理学療 法学 第 17巻 第 1 号 31
〜
37頁 (1990年 )報
告
脳 性
麻
痺者
に
お
け
る
姿 勢
反
射
と
脊
柱
側
彎
の
関
係
、
に つい て
*新 田
収
1 )申
嶋
和
夫
2)』
要 旨 本研究において は,
痙直お よ び痙直一
ア テ トイ ド型の脳 性 麻 痺 者56名 を対 象に, Cubb 法で得られ た 彼らの脊 柱 側 彎の程 度と姿 勢 反 射 (非対 称 性 緊 張 性 頸 反 射,
まきも どし反 応,
上肢 保護伸展反応) お よ び年 齢 成 分の関 連 を 準 縦 断 的 な デー
タに も とつい て分 析 した。
その結 果,
姿 勢 反 射の獲 得水 準が低V{ものほど脊 柱 側 彎の程 度が重 篤で し か もその重 篤 度は年 齢と と もに高くなること が明らか に さ れ た。
な お, 上肢 保護伸展反応を有するものに おい て は,
脊柱側 彎は観 察され なかっ た。
キー
ワー
ド 脳 性 麻 痺,
脊 柱 側 彎,
姿 勢 反 射1
.
研 究 目 的 従前の研究によれet
:’
脳性麻痺 者 (児 )に脊柱健彎が 多 発 するこ と (Robson,19681
) ;Balmer
&MacEwen
,1970M
:村地 他, 19713
>:寺 沢 他, 19724
);Rosentha
!,
et al.
, 19741 ) ;深 瀬 他,
197S61),
また 脊 柱 側 彎の発 現 頻度や その 程 度は運 動 機 能 障害の 種類や 運 動 能 力 と密接 に関連し ていることが報 告 さ れて い る (広島他,19727
) ;Samilson
,
1973st; Madigan &Wallace, 19819
);篠 崎他
,
198310) ;岡村他198511
);市 川,198512
,)。
ただ し,一
般的に運 渤 能 力と密 接な関 係に あ るとされて い る 姿 勢反射に関し て は, 脊柱側 彎との 関連性を否 定 的にあ つ かっ てい るもの と (村 地他,19713
);寺 沢 他,19724
) ),
肯 定 的にあつ かっ て い る ものに 分か れてい る (Bleck,
1975
エ3) ;深 瀬 他, 19766 } )eなお
,
脊 柱 側 彎と年 齢 成 分≧
の関係につ い て は,
年少 老よ りも年長者に脊柱 側彎の発現頻度が高く,
ま た その 程度も年 長者によ り重 篤 な ものが多い と報 告されて い る (RobSon,1968D
; 深瀬他,19756
);荻 野, 198314 ) ;* Prognosis on sceliosis in cerebral palsy
.
1 )東 京都 府 中 療 育セ ン ター
−
Osamu Nitta
,
BA,
RPT :Metropolitan,
Medical Cen.
ter for the Severely Handicapped.
2 )東 京都 心 身障害者福祉セン タ
i−
Kazuo
Nakajima,
MA.
、
C購 Worke エ.
&Psycho.
logist
:Multi
亠
Handicapped,
Children’
.
Section at the TokydMetropolitan Rehabilitation Center for the Physical
−
1y and Mentally Handicapped
.
(受付日 1989年4月13日) 市 川
,
19851M)。
し か しな が ら,
経年的には どの ような プ ロ セ スを 経て脊 柱 側 彎 が 変 化し てい くもの なの かとい う ことに つ い て は ほ と ん ど報告がみ られず,
このことにつ い て は市川 (1985)12}が12例の準 縦 断 的デー
タを 報 告し て い る にす ぎない。
そこ で,
本研究におい て は, 脳性麻痺者を対 象に姿勢 反射の獲得水準と脊柱側彎における角度の関 連 性 を 分 析 し,
加 えて経 年的に は脊 柱側彎が どの よ う な変化傾向を 有するのかとい うこ とにつ い て分 析 することに し た。H
.
