34.看
護 学 生 の 認 知 した助 産 婦 と
看 護 婦 の イ メー ジ
新 見公立短 期大 学 ○ 貞 岡 美 伸 I緒 言 学生 は臨地実 習 にお いて,母 性看護 学領域 では, 殊 に助 産婦か ら実習指 導 を受 け る機会 が多 く,他 領 域の看護 学で は看 護婦 か ら実習 指導 を受 ける機 会が 多い。 臨地実 習で出会 う実習 指導者 は豊か な実践力 を有 してお り,看 護 の専門職 へのア イデ ンテ ィテ ィ や愛着 を持 ってい る。 しか し実習 において学 生はネ ガ テ ィブ 体験 を語 る こ と もあ る。 学 生 の抱 く助 産 婦 ・看 護婦 のイ メー ジは,実 習前 か らの知識 的認知 と実習での体 験的認 知に よ り形成 され る。 その実習 での体験的認 知 には助 産婦 ・看護婦 の実習指 導者 と しての資質 も関与 してい る と考 え られ る。助 産婦 と 看 護婦 では専門性や看 護領域 が多少 異な ってい るが, 実習 にお ける体験 の中で学 生が,助 産 婦 ・看護 婦 に どの よ うなイメー ジを抱 いていた のか把握 したい と 考 えた。先行研 究 では学 生の看護婦 に関す るイ メー ジは多数み られ るが,学 生の助産婦 に関す るイ メー ジは少ない。 この度,学 生の感 じてい る助 産婦 と看 護婦 のイ メー ジ につい て実態 を調査 し,若 干の示唆 を得 た。 II方法 1.研 究 対象 N短 期大 学看護 学科3年 女子 学生100名 で あ る。 (実習病院 は12病 院 で あ り,そ の内3病 院 で母 性看 護学 実習 を してい る。) 2.研 究 期間 1999年4月 ∼2000年10月 ま でで ある。 3.研 究方 法 臨地 実習又 は母 性看 護学 実習終 了時 に,学生 に質問 用紙 を配布 し記入 後回収 を した。 調査 内容は学 生の ① 母性看護 学の興 味 と実習感 想② 助産 婦 と看護 婦の 「関 心 」 と 「親 しみ 」 の 程 度 に 関 した 項 目③ 看 護 婦 の イ メ ー ジ を 曽根 原1)の 「36形 容 詞 対 」で 評 定 し, 助 産 婦 の イ メ ー ジ に も検 討 し応 用 した 。 分 析 方 法 は,助 産 婦 と看 護 婦 の 「関 心 」 と親 近 感 の 程 度 を把 握 す る た め にSD法7段 階 評 価 で 平 均 値 を求 めt検 定 を行 な っ た 。 ま た,助 産 婦 と看 護 婦 の イ メー ジ に つ い て はSD法 「36形 容 詞 対 」で 肯 定 的 か ら否 定 的 イ メー ジ を7∼1点 に 得 点 化 した7段 階 評 定 を 使 用 した 。 そ して 概 念 構 成 を把 握 す る た め に 因 子 分 析 を した 。 尚,KMO及 びBartlettの 検 定 を 行 な い 妥 当性 を測 定 した 。 統 計 解 析 ソ フ トはSPSS 10JBaseを 使 用 した 。 III結果 1.対 象 者 の 属 性 学 生100名 の 内,母 性 看 護 学 の 分 野 に興 味 が あ る と答 え た 学 生59名(59.0%)興 味 が な い 学 生13名 (13.0%)わ か ら な い 学 生28名(28.0%)で あ る 。母 性 看 護 学 実 習 の感 想 で は(重 複 回 答 を含 む)115件 中, 楽 しか っ た24件,満 足 した18件,や や 満 足 した 22件 な どの 肯 定 的 感 想 は合 計64件 で あ る。 ど ち ら と もい え な い24件,つ らか っ た23件,不 満 足4件 で あ り否 定 的 感 想 は 合 計51件 で あ る 。 2.助 産 婦 と看 護婦 へ の 「関 心 」と親 近 感 学 生 は 助 産 婦 に 対 し て 「関 心 が あ る 」 平 均 値 4.70(SD=1.40)「 身 近 な 感 じ が す る 」 平 均 値 3.76(SD=1.35)で あ る。 ま た 学 生 は 看 護 婦 に対 して 「関 心 が あ る 」 平 均 値5 .52(SD=1.18)「 身 近 な感 じ が す る 」 平 均 値4.87(SD=1.25)で あ る。 これ らの こ とか ら、 学 生 は 助 産 婦 よ り も看 護 婦 に 「関 心 」や 親 近 感 が 高 い こ とが わ か る。 (*: p<0,05) 3.形 容 詞 に よ る助 産 婦 の イメー ジ 構 成 ―40―学 生 が感 じてい る助産 婦 の イ メー ジ の特徴 を因 子分析 した結 果,3因 子 を抽 出 した(表1)。 第1因 子が 「専門的 な」 「実践的 な」 「自立 した」 「確 実な」 「重要 な」 「価値 ある」 「勤勉 な」「慎重 な」「知的 な」 「意欲的 な」 であ り,こ れ らをr専 門的 能力」 と命 名 した。 第2因 子 は 「や さ しい」 「親 しみ」 「軟 らか い」 「温かい」 「親切 な」 「穏 やか な」 「楽 しい 」 これ らをr人 間性 と人柄 」 と命名 した。 第3因 子 は 「理 論的 な」 「創造 的な」 「研 究的 な」 「高 尚な」これ らを r客観 的能 力」 と命名 した。 4.形 容詞による看 護婦 の イメージ構成 学生 の感 じてい る看 護 婦 の イ メー ジの特 徴 を因 子分析 した結果,3因 子 を抽 出 した(表2)。 第1因 子 は 「意欲的 な」 「創 造 的な」 「多様 な」 「研 究的 な」 「価値 あ る」 「慎重 な」 「重要 な」 「自立 した」 「実践 的 な」 「確 実 な」であ り,こ れ らをr多 様な能 力」 と 命名 した。第2因 子は 「楽 しい」 「穏 やか な」 「軟 ら かい 」で あ り,こ れ らをr人 柄」 と命名 した。第3 因子 は 「親切 な 」 「温 かい」 「親 しみ」で あ り,こ れ らをr人 間性 」 と命名 した。 