Blastocladia 属(コウマクノウキン門)の分離および凍結保存方法の検討 ○参輪佳奈・出川洋介(筑波大菅平)
Investigation on the isolation and cryopreservation technique of the genus of Blastocladia (phylum Blastocladiomycota) by K. Miwa, Y. Degawa (Univ. of Tsukuba) コウマクノウキン門は遊走子の微細構造,核相の特徴,分子系統解析結果等に基づき,2006 年にツボカ ビ門から分割された門で,菌界中でツボカビ門と旧接合菌門の間に位置し,菌類の陸上進出や進化を考え る上で重要な分類群である.世界各地からの報告が多い一方,純粋培養例は極めて少なく,各地から菌株 を確立して分類学的再検討をする必要がある.基準属 Blastocladia 属には 31 種が知られるが,通性嫌気 性で培養が困難である.北米および台湾より 5 種の純粋培養成功例が知られるが,菌株の保管方法が未確 立でいずれも公的機関に保存されていない.そこで本研究では,本門の多様性研究を進めていくために, まず Blastocladia 属菌の新規分離株の収集をし,それら菌株の凍結保存法を確立することを目的とした. 筑波大学(茨城県)の水路で水・底泥を採集し屋内釣菌法を,また菅平高原実験所(長野県)の側溝で野 外釣菌法を行った.ベイトには各々カラフトイバラの実,リンゴの未熟果実を用いた.粗培養期間はそれぞ れ 6 および 27 日間とした.発生した菌体は滅菌水道水入りウェルプレートに移し遊走子の放出を促し,倒 立顕微鏡下で 1/2GY5 寒天培地に単遊走子分離し,同液体培地で培養し分離を試みた.菌株は自ら酸を分 泌し培地を酸性にするため,前例研究に従い pH 指示薬を添加し,適宜 NaOH 水溶液で中和しながら維持 した.筑波大学より 6 菌株,菅平高原実験所より 6 菌株を確立し,形態観察と SSU rDNA 領域の系統解 析結果に基づき種を同定した結果,Potter ら(2011)が Genbank に登録した 2 種の配列とも 100% で一致 し,各々B. ramosa, B.pringsheimii と同定された.前者は北米,後者はドイツで記載された種で本邦から も知られる(Indoh, 1939).いずれも,ツボカビ類で用いる 10%DMSO 水溶液を保護剤とし,成長段階の異 なる菌体群を- 1℃/min で緩やかに- 80℃まで凍結したところ,1 カ月以上を経て融解した際,遊走子放 出が確認できたため,本手法で凍結保存が可能だということがわかった.