作業学習(さをり・手工芸) 学習指導案 指導者 広島県立広島特別支援学校 教諭 松原 実里 (T1) 教諭 沖元 美稚子(T2) 1 日時・場所 平成 27 年9月 28 日(月) 11:00~11:50 さをり・手工芸教室 2 学部・学年 高等部 第1学年 さをり・手工芸グループ(Ⅱ類型 女子2名) 3 題材名 計画を立て,販売する製品を作ろう 4 題材設定の理由 ○ 生徒観 本作業グループは,肢体不自由と知的障害を併せ有する女子生徒2名で構成されている。 生徒Aは,てんかん及び脳性麻痺による体幹機能障害を有している。左半身麻痺があるが 日常生活のほとんどの活動は自力で行うことができる。上肢に関しては,左手の指が動きに くく,手を使う活動は主には右手で行い,左手は押さえや支えとしてのみ使用している。本 人は「左手をもっと使えたら良い」という思いがあり,これまでの作業学習では「左手を使 う」や「丁寧に作業をする」を個人目標にしている。さをり織りやロックミシンを使用した 授業では,無意識に右手のみで作業をすることが多いので,左手を使うように言葉かけをし ている。下肢に関しては, 左足にも麻痺があるが手すり等を使わずに歩行や階段の昇降がで きる。 コミュニケーションに関しては,言葉でやり取りをすることができ,言葉での指示も良く 理解することができる。さをり織りでは,生徒Bとペアになって作業をしてきた。正確で丁 寧に作業ができているが,生徒Bが上手くできないときに苛立ちを感じ,生徒Bに対して, 強い言い方をするときがある。 生徒Bは,脳性麻痺による移動機能障害,両上肢機能障害を有している。日常生活は車椅 子で過ごしている。上肢に関しては,両手を使う作業に苦手意識があり,特に利き手でない 右手を使おうとしない。よだれが出るため常時膝の上にタオルを置いている。よだれが出た ときは自分で気付きタオルで拭くが,気付けずに製品や机についてしまうことがある。下肢 に関しては,筋緊張があり,両脚が内転・内旋しており立位で膝を伸ばすことが苦手である。 コミュニケーションに関しては,言葉でやり取りをすることができ,言葉での指示もおお よそ理解することができる。人と話すことは好きで,友だちや教員に積極的に挨拶をする。 相手の話をしっかり聞いていないことがあり,双方向のコミュニケーションが成り立たない ことがある。集中力が持続しにくいことが多い。生徒Aとペアでさをり織りをしたときは, 生徒Aのペースに合わせようとしてシャトルを速く動かし,正確さや丁寧さに欠けてしまう ことがある。これまでの作業学習では「集中する」や「道具を丁寧に扱う」を個人目標にし ている。 2名とも相手や場に応じて適切に話し,伝えることは定着しておらず,先輩や教員に対し ても友だち感覚で話しかける場面がある。本人及び保護者の願いとして,高等部卒業後は作 業所及び企業での就労を望んでいる。
○ 題材観 前題材「基礎的な技術を身に付けよう」では,手工芸における基礎技術を習得させるとともに, 使用する道具の安全な扱い方や留意点を理解させるため,ロックミシンやアイロンを使用する学 習に取り組んだ。本題材では,前題材の学習をもとに,来校者に販売する製品について計画を立 てて,製作に取り組み,販売反省会を行う。このことで,計画から販売するまでの一連の活動を 通して,生徒の働くことへの意識を育てることをねらうことができる(特別支援学校学指導要領 高:職業1段階(1))。また,自分の役割に責任をもち,その作業を確実に行うことで正確性を身 に付けさせることをねらうことができる(特別支援学校学指導要領 高:職業1段階(3))。さら に,報告・連絡・相談において,適切に話したり伝えたりすることができるように意識させるこ とで,将来の職業生活に必要な言葉遣いや態度を身に付けさせることが期待できる(特別支援学校 学指導要領 高:職業1段階(3),高:国語1段階(2),自立活動:コミュニケーション(5))。 ○ 指導観 指導にあたっては,働く上で必要な力を身に付けさせるために姿勢,挨拶,言葉遣いを意識さ せ,安全に留意して作業させるとともに,準備,片付けまで主体的に活動させたい。そのため, 準備物はあらかじめロッカーの上に置いておく。また,作業内容や方法が分からないときには, 自ら指導者に支援を求めること,失敗したときや作業が終了したときは報告することもおさえて おく。自力でできないことは指導者及び他の生徒と協力して作業を行わせる。さらに,授業中の 口頭でのやり取りは,場に応じた言葉遣いを定着させるため生徒間であっても敬語を遣うように させる。 