IV考察 半数以 上の学 生が母性 看護 学の分 野 に興 味が あ り, 母性 看護学 実習 に肯 定的 な感 想 を持 って いた。 また 少数の学 生は母性 看護 学実習 をつ らく感 じていたが, 否定的イ メー ジは数値 が小 さく抽 出 され なか った。 学 生の助 産婦 と看 護 婦へ の 「関心 」や 親近感 は, 看護 婦の方 が若干 で はあ るが高い。 これ は学生の ほ とん どが看護 婦 を志望 して い るこ と,そ して母性看 護学 実習 は2単 位 と言 う短 い期 間 であ り,臨 地実習 の中で は、助産婦 よ りも看護 婦 との関わ りが長 い こ とが影響 してい る と考 え られ る。 助産 婦 のイ メー ジ概 念構成 は 「専 門 的能力 」 「人 間性 と人柄 」 「客観 的 能力」であ り,看 護婦 のイ メー ジ概 念構成 は 「多様 な能力」 「人柄 」 「人 間性 」 であ る。学生 の感 じてい る助 産婦 と看護婦 の認知構 造 「人 間性 」 と 「人柄 」に は類 似性 が ある。 しか し助産婦 の人柄 を 「や さ しい」 と高 く認 知 してい る点で は相 違 があ る。 これ は助産 婦が女性 の ライ フサイ クル を 対象 と し,生 命誕 生 に関係 したア ドバイザ ー的 な役 割 を担 ってい る ことが2)ひ とつ の要 因であ り,特 に 優 しさを求 め られ る看護 の 実践領域 であ る と考 え ら れ る。 助 産婦 は リプ ロダ クテ ィブ ・ヘル ス を中心 と して 専 門性 を発 揮 し,自 立的 ・客観的 に助産や 看護 を実 践 してい る。 ま た看 護婦 は人 間の あ らゆ る発 達段 階 の多様 な幅広 い領域 で,意 欲的 に看 護実 践 を行 なっ てい る。 この よ うな現状 を学生 は実 習体 験 の中 で助 産 婦 ・看 護婦 のイ メー ジ として認 知 していた こ とが わか る。 この 研 究 の 限界 と して学 生 に 関 っ た助 産 婦 が3 病 院 に限 られ てい るた め,研 究 対象 を広範 囲 に求 め る必 要が あ り今 後 の課題 で あ る。 V結 論 学 生が認知 した助 産婦 ・看護婦 の イ メー ジ として 以下 が示唆 され た。 1.助 産婦 の能力 として,専 門性 を発 揮 し,自 立的 ・ 客 観的に助産 や看護 を実 践 してい る。 そ の人柄 か ら は 「や さ しさ」を高 く認 知 して い る。 2.看 護 婦 の能力 と して,多 様 な幅広 い看護 を意欲 的 に実践 してい る。 そ して,看 護 婦 に関心 と親 近感 が高 い。 表1.助産婦イメ-ジの因子負荷量(回転後)KMO=0.86 表2.看 護 婦 イ メ ー ジの 因 子 負 荷 量(回 転 後)KMO=0.81 引用 ・参考 文献 1) 曽根原純子: 看護学 生の看護婦 イ メー ジに 関す る研 究, 信州大 学医療 技術短 期大 学, VOl21, 1995 2) 三崎直子: 看護学 生の助 産部及 び助 産婦 業務 に持 つイ メー ジ, 第41回 母性 衛生学 会抄 録集, vol41, 2000 3) 若林 満: 看護識 キャ リア発 達研 究, 名 古屋 大学 教育学部 産業 心 理学 教室, 1990年 ―141―
35.4年
制 大 学 の学 部 にお け る
助 産 実 習 の方 略 に関す る検 討
大 阪府立 看護 大学 ○ 山本 眞美 子 名古屋 市立 大学 看護 学部 北 川 眞理子 1.は じめ に 近年,看 護 の大 学化 が進 む 中,助 産 婦 教育 も1 年 コー ス か ら4年 制 大 学 の学 部 助 産 科 目選 択 コー ス に統 合 され る学 校 が 増加 して い る。4年 制大 学 の助 産 学 教 育 は,科 目の読 み 替 え が 多 く,講 義 時 間 お よ び実 習 時 間 等 の 制約 も大 き いの が現 状 で あ る 。今 回,助 産 学 教 育 の特 に助 産 実 習 に焦 点 を当 て て 学 内演 習 お よ び 助産 実 習 内容 を振 り返 り,4 年 制大 学 の 学 部 助産 実 習 の教 育 方 略 を検 討 した の で 報 告す る。 II.方 法 対象 は,0大 学 平 成11年 度 助 産科 目選 択 学 生 10名 の うち,研 究 者 が 担 当 した0病 院 実 習 学 生 4名 と した 。 学 内演 習 お よ び 助 産実 習 で の実 習指 導 内容 を項 目別 に整 理 し,記 述 した。 そ れ ら を基 に教 育 方 略 を導 き 出す,演 繹 的 方 法 に よ った 。実 習 教 育 の効 果 を見 る ため に、 実 習評 価 と は無 関 係 で あ る こと を学 生 に説 明 した 上 で,実 習 終 了 後 に 記 述 式 ア ン ケー トを実 施 し,そ の結 果 の一 部 を参 考 に した 。 ま とめ に あた って は,倫 理 的 配 慮,内 容 の 妥 当性 につ いて ス ー パ ー バ イ ズ を受 けた 。 III.結 果 助 産 実 習 前 の8月 の 約1ヶ 月間 に行 う 学 内 で の 自己 トレー ニ ング と9月 か ら10月 中旬 まで の 約 7週 間 の助 産 実 習 に分 け て 述 べ る。 1ル自 己 トレー ニ ン グ これ は助 産 実 習 前 の 準 備 と して重 要 な 位 置 を 占 め る 。ね らい は,1)実 習 施 設 の 分娩 介 助(以 下 介 助 とす る)物 品等 に事 前 に慣 れ てお く こ とで,臨 床 で の 助 産 実 習 に か か る ス トレス の 緩 和 を 図 る 2)介 助 の 手 順 を 熟 知 し,行 動 が 伴 え る こ と に よ り, ス トレス の緩 和 と実 習 効 果 の 加 速 的 習 得 を 図 る 。 3)単 に 介 助 の 一 通 りの 手 順 が で き る だ け で な く, 分 娩 進 行 の判 断 お よ び 必 要 な 情 報 と診 断根 拠 を 示 す こ とが で き る 。 