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ワールドカップサッカーのゲーム分析(その1) : シュートの状況と得点

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(1)Title. ワールドカップサッカーのゲーム分析(その1) : シュートの状況と得 点. Author(s). 田中, 和久; 戸苅, 晴彦. Citation. 北海道教育大学紀要. 第二部. C, 家庭・養護・体育編, 42(1): 79-88. Issue Date. 1991-07. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/6694. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成3年7月. 2巻 第1号 北海道教育大学紀要 (第2部C) 第4 l IC) Vo i ion (Sect i onl iver ty of Educat do Un l of Hokkai .l ‐42 s , No Jouma. ly ju ,1991. ワ ー ル ドカ ッ プ サ ッ カ ー の ゲ ー ム 分 析 (そ の 1). - シュ ートの状 況と得点-. 和. 中. 田. 久. 北海道教育大学函館分校保健体育教室 晴. 苅. 戸. 彦. 東京大学教養学部体育科. Game Ana1ysiS of vvor1d cup Soccer (Part.) ions for ing Condi t -Shoot. Kazuhisa. Goal scoring-. TANAKA. 0 ion i i i do Un ty of Educat l l s ver ion Laboratory, Hakodate Co ege I Educat Phys i , Hakodate 04 ca , Hokka. hiko TOGARI Ha l i l i iver ty of Tokyo i s t Depar s Sc ence t . 下 nent of sPor , The Un Tokyo 153. Abstract ld, to be abl e to t Soccer in the wor ims ofthi The a s study are to understand the bes ior i ies to keep in mind playing and i t tabl sh Pr di i scuss de rabl e tactics for Soccer and to es s training‐. ‐ ld c i c steP of up games, and as a bas The method was to use VTRs ofthe recent VVor l )- s useful analysis we examined only the scenes of shots (goa l ind ings i lded severa f The analysis y : e. ime) i ing extra t inc lud s decreasing. ln LThe average Percentage of goals Per game ( 2 1 i 2‐ Ponts per game)‐ ly, i ld cup i t was the lowestin hi story ( ta thi nl s wor lthe shoots‐ 2‐The f ie ld goals repsesented 64~73% of al ’ showed the highes ’ and ‘dr ‘ t i bbl ine, wi th T‐cross e 3‐Breaking t hrough the defense l ’ ‘ l l f l h b t i t h d i d l u o n a e w l i re success ea ng was mo ty of goa s, an ‐ Probabi ’ were ommon bu ‘ ‘ fect ive I V h df 打 t r k i h a e a c i h t 4.Shot tb n r om e t a r o u n r e a w o u g s g , tef he goal‐ to get to or near t ’shot i l d s were rect s and‘ i d not resultin goals, ‘grounder bal 5‐Among shots whi ch d 79 ( ).

