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経済民主主義の確立にむけて(2): 沖縄地域学リポジトリ

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Title

経済民主主義の確立にむけて(2)

Author(s)

吉盛, 雅美

Citation

沖大経済論叢 = OKIDAI KEIZAI RONSO, 9(1): 39-93

Issue Date

1984-10-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/6742

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人間に とって労働 とは何か 性別分業が もた らす もの -母系社会が崩壊 し家父長制度 に移行 したときか ら今 日まで、ほ とん どの国にお いて、女性は私的家事労働 を担 い男性は社会的労働に従事す る q性別分業 "が 行なわれてい るが、ここで、人間 にとって労働 とは何か を考 えてみたい。ヘー ゲルは 『精神現象学 』のなかで、人間は労働を通 じて人間にな るとい ってい る。 また、マルクスの疎外論 には、労働のなかにこそ人間の本質が あるとする人間 観が横たわってお り、彼は労働共 同体のなかに人間 の本質 を見い出 している。 辞典 には 「労働は人類だけに特有 な活動であ り、労働 によって人間は 自然 を変 革す るとともに自己をも変革 して、精神的 ・肉休的能力 を発達 させ、文化を発 達 させる」 とある (『労働用語辞典 』、東洋経済新報社、1972.「労働 」 )0 人間は社会的動物であ り、社会のなかで成長 してい くものであ るか ら、ヘーゲ ルが 「労働 を通 じて人間にな る」 とい う場合の 「労働」や、辞典が説 明す る 「労働」 とい うことばは、私的労働 よ りも社会的労働 を意味す る部分が大 きい と思われ る。つま り、社会での労働のなかにこそ人間の本質が 見い出 され そ の労働 を通 して人間は成長 してい くのである。私的労働 は間接的に社会 とつな がっているものの,それにのみ従事 していると他の人間 と交わ りつつ 自己を変 革 してい く機会 も少な く、人間の成長 にとって好 ましくないのではないだろう か。 樋口恵子氏は、人間には精神の 自立、経済の 自立、そ して生活身辺の 自立が 必要であると述べている (樋口恵子編、前掲書、p154)。経済的に自立で きな いと性的自立 もあ りえないか ら、精神的、経済的、生活身辺、そして性的、 こ の4つが完成 されてはじめて トータルな人間 として生 きる条件が満た され るの だと思 う。現在、男性は生活身辺の 自立が不充分で、女性は経済的 自立か ら疎 外 されている。近代社会では、人は働 いて経済的に自立す ることによ り一人前 の人間 として認め られ るOだか ら、 q労働権は基本的人権 "Tごと憲法 に もうた われているが、女性 (妻 )の場合、男性 (夫 )に扶養 され ることを容認 されて いる代 わに、一人前の個人 として自立する権利 を認め られて いない。他の人に 扶養 されている人間には本当の 自由がない。 どんなに自由 にみ えて も、親がか りの学生には目に見えない親の拘束があるよ うに、夫に養 って もらってい る妻 -7

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3-は夫の掌の外へ は出 られず、他 人の従属物 として しか生 きられないのである (樋口恵子編、前掲書、p9)。以前にみた未来社会 を描いた映画では、地球の 人口が爆発 し衝 には失業者があふれ、安楽死が合法化 されるなかで、女性は家 具の一部 となって住宅 とともに売買 されていた。労働権が まだ確立 されていな い日本の女性 は、 自力で生活することが困難で老後の保障 もな く、あの映画の 女性た ちと同 じよ うな状態にあるの だが、案外 その ことに気づかない。あるい は気づかないよ うに仕向け られているのか もしれない。経済力を もつとい うこ とは、人が人間の誇 りを保 ちつつ生 きてい くうえでの支 えになるのであるか ら、 人間にとって経済的 自立は必要欠 くべか らざる ものだといえる。以上の ことか ら、性別分業 は女性の経済的自立を妨げ、基本的人権 を侵害することになるの で否定 されなければな らない。 しか し、多 くの人々は性別分業 を支持 している。なぜな ら、男性 と女性は身 体的に異な った機能 をもち、 そこか らあ らわれ る特性に沿 って性別分業 を行っ た万が、万事スムーズにい くのではないかと考 えられているか らだ。男は強い 力で女よ り優位 に立 ち女を守 ってい くべ きだとされ、子 ど もを産 む機能を もつ 女は元来や さしさや細やか さが備わ ってい ることか ら、女は男に従 ってい くも のだ として、男 らしさ女 らしさが要求 されて くる。そして、男は外で働 き、女 は家庭 を守 るのが 自然 だとい うことで、 ほとん どの人は性別分業 を肯定するの である。 また、 「子 どもへの影響」 といった点か らも性別分業の有利性が指摘 され る。 つま り、性別分業 をやめて男女 とも外で働 き仕事中心に生 きるとすれ ば、か りに家事が ある程席社会化 された として も団 らんの場である家庭の機能 は低下す るだろうし、子 どもが非行に走る可能性 も出て きて悪影響 を及ぼす と い うわけだ. けれ ど、子 どもへの影響 に関 して言 えば、親の背中を見て子 ども は育つ といわれ るよ うに、 どんな場合 にも親が子 どもの傍にい るのがいいとは 限 らず、子 どもにとって重要 なのはたんに親であることではな く、 その親が人 間 としてどのよ うに生 きているかが問題なの だ。それに、子どもへつ きっきり の世話が必要 なのはほんの一時期で、 その後、 たとえば母親 には30年に渡 る 長 い人生の午後が残 されるのであ る (金森 トシエ 『女の就職 』、唾紀 奮 房 、 1979、p13)。 この ことか らも、母性 を もつがゆえに私的労働に従事すべ きだ

