を修正。
2018.2
2.3
・ADMTツールのサポート方針変更に伴い、注釈を追加。
改版履歴
目次
はじめに
1章 2012/2012 R2ドメインへの移行のポイント
1.移行メリット 2.移行方法の種類 3.各移行方法のメリット・デメリット 4.2000/2003/2008/2008 R2ドメインからの移行パス
2章 2003/2008/2008 R2ドメインからの移行
1.移行方法選択の考え方 2.既存ドメインのバージョンアップ 移行概要 移行手順 3.新規ドメイン構築&アカウント移行 移行概要 移行手順
3章 2000ドメインからの移行
1.移行方法選択の考え方 2.既存ドメインのバージョンアップ 移行概要 移行手順はじめに
本書は、Fujitsu Server PRIMERGYを用いて、既存のActive Directory
®環境を
Windows Server
®2012/2012 R2 Active Directory
®環境へドメイン移行する際の
考え方・概要をご紹介するものです。
本書では、以下の略称を使用します。
正式名称 略称
Microsoft® Windows® 2000 Windows 2000
Microsoft® Windows Server® 2003 Windows Server 2003
Microsoft® Windows Server® 2008 Windows Server 2008
Microsoft® Windows Server® 2008 R2 Windows Server 2008 R2
Microsoft® Windows Server® 2012 Windows Server 2012
Microsoft® Windows Server® 2012 R2 Windows Server 2012 R2
Microsoft® Windows® 2000 ServerActive Directory®のドメイン 2000ドメイン
Microsoft® Windows Server® 2003 Active Directory®のドメイン 2003ドメイン
Microsoft® Windows Server® 2008 Active Directory®のドメイン 2008ドメイン
Microsoft® Windows Server® 2008 R2 Active Directory®のドメイン 2008 R2ドメイン
Microsoft® Windows Server® 2012 Active Directory®のドメイン 2012ドメイン
Microsoft® Windows Server® 2012 R2 Active Directory®のドメイン 2012 R2ドメイン
ドメインコントローラー DC
Windows PowerShell® Windows PowerShell
注意事項
注意事項
本ドキュメントを輸出または第三者へ提供する場合は、お客様が居住する国および米国輸出
管理関連法規等の規制をご確認のうえ、必要な手続きをおとりください。
本書に記載されたデータの使用に起因する、第三者の特許権およびその他の権利の侵害に
ついては、当社はその責を負いません。
1.
移行メリット
2.
移行方法の種類
3.
各移行方法のメリット・デメリット
4.
2000/2003/2008/2008 R2ドメインからの移行パス
1章 2012/2012 R2ドメインへの移行の
ポイント
1章 2012/2012 R2ドメインへの移行のポイント
※ オブジェクトの変更状態の管理に使用する一意の識別名を更新シーケンス番号(USN:Update Sequence Number)といいます。
展開作業の簡略化
DCに昇格するコマンド(DCpromo)が廃止され、DCへの昇格はサーバー マネージャーに統合さ
れたため、DC昇格時の操作が簡略化されます。
既存ドメインにDCを追加する際、自動的にスキーマが拡張されるため、既存DC上で実施してい
たスキーマ拡張の操作(ADprep)が不要になり、DCの展開が容易になります。
操作性の向上
Windows PowerShell等での設定が必要だったActive Directoryごみ箱機能でのオブジェクトの
復元が、Active Directory管理センターのGUIからできるようになり、削除したオブジェクトの復元
が容易になります。
設定が非常に煩雑だった、細かい設定が可能なパスワードポリシーの設定や適用がActive
Directory管理センターのGUIから簡単に行えるようになり、操作性が大幅に向上しています。
