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滋賀県における製品等を通じた貢献量評価に関する取組

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1. はじめに  滋賀県では、国内外の動きと協調し、2050年までにCO2 排出量を実質ゼロにすることを目指した「“しがCO2ネッ トゼロ”ムーブメント」キックオフ宣言を2020年12月に行っ たところである。滋賀県ではこれまでも、低炭素社会づく りの推進に関する条例の制定(2011年)、これに基づく事 業者行動計画書制度の導入(2012年度~)、滋賀県低炭素 社会づくり賞の表彰(2013年度~)、貢献量評価に基づく 「しが発低炭素ブランド」の認定(2018年度~)等、低炭 素社会の実現を目指した様々な施策を展開してきている。 事業者行動計画書制度においては、「事業活動を通じた他 者の温室効果ガスの排出削減により低炭素社会づくりに貢 献する取組」(以下、製品等を通じた貢献)も様々な取組 の1つと位置づけられていることから、「滋賀県製品等を 通じた貢献量評価手法」の検討を行い、その算定の手引き (以下、評価・算定の手引き)や算定作業支援ツールの作 成(2011~2012年度)を行ってきた。「しが発低炭素ブラ ンド」の認定も貢献量評価に基づくものである。  本稿では、製品等を通じた貢献に関わる滋賀県における 取組の経緯、滋賀県の貢献量評価手法の概要、滋賀県にお ける貢献量評価の取組状況について報告する。 2. 滋賀県における取組の経緯 2.1 事業者行動計画書制度における製品等を通じた貢献  2011年に制定された「滋賀県低炭素社会づくりの推進 に関する条例」では、第20条において、一定規模以上の 事業所が事業者行動計画を策定すること、第21条において、 事業者行動計画の実施状況を報告することを義務づけてい る。この事業者行動計画書及び報告書では、事業者が記載 する項目の一つとして、「事業活動を通じた他者の温室効 果ガスの排出削減により低炭素社会づくりに貢献する取 組」(製品等を通じた貢献)を掲げており、事業者行動計 画及び報告書の公表を通じて、事業者による省エネ・創エ ネ製品の生産及びサービスの提供等を奨励することを目指 している。この項目では、取組の目標や実施状況を定量的 または定性的に記載することとなっているが、本制度をよ り効果的に機能させるためには、できるだけ定量的に記載 することが望ましいと考えられる。しかしながら、当時、 製品等を通じた貢献量評価に関する標準的な手法がなかっ たことから、「滋賀県製品等を通じた貢献量評価手法検討 会」が設置され、検討が行われることとなった。 2.2 製品等を通じた貢献量評価手法の検討  検討会は、2011~ 2012年度の 2 ヵ年設置され、①貢献 量評価手法の検討、②検討した貢献量評価手法の実現性の 検証、③事業者が貢献量評価を実施する上で必要となる情 報の整理(抽出)が行われた(滋賀県、2017)。当時、 CSR報告書や環境報告書などにおいて、製品等を通じた 貢献を定量的に記載している例は、事業者行動計画書制度 の対象となる約300事業所のうち、1割程度にとどまって

[解説]

滋賀県における製品等を通じた貢献量評価に関する取組

橋本 征二

1,*

,廣田 大輔

2 1 立命館大学 理工学部,2 滋賀県 琵琶湖環境部 *連絡先:[email protected] 概要:滋賀県では、低炭素社会づくりに向けた事業者行動計画制度において、製品等を通じた貢献を計画及び報告 の項目の 1 つに掲げていることから、貢献量の評価・算定の手引きを作成するとともに、貢献量評価に基づく「し が発低炭素ブランド」認定制度を導入し、事業者の取組を支援してきた。評価・算定の手引きを作成するにあたっ ては、目的、評価対象、貢献の発生場所、時間軸、ベースライン、部品・素材や研究開発の評価方法等が論点となっ たことから、本稿ではこれらについて紹介した。また、事業者行動報告書における貢献量の記載事業所数は順調に 増加していること、「しが発低炭素ブランド」について、これまでに 10 製品の認定を行ってきたことを紹介した。 滋賀県発の技術革新を促し世界の CO2排出削減に貢献するため、滋賀県としても貢献量評価や認定ブランドの普 及啓発に力を入れている。 キーワード:事業者行動計画制度、ガイドライン、ベースライン、低炭素ブランド、技術革新