研 究 方 法 対 象 :研 究 対 象は,
都立○○セ ン ター
に入所申の脳 性 麻痺者56名 となっ てい る。
こ れ ら対象の運 動 機 能 障 害の 内訳は,
痙 直型36名 (四肢麻 痺25名,
両麻痺4 名,
片 麻 痺7
名)および痙 直一
アテ 1・
イ ド型20名(四肢麻 痺20 例 )
・
となっ て いる。
手続き :X 線に よ る撮 影は全 例とも
,
医療スタ ッ フと の協 力の もと で背臥位に て実施し,
側彎の計 測は Cobb 法 (熊野,
1981)15〕を採用し てその 角度をも とめた。姿勢 反 射の獲得 状 況は3種類
,
すな わ ち非 対 称 性 緊 張 性 頸 反射 (Asymmetricahonic neck reflex),
まき も どし反 応 (Derotative reaction ),
上 肢の保 護 伸 展 反 応 (Forward
parachute reac’
tion) をと りあ げ,
ミ ラニー
他 (1967)博.
の手 技に従って検査し、
た。
なお,
姿 勢 反 射 の獲 得水 準に関して は, 上 記の 3つ の 反応の有 無を発達 的 な 観 点か ら順 序づけ (表 1),
「1
群」(非対称性緊張 頸反 射が陽 性で,
これ よ り高次の姿 勢反射が獲得 さ れて32 理学療法学 第17巻第 1号 衰 1 姿 勢反射の獲 得 水 準に関する分 類 基 準 反射
網
ANTR *DR
* *PARACHUTE
* ** 1 十 1 十 十 皿 a一
−
D 十 十 十 十 十* :Asymmetrical tonic neck reflex
**
:
Derotative
reaetion*** :Forward parachute reaction
いない群)
,
「[群t
(非 対 称性緊張性頸反射と まき も どし 反 応が陽 性で上肢の 保護 伸展 反 応 が陰性の群),
「皿群」 (上肢 保 護 伸 展 反 応 陽性 群 )に分 類し た。 対 象56名のデー
タはすべ て準 縦 断 的な デー
タ (検 査 閥 隔に関わ りな く少な く と も2回以上の検 査が な さ れてい るデー
タ)と なっ て いる が,
その中で脊柱側彎の計測が 2回のみのものは35名,3
回のものが9 名,
4回が7 名,
5
回 が 5名 となっ てい る。
これ らを横断 的 デー
タ として み るなら,
総数で150個となる.
た だし,
姿勢反 射に関し て は 2回 以 上の検 査が なされて い た の は56名 中31名と な っ て いるD 皿.
研 究 成 績 1.
姿 勢反 射の経 年 的変 化につ い て 姿 勢 反射と脊柱側彎の関係を分析 するに先 立ち,
姿 勢 反 射の経 年的変化につ い て整理 し た。
姿 勢反射の経 年 的 な 変化は,
姿 勢反 射 検 査が少な く と も 2回以上 な さ れて い た31名を対 象に,
初回 と最 終回 の結 果を用い て分 析し た。
31例の姿 勢 反 射 検 査 時の年齢は, 初回年齢の レインジ が3歳か ら36歳で平 均IL7 歳 (SD;9.
1),
最終年 齢の レ インジ21歳か ら56歳で平 均29.
3歳 (SD=9.
5),
初回と最 終回の間 隔はその レインジ が3
年か ら20
年で平均17.
6年 (SD =
3.
7
) と なっ て い る。
結 果は, 生活 年齢が3 歳を過 ぎた時 点で得 られ た姿 勢 反射の獲得水準が,
成人後におい て も変 化し て いない こ とを 示していた、 し たがっ て,
以 下の分 析において は対象の姿勢 反 射の 獲 得 水 準に注 目 し,
その 群ごと に年 齢成分と脊 柱 側 彎の 角 度が どの よ うな関 係にあ るか とい うこ と を 分析 する こ とに し た。 2.
姿 勢 反射の獲得水準別にみ た年 齢 と脊柱側 彎の関 係 図一
1は,
姿 勢 反 射 獲 得 水 準 別にみ た 年 齢階層 ごとの 脊 柱 側 彎の程 度を平 均 値で示し た もの である。
各姿勢 反 射 群に おける年 齢 階 層ご との平 均 年 齢に関し て は,
「10歳 未 満 群 」 (「1群 」の平 均 年 齢6,
7歳, SD・
=
L9,
rH
群」5.
5 歳,SD =
2.
2
, 「皿群」6。
4 歳,
SD
= 2.
