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JAIST Repository: 地域内外の関係性モデルにおける「中間システム」に関する研究

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Academic year: 2021

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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

地域内外の関係性モデルにおける「中間システム」に関

する研究

Author(s)

森重, 昌之; 敷田, 麻実

Citation

日本観光研究学会全国大会学術論文集, 23: 493-494

Issue Date

2008-11

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/16793

Rights

本著作物は日本観光研究学会の許可のもとに掲載する

ものです。This material is posted here with

permission of the Japan Institute of Tourism

Research. Copyright (C) 2008 日本観光研究学会. 森

重昌之, 敷田麻実, 第23回日本観光研究学会全国大会

学術論文集, 2008, pp.493-494.

(2)

*北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院観光創造専攻 博士後期課程 **北海道大学観光学高等研究センター

地域内外の関係性モデルにおける「中間システム」に関する研究

Comparative Study of “Intermediaries” in Tourism Destinations

森重 昌之* 敷田 麻実**

MORISHIGE, Masayuki SHIKIDA, Asami

キーワード:自律的観光、中間システム、担い手、観光の関係性モデル 1.はじめに 敷田・森重1)は、自律的観光の実現には地域内外の 観光システムの「関係性」を維持することが重要と述べ、 両者の「仲介者」となる「中間システム」を加えた観光の 関係性モデルを提案している(図-1)。しかし、中間シ ステムは地域や観光の特性によって多様であり、その 役割や機能も異なると考えられる。 そこで本研究では、中間システムの必要性について 言及した上で、どのような「担い手」が中間システムと して想定されるかについて、具体例をもとに比較・検 討した。そして、それぞれの事例の特性を抽出した上 で、地域に応じた中間システムの実現に向けた課題を 整理した。 図-1 中間システムを組み込んだ観光の関係性モデル 2.中間システムの必要性 地域が観光振興を進める際には、中間システムの存 在が前提となるわけではなく、地域外の観光システム と直接関係することもできる。しかし中間システムを 組み込むことで、地域側に以下のメリットが生ずる。 第 1 に、中間システムが観光に関するノウハウの蓄 積や組織学習を効果的に促進する役割を担うことがで きる。第 2 に、地域づくりやブランディングを進める 際に、中間システムがその役割を専門的に担うことで 効率的に実施できる。第 3 に、地域側が中間システム を持つ場合、地域の関係者の多様化や地域外システム の規模の拡大を含め、観光システムの規模の拡大に対 応でき、中間システムの維持コストを捻出できる。 3.担い手別の中間システムの特性 本研究では、タイプが異なる中間システムとして自 治体主体(北海道黒松内町)、NPO 主体(北海道霧多布湿 原)、地域内の企業主体(北海道ニセコ地域)、観光協会 とそのメンバー主体(大分県由布院温泉)の事例を取り 上げ、それぞれの特性を比較・検討した(表-1)。 (1)自治体が担い手である場合 自治体が中間システムの担い手となる場合として、 北海道黒松内町の事例を示す。黒松内町役場は「ブナ北 限の里づくり構想」という地域ビジョンによって地域 資源であるブナ林に付加価値を与えた(図-1①)。そし てブランド化されたブナ林を積極的に用いて(②)、エ コツーリズムや自然学校の活動の場として活用するこ とで、外部からのよそ者や来訪者を集めてきた(③)。 実際、ブナ林の魅力を利用した地域産品の商品化や公 共事業による施設整備は黒松内町役場が担っており、 自治体が主体的に中間システムの役割を果たしていた。 特に、中小規模の地域に占める自治体の存在や財政 の力は大きく、中間システムとしての正当化や適格性 は高い。しかし、自治体は企業のような運営ノウハウ やマーケティング技術を持っていないことが多く、効 率性に問題がある。また中間システムが税金で維持さ れることが多く、自治体の財政悪化によって、このし くみには限界が来る。 (2)NPO が担い手である場合 NPO が中間システムを担うタイプとして、北海道浜 中町の NPO 法人霧多布湿原トラストの例をあげるこ とができる。霧多布湿原トラストは、湿原の魅力を積 極的に PR し(図-1②)、地域外の企業やファンクラブか ら経済的支援を受け(③)、それらを湿原の環境保全に 投資し(④)、その価値を高めていくことによって(①)、 新たな観光客やファンの獲得を進めている(再び③)。 この場合は、自治体が中間システムとなる場合に比 地域内の 自然環境 社会 文化 観光・交流を 支える 中間システム 地域外の 消費者 企業 投資家 ③集客・投資・参加 ②マーケティング ④地域づくり ①ブランディング 日本観光研究学会(2008 年 5 月 31 日、於立教大学) 2008 年度ポスターセッション発表要旨

(3)