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とする性別分 業の不合理性が指摘で きる。 性別分業 をな くし男女 とも社会的労働 に従事す るためには、家事労働の社会 化が必要になって くるが、た とえば育児な どのよ うに完全に社会化で きない分 野に関 しては、育児休暇の立法化な どが実現 きれなければな らない。 スウェー デンのある銀行で、 一年間の育児休暇が与 えられて男性が赤ん坊のめん どうを みている様子が フィル ムで紹介 されていたが、社会的労働 と私的労働の両方に 参加 して、彼は自分のなか にあ る新 しい面を発 見し、 ものの 見方 も変 わ って き たよ うだ と話 していた。性別分業 は、男性 を仕事人間 にとどめ、育児な どを通 して子 どもと接す ることので きる人間 らしい生活か ら疎外 し、 また女性の経済 的自立 を妨 げ男女差別 を生み出 し、男女か ら人間性を奪 い とる。 このよ うな性 別分業を肯定するわけにはいかないのである。 3.日本発本主義 i:支えているもの 一 家計補助労働 一 性別分業を否定 しな ければな らない最大の理由は、現在の資本主義社会で性 別分業か ら生み出 される男女差別が、資本側に利用 されて女性が高度 に搾取 さ れ、 その結果、労働者全休の社会的地位低下につなが ってい くか らであるO性 別分業の存在は労働者の生活 をますます悪化 させてお り、この ことは欧米諸国 に比べ男女差別の大 きい日本に典型的にあらわれてい る。 日本独 占資本の高度搾取 を可能 にな らしめた ものは、労働力 を再生産す るの に充分 とはいえないほどの低賃金で雇 うことので きた農村労働者の存荏である。 つま り、農村の自給経済 と主婦の家計補助労働 によ り低賃金が補われていたの である。労働者は農村の 自給経済に支えなが ら、他方で資本家か ら受 け取 る賃 金を、その生活の補充にあてた。彼 らの労働力の再生産費は資本の商品で行な われたのではな く、大 きな部分 を農村での 自家労働によって生産 された生活資 料に依存 していたか ら、彼 らの もらい分が労働力の再生産費 よ りずっと少な く とも、その労働力は再生産 で きて、 このことは日本の独 占資本 にとって非常に 有利な条件 となっていた。わずかな賃金 コス トで大 きな利潤 を獲得 で きたか ら である。一方、低賃金 を農村のよ うに 自給経済で補 うこ とので きない都市の労 働者たちは、 これを妻や母の家計補助労働 (内職 ・アルバイ ト・パ ー ト)で補 - 75

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-うしかなかった。 日本のよ うに賃金の低い社会 ほど、主婦の家計補助労働が労 働力の再生産費のために費や されなければな らないのである。戦後は形式的に は男女平等 とな り、女性の意識 も向上 して経済的 自立 をめざす女性が多 くなっ た。 しか し、女性の社会的労働への参加が進んだのは女性 の意識のめざめだけ によるものではな く、男性の低賃金 を補 う必要 にせま られた うえでの ことだっ た。戦前戦後 を通 じて、女性を労働市場 に引 き出 して きた大 きな要因は工業の 発展で あった。女性労働 は機械生産の導入 とと もに生産の中に組み込 まれてい った。家事労働は、工業化が進むと家庭の外へ流れ出 し、主婦 の手はあ き、そ の財貨 を求めるために女性 は働 きに出る。これが産業革命以来、ずっと進めら れて きた女性労働の歴 史である (大羽綾子 「婦人労働の基本問題」大羽綾子他 編、前掲書、p77,87)0 こうして、高度成長期 を境 に夫婦 の共働 きが増 えて きたが、これは性別分業 が消滅 して女性が社会的労働 に参加で きるよ うにな ったか らではな く、夫の賃 金が家計 を支え きれな くな ったことと、限界労働力の開発 をめざす政府の積極 的労働力政策 による ものであった。高度成長 で大量生産 された各種の耐久消費 財の普及によ り、人々の生活は豊かにな ったよ うにみえた。 しか し、快適な生 活 を求めて消費需要が高 まるなかで収入の方はそれ伴わなか ったので、消費支 出 と賃金の帝雛が生 じ、 ともか く女性は働 きに出なければな らなかった。夫と 妻の二人が働 きに出 るな らば収入は当然増 えるはずだが、実質的には増 えなか った。極端な列 をあげるな らば、夫の労働力の価格 (賃金 )が10であったと して、高度成長期の消費支出の膨張は夫の労働力の価格 を引 き下げ、夫ひとり の労働力では1 0の収入 を得 ることがで きな くなったので、葦が働いて二人で 1∩の収入 を得 るのである。 だか ら、妻の社会的労働はあ くまで夫の1 0とい う収入を維持す るための家計補助労働 であ り、独立 した一個の社会的労働では なかったO 家事労働 を背負 ったままで社会的労働 (家計補助労働 )に従事す る女作の前 には、 当然矛盾があ らわれた。エンゲルスは、近代の個別家族が、賓の公然ま たは隠然た る家内奴隷制の うえに築かれているとして、女性労働の矛盾 を次の よ うに指摘 している

「現代の大工業がは じめて女に社会的生確への道 をひら

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いた。 だがその仕方 は、女が家庭での私的労役の義務 を果 たせば、公的生産か らしめ出 されたままとなって一文 も稼 ぐことはで きない し、 また公的産業に参 加 して ひと りだちで稼 ごうと思 えば、家庭の義務 を果たす ことがで きない、 と いうぐあいである。 そ して、女に とって工場 であるばか りか、いっさいの職業 部門で も同 じである」 (ェ ンゲル ス、前掲書、p94)。表2によると、管理、 表2, 労働種類別男女賃金格差 (JS期給 与1982) 職 種 男 性 女 性 男性に対する女性の比率 管理 、 事務 、技 術 労 働 277,728 131,949 4 7.5 出所 :労働省 「毎月勤労統計調査」 事務、技術労働 と生産部門労働 の女性の定期給与は、男性の半分以 下になって いる。女性は結婚すれば家庭 に入 るとい うわが国の 「しきた り」 を維持 し貫徹 す ることが、資本の一貫 した女性労働対策であって、 それは戦前戦後 を通 じて 変 わっていない。 そして、女性 自身の考 え方 にも女性の生活 は本来家庭 にある とい う社会通念が深 くしみ こんでお り、女性にとって働 くことは権利 として認 められていないので、企業 はそれ をた くみに利用 して差別を正当づけてい る。 まず、企業はなるべ く安上が りに女性を使 うため、年功序列賃金の最 も安 い時 期 だけ回転を早 くして、 3 0歳定年制や結婚退職制で次々 と女性 を使い捨て、 2 0代後半か ら賃金の上昇 カープを頭打 ちにして人件費を切 り下げるとい う作 戦 をとっている。そ して、 【お勤め ''は結婚準備の期間にす ぎないとい うムー ドをつ くり出し、若い女性の結婚志向 を高 めさせ るために、単純でや りがいの ない 下積み労働 ばか りを押 しつける。女性の職種は、事務、販売、生産部門に 多 く、管確職はわずか0,80/Oであ る (表3参照 )。年功賃金制度が支配的なわ が国で、 女性の賃金には年齢差が あま りな く、専門 ・技術職はほとん ど熟練度 に相関な くおしなべて低賃金である。い くら長 く勤めて も昇進の道はほとんど 閉 ざされ、男性の補助労働に終 わる女性た ちに とって、企業のね らい どお り結 婚は格好な逃げ場 となる。 -

