Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
我が国の今後の口腔科学研究の潮流
Author(s)
山口, 朗
Journal
歯科学報, 116(5): 377-377
URL
http://hdl.handle.net/10130/4114
Right
Description
377 歯科学報 Vol.116,No.5(2016)
シ ン ポ ジ ウ ム
我が国の今後の口腔科学研究の潮流
東京歯科大学口腔科学研究センター山口
朗
我が国の歯学界は,幅広い知識・技術を基盤とした口腔科学を構築してきた。一方,近年,我が国の歯学界 では,歯科医師の資質低下,研究水準の低下,国際競争力・指導力の低下などが懸念されている。 全国86ある国立大学は,各大学が目指す姿を「重点支援①地域貢献」「重点支援②特定分野で差別化」,「重 点支援③世界と戦う」の三つから選び,各大学の機能強化の方向性や役 , 割をはっきりさせ,その「ビジョ ン」「戦略」「取組」の評価結果により運営交付金の配分を差別化することが実施されている。実際,平成28 年度の , 運営交付 , 金は,この方針に沿って約半分の国立大学では増額,半分は減額されている。このような波は 国立大学だけではなく私立大学にも及んでいる。文部科学省は平成28年度から「私立大学研究ブランディング 事業」として,「学長のリーダーシップの下,優先課題として全学的な独自色を大きく打ち出す研究に取り組 む私立大学等に対し,経常費・施設費・設備費を一体として重点的に支援する」ことを決定している。つま り,国公私立を問わず,各歯科大学・大学歯学部が独自のブランド力を発揮しなければならない時代が到来し たといえる。 東京歯科大学では研究ブランディング事業として顎骨疾患プロジェクト「顎骨疾患の集学的研究拠点形成」 を口腔科学研究センターを中核として推進している。本プロジェクトは基礎・臨床融合型で顎骨疾患の病態解 析を基盤とした予防・治療法を開発することを目標としている。具体的には,細胞生物学・分子生物学を基盤 とした疾患特異的 iPS 細胞を用いた研究とデジタル情報/3D プリンタなどを利用した Fabrication Labora-tory(FabLab:ファブラボ)を駆使した研究を2つの基軸としている。これらの研究の推進により,顎骨疾 患の病因・病態を遺伝子・細胞・組織レベルで明らかにし,優れた予防・治療法の開発に貢献するだけではな く,医学領域,細胞生物学・分子生物学領域への波及効果も期待できる。さらに,本プロジェクトの研究成果 は,経験を基盤とした歯科医療から科学的なメカニズムを基盤とした歯科医療へのパラダイムシフトを促進す ると期待できる。 今後,我が国の各歯科大学・歯学部が独自の口腔科学研究を強化することにより,「教育・研究・臨床の3 本の矢」をさらに骨太なものとし,その強靭さが各大学の総合的なブランド力として評価される時代になるで あろう。 ≪プロフィール≫ 2004年4月 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔病理学分野教授 2009年4月 東京医科歯科大学教育研究評議員(2014年 3月まで) 2011年10月 日本学術会議会員 2013年4月 東京医科歯科大学歯学部附属病院検査部部 長(併任) 2015年3月 東京医科歯科大学名誉教授 2015年4月 東京歯科大学口腔科学研究センター客員教 授 <略 歴> 1974年3月 東京歯科大学卒業 <資 格> 1980年3月 東京医科歯科大学大学院歯学研究科修了 1989年1月 死体解剖資格 (口腔病理学専攻) 1991年4月 日本病理学会口腔病理専門医 1980年4月 昭和大学歯学部口腔病理学教室講師 2012年4月 日本病理学口腔病理専門医研修指導医1985年9月 Visiting Assistant Professor, School of
Dentistry, Washington University <賞 与>
1987年7月 Visiting Assistant Professor, Orthopedic 日本骨代謝学会学術賞(1993年) Surgery, St. Louis University 日本病理学会学術研究賞(1996年)
1988年4月 昭和大学歯学部口腔病理学教室助教授 日本病理学会賞(2005年)
1998年12月 長崎大学歯学部口腔病理学講座教授 平成27年度日本歯科医学会会長賞(2015年)