理 学 療 法 学 第
36
巻 第5 弓.
281
−−
286
頁 (2009
年)短
報
肩 関 節 周 囲 炎 患 者
に お
け
る
機 能 改 善
と
メ ン
タ
ル
ロ
ー
テ
ー
シ
ョ
ン
能力
の
関
連
性
*山
田
実
1 )#樋
口
貴
広
2)森 岡
周
3)河 内
崇
4 )要 旨
【
目的
】
メ ン タ ル ロー
テー
シ ョンは運 動 イ
メー
ジを想 起
させ るた
めの簡 便 な手 段
であ
る。本 研 究
で は,肩
関 節 周 囲 炎 患 者 を対 象
に,
回転
し てあ
る手
の写 真 を用
いた
メ ン タル ロー
テー
シ ョ ンを 実 施
し,
患
側 肢の運動
イメー
ジ の想 起 能 力
は低
.
ドし てい るのか,
ま
た その能 力
は 理学 療 法 介
入 に よっ て改 善
す るのか検
討 し た。
【
方 法
】
対 象
は,
肩
関節 周
囲炎 患 者
60
名 と年 齢 を揃 え
た健 常 者
60
名
で あっ た。
メン タル ロー
テー
ショ ン 反 応 時 間の 測定
に はパー
ソ ナル コ ン ピュー
ター
を 用 い た。
デ ィ ス プレイに は,
右 手
,
左手
がOD
,
90
°
,−
90
°
,
180°
回 転 してある写 真 が ラン ダムに 表 示 さ れ, ボタン を 押 す こ とで,
写 真 が 表 示 さ れてか ら 回答
す る ま での反応 時
間,
回答
側 が 記録
さ れ た。
な お,患 者 群
で は全
例 と も に 週 に2 〜3
回の外
来 理 学療 法
(関節
可動 域 訓 練
,
ス トレッチ,
動 作 指 導
など) を実 施
し た。
【
結
果】
理学 療 法
開始 前
の メ ンタル ロー
テー
シ ョ ン反 応 時 問では 患 側の方
が 健 側よ り も 有 意 に 時 閊 的 延 長 を 認 め てい た が,
肩 機 能 が 改 善 した 理学 療 法 終
ゴ時 で は 患 側 と 健 側の メン タル ロー
テー
ショ ン反 応 時 間の差 は 消 失 し た。
【
結論
】
こ れ らの こ と か ら,
運動
イメー
ジ想 起 能 力
は,
末 梢
の 運動
器の影 響 を受
けて変 化 す
るこ と が 示唆
さ れ た。
キー
ワー
ドメ ンタル ロ
ー
テー
ショ ン,
運 動 イメー
ジ,
肩 関 節 周 囲 炎緒
言
肩 関 節 周 囲 炎 は40
か ら60
歳 代 を 中 心 に 全 人 口の3−
5
% が 罹 患す
る と さ れ 1), 整 形 外科 外
来 に おいて は代
表
的疾 患
の・
つ と 言え
るc、
特
に,
明 ら か な受 傷 機
転
が な く 口 然 発 症 的 に 経 過 を 辿 るこ と が 多い た め,
発 症 直 後 に 受 診す
る 例 は 少 な く, 数 週 間 か ら 数ヶ月 経 過 し て受
診 す るのが一
般 的 で あ る。
主
症 状 と し て は 肩 関節
口∫動 域制
限,
疼 痛 が一
般 的であ り,
患 者の 多 く は,
この機 能 障 害 に よ っ て患 側 肢
の能 動 的 な運 動
を制 限
して し まう
。
これ を学
習
さ れ た不 使
用 という
2)。
つ ま り,
患 側 肢の運 動 に よっ *ReLationship
between Improved Shoulder Function
and MenLal
RoLaLion
in
PaLienLs
wiLh
Frozen
Shoutder
O
京 都 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科〔〒 60S
−
8507 京 都 府 京 都 市 左 京 区 聖 護 院川 原 町i3)Minoru Yamada
,
RPT: Graduatc Sehool of Medicinc.