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77-表3.職業別女性雇用者の構成比 (1982) (非農林業 ) 一 五 頂 農 理 ・ 林 職 通 業 0.8% 信 0.70/O 0,90/o 出所 :総輝府 「労働調査

表4.女性短時間雇用者数の推移 (万人 ) (万人 ) の 割 合 1960 701 57 8.1% 65 893 82 9.2 70 1,086 130 12.0 75 1.159 198 17.1 80 1,345 256 19.0 81 1.382 266 19.2 82 1,408 284 20.2 出所 :総理府 「労働力調査」 は じめか ら使 い捨 て、 男性 と同等 には扱 わない とい う使用者の意図によって、 女性 は好 む と好 まざるとにかかわ らず、結婚 ・出産 を境 に職場 を離れてい く。 やがて育児の手が離れた時期、彼女た ちを待 ってい るのがパー トタイマーとい う身分 だ (樋 口恵子編、前掲書、p34)。表 4によると、 60年 には 57万人だ ったパ ー ト労働者が、 82年 には 284万人 とな り、非農林業の女性雇用者

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1,408万人の20.2%を占め るよ うになった。つま り女性労働者5人に1人は パー トタイマーとい うことにな る。家事を背負わ された女性が働 ける時間 を有 効に活用 しよ うとい うのがパ ー トタイマーで、 これは企業 にとって非常に トク な詔である。家事に支障 を きた さない程度に働 くのだか ら、その時間 い くら男 性なみに働いた ところで男性 と同等になれ るはずがない。家庭 と職場 の二重の 労働に疲れた ら、一時家庭 に帰 って休養すればいいし、不況で クビにな って も 男性の失業者のよ うに社会問題化す ることもない。パー トタイマーを雇 う企業 の メ ])ッ トは、徹底 したノーワーク、 ノーペ イの時給、 日給の賃金で、 これ杏 月給 に換算すれば中卒者の初任給 なみである。 その うえ、定期昇給 もな くボー ナスや手当などほとん ど支払わな くてすむ安上が りの労働力なの だ。 そ して、 有給休暇や生理休暇な どによる ロス もない。今やパー トとは短時間の労働形態 を意味す るだけでな く、低賃金、無権利、切 り捨 て ごめんの女性労働者の代名 詞 になってしまったので ある (樋口恵子編、前掲書、p37)。中高年の既婚女性 が再就職で きるところは、賃金やその他の労働条件が悪いところばか りで、大 企業の下請けで成 り立つ中小企業が人件費 をギ リギ リに節約す るために、主婦 の安い労働力を求めている。 日本の年功賃金体系は長 く勤 めてい るはど賃金が 高 くなるので、 いったん辞 めて中途採用 になると、男性で もきわめて不利にな ることはよ く知 られている。女性雇用者のなかに占め る既婚者の比率が、58.8 % と高 くな り(図5参照 )、女性の働 く条件が向上 したかのよ うにみ えるが、 中小零細の下請 け企業で働 く底辺労働者が増 えてい るのが実情 だ とい えよ う。 図5.配偶関係別女性雇用者構成比の推移 (非農林業 ) 未婚 有配偶 死別 ・離別 出所 :労働省 『婦人労働の実情昭和58年版 』 - 7

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男女平等 への条件 一 女性保雄撤廃 一 私的家事労働 を背負 わ された女性は、経済的に自立 しに くい状況にある。ま た、資本主義社会において、母性機能 は低 く位置づけ られ、 さらに女性の劣性 を強調す る神話な どによって地位 を低 め られている。 構造的不況 によ り経済が停滞す るなかで、不安定就労のパー ト労働者である 女性 は、 まっ先 に首切 りの対象 とされ、不況 をの りきるために進め られている M E革命 は、女性 にと1て決定的に不利な状況 を もた らしつつある。 OA機器 の導入は、女性の職種で比率の高い事務部門 (3 3% )と生産現場 (2 2% ) で働 く5 0数%の女性労働者に影響 を及 ぼす ことになる。たとえば、 コンピュ ーターシステムによる電 子交換機の導入は、電話交換手を失業 させ、また、電 機工場 でテ レビや ラジオの細み立て作業に、 自動細み立て装置 を用いるよ うに なると女子工員の姿が 見 られな くなるだろう。 ILO事務局がまとめた女性労 働者 をと りま く現状につ いての報告 は、 「コンピューター化 が女性の地位 を下 げる」 と指摘 している。 その理由 として、女性の職種が秘書、速記者や タイピ ス トな どに集中 し、企業内で も昇進制度 か ら見放 された存在になってお り、コ ンピューター化はこの傾向 に拍車 をか け、男性労働者 と女性労働者との外化 を 招いてい るとい う (剣持一巳 『マイコン革命 と労働の未来 』、 日本評論者、 1983、p196- 198)0 こうしたなかで、女性労働の 「保護」 と トド等」 をめ ぐる環境 もきびしくな りつつある。女性労働者が差別 されている現状 を解決す ることな く、労働省の 設 けた 「労働基準法研究会」は7 8年1 1月 に労働基準法の女性 に関する規定 の大幅改訂 と、男女平等の新 しい立法 と方帯の必要 を提言 した。内容は、女性 に関す る保護の うち、母性保護 (産前産後の休暇等 )については充分の方向を 打 ち出 しなが ら、 一般女性保護 (生理休暇、休 日 ・時間外労働、深夜業の規制、 危険有害業務の就業規制等 )は合理的な理 由がない として、男女平等の立場か ら廃止の方向を報告 をした。 これに対 し各界か ら、女性の労働条件 を大幅に引 下げ男女 を含め低い労働条件 に固定す るものだと反対の声があがってい る(

