幼稚園における養護教諭の活動
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(2) . 幼稚園における養護教諭の活動. 津. 村. 直. 子*o 池. 田. 哲. 子**. はじめに 助長するJことを目的とする 幼稚園は, 「幼児を保育 し, 適切な環境を与えて, その心身の発達を 「 取り扱いをうける教育機 関 就学前の 保育施設であると同時に, 学校教育法による 学校」 としての で あ る・. 〉 1 1985年) で半数以上の幼児 が幼稚園に通っている, 我が国の就園率 は, 63,7% ( 「 ができる」 と規定されて, 幼稚園への養護教諭の配 置は, 学校教育法第81条において 置く こと ) 2 が配置されている, とり 北海道で は1987年度の報告による と17名 (うち2名 は非常勤) の養護教諭 わけ札 幌市の公立幼稚園14園には, す べて養護教諭が置かれている, 特に中規模校 における養 ところ が, 養護教諭養成課程における養護教育の内容は, 小・中学校の 情につい てま で触れてい な 護教諭の活動についての学習 が中心となり, 幼稚園教育や幼児保育の実 献や資料の乏しいことも大 いの が現状である. これは幼稚園や保育 所における養護活動に関する文 きな要因であろう, どのような養護活動 した がって本研究 は, 「幼小教育の一貫性」が叫ばれている中で, 幼稚園では とするもの で が行われてい るのか, その実状を把握することを目的とし, 養護教育の充実を図ろう ある,. 対象および方法 1, 対. 象. 2 . 期. 間. 0名 札幌市内の公立幼稚園に勤務する養護教諭1 第 1 グ ル ー プ:1985年 9 月25・26日. 5名. 第2 グ ル ー プ;1985年 9月30日. 5名. 3 , 方 法 l imet e形式で記録, ab 1 ) 観察調査:養護 教諭の1日の活動内容をt ) 面接調 査:保健室の備品, 薬品, 帳簿類について面接聞 きとりによる調査. 2 紙調 査. 一部 3 ) 質問紙調査:健康観察, 応急処置, 保健指導, 環境点検, その他について質問 自由記述. ) 現職者から学 生へのア ドバイス 4 229.
(3) . 津村 直子・池田 哲子. 結果および考察 1. 調査対象 の概要 表1 10園の概 要 園. 名. T 十 ▲. A. B. C. D. E. F. G. 園 児 数 (名). 70. 80. 78. 66. 149. 160. 158. 70. 158. 障害児数(名). 149. 9. 10. 9. 14. 7. 6. 12. 5. 6. 12. 障害の種類. 情緒障害 言語障害. 精神障害 肢体不自由. 精神発達遅滞 ダウン症候群. 4歳. I. 2. I. I. 2. 2. 2. 5歳. I. 2. I. I. 2. 2. 職 員 数(名). 2. 9. 11. 10. 8. 11. 9. 12. 学級数. 保. 健. 室. 職員室と兼用. 独. 通 園 方 法. H. J. 精神薄弱 自 閉 症 2. 5. 難聴. 2. 2. 2. 2. 10. 11. 立. 保護者送迎 9月末. 表2 養護教諭について 園. 名. A. B. C. 現化国での 1年 1 ,年 経験年数 6 カ月 6 ヵ月 6ヵ月 養護教諭とし 1年 1年 ての経験年数 6 ヵ月 6 カ月 6 ヵ月 過去勤務 経験校種 なし な し なし 所 有 免 許. 養. 養. 養. D. E. F. G. H. T 十 ▲. J. 1年. 3年. 2年. 1年. 1年. 3年. 2年. 1年. なし. なし. 6 ヵ月 6 カ月 6 ヵ月 6 ヵ月 6 ヵ月 6 カ月 6ヵ月. 2年. 6 カ月 6 ヵ月 6 カ月 6 カ月 6 ヵ月 6 ヵ月 6カ月. 小学校 なし 中学校 養. 養. なし. なし. なし. 養. 養. 養・幼. 中・高 中・高 中・高 中・高 中・高 中・高 中 中・高 養 (保健) (保健) (保健) (保健) (保健) (保健) (保健) (保健) (19 85年9月 末. 養. 調査対象園の園児数, 学級数 職員数等 については表 1に 養護教 諭についてその経験 , 年数, 所 , 有免許等を表2 に示 した,. 対象園は園 児数が75~17 0人,2~4学級規 模園であ り また 養護教 諭の過去 の勤務経験校種は , , , 1名のみ小・中学校 を経験しているが 他の9名 はすべて幼 稚園が新任校であ , っ た, 2. 1日の活動 の流れ 平均的と思わ れるG園の1日の活動を表3に示した 養護教諭は園児登 園前に園内の環境 点検を 。 行い, 登園時 には他の教諭 と一緒 に園児を出迎 えている 朝の自由遊 びに参加しなが ら必要に応じ . て応急処置 にあたる. また クラス毎の保育時には園内巡視を行い 園児降園後 は主 , に事務関係の , 仕事 に従事している. 養護教 諭の1日の活動内容 を 僻地小規模校の養護教諭 の職務内容 で用いた項 3) 目を参考 にして, ,. 230.