KyotoIJniversity
2) 首 都 大学 東京
Takahir(,
Iliguti
,
PhD:Gruduate
to
T(,kyo
Patetropolitan
University 3)畿 央大学 健康科学部
Shu M〔}rioka
,
RPT
,
PhD: Faculty to Heulth Scien[:es
,
Ki〔〕
UnLversity d ) 先端医療センタ
ー
Takashi Kawachi
.
MD ;IBRI K〔}be#
E
.
mail :yamada @hs.
med.
kyoto・
LLac.
jp
〔受で」日 2008年4月28H /受理H 2009年5月16日) て
疼 痛
が 生 じる こ とを学
習 して し まう
と,疼 痛
を 予期
し て患
側 肢の運動
を 制 限 し て し まい,
結 果,
脳の可 塑 的 変 化 が 生 じ,
皮 質レベ ルでの感 覚 運 動 野の 領 域 が 減 少 して し まう
こ と に な る3 >。
運 動 イ メ
ー
ジの想 起
は,
あ た か も 実際
に 運動
し てい る かの よ う に,
心 的 に 運 動 を 思い浮 かべ る 行 為であ る4)。
先 行 研 究の 結果
, 運 動 イメー
ジを 想 起 して いる際
に は,
一
次
運動
野,
補
足 運 動 野,
運動 前
野 な ど 運 動 に 関連
す る 脳 領 域 が 賦 活 さ れ るこ と が 明 ら か と なっ た 5)。
しか し な が ら同 時
に,
運動
イメー
ジ を 止確
に想 起 す
る に は,
非 常
に 高い 運 動 イ メー
ジ 想起
能 力 が 要 求 さ れ ること も明 ら か と なっ た6 )。
こ の よ
う
な背 景
か ら,
運 動
イメー
ジ を想 起
さ せ る た め の より簡 便
な手段
と して,
身 体 部 位
の メ ンタル ロー
テー
シ ョ ンを用
い る試
みがお
こな
われ
てき
た。 メ ン タ ルロー
テー
シ ョ ンと
は,
コ ンピュー
タのディ スプ
レイ 上
に 回転
呈 示
さ れ た 図形
や文 字 を 心 的
に 回転 す
ること
で正 立 状 態
の 図 形 や 文 字 を想起
し,そ れ が 何であ る か を 同 定 し た り, 比較
刺激
との 異 同 を 判 断 す る もので あ る7)。
回 転刺 激
と し て,
手
の写 真 を利 用
し てメ ンタル ロー
テー
ショ ンを行
い , その最 中の脳 活 動 を 測 定 した結 果,一
人称
的 運 動 イ メー
ジの場 合
と 同様
,
脳の運動
関連 領 域
に活 動
が見
ら れ282
理 学 療 重去学 第36
巻 第5号醸
戀
蠏鑞
鞴 攤 鞭鍵
難
孚 背
゜
手
背
90
°攀 背
一
9
ぴ
孚 背
18
゜
手 掌
0
°拳 掌
goe
手 掌
一
go
°乎 攀
180
“ 図1 メンタ ルロー
テー
ショ ン課題 に 用い た写 真 こ こ では右側 だけのものを示して いる が,
実 験 で は 左 側の写真も含 め 計 ⊥6枚 を ラン ダムに表示 し た.
