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21. 群馬県がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開講指針について(第18回群馬緩和医療研究会)

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Academic year: 2021

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19.せん妄が改善したことで疼痛が顕在化し,適切に疼 痛コントロールができた肺がんの一例 間島 竹彦,米村 江,三國 雅彦 (群馬大院・医・神経精神医学) 関本 研一,小幡 英章 (同 麻酔神経科学) 金子 結花,割田 美咲 (群馬大医・附属病院・緩和ケアチーム) 症例は 73歳男性. X-5年肺がんと診断され, X-2年 4月左肺区域切除施行. その後, 脳転移, 多発リンパ節転 移, 骨転移, 肝転移, がん性腹膜炎出現のため, X 年 5月 上旬に化学療法施行目的で当院に入院, 1コース施行し たが効果がなく, 加えて肺炎を併発した. X 年 5月下旬 から内服の間違えが時々認められ, 日中の傾眠と夜間の 睡眠障害が出現. 骨転移によると思われる疼痛があった ため, フェンタニルパッチを貼付していたが, 疼痛以上 に「言われたことがわからない,忘れる」といった意識障 害についての苦痛緩和を目的に, X 年 6月 3日緩和ケア チーム及び精神科に診察依頼が出された. 見当識障害, 睡眠障害と落ちつかなさがあり, せん妄状態であったが, 血清カルシウム値 (補正) が 14.6mg/dlと高値であり,感 染による発熱, 多発脳転移と前頭葉を中心とした脳萎縮, 肺炎による低酸素血症など, 多要因によるせん妄である と えられた. また, この時点では疼痛は訴えていな かった. このため, ハロペリドール, リスペリドンなどの 抗精神病薬とミダゾラムを用いて, せん妄の治療を行う と同時に, カルシウム値の補正, 濃グリセリン液点滴を 施行したところ, せん妄症状が徐々に軽快した. この頃 から疼痛の部位をはっきり示すようになり, オピオイド の増量・変 ,NSAIDSやケタミン,キシロカインといっ た鎮痛補助薬の投与により疼痛が緩和され, X 年 6月 24 日他院に転院した. せん妄は患者や家族にとって苦痛をもたらすのみなら ず, 身体症状をマスクして適切な症状緩和を妨げること がある. 本症例ではせん妄の改善が疼痛コントロールの 一助となったと えられた. 20.経気管切開孔での人工呼吸管理中症例における苦痛 緩和 関本 研一,小幡 英明,間島 竹彦 金子 結花,割田 美咲,齋藤 繁 (群馬大医・附属病院・緩和ケアチーム) 50代,男性.膀胱癌からの肺転移と SVC 症候群により 頭頚部の浮腫が認められていた. 右腎ろう拡張術時に敗 血症性ショックとなり, 気管切開施行された. 全身状態 は回復してきたが, そけい部に疼痛出現. 塩酸モルヒネ 注 10mg/day開始するも夜間に呼吸停止. 人工呼吸器再 装着となった時点でチームにコンサルトされた (A). 意 思伝達不良と, 病状理解が不十 なため, 強い不安と興 奮状態にあった. 不穏行動がみられ, 四肢抑制がなされ ていた. 夜間に不穏症状は増強がみられた. 問題点は疼 痛 (Face scale 4), 不眠, 不安状態と捉え治療を開始した. 腎機能低下があり, フェンタニル持続静注を 0.3mg/day で開始. 夜間 (18-6時) ドルミカムを持続静注, 入眠時セ レネース点滴静注施行. 以上と平行して, 再度の病状説 明を主治医に依頼するとともに, 四肢の抑制を可及的短 時間にするために, 病棟看護師の全面的協力が受けられ る主治医科に転棟を提案した. A+3日でフェンタニル 0.9mg/dayに増量したが,不穏症状強く,せん妄状態にな り管理上危険が生じたため, ドルミカム持続静注を一時 的に行った. 翌日より, ドルミカムの減量を目的にフェ ンタニル 2.0mg/dayに増量. 神経障害性疼痛の関与も疑 い, ケタミンを 100mg/dayで開始した. 鎮痛薬増量後 2 日間でドルミカムを中止, 覚醒を得られた. 疼痛は, ほぼ なくなり, 不穏状態もみられなくなった. A+12日に疼 痛増強みられケタミンを 150mg/dayに増量した. 夜間の 睡眠確保のため, 夜間のケタミン増量とドルミカム持続 静注を行った. その後, 徐々に昼間の傾眠傾向出現し, ド ルミカ ム の 斬 時 減 量 を 行 う. A+22日. 永 眠 さ れ る. 【結 語】 コンサルテーション型緩和ケアチームで, 人 工呼吸管理中の症例を経験した. 疼痛と不安によるせん 妄を改善できたが, 本人満足度の把握が問題となった症 例だった. 21.群馬県がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修 会の開講指針について 鹿沼 達哉 (群馬大医・附属病院・腫瘍センター) 平成 20年 4月 1日厚生労働省から各都道府県知事宛 に「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開 催指針」が発布され,6月 6日厚生労働省から文部科学省 に開催協力依頼が出され, それを受けて都道府県がん診 療連携拠点病院である大学病院には, 緩和ケア研修会の 開催に積極的に協力せよとの指示があった. 厚労省指針は, 2日間 12時間の講義とワークショップ 形式であり, 県内約 2000名のがん診療に携わる医師を 対象とする緩和ケア研修会を, 少ない講師資格者の負担 軽減と研修機会の拡大とを 慮すれば, E ラーニングシ ステムを用いた講義, プレおよびポストテストを含む聴 講 16時間と 1日の集合型研修案が望ましいと判断し, 拠点病院連絡協議会に提案した. この緩和ケア研究会へ の参加を 新資格とするなどの生涯教育研修案も付加し た.県から厚労省に認可申請を行ったところ,E ラーニン グは緩和ケアへの理解に乏しい医師の研修には不向きで 187

