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地域情報化の課題解決のためのネットワーク技術とその応用に関する研究 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 鈴木 新一 博士の専攻分野の名称 博士(工学) 学 位 記 番 号 医工博甲第351号 学 位 授 与 年 月 日 平成27年9月25日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 機能材料システム工学専攻 学 位 論 文 題 目 地域情報化の課題解決のためのネットワーク技術とその応用に 関する研究 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 鳥 養 映 子 教 授 堀 裕 和 教 授 塙 雅 典 教 授 郷 健 太 郎 准教授 白 木 一 郎 東京大学 名誉教 授 釜 江 常 好

学位論文内容の要旨

地域の課題を ICT を用いて解決するための政策を広く地域情報化と呼ぶ.地域情報化の ためには,地域情報通信基盤整備のようなハードウエアを整備するだけではなく,その基 盤を有効に活用する取組が必要である.通信基盤上には医療・教育・防災など公共性の高 いシステムが自治体の通信基盤上を相互接続する形で構築されることが多い.そのため技 術的には相互接続が行えるものの運用ポリシーの違いなどにより,システムの構築が困難 な場合がある.また,最近のシステムではタブレット型 PC(以下タブレット端末)を利用 することが多くなっているが,例えば地方自治体の管理下にある公立の小中学校では無線 LAN の設備がないところも多く,地域情報通信基盤が整備されていたとしても,実際の現場 の通信環境は多様であり,これまでの技術を適用するだけではエンドツーエンドで通信が 行えない場合がある. 本研究では,これらの多様な通信環境においても利用できるネットワークシステムを構 築して教育現場における地域情報化を推進することを目的に, ICT 教育サーバ edutab シス テムを開発した.ネットワークの接続変更が困難な場所においても HTML5 ベースの仮想通 信網を構築することにより,遠隔教育における教師と生徒の相互の通信接続を実現してい る.さらに,通信基盤が整備されていない環境で edutab システムを応用するために,ロー

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カルで自立できる可搬型教育支援システム edutab box の開発を行った.それぞれの開発段 階において,edutab システムや edutab box を実際の授業や会議に応用して本手法の有効性 を示した.

edutab システムは,当初, Global IP によって接続され,IP 層での通信が行える環境に おいて,遠隔授業を支援する教育システムとして開発したものである.通信手法としては HTML5 技術を用いて,アプリケーション層で両方向のリアルタイム通信を実現している. 次に,通信基盤は整備されているが,IP ネットワークがファイヤウォールやネットワー クアドレス変換(NAT)などにより遮断されているために IP 通信接続が不能な環境におい て edutab システムを利用可能にするために,IP 層での IP アドレス変換技術,仮想通信技 術,アプリケーション層での通信技術などを用いた通信環境の構築手法を開発した.この ような通信環境が現在のインターネット環境では最も標準的であり,地域情報化の大きな 課題となっていた.このような環境では IP アドレス変換技術,仮想通信技術などを用いる ことが多い.しかし,これらの方法では運用ポリシー等の制限から接続が行えない場合が ある.そこで,この課題を解決する方法として,アプリケーション層を用いて仮想ネット ワークを構築する手法を開発した.アプリケーション層において HTML5 技術を用い,デー タセンターにネットワークサーバを配置することでこの問題を解決した.また実際にこの 仮想ネットワークを使って運用実験を行い本手法の有効性を示した. さらに,この仮想通信技術を用いて構築したネットワーク上に,遠隔のプリンタやスキ ャナをリモート操作できるような仕組みを導入して edutab システムの機能を拡張し,遠隔 でリアルタイムに紙教材のやりとりができるようにした.このアプリケーションの有効性 を評価するため小学校の遠隔授業の中で実際に用い本提案の有効性を示した. 最後に,情報通信基盤が準備されていない場合,例えば,学校内で情報コンセントが配 備されていない教室や,無線 LAN 環境を構築できない教室などでも利用できるように,可 搬型の教育支援システム edutab box を開発した.通信基盤が未整備な環境でネットワーク を利用するため,可搬性のある小型 PC に無線 LAN のアクセスポイント機能とネットワー クサーバ機能を持たせ,自立的な無線 LAN 環境を構築し,必要に応じてバックボーンと接 続させることで問題解決を行った.本手法に基づきシステム(edutab box)を実装した. 実装した edutab box をネットワーク設備のない公立図書館でパネルディスカッションを行 い,その運用実験の評価から本提案の有効性を示した. 本研究によって,「IP 通信接続可能な環境」,「IP 通信接続不能な環境」,「通信基盤が未 整備な環境」の多様な通信環境において接続できるネットワークシステムの構築・実装・ 評価に成功した.その結果,多様な通信環境において,技術者が媒介することなくエンド