解 析 で は,
手 背と手 掌の 反応 時 間の平 均 値を採 用し た。
ることが わ か
った
8)9)。
こ の結 果 は
,
身体 部 位
の写 真 を
心 的 に 回 転 す る行 為
が,簡 便
に運 動 イメー
ジを想 起
させ る手 段 と
し て有
用 であ
る 可能 性 を示
し た。
Moseley
は,
難 治 性 疼 痛 患 者
の メ ン タル ロー
テー
シ ョ ン能 力
を 測定
し た 1 ω。
その結 果
,提 示
さ れ た刺
激 が 患 側肢
で あっ た場 合
,健
側 肢 で あっ た場 合
に 比べ てメン タ ル ロー
テー
シ ョ ンに時 閊 が か か るこ と が わ かっ た。
こ の結 果
は,
患 者
の メ ン タル ロー
テー
ショ ン能 力
を測 定 す
る こ とで,
学 習
さ れ た不 使 用
2)に よ る皮 質
レベ ル で の領
域減
少 を間 接 的
に評 価
叮 能である こと を示 唆
し た。
本 研
究
では
こ の研 究 成 果 を発 展 さ
せる
た め,
肩 関節 周 囲 炎 患
者
を対 象
と して,
Moseley
と同様
の メ ン タ ルロー
テー
シ ョ ン検 査 を実 施 し
たuさ
らに本研 究
で は,
メ ン タ ルロー
テー
シ ョ ン検 査 を 運 動 機 能
回復
のため の理 学 療 法 介 入
の前 後
に2
回実 施 し
,
運 動 機 能
回復
とメ ンタルロー
テー
シ ョ ン能 力
の 関連 性
につ い て検 証
し た。
方
法
1
.
対象
対 象
は,
肩 関 節 周 囲
炎 患者
60
名
(
年 齢
;55
,
8
±12
,
4
歳
,
日本 整 形 外 科 学 会 肩 関節 疾 患 治 療 成 績 判 定
基準 (
日 整 会 肩 基準
);65
,
2
±9
.
8
点)
とコ ン トロー
ル群 と して年 齢
を揃
え た健 常 者
60
名
(
52
.
7
±138
歳 )
であ
っ た。参 加 者
に は紙 面
および1
顧
に て十 分
な イン フ ォー
ム ドコ ンセ ン トを行
い,
署 名
に て同
意 を得
た。
なお,
明
ら かな石 灰 沈 着
や腱 板 損 傷 を認 め た 場 合
には除 外 対 象 と し
, さ ら に肩
関節
以外
に障 害
の ある場 合 や 両 側 罹 患 例,
神 経 系 に問
題のあ
る場
合
は 除外
し た。
な お, エ ディ ン バ ラ利
き手
テス ト1D に よっ て,
患 者 群
もコ ン トロー
ル群 も 全 例 ともラ テ ラ リテ ィー
係 数80
% 以 上の右 利 きで あっ た。
2
.
メ ンタル ロー
テー
シ ョ ン測 定
メ ン タ ル ロ
ー
テー
ショ ン測 定
に はパー
ソナル コ ンピュー
ター
を用
い ,独 自
にプ
ロ グ ラム し た ソフ トを
用いた。
ディス プレイ に右 手
,
左 手
の手 背 側
,
手 掌
側 が各
々時 計
回 り に0
°
,90
°
,−
90
°
,180
°
回転
して あ る写 真
,
計
16
枚
が ラン ダムに表
示 さ れ る(
図1
)
。
参加
者
に は,写
真
が表
示 さ れ る とで き る だ け 早 く 正確
に,
右壬
,
左手
に相 当 す
る ボ タン(
“
1
”
,
“
3
”
の ボ タン を佑 予
”
,
」
‘
左 手
”
に 改良 )
を押
して回 答 す
るこ と が求
め ら れ たポ
」
1
”
,
“
3
”
のボタ ンは,
そ れ ぞ れ右 示 指
,
左示 指
で押 す
こ と とした。
な お
,
ボ タンを押 す 肢 位
に よっ て疼 痛 が 生 じ
ることが な
い よう
,
椅 座 位
で両 肩 関 節 約
30
°
屈 曲 位
,
両 肘 関 節 約
60q
屈 曲位
で前 腕
は机
に接
し た状 態
と した。
さ ら に その際
,
実 際
に于 を動
か して 回答 す
ること
は認
めず
,
ま た,
自 身
の予 を 見
て 回答 す
ること も
でき
ない よう遮 断
し た。
最 初
の写真
は任 意
の タ イ ミング でス ター
ト(
Enter
)
を 押 すこ と で表
示 さ れ, その後 は 回答
ボ タンを押 す
こ と で次
の写真
が表
示 さ れ た。
な お,
ボ タンを押
してか ら次の 写 真 が表
示 さ れ る まで の 間 隔 は2
秒
で あっ た。
な お,
ボ タンを押 す
こ とで,
写 真
が表 示 さ
れてか ら回答 す
るま
で の反 応 時 間 (
1000
分
の1
秒
: msec)
,
回答 側
が記 録
さ れ保 存
さ れ た。
課 題
の教 示
に はマニ ュ ア ルを用
い て,
参 加 者全 員
に同
.