(4) . 幼稚園における養護教諭の活動. 3項目に再分類した, 図1は対象全園の所要時間の平均を表わし 幼稚園に該当するものを選出し, 1 た も の で あ る,. imetabl e の活 動 を 用 い た, 調査期間が2 日 間 の 園 に つ い て は, 第 1 日 目 のt 1 3項目の具体的な内容は, ① 「学校教育の計画と運営」 には, 職員会議, 表3 1日の 活動の流れ 遠足の下見等を含めた, 養護教諭の活動 時間帯 園児の活動 ② 「保健室運営」 には, 保健便り, 歯み がき 13 40 50. 10:20 35. 登. 園. 参 加. 後片付け 各学級で保育. 参. 11:45 降 50 5 5 5 5. 17:20 50. 応. 加. 環境 点検. 出欠表作 成. 園. ⑩. 急 処 置. 見送り タ オ ル洗濯. 環境の衛生と安全, 生活や行動の実態把握と 健康問題の発見) に は, 健康観察, 環境整備. 等 が含まれる, 「問題の改善」(児童生徒の健康や環境の衛 生と安全, 生活行動の問題の改善) には, 健 康診断・環境衛生 点検の事後措置等が含まれ. ④. ⑤. 保健室清掃 昼 食 話 し合い に参 加 保育内容の話し合いに参加 文書整理 歯 み がきカ レンダー作成 成 傷病 統計作成 傷病統計作 執務記録記入 勤 退 勤 退. (G園. ⑨. ③ 「実態把握と問題発見」(児童生徒の健康や. 朝の出 迎 え. 自由遊び. 55. 15 2:1 12: 13:00 o 20. カレンダーの作成, 学校保健日誌等の表簿類 の記載等 が含まれる,. 出 勤 環境点検 保健室準備 職員朝会. 8:00. 9月30日の場 合). る, 「健 康 の 保 持・増 進, 問 題 の 予 防」 (児 童 生. 徒の健康の保持増進, 環境の衛生や安全の維. 特, 生 活 行 動 上 の 健 康 問 題 の 予 防) に は, イ ソ フ ル ェ ソ ザ 予 防 接 種 を 含 め た, 「救 急看 護」 に は 応 急 処 置 等 が含 ま れ る. ⑥ , 「学 習 . 指 導 活 動」 に は, 歯 み が き 指 導, ⑦ トイ レ指 導, 手 洗 い 指 導 等 が 含 ま れ る.. ⑧. 「研 修」 に は 障 害 児 の 保育 の 観 察 も 含 め ,. た,. 「保健安全事務」 には, 日本体育学校健 康センターの諸手続き上 の事務等が含ま れる, 「厚生・接待」 には, 職員のお茶の 準備, 飼育動物の世話, おもらしの後始末等 が含まれる,. 「保育」 は, 園児の保育に参加している時間である, ⑫ 「その他」 には, 養護教諭の更衣, 昼食を含めた, ⑬ 「調査協 力」 は, 本研究に直接協力して戴 いた時間である, 02. 0 1, 9分, 次いで,「保育」の1 最も多く時間を要 した活動内容は,「保健室運営」であり一人平均i3 0分, 「学校教育の 運営と計画」 が46,6分, 8. 9. 0分, 「厚生・接待」 が4 分, 「実態把握 と問題発見」 が4 「学習・指導活動」 が4 3,8分であった, 「保健室の運営」 が最も多かっ たが, これは園児の降園後の時間 を, 保健事務- 保健便り作成等 がきカレンダーの作成, 衛生 にあてているためと考 える. また, 調査日 が月 末であったため, 歯み 材料・薬品等の消耗品のチェック等, 平日の業務とは異なる面もみられた. これらは幼稚園独 次に多い 「保育」 は, 園児と一緒 にダンスをする, 縄とびをする等 であった, おいて重要な 自の活動と 思われ, 多くの時間 が要されている ことから, 幼稚園の養護 教諭の活動に 位置を占めていることが推測される. 時45分か ら12時,「お また, 園児の登園時間 は8時35分か ら50分の間, 降園時間 は午前保育日 は11. ⑪. 231.