特集「温室効果ガス排出削減貢献量評価−ガイドや活用の最新動向−」

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いた。そこで、評価手法の検討にあたっては、これまで定 量的な把握を行っていない事業者が参考となる評価手法と なること、事業所単位での算定が可能となるよう可能な限 り簡便で実現性の高いものとなることが志向された。検討 会での議論をもとに策定した「滋賀県製品等を通じた貢献 量評価手法・算定の手引き」(評価・算定の手引き)の概 要については、後述の3で紹介する。 2.3 製品等を通じた貢献量評価の普及促進  評価・算定の手引き及び算定作業支援ツール(滋賀県、 2017)については、2012年度に中間とりまとめに関する 事業者ヒアリングを行うとともに、2013年度より説明会 やセミナーを開催し、貢献量評価に対する取組の普及が行 われた。これにより、事業者行動計画書制度においても貢 献量評価に関する記載を行う事業所数は徐々に増加し、報 告される貢献量も増大してきた。この取組の状況について は、後述の4.1で紹介するが、2014年度に実施したアンケー ト調査では、貢献量評価に取り組む事業者の課題として、 社内での理解や取組体制の確保が困難という意見も出され たことから、貢献量評価に取り組む事業者のメリットを増 大させる手法を検討することが必要と考えられた。 2.4 貢献量評価に基づく「しが発低炭素ブランド」認定 制度の導入  貢献量評価に取り組む事業者のインセンティブを強化す る制度として、「しが発低炭素ブランド」認定制度が導入 された(滋賀県、2020)。この制度は、先進的に貢献量評 価に取り組む製品・サービスや事業所を認定し、滋賀県と して情報発信していくものである。認定を受けると、図1 に示すようなロゴマークの使用が可能となり、滋賀県 Webサイトやブランドガイドブック、びわ湖環境ビジネ スメッセなどにおいて、認定製品・サービス等の情報が広 く県内外に発信される。2018年度から認定と認定製品の 情報発信が行われているが、これらの取組の状況について は、後述の4.2で紹介する。 3. 製品等を通じた貢献量評価手法の概要  評価・算定の手引き(滋賀県、2013)やその検討会にお ける議論にもとづき、滋賀県の貢献量評価手法の主要点を 以下に紹介する。 3.1 目的  貢献量評価の目的は、検討会においても重要な論点の 1つとして議論された。先行していた川崎市では、算定し た貢献量を排出量から相殺できる制度を検討していたこと も背景にあった(川崎市)。貢献量を排出量から相殺する 仕組みは、事業者が貢献量評価に取り組む大きなインセン ティブになると考えられるが、このためには算定される貢 献量に高い妥当性や公平性が求められることにもなる。特 に、最終製品の部品・素材を生産する事業所や製品の開発 を行った事業所の場合、その貢献量を適切に評価すること は簡単ではない。また、算定方法が厳格になるほど、中小 事業者における取組が難しくなる。このため、評価・算定 の手引きにおいては、表1に示すような目的を示している。 検討会では、ⓐ内部管理の促進(自社製品の評価、経営目 標としての活用)、ⓑ社会的責任(利害関係者への説明責任、 社会への約束)、ⓒ消費者の選択、政策形成への情報提供、 ⓓ排出量からの相殺評価(さらにはクレジット化等)といっ た目的の整理がなされたが、滋賀県ではⓓを目的としない こととした。 3.2 評価対象  事業者のどのような活動による貢献を評価するかも重要 な論点であった。評価・算定の手引きでは、評価対象の事 業活動を表2のとおり整理している。滋賀県では、部品や 素材を生産する事業所、研究開発を行う事業所も多く、こ うした事業活動を含めた整理となった。③生産プロセス技 術の確立も対象として整理されている点は特徴と言える。 図 1 しが発低炭素ブランドのロゴマーク 表 1 製品等を通じた貢献量評価の目的(滋賀県、2013)  貢献量評価は、行動計画等の制度を通じて公表されることで、「低 炭素社会を構築するためにどのような製品等を生み出したのか(低 炭素社会づくりへの貢献)」の視点で、県民等が事業者の活動を評価 することを可能にし、低炭素社会づくりに貢献する関連企業に対す る奨励、評価につなげることを目的に実施することとします。 (中略)  行動計画等において、貢献量評価は、自社からの排出量削減対策 と併記され、それぞれが別の評価軸として公表されます。これまで の地球温暖化対策における事業者の評価は、生産した製品が低炭素 社会づくりに寄与するか否かに関わらず、生産段階での排出量の増 減のみが論じられていましたが、今後、貢献量評価が実施されるこ とで、両評価軸の総合的な観点から、事業所の低炭素社会づくりに 向けた取組が評価されます。

