情報 伝 達遅 れ を考 慮 した
並 列化 集 積 システ ム の性 能 限界
Ultimate Functional Throughput of Integrated Systems;Effect of Data Transfer Delay.
奥 戸
雄 二 、磯 本
征 雄 、 清水
昭信
Yuji OKUTO, Yukuo ISOMOTO,
Akinobu SHIMIZU
概 要 不 確 定 性 原 理 と熱 雑 音 の 限 界 を考 慮 す る事 に よ り、 単 一 素 子 か ら生 体 の よ うな 超 並 列 シス テ ム ま で の 基礎 的 な 性 能 限 界 を 統 一 的 に評 価 す る方 法 を示 し、一 定 の シ ス テ ム パ ワー で 演 算 処 理 を 行 う場 合 に は少 数 素 子 で の 高 速 動 作 よ りも 、 む しろ 素 子 の パ ワ ー を 制 限 して 素 子 数 を増 大 させ 、 並 列 度 を増 大 させ る方 が 情 報 処 理 シ ス テ ム と し て 高 性 能 の え られ る 事 を既 に 示 した 。 本 報 告 で は シ ス テ ム の 有 限 の 大 き さの 為 に 生 ず る 情 報 伝 達 遅 れ の シ ス テ ム 性 能 劣 化 へ の 影 響 の度 合 い を 検 討 し、 多数 の 低 速 素 子 を用 い た シ ス テ ム で は シ ス テ ム サ イ ズ が 大 き くな る に も か か わ らず 、少 数 の 高 速 素 子 を用 い た場 合 に 比 べ て 高 い 性 能 の え られ る事 を 示 した 。 ま た 素 子 の微 細 化 は 情 報 伝 達 距 離 を 低 下 させ る た め 重 要 で あ る 事 を示 し た 。' Abstract
Ultimate functional throughput of integrated systems has already been evaluated using uncertainty principle and the thermal limit. In previous treatment, however, data transfer delay was not included. In this paper, the effect of data transfer delay is evaluated. The data transfer delay drastically degrades performance of systems made of fast switching devices. In contrast, performance degradation of systems made of
numerous slow switching devices in parallel manner is found to be small. It is shown that the design rule reduction helps to reduce system performance degradation. In addition it is also shown that the importance of realizing system architecture to limit the effect of the data transfer distance.
1は
じめ に
従 来 情報 処理 技術 はそ のハ ー ドウェア技術 の進 歩 、特 にそ こに用 い られ る基本 素 子 の高速 化 に依 存 しつ つ 、そ の性 能 ・機 能 を高 めて お り、 そ の性能 を示 す 指数 であ る フ ァン クシ ョナ ル スルー プ ッ ト、Ft(単 位 時 間 に行 える処 理 の数 に対応 し、MIPS、FLOPS等 で示 され る)は 継 続 的 に増 大 してい る。 ま た この よ うな基 本 素子 性 能 の 向上 に頼 る以外 の方 策 と して 、演算 部 を多 数並 列化 して結 果 的 に高速 処理 を達 成 しよ うとす る並列化 システ ム技術や パ イ プ ライ ン方式 な ど、各 種 アー キテ クチ ャー の改 善 もな され て来 て い る。 