4)と 「10歳〜
20歳 未 満 群」(「工群」の平 均 年 齢 15。
2 角 度 ユ60 140 12G 100 80 60 40 20 Q 10 年 20 齢 3e 40 図1
各 年 齢 層に おけ る脊 柱 側 彎平均値脳性麻痺 者に おける姿 勢 反 射と脊 柱 側 彎の 関係に つ い て 33 歳
,SD ,
=
2、
7,
「H 群」14.
3歳,
SD =3.
7,
「皿群」13.
8 歳,
SD=
3.
工)に お い て は統 計 的に有 意な差は み ら れ な か っ たが, 「20 歳以 上群.
」の場合は,
「1群一
1
(平 均 年 齢 23.
7歳,SD =3,
7)と 「H
群」 (平 均年齢24.3
歳,
SD =
=
3,
2)の間に有 意 差はなく,
「HI群」は飽の 2つ の群に比 し て高い平均年 齢 となっ ていた (平均 年 齢35・
4・
lt
,
SD=
10.
5)。
な お,
各反 射群に注口 す る な ら,
3つ の年 齢 階 層で統計的に明か な年 齢 差が認め られた。
姿 勢 反 射の獲 得 水準が 最 も低い水 準に あ ると評 価 され た 「1
群」18名の準縦断的な デー
タ は,
横断 的 デー
タと してみ る なら67
個と なっ てい る。 これら をベー
スに, 年 齢階 層別に得られ た脊柱側彎の平 均角度を比較し て み る と,
統計的に は明か な差 がみ られた (表一
2)。
す な わち,
「1群 」におい ては,「10歳 未満群」で脊 柱 側 彎の平 均 角 度は32.
4 度 (SD =
18.
4),
「10歳〜
20歳未満群」は75.
8度 (SD 一 27.
3),
「20歳以 上群」101.
5度 (SD = 22.
7) と な っ て おり, 年 齢が高 くなる ほ ど脊 柱 側 彎の程 度が重 篤に なろ こ とが推定さ れた。
ただ し,
平 均 角 度 が 年 齢 と と も に明らか に増 大し て い くにもか か わ らず,
標 準 偏 差にお い て は年 齢 階 層 「/0歳 未 満 群 」から 「10歳削
20歳 未 満 群 」 にか け て増大 し,
その後 「20歳 以上群 」で や や減 少 して いるこ と か ら,
「1
群 」における脊柱側彎の 重 篤化傾 向は年 齢と ともに一
様に進行し てい く もので は な く,
思 春 期に よ り増 大しやすい傾 向を持っ て い るこ とが示 唆さ れた。 姿勢反 射の獲得水準が 「矼群」 に属して い た12名,
延 べ30
飼の横 断 的デー
タにおける脊柱側彎の 角度と年 齢の 関係は,
「1
群」 と同様に,
年 齢 が高い ものは若年の もの に比 して脊柱側彎がよ り重 篤なことを示し て いた (表一
3)。
すな わ ち, 「H群」に お い て は,
「10歳 未 満 群」で脊 柱 側彎の平 均角度は7.
8度 (SD ;・
9・
0),
「玉0歳〜
20歳 未 満 群 」 は42、
2
度 (SDL18.
2),
「20歳以 上群」72.
5 (SD =
14,
2)とな っ てい た。
ま た,
標 準蝙差に おい ても年 齢 階 層 「10歳 未満群」 か ら 「10歳劇
20 歳未満群」にか け て増 大し, その後 「20歳 以上群 」では減 少し てい るこ と か ら,
脊 柱 側 彎の 「H
群 」における変 化 傾 向も 「1
群.
1
と 同様 と推 定さ れた。
なお,
姿 勢 反 射の獲 得 水 準がrm
群」に属す る もの26 名,
延べ 53個のデー
タ におい ては 「10
歳未満群 」で脊柱 側彎の平 均 角 度が2.
0度 (SD=
4.
5),
「10歳 以 上20歳未 満 群」0.
G度 (SD=
0.
0),
「20歳以一
ヒ群J
O.
7 (SD=
3.
0) となっ て お り, 年齢と脊柱 側彎の角度との間に統諭的 な 差は み られな か っ た。
換言する な ら,
こ の 反 射群におい て は脊 柱 側 彎 が 年 齢と ともに進行 す るもの で はない こ と が推定さ れ た。
表 2 姿勢反 射 「1
群」にお け る脊 柱 側彎の年 齢差 に 関する分 散 分 析 変動 因 平 方 和 自 由度 平 均 平 方 F 全体 80488,
466
級 問 (条件差)43285.