現代用語の基礎知識 』、 「労働基準法研究報告会」 )。 この報告 は、次のよう な理 由 をあげて女性労働者に関す る労働基準法の改 「正」 を捉起 している。そ

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れは、労働基準法の制定当時 に比べ ると生活様式の変化 と労働環境の変化 によ り、女性労働者条件が変わった ということである。 ここでい う労働環境 の変化 とは、技術革新によって重筋肉質労働が機械化 し、高度の技術や熟練 を必要 と した仕事が自動化 で容易 になったことなどを意味 している。だが,表面的 には そのよ うな ことも言 えるが、 むしろ技術革新 は、女性労働 者 をこれまで以上に 不利な立場へ と追いや る作用 を果 たしてお り、女性は

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革命の技術革新 と法 律の改悪 とい う二重の打撃を受 けざるをえない状況に陥 りつつ ざる (剣持 -巳、 前掲書、p195)

資本主義の下では、母性保葦 -労働能率低下 ととらえ、その影響 を職場秩序 か らいかに排除するか とい う観点によ り、 「女性は保葦 されているのだか ら男 性 と差別 されて も仕方がない」 としてい ろ。出産 は女性 にだけ しかで きないし 次の世代を生み出す重要な役 目だか ら、産前産後あわせて1 2週間の出産休暇 が保障されてい るのだが、企業 にとってはお荷物であ りこんな厄介 な話はない。 出産や育児などは絶対に入 りこめない能率 一本槍で、職場秩序 を守っていかな ければならないとする企業 に、 子どもを産 んだ り育 てた りす る人間が入 りこん で くると職場秩序 を乱 して しま うことになる。それで、女性は 「保護か平等か」 の二者択一をせま られるわけだが、これは 「雇用か賃上げか」 とい う今 日の雇 用対策 とまった く同 じ思想攻勢か らくる資本の論理 である。私的家事労働が女 性 だけに背負わされている現 在の資本主義社会において、女性保護は男性 と平 等になるための条件であ り、保護 と平等は共存すべ きものである。家事労働 が 男女両方 で分担 してなされ る社会な らば、差別などな く男女平等が確立 されて いるはずだか ら女性保護など必要ない。 だか ら、男女が平等になるためには、 で きるだけ保護 をな くすよ う積極的 に進めていかねばな らないが、現段階では 残念なが ら女性保護が必要なのである。 しか し資本側は、女性が男女平等を訴 えるな らば保護は撤廃すべ きだと強 く主張 している。子 どもを産 ん だり育てた りする女性が働 けない職場 とはいったいどんな職場なのか。 これは働 く人すべ ての労働条件の問題 ではないだろうか。職場の環境 は どん どん合理化が進み機 械化が進んで、分秒刻みで仕事が回転 してい く状況 にあ るが、 そこでは働 くと い うことが人間的な環境ではないとい うことにな りつつあ るよ うだ (樋口恵子 一81

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-編、前掲書、p202)。 現在の 日本 では職場の性差別 を直接禁止する法律が ない。労働基準法3条で は、 「使用者 は、労働者の国籍、信条、又は社会的身分 を理由 として、賃金、 労働時間 その他の労働条件 について差別的取扱 いをしてはな らない」 と均等待 遇が定 め られているが、 「性別」 を理由 としての差別 を してはな らないとい う ことは書かれていない。 また、同 じく4条では、 「使用者は、労働者が女子で あることを理 由 として、賃金 について、男子 と差別的取扱 をしてはな らない

と、 【賃金 "についてだけ性による差別の禁止を規定 している。このようなこ とか ら、募集、採用、賃金、昇進、定年、退職 と職場でのあ らゆる性による差 別 を禁止 しよ うとい う 「男女雇用平等法案」が7 8年に出 され、婦人少年問題 審議会 (労、使、公益の三者9人構成 )によって審議が重ね られ、 8 3年末に は結論が出 されるはずであった. しか し、使用者側の、(む平均勤続年数の短か い女性 を男性 と同 じよ うに扱 うことはで きない、(参労基法の女性保護条約は撤 廃すべ きであるとい う主張 は、労働者側 とまっ正面か ら対立 して平行線 をたど り、欧米諸国 ではすでに立法化 されてい るのに、 日本では難航 している。使用 者側か ら 「雇用平等法がで きると日本経済の活力が落 ちる」 という声が きかれ るなかで、旭化成労務部長は 「残業のない仕事なんてない。保護にこだわるか ぎり、女性への門戸開放 などム リ。 日本には資源がないのだか ら、基本的に欧 米よ り働かないとや っていけません。男性の労働時間 を女性なみにす るなんて ナンセ ンス」 と断言 してい る (

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毎 日新聞 』、1983年11月19日 ).このよう に、男女雇用平等法制定については、女性の労働権 をとるか、 あるいは終身雇 用 をベースに した 日本の経済発展 を重視すべ きかが争点 になっているが、つい 最近 (84年2月 )、公益側か ら、女性保護 をほぼ全廃 し、昇進や退職などの 差別的取扱は罰則な しの禁止を規定す る平等法原案が示 された (資料6参照)0 これは、平等 を得 るためには保護を捨 てるとい うもので、経済至上主義の後進 国 日本では、女性の労働権確立にむけてまだ まだ長い道の りを要す るようだ。