一
の説 明
を行
っ た。 なお,
患 者 群
で は,
こ の測定
を 理 学療 法 初 期 評 価 時
と最 終 評 価 時
の2
度 行
い,
コ ン トロー
ル群
で は1
ヶ月
の間 隔 を挟
み2
度 測 定
し た。
反応
時
間
の分
析 につ いて は,
誤 答 し た 試 行 を 除 外 し た。
これに よ り,
反 応時 間
は 正 しい回 答
を選 択 す
るのに必 要 な 認知 情 報 処
理 に 要 し た 時 間 を 反 映 し た。
な お,
解 析
に は同側 壬
で同
回 転 角 度 にある手背
側 と手 掌
側の平 均 値
を採 用
した。肩 関 節の機 能 改 善に伴い メ ンタルロ
ー
テー
ショ ン能 力 も改 善 する283
3
.
臨床 評
価測 定 項 目 は, 発 症 か ら
受 診
ま で に 要 し た期
間, 関節
可動
域であ る。
関
節
可動
域 測定
は,
日本 整
形外
科
学 会
お よ び 日本
リハ ビ リテー
シ ョ ン医学
会 が 推 奨 す る 測 定 方法
に準
じ.
東
大 式ゴニ オ メー
ター
を 用いて肩
関節
の屈 曲,外
転
,
第
1
肢 位 外 旋 を
測定
し た。
関
節
可動
域 測 定
は患 者 群
のみ と し,
理学 療 法 初 期 評 価 時
と最 終 評 価 時
の2
度 行
っ た。な
お,
測 定
は同
一
検 者
が行 う
こ と と し,
1
回の評 価
につ き各 方
向 2
回ず
つ計
測 し,
その平 均 値
を 採 用 し た。
4.
理 学 療 法
患
者 群 に実 施
した標 準
的 理学 療 法 (
約40
分
間)
と し て, 肩 関節
複 合体
の 関 節 可 動 域 訓 練, 肩 関節
, 体 幹 周 囲筋
の ス トレッ チ,
リラクゼー
シ ョ ン(
臥 位
や座 位 時
に肩
周 囲 筋の 緊 張 が 高 ま ら ない よ う,
背 臥 位 で あ れ ば 肩 甲 骨 と床
面の隙 間 に タ オルを挿
入 し た り, 座位
で あ れ ば クッ ショ ン を 両L
肢
で抱
か かえ
た り して接 触 面 積 を 拡 大
す る こ とで リラクゼー
シ ョ ン を 図 る とい うこ と を 指 導 〉,
動作 指 導 (
各
々の動作
で 疼痛
の有 無
を確 認
し, 疼 痛の無
い場
合には積 極
的に動 作 を 行い,
そう
でない 場 合には 疼 痛 が 生 じ ない よう
な動 作
を指 導 )
,
温熱 療 法 (
肩 周 囲 筋
へ のマイ
ク ロ ウ ェー
ブ)
を週
に2
〜
3
回
の頻 度
で行
っ た。 な お,
理学 療 法
の終
了基 準
は,
肩
関節
屈曲
,
外 転
の閾節 可動
域が共
に150
°
以 上で ある こ と,
結
髪動 作
,
結
帯 動 作
に制 限 が な
い こと,
.
日常 生 活
に全 く支 障 を 来 た
さ ない こと,
の全
てを満
たす 場 合
とし た。
5
.