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また、④は省エネ製品・創エネ製品の販売、環境格付融資、 レンタサイクルサービスなど、サービス業などにおける取 組を想定している。先行していた川崎市では、「川崎市内 で生成されたGHG削減に貢献するエネルギーが川崎市域 外に供給されたもの」(川崎市、2013)を対象として整理 しており、それぞれ地域の産業を考慮したものになってい ると考えられる。  ここで、①については「県内」事業所で生産した製品の 貢献量、②及び③については過去に「県内」事業所で研究 開発ないしは生産プロセス技術が確立され、現在、「県内 外」において生産されている製品の貢献量、④については 環境配慮型のサービス提供等を通じた貢献量を算定するこ ととしている。研究開発や生産プロセス技術の確立による 貢献は、当該製品・サービスの根幹を成すものであり、制 度の目的に照らしてこのような整理となった。  また、評価・算定の手引きでは、低炭素社会に貢献する 製品・サービスを「効果発現製品等」として、表3の種類 が示されている。対象とする製品・サービスは幅広に捉え られている。 3.3 貢献の発生場所  滋賀県内で生産・開発された製品・サービスは県内外で その効果を発揮する。様々な場所で発揮される効果は、特 に、その製品・サービスが電力を使用する場合、正確な算 定には地域別の電源構成を考慮することが必要になるが、 それにより算定が複雑になる。また、滋賀県としての貢献 量を集計する場合などには、滋賀県内での排出削減量との 整合を取る必要がある。この点、川崎市は、川崎市域外で の貢献量を定量化することとしており、異なる考え方が採 用されている(川崎市、2013)。  評価・算定の手引きにおいては、県内・県外・国外も含 めた評価を基本とし、国外の算定にあたっては、地域別や 国別に算定条件を設定することが望ましいものの、国外へ の輸出量が少ない場合や、国外の算定条件の整理が困難な 場合には、生産した製品が国内もしくは県内で使用された と仮定して貢献量を算定することも可としている。これは、 製品が使用されている場所を特定することがそもそも難し いためである。 3.4 時間軸  複数年にわたり効果を発揮する製品等の貢献量の評価範 囲については、表4に示す2つの方法が考えられる。①及 び②の方法はそれぞれ、経済産業省のガイドライン(経済 産業省、2018)において、フローベース、ストックベース と称されているものである。検討会では、貢献量評価の目 的と合わせて時間軸の議論がなされた。例えば、3.1で示 したⓐ内部管理という目的に対して、販売製品の貢献量の 把握という観点からは①の方法が、これまでの低炭素化に 向けた取組が現在発揮している効果の把握という観点から 表 2 効果発現製品等に関わる事業活動の種類(滋賀県、2013) 表 3 効果発現製品等の種類と例(滋賀県、2013) 表 4 時間軸の選択肢(滋賀県、2013) 事業活動の種類 貢献量の算定の概要 ① 当該製品等もしくはこれに組 み込まれた技術(部品・素材な ど)の生産 県内事業所で生産した製品の削減 貢献量を算定。 ② 当該製品等もしくはこれに組 み込まれた技術(部品・素材な ど)の研究開発 過去に県内事業所で研究開発さ れ、現在、県内外において生産さ れている製品の削減貢献量を算定。 ③ 当該製品等の生産プロセス技術 の確立 過去に県内事業所で生産プロセス 技術が確立され、現在、県内外に おいて生産されている製品の削減 貢献量を算定。 ④ その他の事業活動 県内事業所の事業活動によって生じた削減貢献量を算定。 低炭素社会に資する効果発現製品等の種類 製品等の例 ① エネルギー生成製 品(創エネ製品) 再生可能エネルギーな どエネルギーをつくり だす製品 太陽光発電システム、 風力発電設備、家庭用 燃料電池等 ② エネルギー消費製 品(省エネ製品) 製品の効率を高めてエ ネルギー消費を減らす 製品 テレビ、エアコン、自 動車、ボイラ等 ③ エネルギー管理製 品 他の製品のエネルギー 消費を管理・制御する 製品 HEMS、BEMS、省エ ネナビ等 ④その他の製品等 ①〜③以外で低炭素社 会に資する製品・サー ビス(他の製品のエネ ルギー消費を抑制する 製品等) 断熱材、魔法瓶、防寒 機能の衣料用素材等 道路の開削が不要な下 水道管補修システム (渋滞の緩和、後期の 短縮等) ※表中の効果発現製品の部品・素材についても評価対象とする。 方法 特徴等 ①各製品の全使用 期間における削減 効果の一括算定 ・報告対象年度の生産がもたらす効果に着目した もの。 ・過去に生産した製品等の情報の蓄積等は不要で、 報告対象年度に生産した製品に係る情報が入手で きれば算定可能。 ・使用年数を事前に設定するため、当該製品の使 用状況が想定から大きく変化した場合(代替製品が 急激に普及して買い替えられる場合など)には、結 果として実態との誤差が大きくなる。 ②各製品の報告対 象年度中の削減効 果の算定 ・報告対象年度に使用されている製品の実態に即 した削減効果を評価するもの。 ・過去に生産した製品の情報(データベース、また は過去の出荷額等から想定)より、報告対象年度に 使用されている製品とその台数を設定して、貢献 量の算定を行う。 ・報告対象年度に普及・稼動している製品の台数 などは、生産元が把握しているとは限らず、正確 な把握は困難な可能性がある。例えば使用年数を 仮定して対象年に使用されている台数を推計する 方法が想定される。

