• 検索結果がありません。

博学連携「ミヤマアカネリサーチプロジェクト」を通しての児童の学び:―総合的な学習の時間における探究活動の事例分析―

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博学連携「ミヤマアカネリサーチプロジェクト」を通しての児童の学び:―総合的な学習の時間における探究活動の事例分析―"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)博学連携「ミヤマアカネリサLチプロジェクト」を通しての児童の学び      一総合的な学習の時間における探究活動の事例分析一                           教科・領域教育学専攻                           生活・健康・総合内容系コ』ス.                          ニm08243c 藤井 優恵. 1.背景と目的                本プロジェクトは、平成16年より7年間に  平成20年告示された新学習指導要領では、 わたって実施されているが、本研究では、17年 「習得・活用・探究」がキーワードとして示さ 6月から!8年2月の宝塚市立D小学校4年生の れた二特に「総合的な学習の時間」については  総合的な学習の時間における活動(表1)を分析 「横断的・総合的な課題について各教科等で習  対象とした。 得した知識・技能を相互に関連付けながら解決   総合的な学習の時間、環境教育として適切な するといった探究活動の質的な充実を図る」と  ものであったか否かは、新学習指導要領(2008)、 されている。しかし、実際にどのような取り組  文部科学省環境教育指導資料(2007)と比較し みを探究的な活動とするのか、どのような過程  て確かめた。 を経ることを探究がなされたとするのかについ  探究の過程を経ていたか否かについては、全 ては記述されていない。           米科学教育スタンダード(工nquiry and The  宝塚市では、市立の複数の小学校が共同で  National Science Educ.tion Standards2000, 「兵庫県立人と自然の博物館」の研究員と連携  Nationa1Research Comci1,National Academy し、総合的な学習の時間を活用した環境教育の  Pr6睾s)に記載された探求の過程に必要とされる 単元「ミヤマアカネリサーチプロジェクト」に  基本能力(表2)に沿って分析した。また、児 取り組んできた。この取り組みは、環境教育の  童がどのような学びを構築していったかについ 実践であると共に、新学習指導要領で総合的な  て、作文を対象としたテキスト分析(テキスト 学習の時間における学習指導のポイントとして  として書かれた内容の質的分析)により明らか 述べられている「学習過程を探究的にすること」 にすることを試みた。 と重なる点が多いと考えられた。そこでこの取   さらに、同様な児童の作文についての質的分 り組みが実際に探究のプロセスを踏まえたもの  析によりく博学連携の効果についても調べるこ であったかどうかを改めて明らかにし、その過  ととした。 程での児童の学びはどのように形成されていっ  4 結果 だかを児童の作文等から分析することとした   4−1.学習過程の分析 また・この活動における博学連携の取り組みが   はじめに、このプロジェクトのねらいが、総 どのような効果を持ったかについても考察しれ  合的な学習の時間、環境教育として適切なもの. 2.論文の章立て              であったことを、新学習指導要領、文部科学省 第一章研究の背景と目的          環境教育指導資料と照らし合わせて確認した。 第二章 「ミヤマアカネリサーチプロジェクト」 次に、本プロジェクトにおける学習が、探究活 実施時ρ指導案               動に必要とされる過程を踏まえていたかどうか 第三章 「ミヤマアカネリサ」チプロジェクト」 について、全米科学教育スタンダードに のねらいの再検証             Inquiryの内容スタンダードとして挙げられて 第四章「ミヤマアカネリサーチプロジェクト」  いるFundamenta1Ability(表2)に基づいて活 における児童の学びの分析」         動内容を分析したところ、探究に必要とされる 第五章研究員が参画した博学連携の効果   すべての項目を網羅した取り組みであることが 第六章・考察               確かめられた。 3.ミヤマアカネリサーチプロジェクトの学習  4−2・探究過程における児童の学びの分析 内容と分析の方法              Inqui「y and TheNationa1Scie口。e Education 表工. 平成ユ7年度宝塚市立D小学校のおけるミヤマアカネリサーチプロジ土クドにおける学習過程. 次数                      学習内容 1次.   導入  予備調査  分布調査. 2次.  9月一11月. 課題の把握∼支多々川での生き物調査∼新聞にまとめる 逆瀬川調査∼標本作製実習∼ミヤマアカネの描画  J.  調査11校国内分布調査. σ衝衛生息薮.にろwてη箇x講一 とクラス全員の結果の集約・分布. (個人調査は夏休みか 図作成.    ら). 調査結果まとめ  計結果・季節変化のよみとり一    2つの川での調査結果を比較・考察、まとめの作文 3次  発表会等の準備.   発表会・交流会の. 4次      実施. 5次   まとめ. 発表会の課題設定∼発表内容や方法について検討・発表練習∼企画の見直し∼琴表会1手向けて準備∼中問発表会∼原稿 資料等の手直し∼リバ]サル 発表会の実施∼学年交流会の実施∼3校交流会に向けて発表内容の検討∼3校交流会に向けての課題・分析方法の検目・ ∼保護者向けに発表∼3校交流会の開催∼調査研究結果を報告・研究員から次の課題について学ぶ 各自の「研究論文集」の完成. 一388一.