統
計 解析
患 者 群
,
コ ン トロー
ル群,
そ れ ぞ れ に おい て,
介
入前
後 (
施 行 回 数 )
,
患健 側
(
左右 側 )
の影 響
,
回転 角 度
の影 響
を検 討 す
る た め,
3
要因
の分
散
分 析
を行
っ た。
多
重 比 較 にはRyan
の検 定 を 用い た。
ま た 患者
群 にお ける患側
の メ ン タ ル ロー
テー
シ ョ ン反 応 時 間
と各 指 標
との相 関
関 係
を検 討
し た。
統 計 学 的 有 意 水 準
は5
%未 満
と し た。
結 果患 者 群
にお け
る基 本 的 な 情 報
は表
1
に示 す
。
ま た,
両
群 に お け るメ ン タル ロー
テー
ショ ン反
応時 間
の結 果
を表
2
に示
す。
ま
ず
,
患者
群におけ
る分 散 分析
の結 果
を示 す
。介 入 前
後
の 主 効果
は有
意であり (
F
(
1
,
59
)
≡
13
.
455
,
p
;
O
.
OOO5
)
,
介
入後
に は 反 応時 間
の短
縮 が認
め ら れ た。
患健 側
の主効
果
も有 意
で あり
(
F (
1
,
59
)
=
45
.
097
,
p<0
,
0001
)
,
患 側
の反 応 時 間
は健 側
よりも延 長
して い た。回 転 角 度
の主効
果 も有
意であり (
F
(
3
,
177
)
≡
47
.
684
,
p <0
.
0001
)
,
回 転
角 度
が 増す
につ れ,
反 応時 間
の延 長
がみ と め ら れ た。
交
互 作 用
は,
介 人 前 後
と患 健 側 (
F
(
L59
)
=50,
867,
p
〈0.
0001
)
,
介 入 前 後
と 回転 角 度 (
F
(
3,
177
)
=
5
.
439,
p
=
O.
OO13
)で は有 意
で あっ た が,
患 健 側 と回 転角
度 (F
(3
,
177
)
=2.
532)
で は 有 意で は な かっ た。
ま た,
介
入前
後
,
患 健 側
,
回転 角 度 (
F
(
3
,
177
>=
3
.
039
,
p=
0
,
0284
) では,
有 意 な 交 互 作 用 を 認 め た。
つ ま り,
患 側で はす
べ ての回転
角
度 に おい て,
介
人前
では健
側 と比較
して有 意
な 時 間 的 延 長 を 認 めて い た が(
図2
)
,
介
入 後で は時 間
短 縮 し,
その よ う な 差 は 認 め ら れ な く なっ てい た(
表
2
)
。
Ryan
の事
後検 定
に よっ て,
回 転 角 度 依 存
的 に時 閊 的 延
長 を認
め た(
p〈0
.
05)
。
な お,
介
入後
に メ ン タ ル ロー
テー
シ ョ ン 反 応時 聞
が 延長
し た 症例
はい な かっ た。
次
に,
コ ン トロー
ル群
におけ
る分 散分 析
の結 果
を示 す
。施 行
同数
の 主効 果
は有 意
で はなく (
F
(
1
,
59
)
≡
0
.
615
)
,
施 行
回数
に よる差 は認
め な かっ た。
左 右 側の主効 果
も有
意
で はな く (
F
(
1
,
59
)
=0.
195
)
,
左 右 側
の差 は 認 め られ
な か っ た。
回転 角 度
の主 効
果 は有 意
であ り (
F
(
3,
177
)
=
119
.
862
,
p <0,
0001
)
, 回転 角 度
が増 す
につ れ, 反 応 時 問の延長
が 認 め ら れ た。
交
互作
用 は,
施 行
回数
と 左 右 側 (F
(1
,
59
)
=
1
.
254
),
施 行 回 数 と 同 転 角 度 (F
(
3
,
177
)
=
0
,
046
)
,
左右 側
と回 転 角 度 (
F
(
3
,
177
)
=
1
.