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は②の方法が適切と考えられる。また、3.1で示したⓓ排 出量からの相殺評価を目的とするのであれば、原則として ②の方法を適用することが適切と考えられる。評価・算定 の手引きにおいては、事業者行動計画書制度に関連付けて 貢献量評価を行うことに鑑み、①の方法による貢献量評価 を基本としている。これは、事業者行動計画書及び報告書 の対象年度の事業活動によるCO2排出状況と、その年の事 業活動による貢献量を併記することになるためである。 3.5 ベースライン  評価・算定の手引きでは、表5に示すように、①現在生 産されている「標準的な製品」、②「過去の製品」(自社の 旧製品や買い替え前の旧型製品)、③新たな技術による「製 品が代替した従前の状態」の3つのベースラインを示して いる。検討会では、貢献量評価の目的と合わせてベースラ インの議論がなされた。例えば、3.1で示したⓒ消費者の 選択、政策形成への情報提供、ⓓ排出量からの相殺評価と いった目的のためには、自社の②「過去の製品」との比較 では公平性が保てないと考えられる。一方、ⓐ内部管理を 目的として、自社製品の性能向上による貢献量を評価する 場合には、自社の②「過去の製品」と比較することが適切 である。どういったベースラインを設定するかは、事業所 の取組の方向性や算定可能性とのバランスも重要であり、 評価・算定の手引きでは、どのようなベースラインを選択 したかという情報とあわせて貢献量を記載することとして いる。なお、事業者からは「企業間でベースライン等の算 定条件が異なる状況では貢献量を算出してもあまり意味が ないのではないか」「貢献量の数値のみで見られやすいの で算定の基準は揃えた方がよいのではないか」「算定の基 準が示されなければ事業者側でもどのように設定してよい かわからない」「ベースラインをどの時期に更新すべきか 難しい」等の意見もいただいたことから、ベースライン設 定の考え方については、評価・算定の手引きで詳しい解説 を行っている。 3.6 部品・素材や研究開発の評価方法  部品・素材や研究開発の貢献量評価は容易ではない。部 品・素材については、表6に示す①の方法のように、各部 品・素材の技術的特性により貢献量を算定することができ れば望ましいが、多くの場合、②の方法のように、何らか の指標で最終製品の貢献量を分配するしかない。配分の指 標としては、技術的な寄与度、付加価値の寄与度、重量の 寄与度、生産時排出量の寄与度などが考えられたが、方法 の選択には任意性がある。また、部品・素材の場合はどの 最終製品にどれだけ使用されているのか把握することが難 しいこと、最終製品を生産する事業所と部品を生産する事 業所でそれぞれ貢献量評価を行った場合に、ダブルカウン トがあれば県としての集計は難しくなることなど、検討会 では様々な観点からの議論がなされた。最終的には、本制 度の目的に照らすとダブルカウントになる部分があっても よいと考えられたことから、評価・算定の手引きでは、部 品・素材に起因する貢献量を何らかの方法で算定できる場 合にはこれを貢献量として示し、それ以外の場合には効果 発現製品全体の貢献量を示すことを基本としている。また、 効果発現製品全体の貢献量を示す場合は、当該事業所の部 品・素材の役割や貢献内容を併せて示すことなどが必要と している。この点、川崎市では貢献度(削減寄与率)によ る貢献量の配分を行うこととしているが(川崎市、2013)、 制度の目的が異なることによるものである。事業者からは 「汎用的な部品・素材を生産している場合、最終製品が多 岐に渡り特定が難しいため、貢献量の算定は困難である」 「効果発現製品等の部品をつくっていても、直接CO2削減 表 5 ベースラインの選択肢(滋賀県、2013) 表 6 部品・素材の評価方法の選択肢(滋賀県、2013) 選択肢例 ①現在生産されている 「標準的な製品」との比 較 ・現在の市場の標準的な性能より効率が高い 製品を生産していることを評価するもの。高 機能の省エネ製品が低炭素社会づくりをどれ だけ加速させたかを表現する際に適している。 ②「過去の製品」との比 較 ・過去と比べた技術開発の進展を評価するも ので、過去に開発され現在使用されている製 品が継続して導入され続けると想定し、評価 するもの。省エネ製品によって今後どれくら い低炭素社会づくりが推進されるかを表現す る際に適している。 ・過去に対応する製品がない場合は評価でき ない。 ③「製品が代替した従 前の状態」との比較 ・新たな技術による製品が、社会や生活の中 に変化を生じさせることにより進める低炭素 社会づくりへの貢献を評価。現状では普及率 が低い、全く新しい種類の製品の場合に適し ている。 方法 特徴 ①各部品・素材の 技術的特性より貢 献量を算定 ・当該部品・素材のみを代替した効果発現製品を ベースラインとして貢献量を評価する方法。 ・各素材や部品の特性に応じて、技術的特性に 沿った削減効果が算定される一方、算定方法は各 事業所に委ねられる部分が大きくなる。(統一し た算定方法を示しづらいため) ②効果発現製品の 削減量を何らかの 指標で分配 ・効果発現製品全体の貢献量を何らかの指標(技 術的な寄与度、付加価値の寄与度、重量の寄与度、 生産時排出量の寄与度等)で当該事業所に分配し て算定する方法 ・削減量を各事業者が定める分配方法に基づき按 分する方式であるため、比較的簡便に算定できる 可能性がある一方、分配方法の考え方によって結 果が異なるおそれがある。

