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鄭章淵著『韓国財閥史の研究--分断体制資本主義と韓国財閥』

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Academic year: 2021

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全文

(1)

鄭章淵著『韓国財閥史の研究--分断体制資本主義と

韓国財閥』

著者

安倍 誠

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジア経済

48

11

ページ

90-90

発行年

2007-11

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00007310

(2)

あ べ まこと 安 倍 誠 これまで日本では韓国の財閥に関する多くの研究 書や一般書が刊行されてきた。しかし,不思議なこ とに財閥の発展過程全体を俯瞰できるような著作は 存在しなかった。本書は日本語で出版された初めて の本格的な韓国財閥の通史である。著者は解放後の 韓国現代史を,生成期(1950年代末まで),基礎形 成期(60年代),発展期(70年代),成熟期(80年代), 爛熟期(90年代),淘汰期(97年の通貨危機以降) に区分し,それぞれ1章をあてて各時代における財 閥の展開過程を論じている。 本書の最大の魅力は豊富な事実の叙述にある。各 時代における政府の政策とその財閥への影響,財閥 の事業拡大・再編過程と経営体制の変化など多岐に わたっており,特に主要財閥の個別の動きについて も,一般にはあまり知られていないエピソードを含 め,詳細な事実を提示している。加えて,韓国内で の財閥研究および財閥をめぐる諸議論の紹介にも力 を注いでいる。著者が指摘するように,1990年代以 降,韓国内では財閥に関する議論が活発になったが, それを反映して財閥に関する研究書・一般書の刊行 が急速に進んだ。著者は多数のこうした出版物,さ らには財閥の社史を精力的に渉猟し,重量感のある 一冊の通史にまとめあげた。この著者の力量は高く 評価されるべきであろう。巻末の参考文献リストも 財閥に関する書誌情報として非常に有用である。 もちろん,本書で気になる点がないではない。第 1には,著者の問題意識が本書の叙述全体を貫徹し ているかどうかという点である。序章の「研究の方 法と課題」で著者は,関心の中心は財閥の歴史その ものではなく「分断体制資本主義」としての韓国経 済の展開過程にあるとする。分断体制とは,始発段 階において植民地統治の終焉による朝鮮経済の日本 経済圏からの離脱と,朝鮮半島の南北の分断という 「二重の分断」に規定された体制を指す。著者のね らいは韓国経済の担い手である財閥の展開過程を分 析することを通じて,分断体制資本主義の生成・発 展・転化のプロセスを明らかにすることにある。し かし,本書の後半では分断体制と財閥の関係は各章 末に「付け足し」のように言及されるのみになって いる。現実の財閥の成長過程が分断体制とは別の様 々な要素に規定されるようになっていることを反映 していると思われるが,問題設定と議論の展開をも う少し厳密に関係づける作業をおこなえば,より完 成度の高い著作になったのではないかと思われる。 第2には,第1の点とも関連するが,財閥の成長 と韓国経済の発展の関係を著者がどのように捉えて いるかという点である。序章で著者は,財閥の内部 取引は個々の財閥にとっては合理的な選択であった かもしれないが,「国民経済全体の資源配分の効率 性を考慮すると,財閥こそは貴重な資源を浪費する 元凶以外の何ものでもない」(5ページ)と断じて いる。その後の各章では財閥が韓国の高度経済成長 期に積極的な事業展開をおこなっていた過程を詳細 に論じており,財閥が経済成長を牽引した側面があ ることを読者に印象づける。財閥の存在が韓国経済 の発展に果たしてきた役割(プラスにせよマイナス にせよ)について,著者が時代ごとにどのように整 理しているのか,今ひとつはっきりしていないこと が惜しまれる。 しかし,以上の点は先に指摘した本書の魅力から すれば些末なことかもしれない。本書から読者は, 政府の各種政策に支えられて成長を遂げた韓国の財 閥が,やがては自律的に経営を展開するようになり, ついには一国の枠を超えてグローバルな展開をみせ るようになるものの,通貨危機を経て抜本的な構造 調整を余儀なくされるに至る歴史のダイナミクスを 実感することができる。研究者や大学生はもちろん, 韓国財閥に関心のある一般読者に至る広い層に一読 を勧めたい。 (アジア経済研究所新領域研究センター)

鄭章淵著

『韓国財閥史の研究

──分断体制資本主義と韓国財閥──

日本経済評論社 2007年 vi+433ページ 90 『アジア経済』XLVIII−11(2007.11)

参照

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