JAIST Repository
https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 企業の社会的志向がもたらす協働・信頼の確立と企業 成長の関連性(知識と文化のマネジメント) Author(s) 篠田, 英実; 高山, 誠 Citation 年次学術大会講演要旨集, 19: 682-685 Issue Date 2004-10-15Type Conference Paper Text version publisher
URL http://hdl.handle.net/10119/7135
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.
2H18
企業の社会的志向がもたらす 協働・信頼の 確立と企業成長の 関連性
0 篠田菜 実 ,高山 誠 ( 新潟大 ) 1.はじめに一市場の 成熟化と企業成長の
鈍化日本経済が成熟化の
様相を呈するなか、企業業績の二極分化が
進んでいる。 マクロ経済が 停滞し、 市場が成熟化し、 成長が鈍化するながにあ っても、 自動 重ぬトョタ 、 化成品の花王など、継続的な新製品開発に 成功し高い利益と
長期 的成長を実現している 「勝ち組」 企業が存在する。 本稿の目的は、 このように 二極化する要因は 何か、 企業の成功・ 失敗を決定する 要因を、 現実の企業行動から実証的に 明らかにすることであ
る。 製品は 「導入朝 づ 成長期 づ 成熟期づ衰退期」の四段階を経て
発展する。 この ような製品ライフサイクルの 各段階を決定する 要因は「新製品開発と 市場獲得 の 容易さ」 つまり 「新製品開発 ボ テンシャル」 であ る。新製品を投入して
市場 を立ち上げる 導入期を経て、製品需要と市場が
急拡大し、売上高も急速に
伸び る 成長期に突入する。遅かれ速かれ 製品需要と市場は
飽和し、売上高が頭打ち
になる成熟期に 入る。 やがて、 次期の製品により 代替される衰退期に 入ると 市 場は縮小してゆく。日本型経営の 強みであ った高品質で
安価なモノ作りによる
競争優位が失わ
れるとともに、既存産業では
競争が職 別 化する。競争が同質化することに
加え、成熟化が進んだ
産業分野では、新規なモノ作りに
封ずる困難性に 直面するため
に 、製品の同質化が 進むことがその
理由であ る。 一方で、 顧客は高品質、安価なモノだけを
求めるのではなくなってきている。 した.がって、企業は市場の
気紛れに対しアイデ、 ノアイア 一一イを見失っているのが
実情であ る。 この ょう な状況下で、何が企業の競争優位を 持続するために
重要 であるかを明らかとすることはきわめて 重要な課題であ
る。 本論ではそのような厳しい 市場環境下においても 成長を維持し
「勝ち組」 となるために、企業の成功と 失敗を決定づける 要因を明らかとする
さらに、製品の発展
期 と成熟期における、成功要因を比較検討することによ
り、 企業収益を継続的に 向上させるためには、 企業の社会的責任と 従業員に対ずる役割意識が 決定因子として
重要であ ることを示す。 2. 「社会的関心度」が高い企業は
高業績 成熟市場において、 競争優位を持続し、 長期的な成長を 可能とするための 決定因子は何であ
ろうか。 現在は 、多くの産業で
市場が成熟し、製品が同質化して
しまった結果、 新製品開発をするための 決め手を欠いている。 新市場を開拓す るような イ /ベーティブな
製品を欠く一方で、市場には様々な 製品が満ち溢れ
ていて、製品に差別化訴求点が
見出しにくくなっている。 一 682 一
細ケの
。
品
6
型
Ⅱキ
リ
メ一
そる製あの
Ⅰ
ら
キマ
。
あ
もの
期
特こ
じ慣すじ端るカ
ヵ
いい南極っ
テし
生いな接合
@
、役
化と、るがな
ィ
てなては直る
源
果的
変
るがあ
場くテっ的
れでにあ
根
* 緒余
もあたに市な
ン
貞木さの績で
の
拘
の
社
にでき間とれ
ヂ
青墓定も業の
動
3 その
動要て
侠客
らイ
をの
視
るがも
ァ --
了了
の
。
業
また
企
企業
1
ではと
動
適業業の
づ中
︶
顧チな
戦に見いう、にに生出
は
にロお費よ
手児
める文容
的が
文
様プが
消のめを
代こ
業は本化
業
同
アグ
、こ決
同時と企
化
基文
企
0
社
か
なン
は
の方能は文の業
と
のら
鱗
成っ
そ頼根安
豊
男供
のサ
心し
世不
会
赤緯一低
違
にい
客サ場し
石目な
印
タき力
は厳の場
こ
・
関
と﹁が
社
に業
コが
の
営互