5 2 21642,
8 37.
23* 級内(個 体 差 )37202.
9
64
581.
3
* P<0.
01 表 3 姿勢反 射 厂H群 」における脊 柱側彎
の年 齢差 に関 する分 散 分 析変動 因
平方 和
自 由 度
平 均 平 方
F 全体
24707.
529
級問 (条件 差 )18821、
42
9410.
7 43.
17* 級 内 (們 体差 ) 5886,
ユ 27 218,
0 * P <0、
01 表4
年齢 階層 「10
歳未満 群」にお け る脊柱側彎の 姿 勢 反 射獲得水準に関 す る 分 散 分析 変 動 因 平 方 和 自由 度 平 均 平 方F
全 体 11398.
7 28 級 問 (条 件 差 ) 5167.
4 2 2582.
7 1e.
78* 級 内 (個 体差) 6231.
3 26 239,
7 *P
〈0.
01.
表5
年 齢階層 「10
歳〜20
歳未 満群」に お け る脊柱 側 彎の姿 勢反射 獲 得 水 準に関 する分 散 分析 変動 因 平 方 和 自由 度 平 均 平 方 F 全 体 77283,
9
52 級間 (条 件 差 )51452.
1 2 25726.
1 49.
80* 級 内 (個 体 差 )25831.
8 50 516,
6 * P <0、
01 表 6 年齢階層 「20
歳以 上群 」における脊 柱 側彎の 姿勢反 射獲得水 準に関 する分散 分析 変動因 平方 和 自由度 平均平方F
全 体 146939,
067
級 間 (条件 差 )135526,
0 2 67762,
8385.
91s・
t 級内(個体 差) 11413、
6 65 175.
6 *P
<0.
01
表一
4〜6
は, 各年 齢 階 層に おける, 姿勢 反射の獲 得 水 準と脊 柱 側灣の平 均 角 度を比 較し た もの である。
結 果 は年 齢 階 層 が 同じ状 態にあっ て も, 獲 得 されて い る姿 勢 反 射 水 準 が 異な れ ば,
脊柱側 彎の角 度にも 明 らか な差が 生じ る こ とを示し て い た。
すなわ ち,
年 齢 階 層が 「10歳 未 満 群 」において は 「1
群 」の脊 柱 側 彎に関 する平 均 角 度は32、
4度 (SD =18.
4
, n=18
), 「H
群」は7.
9度 (SD=
9.
O,
n = 6 ),
「皿群」は2.
O度 (SD = 45,
n=
5)と なっ て お り,
ま た 「10歳〜
20歳 未 満 群」に おい て は 「1
34 理 学療法 学 第 17巻 第 1号 角 度 160 140 120 leo 80 60
・
40 20 0 0 10 20 3 年 齢 図2
脊 柱 側 彎の経 年 的 変 化 (正群 )一
次回帰 直線 40 角 度 ユ60 140 120 100 80 60 40 2D 0 10 2Q 30.
40 年 齢 図 3 脊柱 側 彎の経年 的変化 (H群 ) 群」の脊 柱 劇 彎に関する平 均角度は75.
8度 (SD =
27。
3,
度 (SD =
14.
2,
n=
15),
「IH群」は0・
7度 (SD =
2・
9,
n=
=
32),i1
ll
St
」 は42.
2度 (SD =
18.
2,
n=
9),
「皿 11=36
)と なっ ていた。
こ の こ とか ら, 同じ年 齢 階 層に 群」は0.
0度 〔n=
12)で,
「20歳以 上群 」 の堤合は,
あっ ても,
姿 勢 反 射の獲 得 水 準が低い ものほ ど脊 柱 側彎 「1
群」101.
5度 (SD 漏 22.
7,
n = 17),
「H群」 は72.
5の程度が より重 篤になる こ と が明らか1こさ れ た
。
脳 性麻 痺者に おける姿勢反射と脊柱側彎の関係につ いて 35 図
一
2は,
姿 勢反射の獲得水 準 が 「1
群」 に属して い た18名の脊柱側 彎に 関 す る経年 的 変 化 を 示 し たもの であ る。 こ の準縦断 的なデー
タ を横断 的デー
タ と し た ときの 年齢と脊柱側彎の角度に関する相関を一
次回帰.
