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[紹介] Jyoti Saraswati, Dot.compradors : power and policy in the development of the Indian software industry

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Academic year: 2021

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[紹介] Jyoti Saraswati, Dot.compradors : power

and policy in the development of the Indian

software industry

著者

佐藤 創

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジア経済

54

4

ページ

200-200

発行年

2013-12

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/1290

(2)

紹   介 『アジア経済』LⅣ4(2013.12) 200 1990年代に輸出の急伸したIT産業が脚光を浴び て,インドのイメージも随分と変化したように思わ れる。カーストや貧困といった従来のインド観に, 数学や英語が得意でITに長けた人材を輩出する国 という新しいイメージが結びつき,広く共有されつ つあるのではないだろうか。このIT産業の発展に ついては,日本においても強い関心がよせられてき た。しかし,その発展の歴史や実態についてどこま で正確な理解が伴っているだろうか。 本書において,ニューヨーク大学で教鞭をとる著 者は,インドのIT,とくにソフトウェア産業につ いて流布しているイメージや俗説はいわば「神話」 にすぎないものが多いと主張し,そうした神話から 事実がいかに乖離しているか,一つひとつ紐解いて いく。その手際は実に鮮やかである。 たとえば,著者は,その成長にとって重要であっ たのは1991年の経済自由化であると理解し,つまり 政府の介入がなかったためにソフトウェア産業は発 展したと把握する考えを否定する。同時に,政府は テクノロジー・パークの設置によるインフラ整備な ど適切な産業政策を展開しており,つまり開発志向 の政府介入の役割が重要だったとする認識に対して も,誤解を招く不正確な理解であると手厳しい。 なぜ両極の見解がいずれも受け入れがたいのか, 例として揺籃期についての著者の議論を紹介してみ よう。そもそもソフトウェア部門発展の端緒は,国 防上の観点からハードウェアを生産する地場産業の 育成を目指した政策の採用(1970年)にある。ただ し,この政策の効果は限られており,ソフトウェア 部門の飛躍の契機は,1978年の政権交代と財閥の復 権により,ハードウェア生産について輸入キットに よるノックダウン生産を認める政策に事実上転換し たことにあった。ノックダウン生産されたハード ウェアにOSをインストールするといった内需が拡 大したからである。並行して1972年に実施されたソ フトウェア輸出スキームでは,ハードウェアの輸入 代替生産に必要な外貨の獲得に専念させるべく,ソ フトウェア企業に国内向けサービスを禁じていたた め,企業は輸出の経験を積んだものの全体としては 伸び悩んだが,70年代後半に国内サービスを条件付 きで認めて事態が好転しだした。このような政策の 形成と転換には政府諸機関,地場(国営および民 間)IT企業,外資さらにはユーザー(とくに財 閥)など関係当事者の利害とその衝突が反映されて おり,こうした政策の,時として意図せざる結果や 影響の累積により,当初は主眼であったハードウェ アの輸入代替という目的は次第に背景に退き,ソフ トウェアの発展が中心となっていったという。 インドのソフトウェア産業の今後については, ITの先端分野でさらに存在感を高めるよりは,付 加価値の低い分野に後退していく可能性があると著 者は懸念している。2000年代に入って,業界団体の イニシアティブを徐々に外資系企業が握り,とくに リーマン・ショック以降は,その利害を反映する考 え方や政策が展開しているからである。 本書はインドの高等教育制度についてはあまり触 れておらず,この点は他の文献で補う必要がある が,ソフトウェア産業の発展プロセスを,政府,財 閥,外資,ハードウェア部門などとの関係に適切に 目を配って論じていることに類例のない特徴があ る。各章は簡潔で要を得ており,読者の興味を離さ ない工夫も凝らされている。 本書のタイトルに使われている「コンプラドー ル」は,近世の東アジアにおいて,欧州資本のため に買い付けを担当した現地使用人をもともとは指 し,転じて,外資のために働く現地人を広く意味す るようになった言葉である。著者は,おそらくいく つかの意味を込めて本書に「ドット・コンプラドー ル」というタイトルを与えたとものと思われ,イン ドのIT,ソフトウェア産業はもちろん,インドの 政治経済,さらには後発国の経済発展一般に関心を もつ読者にぜひ一読をすすめたい。 (アジア経済研究所地域研究センター) 佐さ 藤とう  創はじめ  

Jyoti Saraswati,

London: Pluto Press, 2012, xxxiii+139pp.

Dot.Compradors: Power and

Policy in the Development of

the Indian Software Industry.

参照

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