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アジ研ワールド・トレンド No.253(2016. 11)
アフリカ開発会議(TICAD)の四半世紀を振り返る
―『アフリカレポート』掲載記事から―
岸
真由美
今年八月、第六回アフリカ開発会
議(
T
I
C
A
D
Ⅵ
)
が
ケ
ニ
ア
の
首
都ナイロビで開催される。TICA
Dは一九九三年から五年に一度の間
隔で開催されてきたが、今回は初め
てアフリカで開催される会議となる。
本稿では、六回目を迎えるTICA
Dの四半世紀を振り返りながら、ア
ジア経済研究所が発行するアフリカ
専門誌『アフリカレポート』からT
ICAD関連の記事を紹介する。
第
一
回
会
議(
T
I
C
A
D
Ⅰ
)
が
開催された一九九三年当時は、冷戦
終結に伴う旧社会主義圏への援助の
増加や、目に見える成果が出ない援
助への倦怠感から、先進国の対アフ
リカ支援は消極的となっていた。ア
フリカ諸国のあいだで、アフリカが
抱える問題が「周縁化」され国際社
会の関心が薄れることへの危機感が
広まるなか、国際社会のアフリカへ
の関心を喚起するため日本がイニシ
アチブをとって開催したのがTIC
ADである。第一回会議ではオーナ
ーシップ(自助努力)と支援する国
際社会のパートナーシップを理念と
する「東京宣言」が採択され、一九
九八年に開催された第二回会議(T
I
C
A
D
Ⅱ
)
で
は、
ア
フ
リ
カ
開
発
の目的・目標および行動のガイドラ
インを定めた「東京行動計画」が採
択された。
第
三
回
会
議(
T
I
C
A
D
Ⅲ
)
は
二〇〇三年に開催され、参加国はア
フリカの元首二四名を含む八九カ国、
四七国際機関に拡大し、二〇〇一年
にアフリカ統一機構(OAU)の後
継として発足したアフリカ連合(A
U)の委員長も参加した。この会議
では、アフリカ自身が策定し二〇〇
一
年
の
A
U
首
脳
会
議
で
採
択
さ
れ
た
「
ア
フ
リ
カ
開
発
の
た
め
の
新
パ
ー
ト
ナ
ー
シ
ッ
プ
」(
N
E
P
A
D
)
へ
の
国
際
社会の支援が合意され、TICAD
の制度化と継続開催が決定した。
第
四
回
会
議(
T
I
C
A
D
Ⅳ
)
は
二〇〇八年に開催された。これに先
立ちアフリカをとりまく経済情勢は
大きく変化した。一九八〇年代以来
低迷していたアフリカ経済が資源価
格の高騰などを背景に二〇〇三年以
降急に成長に転じた。新興国が新た
な開発パートナーとしてアフリカに
急接近し、中国アフリカ協力フォー
ラム(FOCAC)やインド・アフ
リカフォーラム首脳会議
(IAFS)
などが開催されるようになった。
白
戸圭一「TICADはアフリカでど
う評価されているのか:政策当局者
間
の
会
談
か
ら
考
え
る
」『
ア
フ
リ
カ
レ
ポート』
四六号
(二〇〇八年三月)
は、
参加したアフリカ諸国の関心が、従
来の援助頼みから援助と投資を組み
合わせた経済開発にシフトしたと述
べ
て
い
る。
こ
う
し
た
情
勢
を
反
映
し、
第四回会議では「官民連携」が打ち
出され、日本の支援策として「民間
投資の倍増」が表明された。
二〇一三年の第五回会議(TIC
A
D
Ⅴ
)
で
は、
民
間
投
資
の
重
要
性
がさらに強調され、アフリカ首脳と
日本の民間企業の代表が直接対話を
行
う
初
の
セ
ッ
シ
ョ
ン
も
設
け
ら
れ
た。
平野克己「援助から投資へ:TIC
A
D
Ⅴ
を
ふ
り
か
え
る
」『
ア
フ
リ
カ
レ
ポート』五一号(二〇一三年)
は援
助から投資へ方針転換した第四回会
議および第五回会議の背景、会議開
催前後の状況を解説している。
TICADがFOCACやIAF
Sと比較対照されるようになるなか、
望月克哉「TICADプロセスの現
段階」
『アフリカレポート』
四六号
(二
〇〇八年三月)
、および
吉田栄一「ア
フリカ開発会議の成果と課題:第四
回
横
浜
会
議
を
終
え
て
」『
ア
フ
リ
カ
レ
ポート』
四七号
(二〇〇八年九月)
は、
アフリカ開発の理念を話し合う国際
フォーラムとしてのTICADの位
置付けや援助の手法を問い直す必要
性に言及している。
今年八月開催の第六回会議(TI
C
A
D
Ⅵ
)
に
つ
い
て
は、
六
月
に
ウ
ェブ公開された
白戸圭一「TICA
D
Ⅵ
と
日
本
の
経
済
界
」『
ア
フ
リ
カ
レ
ポ
ー
ト
』
五
四
号(
二
〇
一
六
年
)
が、
開発資金に対するアフリカ側と日本
経済界側のニーズのズレを考察して
いる。なおこの他にも数本の特集記
事が今後『アフリカレポート』に掲
載予定である。
最後に、前述以外のTICAD関
連記事を紹介する。
•
国分圭子「第二回アフリカ開発会
議
を
振
り
返
っ
て
」(
小
特
集
T
I
C
A
D
Ⅱ
)『
ア
フ
リ
カ
レ
ポ
ー
ト
』
二八号(一九九九年三月)
。
•
尾関葉子「TICAD
Ⅱ
に期待さ
れたもの」同右。
•
平
野
克
己「
T
I
C
A
D
Ⅲ
と
T
I
C
A
D
イ
ニ
シ
ア
テ
ィ
ブ
」『
ア
フ
リ
カレポート』三八号(二〇〇四年
三月)
。
•
小
峯
茂
嗣「
T
I
C
A
D
Ⅲ
と
N
G
Oの参画」同右。
•
平
野
克
己「
T
I
C
A
D
Ⅳ
の
焦
点
と
は?」
『
ア
フ
リ
カ
レ
ポ
ー
ト
』
四
六号(二〇〇八年三月)
。
•
落
合
雄
彦「
T
I
C
A
D
を
超
え
て:
日本のアフリカ外交のエクリチュ
ールを考える」同右。
•
望月克哉「開催都市・横浜の取り
組み:TICAD開催地問題につ
いて考える」
『アフリカレポート』
五一号(二〇一三年)
。
•
白
戸
圭
一「
『
テ
ロ
対
策
』
に
象
徴
さ
れる新たなアフリカとの関係」同
右。
(
き
し
ま
ゆ
み
/
ア
ジ
ア
経
済
研
究
所
図書館)
16_ライブラリー.indd 45 16/09/22 13:54