(3) . 80. 田 中 和 久. ’shoot ly the‘d ial i common‐ Espec rect s were the mostimportant‐. 1. は じ め に. サ ッカー競技において, チームや選手 のレベルアッ プを計り, 目的とする大会で好成績をあげる ためには, 技能的な練習や体力トレーニングを適切 におこなうことに加えて あらゆる情報を手が , かりに, それぞれの状況下で, 「どう プレーするか」 あるいは 「どう戦うか」 な どを検討していく必 要がある. それらの情報の一つとして スカウティ ングぃ があり 適確なゲーム分析がその基盤と , なる. これまでにもゲーム分析は数多く試みられているが 実効をあげている ものはきわめて少な , い. またゲーム分析は, なるべく少な い試合数 (できれば一試合) で 必要とする情 報を得られる , ことが望ましいが, 現時点では, その基礎的段階にあり いくかつの試合をまとめて 大会ごとの , , 傾向やチーム ごとの特徴を知るにとどまっ ている . もとより, ゲーム分析は統計学ではない. たとえば, サッカーの試合の中で ある一つの状況に , 絞って必要な数理的処理を施し, 統計的に有意性を検討したところで 「有意差がある」こと自体に , 決定的な意味があるとは限らない. むしろ, たっ た一つの事実でも それが大きな示唆に富む場合 , もある だろう. 要は, 結果としての事実を, どう判断するか の方が重要なことと思われる しかし . ながら, 一方 では, ある程度の傾向を探るためには, まとまっ た数字が必要 であり それらが多く , の示唆を与えてくれるのも確かなことである. そのために, 結果としての事実をどれだけ正確に把 握することができるかが, 現段階のゲーム分析において大切なこととなる . ところで, 一つのチームの傾向を探るには, ・ なるべく短期 間で, しかも, ある程度レベルが同じ チーム同志の試合を分析する必要性がある. その理由は, メ ンバーの起用が比較的固定されている ことで, 試合ごとのバラつきを少なくする狙いと, 極端にレベルの違うチーム同志の戦いは 示さ , れるデータが, ある一つの方向に偏りす ぎるという恐れがあるからである . 以上のことと, 世界の最高水準のサッカーの現実を 「まずはじめに知る」 ことの重要性をあわせ て考慮すると, ワールドカ ッ プサッカーは, 最も適切な材料を提供してくれている . 本研究は, 著者らが, 最近のワールドカ ッ プにおける, おもにシュート場面に関するゲーム分析 をおこなっ た中から, 望ましい戦い方を検討することと, 今後の練習場面や試合を戦っ ていくうえ で, 心がけるべき点や参考になる点を明らかにすることを目的としている .. 1 1 . 研究方法 1. 対象になっ た試合およびシュー ト (得点) 過去のワールドカ ッ プの全得点数から, それぞれの大会 ごとに一試合平均得点率を求めた また , . そのほかに, 今回の分析の対象となっ たシュ ート (得点) は, 以下のとおりである . 第12回スペイ ン大会 ( ):全1 198 2 46得点十18試合の全シュート ( 57 8本) 第13回メキシコ大会 ( 1 98 6 ):全1 32得点 第1 4回イタリア大会( 1990 ):ベスト4に残っ た4チームの, それぞれ7試合計24試合の全得点 ( 5 5点) および全シュート ( 6 01本). 8 0 ( ).

(4) . ワ ー ル ドカ ッ プサ ッ カ ー のゲ ーム 分 析 (そ の1). 81. 2. 分析方法 収録されたVTRをくりかえし再 生して, おもにシュ ート (得点) の場面について, 以下の項目 を確認記録した. なお, フリーキック (PKを含む) やコーナーキッ クからの直接シュート, ある い は, それらの一連のプレーによるシュートは, 今回の分析の対象としていない. 1) シュ ート (得点) の内訳 2) シュ ートを打っ た位置 (地域) 3) シ ュ ー ト の 際 の ボ ー ル タ ッ チ 数. 4) シュートの際のボールを捉えた空間 5) 最終ディ フェ ンス (D F) ライ ンの突破方法 (以下a~fに分類) a. スルーパス突破:スルーパス突破→シュ ート b. ドリ ブル 突 破 : ドリ ブ ル 突 破 → シ ュ ー ト C. T - ク ロ ス : ス ル ー パ ス 突 破 → ク ロ ス パ ス → シ ュ ー ト d. D - ク ロ ス : ドリ ブ ル 突 破 → ク ロ ス パ ス → シ ュ ー ト e. N - ク ロ ス : 突 破 な し→ ク ロ ス パ ス → シ ュ ー ト. f. 突破なし:突破なし→シュート. 図1. シ ュ ー トした位置 の地域 割. 確認にあたっ て は, それぞれの項目について2回ずつおこない, 1回目と2回目が食い違っ た場 合は, さらに納得のいくまでVT Rを再生して確認 し, 誤りが限りなく少なくなるよう配慮した‐ また, シュ ートを打っ た位置の地域割については, 図1のように, ゴールに近い地域から遠い方向 1・I D・IV地域とした. に 向 か っ て, そ れ ぞ れ, 1 ・1. - - - . 結果と考察. 1. 一試合平均得点と得点の内訳 図 2 によれ ば, 1 930年のウルグアイ大会で始まっ たワールドカ ッ プは, その初期 は, おおむね一. 196 2年) から2点台に突入し, 前 試合平均4~5点程度の得点率であっ たが, 第7回のチリ大会 ( 3回メコシコ大会までは,2‐5~3‐0点のきわめて狭い範囲内で少しずつ変動しながら安定し 回の第1 4回イ タリア大会 3回メキシコ大会は2‐54点で史上最低であっ たが, 今回の第1 ていた. なお, 第1 は, さらに得点率が減少して, 一試合平均わずかに2‐21点であっ た. つ ぎに得点の内訳を最近の3大会で比較してみると, 全得点のうち, フィ ールドゴールが占める 8 1 ) (.