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に寄与する部品ではない場合、何を貢献量と捉えればよい か難しい」、検討会では「生産時の排出量と製品等の貢献 量が比較される可能性もあるため、削減量があまりに過大 になりすぎないように注意する必要がある」「部品・素材 メーカーの参加を推進し、ダブルカウントを回避するため の仕組みとして、滋賀県内の関連するサプライチェーンの 事業所が連名でまとめて貢献量を提出することは考えられ ないか」等の意見があった。 4. 製品等を通じた貢献量評価の取組状況 4.1 事業者行動報告書における記載の状況  事業者行動報告書における製品等を通じた貢献の記載状 況を表7に示す。制度の開始以降、記載事業所数は順調に 増加してきたが、近年やや伸び悩みの状況にある。このう ち、貢献量に関する定量的な記載があり、かつ、貢献量が 年間の数値に換算可能な報告を行っている事業所数も微増 してきている状況である。滋賀県域の貢献量(参考値)は、 報告書に記載されている貢献量について、記載内容等から 県内向けに提供されていることがわかるものについては、 ダブルカウント等をしないよう県域内への貢献量の控除を 行うなど一定の条件のもと算定したものである。過大評 価・過小評価のどちらの可能性もありえるものであり、留 意が必要な参考値である。なお、貢献量評価に取り組む事 業所数は一定増えているものの、事業所の撤退や移転など により滋賀県域の貢献量(参考値)には変動があり、特に 2018年度実績は大きく減少している。  直近の2018年度実績については、404事業所より事業者 行動報告書の提出があり、このうち、約72 %が製造業、 約25 %が学校や病院などの業務部門の事業所であった。 404事業所のうち、製品等を通じた貢献に関する取組の記 載があったのは 139事業所で、83事業所(約 60 %)が製 造業であった。  具体的な取組としては、図2に示すように、省エネ製品 等の製造を通じた貢献が約60%であり、その内訳としては、 電気自動車やその部品などの輸送機器に関するものが約 15 %、太陽光発電設備やその部品などの創エネに関する ものが約8%、LED照明やその部品などの高効率照明に関 するものが約7%、その他の省エネ製品またはその部品の 製造に関するものが約30 %であり、その他の省エネ製品 またはその部品の具体例としては、保温材や住宅用断熱材 の製造などがあった。また、その他の取組を通じた貢献が 約40 %を占めており、梱包材の軽量化、加工しやすい素 材の提供、一部が環境保全への寄付に活用される金融商品 の販売、オフセット付き商品の販売などが報告されていた。  製品等を通じた貢献に関する取組の記載が見られた139 事業所のうち、定量的な記載をしていたのは 74 事業所(約 53 %)であり、 そのうち貢献量を年間の数値に換算するこ とが可能なのは17事業所(約14%)における記載であった。 2018年度においては、滋賀県域において約1,128万t-CO2 の温室効果ガスを排出しているが、報告書に記載された製品 等を通じた貢献量(参考値)はその約4%(約47万t-CO2) に相当する量であった。 4.2 「しが発低炭素ブランド」の認定状況  「しが発低炭素ブランド」の認定にあたっては、事業者 行動報告書を提出した事業者に対して、3か月程度の公募 を行い、申請者に対する訪問ヒアリングを実施して応募の 内容や算定過程の確認等を行っている。その結果をもとに、 学識経験者や経済界からの推薦者等によるアドバイスを受 け、滋賀県庁内に設置した審査会において審査を行うこと で認定の可否を決定している。審査項目は、①CO2削減効 果(貢献量の大きさ、算定過程の妥当性等)、②低炭素社 会づくりの推進にかかる社内体制、③先進性、④汎用性・ 波及性、⑤国際展開の可能性の5点である。 図 2 事業者行動報告書における製品等を通じた貢献に関する     取組の内訳 表 7 事業者行動報告書における製品等を通じた貢献の記載状況 実績年度 (全事業所数)記載事業所数 割合 CO2換算可能 な事業所数 貢献量(参考値)滋賀県域の 2012 120(308) 39.0 % 17 120 万 t-CO2 2013 138(329) 41.9 % 18 150 万 t-CO2 2014 139(350) 39.7 % 20 310 万 t-CO2 2015 144(360) 40.0 % 19 272 万 t-CO2 2016 153(410) 37.3 % 19 182 万 t-CO2 2017 149(405) 36.8 % 21 164 万 t-CO2 2018 139(404) 34.4 % 17 47 万 t-CO2 (1)省エネ製 品等の製造 60% (2)その他 の取組 40% ア 自動車等の輸 送機器またはその 部品の製造 イ 創エネ製品 またはその部品 の製造 8% ウ 高効率照 明またはその 部品の製造 7% エ その他の省エネ製品ま たはその部品の製造 30% その他の取組 40% 15%

