Kobe Shoin Women’s University Repository
Title
我が国繊維産業の国際化とこれからの課題について : 繊維
産業のあるべき姿への一考察
Author(s)
久保 國忠(KUBO Kunitada)
Citation
生活科学論叢(Review of Living Science)
,
No.35:45-71
Issue Date
2004
Resource Type
Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
URL
Right
我 が 国繊 維 産 業 の国 際化 とこれ か らの課 題 につ い て
繊 維 産 業 の あ るべ き姿 へ の 一 考 察
久
保
國
忠
1.は
じ め に
わが 国 の 近 代 繊 維 産 業 は1872年(明
治5年)政
府 に よ っ て 設 立 さ れ た 富 岡 製 糸 場 か ら始 ま る 。
そ れ か ら2004年 の現 在 ま で 、132年 間 に大 い な る発 展 を 遂 げ た 。 そ して 時 代 の 流 れ に応 じて グ ロ
ー バ ル 時 代 に生 き残 りを か け て 海 外 に拠 点 を作 り、更 なる展開 を図 ろう と してい る。
一方
、 国 内 の 設備 一 式 を 海外 に持 ち込 ん だ例 も あ り、 国 内 にお け る空 洞 化 は避 け て 通 れ な い と
考 え られ る。
04年3月
に 、 中 国 、 上 海 を中 心 に展 開 す るわ が 国繊 維 企 業 を視 察 す る 機 会 を得 た が 、 もの の 見
事 に国 内 の事 業 と 同 じ よ うな 運 営 が な され て い た 。 この 現 実 の姿 を見 て 、 こ れ か ら ど う展 開 す る
の で あ ろ う か 、 日本 の繊 維 産 業 の あ るべ き姿 は 日本 だ け に こ だ わ る の で な く、 世 界 に 向 け て 、 よ
りよ き価 値 を 生 み 出す 産 業 に転 換 す べ き と考 え る 。
以 下 繊 維 産 業 の 歴 史 の 中 に求 め られ た も の を考 え、 こ れ か ら の あ る べ き姿 を究 明 した い と思 う。
2.基
本 的 な3つ の 考 え 方
世 の 中 の 情 況 を判 断 す る場 合 、 自分 な りに 基 準 に な る もの を作 っ て そ れ に当 て は め て考 え る ほ
うが 一貫 性 の あ る判 断 に な る と思 って い る 。 そ こ で下 記 の 様 に 、 納 得 で き る3つ の 判 断基 準 を述
べ た い と思 う。
(1)お
か しい こ とは 何 時 ま で も 続 か な い
(2)変
化 す る こ とが 不 変 の 法則 で あ る
(
3)1十1は2で
、以 下 で は 駄 目 で あ る
(1)につ い て例 えば 、 日本 の よ う に勤 勉 な国 民 が10年 以 上 努 力 して 、 そ れ で も不 況 が 続 く とい う
こ とは お か しい事 で あ る 。何 時 ま で も不 況 は続 か な い 。 や が て底 を う ち 、景 気 が よ くな る の は 明
らか で あ ろ う。
(2)につ い て 世 の 中 が ど ん ど ん 変 化 して い る 。 例 え ばJRの 改 札 口 の 通 過 に して も カ ー ドを通 す
方式(Jス ル ー カ ー ド)か ら、か ざす だ け に代 わ っ て い る。ICOCAのICは
集 積 回 路 のIntegratedCircuit
一45一の 略 でCAはCardのCA、 そ れ を 関 西 風 の 行 こ う か の 「う 」を 外 し て イ コ カ(行 こ か)と か け てICOCA (イ コ カ)カ ー ドを 作 っ て い る の は 面 白 い ア イ デ ア で あ る 。 な お 、 こ の カ ー ド に 込 め ら れ て い る 技 術 の 高 さ は 大 変 優 れ た も の と い え よ う 。 ま た 、 ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー(10億 分 の1の 超 微 細 技 術)な ど 新 し い 分 野 が 鋭 意 研 究 さ れ て い る 。 繊 維 業 界 に お い て も、IT(情 報 技 術)改 革 に よ り、 消 費 者 は 欲 し い も の を 容 易 に 手 に 入 れ る こ と が で き 、 経 営 形 態 も 、SCM(SupplyChainManagement)1)、SPA(製 造 小 売)2)な ど新 し い 形 態 が 創 ら れ て い る 。 (3)に つ い て 例 え ば 、 国 際 競 争 力 の あ る 優 れ た 商 品 の 基 準 を 技 術 力+販 売 カ ー2と 仮 定 し 、1+ O,999で は 基 準 値2に 達 し な い 。 こ れ で は 敗 退 す る こ と に な る 。 ま た 、 企 業 の 場 合 、 ほ ん の わ ず か で も 利 益 が 出 て お れ ば 存 続 す る が 、 わ ず か で も 損 が 続 け ば 、 そ の 企 業 は や が て 潰 れ て い く こ と に な る 。 日本 は 繊 維 品 の う ち 、 縫 製 量 産 品 は コ ス ト高 で 、 国 際 競 争 力 に 破 れ て い る の が 現 状 で あ る 。 紡 績 業 、 織 物 業 、 縫 製 業 各 界 で 空 洞 化 が 起 こ っ て い る 。 イ タ リ ア の よ う に 、 高 く て も 売 れ る 技 術 力 、 デ ザ イ ン カ の あ る 非 価 格 競 争 で の 優 位 性 を 持 つ 必 要 が あ ろ う 。 (注)1)SCM(SupplyChainManagement)と は 、例 えば,イ トウ ヨー カ堂 は シ ャツ の在 庫 を適 正 化す る 目的 で 、 最 初 か ら生 地 を供給 す る紡 績 、 縫 製 業 者 、配 送 業 者 と事 前 に相 談 し、規 格 、柄 、 色 、 時 期 な ど詳 細 に相 談 し、 合 理 化 で きる所 は徹 底 的 に検 討 して 、 そ れぞ れ の 価格 、 配 分 を決 め て上 代 を決 定 す る 。 イ ン ター ネ ッ トを活 用 して 、 日々刻 々 の売 行 きを夫 々 が事 前 に熟知 してお り、 どの 店 で何 が 売 れ て 、何 が 売 れ な い か 、 何 時 在 庫 を補 充 す るか 、 生 産 を打 ち切 るか を決 め て 、不 良在 庫 を 防止 す る。 従 来 の 悪 い面 が指 摘 され る 商 習 慣 、 買 い手 は 地 位 を利 用 して 買 い叩 き、売 れ なけ れ ば 、バ ー ゲ ン、 返 品 とい っ た こ と、 また 、売 り手 は こ れ らの リス ク を織 り込 んで 、 最 初 か ら高値 を求 め るや り方 を改 善 した 革新 的 な方 法 で あ る。 (注)2)SPAはSpecialtyStoretailerofPrivatelabelApparelの 略 字 で製 造 小 売 と訳 され て い る。 も と もと米 の 衣 料 品専 門チ ェー ンGAPの 会 長 が 自社 の業 態 を定 義 した 造 語 を一 般 化 した もの で あ る 。 素材 調達 か ら店 舗 企 画 まで の全工 程 を一 連 の流 れ と して とら え、効 率 とニ ー ズへ の 迅速 な対 応(QR、QuickResponse)体 制 を構 築 す る 仕 組 み を持 っ た専 門店 チ ェー ンを意 味 す る。 成功 して い る例 が ユ ニ ク ロ で あ る。 リス クは あ る が、 自社 で 企 画 し、協 力 工 場 を海 外 に持 ち、 主 と して 中 国 の 工 場 を 自社 の コ ン トロー ル 下に置 き、ベ テ ラ ン技 術 者 を派 遣 して 品 質 管 理 を徹 底 して 行 って い る。 少 数 ア イ テ ム だが 、サ イズ 、色 な ど奥 行 きを深 め た大 量 発 注 方 式 で 価 格 を押 さえ て い る の が 特 徴 で あ る。 ヒ ッ ト商 品 で あ る ブ リースの 商 品 戦略 も出 来 る だ け在 庫 をふ や さな い た め に 、無 地 の 色 を用 意 して、 売 れ 筋 に応 じて染 め てい る。 色 は イ ンター ネ ッ ト販 売 を含 めて 、50也 ほ ど用意 して お り、 柄 、 ス タイ ル 、サ イズ も含 め る と多 くの 品番 にな る 。 ア イテ ム は フ リー ス だけ で も豊 富 な 品揃 え を して 、多様 な顧 客 の ニ ー ズ に 合 う よ う、 しか も不 良 在 庫 を防 止 す る よ う に工 夫 して い るの は さすが と感 心す る。
3.我
が国繊維産業の発展 と其の推移
(1)明 治(1868年 ∼1912年)か ら 終 戦(1945年)ま で 1)生 糸 工 場 建 設明 治 に 入 り産 業 の 近 代 化 が 富 国 、 強 兵 の 国 策 と して 海 外 の 進 ん だ 技 術 を取 り入 れ る こ とで 始
ま っ た。 其 の最 初 が1972年 、 政 府 に よ っ て 設 立 さ れ た群 馬 県 富 岡 製 糸 場 で あ っ た 。