(5) . 津村 直子・池田 哲子. ◎ 即. 131.9 120. 90. 御. 卿 即. 30. 0. n V. 学校 保健 実 問 健康 問 救急 態 題の 題の 教育の 室 把 の 運 握と問 改善 保持 予防看 営 護 運 増 営と計 題 進 発見. 学 研 習 . 指 導 修 活動. 画. 図I. 232. 日の 鋤. .. 禰. 保健 厚生 保 安 全 事 務. ・接 待. そ の. 育. 他. 調 査 協 力.
(6) . 幼稚園における養護教諭の活動. 3時1 0分から40分の間であり, 園児は1 人平均240分間園にいる が, 養護教諭 が園児 弁当持参日」は1 ) であ っ た, 園児在 とかかわっていた時間 (応急処置, 指導活動, 保育等) は, 175,5分 (約3時間 勢がみ られる. 園中は, 園児と接触する時間を多くもっょぅに配慮 している養護 教諭の姿 7.1分である が, ひとつの場 養護教諭の活動場所については, 保健室で活動していた時 間は平均6 とのかかわりをも 所に長時間いる ことは少なく, 保健室, 職員室, 保育 室, 水飲み場等, 常に園児 ちながら活動を進めていた, 3, 活動項目. (1) 健康観察. 園児の健康観察において, 一般状態を把握するための具体的な項目 は, 「顔色 が赤い, 蒼白い」 「言 葉 が少ない」 「ぼんやりしている」 「表情がない」 「眼 が う る んで る ・ 充 血 して い る ・ と ろ ん と して い る」 「鼻 汁 を た ら して い る」 「咳 を して い る」. 「眼険の腫張」 「眼脂」 「口 角 炎」 「発 疹」. 「手の冷感」 「身体の熱感」 等 で あ っ た,. 行動面 については, 「動作 が鈍くあまり動かず1つの場所で遊んでいる」 「床 に べ た っ と ず わ っ て い る」. 「黙っ て保健室の隅にうずく まる」 「友達との交流 が少ない」 「元気 がない」 「声をかけても黙っ ている」 「無気力」 「教師にま とわりつく」 「教師とよく目 が合う」 「なかなか母親から離れ ない」 「泣く」 「おもらしする」 「お弁当が食べ られ ない」 「落ち着き がない」 「いつもより乱 暴な態度」. 等であっ た。. 「眼脂」 「熱」 「 幼稚園教育指導書の 「健康」 の領域に は, 日常の健康観 察の留意点として 顔色」 「咳」 「発疹」等 が記載されている が, 幼児期の特徴を踏ま えた上 で、 これらの項 目を網羅 したより 具体的な表情や行動を捉えた項目 が多くあげられていた, 達できないた 幼児は苦痛・不安・ 疹痛等を自分から訴えること が少なく, また, 主訴を正しく伝 「 把 普段の状態の め, 園児の健康状態を把握するために養護教諭 が日頃注意している点 について は, 「 i 等 i t 握」「他の教師か ら情報 を得る」「子 どもとの触れ合いを多く もつ」 保護者とのcommunca on」 に努めてい た, また, 問診については, 「触診を加 えながら行う」. 「できる だけわかりやすく 適切な内 容の言葉を使用する様 に心 がける」 「痛みの程 度は 『ちくちく』 と 『ずきんずきん』 を使い分 ける」 「子 どもを急 がせて答えさせない」 ・. 233.