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し て 女 性 の 傑 椎 を は ず し ' 様 辞 任 、 劾 中 性 の た め に 女 性 を 夜 中 ま で 無 制 限 に f Eか せ よ う と す る の は ' と ん で も な い こ と 。 女 快 の 睡 t で 安 全 に 幼 く 稚 利 を や る 村 人 遵 別 拙 宛 集 約 の 榊 沖 に も 頓 す る 。 平 等 法 が で き た 規 は i 八 カ 国 あ る が 、 そ の た め に 伽 汝 を は ず し た 団 は T 国 も な ヽ ○ i 83 (資料6 )

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第 Ⅳ 章 経 済 民 主 主 義 の 確 立 に む け て 本章では、 Ⅰ章か らⅢ章 までをふ り返 り、国家独占資本主義体制の下で労働 者がおかれている現状か ら、経済民主化の必要性を説 く。そ して、少数巨大独 占体本位へ社 会の しくみを変 えてい くためには、労働運動や住民運動な ど下か らの民主的改革 を進 めていかなければな らず、それが経済民主主義確立への重 要な一段階 となることを示 し、結論 とする。 1. 国家独 占資本主義 下の労働者 勤労が美徳 とされる日本において労働者たちは人間 らしい生活を保障 されて い るか とい えば否である

「働 けど働 けどわが くらし楽 にな らざりけ り」 とい う啄木の詩のよ うに、 日本の労働者は先進資本主義国の中で も一番長 く働いて いるのに賃金は低 く、有給休暇 も少な く、週休2日制はまだほ とん ど実施 され ていない。戦後の労働政策 は一貫 して、労働者よ りも企業を優遇するものであ った し、戦前 と同 じよ うに下請、社外工制度 による二重構造 をつ くり出す こと によって資本は増殖 していった。高度成長期 には、若年の低賃金労働力が不足 したた めに主婦 が労働市場にか り出 され、 これを境に女性の職場進出が目立っ て くる。技術革新 と労働者の知的 ・技能的水準の高 まりは、生産性 を向 上させ 日本 は

GNP

世界第2位の経済大国 とな り、人々の くらしは豊かになったかの よ うにみ えた。 しか し、高度成長 を支えていたのは、パー トタイマーの中高年 女性や下請労働者 といった差別によって生み出 された底辺労働者たちであ り、 長時間低賃金の一般労働者た ちであった。 勤労者は低賃金で長時間労働 を強 い られているのに、国は経済大国を誇 って いるとい う矛盾 は どこか ら来てい るの だろ うか。それは、低賃金労働力 を資本 者積源 として、対米従属の独占資本 と国家 によ る利潤獲得が行なわれているか らで ある。 7 3年秋の石油危機 は、石油に依存 しきった重化学 仁業偏重の 日本 経済の もろ さを証明す るもので、 日本は世界一の狂乱物価に陥 り、失業者はあ

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ふれ、石油危機の ツケは国民 と勤労者にまわ された。 その後、現在 まで続いて いる構造的不況のなかで、資本はM E技術の導入や人減 らし合理化を強行 して 減量経営 を進めて きた。そ して、今や 日本は世界 一の ロボ ッ ト導入国 とな り、 常用労働者はパ ー ト労働者に切 りかえ られつつあ り、不安定就労者は増加する いっほ うである。第三次産業革命 ともいわれるME革命 によ り自動車工場や電 機工場の労働者た ちは ロボ ッ トに締め出 され、キーパ ンチ ャーやオペ レーター はOA機器の導入で職を奪われているOそ して、機械の スピー ドに合わせて働 く労働強化 を強い られることになった労働者 たちは、身体に支障 をきたしは じ めている。人間の英知 を結集 して開発 されたME技術 も、残念なが ら労働者に とっては生か され てお らず、逆 に労働者 を脅か し、 また軍需産業 に導入 されて 平和をも脅かす可能性が出て きた。 このように現在の 日本経済 は、労働者よ りも企業を優先 に展開 されてお り、 生産性の向上 も技術革新 もすべて国家独占資本の増殖 につなが るだけで、労働 者には還元 されていない。 それは日本 が資本主義社会であ り、そこでは資本家 や企業が労働者を雇用 して生産 を行 うという関係 の もとで、 資本家や企業が利 潤の追求 と企業の拡大 を目的 として、賃労働の搾取による剰余価値の生産が行 なわれているか らである。つま り、大規模 な数千人数万人の共同労働 による生 産がな され、生産物 も社会 全休の消費のために生産 されてい るに もかか わ らず、 生産手段 と生産物 は資本家が独占 し、労働者や国民は生活や労働の苦 しさ、不 況や恐慌 といった災厄に見舞 われ るのである。 日本資本主義は初発以来、国家の官僚機構 とゆ著 した国家独占資本主義であ り、国家の経済的力能および国家権力へ強 く依存 ・寄生 し、強大な外国帝国主 義へ従属 していた。そして、労働者や中小企業か らの搾取 ・収奪、周辺後進諸 国に対す る侵略によって、早急 に成長 ・拡大 して きたのである。戦後、アメ リ カの占領支配下で復活 した国家独占資本主義は、 ドッジライン (経済安定9原 則 )を契機 とす る対米従属再編 の もとで強化 され、 6 0年代の高度経済成長期 においては、重化学工業部門 を中心に巨大独 占体の資本者積 を進め、国際競争 力を強化 し、その威力を発揮 した。 しか し、 7 0年代には、公害や都市間題な ど生産の超高度集積に伴 う経済的 ・社会的諸矛盾が激化 し、石油危機 以後はス

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5-タグフレーシ ョンによる世界資本主義経済の激動 と、複雑 な構造的危機 に直面 して機能麻坪 とい う事態が生 じている (

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大月経済学辞典

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「国家独 占資本主 義」 )。危機脱出策 として、独占資本 は要求利潤率 を満 た しなが ら物価 を抑刺 す るた桝 こ、賃金上昇率 を低 くお さえよ うとし、政府 は財政再建のために、大 型物品税の導入 な ど間接税 を引 き上 げることによって政府収入 を増やそうとし、 行政改革 を理由 に福祉の大幅 削減を実行 しよ うとしてい る。そ して、資源エネ ルギー確保のために もアメ リカへの依存は強め られ、軍事支出、反共国家への 援助な ど軍事化 と対外進出がすすめ られている。 このよ うに独占資本は,従来 型の再生産 ・著構機構 に もとづいて、国民にいっそ うの低賃金 ・雇用不安 ・低 福祉 ・公害 を強制 し、さらに戦争への危険性 をも高めている (