当 時 輸 出 の花 形 だ っ た生 糸 の 品 質 改 良 を は か り、 よ り多 くの 外 貨 を確 保 す る た め 、 フ ラ ンス
人 技 師 を招 き、 技 術 者 と して 士 族 の子 女 を集 め て養 成 して 成 果 を 挙 げ た 。
2)綿
糸 製 糸 業 設 立
民 間資 本 で 設 立 さ れ た の が 、1883年 の 大 阪 紡 績 、 現 在 の 東 洋 紡 で あ っ た 。 其 の 技 術 は英 国 か
らで あ っ た 。 こ の成 功 が 呼 び 水 とな って 、 次 か ら次 に紡 績 が 設 立 さ れ た。
近 代 工 業 の 成 立 の 条件 は 、 優 秀 な設 備 、 進 取 の 気 性 に富 む経 営 者 、 技 術 を こ な す低 廉 な 、 質
の 良 い労 働 力 で あ り、 日本 人 の勤 勉 さが 大 き く業 績 を伸 ば して い る の で あ る。
資 本 に して も江 戸 時代 か ら商 人 を中 心 に 蓄積 してお り、積 極 的 に 投 資 と して利 用 さ れ て い た。
政 府 も、 積 極 的 に必 要 な ら官 営 で も設 立 し、 民 営 化 を 図 る こ と も行 っ た 。
基 本 的 な考 え方 で 述 べ た如 く、1+1=2以
上 の成 果 を も た ら して い る。
近 代 化 、 工 業 化 は まず 、 軽 工 業 か らス ター トす る こ とで 、 ノ ウ ハ ウ を積 み 重 ね る の が 常 道 で
あ ろ う。
3)戦
前 の 繊 維 産 業 の 発 展
か くて 、紡 績 業 を 中心 に 、 国 際 競 争 力 を増 し、1929年(30年
の 世 界 恐 慌 の前)に
は ピ ー ク に
達 し、 全 輸 出 額 の71%を
繊 維 品 で 占 め る よ う に な っ て い た。 中 心 は生 糸 か ら、 綿 糸 ・綿 製 品 に
変 わ っ て い っ た が 、輸 出 の 花 形 と して 主 役 を演 じて きた 。イ ン ド綿 を 運 ぶ 船 会 社 の 問題 な ど色 々
と海 外 か らの妨 害 もあ っ た が 、 見 事 克 服 し、 混 綿 技 術 を工 夫 して 安 い 原 料 を仕 入 れ 、 低 廉 良 質
の 労 働 力 、 優 秀 な機 械 設 備 と相 ま っ て 、 輸 出 の 花 形 とな っ た の で あ る。 低 廉 な賃 金 は1938年 当
時 の ア メ リカ の 女 子 の1/12の 水 準 で あ っ た。 最 もマ イ ナ ス 面 と して 、 女 工 哀 史 に 現 れ る 暗 い 面
の あ っ た こ とは 忘 れ て は な ら な い 。2003年 現 在 、 中 国 の賃 金 が 日本 の1/10以 下 で あ る の と対 比
す れ ば 、今 昔 の 感 に堪 え な い もの が あ る 。今 中 国 の躍 進 が 、 か っ て の 日本 の 紡 績 の 姿 で あ る の
は 間違 い な い と考 え る 。
(2)終
戦(1945年)後
の推 移
1)戦
後 の復 興 期(1945年
∼1951年 〉 か ら高 度 成 長 期(1952年
∼1973年)ま
で
戦 後 の復 興 期 か ら高 度 成 長 期 にお い て 輸 出 に 占 め る比 率 は12%と
高 い シ ェ ア ー を 維 持 して い
た。 しか し生 活 水 準 の 向上 と と も に労 務 コス トが上 昇 し、急 速 に 国 際 競 争 力 を失 っ て い っ た 。
そ の 間 、 繊 維 産 業 も合 繊 繊 維 時 代 に入 り、 軽 工 業 か ら重 化 学 工 業 化 して い っ た 。 ナ イ ロ ン、
ポ リエ ス テ 、 ア ク リ ル の三 大 合 繊 の 時代 で あ る 。 ナ イ ロ ン、 ア ク リル は米 国 の デ ュ ポ ン社 、 商
品 名 は そ れ ぞ れ 、 ナ イ ロ ン 、 オ ー ロ ン、 ポ リエ ス テ ル は英 国 のICI社(商
品 名 は テ リ レ ン)の
発 明 で あ る。 技 術 導 入 に 積 極 的 な メ ー カ ー は 、 争 っ て 、 技 術 を導 入 した 。 そ れ ぞ れ 主 な メ ー カ
ー と商 品 名 を 挙 げ る と
、 東 レ(主 な 商 品 名 、 ナ イ ロ ン、 テ トロ ン、 トレ ロ ン)、 帝 人(テ
トロ
一47一ン)、 旭 化 成(カ シ ミ ロ ン)、 三 菱 レ ー ヨ ン(ボ ン ネ ル)と な る 。 な お ク ラ レ は 、 京 大 の 矢 沢 、 桜 田 両 氏 の 発 明(1939年)に な る ビ ニ ロ ン を 主 力 に 生 産 し た 。 な お ビ ニ ロ ン は ア ス ベ ス ト(公 害 問 題 を 発 生)の 代 替 品 と し て も活 用 さ れ て い る 。 2)成 熟 期(1974年 ∼1994年) 1973年 は 第 一 次 石 油 シ ョ ッ ク に よ り物 価 高 騰 し1)そ の 後 急 激 な 金 融 引 き 締 め が 行 は れ た 。 そ れ 以 前 よ り対 米 貿 易 摩 擦 が 発 生 し(1970年)、 日 米 繊 維 協 定 が 成 立(1972年)、 つ い で1974年 に は 多 国 間 繊 維 取 り決 め(MFA、MultinationalFiberArrangements)が 発 効 し た 。 複 数 の 繊 維 に つ い て の 輸 出 自 主 規 制 で あ る 。他 方 、外 国 為 替 レ ー ト も1971年 ニ ク ソ ン シ ョ ッ ク に よ っ て1㌦360 円 か ら308円 に な り、 固 定 相 場 か ら 変 動 相 場 に 移 行 し1973年12月 に は270円 の 円 高 と な っ た 。 さ ら に 、1985年 の プ ラ ザ 合 意2)に よ り急 激 な 円 高 と な っ た 。 そ の 間 、 業 界 の 不 況 打 開 と 発 展 の た め に 、 繊 維 工 業 改 善 臨 時 措 置 法 に 基 づ き構 造 改 善 事 業 が 行 わ れ て き た 。 ①1967年 、 ス ク ラ ッ プ ・ア ン ド ・ビ ル ト(旧 設 備 を 廃 止 し効 率 の 良 い 新 設 備 に 替 え る こ と) に よ り 国 際 競 争 力 の 強 化 を 図 っ た 。 ②1974年 の 貿 易 摩 擦 や ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 を 受 け て 、 知 識 集 約 型 の 構 造 改 善 が 行 わ れ た 。 ③1989年 に は 消 費 者 の 高 級 化 、 個 性 化 に 対 応 し て 、 ク イ ッ ク レ ス ポ ン ス(QR)2)の 推 進 が 図 ら れ た 。 ④1994年 に は グ ロ ー バ ル 化 に 目 標 が お か れ た 。 こ れ ら の 措 置 に よ っ て 、1994年 か ら ア ジ ア を 中 心 と し て 、 生 き残 り を か け た 企 業 進 出 が 急 速 に 進 展 し た の で あ る 。 (注)1)物 価 高 騰 で トイ レ ッ ト騒 ぎが 有名 であ る。 トイ レ ッ トペ ー パー 騒 ぎは1973年(昭 和48年)ll月1日 、大 阪 の千 里 ニ ュ ー タ ウ ンで 始 ま った とい わ れ て い る 。 主 婦 た ち はス ー パ ーの トイ レ ッ トペ ー パ ー安 売 りの チ ラ シ を見 て 、ス ー パ ー 開店 前 に並 ん だが 、 団地 で は 窓 か ら 良 く見 え るの で 、人 が並 ぶ と何 か安 い ものが あ るだ ろ うとい う こ とで 行 列 が行 列 を生 ん で 、開 店 時 の10時 には 、200 人 に もな って い た とい う こ とで あ る。 主 婦 達 は開 店 と同 時 に トイ レ ッ トペ ー パ ー に殺 到 した の で 、 た ち ま ち売 り 切 れ 、在 庫 を出 したが 、 そ れ もア ッ トい う ま に無 くな って し まっ た。 通常 の1日 の売 り上 の10倍 近 くの 量 が わ ず か ユ時 間 で売 れ て しま っ た の で あ る。 なぜ 、 殺 到 したか と い う とあ ま り埋 由 はな い とされ て い る。 しい て 言 え ば 当時 の 中 曽根 通 産 大 臣が10月 な か ば、 将 来 紙 不 足 に な る恐 れ が あ る の で 、紙 の 節 約 を呼 びか け た こ と ぐらいで あ ろ うか。 この トイ レ ッ トペ ーパ ー騒 ぎが 、 マ ス コ ミ網 に 乗 っ て 、 口本 中 を駆 け巡 り、人 々 は買 い 急 ぎ、買 い溜 め に走 っ た 。 また、 押 入 れ の空 きスペ ース に一 杯 買 った 主 婦 は友 人 に電 話 し、 トイ レ ッ トペ ー パ ー が 無 くな る と告 げ る な ど して買 い 急 ぎに拍 車 を か け た の で あ る。 平 均 で 小 売 価 格 は約50%高 騰 し、場 所 に よ って は3倍 も高 値 が 付 い て も売 れ た と言 う。 つ い に殺 到 した客 が 転 倒 す る騒 ぎ まで 起 こ り、 トイ レ ッ トペ ー パ ー は 日本 巾 の 店頭 か ら全 く姿 を消 して しま っ た。 そ の後 、輸 入 を含 め 、 大 量 の トイ レ ッ トペ ー パ ー の 緊 急 出 荷 が 行 わ れ 、騒 ぎは12月 に入 る と、急 速 に 収 ま っ て い っ た。 トイ レ ッ トペ ー パ ー を買 い 溜 め した 主 婦 は ス ト ックが な くな る まで 新 た に買 わ な い の で 、 店頭 は 閑 古 鳥