(7) . 津村 直子・池田 哲子. 「遊 びの話などで気分を緩らげる 」 「大げさ に泣いて痛みを訴えている時は 他に興味を集中させ て本当のケ ガの程度, 痛みの程度 ,. を 知 る」. 等, 年齢・発達段階 にあわせた言葉 を用いなが ら より具体的 に実態を把握し 健康のl lを的確 , eve , に捉えようとしている努力が窺 えた, 幼稚園 における健康観察は 全職員が園 の生活全般 にわた て行 ていた 特に登園 , 時には玄関 っ っ , に出て, 園児1人ひとりに挨拶しなが ら 行動・表情等から子どもの健康状態を観 察しており , , ま た, 保護者か ら直接 子どもの様子を聞くことができるという幼稚園 の特色を見 ることができた .さ らに, 養護教 諭も自由遊 びに参加しており 保育というかかわり は直接 子 どもと接することが でき, , 小・中学校 で行われている学級担任が行う健康観察とは異なる特色もみられた これは小・中学校 , では学級活動が中心であ るのに対し 幼稚園 では全園児が一 緒に活動する自由保育の時間が多 , く, 養護教 諭の参加 の機会が多 いためであろうと考える , (2) 応急処置 幼稚園教 諭が応急処置 を行っ ている所 は8園あり そのうち応急処置の内容 について 「話し合 い , をしている」 「学習会を設けている」 が各1園あっ た その他 の園でも 「その都度気付いた時に改 善 , してい る」「職員室で話題 になることも多い」「資料を配布している 「資料を保健室 に備えつけてあ 」 る」 「担任が付 き添っ てきた時は処置 について説明する」等 養護教 諭がコンタ ク トをとり 処置内 , , 容 の周知徹底が はかられていた . 表4 ,応急処置の内容 傷病の種類. 幼稚園教諭が処. 置を行う (園). 養護教諭が処置を行う場合. すり傷・きり傷. 7. 異物の付着, 出血, 創部の離開, 頭部のケガ 薬品使用 , 出血量が多い, 容易に止血しない. 鼻. 血. 6. 虫 さ さ れ. 出. 3. 曜. 吐. 3. 目 の 異 物. 2. 腹. 痛. 2. 下. 痢. 2. 腹痛を伴い顔色不良. 頭. 痛. I. 休養 させ ても緩和 しない. 打. 撲. 1 1. 著しし・腫張, 疹痛, 水痘形成 顔色不良, 嘘気を伴う 異物がみつからない, 摘出困難 排便後も疹痛持続, 腹部マッサージ施行後も緩和しない. 冷篭法施行後も軽減しない. 幼稚園教 諭が行っ ている応急処 置の内容と 養護教 諭が行 ている内容 を表4 に示した っ , . 幼稚園 教諭が処置 を行っ ているものは 「すり傷・切り傷」 「鼻出血 が多く 以下 「虫ささ れ 「幅吐 「 , 」 」 , 」 目 の異物」 「腹痛」 「下痢」 等であっ たが これらの項目は幼稚園教育指導書 に簡単な応急手当の方法 , として記載されてお り, 幼児教 育の中で学んでいるも のと推測できる しかし 「傷口に異 物が付着 , , して いる場合」 「出血がひどい場合」 「薬品を使用する場 合 「鼻出血が容 易に止血しない場合 」 」等に 、 なると養護教 諭が処置を行っ ており 養護教諭の専門性が発揮されてい る活動と考える , , 応急処置の件数 はいずれの園でも1~3例と少 なく これは 「健康 の領域の中 に 安全な生活 」 , , に必要な習慣や態度を身 につけるという大項目があり 安全に遊 具や用具を使う 習慣や態度 を養い , , ケガのおこ りやすい場所 や機会などについてよく確 かめ 危険を未然 に防 ぐこと また 施設設備 , , , 234.