特 に並 列 度 に関 してはす で に1万 程 度 迄 実現 され て居 り[1]、 システ ム性 能 は 向上 して い るが、此 処 で も各 々 の演 算 部 の処理 速度 の 向上 が性 能 向上 に貢 献 す る。 他 方上 記 の よ うな高速 で 比較 的パ ワー を消費 す る素子 を用い る従 来 の情 報処 理装 置 に対 して 、人 間の脳 に代表 され る よ うな低 パ ワー 、低 速 の素 子(ニ ュー ロン)が 多数(10 10以上)超 並列 に協調 して動作 す る こ とに よ り、 あ る種 の情 報処 理 に於 い ては前述 の 装置 と同等 も しくは優 れ た性能 を示す こ とが 知 られ てい るが 、 これ らを全 体 的 、統合 的 に比 較 、説 明す る取扱 い は従 来 存在 しなか った。 これ に対 して、筆 者 の一 人 が物 理 的極 限制約 で ある不確 定性 原 理 と熱 エネル ギー制 約 を考 え る こ とに よ りこれ らの システ ム の性 能極 限 を 瓦 と素子 の スイ ッチ ング時 間 τ との関係 で 表す 基礎 的 な方 法 を提 案 した。[2] この方 法 を用 い る と単一 素 子 か ら超 並列 装置 まで を含 む情報 処 理 システ ム と、超 並 列動 作 してい る と思 われ る生体 での情 報処理 な どの性 能 を共 通 の場 で比較 で き る。 そ の方法 はまず動 作 温度 とシステ ム全体 の 処理 に要 す るパ ワー を設 定 し、次 に システ ム を 構成 す る最少 単位 スイ ッチ素 子 のスイ ッチ時 間 τ を変 化 させ なが らそれ に対応 す るスイ ッチ 素子 の最 低 限必 要 なパ ワー を不確 定性原 理 と温 度 制約 か ら求 め、 それ らの大 きい 方 を本来 の 必要 パ ワー として採 用 し、幾つ かの スイ ッチ ン グ素子 を組 み合 わせ た演 算 単位;PUの 操作 に 要す るパ ワー並 び に その演 算 時 間 を決 定 す る。 それ らを用 い て システ ム と しての並 列度 を算 出 し、 フ ァ ンク シ ョナル スル ー プ ッ トを求 め るもの であ る。 得 られ た結 果 の概 略 を図1に 示す。 此 処で横 軸 は用 い られ るス イ ッチ素 子 の 丁 で あ り、先 に述 べ た制約 に従 いTの 増 大 と共 に単位 素子 のパ ワー を減 少 させ得 るた め、 シス テ ムの並 列 度 が増大 す る。縦 軸 はそ の スイ ッチ を用 いて 実現 され る極 限 の 瓦 で あ る。 図 の領 域1(筋 よ り高速側)で は不確 定性 原 理 が性 能 を制限 してお り、領 域II(τcよ り低 速側)で は熱エ ネル ギー が制 限 してい る。 また図 中の(a)∼(d)は 各 々の領 域 で並列 度 が 制 限 され た場 合 に対応 す る。 この結 果 は特 定 の システ ムパ ワー並 び に動作 温度 に対応 す る物 で あ り、 これ らのパ ラ メー ター を変 化 させ た場合 には 図1は 変化 す るが それ らにつ いて は別 途付 録 に述 べ る。 図1か ら明 らかな よ うに一般 的 に不確 定性 原理 で制 約 され る高速 でパ ワーの 大 きい物 を用 い た システ ム よ りむ しろ熱 エネ ル ギー で制約 され る低速 、低 パ ワー の物 を多数並 列 動作 させ る方 が シ ステ ム と して得 られ る極 限 の 瓦 は大 き くな る こ とが期 待 され る。図1:基 本 スイ ッチ素子 の スイ ッチ 時 間に対 す る 名 の並 列処 理ユ ニ ッ ト数依 存。 図 中領 域(1)で は 不確 定性 原 理が性 能 を制 隈 してお り、(II)で は熱制 約 が性能 を制 限 してい る。 また(d)は 並列 動作 が無い 場合 、(c)、(b)は 並列 度 が領域(1)並 び に(II)の 領域 で制約 され た場合 で あ り、(a)で は、 処理 ユ ニ ッ ト数 が性 能 を制約 しない 場 合 で ある。 し か し な が ら 以 上 の 議 論 で は 近 来 情 報 処 理 装 置 で 顕 在 化 し て い る 情 報 伝 達 遅 れ の 影 響 が 考 慮 され て い な い 。 本 報 告 で は 上 記 取 扱 に 情 報 の 伝 達 遅 れ を 取 り入 れ た 場 合 の 結 果 を 報 告 す る 。