が無 き、 結 局年 間消 費 量 は 変 らな か っ た と い う。 しか し、 トイ レ ッ トペ ー パ ー騒 ぎ に端 を発 した 「もの不 足 」 は 洗剤 、砂 糖,醤 油 、 灯 油 な ど生 活 必 需 物資 に まで飛 び火 してい った 。今 の うち に買 って お か な い と高 くな る 、無 くな っ て し ま うとい う一 種 の 強迫 観 念 に と ら え られ 、 買 い溜 め に走 っ たの で あ る。 ま た、 企 業 批 判 の 高 ま りと と もに 、正 常 在庫 で も売 り惜 しみ と取 られ る 場 合 もあ っ た。 発 端 が デ マ で あ ろ う と流 言 で あ ろ う と、い っ た ん行 列 が で き、値 が上 が り、 ものが 店 頭 か ら無 くな っ て い け ば、 一個 人 は そ れ に加 わ る しか 自分 を守 る方 法 が な い ので あ る 。 げ に 、大 衆1人1人 の力 は た い した事 で は な い が 、集 団 の 力 とな る と、 雪 だ る まの 転 が る よ う に大 き くな る も の で あ る。 これ か らも同様 なパ ニ ッ クが 起 こ る可 能性 が あ るの で、 よ く注意 して対 策 を考 え て お く必 要 が あ る 。 この時 点 で の消 費 者 の 合理 的 な行 動 は消 費 者 全 体 の 利 益 か ら見 る と逆 に非 合 理 的 な行 動 とい う事 態 に な っ て い る。 消 費者 が殺 到 しな け れ ば、 トイ レ ッ トペ ーパ ー も普 通 通 りに買 え 、在 庫 もあ り、値 段 も上 が らな い 。消 費者 が 殺 到 しない よ うにす るた め に は 、マ ス コ ミの 良識 あ る情 報 の 正 確 さ も必 要 で あ る 。理 性 的 な対 処 法 が 望 まれ る ので あ る。 結 局 自分 で 自分 の 首 を絞 め て い る よ う な もの だ か ら、 よ くコ ミュ ・一ニ ケ ー シ ョ ン を図 り、納 得 す る こ とが 必 要 で あ る。 よ きリー ダーが 必 要 であ る 。 この 反 省 と して,物 価安 定 策 と して 「国民 生 活 安 定 緊急 措 置 法 」「生 活 関 連物 資 等 の 買 い 占め 売 り惜 しみ に対 す る 緊急 措 置 に関す る法律 」 が 制 定 さ れ た 。(竹 内宏 著 「昭 和 経 済 史 」 筑 摩 書 房(1988)P.214∼216) (注)2)プ ラザ 合意(PlazaAccord)は1985年 当 時 、過 度 な ドル 高 の対 策 に頭 を痛 め てい た 米 国 の 呼 びか け で、 米 国 ニ ュ ー ヨ ー クの プ ラザ ホ テ ル に先 進 国5力 国(日 ・米 ・英 ・独 ・仏 一G5)の 大 蔵 大 臣(米 国 は則 務 長 官)と 中央 銀 行総 裁 が 集 ま り、会 議 が 開催 され た(1985年9月22口)。 この 会議 で ドル 安 に 向 けたG5各 国 の協 調 行動 へ の合 意 、 い わ ゆる 「プ ラザ 合 意」 が発 表 され た 。 具体 的 な 内容 と して 「基軸 通 貨 で あ る ドル に対 して 、参 加 各 国 の 通 貨 を一 律10∼1296幅 で 切 り ヒげ、 そ の た め の方 法 と して参 加 各国 は外 国為 替 市場 で 協調 介 入 を行 う」 とい う もので あ った。 この 最 大 の狙 い は 、 ドル安 に よ って 米 国 の輸 出競 争 力 を高 め 、貿 易 赤 宇 を 減 らす こ とに あ っ た 。 そ して こ の 合 意 を受 け、 日本 で は 急速 な 円高 が進 行 した(¥216か ら1年 後¥154と な った)。 (3)海 外 進 出 と 空 洞 化 現 象 1)海 外 進 出 図 表1-(1)か ら1-{7)を 参 照 さ れ た い 。 こ れ は 東 洋 経 済 「会 社 四 季 報2004年1集 」 の 上 場 企 業 の う ち 、 繊 維 関 係 の メ ー カ ー 及 び 繊 維 を 取 り扱 っ て い る 卸 ・小 売 企 業 合 計121社 を 記 載 し た も の で あ る 。 更 に そ れ ぞ れ の 企 業 に つ い て 、 週 間 東 洋 経 済 「海 外 進 出 企 業 総 覧(会 社 別 編)」 を 参 照 に し て 海 外 進 出 の 有 無 を 調 査 し た もの で あ る 。 目 的 は ど の 程 度 企 業 が 海 外 進 出 し て い る の か を 知 る た め で あ る 。 上 記 の う ち 、 海 外 進 出 企 業 数 は79社(約65%)、 未 進 出 企 業 は42社(35%)で あ る 。 未 進 出 企 業 の 理 由 は そ れ ぞ れ 記 載 し て い る が 、 赤 字 経 営(例 、 福 助)、 特 殊 な 製 品(ガ ー ゼ 、 脱 脂 綿)特 殊 な 業 態(深 夜 営 業)、 或 い は 、 海 外 の 有 力 な 協 力 企 業 と提 携 し て い る こ と な ど が 挙 げ ら れ る 。 ま た 、 海 外 進 出 企 業 総 覧2003(会 社 別 編)に よ る 繊 維 業(P.109∼143、 繊 維 メ ー カ ー 、 除 く卸 、 小 売 業)の う ち 、 未 上 場 企 業 で 、 海 外 進 出 企 業 数 は34社 で あ る 。 こ れ ら の 繊 維 業 は 現 地 法 人 を112社 設 立 し、 そ の う ち 、102社 が 繊 維 製 品 関 係 の 仕 事 を し て い る 。 一49一
海 外 進 出動 機 と して 多 い も の を挙 げ る と、繊 維 業 の複 数 回答 数312件 の う ち、国際 的 な 生 産 ・
流 通 網 構 築(31%)、
労 働 力 の確 保(18%)、
現 地 市 場 の確 保(16%)及
び 日本 へ の 逆 輸 入(14%)
で あ る。 また 、本 社 所 在 地 の 主 要 な都 市 は全 国863企 業 の う ち、 東 京43%、
大 阪37%。
愛 知5%
で あ る。(週 間東 洋経 済 「
海 外 進 出 企 業 総 覧 」P.1790)
こ れ で理 解 で き る事 は 有 力 繊 維 企 業 の 海 外 布 石 は 一 応 完 了 し、 拡 充 を 図 る 段 階 と判 断 され る 。
生 き残 り を賭 け た 繊 維 企 業 の 逞 し さ を痛 感 す る の は 筆 者 の み で は な い で あ ろ う。
2)空
洞 化 現 象
下 記 の よ う な事 例 が あ る。
① 人手 が集 ま ら な い 地 方
1970年 前 半 ま で 、 日本 で は縫 製 工 場 は 大 阪 か ら九 州 や 四 国 へ 分 工 場 を作 っ た も の だ が 、
2004年 現 在 、 地 方 で は 、 高 齢 化 が 進 み 、 縫 製工 に な る 人手 が 無 い の で 閉 鎖 せ ざる を得 な い
との事 で あ る。 時 代 の 変 化 を痛 感 す る と と もに 、 縫 製 業 と して 進 出 す る な ら、 コ ス トの安
い 中 国 や ベ トナ ム が 良 い と判 断 す るll。
② 後 継 者 が い な い企 業
縫 製業 な ど 中小 企 業 で は こ の よ う な ケー ス が 多 い。 自然 廃 業 で あ る 。
③ 日本 の タ オ ル工 場 の 廃 業
三 重 県 の 津 市 の 近 郊 に あ る タ オ ル工 場 だ が 、 ご承 知 の よ う に 生 産 は分 業 体 制 で 、 タ オ ル
を織 れ ば 晒 しや 染 色 す る染 工 場 が 必 要 で あ る 。 其 の染 工 場 が 閉 鎖 して しま い 、 タ オ ル の 製
造 は不 可 能 に な っ て い る。 早 く損 の 少 な い と き に廃 業 して よ か っ た と述 べ られ て い た 。 国
内 生 産終 業 式 で あ る 。 こ の よ う に、 繊 維 産 業 の 空 洞 化 は静 か に 進 ん で い る。 時 代 の流 れ で
し ょ う。 変 わ る こ とが 不 変 の法 則 で あ る 。
④ 設 備 一 式 を海 外 へ 移 転
中 国 の 上 海 でD毛 紡 は ウ ー ル か ら、 染 色(原
毛 染 め 、 糸 染 め)、 紡 績 、 織 物 、 縫 製 と一
貫 工 場 で あ るが 、 設 立 当 時 は 中古 品 で も許 可 取 れ て との 事 で 、 自社 工 場 か ら設 備 一 式 持 っ
て きて い る。 責 任 者 の 話 で は 、 中 国製 の新 しい 機 械 よ り、 安 心 して使 え る とい っ て い た 。
(注)1)な お、中国やベ トナムなどに進出する場合、中小企業では十分 な人、 もの、資金 もないので、大手 商
社が作っている工業 団地 などイ ンフラが ととのっている所,例 えば大連工業団地 など活用 すれ ば生産 が早 くで き