対数回 帰,
2次回帰で求めた とこ ろ一
次回帰 直 線と2次回帰 曲 線に お い て高い決 定 係 数が得られた。
Fllge
」の12名にお いて も (図一3
),
年 齢と脊柱側彎の角度との間におい て一
次回帰直 線と2次凹帰 曲線で高い決 定係数が得 られた 。 なお,
「K【群」は 準 縦 断 的なデー
タ に お い て も脊 柱 側 彎が年 齢との関係で変 化 するこ とが ほ と ん ど無い こ と が 明 らか に された。 以 上の こと を要 約 する な ら,
本 研 究で対象とし た よ う な痙 直お よ び痙 直一
アテ トイ ド型の脳 性麻 痺 者におい て は,
脊 柱側彎の 角度が年 齢 と ともに姿 勢 反 射の獲得水準 と密接な 関 連 を有しな が ら,
し か も思 春 期か ら成 人 期に や や 伽速化された形で重 篤 化し てい くことが 明らか にさ れた。
IV.
考 察 本 研 究におい て は,
痙 直お よび痙直一
アテ ト イ ド型の 脳性麻痺 者を対象に姿勢反尉と脊 柱 測 彎の関連 性を分 析 し,
加えて経 年 的には脊 柱 側 戀の程度がどの様に変化し てい くものなのか とい うこ とについ て分析し た。 従前の研究を見て み る と,
姿勢反 射 と脊 柱 側彎との関 連性につい て は, その関係が否 定的である とい う見 解と (寺 沢 他,
19724〕 ;村地他, 19713 ))。
肯定 的な見 解に分 か れ て い た(Bleck
,
197513〕 ;深 瀬 他,1976G
))。これ らの研 究は 共 通し て 非対称 性 緊張 性 頸 反射や ギャ ラン ト反 射と脊柱 側彎の 左右 差の 問題 を検討 したもので
,
必 ずしも脊 柱 側 彎の 角度との関 連を扱っ たもの で はな か っ た。
た だ し,
従前の脊 柱 側 彎 と運動 能力た と えば移動 能力や姿勢維 持 能 力との関 連を扱っ た報 告に よれば,
そ れらの獲得水準が低い ものほど脊柱側彎の程度が重度で ある と指 摘されて お り (Samilson,
19738) ;広 島他, 19727〕 ;篠 崎他,
19831e) ;岡村他, 198511
) ; 市川,
1ggslz> ),
こ の ことは姿 勢 反射の獲得水準が 低いものほ ど 重度の脊 柱側 彎を 呈 する ことを示 唆する もの であっt 。
こ の ようなこ とを 背 景に
,
本 研 究にお い て は,
姿 勢反 射 と脊 柱側彎の角度 との間の関 連性につ い て分 析したわ けであるが,
結 果は姿 勢 反 射の水 準 と脊 柱 側 彎の角 度と の 問に密 接な関係がある ことを示し てい た。
す なわ ち,
対象がほぼ 同様の年 齢 層にある な ら姿 勢反射の獲 得水準 が 低い ものほ ど脊 柱 側彎の程度 が重 篤 な傾向を 持つ こ と が 明らか に された。 こ の点を さらに年齢 成 分を考慮し て 分析し た結果, 姿 勢 反射の 獲得水準が低い もの ほど早い 速 度で脊 柱僻灣 の角度が重 度 化し て い くこ とが 明ら か に された。
ただし,
上 肢 保 護伸展反応を有するもの は, 年 齢と ともに ほ とんど脊 柱 測 彎が 進行し ない こと が 明 らか にされた。
換 言 するな ら,
従 前は, 脊柱側彎と年 齢成分 との関係に関し て は,
年少者よ りも年 長者に脊柱側 彎が 多く,
ま た その程 度も 年 長 者に よ り璽度の者が多い と報 告さ れ てい るが (Robson,19681
) ;深 瀬 他, 19756};荻 野,
198314>;市川,
198512〕 ), 本 研 究において は,
単に 年 齢 成 分の みならず,
姿 勢 反射の到達水準 も脊 柱 側 彎の 程 度に関 与してい ること が明らか に された。
た だ し,
脊 柱 側彎は生理的に はある限界 点 を有してい ることか ら,
どの よ う なものに とっ て も一
様に年 齢と と もに無 限に拡 大し てい くもので はな く,
姿勢反 射の 獲得 レ ベ ル が 低い ものほ ど よ り早期にプラトー
に到 達 するよ うな傾向で,
しか も思春 期に よ り加速 化される かた ち で 進 行して い く傾向を持っ て いるこ とが明らか にさ れ た。
こ の 点につ い て は,
市川 (1985) も同様な報 告を行っ て い るこ とか ら,
予 測 曲線の確立のた めには→
次直 線より も, 対 数 関数も し く は2次 曲線がよ り自然な関数を導串 し てくれること を示 唆するもの であっ 把 が,
事 実, 2 次 曲 線の決定係 数は高くよ り自然 な 姿 を 反 映し ていた。
本 研 究に お い て は,
例数の関係か ら得られ た関数の一