Active Directory管理センターから実施した操作を、Windows PowerShellの履歴として参照する
ことができるため、スクリプトによる自動化などを容易に行うことができます。
仮想環境における機能強化
DCとして動作している仮想マシン(VHD)を、Sysprepでの汎用化を行わずにクローン(コピー)を
作成して、追加のDCとして構築することができるようになり、仮想環境におけるDCの展開が容易
になります。
スナップショットからの復元等によりUSN
(※)ロールバックが発生した場合、自動的に回復処理が
行われるため、仮想環境でのDCの運用が容易になります。
1.移行メリット
ドメインの移行には以下の2つの方法があります。
既存ドメインのバージョンアップ
新規ドメイン構築&アカウント移行
1章 2012/2012 R2ドメインへの移行のポイント
既存ドメインの構成、情報をそのままに、
DCのリプレースを行うことでバージョンアップ
する方法です。
既存ドメインのアカウント情報を、ADMT
(※)を使用して新規構築したドメインへコピー
する方法です。
※ ADMT(Active Directory移行ツール)とは、既存ドメイン環境からWindows Server 2012/2012 R2 Active Directoryへの移行を簡単、 安全、かつ高速に実現するツールです。
※ 2017年6月、ADMTは開発が終了し、マイクロソフト社によるサポートは限定的な提供となることがアナウンスされました。そのため、 ADMTを使用した移行方法は推奨いたしません。詳細は次の情報をご参照ください。
Windows 10/Windows Server 2016 の環境における ADMT を使用する場合の対応状況について
https://blogs.technet.microsoft.com/jpntsblog/2017/06/02/windows-10windows-server-2016- %e3%81%ae%e7%92%b0%e5%a2%83%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b-admt-%e3%82%92%e4%bd%bf%e7%94%a8%e3%81%99%e3%82%8b%e5%a0%b4%e5%90%88%e3%81%ae%e5%af%be%e5%bf%9c%e7%8a%b6/ バージョンアップ 撤去 旧DC 新DC アカウント移行 旧DC 新DC
2.移行方法の種類
1章 2012/2012 R2ドメインへの移行のポイント
各移行方法のメリット・デメリットを理解し、要件に見合った方法を
選択してください
既存ドメインのバージョンアップ
○
既存ドメインのドメイン名やアカウント情報を完全に引継ぎ可能
○
クライアントPCのドメイン再参加作業が不要
○
ファイルサーバなどのアクセス権再設定作業が不要
新規ドメイン構築&アカウント移行
○
既存ドメインのアカウント、グループ、権限等はツールで移行可能
○
既存ドメイン環境を維持したまま移行可能なため、段階的な移行が可能
×
ドメイン名が変更になるため、既存システムへの影響が大きい
×
クライアントPCのドメイン再参加作業が必要となり、移行時のユーザ負担が増加
3.各移行方法のメリット・デメリット
ドメイン移行の移行パス
1章 2012/2012 R2ドメインへの移行のポイント
2012/
2012 R2
ドメイン
2000
ドメイン
2003
ドメイン
2008
ドメイン
2008 R2
ドメイン
移行後
移行前
※1 2000ドメインから2012/2012 R2ドメインへの直接移行はサポートされていません。そのため、本書では2008/2008 R2ドメインを 経由しての移行方法を紹介しています。 ※2 「新規ドメイン構築&アカウント移行」による2000ドメインから2008 R2ドメインへの移行は行えません。 ドメインのバージョンアップ 新規ドメイン構築&アカウント移行 ドメインのバージョンアップ 新規ドメイン構築&アカウント移行 ドメインのバージョンアップ 新規ドメイン構築&アカウント移行 ドメインのバージョンアップ 新規ドメイン構築&アカウント移行 ドメインのバージョンアップ 新規ドメイン構築&アカウント移行 ※2 ドメインのバージョンアップ 新規ドメイン構築&アカウント移行×
※1×
4.2000/2003/2008/2008 R2ドメインからの移行パス
1.
移行方法選択の考え方
2.
既存ドメインのバージョンアップ
移行概要
移行手順
3.