内 容 は,事 例 を 提示 し,状 況 設 定 に よ る助 産 診 断 お よ び 助産 技 術 の チ ェ ック を段 階 的 に実 施 した 。 <学 生 の評 価>お 互 い の 手技 をチ ェ ッ ク しあ えて よ か っ た。 実 習 前 に あ る 一定 の レベル に達 して い る と臨 床 で 学 ぶ こ とに あ る程 度 集 中で き た 。不 安 ・緊 張 の緩 和 に な っ た。 2.助 産 実 習 1)カ ン フ ァ レ ンス 目 的 は,授 業 の理 論 を応 用 して 実 習 の 中 で講 義 し,助産 診 断 と助 産 技 術 を統 合 さ せ る こ とで あ る。 助 産 診 断 学 で は,い くつ か の基 礎 理 論 を診 断過 程 の理 論 に含 めた 理 論 を講 義 の 中で 展 開 して お り, そ れ を応 用 した 形 で臨 床 実 習 上 のね らい をお さ え る 。ハ イ リス ク事 例 で あ る場 合 に は,定 義 ・原 因 ・診 断 基 準 ・治 療 方 針 ・助 産 方 針 ・助 産 診 断 ・助 産 ケ ア の 内容 に介 助 事 例 の検 討 を盛 り込 む 。 <テ ー マ の選 定 条 件>① 実 習 で よ く遭 遇 す る事 例 (誘 発 ・促 進 分 娩 、GBS等 の感 染 症,妊 娠 中毒 症,多 胎 等)② 学 内 で は 学 生 に教 育す る こ とが難 しい技 術 的 な 内 容(回 旋 の見 方 の ポ イ ン ト,児 頭 娩 出 の コ ツ,頸 管 残存 時 の 判 断 と技 術,胎 児娩 出 時 の 力 の大 き さ ・方 向 と会 陰 保 護 の右 手 の 力 の 大 き さ ・方 向)時 に は 学 生 に課 題 を与 え る 。(疲 労と分 娩 遷 延,胎 盤 の 剥離 を遅 らせ る因 子,リ ラ ッ クス の 方 法)看 護 学 の知 識 だ けで な く,看 護 関 連 領 域 の 知 識 も活 用 させ る。 < 学 生 の 評 価>丁 度 疑 問 に思 って いる こ とが 内容 に取 り上 げ られ て い た。 資 料 が 活 用 で き た 。 自分 達 も積 極 的 に調 べ た り,意 見 交 換 や 事 例 の 共有 が で きて,主 体 的 に学 習 で きた 。 2)分 娩 介 助 の振 り返 り 臨床 指 導 者 は分 娩 期 の 直接 介 助 の技 術 指 導 が 中 心 とな る た め,助 産 診 断 ・実 践 過 程 理 解 の 強 化 を 目的 に,学 生 と実 習 指 導 に つ い た教 員 との 個 人 面 接 を行 っ た 。介 助 後1∼2日 頃 に,助 産 実 習 記 録 ・直 接 介 助 評 価 表 お よ び パ ル トグ ラ ム(CTG判 読 チ ャー ト)を 使 用 して 行 っ た。手 順 は,入 院(受 け持 ち)時 診 断→ 予 測(児 娩 出時 間 ・分 娩 進 行 度 ・児 の予 測 体 重 お よ び 健 康 状 態) ,実 際場面での 実 践 ケ ア と思考 過 程 の振 り返 りと助 言 → 予 測 の 評 価 → 分 娩 時 診 断 と した 。次 回の 介 助 目標 を考 慮 し, 今 回 の 目標 の達 成 度 ・評価 を 明確 に させ るよ うに した 。 学 生 の 判 断 ・理 解 度 の確 認 のた め に質 問 内 容 を工 夫 した。 < 質 問 例> 学生A「 入 室 の判 断 はで き た か?そ の根 拠 は?」 学 生B「 入 室後 どの 位 の 時 間 で産 まれ る と予 測 し たか?そ の 根拠 は?」 学 生C「 指 導者 の会 陰 伸 展,児 の下 降 誘 導 の 手 技 は 理解 で き たか?分 か らな け れ ば,私 は こ う思 う けれ ど,指 導 者 に聞 いて み な さ い」 学 生D「 指 導 者 が 産 婦 に こ う言 わ れ た 理 由は?」 < 学 生 の評 価>自 分 の で き る所 ・で きな い所 とそ の 理 由 が 明確 にな り,目 標 ・課 題 が 立 て られ た 。 IV.考 察 1.自 己 トレー ニ ン グ 助産 実 習 の 目的 は,助 産 技 術 の 中で も介 助 そ の もの の技 術 の熟 練 に 目標 をお くの で はな く,助 産 診 断 プ ロセ ス と助 産 の実 践 に方 向 性 を もた せ る 過 程 判 断 が で きる よ うにす る こ とで あ る。と は い え, 助 産 の基 礎 技 術 が 習 得 され な けれ ば実 践 に 関 す る 方 向性 を示 唆 す る こ とも で きな い。 従 って,臨 床 で の基 礎 技 術 の習 得 が効 率 よ くな され,限 られ た 期 間 で あ って も効 果 を得 る実 習 を行 うた め に事 前 学 習 で あ る 自己 トレー ニ ン グは 必 要 不 可 欠 で あ る と考 え る。 2.助 産 実 習 カ ン フ ァ レ ンス で は,学 生 個 人 の 経 験 した 技 術 ・知 識 ・情報 等 を グル ー プで 共 有 した り学 び を 深 め る とい う利 点 を持 って い る。 セ ミナ ー形 式 を と り,最 初,教 員 か らの資 料 提 示 ・講 義 を 短 時 間 に 行 い,そ の後 事 例 を基 に助 産 診 断 ・助 産 ケ ア に つ いて の 質 疑応 答 を行 うこ とで,内 容 を 深 め る 。 学 生 同士 で 意見 交 換,チ ー ム ワー クを と り,実 習 に 対 す る前 向 き な姿 勢 が あ る と,知 識 の 蓄積 や グ ル ー プダ イ ナ ミ ク ス の効 果 が 期 待 で き る 。 分 娩 介 助 の振 り返 りで は,助 産 実践 過程 中心 の 臨床 指 導 者 との介 助 の振 り返 り と助産 診 断 過程 と 助 産 実 践 過程 の統 合 を 図 るた め の 教 員 と の振 り返 りを行 う こ とに よ り,介 助 例 数 の 不 足 に よ る弊 害 を少 な く し,学 生 の助 産 診 断 ・実 践過 程 の理 解 を 図 る こ とが で き る と考 え る。 