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第5分科会(分科会報告,大会報告 会務報告)

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Academic year: 2021

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172 シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告 に位置づけることが有効であるかについての発表が行 われた。その中で,経済教育の枠組みを生徒の人数を 基準に「一斉学習」と「協働学習」に分類するととも に,生徒の単元理解のプロセスをもとに「知識伝達 型」と「体験学習型」に分類し,そのマトリクスをも とにした実践研究の事例が紹介された。  この発表に対して,体験型のグループ学習における しかけについての質問や新聞教材は単元にあわせるこ とが重要であるなどの意見が出された。  第 2 報告は,金子浩一会員による「中学公民の教科 書から検討する経済教育上の注意点」であった。参加 者は 22 名であった。  本報告では,現行課程と一部新課程の中学校・公民 分野の教科書における市場のしくみや企業行動に関す る項目等に関し,記載内容の検証から,教育上の注意 点についての発表が行われた。その上で教科書の用語 解説から,より詳細な意味と経済活動にどのように影 響しているのかなどを説明する必要があるとともに, 用語の有無にかかわらず,経済における役割を考察す ることが重要であるとの分析が発表された。  この発表に対して,討議では教員側が教科書の内容 を正しく教えられていないのではないかとの感想や, 教員側が学習上・理解上の注意点に留意して授業展開 するために,具体的に必要なものは何であるかなどの 意見や質問がなされた。  第 3 報告は,番場博之会員による「高等学校におけ る商業教育の変遷─産業構造・就業構造との関係を中 心に─」であった。参加者は 14 名であった。  本報告では,戦後の高等学校商業科の変遷について, 産業界からの要請を受けながら学習指導要領の改訂を 通じて変遷していく中で,1970 年代前半と 1990 年代 をターニングポイントとして,現状の商業科衰退の要 因についての分析が発表された。  この発表に対して,商業科だけでなく職業教育と捉 えることで経済教育の値打ちと価値を高めるのではな いかとの意見や質問がなされた。また,それに加えて 商業科の現状と同様のことが大阪府の公立校の普通科 と文理科の差別化の事例をもとに,普通科においても 生じる可能性があるとの指摘がなされるなど,幅広い 活発な議論がなされた。 (文責:大谷和海) 第 5 分科会  第 5 分科会キャリア教育(2)では,大会 2 日目の 10 月2日の13時から「産業技術高専におけるキャリアデ ザインの授業」(田中淳/都立産業技術高専,松村直 樹/(株)リアセック)が,続いて 13 時 40 分から「職 業ガイドブックを作ろう!─キャリア教育と関連させ た金融・金銭教育の実践から─」(奥田修一郎/大阪 狭山市立南中学校)の 2 本の研究報告があった。聴衆 は,2 つの報告で合計 21 名。  第 1 報告は,2009 年度後期に都立産業技術高専で実 施された 4 年生の選択科目「キャリアデザイン」の キャリア教育の実践(授業理念,目的,内容,教育効 果)に関する研究報告であった。報告者の田中氏は, 高専におけるキャリア教育の実践者,研究者としてこ れまでにも当学会で多くの優れた研究と教育実践報告 を行ってきたが,今回は,学外者の松村氏(社名がリ アセックという「働く動機をすべてのひとに」とのコ ンセプトで就業支援を行う株式会社代表)との共同研 究報告で,文字通り産業技術高専の特徴を最大限に活 かしたキャリアデザインのモデル的授業の設計を企図 して新機軸を打ち出すものであった。教育機関におけ る教育と研究の実践は,学外者との共同研究において, これほどまでに新しい視点とダイナミックな展開を見 せるものであろうかと,改めてキャリア教育の本質的 諸問題に迫るアグレッシブな今回の報告にフロアーの 多くが強い感銘を受け,それに関する質疑応答が活発 になされた。  第 2 報告は,中学校における体系的なキャリア教育 (1 年次から 3 年次にわたる)の 2 年次で行われたプロ ジェクト学習で取り上げた「職業ガイドブックをつく ろう」授業の実践報告である。キャリア教育を,特に 金融・金銭教育の観点から試みるユニークな取り組み と言える。  報告者が勤務する中学校では,3 年間を通じて,① 「社会(経済)の仕組みが分かる学習」,②「進路選択 や職業に関する学習」,③「生活設計に関する学習」, ④「価値観形成に関する学習」の 4 点に焦点を当てた キャリア教育を構築している。1 年次が福祉ボラン ティア体験学習と「なぜ通販は急激に成長したのか」 を「地理」で,2 年次では「職業ガイドブック」の作 成,3 年次の「平和学習と回転寿司屋さんからの経済 学,どんな年金制度をつくったらいいか」をテーマに した社会科公民分野と総合学習の時間で行う学習であ る。  「職業ガイドブック」作成の狙いは,社会には多様 な職業があることを生徒が自分で調査することで知り, しかもそれらの職業に就いている人たちに直接インタ ビューすることで得られるリアリティから,生徒一人 The Japan Society for Economic Education