2情
報 伝 達 遅れ の数 式 化
情 報伝 達遅 れ の シス テ ム性 能 に及 ぼす影 響 を求 め るた め に下記 の よ うな仮 定 を設 け て数式 化 を行 った。 仮 定1: 有 限 の寸法 を持 つ システ ム を用 い て演 算 を行 うた めに はス イ ッチ素 子 の処 理時 間 と共 に情 報 を伝 達 す るた めの 時 間 が必 要 にな る。 この伝 達 時間 は電 気 的な 処理 に於 い て は回路 の大 き さの み な らず 回路 の抵 抗 、容 量 等 が問題 に な り、そ の 取扱 や 予測 は詳 細 に行 われ て い る[3]。 しか し此処 では検 討 対象 を特 に電気 的 回路 に 限 らない の で、伝 達 時 間の算 出 には本来 素子 構 造 毎 に考 慮 しな けれ ばな らないの だが 、こ こで はその最短 時間 を与 える光速;Cを 用 い、更 に は情報伝 達 に要す るパ ワー も対象 とす るデバ イ ス構成 で異 な るた め ここで は無 い もの と した。 仮 定2: 前報[2]と 同様 に情報 処理 単位;PUは 複 数 個;2×m個 のス イ ッチ ング素子(i個 が 並列 に、m個 が直列 に組 み合 わ さっ てい る)か ら成 っ てい る と仮 定 し、有 限の大 き さ(1辺L)の 正 方形 で あ る と した。 仮 定3; 情報 の伝 達遅 れ はPU内(Intrα-PU)とPU間(Inter-PU)で 発 生 し、それ らは各 々 PUの 大 き さ、システ ムの 大 き さ(PUの 大 き さ並び にPUの 数)す なわ ちPUを 構成 す る基本 スイ ッチの 大 き さ とPUの 数 に依 存 す る。
処 理 の 内容 に よって、 情報 伝達 距 離 は大 き く変 化 す るが 、 ここで は構 造解 析 な どの よ うに 情報 を近接 の素子 ま たはPUに 伝 達 す る こ との多い場 合(Nearest)、 並 び に情 報 の伝 達先 が
ほ と ん ど ラ ン ダ ム な 場 合(Random)の2つ の 極 限 に 対 し て 検 討 を 行 っ た 。
こ の よ う な 仮 定 を 行 う と 、 シ ス テ ム の 処 理 時 間 、Tay,は 、Tay,=m×Tswitch+Tints+Tinter
と な る 。 こ こ にTintr、 はPU内 で の 伝 達 遅 れ で あ り 、TinterはPU間 で の 伝 達 遅 れ で あ る 。 こ の 内PU内 で の 情 報 伝 達 遅 れ 、Tintr、 に 関 し て は 前 述 の 最 近 接 素 子 へ の 伝 達 が 主 な と き は 、 PUが 一 辺Lで あ り,PUはm×i個 の ス イ ッ チ 素 子 よ り成 っ て い る た め 、 最 近 接 のswitch間
で の 情 報 伝 達 遅 れ は(L/(17L21/2)/0で あ り、 伝 達 が ラ ン ダ ム な 場 合 は 平 均 的 に は 信 号 が チ ッ プ の 一 辺 を 伝 達 す る と 仮 定 す れ ば 伝 達 遅 れ は 五/0と な る 。 こ こ で 伝 達 距 離 をLと し た 理 由 は 、 付 録 に 詳 細 に 示 す よ う に 、 配 線 層 数 に 制 限 が 無 く、 斜 め 配 線 を 許 す と 、 配 線 の 平 均 長 は0.52Lと な り、 直 交 す るxy方 向 の み に 配 線 を 行 う(複 数 回 のxか らyへyか らxへ の 折 れ 曲 が り を 許 す が 必 ず 目 的 に 近 づ く よ うに 配 線 を 行 う と す る)と 、 配 線 長 の 平 均 値 は0.67Lと な る 。 但 し 、 現 実 の 配 線 で は 、 配 線 層 数 な ど に も 制 約 が 有 る の で こ こ で は 配 線 長 の 平 均 をLと 仮 定 し た 。