カ ン フ ァ レン ス と の 併 用 によ り,助 産 実 習 目的 ・目標 の更 な る達 成 が 期 待 で き る と考 え る。 V.結 論 4年 制大 学 で の助 産 学 教 育 の 焦点 と は,大 学 の 教 育 理念 の 中で どの よ うな 助産 婦 教 育 を行 って い くの か,そ の ため には 限 られ た時 間数 の 中で 最 大 限 の 教育 効 果 を あ げる た め の 教育 方 略 が 必 要 で あ る。 今 回 の結 果 よ り,以 下 の2点 の教 育 方 略 が 考 え られ た 。 1.学 内 で の実 習 前 の 準 備 と して,講 義 ・学 内 演 習 ・自己 トレー ニ ン グの 一貫 した助 産 診 断 ・実 践 過 程 の理 解 教 育 は,助 産実 習 の準 備 期 間 と して 重 要 で あ る。 自己 トレー ニ ング で の課 題 達 成 に 関 して,本 来 な らば 当然 必 要 単位 数 と して 認 め る こ と も必 要 で あ る。 2.助 産 実 習 で は,臨 床 側 と の連 携 お よ び 役 割 分 担 は い うま で もな いが,大 学 教 員 が,限 られ た 実 習 期 間 の 中 で,介 助 例 数 不 足 を 補 い,学 生 の 助 産 診 断 ・実践 過 程 の理 解 を深 め る た め に は,カ ン フ ァ レ ンスや 介 助 事 例 の振 り返 りの 効 果 的 な 活 用 が 重 要 と考 え る。<参 考 文 献;省 略> ―143―
36.「
遺伝」に関す る助産 婦基 礎 教 育 の検 討
-短
期大学助産学専攻科および専門学校の調査より-岩手 県立大 学看 護学 部 ○安 藤 広 子 日本 赤十 字看護 大学 平澤美 恵子 杏林 大学 保健 学部 橋 本 佳 美 1 はじめに 助産婦は,性と生殖に関す る専門職 として,母子 を中心 とした家族へのケア として,遺 伝 性疾患を 含む先天性疾患をもつ対象への関わ りをもってき た。しか し,遺伝医療が急速に進歩 してい る現在, 助産婦は遺伝 医療 チームの一員 としての参画の方 法や,その実践能 力についての検討 が必要である。 看護 系大学にお ける 「遺伝」に関する教育内容 の実態 調査はすでに行われ ている1)ので,そ れを 参考にして短期大学お よび専門学校における助産 婦教育の実態調査を行 った。 本研究では,「遺伝」に関連す る科 目のシラバス と,助産婦教 育者か らの教育に対す る考 えを基 に, 「遺伝」に関する教育内容 と教 育方法のあ り方に ついて検討を行 ったので報 告す る。 II研 究方法 調査期間:平 成12年2月14日 か ら2月 末 日 調査対 象お よび方法:全 国助産婦教 育協議 会に加 盟 している短期大学助産学専攻科および専門学校 79校 の うち,教 育の実態調査に協力のあった53 校である。その うち、シラバス を添付 して調査 に 協力のあった短期大学8校,専 門学校5校 のシ ラバスで、そ こに記載 されている内容 を助産婦教 育に必 要と考えた5つ の項 目:① 遺伝 に関す る生 物学的知識,② 周産期 の遺伝 医療 に関す る知識, ③遺伝医療に関する倫理的な問題,④ 杜 会的な側 面か ら見た遺伝医療の位置付 け,⑤遺 伝相談 と遺 伝 医療対象者への直接的ケアに分類 し,教 育の内 容 を分析 した。 また,助 産婦教育者39名(39施 設)か らの 「遺伝」に関する教 育への 自由記述の 内容を分析 した。 III結 果 シ ラバ スに よる教 育内 容 を分類 した結 果 は,表 1の 通 りで あ る。 教 育内容 は短 期大学 と専 門学 校 との差 はみ られ な か った が、 「遺伝 」に関す る教 育 の位 置付 けに つい て は教 育機 関 の差が 見 られ た。 遺 伝 相談 の演 習 を行 って いた の は1施 設 の み で あ っ た。 「遺 伝 」に 関す る科 目の教 育時 間数 は15か ら30時 間1単 位 で 教授 され 、10時 間∼30時 間 で あ った。科 目の位 置 付 けは13校 の うち12校 が 必 修科 目と してい たが 、 い くつか の科 目に取 り入 れ られ てい た。 表1「遺伝 」 に関する教 育内容(N=13) 教育内容の分類 短大専攻 専門学校 8校5校 遺伝 に関する生物 学的 基礎 知識 6 4 遺伝相談 ・遺伝 医療 対象者 のケア 6 4 周産期の遣伝 医療 ・医学的知 識 5 4 周産期の遣伝 医療の倫理的課題 4 2 遺伝 医療の社会的側面に関する知識 2 2 助 産婦 教 育者 の 「遺 伝 」 に関す る教 育 へ の考 え につ い て の 自由記 述 の内 容 は,表2の 通 りで あ る。 表2「 遺伝」に関する教育への考え(N=39) 項 目 数 専門 教育 コースの設定 22 (コー ス設定で資格認定の必 要 11) カ ウンセ リング,コ ミュニケー シ ョンの演習 17 倫 理的課題への考察 5 医療情報,最 新の知識の提供 5 (家族 社会学)家 族ケアに関する知識 4 感 性の涵活養,態 度形成 4 ケア対象者の支援体制に関する知識 3 教材 の工夫 ・開発 1IV考 察 1.助 産婦基礎教 育課程における教 育内容 助産婦基礎教育では,「遺伝」に関する生物 的基 礎 知識は大多数の教 育機関で教授 され,多 くの時 間数が費や されていた。しか し,この教育内容は, 溝 口ら1)が 調査 した看護基 礎教育での内容 と重 複 していることか ら,母 子 とその家族の健康 に焦 点を絞 り,助 産婦 としてのより専門的で実践 に直 結 した教育内容の精選が必要 と考 える。 