新規ドメイン構築&アカウント移行
移行概要
移行手順
2章 2003/2008/2008 R2ドメインから
の移行
2003/2008/2008 R2ドメインからの移行は、“既存ドメインの
バージョンアップ”を推奨します。
移行を機にドメイン環境を一新したい場合や、以下のような特別な
要件がある場合には、“新規ドメイン構築&アカウント移行”を選択
します。
互換性確認が必要な既存サーバが多いため、既存ドメインを残
しつつ、段階的に移行を行いたい。
M&Aに伴いドメイン環境を統合したいなど、既存ドメインをそのま
ま使用したくない事情がある。
2章 2003/2008/2008 R2ドメインからの移行
1.移行方法選択の考え方
移行概要
既存ドメインの構成、情報をそのままに、ドメインコントローラーの
リプレースを行うことでバージョンアップする方法です。
2章 2003/2008/2008 R2ドメインからの移行
移行前・移行後ともにDCは2台構成
ハードウェアは新しいものにリプレース
以下の前提で移行手順をご紹介します。
バージョンアップ
2012/2012 R2ドメイン
DC
Windows Server 2012/2012 R2DC
Windows Server 2012/2012 R2移行後
2003/2008/2008 R2ドメイン
DC
DC
Windows Server 2003/2008/2008 R2移行前
Windows Server 2003/2008/2008 R22.既存ドメインのバージョンアップ(1/3)
移行手順
2章 2003/2008/2008 R2ドメインからの移行
1
新規にDCとして使用するサーバ(新規
DC)に、Windows Server 2012/2012
R2をインストールします。
2
新規DCを既存ドメインに参加させて、
DCに昇格します。
※DCに昇格する際に、自動的にス
キーマの拡張が行われます。
3
2台目の新規DCを既存ドメインのDC
として追加します。
Windows Server 2012/2012 R2 Windows Server 2012/2012 R2 ×2台 Windows Server 2003/2008/2008 R2 ×2台 FSMO 追加 Windows Server 2003/2008/2008 R2 ×2台 FSMO スキーマの拡張 Windows Server 2012/2012 R2 DC昇格2.既存ドメインのバージョンアップ(2/3)
2章 2003/2008/2008 R2ドメインからの移行
4
FSMO
(※)を新規DCに転送します。
5
既存DCをメンバーサーバへ降格しま
す。
6
機能レベルを“Windows Server
2012” もしくは“Windows Server
2012 R2”に変更します。
機能レベル変更 Windows Server 2012/2012 R2 ×2台 FSMO Windows Server 2012/2012 R2 ×2台 Windows Server 2003/2008/2008 R2 ×2台 FSMO FSMO Windows Server 2012/2012 R2 ×2台 Windows Server 2003/2008/2008 R2 ×2台 FSMO 降格 降格※特定の1台のDCが処理を実行する、特別な役割を「操作マスタ (FSMO:Flexible Single Master Operation)」といいます。
移行概要
新規構築した2012/2012 R2ドメインに既存の2003/2008/2008 R2
ドメインの情報をADMTを使用して移行します。
2章 2003/2008/2008 R2ドメインからの移行
移行前・移行後ともにDCは2台構成
新規ドメインを別途構築し、既存ドメインのアカウントを移行
以下の前提で移行手順をご紹介します。
アカウントの移行ADMT
移行前
2003/2008/2008 R2ドメイン
DC
DC
Windows Server 2003/2008/2008 R2 Windows Server 2003/2008/2008 R2移行後
2012/2012 R2ドメイン
DC
Windows Server 2012/2012 R2 Windows Server 2012/2012 R2DC
3.新規ドメイン構築&アカウント移行(1/3)
※ 2017年6月、ADMTは開発が終了し、マイクロソフト社によるサポートは限定的な提供となることがアナウンスされました。そのため、 ADMTを使用した移行方法は推奨いたしません。詳細は次の情報をご参照ください。Windows 10/Windows Server 2016 の環境における ADMT を使用する場合の対応状況について