ま たPU間 の 遅 れ 、Tinte.も 同 様 に 最 近 接PUへ の 情 報 伝 達 が 主 な 場 合 は 、L/Cで 書 き 表 さ れ 、Randomな 場 合 は シ ス テ ム がn個 のPUか ら成 る と し て 、 シ ス テ ム を を 平 面 に 配 置 す る こ と を 仮 定 し 、Tintraの 場 合 と 同 様 に 信 号 が シ ス テ ム の 一 辺 を 伝 達 す る と仮 定 し て 、 伝 達 遅 れ は(√n ×L)/0と な る 。 こ の 場 合 のFtの 求 め 方 は 先 ず シ ス テ ム の パ ワ ー;W並 び に 温 度 を 仮 定 し 、Tswitchを 変 化 さ せ て 各 々 の 条 件 で の ス イ ッ チ 素 子 の パ ワー:pを 求 め 、 次 にPUご と の パ ワー を 求 め 、 こ れ か ら シ ス テ ム のPσ の 数 を 求 め 、 仮 定 し たPU寸 法 か ら シ ス テ ム サ イ ズ を 求 め て こ れ ら を 用 い て 上 記 の 情 報 伝 達 遅 延 を 算 出 し 、 そ れ を 含 め た 各 素 子 の 遅 延 を 求 め て そ の 値 と 、 前 に 求 め たPUの 数 と を 用 い てFtを 求 め る 。
こ こ で 、Ft=NPU/Tsys,で あ り、NPUは シ ス テ ム を 構 成 す るPUの 数 で あ り、Tsysは 一
つ の 処 理 を 行 うの に 必 要 な 時 間 で あ る 。 こ の 内 、NPUはTswitchが 熱 制 限 の 下 で の 最 小 ス イ ッ チ ン グ 速 度Toilよ り小 さ い と き は 、NPσ=(271'WTwitch)/(hi)で あ り、Tswitchが 前 述 のTcril よ り 大 き い と き は 、NPU=WTswit。h/硫 丁の と な る 。
ま たTsy,は 前 述 の よ う にTsys=m×Tswitch+Tintr、+hinterで 表 され る 。 こ の 内 、TintTaとTinter は 各 々 先 に 述 べ た 、Nearest;NNとRandom;Randの2種 類 の 場 合 が あ る の で そ れ ぞ れ 個 別 に 組 み 合 わ せ に 対 し て 評 価 を 行 う必 要 が あ る 。 更 に こ れ ら の 取 り扱 い に 於 い て も 前 報 で 詳 述 し た よ う に 、NPUはPUの 個 数 で あ る の で 整 数 で あ る 為 にNPUの 小 さ い 場 合 の 取 り扱 い に 注 意 を 要 す る 。 ま た 更 に 極 限 と し て 、PU数 が1で あ る 場 合 はPU間 の 伝 達 遅 れ は 存 在 し な い し 、 更 に は PU内 の 素 子 が1個 で あ る よ う な 極 限 に 於 い て は 情 報 伝 達 遅 れ は 単 にTswitchと な り、 従 来 の pt 積 で 評 価 で き る 物 に 成 っ て い る こ と に 注 意 を 要 す る 。
3シ
ス テム性 能 に及 ぼす 影響 の数値 的評 価
前 節 で 得 られ た 結 果 を 数 値 的 に 評 価 し た 結 果 を 、 図2、3、4に 示 す 。 こ れ ら の 結 果 は 前 報 [2]と 直 接 比 較 が 出 来 る よ う に 、 全 て 温 度300K、 ス イ ッ チ ン グ パ ワ ー1Wの 場 合 で あ り 、 さ
ら にPUの 構 造 で はm=i=100を 仮 定 し て い る 。
図2:PU内 並 び にPU間 の 情 報 伝 達 が 共 にNearestに 行 わ れ る場 合 のFtとTswitchの 関 係 。 こ こ でPUの サ イ ズ は 、10mm角,1mm角,0.1mm角 に 変 化 させ て い る 。(温 度 は300Kに 固 定)
図3:PU内 並び にPU間 の情報 伝 達 が共 にRandomに 行 われ る場 合 のFtとTswitchの 関係 。 こ こでPUの サ イ ズは 、10mm角,1mm角,0.1mm角 に変化 させ てい る。(温 度 は300Kに 固定)
図2は 、 シ ス テ ム の 全 ス イ ッ チ ン グ パ ワ ー を1Wと し た 場 合 のFtの ス イ ッ チ 時 間 丁 に 対 す る 依 存 で 特 に 情 報 伝 達 がPU内 、PU間 で 最 も 短 い 場 合(双 方Nearest)で の 結 果 で あ る 。 ま た パ ラ メ ー タ ー と し てPUサ イ ズ が0.1mm角 、1mm角 、10mm角 に 変 化 させ て あ る が こ れ は い わ ゆ る デ ザ イ ン ル ー ル と 素 子 構 造 の 複 雑 さ に 依 存 す る 物 で あ る 。 図3は 、 図2と 同 等 で