(5) . . 82. 田. 中. 割 合 は, 前々 回 の ス ペイ ン大 会 と 前 回 のメ キ シ. 和. 久. PO NT I S. コ大会は約73%で変化がなかっ たが, 今回のイ. !. タリア大会では, 約64%と若干減少している.. ~ 4 ÷/ ~~ . ま た, コ ー ナ ー キ ッ ク か ら の 得 点 は, 3 大 会 を 通 じて,ほ ぼ同 じ割 合 を 示 して い る の で,フ ィ ー. ス . . . 3 2. 些軽量. ルドゴールの割合が減少した分は, フリーキッ ク (特にPK) からの得点の割合が増加してい. 2. る こ と に な る. な お, 図 3 は, 最 近 3 大 会 の 全 フ ィ ー ル ド ゴ ー ル に つ い て, シ ュ ー ト し た 位 置. 4. 6. 8. FIELD GOAL. 10 ・2 14. T IMES. FK PK CK. こ と, さ ら に, フ ィ ー ル ド ゴ ー ル の 割 合 も 減 少. O. 20. 4O. 60. 80. 『OO. してきていることな どを考え合わせると, サ ッ 図2 ー試合平均得点率の変遷および得点の内訳 カーの内容が, 相当守備的になっ てきていることが伺える. というよりも, 今日におけるワールド クラスのサッカーは, スペースと時間的余裕の減少が特徴的となっ ているが, それが得点場面にも 影響しているよう だ. 試合時間が90分もあれば, もう少し得点が入っ てもよいと思う し, サッカー の醍醐味という観点からも, 多くの得点が入ることに加えて, とりわけ, フィ ールドゴールの割合 の増加 が望まれる. 相手にきちんと守られると 「なにもできない」 というのではなく, その守備力 を上回るだけの攻撃能力が求められる. FIFA (国際サッカー連盟) は, サ ッカーの興味という 観点から, 得点数が多くなるようにとの目的で, 今回のイタリア大会後のすべての公式戦から, オ フサイ ドライ ンにいる相手選手と並んでいても反則とはならないようにオ フサイ ドルールをゆるめ ることを決定した. しかし, なにより, 各チームないし各選手が, 激しいプレッ シャーのもとで, 得点力をあげるために攻撃のアイ ディ アを工夫し, そのアイ ディ アを実践するために必要な ボール. ず. . . . . ずず. . . 4. ず. . AA. 4 4 ム . 図3. . 得点になっ たシュ ー トを打 っ た位 置(最近3大 会). 8 2 ( ).