おた
市る
。
と関菱的る
ョで
一工
う
尊面
る
。的のり
績績
経
ハ
ウ
熟あ
なに
視
このような
ほ
た論タの
業業
えぅ自
、
再力に因
2
一介主ょ
要
レ日
Ⅰ
花
の
重
スに
子く会ブ
機会
る如
けでに
︶
仏ル
0
1
Ⅰ ノ
理関ョ
益に
モ
明さ
古
めこつ
囲
利合
心
タをよデも
が
<
こり勝まるとい
のト
別事
コり高
。も
祥
るよの
を
ざ
ねョ
%高動の球、環
的製
経へ
土の
的シクの
自て
地とや﹂
、
た
﹂かて
不
あに
度
風
を定
ッワ性菱
べとる余乗
に
げ品う
いのでと
ら
口口
るる長っ
け
︶㎏での比も﹁
れ
先
はっ
気
るのす
会
め
あ、
五だは
。
ィそ
をとのそ
、エあ貴
ま陽致仕
高
和めのた。
るテ、エ
。
有
り
自で不
じ
。両地
の
に調
男丁いるす
リし自る特い
ま菱
つめはた熟を業
限
のに以です
立
才覚
菱
か葉
な
つ三ど
去にっ成績
企
"
は
過し陥を業、
た
大と
造はん実権
ク
昌二
わ
金れ
果
、隠に例とはし
最
余割
工こ
提をのをとがほら
る
﹂
ぇ会結り
ル沢
な念て証
社た
倒して直れ市が
ス
の会
め
み、
究菱よス
佳景
責ョいそ
は
与社
のな
一状様理ぃ検
そと
コい
同業お
な
強り
研
王に
ビ存
︶の
ト
強の策
を
﹁
旺約
しが
め
迷い成ほ一度
ての
の
よに
リし
企にと
一 684 一可 欠であ り、
そこから生み 出される付加価値は 消費者の心の 琴線に触れるもの
であ ろう。 なによりも、 「製品」に関心の高い
企業は、消費者よりも 企業の成
長や利益の方向を 向いた製品・サービスが
出やすいため、 そもそも 「おまけ」 の発想が出てきにくい。 現に 、 トョタはハイブリッド 車をはじめとする 燃料効率のよい 自動車では世
界に先んじて
開発に成功している。この成功要因は「
トョタの開発姿勢には
他のどの企業よりも 一貫性があ
る」 @ からであ る。その一貫性を
支えるものは「社会的関心度の 高い」組織文化であ
り、その根源たる 経営理俳であ
る。 製品開発 の 段階においても、社会的関心度の 高さが開発の
方向を定め、製品の性格を
決定づけるのであ
る。不確実性の高い 環境に置かれている 現在の企業は
、 個々の従業員、 そして経 営者でさえも、 将来への対処方策を 示すのが困難であ る。 そのときに個々の 従業
員と経営者が、
お互いの駆け 引きなしに目的
ト 与不 @ Ⅱ @ エて %J ロ Ⅱ @ 二 イァ『 " コく ⅡⅡⅡ @l 七七, J Ⅱ 口 を共有し同じ方向に
向かうためには、従業員の
行動目標と経営者あ るいは企業の 目標とが同じ べ ク トルを向いていなければならない。 企業が社会的に責任を 果たすべきであ
るという メ ソセ ージは、経営者と従業員のべク
トル合わせのための取引費用を
最小化し、 障壁が図 2 のように 小<
さ なり、 有効に機能する。結果として好業績
l をもたらずのであ る。 図 2 企業の社会的役割 意 講は信頼の 醸成に よ り取引コストを 最小化する さいごに、 このような 「社会的関心度」 は、 資本市場においても 注目を集めている。 社会的責任投資の 名のもとに、 社会的 関心度の高い 理念を持ち、 それにもとづいた 行動をとっている 企業に積極的に投資しようというファンドが
相次いで設定されている。 これによって 社会的関 心 度の高い企業は、 そうでない競合他社よりも 資金調達が容易になり、 長期的な成長に不可欠な 分野への投資が 可能になるであ
ろう。 以上をまとめると、 企業が長期的な 成長を実現するための 必要条件は、 「企 業の社会的役割」 に関し高い信念と 目標を持ち、 それを組織文化のレベルまで 根 づかせることで「世のため、 人のため」 という行動をつねにとるようになる ことであ る。 参考文献[ Ⅰ ] Hamel , G , and G , Getz ,
"Funding
Growth
in an Age of Austerity,Harvard@ Business@ Review , 82@ No , 7/8@ (July/August@ 2004) , pp , 76-84
[2]
山岸敏男 『信頼の構造』東京大学出版会、 1998 年[3
コ 前原浩明『日本の 優秀企業研究』 日本経済新聞社、2003
年[4] M enard, C. フ Ⅰ 甘 a 皿 S 按 C サ ゴ on てプ 0s サ EConom iCs,, 7%eCe 刀丘 Deye Ⅰ opm e 刀 f,