る事 になる。 また、袖 の下の多い官庁相手に対 して も余計 な心配は必 要ない。社 会主義 の国なので、対政 府折衝
は時間がかか るが工業 団地ではその心配 も少ない。筆者 にでも相談 いただければ、多少 な りともお役 に立 つ と考
える。
4.国
際 競 争 力
(1)リ
カ ー ドの 比 較 生 産 費 の 原 理 一 国 際 分 業 の メ リ ッ ト
比 較 優 位(比
較 生 産 費)の
原 理(Principleofcomparativeadvantage(comparativecosts)は
国
際 分 業 を支 配 す る原 理 で あ る 。 各 国 は 貿 易 前 に他 国 よ り も相 対 的 に コ ス トの 安 い 材 を輸 出 し、
其 の生 産 に 特 化 す る とい う もの で あ る 。1817年 、 リカ ー ドに よっ て 提 唱 され て以 来 、 国 際 経 済
学 の基 礎 定 理 と して一 般 に承 認 さ れ て い る。 単 純 に解 釈 す れ ば 、 日本 の場 合 は繊 維 にお い て は
高 付 加 価 値 繊 維 、 例 え ば 炭 素 繊 維 の よ う な他 国 に比 べ て総 体 的 に安 い 比 較 優 位 財 を増 産 して 輸
出す る よ う に し、付 加 価 値 の 少 な い シ ャ ツ の よ う な他 国 に 比べ て 相 対 的 に高 い 比 較 劣 位 財 を輸
入 す る ほ うが メ リ ッ トが あ る とい う もの で あ る。
繊 維 関 係 にお い て2003年3月
、 旭 化 成 が 静 岡 県 富 士 工 場 で 生 産 し て い た ア ク リ ル繊 維 「カ シ
ミ ロ ン」 の 生 産 を、 競 争 激 化 に よ る価 格 低 下 で 赤 字 基 調 が 続 い た こ とで 止 め る な どの事 が 生 じ
て い る。 コ ス ト競 争 力 が 無 くな れ ば、 か って の比 較 優 位 財 か ら劣 位 財 に変 わ っ て し ま う例 と し
て 時 代 の変 化 を痛 感 す る 。
(2)中
国 にお け る 繊 維 製 品 の コス ト分 析 の 一例
1)中
国 に お け る ドレス シ ャ ッ の製 造 コ ス トの 一例
量 販 店 な どで 買 う こ とが で きる形 態 安 定 シ ャ ツは 上 代1000円 で あ る。 この ドレス シ ャ ツ を 中
国 で 生 産 し、 日本 に持 って きた 時 の コ ス ト分 析 は下 記 の通 りで あ る 。
直 接 材 料 費(単 位:日
本 円)
①
生 地 代(テ
トロ ン/綿 混)¥120/m×1.8m/pc≒¥215
②
③
④
⑤
副 資 材(ボ
タ ン、 芯 地 、 縫 糸 そ の他)
労 務 費120/pc
輸 入 関税(7.8%)
運 賃 保 険 料(3%)
製 造原価
¥50 ¥120385FOB(輸
出 港 渡 し)
¥30 ¥12 ¥427CIF(輸 入 港 渡 し)販 売 費5%(商
社 マ ー ジ ン)¥25
合
計¥452
ア パ レル 問 屋 出 し値¥148(約33%)加
算 して¥600/pc
小 売 店 は¥400(売
値 の40%)の
マ ー ジ ン をの せ て¥1000/pc
上 代(売
値)1000円
で 販 売 して い る こ と に な る 。 一 般 に 生 地 は 日本 製 が 多 く、縫 製 は指 導 が
行 き届 い て い る の で 、 品 質 的 に 問題 は 少 な い 。
日本 で 製 造 す れ ば 、 例 え ば原 価2000円 の もの が 、 中 国 で は400円 以 下 と な る の は 、 人 件 費 が
中 国 で は 、 日本 の10分 の1以 下 で あ る こ とに よ る。
2)D毛
織 の 日中製 造 コ ス ト比 較
一51一図表2中
小 企 業 の 原 価 指 標 「
織 物 製 外 衣 ・シ ャ ツ製 造 業(縫
製)」 を 参 照 す れ ば 、 明 らか
な如 く、 日本 で は 製 造 原 価 に 占 め る 直 接 労 務 費 が 総 原 価 構 成 比 率 で23.4%を
占め て い るが 、 こ
れ が 中 国 で は そ の10分 の1の 労 務 費(2.34%)で
あ る。 こ の労 務 費 の 違 い をそ の ま ま当 て は め
れ ば 、 日本 で100%の
原 価 が 中 国 で は79%と
な る。{計 算100-23.4(1-0.1)}、
そ の他 の 条 件
が 変 わ ら な い と して 考 え れ ば、21%の
利 益 に な る こ とで あ る 。
上 海 に生 産 拠 点 を持 つD毛 織 の 工 場 長 に 「
製 造 コ ス トの 日 中比 較 」 を尋 ね た が 、 工 場 長 は 賃
金 差 で あ る とい う 回答 で あ っ た。
前 述 の如 く、 か っ て米 国 向 け に大 量 に繊 維 品 が 出 たが 、 当 時 の 賃 金 差 が 現 在 の 日 中 の差 で あ
る の は 「
歴 史 は繰 り返 す 」(コ ス トの 安 い 国 か ら高 い 国 に輸 出)が
、 大 き く変 化 して い る こ と
(日本 が コ ス ト安 か ら コス ト高)が
実 感 され る。
3)0ニ
ッ ト(中 国 名 上 海0時 装 有 限公 司)
0社 を見 学 した(2003年)。
こ こ は 子 供 服 を作 っ て い る が 、1000人 近 い20歳 代 の 女 子 従 業 員
が 午 後8時
まで 残 業 して い た 。 行 き届 い た 管 理 体 制 で セ ク シ ョ ン ご と に流 れ 作 業 を して い た 。
設 備 は最 新 式 の もの で 、CAD(ComputerAidedDesignコ
ン ピ ュ ー タ活 用 に よ る設 計 機)、CAM
(ComputerAidedMachineコ
ン ピ ュ ー タ活 用 に よ る 裁 断 機)を 備 え て お り、 プ リ ン ト設 備(中
国
語 で は印 花 機 とい う)も ず ら っ と並 ん で お り、 これ で は 日本 の 縫 製 工 場 で は 太 刀 打 ちで きな い
と グ ロ ーバ ル 時代 の 到 来 を 痛 感 した もの で あ る 。
製 品 は立 派 な もの で高 級 品 と して大 阪梅 田 の ア パ レル専 門 店 で 、 販 売 さ れ て い る 。 十 分 、 日
本 で 通 用 す る もの で あ る 。N社 長 は 、 も し仮 に本 社 の あ る伊 丹 市 で ニ ッ ト製 品 を 製 造 して お れ
ば 、 コス ト競 争 力 に敗 れ て廃 業 して い た で あ ろ う と述 懐 され て い ま し た。
中 国 は共 産 党 の 国 で あ り、 問 題 点 も多 い が 十 分 採 算 が 取 れ る 事 が 判 明 した 。 な お0社 長 は 上
海市 の 顧 問 を引 き受 け られ て 、 進 出企 業 の 相 談 に も乗 っ て お られ る 優 れ た経 営 者 で あ る。
(3)労
賃 コス トの 比較
な ん とい っ て も繊 維 産 業 に お け る労 務 費 の 占 め る 割 合 が 大 きい の で 、 賃 金 格 差 が コ ス トの 決 め
手 に な る 。 図 表2に
依 れ ば 、総 原 価 構 成 に 占 め る直 接 労 務 費 は23.4%、
外 注 工 賃 は10.5%に
な っ
て い る 。 合 計 す れ ば 約44%に
な り、 労 働 集 約 的 産 業 で あ る。 資本 集 約 的 産 業 で あ れ ば 、 例 え ば 塗
料 製 造 業 の 場 合 は 、外 注 工 賃 を含 め 約5%で
賃 金 格 差 は比 較 的僅 少 で あ る。
ア ジ ア 各 国 の賃 金 格 差 は下 記 の 通 りで あ る。
図 表3ア
ジ ア各 国 の 賃 金 格 差 を参 照 され た い 。
ポ イ ン トは 繊 維 製 品 の 場 合 、労 務 費 の 安 い 政 情 の安 定 した 国 と して 、 中 国 、 ベ トナ ム が 注 目 さ れ
て い る 。
A B C D
図表3ア
ジ ア 各 国 の 賃 金 格 差(製
造 業,1か 月 あ た り)(2001年)
単位
1
現 地 通 貨
通 貨 単 位
換 算 レ ー ト (円)円 換 算
(円)
日本 一100と
す る 指 数
日
本
月
368,915
円
一 368,915 100.0 イ ン ド1)月
1,211 ル ピ ー 3.17 3,839 1.0韓
国
月
1,702,400 ウ オ ン 0,094 160,026 43.4 シ ン ガ ポ ー ル月
3,ll7 シ ンガ ポー ル ドル 67.83211,426
57.3 タ イ2)月
6,052 バ ー ツ 2.69 16,280 4.4 (台 湾)2)月
38,792新台湾元
3.45 133,832 36.3 1 中 国2)月
729人民元
13.02 9,492 2.6 ブ イ リ ピ ン2)月
7,300 ペ ソ 2.44 17,812 4.8(香
港)
月
12,133香 港 ドル
15.58 189,034 51.2 マ レ ー シ ア1)月
1,531 リ ン ギ 31.98 48,961 13.3(参
考)
日
本
時
2,276
円
一 2,276 100.0ア メ リカ合 衆 国
時
14.83