039
)
,
そ れ に施 行
回数
と左右 肢
と 回転 角 度 (
F
(
3
,
177
)
=
0
,
380
)
のそ れ ぞ れで有 意で は な かっ た。
つ まり
,
コ ン トロー
ル群
では,
施 行 回 数
や左 右 側
の影 響
は認
め ら れな
かっ た。 な お,
コ ン トロー
ル群で も,
患者 群
と同 様
に 回転 角 度 依
存 的
に時 間 的
延 長 を認
め た(
p
く0
,
05
)
。ま
た,
患 者 群
にお け
る罹 患 期 間
と0
°
,
90
’
,
180
°
囘
転
の反 応 時 間
では,
有 意 な
止の相 関 関 係
を認
め た。 ま た 表互 肩関節 周 囲 炎 患 者に おける理 学 療 法 前 後の機 能 評 価 理学 療 法 前 理学 療 法後 平 均 値 標 準 偏 差 平 均 値 標 準 偏差 理 学 療 法開始 までの期 間 理学 療 法を行っ た期 間 日整 会 肩 基 準 開 始 時 関節 可 動 域 曲 転 旋 屈 外 外 日 日 占…
( ( し O DO
( ( (91
.
7 65.
2 119.
993.
426.
5 77.
0
9.
8 18.
114.
323
.
2 120.
794.
5 157.
5154.
060.
7 50、
93.
8 7.
511.
210,
0 日整 会肩 基 準 :日 本 整 形 外科学会肩 関 節 疾 患 治 療 成 績 判定 基準284
理学 療 法 学第
36
巻第
5
号
表2
患 者 群,
コ ン トロー
ル群に おける メ ン タ ルロー
テー
ショ ンの反 応 時 間 介 入 前 (1st) 平 均 値 標 準 偏 差介入後 (
2nd
)
平 均 値 標 準 偏差 有意 差 患 者 群 患側O
°
患 側90
°
堪刔則一
90°
患 側180
°
健 側0
°
健 側90
°
健 側一
90
°
健 側 ]・
80e
コ ン トロー
ル群 右 側O
=
右t
則 90°
右 側一
gou
til
則 180°
左側 0°
左 側 90°
左 側一
gou
左 側 18e”
23202910232038631714205219212526
17161744163922431661178516292224
9882 ユ689822422442942825905
426652390
δ74439441448713 177217901764227417881875 上74422901751177016952253
⊥736182616992357 601562513840509578469487524463417766507400419620
**
**
* **
* 単 位は (msec ) 介入前 (1st
):患 者 群で は介入前,
コ ントロー
ル群で は1
回日 介入後 (2nd
):患 者 群で は介入後,
コ ン トロー
ル群では2回目有
意 差は介
入前 後の差 を 示 す.
* * p<
0
.
01
表3
肩関節 周 囲 炎 患 者に おけるメ ンタル ロー
テー
ショ ン反 応 時 間と各 指 標との赧 関 関係 0°
90°
一
goe180c
理学 療 法開始 まで の期 間0
.
268 * 日 整 会 肩 基準 0.
i30 肩 関 節 屈 曲角 度一
〇.
115 肩 関 節 外 転 角 度一
〇、
106 肩 関 節 外 旋 角 度 0,
183 * * 0.
408 0.
141−
0
.
246
一
α035
−
0.
351*−
0.
213−
O
,
341
*−
0214
−
0.
090 0.
135 * 0.
323−
0
.
238
−
0.
350 *−
0
.
148
−
0.
260 * * * ボ pく 0.
Olp
く0.
05 T°D°i6
°°°1
亶:
:
:
:
i
−:
:
:
:
1
1
鑿
i
ユo{]o∴
曇
1
0°
★t 90°
響螺
蠱 軸 磯 無 耄薑
毒 毒 瘻 艦竺
.
.
ご
融
・
goひ
竺
勲爨
鑢
蠶
180’
.
葦
圏患 側 ロ健側 図2
患 者 群の理学 療 法 前に お け る健 側・
患 側の メ ン タ ル ロー
テ
ー
ショ ン反応時
間 * *’
p<0
.