(6) . 83. ワ ー ル ドカ ッ プサ ッ カ ー の ゲー ム 分析 (そ の1). コントロールやボディ ーバランスを身につけなけれ ばならない. また, 得点することに関して, 根 気よくトライするための集中力な ど開発しなければならない要素はまだあり, その余地も充分にあ ると思われる. 2. 得点効率 (得点数/シュー ト数) 図 4 は, 各項目別の得点効率である. これは, ある一つの状況下のシュ ートに対して, 得点がど のくらいの率で入るかを示すもので, 今回のイタリア大会は, フリーキックやコーナーキックから 2%の得点効率であっ た‐ すなわち, おおむね 「亘 本のシュ ート の得点を含めた全得点でみれ ば9‐ に つ き 1 点」 と い う こ と に な る. そ れ が フ ィ ー ル ド シ ュ ー ト (ゴ ー ル) だ け に 限 っ て み る と, 得 点. 効率は6‐8%と若干低率になる. また, シュートを打っ た位置で得点効率を比較すると, 当然のこと ながら, ゴール直前の1地域が最も高く, 実に80%におよんでいる. また, 1 1地域=約1 5%, m地 域=約8%, というように, ゴールから遠ざかるにしたがっ て得点効率 が減少していき, 最も ゴー ルから遠いW地域 は, わずかに約2%であっ た.. .. %. ‐. 1. %. 1 1. 皿. 対. 20 . 1O. 三. ム ー -- ‐. - - ご. ,‐. ー ▼ ‐ :. 三 ;. .‐ ・. . . - -ー- - -. -. 三 」- ‐. -. - -. ・ 二r 三 一 一 γ -- -- -. -. H ; 一. g ト ÷ .‐. 図4 得点効率の比較 つ ぎに, 得点効率をDFライ ンの突破方法やシュートの状況な どで比較してみると, 前者 は, 全 体として は「T-クロス」が約21%で最も高い値を示している. つ づいて「ドリ ブル突破」が約17%, 「N - ク ロ ス」 と 「D - ク ロ ス が と も に 約 10% 「ス ル ー パ ス 突 破 が 約 8 % と な り 「突 破 な し 」 」 一 , ,. 8 3 ) (.

(7) . 84. 田. 中. 和. 久. は約 3 % で 最 も 低 か っ た. ま た, ペ ナ ル テ ィ ー エ リ ア 内 の 1・1 1丑1地 域 だ け に 限 っ て み る と, 「T -. クロス」 と 「ドリ ブル突破」 がともに約22%で特に高く, 他の突破方法は, おおむね10%前後で大 きな差 は認められなかっ た. なお, 全体として得点効率が約3%と低かっ た 「突破なし一 は, 1・ 1 1・l n地域に限ると約1 1%になり, 大幅に得点効率が高くなっ ている. これは, ディ フェ ンダーや ゴールキー パーにあたっ てこぼれたボールや相手のクリアーミスな どを直接シュートしたものが多 か っ た か ら で あ る.. 一方, シュートの状況でみてみると, 全体としてボールを捉えた空間の 「ヘディ ングJ の得点効 率が約21%で特に高かっ た. なお, 1・1 1・m地域だけに限る と, 「グラウンダー」 が約6%から約 1 5%になり, 大幅に高くなっていることがわかる. またボールタッチ数では, 全体としては 「ダイ レクト」 「2タ ッチ」 「3タ ッチ以上」 の順で得点効率が高かっ たが, 1・1 1・皿地域 だけでは特に 「 「 大きな差 は認められず, むしろ数字的には, 2タ ッチ=約1 5%」 と 3タ ッチ以上=約14%」 に 対して, 「ダイ レクト=約1 2%」 の方が若干低くなっ ている. 3. シュー トと得点の関係 図5は, 前々 回のスペイ ン大会と今回のイタリア大会における, 全シュートと全得点について, 最終DFライ ンの突破方法の割合を比較したも のである. これをみると, 両大会ともきわめてよく 似た傾向を示しているのが興味深い. すなわち全シュ ートの割合では, 両大会とも,50%以上が「突 破なし」 でシュートを打っ ているが, 得点になっ たものだけでみると, 「突破なし」 からの得点は, 〇. 5〇. IDO % o. sFAI IN. 図5. 全シュ ー トと得点 になっ たシ ュ ー トの最終D Fライ ンの突破方法. その半分以下の約20%~25%に減少するのである. これは, 前述したように, 「突破なし」のシュ ー トの得点効率がきわめて低いことから当然 の結果と言える だろう. また逆に, 得点効率が最も高い 「T-クロス」 は 全シュートに対して全得点の割合が大幅に増加し その他 「スルー パス突破 」 , , もかなりの増加を示している. また 「ドリ ブル突破」 は, スペイ ン大会では変化がなかっ たものの 今回のイタリア大会では, 割合として倍増 していることがわかる. なお, 比較的得点効率 の低い, D Fライ ン を突 破 し な い ま ま ク ロ ス パ ス を ゴ ー ル 前 に 送 る 「N - ク ロ ス」 は, シ ュ ー ト お よ び 得 点. とも, 守備優位だっ た今回のイタリア大会 の方が, 割合が若干多くなっ ている. ところで, 得点を奪うためには, 得点効率が高い攻撃パターン (DFライ ンの突破) を使うのが 望ましいことは言うまでもない. しかし, だからといっ て, 得点効率が高い攻撃パターンばかり用 いていたのでは, 得点力ア ッ プは難しくなる. その理由は, 守備の立場に立て ば, 同じようなパター 8 4 ( ).