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ツーエンドの通信環境を構築することができるようになった.開発した edutab box は周辺 のネットワーク環境に依存せず,普通教室内での教育支援システムとして利用が可能であ る.協調学習を行う際に,edutab box は必要なアプリケーションやデータを USB メモリか ら活用することができる.これにより利用者が作成したコンテンツを共有することができ る.さらにインターネットに接続できる環境があれば,コンテンツの共有を図ることもで きる.多様な環境に対応可能な ICT 教育サーバとして,edutab box は実用性の高い教育支 援システムになっており,さまざまな教育現場で利用できる.今後の課題として,さらに 多くの通信環境に対応した接続手法の開発があげられる. 学位論文は,以下のように構成されている.第1章で本研究の背景と目的,第2章で多 様な通信環境に対応した教育支援システムの必要性を論じたのち,第3章で ICT教育サー バedutabシステムの開発と実装について詳述する.第4,5章ではedutabシステムの応用 としてHTML5技術を用いた仮想通信網構築手法を提案し,通信基盤はあるがIP接続不能な環 境において周辺装置の実装・評価を行った結果を示す. 第6章では,通信基盤のない環境 においても利用可能なedutab boxの開発・実装・評価について詳述する.最後に第7章で, 結論と今後の展望を述べる.付録Aでは多様なニーズに対応した地域情報通信基盤(山梨 県情報ハイウェイ)の構築について, 詳述する.

論文審査結果の要旨

地域の課題を ICT を用いて解決するための政策を広く地域情報化と呼ぶ.地域情報化に は,ネットワーク基盤の整備だけでなく,その基盤を有効に活用するための接続技術が不 可欠である.本研究の目的は,地域住民のニーズに合わせたネットワーク活用技術を開発 することにより,地域情報化の推進に資することである. 教育現場において,タブレット端末を利用する必要性は非常に高く,その教育効果が期 待されている.協調学習などで有効に利用するためには,それらを相互に接続する必要がある. セキュリティレベルを維持した安心・安全な通信環境を安価に構築でき,教育現場で場所 に依存せず,遠隔教育でも利用できるシステムが必要である.しかし,自治体を越えた遠 隔授業を計画しても,ネットワークポリシーの違いにより,ネットワーク接続ができない ことがある. 本研究では,自治体等のネットワーク運用方針は遵守しながらも,できるだけ自由でス トレスのない接続を実現するために,多様な環境に対応可能な HTML5 ベースの ICT 教育サ

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ーバ edutab システムを開発した.さらに,ネットワークの敷設が困難な場所においては仮 想通信網を構築することにより,遠隔教育における教師と生徒の相互の通信接続を実現し た.これらの技術を,実際の授業や会議に応用して,技術的な評価を行いその結果をフィ ードバックしている. edutabシステムは,HTTPトンネル技術を用いて,アプリケーション層で透過的なネット ワークを構築し,その階層に,WebSocket技術を用いた透過的な論理ネットワークやリフレ クタと呼ぶ通信制御サーバを導入し,リフレクタに利用者ID,セッションID,転送の機能 を持たせることにより,多様な通信を可能とさせる接続モデルである.このシステムによ り,教師と遠隔地の複数の生徒間で,タブレット端末を用いた教材提示・情報共有が可能 となった. さらに,edutabシステムを通信基盤が未整備な環境でも活用できるようにするために,可搬 型のICT教育サーバedutab boxを開発した.これは小型 PC に無線 LAN のアクセスポイント機 能とネットワークサーバ機能を持たせ,一時的に無線 LAN環境を構築し,必要に応じてバッ クボーンと接続させることで問題解決を行う手法である.公立図書館で行ったパネルディス カッションの運用実験からedutab boxの技術的有効性を実証した.

HTML5は,2008年1月にW3C(World Wide Web Consortium)から草案が公表,2014年勧告 された.本研究におけるedutabシステムの開発は,HTML5のWebsocketの有効性を世界に先 駆けて示した4例のひとつであり,その新規性と先進性は高く評価される.これを発展さ せたedutab boxは,タブレット端末の機種やOSを選ばない可搬型の通信支援システムで,遠 隔教育や強調学習などの教育における地域情報化を格段に推進させるものである.さらに, edutabシステム,edutab boxの技術はタブレット端末の機種を選ばないため,医療や福祉 分野を支援するツールなどへの広い波及効果が期待される. 鈴木新一氏は,インターネットの黎明期から山梨県の地域情報通信基盤整備の企画・設 計・整備を先導し,全国初の公設民営方式による山梨県情報ハイウェイの運営にも長年貢 献している企業技術者・経営者である.本研究は,鈴木氏の山梨県情報ハイウェイの開発 者・運営者としての深い知識と,このハードウェアを有効に活用して地域情報化を推進す るという高い使命感により実現したものである. 以上により,本審査委員会は,本論文の学術的・工学的価値は高く,博士(工学)に値 するものであると判定した.

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