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講座今 日の日 本資本主義1 0」大月書店、1982、p12)0

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掻済民主化の必要 性 国民 は生命 ・生活 ・権利 を現在だけでな く将来にわたって保障 されるべ きで あ り、平和の確保、そ して労働権 ・生活権 ・環境権の確立、それか ら支配 ・専 制 ・差別の廃絶が な されなければな らない。 また、個人に民主的権利が保障さ れ るよ うに、民族や国家は他の民族 ・国家の支配か ら解放 されなければな らな い。 しか し、 このよ うな国民の要求 を妨 げているのが独 占資本である。独 占資 本は国家権力 を掌握 してお り、経済の基幹部門における決定権 を支配 している。 独 占資本の横暴な支配や対外経済侵略 を規制 し、 さらには廃止 して、圧倒的多 数の勤労者 ・国民本位の社会に変革す るためには、独 占資本 とゆ著 しアメ リカ に従属 している政府や国家権力 に対する統制を うちたて、政治的民主化iこ着手 す ることによって経済の民主主義的な改革 を進めていかねばな らない (

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講座 今 日の 日本 資本主義10』、 p13,263)。 少数の 巨大独 占体本位の方向か ら多数者本位へ社会の しくみを変 えて国民の 労働権 ・生活権 ・環境権 を確立す るためには、これまで独占驚本が推進 して き た独 占本位の重化学工業 ・石油偏重 ・輸出主導型の再生産 ・著横機構 を、国民

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生活本位の福祉 ・生活 ・環境 ・技術開発型の ものに転換 し、いまの大量生産 ・ 大量消費 ・大量廃棄による個人主義的生活様式か ら、地域において社会的共同 消費の充実に支えられた新 しい生活様式への転換をめざすべ きである。 また、現在多 くの労働者は労働に苦痛を感 じている。それが長時間低賃金か らくるのは もちろんの ことだが、現代の労働者が高度 な知識 と技能 を身につけ ているに もかかわ らず、その能力が労働現場で充分に発揮 されてお らず他人の 決定に服従を強い られているか らである。このよ うな状況を改善 し、生 きがい のある人間としての能力 と欲求 を充足 させ、労働の場 を労働者の 自己実現の場 にするには、生産の基本決定 (生産量 ・蓄積 ・技術 ・人事など)を含めて各種 の決定ルー トに労働者階級が直接 ・間接に参加 しうる制度 をつ くっていかなけ ればな らない (

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講座今 日の 日本資本主義10

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、 p18,69)。 これ らの課題を 実行するには、経済民主主義の立場に立って日本経済 を民主的 に改革す ること が必要である。 経済民主主義の思想 は大企業や官棟の所有権を規制するだけでなく、住民の 権利を担 うような公務労働者を増や し,官僚的な行政機構を民主化 し、軍事費 をはじめとする権力的支出 を削減 して福祉の領域に賃金を配布 しなければなら ないOいわば、民主主義的な行財政制度の改革に手がつけられないと、現実に 所有特唾を規制 し福祉を充実する力量が発展せず、経済民主主義が形骸化 する 危険をつねに伴っている.経済民主主義は、岸済上の国民主権、国民本位の経 済を実現することといった積極的な内容を もつ ものとしてとらえられるが、わ が国において経済民主主義の要求がはじめて具体化 され政策化 きれろきっかけ となったのは、 73年の石油危機 によってメジャー (国際的石油資本 )をはじ めとする巨大企業、大商社の買い占め売 りおしみによって、国民生活が狂乱物 価の波に集われた とい う事実に もとづいている (池上惇 F日本経済論 』、同文 館、1981、p167.181). ヨー ロッパ諸国においては、労働運動が経済民主主 義闘争の主役 となっていて、労働運動 をはなれておよそ経済民主主義運動につ いて語 り得ないのはたいし、わが国では、市民運動が主役 となって大企業の横 暴に対する民主的規制のたたかいが くり広 げられてきた。 しか し、消費生活要 求の政策分野が一定の成果 をあげるよ うになると、運動は独占資本 とのたたか -

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87-いに進 むことな く、経済民主主義の主体形成 にはつなが らない迷路に迷い込む 傾向があ らわれて きた。この点が、労働運動が経済民主主義の変革主体になっ てい るヨー ロッパ諸国 とわが国の著 しい相違 である。 ヨーロッパ諸国では政治 反動の巻 き返 しが あって も、簡単 には経済民主主義のたたかいが後退 しない ( 角瀬保雄 「経済民主主義に関す る一考察」、法政大学 F経済志林』 16巻1号、 p12)。 経済民主主義 を遂行 してい く力量尊書積するには、 日本の市民運動 は まだまだ大 きな弱点を もっていたといえる。 経済民主主義それ自体は社会主義 を意味す る ものではな く、国家独占資本主 義の生み出す矛盾 に対す る国民の生活防衛 とい う 「生存権の理論」か らさしあ たって出発す るものである。社会主義へ の移行は国家独 占資本主義か ら直接な され るのではな く、生産力が高度 に発達 した条件 において、労働者 ・国民が民 主的諸改革 をか らと り、独 占の支配 を専制 し排除することが実現 されたとき、 民主的政府の国民多数の合意 にもとづいて社会主義への移行が始まるのである。 その意味において、経済民主主義実現の道 はその充実 とともに、既存の社会主 義圏の弱点 を も克服 した。 よ り高度の社会主義 を準備することに も通 じてい く といわれている (角瀬保堆、前掲論文、 p6)。

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民主的改革 を進めるにあた って 経済民主主義の完全な実現 は、資本主義社会か ら社 会主義社会への移行によ ってな され るが、資本主義の枠内においては、大多数の国民が大 きく経済の基 本的決定に近づ くために民主的改革を進めなければな らない。 それは鐘済民主 主義の実現 にむけての重要な一段階 となるか らである。民主的改革 を進 めるに は、民主的政府の各種の政策手段 を利用す る側面 (上か らの改革 )と、勤労者 階級の運動 による側面 (下か らの改革 )とを有効 に結合することが必要である。 基本的 には、 下か らの改革、民主主義運動 と力量の発展が原動力 とな り、これ に呼応 して上か らの改革が有効 に作用す る (F講座今 日の日本資本主義10」、 p21)