(8) . 幼稚園における養護教諭の活動. や図具教具を常に整備 し, 管理を適切 にして十分活用できるようにして おく等, 幼児を危険や災害 から守ると ともに, 安全を確保する習慣や態度を身につ けさせる指導 が行われているためと思われ る,. (3) 保健指導. 表5 保健指導の内容. 現在行われている保健指導の具 体的なテーマを表5に示した, 基. 項. 本的 な生活習慣 の形 成 に関 する テーマが多かった, 「基本的生活習. であり, これらのテーマは小学校 においても行われている内 容であっ た.. 小学校教諭 が幼稚園に対して, 「基本的習慣の習得」 「健康面」に . 期待して おり, また, 幼稚園でも 「幼稚園で行っ た保健指導を小学. 校でも継続してほしい」 と望んで いることか らも, 幼児教育と小学 校教育との関連において取り組む ) 6. 必要 があると考える, また, 基本 的な生活習慣の形成後の持続状況 をみると, 小学校において学年が 進 む につ れ て 1 度 つ い た はず の 習 慣 が崩 れ て お り, 母 親 も 生 活 習 慣. 数. 項. 目. 数. 夏休みの過ごし方. 7. からだの発育. 5. 冬の過 ごし方. 7. 目の保健指導. 4. トイ レの使い方. 6. むし歯の予防. 3. 歯みがき指導. 6. 予防接種のうけ方. 2. 基 手洗い指導 本 姿勢を正しく 的生活 好き嫌いをなくす. 5. ケ ガの予 防. I. 4. 虚弱児. I. 4. 乾布まさっ. I. 4. はだしの進め. I. 3. 背骨の話. I. 水のみ場の使い方. 3. 四計測のうけ方. 7. ・指導 足洗し. 2. 身体の清潔. I. 慣の形 成にあたって は, 常に一貫 した方針をもってより基本的なも. のからくり返して指導し, 次第に ) 4 身につくようにすること」 が大切. 目. 衣服の調節 習慣の 形 規則正しい生活 成. 麗. 食事のマナー. I. お弁当の食べ方. I. 鼻のかみ方. I. ハンカチ・チリ紙の用意. I. 疾 カ ゼ の予防 病予 病 うがいの仕方 子防 耳の保健指導 日. 6 6. 鷺 視力検査. 2. r 診 眼科検診. 断. 遊. I. ぎょう虫卵検査. I. プール指導. 4. 安全な遊び. I. み んなと一緒 に遊 ぼう. I. 、 遊具 正しい使い方 び ‘ ム - - 雪遊びの後始末. I I. 5 ) 7. の崩れを感じていながら, 学業成績の良否 ほどには生活の乱れに関心を払っていない ことからも, 幼稚園, 小学校だけで はなく, 中学校, 高等学校まで一貫した保健教育の充実が望まれ, 校種間の 連携を密にして, 継続的な保健指導の 内容を検討することも必要ではないかと考える, 具体的な指導方法は, 言語のみの保健 指導では園児の関心を集中させること が困難であるため, VTR, スライ ド, 紙芝居等の視聴覚教材の活用や, 園児 が触れることができるように布や発泡ス チロール等で作った大きな歯の模型, 綿花と色テー プで立体的に作成した手洗い指導のパ ネル等, 教材や掲示物に様々 な工夫 がなされていた, 保護者 に対する保健指導も重要視されており, 健康な生活に必要な習慣 や態度を身につ けさせる には, 常に家庭との連絡を密にする ことが大切であり, 保健便りのみでなく, 幼稚園では園児の送 迎時に個別に, 直接保護者と話し合いを持つ機 会があり, 相互理解に努めていた,. 235.