https://blogs.technet.microsoft.com/jpntsblog/2017/06/02/windows-10windows-server-2016-
移行手順
2章 2003/2008/2008 R2ドメインからの移行
1
新規に、2012/2012 R2ドメインを構築
します。
2
既存ドメインと双方向信頼関係を作成
します。
3
ADMTを使用し、既存ドメインから新規
ドメインへ、アカウントの移行を行いま
す。
Windows Server 2003/2008/2008 R2 ×2台 Windows Server 2012/2012 R2 ×2台 新規構築 信頼関係 Windows Server 2003/2008/2008 R2 ×2台 Windows Server 2012/2012 R2 ×2台 ADMT アカウント Windows Server 2003/2008/2008 R2 ×2台 Windows Server 2012/2012 R2 ×2台3.新規ドメイン構築&アカウント移行(2/3)
2章 2003/2008/2008 R2ドメインからの移行
4
クライアント、メンバサーバ等のリソー
ス移行完了後に、信頼関係を破棄しま
す。
5
既存ドメイン環境を破棄します。
Windows Server 2003/2008/2008 R2 ×2台 Windows Server 2012/2012 R2 ×2台 信頼関係 破棄 Windows Server 2003/2008/2008 R2 ×2台 Windows Server 2012/2012 R2 ×2台 破棄3.新規ドメイン構築&アカウント移行(3/3)
1.
移行方法選択の考え方
2.
既存ドメインのバージョンアップ
移行概要
移行手順
2000ドメインから2012/2012 R2ドメインへの直接移行パスはあり
ません。
⇒一旦2008または2008 R2ドメインを経由する必要があります。
ただし、「新規ドメイン構築&アカウント移行」による2000ドメイン
から2008 R2ドメインへの移行は行うことができません。
経由する2008/2008 R2ドメインへの移行の考え方は、従来の
2000ドメインから2008/2008 R2ドメインへの移行に準じます。
3章 2000ドメインからの移行
1.移行方法選択の考え方
移行概要
既存の2000ドメインから2008 R2ドメインへのバージョンアップ移
行を実施します。続いて、2012/2012 R2ドメインへのバージョン
アップ移行を実施します。
3章 2000ドメインからの移行
移行前・移行後ともにDCは2台構成
2008 R2ドメインを経由して、2012/2012 R2ドメインへ移行
以下の前提で移行手順をご紹介します。
移行前
移行後
Windows 2000 Windows 2000DC
DC
2000ドメイン
2008 R2ドメイン
2012/2012 R2ドメイン
Windows Server 2012/2012 R2DC
DC
Windows Server 2008 R2移行中
Windows Server 2012/2012 R2DC
2000ドメイン 2012/2012 R2ドメインバージョンアップ
バージョンアップ
※2000ドメインから2008 R2ドメインへの移行は、ドメインのバージョンアップを実施します。 ※本書では記載しませんが、経由する2008 R2ドメインから2012/2012 R2ドメインへの移行では、 「新規ドメイン構築&アカウ ント移行」を行うこともできます。2.既存ドメインのバージョンアップ(1/4)
移行手順
3章 2000ドメインからの移行
1
FSMO
(※)の役割を持つ既存DCで
Windows Server 2008 R2のDVDメ
ディアを用いて、スキーマを拡張します。
2
2008 R2ドメインのDCとして使用する
サーバ(新規DC)に、Windows
Server 2008 R2をインストールします。
3
新規DCを既存ドメインに参加させて、
DCに昇格します。
※特定の1台のDCが処理を実行する、特別な役割を「操作マスタ (FSMO:Flexible Single Master Operation)」といいます。 Windows 2000×2台 FSMO Windows Server 2008 R2 スキーマの拡張 Windows Server 2008 R2 Windows Server 2008 R2 Windows 2000×2台 FSMO DC昇格