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また、民主的改革 を行 うためには、労働者階級の運動があ る一定の発展の程

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度 に達 していなければな らない と考 え られ る。それは どのよ うな ことか といえ ば、賃金や労働条件、労働災害、失業などのいわゆる日常的な経済要求闘争に おいては、 それ らが国民消費の向上、国内市場の拡大 としての経済政策の中に 占める位置が明 らかにされ、経済政策の体系の中でのそれぞれの整合性が形成 されなければな らない.また、最低賃金制、社会保障、年金制度、雇用 ・失業 保障などのいわゆる制度的要求闘争 において も、国民経済的意義が明 らかにき れ、それぞれの制度間の整合性が なければな らない。 それか ら、公務員労働者、 教員、国鉄労働者、マスコ ミ労働者な どのいわゆる国民的 ・政策的課題 をめぐ る運動、 あるいは石炭やエネルギー部門での産業政策 をめ ぐる運動 は、各軸合 ごと各部門 ごとの もの としてではな く、国民経済全体のなかでの位置づけと相 互の整合性が与 えられていかねばな らない。 このように、民主的改革 を行 うに は、経済的要求闘争において も、制度的要求闘争 において も、国民的 ・政策的 課題をめぐる運動について も、 いずれの場合 もそれ らの国民経済的な位置づけ と相互の整合性が要請 されるが、それ らは国家独 占資本主義の経済的 ・政治的 支配のあ り方全体にまでせまるものでな ければな らない (『講座今 日の 日本資 本主義10』、 p265- 266)0 独 占的大企業 を中心 とする生産 の集積 と社会化が著 しく進展 しているわが国 では、社会的な問題の解決 にあたっては、大企業の諸活動 を前提 としないわけ にはいかず、民主主義的な権力 を確立す る以前の段階か ら、大企業の諸活動 を 労働者 ・国民の利益に沿った方向にコン トロール してい くことが経済民主主義 運動の課題 となってい る。大企業に対する民主的規制は、合理化反対闘争や物 価値上 げ反対、公害反対闘争の発展途上で浮かびあが って くる ものであ り、最 も重要な労働運動の 一つ となっている (F講座今 日の 日本 資到主義10ムp194)0 しか し、労働運動の現状はどうであろうか。独占資本主義の もとで、 日本の 労働者はす ぐれた資質を養い育てて きた。 それは、有用的労働能力,知識、判 断力、規律性、協調性、文化 ・教育水準の高 さなどである。 こうした労働者の 能力 ・力量は、潜在的には企業 ・社会の民主的 ・社会的 コン トロールを成 し遂 げる民主的統治能力を意味するが、現実の独占資本体制の下では、その ほとん どは資本の専制 ・差別 ・分断 と、独占の組織す る激 しい生存競争 によって資本 -

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89-の生産力に転化 きれて、労使協調主義のなかに細み込 まれ民主的団結の道 を妨 げ られて きた。 また、今 日、雇用労働者の75%が高度成長のなかで肥大化 し た第三次産業で働 いているとい うその存在形態は、労働者の階級的結集 を困難 に してい る。 また、労働相合や地域住民組織による下か らの民主的規制のたた かい も全国的組織の活動や統-戦線運動な どと結 びついていない.労働細合の 官僚化現象や春闘での連敗 にみ られるよ うに、わが国の労働運動は完 全に資本 にお さえこまれた形 になってい るのが現状である。 このよ うな状態で大企業への民主的規制が行い うるのであろ うか。 これにつ いて角瀬保雄氏は次のよ うに述べてい る

「わが国の就業者中における雇用人 口は、 1955年に 40%であったのが82年 には72.6%に遷 し、賃金労働者は 社会の絶対的多数者 とな った。この ことは、生産 と労働の社会化が社会変革の 主休条件 をつ くり出す ことを意味 してい るが、いま問われているのは、数的に 社会の多数者を形成す るにいたった労働者階級が、その '数の力 "を経済民主 主義の実現の うえで名実 ともに示 しうるよ うになるにはいかにしてか とい うこ とである 』。 そして角瀬氏は、経済民主主義を実現するためには、労働運動を 転換す る条件 と方向を明 らかにすることが必要であると主張 し、今 日、労働者 階級の中核 をなす大企業の労働者が経済民主主義のたたかいに立 ち上がれない でい ることこそが問題であると指摘 している。つま り、い ま求め られているの は大企業に対する社 会的規制 もさることなが ら、大企業その ものの内部か らの 経済民主主義へのたたかいであるとして、 日本 的雇用慣行が減量程営 によ り萌 壊 されつつ あるの を背景 に、大企業 における労働者を真に階級的に結集で きる 具体的な政策 を確立すべ き1=.と強調す るのである。職場か らの 「合甥化」反対 闘争に展望を与 え、 これを質的によ り高い ものへ と発展 させ る内容 をもった政 策が必要 とされてい るの T='(角頼保雄、前掲論文、 p13--16)。 終身雇用、年功序列 といった 日本的雇用関係が崩れてい くなかで、労働者派 遣会社の出現 などによ り不安定就労者が増大 しているが、大企業労働者の結集 と並行 して、不安定就労者の結集 も重曹 になって くるのではないだろ うか。事 業主優先の労働政策や労働者供給事業の制度化にむけての動 き、女性保護の徹 廃な ど、労働 者を保護す ろ法的規制は弱 ま りつつあ り、企業を喝 えT=労働者閤

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の結集 こそが、労働者の権利 を保障す る手段になっている。労働観合の官僚化 や労働者の労働知合ばなれの現象がみ られ、企業別労働組合が弱体化 している ことか らも、 日本で も、 ヨーロッパ諸国のよ うな産業別労働細合 を細微するこ とので きる土台が形成 されつつあるのではないだろ うか。企業別労働組合か ら 産業別労働細合、あるいはそれに類似 した横の連帯の強い細織へ、労働運動の 拠点 を転換することが、経済民主主義運動の主体形成 にもつなが って くると患