図4:PUサ イズ を1mm角 に固定 し、PU内 、PU間 の情 報伝 達 をRandom、Nearestに 変化 させ た場 合 の 瓦 とTswitchの 関係 。(温 度 は300Kに 固定)
あ る が 情 報 伝 達 先 がRandomな 場 合 の 結 果 で あ る 。 図4はPUサ イ ズ を 一 定 に し て 、PU内 、 PU間 のNearestとRandomの 組 み 合 わ せ の 効 果 を 調 べ た も の で あ る 。 こ れ ら の 図 か ら 明 ら か な よ う に 、 伝 達 遅 れ は 高 速 ス イ ッ チ を 用 い た 場 合 に 影 響 が 大 き く 低 速 素 子 を 用 い た 場 合 に は あ ま り影 響 が 無 い こ と を 示 し て お り、 究 極 の 性 能 を 得 る た め に は む し ろ ア ー キ テ ク チ ャ ー 的 に 可 能 な 限 り、 低 速 素 子 を 多 数 並 列 に 動 作 さ せ る 方 が 望 ま し い こ と を 示 し て い る 。 ま た 情 報 伝 達 に 関 し て は 全 て の 図 か ら 明 ら か な よ う に 、 情 報 伝 達 先 がRandomな 方 が 影 響 が 大 き い 事 が 明 ら か で あ る 。
4従
来 の素 子 性 能 評 価 法,Pτ 積 との 関 係
従 来 か ら素子 の 動作 速度(即 ち1/ )を 大 き くす る為 にはデ バ イ ス構 造 一 定(pτ 積 一定) で はパ ワー を大 きくす るこ と、ま たpT積 を小 さくす る よ うな新規 デバ イス構 造 を採 用 した場 合 にで もパ ワー を大 き くす る こ とで速度 を向上 させ 得 る事 が知 られ てお り、単体 デバ イ ス の 開発 指針 と して広 く用 い られ て きた。 ま た このpt積 の減 少 はpT=kTとpt2=hで 規制 さ れ る こ とは従 来 か ら知 られ て い る。 この事 を 昂 の観 点か ら見 る と、kT=一 定 と云 う部 分 は、 瓦 一 定、す なわ ち図1の τ〉tcriの 部分 のFtに 対応 してい る。 他方 、p72>ん の部分 は、 図 1のTmin<T<Tcri間 のFtvstの 関係 に対応 して い る。 こ の よ うな観 点 か ら見 れ ば例 え ば 素 子 の ス ピー ドを遅 く(τ を大 き く して)パ ワ ー を小 さ く す る こ とも考 え られ るで あろ うが、携 帯機器 等の 動作速 度 の遅 い 物 で低電 力 の システ ム用 の素子 開発 の観 点 以外 にはそ の方 向を進 める物 は な く、前 回 の報 告 は低 速低 電力 のデバ イ ス を 例 えば シス テ ムのパ ワー を一 定 にな るだ け集積 す る こ とに よ り、 シ ステ ム と しての性 能 は高 速 素 子 を同一 パ ワー にな るだ け集 積 した システ ムの性能 と比 べ て勝 る とも劣 らない こ とを示 した物 であ り、今 回報 告 の伝達 遅延 ま で を考 慮 した取 り扱 い の結果 は、従 来 の高 速 素子 を集 積 した物 よ りも低 速 素子 を多数集 積 した シス テ ムの方 が優 れ た性 能 を示 す こ とを示 して お り、 今 ま で強調 され てい なか っ た新 しい指針 を与 え る物 であ る。
5ま
と め
与 え られ た システ ム のパ ワー 並び に動 作温 度 に於 い て並列 化 を許 した状 態 で最 大 の演算 性 能(フ ァン ク シ ョナル スル ー プ ッ ト)を 得 るた めの シ ステ ム構成 とそ こに用 い られ るスイ ッ チ ング素子 の性 能 につい て情 報伝 達 遅れ を考 慮 して検討 を行 った。 そ の結 果 シ ステ ム として はむ しろスイ ッチ ング速度 を遅 く して動 作パ ワー を少 な く した素子 を多数 並列 化 させ た構 造 の方 が高 い演算性 能 を与 え る こ とが明 らか に され た。 ま たそ の過程 に於 い て従 来デ バイ ス性 能評 価 に用 い られ て きたpτ 積 の表 現 囚 を集積 化 シ ステ ムの評 価 に用 い る こ とが出来 る よ うに記 載方 法 な らび にそ の意 味 を新 た に整 理 し直 した 物 を検討 し、集積 化 システ ム評価 の新 た な指 針 を提案 した。 この要求 を満 たす た めに は、並 列化 の アー キテ クチ ャ、 な らび にそ の極 限 を追求 す る必 要 のあ る こ とを示 した。 ま た検 討 結果 か ら微 細化 は伝 達 距離 を短 くす るた め に遅 延 の効 果 を低 下 させ るので 重要 で ある。 更 に ここで求 めた極 限 は理想 的 な物 であ り、 ノイ ズな どに よる現 実 の極 限 は ここで求 めた 物 よ りも う少 し低 い性 能 領域 で 問題 にな って くるだ ろ う。参考文献