ドル 121.53 1,802 79.2 イ ギ リ ス時
10.49 ポ ン ド 174.96 1,835 80.6 ILO統 計 年 鑑(2002年)お よ び 厚 生 労 働 省 「海 外 情 勢 白 書 」(2001∼2002年)に よ る 。 た だ し、 日 本 は 厚 生 労 働 省 「毎 月 勤 労 統 計 調 査 」 の 事 業 所 規 模5人 以 上 の200ユ 年(暦 年)の 実 労 働 時 間 あ た り現 金 給 与 金 額 で 、 パ ー トを 含 む 全 労 働 者 が 対 象 。 円 へ の 換 算 レ ー トは 内 閣 府 「海 外 経 済 デ ー タ」 に よ る 。 韓 国 、 シ ン ガ ポ ー ル 、(台 湾)、 中 国 、 フ ィ リ ピ ン は 雇 用 者 。(香 港)は 給 与 雇 用 者 。 タ イ は 国 有 企 業 を 除 く 。 フ ィ リ ピ ン は 従 業 者20人 以 上 の 規 模 の 事 業 所 。 ア メ リ カ は 民 間 非 農 業 部 門 で 管 理 職 を 除 く。 イ ギ リ ス は 北 ア イ ル ラ ン ド を 除 く 。 出 所:「 日本 国 勢 図 会200304」P.82 追 加:ジ ェ ト ロ 「通 商 広 報 」2001年11月 に よ る と 、 ベ トナ ム の ホ ー チ ミ ン 市 の ワ ー カ ー 賃 金 は 月96米 ドル 、 中 国 の 深 セ ンが89∼157米 ドル な の で 中 国 並 み と 見 て 良 い と 思 う 。この 図 表 に 示 され て い る如 く、 日本 の 企 業 は そ れ ぞ れ の 国 に 進 出 して い る 。 ベ トナ ム は加 工 区
(関税 な しの 自 由地 区)な
ど設 置 し、 海 外 か らの 企 業 誘 致 に積 極 的 で あ る 。
筆 者 もホ ー チ ミン(サ
イ ゴ ン)市 を 見 学 したが 、 優 秀 な労 働 力 もあ り、 政 情 も安 定 して お り推
奨 で き る 国 で あ る。 住 友 商 事 が 九 州 の縫 製 業 者 を工 場 長 と して 、 政 府 の 工 場 を動 か して い た の が
印象 的 で あ っ た 。
5.我 が国経済 と繊維産業の現状分析
我 が 国 の経 済 が 不 況 か ら脱 出す る 気 配 が 現 れ て きた 。 長 年 の 不 況 で 贅 肉 を落 と し た 、企 業 体 質
に 変 わ っ て きて い る。 経 済 が 良 くな れ ば 、 繊 維 産 業 も 良 く な る。1億2700万
人 の 国 内 マ ー ケ ッ ト
は大 きい もの が あ る。 まず 日本 経 済 の 現 状 か ら分 析 す る こ と にす る 。 そ して 、 こ こ に世 界 と の 交
流 の 中 に 日本 の 生 きる道 が あ る事 、 日本 の 宿 命 を しっ か りと理 解 した い。
(1)日
本 経 済 の 現 状 分 析
不 況 が 続 い て い る が 、世 界 的 に み れ ば 豊 か な 生 活 で あ る 。2002年 の1人
当 た りGDPは
日本 約
31000ド ル(中
国 の31倍)、 中 国 は1000ド ル 、韓 国10000ド ル 、 ベ トナ ム440ド ル 、 ドイ ツ24000ド
ル 、 米 国36000ド ル と な っ て い る(東 洋 経 済 「統 計 月 報2004年2月P.096」 。 国 内 総 生 産 を 分 析 す る と 下 記 の 通 り に な る(図 表4を 参 照 さ れ た い)。 国 内 総 生 産2002年(Y)=500兆 円 一 消 費C+投 資1+輸 出X一 輸 入M 消 費(C)=民 間 消 費+政 府 消 費=286+89=375兆 円 投 資(I)=住 宅+設 備 ± 在 庫+公 共 投 資=18+71-2+31=ll8兆 円 輸 出 入 差 額(X-M)56-49=7兆 円 比 率 で 見 る と総 生 産(Y)100%一(C)75%+(I)24%+(X-M)1% 2002年 のGDPは 暦 年 ベ ー ス で 名 目 △1.5%、 物 価 が 下 が っ て い る の で 実 質 プ ラ ス0.1%と な っ て い る 。 民 間 在 庫 品 の 減 少 分 が2兆 円 も あ り 、 こ れ と 住 宅 投 資 を 含 め た 民 間 投 資 が 前 年 比 △9.9% と 減 少 し て い る 。 政 府 投 資 も△6.7%減 少 し て お り 、 景 気 悪 化 の 原 因 に な っ て い る 。 順 調 に 伸 び て い る の は 輸 出 で+6.2%と な り 、 景 気 を 支 え て い る 。
図表4日
本 経 済 の 現 状 と2002年GDP〔
国 内 総 生 産 〕
世 界 の 中 に お け る 日本 の地 位 一21世 紀 にお け る 日本 の 進 路 一
項
目
世
界
日本(世
界 に 占 め る 日本 の シ ェア ー)
人 口(国 連 人 口 統 計2002年6月
1960年30億 人 9300万 人(3.1%)推 定値)
2002年63億 人1) 1億2743万 人(2.0%)2)陸 地 面 積(地
球 面 積 の 約27%)
1億3560万k㎡ 37.8万k㎡(0.3%)1
国民の主食
穀 物 生 産量(2002年)
20億2900万 ト ン 1200万 ト ン(0.6%)穀 物 輸 入(2001年)
2億5900万 ト ン 2800万 ト ン(10.8%)肉 類 生 産(2002年)
2億4500万 ト ン 300万 ト ン(1.2%)肉 類 輸 入(2001年)
2400万 ト ン 270万 ト ン(11.3%) 一 次 エ ネ ル ギ ー 生 産 量(2000) 101億 ト ン 1億600万 ト ン(1.0%)石油換 算供給 量(消 費量)(2000)
100億 ト ン 5億2000万 ト ン(5.2%)GDP(国
内 総 生 産)(2000年)
30.9兆 ド ル 4.8り1∼ ド ル(約15.5%) 2000年 の 為 替 レ ー ト1ド ル に (2002年500兆 円 、4.0兆 ドル) つ き114.90円 為 替1/一 ト1ド ル125.39円3} 出 所:矢 野 恒 太 郎 記 念 会 編 「2003/2004日 本 国 勢 図 会 」 国 勢 社(2003)P.6(為 替 相 場)P.15(陸 地 面 積)、P.45 (日 本 の 人 口)、 「2003/2004世 界 国 勢 図 会 」国 勢 杜(2003)P.57(世 界 人 口)、P.121(世 界 のGDP)、P.125 (日 本 のGDP)、P.177(エ ネ ル ギ ー の 生 産 量)、P,180(エ ネ ル ギ ー の 供 給 量(消 費 量))、P.224(穀 物 生 産 量)、P.244、246(穀 物 輸 出 入)、P.263、266(畜 産 物 の 生 産)、P272(肉 類 の 輸 出 入)。 注1)世 界 人 口 増 加02/03年7700万 人 、 人 口 国 連 人 口 基 金(2003.2.)プ レ ス リ リ ー ス 2)浅 野 純 次 編 「東 洋 経 済 統 計 月 報'2003年11」 東 洋 経 済 新 報 社(2003)P.063 数 値 は す べ て 四 捨 五 入 の 概 略 数 値 3)日 本 の 国 内 総 生 産GDP(2002年)の 分 析(暦 年 、 名 目) 一55一① 十② 十③十④十
⑤ 一⑥
①
②
③
④
⑤
⑥
国内総生産
民間消費
政府消 費
民 間投資
政府投資
輸
出
輸
入
GDP Cl C2 1且 12 X M 500(兆 円)286
8987
31
56 49百 分 率100%
57.2 17.8 17.4 6.2 11.2 9.8 前 年 比 △1.5% △0.1 1.5 △9.9 △6.7 十6.2 0.0図 表5繊 維 の 生 産 ・加 工 ・流 通 の フ ロ ー チ ャ ー ト 上 段:堪 鼎所 ギ店劃1}蹴 中段:出 荷(販 売)額(億 円) 下 投:従 誰 凱・歌 繊 維 ・ 原 料 の 生 産 ・ 流 通 糸 の 生 産 ・ 流 通 繊 ・ 編 物 の 生 産 ・ 流 通 衣 服 の 生 産 ・ 流 通 模 規 額 額 額 場 入 荷 売 市 輸 出 卸 543,208億 円 27,457億 円 75,668億 円 228,792億 円 闇 小 売 額20亀137億 円 輸 出 額9,154億 円 総 従業 員1,993千 人
→
輸
入
1国 産1 11は99年 数 値 原 料 段 階 22,000億 円 糸段 階 域606億 円 F 繊 維 段 階 73,248億 円 :1
朔 唖 一一 1 繊 維 原 料 輸 入 1、035億円 lI IF 囑. 繊 維 原 料 輸 出 1,ll7億 円 糸 類 輸 出 Ll67億 円 -繊 維 原 料 卸 *914 11,397 *8.533 生 糸 ・繭 玉 卸 *L77 匠,120 *1.004 ■ 一 「 , 1 化 合繊 製 造 96 7,304 17記}詔 占 ↑ 製 糸業ll
4】9 紡 績 業 566 2,630 】6,956 ¶ ● . T ↓ ↑一
撚 糸 製 造 業 4,243 1,480 17,756 ● 一 門 蔓1 糸 卸 *923 7,297 *6、4" L 「 糸類輸入 L駆1億 円 ■ ● 工 1 1 1蚤 占 占 占 鼻 繊 維 業 14,607 7,384 61』 〒6 ニ ッ ト 生 地 製 造 業 2,279 且,884 12,241 一1 絹 ・絹 製造業;;l