(9) . 津村 直子・池田 哲子. (4) 環境点検 表6 項. 衛生点検箇所. 目. トイ レ (清掃, 衛生, ペーパ ー補充). (図). 時 間 帯 登図前 保育中 昼食中 降園後 4. 4. I. 5. 4. 2. I. 4. 3. I. 0. I. 2. 4. I. 3. 水質検査. 2. 0. 0. 0. コップ (洗浄) 保育室 (室温, 換気). I. 2. I. I. I. I. 0. 0. I. 0. 0. 0. I. 0. 0. 0. 手洗い場 (清掃, 衛生, タオル交換) 石けん補充 水のみ場 (衛生, 清掃). 遊戯室 (衛生, 清掃) 飼育動物. 表7 項. 安全点検箇所. 目. 床 (危険物の有無) ドア, 窓. 片づけの状態. (園). 時 間 帯 登園前 保育中 降園後 2. I. I. 0. 0. I. I. 0. I. 遊戯室 (危険物・破損の有無). 3. I. I. 園庭. 0. I. I. 固定遊具. 0. I. 0. 園児の遊びの内容. 0. I. 0. 破損物品の修理. 0. I. 0. 園の環境 点検の内容を, 衛生点検と安全 点検に区分し 園児の登園前 保育中 昼食中 降園後 , , , , の時間帯に分けて表わしたものが表 6, 7である. 衛生点検 について は 「トイレの点検(衛生状態 , , トイ レ ッ ト ペ ー パ ー の 補 充 等)」 「手 洗 い 場 の 点検(衛生状態 タオル交換等) 「石けんの補充 「水 」 」 ,. 飲み場の点検 (衛生状態, 清掃等) 」 等が多く, 安全点検は 「遊戯室 (危険物・破損物品の有無等) の 点検」 「床 (危険物等) の点検」 等であっ た. 環境 点検の多い時間帯 は, 園児の登園前であり, その日一日の保育 にとって望ましい環境である か否かという観 点から点検を行っている, また 点検箇所が園全体 に及 び 養護教諭は園全体 特 , , , に衛生面の 点検を重点的 に行っ ているものと推測 できる,. 「 4 . 保健室」 について 保健室 は2つの園が職員室 と兼用であり 他 は独立していた 幼稚園 の施設 設備等については , , , , 幼稚園設置基準第9条 に規定されているが 特別の事情があるとき は 職員室と保健室とは兼用す , , る こ と が で き る.. 独立してい る保健室をみると, 園長室, 職員室に隣接しているものが6園あ り 幼児の健康管理 , という点で配慮さ れた位置であっ た, 236.
(10) . 幼稚園における養護教諭の活動. また, 保健室の備品, 衛生材料, 薬品等については, 小・中学校の保健室のそれらと大差はなかっ. た,. 「 保健室の活用状況は, 「軽い手当の場合でも保健室で処置を行う」 他の子 どもに見せたくない状 「 態や, 子どもを落ちつかせる必要のある場 合は, 保健室で処置 を行う」また, 保健室は滅多に使用 しない」 「軽い手当は職員室で行う」 等様々なケース がみられた, どの園でも共通していることは, 園児が腹痛, 発熱等の症状を呈した場合, 速やかに保護者に連 絡して子 どもを降園させていることであり, 園児を保健室に休養させて経過観察を行うというケー スは少なく, 小・中学校の保健室利用状況と は異なっ た面 が認められた, 幼児期は伝染性疾患の好発年齢 でもあるため, 集団発生予防という観点から判断・処置を行っ て いるケース が多いもの と推察される, 5. 幼稚園における養護活動の特徴 幼稚園の養護活動につい て, その利点や困難 点, また, 養護教諭としての心構え等について, 自 由記述で回答を求めた. 全員から回答 が得られた, (1) 利点. 1人平均3項目あげており, その内容は, ・園児1人ひとりの 健康状態を把握 しやすい. 9. ・家庭との 連携を はかりやす い (信頼関係を得やすい). 6. ・基本的生活習慣の 指導 を効果的 に行う ことができる. 3. ・幼児期の発達 段階を知 ること ができる. 3. ・園児との かかわり が多く もて る. ・. 2. ・幅広い仕 事の内容 が経験できる. 2. ・研修会等 に参加する時間 を多くもつこと ができる. 1. ・園全 体の動きを見 通すこと ができる. 1. ・小規 模校同様 にきめ 細かし・働きかけ ができる. ,集団保健指導の時間的制限がなく, 養護教諭の裁量で実施可能である. ・救急処置 に追われ ること がなく, 計画的 に執 務を進めること ができ, 指 導 (教材研究等) に時間 をか けることもでき る ・職場間で子 どもの健 康 についての情報の交 流がさかんである. 1. 1 1 1. ・養護教諭 が直接子どもとかかわる 時間が多いこと, 保護者との接触が であっ た. これらの項目 は, 多いこと, 職員数 が少なく打合 せ, 昼食, 園児降園後等に情報交流の機会が多い こと等による, 指 導や管理の充実が利点としてあげられたものと考える, また, 養護教諭の執務を円滑に進めていく 務遂行 上, ためには, 他の教諭との人間関係 が大きなウェイ トを占める場合 が多く, 養護教諭の職 8 ) 担任教師が女性の場合の方 が, より円滑にいくことが多い傾向が認められており, 幼稚園教諭との 人間関係 が良好である ことによる利点とも思われる. (2) 困難点 1人平均2項目あげており, その内容は,. ,んでいく ・幼児 は耳で聞く だ けでなく, 見たり触れたりして情報 を取りこ. ため, 保健指導は工夫が必要である (内容, 方法, 文字が使えない等). 5. ・小学校との交 流の場 がない. 3. ・幼稚園養護教諭の専門的活動のあり方や園務分掌がよくわからない. 3 237.