[1] http://www.11nl.gov/asci/overview
[2] Y. Okuto, Jpn. J. Appl. Phys. 35 (1996) L612 - L615
[3] J. Rubinstein, "Signal Delay in RC Tree Networks", IEEE Trans. on CAD , Vol. CAD-2,
No.2, p.202 - 211, July 1983
付 録A AFt vs τswitchの シ ス テ ム パ ワ ー 並 び に 温 度 依 存 性 。 A.1 シ ス テ ム パ ワ ー 依 存 性 システムパ ワーPs、 即 ち温度一定 の条件 の下 ではスイ ッチ に要す るパ ワー に対 し 瓦 は、図5 の よ うに変化す る。即 ち熱 制 限の下 では 瓦 は 瓦 に比例 して変化 し、不確 定性原 理制約 の下 で も基本 的 にはPsに 比例 して変化す るが最 終的 に到達 す る最小 の スイ ッチ ン グ速度 τmin1は 瓦 の1/2乗 に比例 す る。ま た 瓦 が小 さ くなって τmin1が τcまで増加 す る(Ps=(kT)2/I/(h/2π) :そ の 時Tmin2も τcであ る)と 、 それ以 下 の 瓦 に対 して は最小 の スイ ッチ ング時 間 は τmin2 とな りP-1に 比例 して増 大 す る。 A.2 温 度 依 存 性 システ ムパ ワー一 定 の条件 の下 では、温度 の変化 に対 してFtは 図6に 示す よ うに変化 し、温 度 の上昇 と共 にTcも 低 下 し、 τmin1=Tc=τmin2の 温度 を超 える とTucは 表れ な くな り、 τmin2 が最低 の スイ ッチ ング時 間 を決 める こ とにな りそ の値 はkTに 比 例 して増 大 す る。
図6:シ ス テ ム パ ワ ー 一 定 の 条 件 の 下 で 温 度 を 変 化 させ た 場 合 のFtとTswitchの 関 係 。
付 録B
B Random結
合 の 場 合 の チ ッ プ上 で の 配 線 長 の 予 測
こ こでは1辺Lの 正方 形上 にRandomに 配線 を行 った場合 の 平均 配線 長 を導 出す る。 但 し ここで の取 り扱 い では 、配線 層数 の 制約 は ない物 とした。 B.1 最 短 距 離 直 線 で の 結 線 の 場 合 正方 形(x、x+dx)×(y、y+dy)の 中に1点Pが 入 る確 率 は 渉砒 吻 で あ るか ら、求 める 平 均 値1は 、と な る 。 こ こ でu=Lx,v=Lyと お く と 、dudv=L2dxdyと な り 、 積 分 領 域 はD= [0,1]×[0,1]で あ り 、 平 均 値 は 積 分 、 4五み 痢(・ 一)(・ 一〃)dxdy とな り、 この積 分 を実行 す る と、結 果 は、 15 とな り、 これ は数値 的 には0.521Lと なる。 B.2 直 交 す るx,y軸 に 沿 っ て 配 線 す る 場 合 x軸 か らy軸 、y軸 か らx軸 へ 何 度移 って も良い が、 逆方 向 には行 か ない もの とす る。 B.1と 同様 に この場 合 の平均 配線 長 は 、 LLLL I_f OOOO{@・-2)+(9・ 一 馳)}2dxldyL・2dx2dy2L と 表 さ れ る 。 前 の 場 合 と 同 様 にxl‐x2がxよ り 小 さ い な ど の 確 率 を 用 い て 、 平 均 値 は 、 領 域 、D=[0,1]×[0,1]に 対 す る 積 分 、 4LD(x+y){1-x)(1-y)dxdy で 表 さ れ 、 積 分 結 果 は 21 =一 五 3 と な り、 数 値 的 に は0.67Lと な る 。