う。

さて、女性労働者は民 主的改革運動にたい してどのよ うに取 り組んでい くべ きだろうか。短期労働者 として扱われて きた女性は、労働組合へ加入 している 期間 も短か く、た とえば、労働組合大会での代議員や中央役員の数 をみて も、 女性 はほとん ど排除 されているよ うだ。 また、女性労働者の2 0%がパー ト労 働者であ り組織化 されていないの で、現在、女性労働者の連帯は男性よ りもさ らに弱い。 しか し、女性の場合、 もともと終身雇用 ・年功賃金 とい った 日本的 雇用形態か らはずされてお り、ハ ンデ ィを背負わされた共通の問題点を抱 えて いることか ら、男女雇用平等法制定の要求などを軸 にして団結すれば、横の連 帯の強い運動 を展開で きる可能性が あるといえる。 そして、これか らの運動で まず着手 しなければな らないの は、独占資本の蓄積源 となっている性別分業の 崩壊で ある。その一環 として、母性保葦 を両性の権利 として 見直す作業、家事 や育児が男女の 自由な労働の生活権 として、両性に享受 しうるよう労働条件 を 改善 してい くこと、 など新 しい地平 を切 り拓いていかねばな らない。性差別の 闘いが女性 による女性のための運動 としてではな く、両性による両性のための 運動へ と高め られ るべ き次元に来ているのだ。 国民本位の経済民主主義 を確立す るには、労働にたいす る意識の改革、 つま り 「男は仕事、女は家庭」の性別分業意識 を崩壊 し、私的労働 と社会的労働の 両方に男女が参加すべ きであることを人々が認識することが、重要な要件 とな って くる。男女が経済的 に自立 して こそ対等な関係 は保たれ、 その とき経済民 主主義 も確立 されるか らである。 社会主義社会は資本主義社会か ら直接移行 され るのではな く、民主的諸改革 が実現 され るなかか ら人民的 自由の確立 と尊重がな され、民主的な合意形成能 -

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91-力 をもった勤労者が大量 に育 ったとき成立す るので あろか ら、そこでは もちろ ん女性の労働権 も確立 され ることになる。 あらゆ る事物 は、生成 ・発展 ・消滅 する歴史的存在 であるが、 【性別分業 ''は時代が変 わればだんだん少な くなっ てい くとい うわけではない.現在の性別分業意識 も突如 として近代に生まれた ものではな く、長い時代の中で積 み重ね られて きた ものである。 そして、 どん な変化の中で も権力 を持つ側 はそれを土台 にして利用 してい く。だか ら、雇用 問題や賃金面での改革が進 め られて も、性別分業意識 だけはなかなか消滅せず、 男女差別は残 されるとい うこともあ りうるのである。 性別分業意識の改革 は、職場や地域だけでな く家庭の中でも進めてい くこと がで きるし、男女がそれぞれの家庭 において妥協せず 日々健闘すべ きであるが、 やは り社会的 に人々が結集 して取 り組 まなければなかなか克服で きるものでは ない。労働者が中心になる社会主義社会の建設にむけて、このよ うな旧社会の 母斑 を残 さないために も、性別分業意識の改革を中心に据 えて、 女性労働者が 卒先 して、軽済民主主義確立にむけての民主的改革運動をよ り強力に進 めてい かなければな らない と思 うO 参 考 文 献 林直道 r現代の日本経済J、青木書店、 1982。 r講座 今日の日本草本主義」 2巻、 3巷、大月書店、 19810 4巻、 7巻, 10巻、 19820 池上 惇 r日本経済論J、同文館、 1981。 塩田庄兵衛 r日本社会運動史」、岩波書店, 1982。 元島邦夫 ・岩崎信彦編 r現代労使関係の理論」.青木書店, 1982。 大河内一男 r大河内一男集J第4巻.労働旬報社、 1980。 江口英一他編 r現代の労働政策」、大月書店、 1981. 戸木田嘉久 r現代資本主義と労働者階級」、岩波書店, 1982。 剣持-巳 rマイコン革命と労働の未来J、日本評論社、 19830

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赤木 昭夫

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マイ コン+ ロボット-衝撃J、岩波 ブック レッ ト、 1982。 大羽綾子 ・氏原正治郎編 r婦人労働J,亜紀書房, 1969。 広田寿子 r現代女子労働の研究」,労働教育 セ ンター、 19790 竹中恵美子偏 r女子労働論J、有斐閣、 198 3 0 樋 口恵子編 rあしたの女たち-J,学 陽書房、 1977 。 金森 トシエ ・岡田政子編 r女の就職)、亜紀書房、 1979。 ポープォワール r第二の性」、新潮文庫、 19590 アル ビン ・トフラー r第三の波」, 日本放送出版協会、 19800 E・ザ レツキィー他 r資本主義 ・家族 ・個 人生活.I、亜紀書房. 19800 フリー ドリヒ・エ ンゲルス r家族 ・私有財産 および国家 の起鼠J、大月書店、 19540 林直通 r経済学入門J,青木書店、19810 大塚久雄 r社会科学 におけ る人間」、岩波新書、 19770 r経済評論J, 1982年6月号。 r月刊総評J、 1983年12月号。 法政大学経営学部編 r経済志林」, 16巻1号。 r現代用語の基礎知識1983」、 自由国民社。 r大月経済学辞典J、大月書店、 1979。 大河内一男他編 r労働事則 、青 林書院新社、 19650 r労働用語辞典J、東洋縫済新報札 1982。 労働省稲 r昭和58年版労働 白書J 労働大臣官房統計情報部編 r労働統計要覧、 1983J 日本婦 人団休連合全編 r婦人白書」 1983年版,草土文化。 -

表 3. 職業別女性雇用者の構成比 (1982) (非農林業 )一 五頂農理・林職通業0.8%信0.70/O0,90/o出所 :総輝府 「労働調査」表4.女性短時間雇用者数の推移 (万人 ) (万人 ) の 割 合 1960 701 57 8

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