(11) . 津村 直子・池田 哲子 ・保育 に参加す るといっ ても, どこま でかかわっ たらよいのか判断 に迷う ことがある. ・親への指導 が大切 である. 2. 1. ・養 護教諭と して様々 な経験を積む場 が乏 しい. 1. ・救急処置等, 常 に研修が必要である ・各園の実態 により, 養護教諭として の活動も異 なっ てくるため 最低 の , ライ ン はあ っ ても,それ以外 に変 えていかなけれ ばならない部分が多い. 1. ・保護者 の理解と協力 が不可欠 である. 1 1. ・保育の補助を行う場合, 一般の教諭とは違った観点で幼児を見つめてい くこと を, 自分 なり に考 えていく 必要 が ある. 1. ・組織だ っ た活動 が できない. 1. ・子 どもと常 にかかわ っ ていなけれ ば訴 えを理解 しがたく なる. 1. であっ た. これらの内容は, 新卒者として赴任したため の困難点と思われ 勤務校 の実情に即応し , た養護活動を展開していくためには 幼稚園養護教 諭の歴史はあまりにも浅く それ相応 の経験者 , , を配置す るという配慮も必要ではないかと考える. 6. 学生に対するア ドバイス 養護教諭養 成機関の学生 に対して 次のようなア ドバイスが1人2~3項目あ げられていた , . (1) 学生として の心得 ・幼児教育 を勉強す る必要 が ある. 3. ・障害 児 についての勉強 が 必要である. 2. ・視覚的 な保健指 導 が できるよう に教材研究の勉強が必 要である. 1. ・歌と絵と ピアノ の練習をしてお いた ほうがよい. 1. (2) 職場に赴任してからの心得 ① 幼児教育 に関すること ・幼児期 の発達段階, 発達心理 を理解する. 3. ・幼稚園の教育活 動を理解する. 1. ・幼児 にも個性・人格があ り, 子 どもだ からという目 で子 どもをみないこと. 1. ・教師自 らがよいお手本 であること 特 にこと ば遣 いがむ ずか しい ,. ②. 1. 活動方法等 に関すること. ・字 を読め ない子 どものレベ ルに合わせて絵 を描く. 1. ・子 ども に対する指導ととも に親への啓蒙を必 ずはかる. 1. ・ どんな仕事 も 「だれかが やらなくて はならな い必要なこと」 とう けとめ てこ な して いく こ と. ・保育 にかかわる .部分 が多く ある. ③. 1. 1. 養護教諭としての心構え. ・養護教諭としての自覚と自信 をもち “ひとつの組織 の中の1人 と して 、 、 様々 な仕事 を行うこと. 3. ・幼児期の発達段階, 実態を踏まえ保健の立場から何を必要とし どのよ , う に行 っ ていくのか 問題意識を持 つこと. 238. 1. ・.