看護 職を対象に した 「遺伝看護の役 割」の調査 で期待の高いものは、① 日常生活への指導および 支援,② 患者 ・家族 関係のカ ウンセ リング,③ 仕 会資源の活用,④ 妊娠 ・出産に関する意思決定へ の支援,⑤ 出生前診断 ・保因 者診断 等の 検査時の 意思決定への支援,で あった2)。助産婦はこの よ うなケアが求 められ る場面に遭遇する機会 が多い が、 この ようなケア能力の習得は卒業後3∼5年 以上とされている3)。 その一方 で、助産婦教 育者 は,出 生前診断や遺 伝 医療 を受 ける対象や家族のケア,コ ミュニケー シ ョンやカ ウンセ リング技法の教育が必要 である とし,演 習が必要 であるとい う考 えが多かった。 これは,教 授方法 としてロールプ レイなどを取 り 入れた演習,遺 伝相談場面の参加観 察や事例検討 会への参加 な どの工夫が考 えられ る。 さらには, 助産婦基礎教育における技術の到達 レベルの検討 課題でもあ り,他 の看護教育プログラム とも関連 させなが ら検討 してい く必要があろ う。 また,基 礎 教育では専門職 として社会の変化や ニーズに対応 してい くために,遺 伝医療にお ける 倫理的課題 やケアのあ り方の思考を深めた り,医 療チームの一員 として助産婦が どのよ うな姿勢で 対象と関わるかとい う態度形成の教 育が大切であ ると考える。 これ らのこ とか ら,助 産婦基礎教 育課程におけ る 「遺伝」に関 する教育内容 と到達 目標 を表3の のよ うに考 えた。 2.助 産婦教育の基礎 ・継続 教育体制の検討 「遺伝」 に関す るケア実践は,助 産婦 として正 常な妊 ・産 ・褥婦 と新 生児のケアと保健 指導 がで き,家 族 関係 全 体 のケ ア の見 通 しが でき る臨 床経 験3年 以上経 た後 で,卒 後 教 育と して の専 門 教 育 が望 ま しい。 そ して,3∼6ケ 月間 程 の教 育 カ リ キ ュ ラムに よる資 格 認 定制 の考 えも多か った。 こ れ は,臨 床 の看 護職 の62.6%(助 産 婦68.5%)と 同様 な結果 であ る2)。 「遺 伝 」 に関す るケア 実践 の能 力の習得 に は 、 知 識 や経 験,職 場 環 境な どの 要 因が影 響 する もの と考 え られ る こ とか ら,看 護 基礎 教育 お よび 助産 婦 基 礎教 育か ら卒後 教 育 まで の一 貫 した教 育 プ ロ グ ラムの検 討 が必要 であ る と思 う。 表3「 遺伝」に関す る教育内容 と到達 目標 知識A)医 療 面B)倫 理的 ・法的 ・社会的問題が わかる A)① 生殖医療 にお ける遺伝のメカニズム ② 先天異常(遺 伝性疾 患)の 診断 ・治療 ・予後 ③ 家系図の作成,遺 伝的危険率 の推定 と評価 ④ 遺伝相談の 目的 ・プロセス ・システム ⑤ 遺伝 医療チームの役割 B)① 生殖医療 ・遺伝医療に関わる倫理的問題 ② イ ンフォーム ド・コンセン ト ③ 家族関係,家 族 社会学 ④ 障害者の療 育と福祉の現状 ⑤ 遺伝医療 に関連す る法規 技術 ケアの対象者を理解するための方法 を知る ① コ ミュニケー シ ョン技法 ② 遺伝相談 ・カウンセ リング技法 態度 専門職 として関わろ うとする態度 が とれ る ① 対象者の意 思 ・権利 ・プライバ シーの尊 重,擁 護 ② 専門職 としての倫理原則に基づいた意思決定 ③ 実践の評価 ・蓄積 ・研 究報告 <引 用 文 献> 1) 溝 口満 子, 他: 看 護 基 礎 教育 課程 にお け る 「遺 伝 」 に 関す る教 育 の実 態; 看護系 大学 の 教 育内 容 調 査, 看 護 教 育, 40(10), 863-868, 1999. 2) 溝 口満子, 他: 看 護 職 の遺伝 に関す る卒後 教 育の必 要 性, 日本看 護轍 育 学会 誌, 10(1), 1-9, 2000. 3) 平澤 覧恵子, 他: 助 産 婦の ケ ア能 力の 現 状 と 課 題, 第12回 日本 助産学 会 学術 集 会集 録 集, 234-237, 1998. ―145―
37.実
習 に お け る助 産 過 程 の学 習 方法 の検 討
大 正大学 大学 院 ○加 藤 千 晶 聖隷 学園 浜松衛 生短 期大 学 佐々木百合子 藤 邊 久 美 1は じめ に 1999年 日本 助 産 学 会 よ り 「日本 の 助 産 婦 が 持つ べ き 実践 能力 と責任 範 囲 」が 出 され,そ の 中 で 「助 産 婦 は い か な る 出産 の 場 に お い て も分娩 進 行 状態 の診 断 を行 い,分 娩 進 行 に応 じて適 切 な助 産 技法 を活 用 して … ケ アの 責 任 を 負 う」と明示 さ れ た。 それ を受 けて 基礎 教 育 の期 間 に は,知 識 を 生 か した技 術展 開 をお こな うことが で き る とい う 思考過 程 を重要 視 す る傾 向 に な って きて い る。 昨 年学 生 の 自 己評価 表 を検 討 し,助 産過 程 の要 と もい え る診断 過 程 の学 習 が大 変 難 しく,達 成 感 を得 られ る とこ ろま で到 達 して い ない こ とが わか った。 そ の結 果 を元 に,学 習 方法 を検 討 した。 II方 法 1999年 度 の 助産 過 程 の 学 習 方法 を,実 習 自己 評 価 表 の診 断 過 程 のカ テ ゴ リー を 中 心 に,1998 年度 と比較 検 討 した。評 価 表 にお ける 有意 差 検定 は,統 計パ ッケ ー ジExce198を 使 用 した。 表1対 象 学生 1.対 象学 生 両 年 度 とも学 生数 は20名 で,看 護教 育 期 間 に看 護 診断,看 護 過 程 の教 育 を受 けて い な い もの は,1999年 度 生1名 のみ で あ っ た。 2.助 産過 程 学 習の 流れ 1)1998年 度(1)学 内 演習 目標:事 例 を 通 し て分 娩 期 に必 要 な援 助 が わか る。 実 習 前 に,初 産 の陣 痛 発 来 のpaper patientを とお し,分 娩各 期 にお け る助 産計 画 を立 案 し,そ の計 画 を元 に 技 術 演 習 。