(8) . 85. ワールドカップサッカーのゲーム分析 (その1). ンで攻撃してくれば, 相手の攻撃を読むことができて, それに対処することは比較的容易なことだ からである. 現実に, 得点効率 は低いが, 突破しないままシュ ートを打つケースが半数以上あるこ とに注目しなければならない. また別の見方をすれば, 突破しないままのシュ ートで得点をあげる ケースが, 得点になっ たシュ ートの約20%~約25%あるということは驚異的ですらある. あらため てワールドクラスのシュート能力の高さがよく理解できる.いずれにしても,突破しないままシュ ー トを打っ ても, それがゴールを脅かすようなものでなければ意味がない‐ ゴールを脅かすような遠 くからのシュートがあるからこそ, 守備者の意識とモーショ ンが前方にかかり, 相手の逆をついて, 得点効率が高いゴール前 の1・1 1・m地域に入り込むことが可能 になるのである. 図6 は, 今回のイ タリア大会で, ベスト 4 に残 っ た 4 チ ー ム の フ ィ ー ル ド シ ュ ー ト. の地域別シュート数を比較したものである. これまでの大会に比べると,全体的にシュー. 100. ト数 は少 ないが,優 勝 した 西 ドイ ツ が,フィ ー. BO. ルドシュ ートだけで7試合で1 00本と, 最 も 多 く の シュ ー ト を打っ て いる こ と がわ か. 6o. る. とりわけ, ゴールから遠いW地域から 63 本) が 多 い こ と が 目 を引 く. の シ ュ ー ト( そ れ と 同 時 に,ペ ナ ル テ ィ ー エ リ ア 内 の 1. I 1. 1 1地域 か らも 4 チ ー ム 中 で 最 も 多 く. 40 W 20. m i. シ ュ ー ト(37 本) を 打 っ て お り, 前 述 の「遠 WGE. く か ら ゴ ー ル を脅 か す シ ュ ー ト」 の 効 果 が. ARG. -TA. ENG. よくあらわれていると考えら れる. また, 3 位 に な っ たイ タ リ ア も, 若 干 ス ケ ー ル が. 20. 小さいが,西ドイツと同じような傾向であっ た .. なお蛇足になるが, 準優勝したアルゼン チ ン と 4 位 に な っ たイ ン グラ ン ド は,シ ュ ー. 4O. 6O. ト数でみれば, 攻撃の面では西 ドイ ツ・イ タ リ ア に お よ ばな か っ た も の の, 守 備 面 で. 図6. チーム別・地域別 シ ュ ー ト数. は, 自陣ペナルティ ーエリア内での被シュ ート数が少なく, 守備の堅さが伺われ, アルゼンチンと イ ングランドが好成綾を納めた要因がこのようなところにあると考えても差し支えないだろう. 4. シュー トの状況 1) ボー ルタ ッ チ 数. 図7によれば, ダイ レクトシュ ートによる得点は, 全得点の約60%前後である. その中でも, 前 回のメキシコ大会が最も多くなっ ている. また, 一 試合平均得点率が史上最低だっ た今回のイタリ ア大会は,ダイ レクトシュートによる得点の割合が前2大会に比 較すると約57%と若干低く,「2タッ チ」「3タ ッ チ以上」が約20%強で,ほぼ同じ割合を示した.今回のイタリア大会でダイ レクトシュー トによる得点が少なかっ た原因は, シュート数そのものの減少やフィ ールドゴールの割合の減少な ど, 内容的に守備優位だっ たことが理由として考えられる. なお, スペイ ン大会 は「3タ ッチ以上」 が約26%で, 比較的高い割合を示していた. 85 ( ).

