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第34回山梨肺癌研究会講演要旨 肺癌のPET診断 利用統計を見る

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平成17年10月1日 第34回山梨肺癌研究会講演要旨

肺癌のPET診断

窪田和雄 国立国際医療センター第3放射線科(核医学) 1.はじめに  18Fフルオロデオキシグルコース(FDG)を注射し、撮像するポジトロン断層(Positron emission tomography;PET)検査では組織の糖代謝を表す画像が得られる。10種の腫 瘍診断(肺癌、脳腫瘍、頭頚部癌、乳癌、転移性肝癌、膵癌、大腸癌、悪性黒色腫、 悪性リンパ腫、原発不明癌)および心筋バイアビリティ診断、てんかんの病巣診断の 12疾患が2002年に保険適応となった。これを契機に日本のPET施設は急速に増え、 普及がはじまり、本格的なクリニカルPETの時代が始まった。 PETの腫瘍診断への本 格的な臨床応用が肺結節影の鑑別診断から始まった(1)こともあり、他の疾患と比べて 肺癌のPET診断の臨床研究は質・量ともに最も多い。代表的な論文をレビューしなが ら解説する。 2.鑑別診断  CTの普及により肺の病巣発見の精度が向上し、悪性か良性かの鑑別診断が問題と なる患者数も増加した。喀疲細胞診、気管支鏡下の生検あるいはCTガイドなどによ る経皮肺生検で診断がっかないなど、鑑別診断に問題が生じた症例では、FDG−PETに よる診断が有用である。すなわち腫瘍へのFDG集積は糖代謝の尤進を示しており、腫 瘍の悪性度を反映する。PETで陽性の時は、胸腔鏡下生検など攻めの方針が正当化さ れ、陰性であれば経過観察が正当化される。  肺結節影のFDG・PET診断精度について、論文40篇を厳密に評価検討したメタ・ アナリシスが報告された(2)。これによると、1474の肺結節の最大共有感度・特異度 (ROC解析において感度と特異度が等しくなる左上の点)が91.2%、実際の診断上の 感度・特異度は96.8%、77.8%であった。そして、lcm未満の病変についての研究はわ ずかしかないものの、FDG−PETは肺の腫瘤性病変異に対する精度の高い検査法であ ると結んでいる。一方CTによる鑑別診断では、解像力が高く病巣検出力、すなわち 感度は高く99%近い数値が報告されている。しかし良性の診断、特異度は、粗大な石 灰化以外に良性の診断根拠が乏しいために低く50−60%とされている。  肺の腺癌へのFDG集積では、未分化癌で高く、高分化型腺癌で低く、分化度とFDG 集積が相関することが知られている。特に気管支肺胞上皮癌(BAC)では糖代謝が低 いためにFDG−PETで偽陰性になることがあるとHigashiらにより報告されている(3)。 CheranらはFDGが集積せず偽陰性となった肺癌20例について解析した。7人が腺癌、 6人がBACで他は種々の組織形だった。20例中19例はステージ1で、18人に治癒切

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山梨肺癌研究会会誌 18巻2号 2005 除の手術が行われ、FDG陰性の肺癌は、早期で予後良好であった(4)。つまり、診断の っかない肺結節でFDGが陰性のときは、良性もしくは予後良好な早期肺癌なので、レ ントゲン写真で増大の有無をモニターする経過観察が可能であると考えられる。  糖代謝の充進というのは決して腫瘍特異的な現象ではない。活性化マクロファージ や願粒球などの免疫細胞、新生血管、増殖する繊維芽細胞など炎症病巣を構成する組 織も活発な糖代謝を行っており、結核、サルコイドーシス、膿瘍などの活動性の炎症 病巣にも高いFDG集積が見られる(5)。このため、結核の有病率の高いアジアでは炎 症による偽陽性が増えると言われている。炎症に代表される非特異的なFDG集積が、 FDG・PETによる癌診断の最大の問題点といえる。 3.病期診断  CTでもMRIでも通常の病期診断ではリンパ節の大きさを根拠として転移と判断す る。直径あるいは短径lcm以上を陽性とする診断基準が一般的である。肺がん患者の 肺には、肺気腫や線維症、陳旧性炎症など種々の合併症が多く、反応性のリンパ節腫 大や石灰化が見られる頻度が高い。石灰化があれば良性といえるが、石灰化もなく短 径lcmを超える場合、良性のリンパ節腫大と転移の鑑別は困難である。また短径1c m以下でも転移のあるリンパ節は存在する。このため形態診断には限界がある。  縦隔リンパ節転移の診断精度についてもメタ・アナリシスが報告されている(6)。非 小細胞肺癌の縦隔についてのステージ診断の論文PET 14編、 CT 29編を解析し、 平均の感度・特異度はPETで79%、91%、 CTでは60%、77%だった。肺がんでは、 リンパ節の転移の有無により病期が変わり、治療方針・予後が大きく変わる。精度の 高い診断により、最適な治療方針の選択が可能となる。  PETが肺癌の治療方針にどのような影響を与えるか様々な研究が報告されている。 オランダから報告された無作為割付による多施設共同研究では(PLUSという名前の 試験)、肺癌疑いの患者188人を、通常の検査だけ行うグループ96人とそれに加えて PETも行うグループ92人に無作為に振り分け、それぞれの検査結果に基づいて手術 などが行われ、予後も追跡した。この研究では、手術が治癒に結びつく有効なもので あったか、それとも非治癒切除や術後早期再発など有効でない手術であったかという 点がエンドポイントに設定された。その結果、通常の検査だけの群では有効でない手 術が41%(39/96)であるのに対し、PETを施行した群では、有効でない手術が21% (19!92)つまり有効でない手術を51%減らすことができ、これはp=0.003で有意な減少 であった。無効な手術の減少という指標を用いることによりPETの有用性は無作為試 験という最もエビデンスのレベルの高い研究で証明された(7)。  PETによる予想外の遠隔転移の発見頻度については、ステージ3の患者は他と比較 して優位に遠隔転移の発見頻度が高いと言われている。全身の病巣検索を行うことが できるPETの可能性は大きい。ただし、生理的な集積の高い脳では、小さな脳転移巣 はコントラストがつかず診断できないためMRIよりも精度が落ちる。肺癌では、 FDG−PET+脳MRIの組み合わせが望ましい。 一106 一