01
患者
群 の 理学療
法前
に おける健
側 と患側 の 比較
肩 関 節 屈 曲 角 度
で は90
°
と180
°
,
肩 関 節 外 転 角 度
で は90
°
,
肩 関 節 外 旋 角 度
で は180
°
と,
そ れ ぞ れ有 意
な負
の相 関 関係 を 認
め た(
表
3
)
、考
察
肩 関 節 周 囲 炎
患者
で は,
提 示
さ れ た刺
激 が 患 側肢
の写
真
であっ た場
合,
健
側 肢で あっ た場
合に比べ て有
意 にメ ンタル ロー
テー
シ ョ ンの反 応 時 閊
が延 長
し た。 こ の傾 向
は,
回 転 角 度
が90D
や180D
と大 き
かっ た場 合
に特
に顕
著
であ
っ た。実 験 中
,
参 加 者
は自分
の腕
を 回転
し なが ら,
呈 示
さ れ た刺 激
の 回転 角 度 を 判 断 す
る ことは禁 止
さ れた
。
従
っ て,
反 応
に要 し た時 間
に は,
患 側 肢 を動 か す
こ と に伴 う 身体 的
な要
因で はなく
,刺 激 を心 的
に 回転
させ る こ と に伴 う
認 知
的 な要 因
が影響
し てい る。
患
側肢
の写
真
に対
して反応 時 間
が有 意
に長 く
なっ た という
本 研 究
の結 果
は,
患 側 肢
の写 真
を 心的
に回 転
させ るこ と が,
肩 関
節 周 囲炎 患 者
に とっ て困 難
であ
るこ と を示
してい る。 こ の結 果
は,
末 梢
の肩 関 節 可 動 範 囲
の減 少
や疼 痛
が,
運動
イ
メー
ジ という認 知 的 な 問題
にま
で波 及
して いる ことを
肩 関節
の機能
改 善に伴
い メ ンタル ロー
テー
ショ ン能力
も改 善す
る 285示
唆す
る。
さ らに
本 研 究
で は,
理学 療 法
にと も なう
肩関 節 機 能
の改 善
に伴
っ て,
患 側 肢
の写 真
に対 す
る メ ン タ ルロー
テー
ショ ン の反 応 時 間 が
,
健 側 肢
の写 真
に対 す
る反 応 時 間 と
同程 度
にまで回復
する こ とを
示 した。
この結
果は,
理 学療 法
が肩
関節
の可動 域
,機 能
の改 善
といっ た運 動 機 能 面
の 回復 だ
け で なく
,
認知 機 能 面
の囘復
ま で貢 献
しう
るμ∫ 能 性 を 示 し てい る。
運 動機
能 面 が 回 復 す れば,
患 側 肢 で の能 動 的
な 運動 機 会
が増
える た め,結
果 とし て患 側 肢
の 認知
や制 御
に か か わ る感 覚
運動
野へ の感 覚
入力
が増 大
し,
認知 機
能 回 復 に 寄 与 す るの か も し れ ない。
メ ン タ ルロ
ー
テー
ショ ン の反応 時
間と罹 患 期
問,
お よ び 関節
可動
域の 関係
を相
関分 析
に よっ て検 討
し た結
果,
反 応 時 間 は 罹 患 期 間 と は 正の相 関 関 係 に あ り, 関 節 可 動 域 と は負
の相 関 関 係
に あ るこ とが わ かっ た。
す
な わ ち,
罹 思
期間
が 長い ほ ど,
ま た関
節
口∫動
域 が 小 さい ほ ど,
メ ンタル ロー
テー
ショ ンの所
要 時 間 が 長く
なっ た。
こ の結
果
は や はり
,
患 側 肢
に対 す
る運動 機 能
と認 知 機 能
との問
に対 応 関 係 が あ
る という本研 究
の結 論 を支 持 す
る。患 者
群
にお ける患 側
の理 学療 法 介
人前
にお ける患 側
の 反応 時
聞の標 準 偏 差
は,
他
の標 準 偏 差 と比 較
し ても顕 著
に大 き
く
,
分 散
が大 き
かっ た。
理 学 療 法 前
に は,
罹 患 期 間
の程
度 や肩
関節
の症 状の程 度も様
々 であ り, この よう
な影 響
を 受 け
て メ ン タ ルロー
テー
シ ョ ン反 応 時 間