(9) . . 86. 田 中 和 久. また, 前にも述べたよう に, 得点効率で 言えば, これらの3者間では大きな差が認. O. 50. 1〇 〇 Q 非 o . められないが, 得点になっ たシュートだけ を みる と, 「ダイ レク ト」で 打 っ た も の が か. なり多いということになり, 状況にもよる が, シ ュ ー トの 際 に は 「ダイ レク ト で 打 つ」. . :. MEXに086 -. 心が けが大切 である と解釈 してよい だろ う・. 図7の下の部分は, 今回のイタリア大会 で, ペスト4に残っ たチームについて, 得 点 にはならなかっ た シュ ー トも 含 めた,シュー. トの際の ボールタッ チ数の比較である. こ れ によ れ ば, 「2 タ ッ チ」に 関 し て は4 チ ー. ム間で大きな差は認められず,「ダイ レクト」 と 「3タ ッチ以上」 の割合に差があるよう だ. すなわち, 優勝した西ドイツは, ダイ レクトシュート( 4 2%) 36%)と3タッチ以上( でのシュートの割合が比較的均衡している.. a ≧TOUCHES. DI RECT. ち実に6点がダイ レクトシュートによるも の だ っ た こ と で あ る. こ の こ と は, 西 ドイ. ツが, 特にペナルティ ーエリア内における 「ダイ レクト」 の得点効率が263%もあっ ‐ たことに関連してくる. あらためて, 得点 に な る シ ュ ー ト は, ダイ レ ク ト で 打 た れ た. ものが多いということがわかると同時に, 西 ドイ ツ は 「3 タ ッ チ 以 上」 の シ ュ ー ト も. 比較的多いということで,遠くからのシュー トがゴール前地域に入り込むために効果的 だっ た の と 同 様 に,「3 タ ッ チ 以 上」の シ ュ ー. トも, 結果として 「ダイ レクト」 の得点効 率を高める要因の一つであると解釈するの. コ 3TOUCHES. . 瞳罵卿卿圃 二 重 国 E N G ◎◎. ◎POINT. べて 「ダイ レクト」 の割合が多いことがわ. に関して,もう一つの事実にふれてみよう. それは, 西 ドイ ツの得点が, 全1 0得点のう. ‐. . ま た 他 の3 チ ー ム は, 「3 タ ッ チ 以 上」に 比 かる. こ こ で, シ ュ ー ト の 際 の ボ ー ル タ ッ チ 数. -. 図7 ボールタッチ数の比較 5O ,. 雫. lq o. 1 ii i f - - - -- 1 1 ▲. MEXに。 86 . . . 国電AL鴇A SO VOLLEY. GROUNDER. . BOUND. . VVE著E ★★☆★★. = 川 棚 1 芹 川圃 卿 興 側聞 1 1 1 一 - 興鯉 鯉 --1. ★★. ★ ☆★. 瞳雲饗翻. 醐 川 1脚 1 醐 肝 川 棚 鵬 卿 卿鰹. は乱暴すぎる だろうか.. P O I N T 図8. 2) ボ ー ル を捉 え た 空 間. ボー ルを捉えた空間の比較. 図8のように得点になっ たシュ ートで比較してみると, ボールを捉えた空間は 「グラウンダー」 8 6 ( ).