(2)臨 地 実 習 目標:科 学 的根 拠 に基 づ いた 助 産過 程 の展 開 が で きる。 受 持 ちケ ー ス を とお して助 産 過程 を 展 開,分 娩 第4期 終 了 時 に 臨床 指 導者 との 主 に 実践 過 程 を 中心 に した評 価 を 行 な う。 そ の後,自 己評 価 表 ・実 習 記 録 を とお し ての 学 習 の ま とめ を学 生 自身 で行 な った。 2)1999年 度(1)学 内 演 習 目標:助 産 過 程 の に必要 な知 識 の 共有 がで き る。 実習 にお い て 学 生 が 受 け 持 っ 可 能 性 が 高 い ケ ー ス をpaper patientと して4例,グ ル ー プで 助 産 過 程 を展 開 し発 表,討 論 。(2)臨 地 実習 目標:科 学 的 根 拠 に基 づ い た助 産 過 程 の展 開 がで き る。1998年 度 同様,受 け持 ち ケー ス を とお して助 産 過 程 を展 開, 分 娩 第4期 終 了 時,実 践 過 程 中 心 に 臨 床 指 導 者 と評 価 を 行 な っ た。 そ の後,自 己評 価 表 ・実習 記 録 を とお して の 学習 の ま とめ を行 ない,教 員 と診 断 過 程 中 心 に振 りか え りを し,今 後 の課題 お よび 次 回 の 課題 を明 らか に した。 3.実習 体 制 ・指 導体 制 1)1998年 度 臨 地 実習 は約3ヶ 月 の 間 の週4 日間,3ヶ 所 で 行 な っ た。 学 生 は 基本 的 に1週 間 ご とに 施設 を替 わ り,1日12時 間実 習 で臨 地 へ 行 くの は 隔 日で,教 員 は 毎 日担 当す る施 設 を替 わ り,そ の 日そ の 実習 施設 に い る学 生 の指 導 に あ た った。 2)1999年 度1998年 度 と同時 期 ・同 施 設 で 臨 地実 習 を行 った 。 学 生 は3週 間 同施 設 で 週5日 実習 を行 な い,教 員 も3週 間1つ の 施 設 へ 指 導 ―146―に 行 く,施 設 毎 の 専 任 と し た 。 そ の 後2週 間 学 内 で 授 業,演 習 を 行 い,再 び3週 間 臨 地 へ 実 習 に 行 く と い うサ イ ク ル を3ク ー ル 行 な っ た 。 III結 果 受 け 持 ち ケ ー ス 終 了 後 に 学 生 が 行 な う 自 己 評 価 は,「 産 婦 の 健 康 診 査 」 「分 娩 経 過 に 応 じた 援 助 指 導 」 「助 産 計 画 の 立 案 ・実 施 ・評 価 」 「分 娩 の 準 備 」 な ど9カ テ ゴ リ ー72項 目で,そ の 各 項 目 を 「対 象 の 状 態 に 合 わ せ,必 要 性 を 判 断 し た 上 で 適 切 な 方 法 で 援 助 が で き る 」5か ら 「援 助 の 必 要 性 が 判 断 で き ず,実 施 に も指 導 を要 す る 」1ま で の 5段 階 で 得 点 を つ け た 。 学 生 の平 均 分 娩 介 助 数 が 1998年 度7例,1999年 度8.3例 だ っ た の で,2 年 の 最 終 例 間,1999年 度 の1,4,8例 目 間 の 有 意 差(t検 定)を 「助 産 計 画 の 立 案 ・実 施 ・評 価 」 と 「分 娩 経 過 に 応 じた 援 助 指 導 」 の2つ の カ テ ゴ リ ー で み る と表2・ 表3の 様 で あ っ た。 表2助 産 計 画 の 立 案 ・実 施 ・評 価 Pく0.005=***, P<0.01=**, P<0.05=* 表3分 娩経 過 に応 じた 援 助 ・指 導 P<0.005=***, P<0,01=**, P<0.05=* 「助 産 計 画 」 で は,す べ て の 項 目で 最 終 例 間 の 差 は な か っ た 。1999年 度 で は す べ て の 項 目 に お い て1と8例 目,4と8例 目の間 で 有 意 差 が 出 て い る が,1998年 度 に お い て は,1例 目 と最 終 例 (6∼8例)で の 有 意 差 は 生 じ て い た が,4例 目 と 最 終例 に お い て はい ず れ の項 目に お い て も有 意 差 はな か った。 「分娩 経 過 に応 じた援 助 指 導 」で も最 終 例 間の 有 意差 はほ とん どない が,1999年 度 の1 と8例 目,4と8例 目では 有 意差 が 出て い る。 IV考 察 演習 方 法,実 習 体 制,実 習 方 法 な ど変 更 した が, 学 生 の最 終 の 実 習評 価 得点 は有 意 な差 はな か っ た。 しか し1998年 度 で は なか った 助 産 計画 の4例 目 と8 例 目の にお け る差 は,注 目で き る点 で あ る。 学 生 が 自分 た ちで 立 てた 助 産診 断 の ス タン ダー ドを 受 け持 ち ケー スに 活用 して い く こ とで 、 ス タ ンダ ー ドの活 用 とそ れ を踏 まえ た個 別 性 へ の アプ ロー チ を考 える こ とが で き たの で は ない だ ろ うか 。 資 料 を使 って 学習 の確認 を した り、知 識 と実践 の 関 連 を深 め る こ とがで きた こ とは 大 きな 収 穫 で あっ た。 助産 学 実 習 も看 護学 実習 同様 授 業 と して成 り立 つ こ とが必要 で あ り,知 識 を活 用 し実 践 し、 その 結 果 を再 度 知識 に して い く学 習形 態 を、 学生 自らの 力 と方 法 で行 な うこ とが でき るよ うに な っ てい っ た と考 え る。1999年 度 に は,実 践 過 程 を踏 ま えた 上 で,再 度思 考 過程 を振 り返 り,知 識 と技 術 の 確 認 を1例1例,学 生 と教員 が と もに行 うこ と もで き た。 