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 これまでに10製品の認定を行っているが、全て製品で あり、サービスに関するものはまだ見られない状況である。 認定を受けた製品には、電気を一切使わず太陽光を効率よ く採り込み室内に広げる照明器具、人の歩く速度や方向に よって最適なタイミングで自動ドアを開閉させ無駄開きを 抑制する自動ドアセンサーなどのユニークな製品も見られ る。貢献量の算出方法としては、耐用年数まで使用した場 合の削減量に生産台数を乗じて貢献量としている事業所が 多く、前述の照明器具では1,843t-CO2/年の削減効果、自 動ドアセンサーでは14,148t-CO2/年の削減効果が見込まれ ている。  2016年に発効した「パリ協定」でもCO2排出削減に向 けた大幅な技術革新の重要性が強調されたところであり、 滋賀県発の技術革新を促し世界のCO2排出削減に貢献する とともに、認定した製品が広く消費者に選択され、普及し ていくことが重要であることに鑑み、滋賀県としても水平 展開のための普及啓発に力を入れている。認定製品・サー ビス等には認定楯を授与し、図3に示すようなガイドブッ クで紹介するほか、県内の環境見本市「びわ湖環境ビジネ スメッセ」や東京で開催される「エコプロ展」にも出展し PRを行っている。 5. おわりに  本稿では、製品等を通じた貢献に関わる滋賀県における 取組の経緯、滋賀県の貢献量評価手法の概要、滋賀県にお ける貢献量評価の取組状況について紹介した。  かつて滋賀県では、琵琶湖の水質汚濁の問題が発生し、 条例を制定するなど対応を進め富栄養化を抑制してきた。 一方、気候変動の問題は、原因が滋賀県内で発生していた 水質の問題と異なり、県域を超えた対応が必要となる。滋 賀県は、県内総生産に占める第二次産業の割合が約46.6% を占める全国有数の工業県であることから、製品等を通じ た貢献量を増加させていくことも県としての重要な施策で あり、貢献量評価に基づく「しが発低炭素ブランド」認定 制度を通じて、日本全国ひいては世界のCO2削減に貢献し ていくことが重要と考えられる。このような観点から、滋 賀県の貢献量評価は、その算定方法に柔軟性を持たせ、中 小事業者を含めた多くの事業所で活用されることを意図し ている。貢献量評価が、更なる先進的な技術開発や製品の 普及に繋がることを期待する。 (2021年3月8日受付) 参照文献 川崎市 (n.d.), 川崎メカニズム認証制度, 低CO2川崎ブラン ド等推進協議会事務局ホームページ, 入手先 <http:// www.k-co2brand.com/mechanism/>, (参照 2021-02-02) 川崎市(2013):温室効果ガス削減に向けた川崎市の新た な取組~域外貢献量算定ガイドライン, 35pp. 経済産業省(2018):温室効果ガス削減貢献定量化ガイド ライン, 19pp. 滋賀県 (2017), 製品等を通じた貢献量評価手法, 滋賀県 ホームページ, 入手先 <https://www.pref.shiga.lg.jp/ ippan/kankyoshizen/ondanka/13594.html>, (参照 2021-02-02)  滋賀県 (2020), 貢献量評価に基づく「しが発低炭素ブラ ンド」, 滋賀県ホームページ, 入手先 <https://www. p r e f . s h i g a . l g . j p / i p p a n / k a n k y o s h i z e n / ondanka/300757.html>, (参照 2021-02-02) 滋賀県 (2013):滋賀県製品等を通じた貢献量評価手法・ 算定の手引き<解説編>, 32pp. 図 3 「しが発低炭素ブランド2020」ガイドブック