I7,491 レー ス ・雑 品 製 造 業 2,167 1,637 11:距5 そ の 他 繊 維 工 業 4,906 7,786 41,142 圃Ill 一1 織 物 類 輸 出 4.214億 円 ↓ 一 織 物 卸 *6,009 40,356 1*51.793 染 色 整 理 業 5,247 7,858 5941】 1 繊 維 類 輸 入 ↓,lgq臨F1 ・暫 -「 繊 維 二 次 製 品輸 入 24,146億 円 1 占1
A劃1蝉 製 坦 幣 45,461 36,743 432,685 ← 一駈 繊 維 二 次 製 品輸 出 2,656億 円 巳 一 . ↓ 1衣 類 ・身 回 品 卸 業1 *28,500 168,621 *332,239 繊 維製 品段 階 、4玖303億 円 一 「 昏 曇 卜 ■ F 巳 一 繊 継 ぬ皿等 小弛 藁 *20L762 124,170 *7471552 ! 百 貨 店 ・量 販 店 3,792 77,967 165,949 1 1輸 出1 1 1 4 消 費 額(億 円) ユ02,B7 人口:126,892千 人 (出 所)製 造業:工 業統 計(経 済 産業 省) 卸 売 業 お よ び小 売 業:商 業統 計(経 済 産 業 省) 輸 出 入:日 本 貿 易 月 表(財 務省) 人 口:推 計 人 口(総 務 省 統計 局) (作 成)化 繊協 会(原 資 料:中 小 企 業 総 合 事 業 団 「繊 維 フ ァ ッ シ ョ ン情 報 セ ン タ ー」 作 成 資 料 をベ ー ス に 更 新) (注)・ 百 貨 店 の 従 業 員 数 は衣 料 品 の 販 売 額 が 全 体 に 占め る割 合 を、 全 体 の 従 業 員 数 に按 分 。 ・卸 業 、 小 売 業 に は 「衣 服 」 の ほか に靴 、 履 物 、 か ば ん な ど 「身 の 回 り品」 を含 む。 ・数 値 は2000年 を採 用 した が 、 商 業 統 計 表 は1999年 簡易 調 査 で あ るた め 、 一一部 推定 を行 っ て い る 。 一57一(2)繊
維 産 業 の 現 状 分 析
図表5繊
維 の生 産 ・加 工 ・流 通 の フ ロ ー チ ャー トを参 照 され た い 。
1億2800万 の 人 口 を擁 す る、 豊 か な わ が 国 の衣 料 を担 う繊 維 産 業 は 図 表5の 如 く大 きい もの が
あ る 。2000年 の 統 計 で は 、 市 場 規 模 と して54兆 円 、GDPの
一 割 強 もあ り、 輸 入 額 は 、2兆7000億
円 、輸 出 額 は9000億 円 、 入 超 額1兆8000億
円 に た っ す る典 型 的 な先 進 国 型 の 業 界 で あ る 。
出荷 額7兆6000億
円 。 卸 売 額23兆 円 、小 売 額20兆 円 、 総 従 業 員 数200万 人 の 大 きな 規 模 で あ る 。
そ の特 徴 は 国 際 競 争 力 の 関 係 で 、輸 入 が 次 に述 べ る よ う に増 加 して い る。 一 般 に言 わ れ て い る こ
と は 、 国 際 競 争 力 の低 下 は 国 内 生 産 及 び 流 通 の ロ ス と不 効 率 に よ る と こ ろ も大 き い と考 え られ る
(平 成15年 繊 維 産 業 分 科 会 「日本 の 繊 維 産 業 が 進 むべ き方 向 と とる べ き政 策 」P.5)。
更 に 円 高 に 為 替 レー トが 動 け ば 、 国 際競 争 力 は 減 退 す る。 輸 出 は 減 るが 、 輸 入 は増 加 す る 。 輸
入 で 大 きな 比 重 を 占 め る の は 中 国製 品 で これ か ら も増 大 す る と考 え られ る。 ち なみ に 中国 の 縫 製
品 用 の工 業 ミ シ ン台 数 は800万 台 に対 し 日本 は16万 台 と中 国 の2%に
過 ぎな い 。
ま た繊 維 大 学 が 上 海 に あ る が 、技 術 向上 が 図 られ て い る。 パ ー トナ ー と して ど の よ う に組 む か
考 え る必 要 が あ る。
た だ 日本 の有 す る技 術 力 、 デ ザ イ ンカ を活 用 した 付 加 価 値 の あ る 商 品 を作 れ ば 、 中 国 と棲 み 分
け な る と考 え られ る。
(3)繊
維 貿 易 の 現 状 分 析
1)2003年
の 我 が 国 繊 維 産 業 の 貿 易 の現 状
2002年 、 日本 の 繊 維 の 輸 出 輸 入 は そ れ ぞ れ 下 記 の 通 りで あ る。
輸 出9180億
円(全 輸 出 に 占 め る比 率1.8%、
微 々 た る も の に な っ て い る)
輸 入2兆8720億
円(全 輸 入 に 占 め る比 率6.8%)輸
入 は輸 出 の3倍 強 で 、 定 着 して い る 。
之 は2.基
本 的 な3つ の 考 え方 ② の 「
変 化 す る こ とは不 変 の 法 則 」 に当 て は ま る もの で 、 時
代 の 流 れ とい え よ う。 輸 入 に 占 め る 日系 企 業 の ア ジ ア な ど に お け る 製 品 の 比 率 は公 表 さ れ て い
な い が 、 直 接 間接 を 問 わ ず 、 相 当 高 率 に な る とい え よ う。 筆 者 の 見 て きた 上 海 の0ニ ッ トの 製
品 はす べ て 日本 向 で あ っ た 。
また 、D毛 紡 の立 派 な ウ ー ル製 品 も ほ とん ど 日本 向 け で 、 付 加 価 値 を つ け る 意 味 か ら オ ー ダ
ー メ イ ドの 背 広 に し て一 週 間 以 内 で 届 け る とい う
。 具 体 的 に は 、D毛 紡 日本 で 注 文 を 受 け て 、
そ れ を上 海 に あ る 自社 工 場 に イ ン ター ネ ッ トを 活 用 して 、 た だ ち に 連 絡 す る。D毛 紡 上 海 で は
其 の オー ダ ー に従 っ て背 広 を作 り、 日本 に飛 行 機 便 で 送 り、 約1週
間 以 内 に完 成 す る シ ス テ ム
を構 築 して い る 。 工 場 長 と面 談 した が 、 目下 縫 製 工 場 を拡 充 す る方 針 とい って い た 。 日本 向 け
は織 物 で 無 く紳 士 服 や ズ ボ ンの 完 成 品 中 心 を考 え て お り、 更 に 将 来 の 中 国 国 内 市 場 に 向 け て 、
高 級 紳 士 服 を販 売 す る考 え で あ る。 其 の 背 景 に は 、 中 国 の 所 得 が 向 上 して 、 高 級 品 で も買 え る
富 裕 階層 が 増 力1]し
て き た こ と を物 語 っ て い る 。 ち なみ に 、 同 社 の 日本 向 け背 広 は 上 代8万
円 ク
ラス で あ る。
2)内
容 分 析
圧倒 的 に多 い の が 、 中 国製 品 の 輸 入 で あ る 。2001年 の繊 維 輸 入 金 額 は図 表6貿
易 額 に あ る
如 く、 総 額246億 ドル の うち 、 中 国 は170億 ドル で 約70%の
シ ェ ア ー を持 っ て い る 。 これ は 日本
の有 力 な繊 維 メ ー カ ー はす べ て とい っ て 良 い ぐらい 中 国 に拠 点 を構 え て い る。 例 と して我 が 国
トッ プ合 繊 メ ー カ ー の 東 レ をあ げ れ ば 、 図表1-一 く3)「
上 場 繊 維 会 社 と海 外 進 出」 に あ る 如 く、
中 国 に14社 の現 地 法 人 を持 ち 、 テ トロ ンな ど を中 心 と して 合 繊 繊 維 の 重 合 か ら紡 績 、 織 物 、 染
色 、 整 理 加 工 、縫 製 品 、 樹 脂 フ イ ル ム な ど世 界 に向 け た 生 産 を誇 っ て い る。 以 前 東 レの 方 と話
した こ とが あ る が 、 電 力 代 な どで も 日本 は 中 国 の 倍 もす る と こ ぼ して い た 。 最 も中 国 は 電 力 の
質 も悪 い が 、 そ れ で も 日本 の 約30%と
い うこ とで コ ス ト安 に な るP。
つ い で 多 い の は、EUか
らで あ る(約9%)。
主 力 は イ タ リア 製 品 で あ る 。 フ ァ ッ シ ョ ン性 の
高 い もの と して 受 け 入 れ られ て い る。
(注)1)経 済産業省 「
産業の中間投 人に係る内外価格調査」(平成13年7月)
図表6繊
維 品貿易額
相手 地域別輸 出入額
単 位1000ド ル 国 ・ 地 域繊
維
品
輸
出
繊
維
品
輸
入
1999 20002001
19992000
2001
東
南
ア
ジ
ア
中
国
韓
国
台
湾
香
港
ア
セ
ア
ン
イ ン ド ・パ キ ス タ ン
5,656,533
2,581,355
475,199
466,381
932,287
1,003,561
61,768
6,309,075
2,958,042
543,727
478,932
988,017
1,121,183
73,506
5,680,088
2,843,752
493,522
330,886
874,446
941,320
65,010
17,828,008
13,395,773
1,427,826
386,740
108,460
1,749,414
481,615
21,516,751 16,896,621 ユ,357,200 397,251 116,950 1,909,535 499,53820,915,348