(10) . ワー ル ドカ ッ プサ ッ カ ー のゲ ー ム 分 析 (そ の1). 87. が最も多くなっ ている. ただし, スペイ ン大会=約6 0%, メキシコ大会=約56%, イタリア大会= 約5 4%というように, 少しずつではあるが. その割合 は減少してきている. 「グラウンダー詠ま得点 効率が比較的高い項目であるが, その割合が減少してきていることを考えると, ここにも, 守備が 厳しくなっ てきている証がある. またその他の項目では, 前回のメキシコ大会は, 「バウンド=24 ‐ が多か 3 % 1%」 の割合 が比較的多かっ たが, 今回のイタリア大会 は, 「ヘディ ング=20 の割合 っ 」 ‐ た. なお, 難しい技術の一つであり得点効率も低い 「ボ レー」 は, 3大会とも少なかっ た. つ ぎに, 今回のイタリア大会のベス ト4について, 全シュートをチーム別に比較してみると, 4 チーム共通して 「グラウンダー」 から多くのシュ ートを打っ ていることがわかる. とりわ け優勝し た西 ドイ ツが,「グラウンダー」でのシュ ートの割合が多く, しかも得点数も5点と多くなっ ている. なお西 ドイ ツは, 「ヘ ディ ング」も, シュ ート数の割合こそ少ないが, 得点が2点あることをつけ加 えておく. その他に特徴的なのは, イ ングランドは他の3チームに比較して, ヘディ ングシュ ート の割合が多く, 得点も2点あっ たことがあげられる. ~. 要. 約. 本研究は, 世界最高水準のサッカーの現状を知り, サッカー競技における, 望ましい戦い方を検 討するとともに, 今後の練習場面や試合を戦っ ていくうえで, 心がけるべき点などを明らかにする ことを目的としている. そのために, 最近のワールドカ ッ プの試合のVTRを再生しながら, 必要 な項目について確認し分析を試みた. なお, 現場に生かされるゲーム分析の基礎的段階の一つとし て, 今回は, シュート (得点) 場面に限っ ておこなっ た. その結果, 以下のことが明らかになっ た ので報告する. 1. 一試合平均得点率は, 全体として減少傾向にあり, 今回のイタリア大会は史上最低の2‐21点で あ っ た.. 3%である. 2. フィ ールドゴールは, 全得点の約64%~約7 3. 得点効率 は, DFライ ンの突破方法では 「T-クロス」 と 「ドリ ブル突破」 が, また, ボール を捉えた空間では 「ヘディ ング」 が特に高かっ た. IV地 域」 か ら の シ ュ ー ト の 割 合 が 多 い が, 得 点 に な る と, 4. シ ュ ー ト に つ い て は, 「突 破 な し一 と 「. 得点効率の高い 「T-クロス」 や 「スルー パス突破」 の割合が増加してくる. また, D Fライ ン を突破せずに遠い位置からの ゴールを脅かすシュートは, 他の突破方法でゴール前に入り込むた めに効果的なことが伺える. 5. 得 点 に な っ た シ ュ ー ト は, 「グラ ウ ン ダ ー」 の ボ ー ル と 「ダイ レ ク ト」 で シ ュ ー ト を 打 っ た も の. が高い割合を示した. とりわけシュ ートの際には, できるだけ 「ダイ レクト」 で打つ心がけが大 切なことと思われる.. V. 文. 献. 1) Cramer,D: Der Pro≦享ammierte w M-Erfolg, KIC 口三R,1990‐ 2) FI FA :R1PORT OF FIFA WORLD CUP MEXIC086, 1986. 3) 難波邦雄:8 2スペイ ンワールドカップにおける守備陣突破の方法,第4回サッカー医科学研究会報告書,60一90 , 1984 .. 8 7 ( ).

(11) . 88. 田. 中. 和. 久. 7 2‐4 9 4 9 4) 日本サッカー協会科学研究部:ワールドユース分析 (上) , 19 ‐ , サッカーJFA NEWS第7号, 48 5) 田中和久:ESPANA8 2全1 46得点の傾向分析と得点に貢献したプレー, 第3回サッカー医科学研究会報告書, ‐121 108- , 1983 .. 6 6) 田中和久:MEXIC08 6全13 2得点の傾向分析, 第4回サッカー医科学研究会報告書, 47-5 , 1987 . 90 5 1回大会号 (B) 7) 田中和久, 戸苅晴彦:ワールドカップサッカーの得点傾向, 日本体育学会第4 , 67 , 19 ‐ (本 学 助 教 授. 8 8 ( ). 函 館 分 校).

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