自分の物を作るのではなく,他者に販売するものを製作するため,より一層丁寧に作業をさせ ることを気付かせたい。そのため,製品の数にこだわるのではなく,タオル布に書いた線の上を 縫えているかを確認させる等,作業の正確さを目指させる。さらに,生徒個々の身体の状態から, 生徒Aは,一人でできることを増やすために作業中に左手を使うことを意識させたい。生徒Bは, 他者に販売するものを製作するため, よだれが出たときに自分で気付かせたい。 第1次においては,昨年度の文化祭で作業グループが製品を販売したときの様子を写真等で見 せ,文化祭で販売をするイメージをもたせるとともに,販売に向けて計画を立てさせることで学 習意欲を高めさせたい。第2次では,第1次で立てた計画をもとに雑巾の製作に取り組ませる。 その際,主体的に取り組ませるために,雑巾作りの手順表を作成し提示する。第3次では,製作 した雑巾を売るための模擬販売をして接客に必要な接遇を身に付けさせるとともに,金銭の取り 扱いについても学習させる。そして,販売反省会を設け今年度の良かった点及び改善点を話し合 わせる。 このことにより,生徒が確実にステップアップする授業を目指す。 5 題材の目標 自分の分担に責任をもち,他者と協力して販売する製品を制作することができる。 6 題材の計画〔全 32 時間〕 第1次 計画を立てよう(4時間) 第2次 販売する製品を制作しよう(22 時間) 本時 12/22 時間
第3次 販売しよう(6時間) 7 本時の目標 ○ 全体の目標 ・作業中や作業終了後の報告・連絡・相談は敬語を遣うことができる。 ・ミシンの使い方を理解して,タオル布に書いた線の上を縫うことができる。 ○ 個々の目標 生徒 これまでの様子 個々の目標 A ・中学校在学時,家庭科部であったこと もあり,ミシン操作や道具の使い方はほ ぼ理解しており,一人で作業ができる。 ただし,自分の判断で作業をしてしまい 失敗することがある。 ・「左手をもっと使えたら良い」という 思いはあるが,右手を器用に使えること と右手のみでの作業が速いこともあり, 左手を使う場面が少ない。 ・敬語を遣わなければいけないことは認 識しているが,普段の生活も含め,敬語 が遣えないことが多い。 ・ミシンの使い方を理解し, タオル布 に書いた線の上を縫い,線上を縫えた かを自分で確認することができる。 (高:職業1段階(3)) ・ミシン糸を押さえる・タオル布を支 える・持つ等,左手を使うことができ る。(自立活動:身体の動き(3)) ・作業中や作業終了後の報告・連絡・ 相談は敬語を遣うことができる。(高: 職業1段階(1),高:国語1段階(2), 自立活動:コミュニケーション(5)) B ・ミシンの操作をした経験が少なく,操 作は指導者と手順を確認しながら取り 組んでいる。経験を重ね,できるように なると,主体的に取り組むことができ る。 ・作業中,口元の汚れに自分で気付きタ オルで拭くが,気付けずに製品や机につ いてしまうことがある。 ・敬語を遣わなければいけないことは認 識しているが,普段の生活も含め,敬語 が遣えないことが多い。 ・ミシンの使い方を指導者と確認しな がらタオル布に書いた線の上を縫うこ とができる。(中:職業・家庭(4) ) ・作業中,口元が汚れたときに自分で 気付きタオルで拭くことができる。(自 立活動:健康の保持(1)) ・作業中や作業終了後の報告・連絡・ 相談は敬語を遣うことができる。(高: 職業1段階(1) ,高:職業1段階(2), 自立活動:コミュニケーション(5)) 8 準備物 作業日誌,手順表,カットテーブル,かご,延長コード,ミシン,ミシン糸,タオル布,糸き りバサミ,フリクションペン,しつけ糸,定規
9 本時の学習過程 生徒の学習活動 指導上の留意点( ・・・課題 ○支援・配慮 ☆評価 ◎評価方法 ) A B 全体 1.はじめの挨拶(1分) ○生徒2名が姿勢を正せているか確認させてか ら号令をかけさせる。(T1) ○車椅子とカットテーブルの位置が適切か確 認する。(T2) ○姿勢が正せている か語先後礼ができて いるかを確認し,で きていなければ再度 行わせる。(T1) 2.本時の確認(4分) ・本時の学習内容と全体 目標を確認する。 ・事前に考えた個人目標 を発表する。 ・作業終了時間を確認す る。 ○タオル布をどのよ うに縫うのか説明さ せる。(T1) 3.製作活動(35 分) ・道具を準備する。 ・各自製作に取り組む。 ・後片づけをする。 ○あらかじめすべての準備物をロッカーの上に 置いておき生徒が必要なものを準備したり使っ たりすることができるようにしておく。(T1) ○自分で取り組むことと支援を得ながらするこ とを判断できる場面を設定する。