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173 ひとりが自分の将来の職業生活を具体的にイメージで きるようにすることにある。作成された『中学生が 作った職業ガイドブック』は,河合塾の協力と支援も あって本格的な冊子(カラー表紙,本格的装丁)とし て仕上げられていることもあり,生徒たちからはこの 冊子を書店で売れるのではないかとの期待もあったと いう。また,そのことが,教師の想像以上に,生徒た ちのやる気を喚起したとの報告は,金銭・金融教育に 関する動機づけにおいて興味深いことであったためか, それに関する質問がフロアーから多くなされた。ちな みに冊子の原価は一部 500 円(300 部で印刷代 15 万 円)で,河合塾の教育支援による費用で全額賄ったと のことであった。 (文責:宇佐見義尚) 第 6 分科会  第 1 報告は斎藤清会員(兵庫県立大学)による 「データでみる東日本大震災の経済教育実践」であっ た。斎藤会員は,東日本大震災を受けて,当初のシラ バスにそった教育課題を圧縮し,6,7 月は大震災に 内容を特化して授業を進めた。大災害を前にして,前 期のほぼ半分の 2 ヶ月を,震災を中心とした授業に急 きょ変更したことは驚きである。  斎藤会員開発の XCAMPUS がそれを可能にした。 経済諸変量の比率と規模のグラフィカルな理解が,研 究のみでなく,経済教育を前進させている。これが画 期的な経済教育実践を可能にした。教育と研究を同時 に進められてきた斎藤会員だからこそ可能な教育実践 である。  第 2 報告は小森治夫会員(京都橘大学)の「7 回連 続特別講義「エネルギー問題」に取り組んで」であっ た。この報告は原子力を中心とした様々な映像資料を 素材とした授業実践の報告である。この授業実践の特 徴のひとつは,そのあつかう範囲の広さである。あつ かった題材の一部を列挙すれば,チェルノブイリの原 発事故,東京電力の過去の原発事故隠し,東海村の臨 界事故,自然エネルギー,原発と地域経済,原発労働 者などである。  この授業実践は 2001 年から始まった試みの延長線 上にあるとともに,小森会員自身の 1999 年からの川 内原発の研究を承けたものである。そのため,原子力 発電をめぐる問題をきわめて多面的にアプローチする 授業となっている。  研究を教育に反映させることと,地道に一貫性を もって,実践をつづけることが実を結んだ教育実践と いうことができる。  第 3 報告は高橋勝也会員(東京都立桜修館中等教育 学校)の「中学校・高等学校『道徳』と高等学校『公 民科』の狭間で─便乗値上げを例に課題を探る ─」であった。東日本大震災後の燃料不足から生じ たガソリン価格の便乗値上げを,単なる興味本位では なく,どのように「道徳」・「公民科」の授業のなかで 取り上げていくかという課題を問題としたものであっ た。  報告者が,生徒・学生に対してアンケート調査を行 い,消費者としての感情面にも配慮しながら,教材を 仕上げていく過程が報告された。そして,便乗値上げ が,単なる個人の抜け駆けではなく,経済学的現象と しても把握されるうることを生徒に理解させた。「効 率と公正」,「幸福,正義,公正」などの理解を求めら れ始めた中高社会科教育の発展における,経済学の視 点の重要性を指摘している。大学の経済学教育にとっ ても学ぶべき点が多い。  第 4 報告は,岩田年浩会員(大阪経済法科大学)の 「大震災を 3,4 年生のゼミで取り組んで」であった。 報告は「震災に関わる小中学生の素朴な疑問に経済学 は答えることができているか?」という問題提起から はじまり,刺激的だった。  初めは,プレゼンテーション能力や基本的な学ぶ姿 勢に問題のある学生が,プレゼン報告会にむけて実践 的に準備を進めていく中で,飛躍的な成長をとげたこ とが報告された。  素朴な疑問を軽視せずに,かつ,ゼミナールという 実践的・集団的な活動を通じて,研究と教育の統一を 実現させているところに学ぶべき点があった。 (文責:大坂洋,増田和夫) 第 7 分科会  第 7 分科会は,中国からの報告者が不参加となった ために,「諸外国の経済・金融教育」という共通テー マの下に,日本より 1 件,フィリピンから1件,韓国 から 2 件の報告がなされた。  第 1 報告は,「経済倫理・金融倫理調査は何を示す か?:日米比較を通して」というテーマで,弘前大学 の猪瀬武則会員,三重大学の山根栄次会員,信州大学 の栗原久会員,新潟大学の高橋桂子准教授の共同研究 として,猪瀬会員によって報告がなされた。同研究グ ループは 2010 年に,全国 15 大学の 1,714 名に対して, イリノイ州立大学のトーマス・ルーシー教授によって The Japan Society for Economic Education

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