これ は 実習 体 制 を 変更 した こ とに よ る指 導 体 制 の 変更 が 大 き く影 響 してい る と考 え る。 毎 日施 設 を訪 れ る教 員 が違 い,そ の 日そ の時 を中 心 に指 導 を行 な うこ と と,3週 間 同 じ教 員 が 同 じ学 生 の 指 導 に あ た る こ とが で きる こ とに よる指 導 方法 の 違 い で あ る。 学 内 へ 戻 った2週 間 の学 内 の期 間 に は,臨 地 での3週 間 の ま とめ と次 の実 習 へ の学 習 を教 員 も含 め全 員 でお こな い,事 例 を とお して の 学 びの 共 有化 も可能 で あっ た。 VIま とめ 最 終 的 に 自己評価 表の 得 点 とい う点 で は,2年 間 で の差 は 見 られ な か った が,そ こへ 到 達す る ま で の プ ロセ ス の違 い に よ り,学 生 が 自 ら学 ん で い く こ との で きる方 法 を獲 得 で きた の では な い か と い う こ とを実感 す る。 実習 体 制 ・指導 方 法,学 内 演 習 の あ り方 が,学 習 効果 に及 ぼ す影 響 とい うの を再 確認 した。 引 用 ・参 考文 献 省 略 ―147―
38.学
生 の 乳 房 触 診 行 動 成 立 要 因
国 立九州 医療 セ ン ター附属 福 岡看護 学校 ○新 地 裕 子 中西真 美 子 国立療 養所 東佐 賀病 院附属 看護 学校 倉 富 明 美 1.緒 言 母 性 看 護 学 に お い て,産 褥 期 の 褥 婦 の 子 宮 や 乳 房 の 退 行 性 変 化 ・進 行 性 変 化 を 直 接 的 に 触 診 と い う 観 察 技 術 を 用 い て 観 察 す る 。 触 診 は,こ れ ら の 硬 さ や 柔 ら か さ,温 か さ や 張 りな ど 変 化 す る 過 程 を 理 解 す る た め に も 必 要 で あ る 。 看 護 学 生 の 母 性 看 護 学 実 習 に お い て も 進 行 性 変 化 ・退 行 性 変 化 は 観 察 項 目 と し て 取 り上 げ ら れ て い る が 実 際 の 観 察 行 動 は 記 録 や 問 診 か ら で 終 え て い る 学 生 も い る 。 学 生 に と っ て,性 器 観 察 は羞 恥 心 や 価 値 観,対 象 と の 関 係 な ど が 複 雑 に 絡 み 合 い,困 難 さ が 認 め ら れ る 。 安 酸 史 子1)は,「 直 接 的 経 験 を 通 し て の 学 生 の 新 鮮 な 感 性 や 素 朴 な 思 い か ら,反 省 的 経 験 の 学 習 が 始 ま る.自 分 の や り た い 看 護 や 自分 の 感 じ た こ と を 表 現 す る 」 と 述 べ て い る 。 そ こ で 学 生 が 触 診 に よ る 観 察 行 動 の 意 味 付 け が で き,観 察 行 動 が 経 験 で き れ は,産 褥 期 の 変 化 の 不 思 議 さ,母 性 看 護 学 へ の 興 味 ・関 心 に も 結 び 付 く と 期 待 で き る 。 そ こ で,今 回 褥 婦 の 性 器 観 察 の 中 で も 進 行 性 変 化 を 観 察 す る の に 必 要 な 乳 房 の 触 診 に よ る 観 察 行 動 に 絞 っ て 調 査 し た 。 母 性 看 護 学 実 習 終 了 直 後 の 学 生 に 面 接 を 行 い,触 診 に よ る 観 察 行 動 に 影 響 し た 要 因 に つ い て 調 査 し た 。 そ の 結 果,今 後 の 指 導 方 法 に つ い て の 示 唆 が 得 られ た の で 報 告 す る 。 II.研 究 方 法 母 性 看 護 学 実 習 終 了 直 後 の3年 生 に 面 接 に よ る 聞 き 取 り調 査 で 乳 房 の 観 察 行 動 に 影 響 し た 要 因 を 分 析 す る 。 学 生 の 内 発 的 動 機 づ け,外 発 的 動 機 づ け が ど の よ う に 作 用 し 直 接 的 観 察 行 動 に 結 び 付 い た か を 具 体 的 に 把 握 す る た め,帰 納 法 的,質 的 因 子 探 索 型 の 研 究 と し た 。 1.対 象 者 A看 護 学 校3年 課 程 の3年 生 で 母 性 看 護 学 実 習 終 了 直 後 の35名(内:触 診 で き た 学 生28名,触 診 で き な か っ た 学 生7名) [学 生 の 背 景] 面 接 デ ー タ の 中 か ら,学 生 の 属 性 を 揃 え る た め に,男 子 学 生 と 出 産 経 験 に あ る 学 生 は 除 い た 。 学 生 の 年 齢 は20∼22歳 。 ま た 実 習 の 条 件 と し て は 母 性 看 護 学 実 習 で は3週 間 の 期 間 に1例 の 褥 婦 を 受 け 持 っ て 看 護 過 程 を 展 開 す る 。 ま た 期 間 の 半 分 は 産 婦 人 科 外 来 と 新 生 児 室 で の 実 習 を 行 っ て い る 。 2.研 究 期 間 1999年5月 ∼1999年11月 3.デ ー タ 収 集 方 法 母 性 看 護 学 実 習 の 最 終 日 に,乳 房 の 観 察 行 動 に つ い て 面 接 を 行 っ た 。 面 接 に あ た っ て は,質問 者 の 統 一 と 内 容 の 統 一 を は か る た め イ ン タ ビ ュ ー ガ イ ド を 作 成 し プ レ テ ス ト を 行 っ た 。 そ し て 質 問 す る 内 容 の 視 点 を 以 下 の5項 目 と 決 定 し た 。 ① 触 診 に よ る 観 察 行 動 が で き た 場 面 を 想 起 す る,② ど う し て 観 察 で き た か,③ 指 導 者 は ど の よ う に し て い た か,④ 貴 方 は そ の 時 ど ん な 思 い だ っ た か,⑤ 褥 婦 は ど うだ っ た か,と し た 。 