16,980,632
996,440
337,415
90,040
1,931,502
430,731
中
東
324,978 321,963 3ユ1,34762,008
96,46683,447
西
欧
EU
962,580
902,736
876,607
846,581
713,906
692,910
2,404,682
2,332,329
2,286,392
2,232,300
2,268,342
2,207,167
北
米
ア
メ
リ
カ
712,890 668,708756,248
708,728
627,382
588,133
1,051,396
1,016,940
1,063,004
1,026,383
876,596 841,252中
南
米
69,998
70,901 65,324149,367
140,398 115,086 ア フ リ カ 76,169 69,94476,429
54,148 58,47955,007
大
洋
州
119,492 101,793 71,722348,730
271,817 259,625旧 ソ・
東 欧(旧 社 会 主 義 圏)
20,037 26,751 24,931 54,401 61,177 59,005合
計
7,942,6768,533,281
7,57ユ,129 21,952,740 25,494,485 24,632,456 (出 所)経 済 産 業 省 「通 商 白 書 」、 日 本 化 学 繊 維 協 会 編 「繊 維 ハ ン ドブ ッ ク2003」P.76 (注)「 ア セ ア ン 」 は 、 フ ィ リ ピ ン 、 シ ン ガ ポ ー ル 、 イ ン ドネ シ ア 、 マ レ ー シ ア 、 タ イ 、 ブ ル ネ イ 、 ベ トナ ム を 加 え た7か 国 。98年 よ り ミ ャ ン マ ー を 加 え た8か 国 。2000年 よ り ラ オ ス 、 カ ン ボ ジ ア を 加 え た10か 国 。 一59一6.グ
ロ ー バ ル 時 代 の 我 が 国 繊 維 産 業 の あ り方
EUI)の 成 功 は 世 界 の 人 に大 き な感 銘 を与 え て い る。 戦 争 を無 くす る に は ま ず 、資源 の争奪 を止
め る こ とが 大 き な 目標 で あ っ た。 世 界 第2次 大 戦 後 の 仏 、独 を中 心 と した協 調 体 制 を と るべ く初
め て鉄 鋼 共 同体(ECSCEuropeanCoal&SteelCommunity)を
創 り、 仏 独 どち ら に も属 さ な い鉄 鋼
が 出来 た こ と、 欧 州 の鉄 鋼 が 出 来 た こ とか ら始 ま っ て 、50年 以 上 た っ て 拡 大 欧 州 連 合 が 成 立 しつ
つ あ る。EUROと
い う単 一 の通 貨 の 下 に拡 大 欧州 連 合 は4億5000万
人 の 巨 大 な マ ー ケ ッ トが 成 立
しつ つ あ る 。 これ は グ ロ ー バ ル 化 の 更 な る発 展 で あ ろ う。
(D先
進 国 の需 要 の 変 化
先 進 国 に お い て 、 人 は基 本 的 な欲 求 、 衣食 住 が 満 た され る と、 そ の 関 心 は モ ノ で無 く楽 しみ や
知 識 に向 か う もの で あ る。 米 国 の場 合 は 大 学 な ど高 等 教 育 を重 視 して きた こ とや 、芸 術 、旅 行 、
ス ポ ー ツな どが 栄 え て い る こ と に表 さ れ て い る。 日本 の場 合 も国 民 全 体 の 生 活 水 準 が高 ま っ た た
め 、 既 に衣 類 な どは充 足 して い て 、 さ らに どん ど ん購 入 す る の で な く、 関 心 は旅 行 や レ ジ ャ ー に
移 っ て 行 くモ ノ離 れ傾 向 で あ る 。 も っ と も、 日本 人 は貯 蓄 傾 向 が 強 く、 将 来 の不 安 に備 え る と い
うこ とで 、 国 民 全 体 と して1400兆 円 に及 ぶ 預 金 が あ る。 これ か らは教 育 や 、 健 康 産 業 に 費 す 比 率
が 増 加 す る と思 われ る 。 モ ノが 満 た され た社 会 で は、 発 展 の 方 向 は モ ノ か ら心 に 移 り、宗 教 、 芸
術 、 科 学 、教 育 な ど楽 しみ や 知 識 を 求 め る と考 え られ る。 衣 類 に して も付 加 価 値 の 高 い 健康 に 良
い 、 しか も フ ァ ッシ ョ ン性 の あ る商 品 が 求 め られ る傾 向 で あ ろ う。
人 口 の増 加 率 は 減 少 し、 高 齢 化 、少 子 化 が 進 ん で い く、 生 活 向 上 と と も に、 モ ノ離 れが 進 ん で
い く と考 え られ る 。 日本 の長 期 の 不 況 の 原 因 は 日本 人 の生 活 上 の 基 本 的 な 欲 求 が 既 に十 分 満 た さ
れ て い る か らで あ ろ う。 自動 車 を は じめ と して消 費財 は既 に保 有 して お り、 もう あ ま り買 う必 要
は な くな っ て い る 。 これ か らは 人 の 関 心 はモ ノ で な く、 楽 しみ や 知 識 に 向 か う。 芸 術 、科学 、教
育 な どで あ る。 日本 の 高 い消 費 水 準 は更 にモ ノ の面 で は、 飛 躍 す る こ と は無 い と思 わ れ る 。
ガ ル ブ レイ ス博 士 が 言 っ て い る よ う に 、GNP(国
民 総 生 産)で
な く、GNE(GrossNational
E功oymellt国 民 総 楽)楽
しみ を増 や す 方 向 を 考 え な け れ ば な らな い。 高 齢 者 の 間 で 、旅行 や、美
味 しい 食 事 を求 め る機 運(例
え ば 、 わ ざ わ ざ松 葉 蟹 を 食 べ に西 宮 か ら山 陰 ま で 行 く)が 出 て きて
い る 。科 学 の 発 展 で 、 健 康 に つ い て の 解 明 が 進 ん で来 て お り、衣料 につい て も健康 に役 立つ機 能
繊 維 が 好 評 で あ る。 そ の 他 競 技 に役 立 つ衣 服 、 光 フ ァイ バ 、 炭 素 繊 維 、 超 吸 水 繊 維 、 及 び 環 境 に
優 しい繊 維 な ど各 種 の新 しい もの が 出 て きて い る。
(2)特
徴 あ る 先 進 国 の繊 維 産 業
1)東
レの事 例
東 レの場 合 、 帝 人 も同 様 で あ る が 、 世 界 を相 手 に グ ロ ー バ ル 戦 略 を立 て て い る。 海外 進 出 総
覧 に よ れ ば 、 東 レの 現 地 法 人 は合 計 で55社 、 国 数 は15ヶ 国 に 及 ん で い る 。 特 徴 は技 術 力 の あ る
ポ リ エ ス テ ル 繊 維 を 中 心 に し て 裾 野 を 広 げ て い る こ と で あ る 。 人 工 皮 革 で も優 れ た も の を 持 っ て お り、 ヨ ー ロ ッ パ の 自 動 車 に は イ タ リ ア で 作 っ て い る 人 工 皮 革 、 ア ル カ ン タ ー ラ が 広 く使 用 さ れ て お り 、 好 評 で ど ん ど ん リ ピ ー ト注 文 が 入 る と の 事 で あ る 。 元 来 ヨ ー ロ ッ パ は あ ま り合 繊 を 好 ま な か っ た が 、 繊 維 の 性 質 を よ くPRし て 、 く い こ ん だ こ と は 技 術+販 売 力 が レ ベ ル 以 上 で あ る こ と を 物 語 っ て い る 。 炭 素 繊 維 も ト ッ プ メ ー カ ー と し て 好 評 で あ る 。 2)差 別 化 し た 製 品 群 技 術 力 の あ る と こ ろ 、 自 動 車 産 業 と 同 様 裾 野 が 広 い 。 シ ェ ンペ ー タ ー の い う技 術 革 新 が 生 か さ れ て い る の で あ る 。 競 技 用 に 良 い 繊 維 、 健 康 に 良 い 繊 維 、 環 境 に 良 い 繊 維 を 例 示 し よ う 。 新 し い 機 能 を 付 け る こ と に よ っ て 差 別 化 を 図 っ て い る の で あ る 。 ① 東 レ,ミ ズ ノ が 開 発 し た 鮫 肌 の 水 着;こ の 水 着 を 着 け る こ と に よ っ て 水 の 抵 抗 が 減 少 す る の で1'100秒 を 争 う競 泳 の た め の 戦 略 的 ア イ テ ム と な っ た 。 原 理 が 分 か っ て い て も 製 品 ま で に 仕 上 げ る の に は 、 多 くの 技 術 開 発 が 必 要 で 、4年 以 上 の 歳 月 と 多 額 の 費 用 が 費 や さ れ た 。 し か し 、 一 旦 成 功 す れ ば 世 界 の 水 泳 競 技 者 が 使 う こ と に な る 。 ② 小 松 精 練 の 例:高 付 加 価 値 製 品 、 エ ア テ ク ノ(衣 服 外 の 温 度 に 合 わ せ て 衣 服 内 温 度 を 調 整 す る 機 能 を 持 つ)、 ル ミ ナ ス(素 肌 を 弱 酸 性 に 保 つ よ う に す る)、 ホ ッ ト フ レ ッ シ(マ ル チ 消 臭 機 能) ③ カ ネ ボ ウ の 例:ベ ル ベ リ ー(ス リ ム に な る ラ ズ ベ リ ー ケ ト ン を マ イ ク ロ カ プ セ ル に 入 れ たT一 シ ャ ツ)、 と う も ろ こ し繊 維 ラ ク ト ロ ン1〕(エ コ ロ ジ ー 繊 維 で 廃 棄 す れ ば 微 生 物 の 働 き で 水 と炭 酸 ガ ス に 分 解 さ れ る) 〈注)1)大 阪 市 立 工 業研 究所 で 調査 した 。 