の分 散 も大 き
く
なった も
のと考 え
ら れる。
回
転
し て あ る手
の写
真
と 同 じよう
な位
置 に自身
の予 を
動 か す た め に は, 肩 関節
の運動
が 必須
と な る。実 際
, コ ン トロー
ル群で も 回転 角 度
が 大 き く な るにつ れ,
反 応 時間
の延 長
を認
めており
,
これ は肩 関 節
の運 動 も大 き くな
るた め と考
え ら れる。Schwoebel
ら は,
手 部
の難 治 性 疼
痛 患 者
を対
’
象
に,
本 研 究
と同 様
に回転
してあ
る手
の メ ン タ ルロー
テー
シ ョ ン反 応 時 間 を 測 定 し
た12)。そ
の難 治
性 疼 痛 患 者
に お け るメ ンタルロー
テー
シ ョ ン反 応 時 間 と
本 研究
に お け る肩
関節
周 囲炎 患 者
との結 果を
比較 す
る と,肩
関節
周 囲炎患 者
の反応 時
間の方
が 顕著
に時
間的
延長 を 認
め てい る。
こ の こと
は,
手
の メ ンタル ロー
テー
シ ョ ンに は 手 部・
手 関 節の運 動 イメー
ジ よ り も肩 関節
の運 動 イメー
ジ 想 起 が 必 要 で あ る という前
述の説 明 を 支 持 す る。
本 研 究で明 ら か と なっ た 患 側 肢 に 対 す る 認 知 機 能 面の問
題 は,
脳
の レベ ル の冏 題
,す
な わ ち末
梢
の肩
関節
町動
範
囲の減 少
や疼 痛
に よっ て,
患
側肢
か らの入力
に応 答 す
る感覚
運 動 野 領 域の活 動 が 低 下 し たこ とに起 因 して い る か も し れな
い 3)。も
しこれ が 正しけ れ
ば,
同転 刺 激
に対
す
る時 間 的
応答
を皮 質
レベ ル で測 定
した場 合
,
反 応 時
問 と同様
,患 側 肢
に おい て遅 延す
るこ とが 予 測 さ れ る。
事
象 関 連 電 位 を用
いれば
,皮 質
レベ ルでの時 間 的 応
答特
性
を詳
細 に 分 析 す るこ とが 可 能 で あ る。
今 後 はこの よ う な測 定 も
取
り
入 れ ること で,患
側肢
に関 す
る認
知
的 情 報 処
理 や その背
景 に あ る大
脳皮
質の活 動 につ い て,
詳
細 な検
討 を 行 う必 要 が あ る。
結
語
本 研
究
は,
整 形 外科
的 疾 患の よ う に 末 梢の運 動 器 官 だ けに問
題 が ある よう
な患 者
であっ て も, 二次
的 に 運 動 イ メー
ジ想 起
という
認知 機 能
に影 響
を 及 ぼ す か も し れ ない という
問 題 を 提 起 し た。
ま た, 理学 療 法
に よっ て運 動機
能
だけ
で なく
,
メ ン タル ロー
テー
ショ ン反
応時 間
まで改
善
してい た こ と か ら.
運動
イメー
ジ想 起
は末 梢 運 動 器 官
の影 響
を受 け
る こ と が示 唆
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<Abstract>
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Improved
Shoulder
Function
andMental
Rotation
in
Patients
withFrozen
Shoulder
Minoru
YAMADA,
RPT
Graduate
School
ofMbdieine,
Kb,oto
Universily
Takahiro
HIGUTI.
PhD
Graduate
to
lbkyo
Mletrqpolitan
Uhiversity
Shu
MORIOKA,
RPT,
PhD
17Zicugty
toHbalth
Scienees,
Kio
University
Takashi
KAWACHI,
MD