(2) Standards (2000,Nat ional Res earch Counc i1,. Nati・nal Acad・my Pr・ss)には、学校での探究. に不可欠な五つの要点が示されており、その内一 r学習者が疑問に答える時に,証拠を最優先す る」 r学習者が証拠から説明を明確に述べる」 が特に大切とされている。.そこで、児童の学習 がこの要素を含んだものになっていたかどうか について、二次(表1)における調査のまとめ の作文をテキスト分析した(表3)。抽出した十 二名の児童の作文には全て仮説が記述されてお り、五つの証拠の内、少なくとも一つについて は全員が記述していた。また、五つ全てを記載 した児童もおり、平均すると3.6(72%)の証拠 が記載されていた。このことから、このプロジ ェクトにおける児童の学びが証拠を元に仮説を 導くという探究の過程を踏まえたものとなって いることがわかった。 4−3.研究員の参画の効・果.  博学連携の元、プロジェクトを進めてきたが、. 研究員との交流がどのような意味を持っていた のかを知るために、研究の動機・学習を振り返 っての作文等について書かれた児童の作文につ いてテキスト分析を行った。その結果研究の動 機については.80%の児童が研究員の呼びかけ について記述し、学習を振り返っての作文でも 42%の児童が研究員との交流について言及して いた。また、その他の作文でも研究員のアドバ イスについてや、研究者になりたいという憧れ を抱いた記述が見受けられ、博学連携の効果が 現れていたといえる。.  以上の結果から、児童にとって研究員から 「一緒に研究しよう」呼びかけられたことは大 きなモチベーショシとなって、調査研究に取り 組んだと考えられた。また、児童の考えた仮説 に対して、研究員が専門家の視点からアドバイ スをする機会を設けたこ・とで、児童は自分たち の調査の意義を自覚でき、結果の有用性を認め られることが大きな達成感につながったと思わ れた。. 5 考察  本研究では,総合的な学習の時間で探究的に 学習を進めるモデルの一つとなると考え、博学 連携の形で進められたミヤマアカネリサーチプ ロジェクトについて、事後の再検証を行った。 本プロジェクトは、総合的な学習の時間や環境 学習などのねらいをふまえたものであり、同時 に,全米科学教育スタンダー.ドにあるInquiry の観点を踏まえた探究の過程となっていた。ま た、調査活動によって得られたデータを比較・ 考察して証拠を元に仮説を導くプロセスでは、 表2.探求の過程に必要とされる基本能力   全米科学教育スタンダード(Grade5−8) a.科学的な調査・研究を通して答えることができるような疑問を.  見つけ出す b.科学的な調査を計画し、実行する C.データを集め、分析し、解釈するのに的確なツールや手法を使 用する 乱証拠と説明の間の関係について批判 的に考え、関係づける g.証拠を元に、描写・説 e.別の説明や予想に気がついたり、.分 明・予想・モデルをよ 析したりする り良いものとする. f.科学的な方法や説明について意見交 換をする. 一389一. ほとんどの児童が証拠から説明を明確に述べる ことができていることが確かめられた。 、探究的に学習を進めるためには対象とする素 材の選定と、デ』タを作成するプロセスがきわ めて重要となる。本プロジェクトでは,研究員 からミヤマアカネという素材の提供を受け、調 査方法も提示されたことで、探究の過程を踏ま・ えた授業を構成することが可能となった。  また,実際の学校での探究活動においては、 教師が意図的に学習過程を構成していく必要が あり、どの程度まで児童の主体的な活動に任茸 るかが授業構成のポイントの一つとなる。例え ば,証拠から説明を述べる際にどのデータを取 り上げどのような観点で比較をしていくのかに ついても教師の的確な指導が必要であった。4−2」. で参照した文献では、学校での探究に不可欠と された要点全てに対して4つのバリェーション ーが示されており、5つの要点全てを教師が与え る場合すら考えられる旨の記載がある。本プロ ジェクトの内容は学校教育の枠組みを超えた専 門的な知識を必要とするものであり、五つの要 点の内r学習者が科学的に意味ρある疑問をも つ」.r学習者が説明を科学的知識に結びつける」 という一項目については、教師にはできない研究 員の助言が大きな役割を果たした。.  博学連携の多くは、展示鑑賞を適レての指導 や、教員サポート事業の事例が多い。それに対 し,本プロジェクトでは,博物館研究員からミ ヤマアカネとい.う優れた研究素材とその生態の. 調査方法等の提示を受けるとともに,研究員自 らが児童をr小さな共同研究員」と呼んで共に 探究を進めるという連携のあり方を展開してき た。学校教育の枠組みを超えた「誰も知らない こと」を研究員と一緒に共同研究する。このこ とが探究のプロセスをふまえた授業構成を可能 とし,同時に,活動に対する児童のモチベーシ ョンと学びの質を高めた要因と考えられた。  以上の点を含め、本プロジェクトは、総合的 な学習の時間における探究活動の質と博学連携 の効果を考える上で貴重な実践事例を提供する ことができたと考える。’. 主任指導教員   岸田 恵津 指導教員     増澤 康男. 表3児童の学習分析. 分希調査をまとめた児童の作文の記述内容を分析し、記載 がある事項を黒塗りして表記.   の. 記述率. A L.  !00%. Bツ」.  80%  20%. C児 D/.  10C%. E几 F几. H几.  40%  80%  80%  20%. I児.  100%. J L.  60%. K」.  !00%. G L. L L. 記述率.  80%.  の記述 平均172%.

(3)

参照

関連したドキュメント

諸君はこのような時代に大学に入学されました。4年間を本

いない」と述べている。(『韓国文学の比較文学的研究』、

※1・2 アクティブラーナー制度など により、場の有⽤性を活⽤し なくても学びを管理できる学

○本時のねらい これまでの学習を基に、ユニットテーマについて話し合い、自分の考えをまとめる 学習活動 時間 主な発問、予想される生徒の姿

⑹外国の⼤学その他の外国の学校(その教育研究活動等の総合的な状況について、当該外国の政府又は関

子どもの学習従事時間を Fig.1 に示した。BL 期には学習への注意喚起が 2 回あり,強 化子があっても学習従事時間が 30

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

 大学図書館では、教育・研究・学習をサポートする図書・資料の提供に加えて、この数年にわ