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平成17年10月1日 4.治療評価  非小細胞肺癌では、手術が最も治癒率の高い治療であるという現状がある。PETに よる手術適応の適正な選択により手術成績の向上と予後の改善が期待できる。PLUS 試験も短期的な手術成績をエンドポイントとしている。一方、化学療法や放射線治療 のPETによる評価、さらに手術と組み合わせたネオアジュバント療法のPETによる、 評価も相次いで報告されるようになった。  Weberらは、 m BまたはIV期の非小細胞肺癌の治療前PETおよびプラチナ系薬剤を 組み合わせた化学療法1コース後のPETを比較し、 FDG集積が20%以上低下したも のをmetabolic responseとした。フルコース治療後のベストレスポンスを、固形腫瘍の 標準評価法(CTなどによるサイズの評価)で評価し、最終結果とした。1コース終了 後のmetabolic responseは、感度95%、特異度74%で最終結果を予測できた。また metabolic responseの得られた症例では、有意に再発確認までの日数および生存日数が 長かった。そして、1コース後のmetabolic responseを診ることにより、制癌剤の有効 性を早期に判定でき、感受性のあるプロトコールへの変更などが期待できると述べて いる(8)。MacManusらは、73人に化学療法もしくは放射線治療の前および後70日ご ろに、PETとCTを施行し、両者の評価と生存率を比較した。 CT・PS・体重・病期な どと共に多変量解析を行うと、治療後のPETの評価のみが生存日数と有意の相関を示 した。治療後のPETは治療後のCT、病期、治療前PSなどよりも優れた予後予測因子 であると結論している(9)。  今後、化学放射線療法のプロトコ・・v・・ルにPETが積極的に組み込まれ、早期の効果判 定や感受性の高いプロトコールへの変更が行われるようになると期待される。 5.検診  肺癌の検出感度は、解像力に勝るCTの方がPETよりも高い。 CT検診については 曽根らの報告以降、様々な検討が行われている。PET検診についてはどのくらい腫瘍 を発見したという報告のみで、精度や有効性、癌の診療への効果などについてはエビ デンスに乏しいのが現状である。一方、個人の視点からは、全身の腫瘍の検出が出来 るPETは、それなりにメリットがある。胃癌や前立腺癌などPETの弱点を理解し、 他の方法でカバーすればすぐれた検診になりうる。被曝と高コストは避けられないの で、中高年で経済的に余裕のある人向けである。 6.まとめ  FDG・PETでは、 CTなど解剖学的な診断を補い、糖の代謝情報による診断を上乗せ することにより、悪性腫瘍の診断精度の向上が期待できる。鑑別診断、リンパ節・遠 隔転移診断、再発診断、治療評価や全身の病巣診断に有用である。診断精度の向上が、 より適切な治療方針の選択、更に予後の改善に貢献することが期待される。 一107 一

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山梨肺癌研究会会誌 18巻2号 2005 文献 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. Kubota K, et a1:Differential diagnosis of 1ung O血or with positron emission tomography:aprospective study.」. Nuc1. Med.31:1927,1990 Gould MK, et a1:Accuracy of PET. for diagnosis of pulmonary nodules and mass lesions.・Ameta−analysis. JAMA 285:914,2001   ’ Higaslli K, et a1:Fluorine−18・FDG imaging is negative in bronchiolo−alveolar lung carcinoma. J Nucl Med 39:1016,1998 Cheran SK, et al:False−negative findings for primary 1ung tumors on FDG PET: staging and prognostic implications. AJR 182:1129,2004 Kubota K:From tumor biology to clinical PET;a review of positron emission tomogmphy(PET)in oncology. A皿Nucl Med 15:471,2001 Dwamena BA, et al:Metastasis丘om non・smal1 cell 1ung cancer;me《liastinal staging 血血el990s・Meta−analytic comparison of PET and CT. Radiology 213:530,1999 van Tinteren H, et al:Effectiveness of PET in the preoperative assessment of patients with suspected non−sma11−ce111ung can㏄r:The PLUS mUlticentre randomised trial. Lancet 359;1388,2002 Weber Wへet a1:PET in non−smal1£ell 1ung cancer:Prediction of response to chemotherapy by quantitative assessment of glucose use. J Clin On◎0121:2651,2003 MacManus MP, et a1:PET is superior to CT scan f(》ロesponse−assessment after radical radiotherapy or chemoradiotherapy in patients with non−smal1−cell lun g cancer. J Clin Oncol 21:1285,2003

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参照

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