(12) . 幼稚園における養護教諭の活動. (3) その他. ・養護 教諭 の活動 は根本 的 に は小・中学 校 と変 らない 人 ・教 師の明るい 笑顔 は子どもに安心感 を与えるので, 笑顔 が自然 に出る に なっ て 下 さ い. 1 1. 1. ・子 ども が好きである こと. ・何か趣味 をも っ て ほしい, 仕事の疲れ を発散させるものをみつ けておく と良い. 1. 1. ・教師間 の和 を大切 に 、. よる戸惑いがそのまま 1人を除き他の養護教諭全員が幼稚園 が新任校であり, 経験の浅い ことに 教育, 障害児教育について, ま ア ドバイスとしてあげられたものと推察する が, 学生のうちに幼児 が大切だと思われる, た, 視覚的な保健指導を行うためのテクニック 等を学 んでおく こと. おわりに 0名を対象に,1日の活動内容, 保健室の備品, 薬品等について, 札幌市内の 公立幼稚園の養護教諭1 査を行い, 次のような結果を得 また, 質問紙を用いて健康観察, 応急処置, 保健指導等について調 .. た,. がら園児とかかわ ① 1日の活動の主な内 容は, 保健室経営, 次いで, 保育に参加しな. る時間 が最. も 多 か っ た,. り 異常の発見 は行 園児の健 康観察 は, 個々の園児について日常の健康 状態 が把握されてお , 動面からの判断 が多かった. 容が専門的になると養護 が ③ 応急処置 は, 幼稚園教諭 が行っ ているケースもみられた , 処置内 教諭 が行っていた, 様のテーマであっ ④ 保健指導は, 日常の生活 習慣形成に重点がおかれたものが多く, 小学校と同. ②. た,. ⑤. 連絡が密にできる, 幼稚園の養護教諭には, 個々の園児の健康状態 が把握できる, 保護者との 生活習慣形成の保 健指導 が十分行える等 の活動 上のメリット が認められた,. 今後の課題 うかかわりの中から, 園 幼稚園の養護 教諭は言語による訴えの不十分な幼児に対して, 保育とい 異常を早期に発見するこ 児1人 ひとりの健康状態を把握すること ができるため, 行動, 態度等から ができた, しかし, そのためには幼 とが可能 であり, 保育に参加することの意義を再確認すること ベースであり, 幼児教育, 保育に関す 児の発達 段階の理解や幼児教育の内容に精通している ことが 要性を痛感 してい る, る教科の 履修, 幼稚園・ 保育所の実習等, 教育内容の検討, 充実の必 園長先 生, なら びに養護教 稿を終 えるにあたり, 調査に ご協力戴きま した札幌市の公立幼稚園の 工藤哲子, 佐藤幸 恵, 岡村順 諭の諸先 生に深くお礼申 し上げます, また, 昭和60年度本学卒業生の 239.
(13) . 津村 直子・池田 哲子. 子, 武山みゆき, 蜂谷麻実 子の諸嬢 の協力 に感謝い たします ,. 引用文献 1) 日本教育年鑑刊 行委員会編: 昭和61年度日本教育年鑑 ぎ 32一533 , ょうせい, 5 , 1986. 2) 北海道教職員組合編:北海道教育関係職員録 6 2年度版, 北海教育評論社 1 8 7 , 9 3) 池 田哲子:僻地 小規模校 における養護教諭 の職務内容に関す. る研究 第3報 職務内容と専 門意識と の関連, 北海道教育大学僻地教育 研究紀要第36号 81一 92 982 , ,1 4) 文部省:幼 稚園教育 要領 フレーベ ル館 18 1983 , , , 5) 内島貞雄, 三戸旬子:幼児教育 と小学校 教育の関連についての一 考察 小学校教師と小一 児童をも つ母親 へのアンケート調査を通 して-- 北海道教育 大学紀要 3 2 (1) 2 , ,215一23 ,1981. 6) 内島貞雄, 三戸旬子:前掲書. 7) 深谷昌志:基本 的生活 習慣の形 成 こころの科学 N 11 日本評論社 o 1一77 , 87 ,, ,7 , 19 8) 橘キョ:養 護教諭・一般教 師間の人間関係 に関連す る要因 の研究, 養護教諭 の職務研究 第2 集, 東山書房, 3-10 1 , 977. *本学助教授 札幌分校) ( **本 学 教 授 (. 240. 旭川 分校).
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