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Initiatives for Evaluating CO

2

Reduction Contribution of Products and

Services in Shiga Prefecture

Seiji HASHIMOTO

1,*

and Daisuke HIROTA

2 1 Ritsumeikan University; 2 Shiga Prefecture

Corresponding author: [email protected]

[Commentary and Discussion]

Synopsis: In Shiga Prefecture, the CO2 reduction contribution of products and services is listed as one item of

planning and reporting in the scheme of business action planning to create a low-carbon society. Therefore, a guide for evaluating and calculating CO2 reduction contribution was developed and a certification scheme for “Low-Carbon Brand of Shiga” based on the evaluation results was introduced to support business efforts. When developing the guide for evaluation and calculation, the objectives, evaluation targets, locations of contributions, timelines, baselines, evaluation methods for parts, materials, and R&D were issues, and these were introduced in this article. It was also introduced that the number of offices reporting the amount of contribution in the business action report is increasing steadily, and that 10 products have been certified as "Low-Carbon Brand of Shiga". To promote technological innovation originating in Shiga Prefecture and to contribute to the reduction of global CO2 emissions, Shiga Prefecture is particularly addressing the dissemination of consciousness about the evaluation of CO2 reduction contribution and of certified brands.

Keywords: scheme of business action planning; guideline; baseline; low-carbon brand; technological innovationions

参照

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