べて規模は小さいが、運営に柔軟性があり、地域外か らのノウハウなども取り入れやすい。何より地域外か らの支援を得ていることは経済的にも優れている。 しかし、経済面で外部支援に依存しているため、そ れらが地域資源の保全や価値向上に結びつかなかった り、活動内容をうまく表現できなかったりすれば、し くみを維持できないという危うさを内包している。 (3)地域内の複数企業が担い手である場合 地域内の複数企業が中間システムの担い手になって いる事例として、オーストラリア人観光客の急増で脚 光を浴びている北海道ニセコ地域があげられる。地域 内の複数企業が中間システムを担うことで、企業活動 を通じた観光客や投資を呼び込む役割を果たし(図-1 ③)、地域への波及効果や地域外への PR などの効果も 期待できる(②)。何よりも企業の経営努力によって中 間システムが維持されることになるため、効率的にそ の維持コストを確保できる。 しかし企業は、自己の維持・拡大に注力し、必ずし も企業利益を地域資源に投資しないため、④の働きが 続かないと、いずれは地域魅力が減衰するという問題 点がある。そのため地域資源を一方的に活用して企業 活動し、地域にとっては地域資源の搾取となり、従来 型観光と同様の弊害が起こる可能性がある。 (4)観光協会とそのメンバーが担い手である場合 大分県・由布院温泉では、観光協会とそのメンバー による多様な主体が中間システムの担い手となってい る。彼らは「潤いのある町づくり条例」の制定などで地 域資源を保全しながら活用し(図-1④)、地域の文化を 自ら創出しながら(①)、多様な催しや観光企画で外部 に PR している(②)。その結果、年間 300 万人が来訪す る地域となり(③)、地域ブランドを築き上げている(④ から①)。そしてこの中間システムの維持コストは、観 光による経済振興によって確保されている。 由布院温泉は、多様な主体の連携による中間システ ムによって地域内外の関係性をマネジメントできてい る事例である。しかし、多様な構成メンバーの世代交 代を進め、蓄積されたノウハウなどを移転しなければ、 中間システムを維持できなくなる。 4.地域に応じた中間システムの実現に向けて 中間システムの担い手の違いによってどのような差 が見られるかについて、いくつかの具体例をあげなが ら比較・検討してきた。中間システムは、地域外との 関係性のマネジメントを通じた自律的観光の実現に向 け、重要な役割を果たすと考えられる。今後、地域が どのように中間システムを自律的にマネジメントし、 それを維持するコストやノウハウをどうやって確保す るかが重要となる。さらに、中間システムをどうやっ てつくり出していくかについても検討が必要である。 【参考文献】 1)敷田麻実・森重昌之(2008)「持続可能な観光における地 域内外の関係性モデルの提案」2008 年度日本観光研究学会 ポスターセッション. 表-1 担い手別の中間システムの比較 黒松内町(北海道) 霧多布湿原(北海道) ニセコ地域(北海道) 由布院温泉(大分県) 中間システムの担い手 黒松内町役場 NPO 法人 霧多布湿原トラスト 地域内の複数企業 観光協会とそのメンバー 地 域 の 特 徴 自治体が地域資源を保全・ 活用しながら、地域産品の 商品化や施設整備などを 進めている。 NPO が地域資源の魅力を 発信し、全国からの支援を 活用しながら、霧多布湿原 の保全を進めている。 地域内の個々の企業が地 域資源の魅力を発信しな がら、持続可能な観光の実 現をめざしている。 イベントなどを通じて地 域の文化を保全する一方、 新たに活用しながら、持続 可能な観光を進めている。 地 域 の 人 口( 注 ) 3,457 人 7,005 人(浜中町) 16,176 人(倶知安町) 11,407 人(旧湯布院町) 活動が始まった時期 1980 年代後半 1980 年代前半 1990 年代前半 1970 年代前半 経済的な維持のしくみ 自治体の財政支援が中心 地域外からの支援が中心 地域外からの投資と ツアーによる収入 ツアーによる収入 メ リ ッ ト 地域に占める自治体の存 在と財政の力が大きく、中 間システムとしての「正当 性」を発揮しやすい。 中間システムの運営に柔 軟性があり、運営ノウハウ やしくみの維持コストを 地域外から確保しやすい。 民間企業として自立した 効率的活動が可能であり、 しくみの維持コストを自 ら確保できる。 地域の主体的な活動を推 進しているうえ、しくみの 維持コストを自ら確保し ている。 デ メ リ ッ ト 民間企業のような効率的 活動ができないため、常に 自治体支援が前提となり、 しくみの維持が難しい。 経済面で外部支援に依存 しているため、環境資源の 価値を高められなければ、 しくみを維持できない。 利益を地域資源に再投資 する保証がないため、企業 が地域と乖離し、地域が自 律性を失うことがある。 多様な構成メンバーの世 代交代を進めなければ、中 間システムを維持できな い。 (注)2005 年国勢調査による。だたし、湯布院町は 2005 年 10 月に合併して由布市となったため、2000 年国勢調査の人口を掲載した。

参照

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