面 接 内 容 は 許 可 を 得 て テ ー プ に 録 音 し,面 接 終 了 後 に 逐 語 的 に 起 こ し た 。 学 生 に 対 す る 倫 理 的 な 配 慮 と し て は 事 前 に 研 究 目 的 を 話 し許 可 を 得,同 意 の も と 協 力 し て も ら っ た 。 面 接 に か け る 時 間 は1人 約20分 か ら30分 と し た 。 4.デ ー タ の 分 析 方 法 面 接 時 に 記 載 し た 記 録 か らKJ法 に よ りカ テ ゴ リ ー 化 し た 。 カ テ ゴ リ ー 間 の 関 連 性 を 検 討 し て 意 味 付 け,主 要 カ テ ゴ リ ー を 導 い た 。 III.結 果(表1参 照) ―148―表1.学 生 の 乳 房 の 触 診 行 動 成 立 要 因 乳 房 の 触 診 行 動 に 影 響 す る 要 因 と し て,(1)学 生 と し て の 準 備 性,② 時 間 的 ・空 間 的 要 因,(3)対 象 と の 関 係 性,(4)母 性 に お け る 興 味 ・関 心,の4つ に カ テ ゴ リー 化 で き た 。 ま た4つ の 主 要 カ テ ゴ リ ー か ら9つ に サ ブ カ テ ゴ リ ー 化 で き た 。 IV.考 察 乳 房 触 診 に よ る 観 察 行 動 成 立 の 主 要 カ テ ゴ リー は,そ れ ぞ れ 別 々 に 存 在 す る の で は な く,関 連 性 を も っ て 影 響 し て い る 。 例 え ば,「時 間 的 ・空 間 的 要 因 」 の 状 況 が 整 っ て い て,指 導 者 か ら 観 察 で き る よ う に 褥 婦 と の 橋 渡 し を さ れ て も 「学 生 の 抵 抗 感 」 が 強 い と 観 察 行 動 が 成 立 し な い 場 合 が あ る 。 ま た,宮 本 ら2)の 言 う よ う に,認 知 学 習 が 情 緒 喚 起 の 要 因 に な り,「触 診 に お け る 学 生 の 抵 抗 感 」 が あ っ て も,「学 生 と し て の 準 備 性 」 が 高 い と 指 導 者 や 褥 婦 に 自 ら働 き か け て 観 察 行 動 を 成 立 さ せ れ る 場 合 も あ る 。 さ ら に,松 田 ら3)や 篠 崎 ら4)が 言 う よ う に 対 象 と の 関 係 性 は 重 要 で,「学 生 と し て の 準 備 性 」が あ っ て もr対 象 と の 関 係 性 」 が 良 くな い と 羞 恥 心 を 伴 う 乳 房 の 触 診 に お け る 観 察 は 困 難 と な る 。 「母 性 に お け る 興 味 ・関 心 」 を 持 っ て い る 学 生 で 観 察 で き な か っ た 学 生 は い な か っ た 。 興 味 関 心 を 持つ と い う こ と は,主 体 的 に 触 診 行 動 成 立 へ 働 き か け る こ と が で き る 重 要 な 要 因 で あ る こ と が わ か る 。面 接 結 果 か ら 観 察 行 動 が 成 立 し た 場 面 は, 授 乳 中 や 搾 乳 中 で あ る こ と が 多 く,乳 房 が す で に 露 出 さ れ て か つ プ ラ イ バ シ ー の 確 保 が で き て い る 時 に タ イ ミ ン グ 良 く 観 察 し て い る こ と が わ か る 。 こ の よ う に4つ の 要 因 が 効 果 的 に 働 く と 観 察 行 動 成 立 が 容 易 に な る 。 要 因 が 効 果 的 に 働 い て い な い 場 合 は,指 導 者 が 介 入 す る こ と で プ ラ ス に 働 き か け,観 察 行 動 を 成 立 さ せ る 必 要 が あ る 。 学 生 の 観 察 行 動 成 立 に は 学 生,対 象 者,指 導 者 の 関 係 性 が 相 互 に 影 響 し て い る 。 ま た 学 生 と し て の 準 備 性 や 行 動 す る こ と の 抵 抗 感,母 性 に 対 す る 興 味 ・関 心 な ど,学 生 の レ デ ィ ネ ス を 踏 ま え て 指 導 方 法 を 工 夫 し な い と 効 果 的 な 実 習 体 験 は さ せ ら れ な い 。 そ し て 指 導 者 自 身 が 触 診 に よ る 乳 房 観 察 の 価 値 付 け を し て い る こ と も 必 要 で あ る 。 V.結 論 L母 性 看 護 学 実 習 に お け る 学 生 の 褥 婦 の 乳 房 触 診 行 動 の 成 立 要 因 と し て(1)学 生 と し て の 準 備 性, ② 時 間 的 ・空 間 的 要 因,(3)対 象 と の 関 係 性,(4) 母 性 に お け る 興 味 ・関 心,の4つ に カ テ ゴ リ ー 化 で き た 。 2.4つ の 主 要 カ テ ゴ リー を 表1の よ う に9つ の サ ブ カ テ ゴ リ ー に 識 別 で き た 。 3.そ れ ぞ れ の カ テ ゴ リ ー は,相 互 に 影 響 し 合 い, 学 生 の 乳 房 触 診 行 動 成 立 に 結 び 付 く 。 4.観 察 行 動 の 成 立 に は,学 生,対 象 者,指 導 者 の 相 互 の 関 係 性 が 影 響 す る。 【引 用 ・参 考 文 献 】 1) 安 酸 史 子: 経 験 的 実 習 教 育 の 考 え 方, Guality Nursing vol.5 no.8 1999.
2) 宮 本 美 沙 子: 情 緒 ・動 機 づ け の 発 達, 金 子 書 房, 23∼24, 1991. 3) 松 田 和 子, 丹 治 優 子: 基 礎 看 護 実 習 で の 学 生 の 主 体 性 に 影 響 を 与 え る 要 因, 看 護 教 育, p.115, 1997 4) 篠 先 き よ 他: 学 生 と 患 者 と の 関 係 を 測 定 す る た め の 基 準 の 作 成 (そ の2), 第20回 日 本 看 護 学 集 録 (看 護 教 育), p.56. 1989。 ―149―