(T1) ○手順表ですべての準備物を用意できたか確認 させる。(T1) ○手順表を見ながら準備物を用意させ,あら かじめすべての準備物をロッカーの上に置い ておき,車椅子で移動し自ら材料・道具を準 備できるようにしておく。 ○ミシンの移動やコンセントをさす場面等, 自分で取り組むことと支援を得ながらするこ とを判断できる場面を設定する。(T2) ○自分でミシン糸をかけることが難しいた め,上糸・下糸をかけてあるミシンを使用す る。(T2) ○手順表をもとに指導者と手順を確認しなが ら作業を行う。(T2) ○道具を運ぶときに 等,安全に気を付け るよう言葉かけをす る。(T1) ○各自作業が主体的 に活動できているか と安全に作業できて いるか確認する (T 1,T2) ○道具の準備が終了 したことを報告させ る。(T1) ミシンの使い方を理解し, タオル布に書いた 線の上を縫い,線上を縫えたかを自分で確認 する。 教員とミシンの使い方を確認しながら, タ オル布に書いた線の上を縫う。
○線上を縫えているか確認していないときは言 葉かけを行う。(T1) ☆ミシンの使い方を理解し,タオル布に書いた 線の上を縫い,線上を縫えたかを自分で確認す ることができたか。 ◎行動観察 ○左手でミシン糸を押さえる・タオル布を支え る・持つ等をしていないとき,左手も使うよう 言葉かけを行う。 ☆ミシン糸を押さえる・タオル布を支える・持 つ等,左手を使うことができたか。 ◎行動観察 ○適切な言葉遣いができていないときは指摘 し,正しい言葉を遣うようにさせる。(T1) ☆作業中や作業終了後の報告・連絡・相談は敬 語を遣うことができたか。 ◎行動観察 〇道具はすべてもとの場所に戻させ,自分で取 り組むことと支援を得ながらすることを判断で きる場面を設定する。(T1) ○線上を縫えたかを指導者と確認する。(T 2) ☆ミシンの使い方を指導者と確認しながら, タオル布に書いた線の上を縫うことができた か。 ◎行動観察 ○自分で気付けなかったときは言葉かけし, 自分で拭かせる。(T2) ☆自分で気付きタオルで拭くことができた か。 ◎行動観察 ○適切な言葉遣いができていないときは指摘 し,正しい言葉を遣うようにさせる。(T2) ☆作業中や作業終了後の報告・連絡・相談は 敬語を遣うことができたか。 ◎行動観察 〇道具はすべてもとの場所に戻させ,ミシン の移動やコンセントを抜く場面等,自分で取 り組むことと支援を得ながらすることを判断 できる場面を設定する。(T2) ○個々の生徒の実態 に応じて線の太さや 糸の色を変える。(T 1) ○生徒の手先の動き が見える位置から活 動の様子をみて,支 援は必要最小限にす る。(T1) ○姿勢が必要以上に 前のめりになってい るときは言葉かけを して直させる。(T 1,T2) ○完成した雑巾と糸 くずは別々のかごに 入れさせ,机上に物 が散らからないよう にする。(T1) ○道具の後片づけが 終了したことを報告 させる。(T1) ミシン糸を押さえる・タオル布を支える・持 つ等,左手を使う。 作業中や作業終了後の報告・連絡・相談は敬 語を遣う。 作業中,口元が汚れたときに自分で気付き, タオルで拭く。 作業中や作業終了後の報告・連絡・相談は敬 語を遣う。
10 教室配置図 4.本時の振り返り(7分) ・作業日誌へ記録し,作 業内容を振り返る。 ・全体目標が達成できた かを確認し,個人目標が 達成できたかについて発 表させる。 ○作業日誌への記入は個人目標が達成できたか を記入させ,発表するときは工夫した点や難し かった点を具体的に述べられるように言葉かけ をする。(T1) ○指導者からの評価の際,良かった点や改善す る点等を伝える。(T1) ○作業日誌への記入は個人目標が達成できた かを記入させ,発表するときは工夫した点や 難しかった点を述べられるように言葉かけを する。(T2) ○指導者からの評価の際,良かった点や改善 する点等を伝える。(T1) ○作業日誌への記入 が終了したら指導者 に報告させる。(T 1) 5.次時の確認(2分) ○ 振 り 返 り を も と に,次時の作業内容 を確認させる。(T 1) 6.終わりの挨拶(1分) ○生徒2名が姿勢を正せているか確認させてか ら号令をかけさせる。(T1) ○姿勢が正せている か語先後礼ができて いるかを確認し,で きていなければ再度 行わせる。(T1) ロッカー↓ ↓ ミ シ ン 棚 ← 織 り 機 黒 板 ↓ 流 し ↓ ↓ 被 服 道 具 棚 ↑ さ を り 糸 ・ 道 具 ↑ 流 し B A T1 T2 出入り口