とう もろ こ しな どの 植 物 は 水(5nH20)と 炭 酸 ガ ス(6nCOヱ)か ら 光 合成 で澱 粉(C6HI。05)nを 作 り、酸 素(6110,)を 放 出す る。 この 澱 粉 を加 水 分 解 して グ ル コ ー ス(nC6HI,06)、 乳 酸発 酵 させ て乳 酸(2nGH603)、 環 化 反 応 させ てラ クチ ド(nC6H琶04)、 開環 重 合 させ て 乳 酸 系 生 分 解 性 プ ラ スチ ッ ク(C呂H,0、、nのペ レ ッ トが 出来 る。 これ を繊 維 に した もの が ラ ク トロ ンで あ る 。 これ か ら有 望 な環境 に優 しい 絹 の風 合 い と光沢 を持 って い る繊 維 で あ る。 (3〕 繊 維 産 業 の 課 題 基 本 的 に は 、 国 際 競 争 力 を つ け る 事 で あ る 。 労 務 費 は 各 国 に 比 較 し て 高 い が 、 労 働 生 産 性 を 高 め る こ と で あ る 。 ま た フ ァ ッ シ ョ 性 を 高 め 、 付 加 価 値 を 付 け る こ と で あ る 。 製 品 の 効 用 を 高 め る 事 に 尽 き る と 考 え る 。 以 下 列 記 す る 。 1)生 産 ・流 通 構 造 の 効 率 化 生 産 が 多 段 階 分 業 型 で あ る 。 流 通 は 何 段 階 も 卸 売 業 を 通 る こ と が 多 い 。 こ れ で は 消 費 者 の 情 報 が 遅 く不 正 確 に な り易 い 。 そ の た め 、 売 れ 残 り商 品 や 、 品 不 足 を 生 じ損 失 や 高 コ ス トを 招 い て い る 。 打 開 策 と し て 前 述 のSCM(P.46)の よ う に コ ン ピ ュ ー タ 活 用 の シ ス テ ム が 必 要 で あ る 。 一61一
2>商 品 開 発 力 の 向 上 常 に 消 費 者 と対 話 を 図 り 、 そ の 求 め て い る ニ ー ズ を い ち 早 く掴 み 、 商 品 開 発 に 役 立 て る こ と で あ る 。 イ タ リ ア な ど の よ う に 良 き デ ザ イ ナ ー の 下 、 独 創 性 や 感 性 の あ る も の を 創 る こ と で あ る 。 そ し て 、 我 が 国 の 生 活 文 化 を 表 現 す る 産 業 と し て 量 的 な も の よ り も 、 質 的 な も の に 重 点 を 置 い て い くべ き で あ ろ う 。 そ れ が や が て 世 界 に 高 級 品 と し て 販 売 さ れ る こ と も 夢 で は な い と 考 え る 。 神 戸 は 日本 で も 優 れ た フ ァ ッ シ ョ ン都 市 で あ る 。 垢 抜 け し て い る と い わ れ た セ ン ス の あ る 大 都 市 で あ る 。 産 学 官 共 同 で 神 戸 フ ァ ッ シ ョ ン協 会 を 設 立 し 、 若 手 フ ァ ッ シ ョ ン デ ザ イ ナ ー の 育 成 、 支 援 に は 長 年 、 力 を 入 れ て お り、 必 ず 実 を 結 ぶ と考 え る 。 神 戸 松 蔭 学 院 も そ の 一 角 を 担 っ て い る の で 、 時 代 の 流 れ に 沿 っ て 、 フ ァ ッ シ ョ ン に 一 層 力 を 入 れ る こ と が 必 要 で あ ろ う 。 3)グ ロ ー バ ル 化 へ の 対 応 自 動 車 産 業 は こ こ 数 年 で 急 速 に 地 球 規 模 の ア ラ イ ア ン ス(提 携 、 同 盟 、 合 併)が 進 展 し 、 ま さ に グ ロー バ ル 産 業 へ と 変 貌 を 遂 げ た 。 例 え ば 、 ベ ン ツ な ど 世 界 共 通 の ブ ラ ン ド と な っ て い る 。 従 っ て 、 自 動 車 の 内 装 を す る 材 料 に し て も 、 世 界 共 通 の ブ ラ ン ドが 必 要 に な ろ う(東 レ の 人 工 皮 革 ア ル カ ン タ ー ル な ど)。 グ ロ ー バ ル 化 す る に は 、色 々 と 問 題 が あ る と思、う が 、例 え ば 、 保 護 主 義 の 問 題 が あ り 、 自 由 貿 易 が 阻 害 さ れ る こ と も生 ず る 。 雇 用 問 題 も 大 き な 問 題 で あ る 。 しか し2002年 の 世 界 の 繊 維 生 産 は 「FiberOrganon」 に よ れ ば 、 約5300万 ト ン 、 世 界 人 口 を63億 人 と す れ ば 、1人 当 た り 約8.4kgに な る 。 日 本 は 経 産 省 の 発 表 に よ れ ば 、 約17kg で あ る の で 、 世 界 に 目 を 向 け れ ば 、 こ れ か ら 大 い に 発 展 の 余 地 が あ る 。 如 何 に 受 け 入 れ ら れ る 素 材 や デ ザ イ ン を展 開 す る か 大 き な 課 題 で あ る 。 (注)1)1950年 、 フラ ンス外 相 ロ ベ ー ル ・シュ ー マ ンz】が 欧 州 諸 国 に対 して 、 お互 い 敵対 行 為 は 止 め て、 共 通 の経 済 的 利益 を推 進 、管 理 す る た め に力 を合 わせ よ う と提 案 し、 先ず 手 始 め に欧 州 石 炭 鉄 鋼 共 同体(ECSC)を 設 立 した。戦 争 の大 きな 原 因 は フ ラ ンス と ドイツ の国 境 地帯 にあ る鉄 と石 炭 の資 源 の 争奪 か ら始 まっ た こ とか ら 、共 同 管理 を して い こ う とい う もの で 、画 期 的 な 出来 事 で あ っ た。 こ のECSCが 成功 した の で 、 そ の 後1957年 、欧 州 経 済共 同体(EEC)、1973年 、拡 大EC(欧 州 共1司体)と して 加盟 国が 増 加 、1993年 、 マ ー ス トリ ヒ ト条 約 に よ っ て15 力国 に よ る欧 州連 合(EuropeanUnion略 称EU)が 発 足 、 な お 、 その 源 を探 れ ば 、明 治 時代 の青 山光 子 の 時 代 に湖 る」㌔ 彼女 の二 男 リヒ ャル ト ・ク ー デ ンホー フが 第 一 次 世 界 大 戦 後 、 欧 州統 合運 動 を始 め た こ と も大 き な力 に な っ て いる の で あ る。 (注)2)ロ ベー ル ・シュ ーマ ン(Robe匝Schuman)は か っ て ドイ ツ領 で あ っ たが 、 第一 次 世界 大 戦 後 、 フラ ン ス領 にな っ た ロ レー ヌ(Lorraine)生 れ で あ っ た。 そ の た め ドイ ツ とフ ラ ンス の 両 大 国 に挟 まれ て苦 労 した経 験 を 持 って お り、 平和 の大 切 さを 身 に しみ て よ く理 解 して い た。 な お 、 この 石 炭鉄 鋼 共 同体(EuropeanCoa【alldSteel Co㎜unity略 称ECSC)を 発 案 したの は ジ ヤ ン ・モ ネ ー(JeanMonnet)で 、 シュ ーマ ンが取 ヒげ 、西 ドイ ッの ア デ
ナ ウ ワー 首 相(Adellauer)が 全 面 的 に賛 成 して成立 した もの で あ る。 (注)3)「 欧 州統 合 運動 を始 め た 人 物 とそ の母 日本 人 光 子 」 を記 念 して 欧 州 と 世界 の 若 者 の 交 流 拠 点 を ロ ン ス ベ ル グに作 ろ う と して い る 。青 山光 子 は 明 治29年 、 オ ー ス ト リア ・ハ ン ガ リー の 駐 日公使 カ レ ル ギ伯 と東 京 で結 婚 した 。東 京 生 まれ の二 男 リヒ アル ト ・クー デ ンホー フ ・カ レル ギー 伯爵(日 本 名 栄 次 郎)は 第 一 次 世 界 大 戦 後 、 ヨー ロ ッパ各 国 が お互 い に 戦争 をす る時代 で は な く協 力 す る時代 であ る とい う こ とで 、汎 ヨー ロ ッパ 同盟 を作 り、 欧 州 統合 運 動 を始 め た。 光子 さ んが 伯 爵 夫 人 と して、 夫 と7人 の 子供 と共 に住 ん だ 館 が ボヘ ミヤ の ロ ン スペ ル グ 城 で あ る。 この ロ ンス ペ ル ク城 は オー ス ト リア ・ハ ンガ リーか ら一 時 ドイ ツ領 に な り、現 在 は チ ェ コ共 和 国 領 と な って い るが 、復 元 工 事 が始 ま り、 欧州 統 合 を進 め る 「欧 州青 年 の家 」 と し て再 生 して い る。 光 子 さ ん は、EUの 前 身 の 欧州 経 済 共 同体(EEC)が で きた時 に 「EECの母 」 と呼 ば れ る よ うに な り、 こ れか ら も 日本 か らの 観光 客が 尋 ね る観 光 名 所 に な る が、 ヨー ロ ッパ の 若 人が 、 そ れ ぞ れ の 国 の 国 家 的偏 見 に と らわ れ な い 「欧 州 人」 と して の 立 派 な 人材 に育 つ の に役 立 つ こ とが 出来 れ ば 、大 変 良 い こ とだ と考 えて い る 。