般 化 に はや や 難 点がある ものの , 今後, 脳性麻 痺 者における 脊柱側彎の予後を よ り客観的に予 測 するため には, ある 年 齢に おける脊 柱側彎の角度その もの と姿 勢 反射成分の ふたつを考慮し な’
け れ ば な らな い ことを示 唆 するもので あっ た。
ただ し
,
姿 勢反射成 分を脊柱 側彎の角度の予測要 因と する際の問題は,
この成 分がい つ の時点で固定 的な傾向 を持つ ようにな る か とい うこ と に な ろ う。 こ の点につい て,
従 前の研 究は,
「痙 直」の傾向を有 する脳 性 麻 痺の場 合は 生活 年齢 が2歳を過 ぎる と姿 勢 反射の高 次化が起こ らない ことを示して いた (申 嶋他, 198117 〕 ;Molnor,
19761sり。
つま り, 姿勢反 射に注目する なら,
脊柱 側 彎の 発現と将 来どの様な速 度で脊柱 側 彎が重篤 化し て いくか とい うことがか な り早期に予測できることが想 定され,
し た がっ て,
こ の ようなこ とが今 後とも検 討される な ら 外 科 的な 手術や装 具等に よ る 治 療効渠 (五味,
197610) ; 寺沢20} ;油 川 他,
198821)) が 客観的に判断されやす くな る もの と言 え よ う。
ま と め 本研究に お い て は,
痙 直お よ び 痙 直一
アテ トイ ド型の 脳性麻 痺 者57名を対象1
こ,Cobb
法で得られた彼 らの脊 柱側彎の程 度と姿 勢 反射お よび年齢成分の関連につ いて36
理 学 療 法 学 第17巻 第1 号 分析し た。 その結 果,
.
次の こと が 明 らか に さ れたe 1) 同じ年 齢 層ならぼ姿勢反翁の獲得 水 準が低い もの ほ ど脊 柱 翻 彎は重 篤 化 傾 向を もち その傾向は高 年 齢にな.
ればな る ほ ど明 らか であっ た。
2) ま た 年齢に と も な う脊 柱 側 彎の重 篤化傾 向は姿 勢 反 射の獲 得水 準が低い ものほ ど よ り早 く進 行 するこ とが 明 らか にさ れた。
3) 上 肢保 護 伸展 反 応 を有 する もの に お い て は, どの 様な年 齢階層において もほ とんど脊 柱 側彎は観察さ れ な かっ
’
た。
以上の こ とか ら,
脳性麻痺 児における脊柱 側 彎の予 後 を よ り客 観 的に予 測 するため に は,
あ る 年 齢における脊 柱 側 彎の角度と姿勢反射 成 分が考 慮 され なけれ ばな ら な 1い こ とが 示 唆さ れた。
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Multi-Hlandicapt}ed
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Section
at the MlatropolitanRehabilitationCeneer
fbr
thePhs,sically
Handicapt)ed
In this study, 56patientswith cerebral palsy
(spastic
type, and rr}lxed type of spasticity and athetesis) were exarpinedfor
evidence of scoiiosis. Their curves were measured by the Cobbmethod. The results were analyzed to obtam, the relations
between
thedegree
of the seoliosis andthe postural refiex, and
between
thedegree
of the scoliosis and age.As a result, the
following
became
clear..
1) The
lower
developmental
level
of posturalTeflex the patientsshowed, the severer thedegree
of the curves tended to
be
in
same agebracket.
This tendency was rnore evidentln
older agegroups.
'
2) Development of scoliosis wlth age was clearly
faster
when thebatients
stayed at th6lower
developmental
level
of postulalrefiex,3) Few scoliesis were
found
inthe patlentspossessingparachute reaction mechanism,