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あり, 認められないとの回答があった. 直接出向き 渉 を行ったが, 判断を変えることはなかった. 研修開催者 等の資格について確認したところ, 企画責任者は, 緩和 医療学会の推薦する指導者講習会終了者でなければなら ないが, その他は企画者の選定に委ねるとの回答であっ た. 指導者養成コースの受講が狭き門であることを訴え, 受講チャンスを拡大するとの約束は得た. 二次医療圏に 1箇所指定されたがん診療連携拠点病院にあっては, そ れぞれの医療圏での緩和ケア研修会を独自に開催できる よう人員を育成整備することが, 拠点病院としての再指 定基準になるなどの説明があったため, 県内各拠点病院 では指定指導者講習修了者を養成するとともに, 来年度 を目途に地域医師を対象とした緩和ケア研修会の定期開 催に向けて努力しなければならないと判断された.

シンポジウム>

テーマ:緩和医療における症状マネジメント ―呼吸器症状に対するチームアプローチ― 座 長: 小林 剛,大井寿美江 (独立行政法人国立病院機構西群馬病院) シンポジスト: 高橋 育 (伊勢崎市民病院) 小林 剛(独立行政法人国立病院機構西群馬病院) 藤平 和吉 (利根中央病院) 金子 結花 (群馬大学医学部附属病院) 一場 未緒(独立行政法人国立病院機構西群馬病院) 22.呼吸器症状対応の現状 高橋 育,須永知香子,堀田 久子 (伊勢崎市民病院 緩和ケアチーム) 石原 真一 (同 緩和ケア委員会) 【目 的】 癌患者の苦痛症状のなかで呼吸器症状, 特に 呼吸困難は疼痛よりもコントロールが難しいことが多 い. 今回, 当病院で緩和ケアチームが関った症例での呼 吸器症状対応の現状を報告する. 【方 法】 平成 18年 7月から平成 20年 6月までの 2年間に登録された べ 412症例のうち, 呼吸器症状を認めた べ 118例を対象 として, 病態と対応 処 置, 用 薬 剤 を 調 査 し た. 【結 果】 肺または胸膜, 縦隔の病変による呼吸器症状は 96 例 (81%) に認められた.紹介時に呼吸困難 (感),息切れ, 痰の絡まりを強く訴えていたのは 60例, 咳が 6例であ り,経過中にも 17例,1例に出現した.紹介時に既に行な われていた対応の中で呼吸に関係するものとして, 胸腹 水の排液 1例, 酸素吸入 61例, 薬剤では抗菌薬 26例, 利 尿剤 11例, 鎮咳剤 13例, モルヒネ 64例, オキシコドン 17例, フェンタニル 38例, ステロイド 45例が挙げられ た. オキシコドンやフェンタニル, モルヒネは大半が疼 痛管理目的で 用されていた. 退院ないしは死亡までに 行われた対応をまとめると, 胸腹水の排液 17例, 酸素吸 入 84例, 薬剤では抗菌薬 46例, 利尿剤 22例, 鎮咳剤 15 例,モルヒネ 99 例,オキシコドン 17例,フェンタニル 50 例, ステロイド 79 例であり, 輸液の減量も 9 例に行われ た. モルヒネは初期には屯用で塩酸モルヒネ, 定時薬で 硫酸モルヒネが 用され, 内服困難な場合に坐薬や注射 薬が 用された. 持続静注ないしは皮下注や鎮静剤が 用されたのは 53例 (45%) であった. ステロイドはベタ メタゾンないしはデキサメタゾンが多用されていた. な お 29 例 (25%) が軽快退院し, 89 例が死亡した. 【 察】 呼吸器症状に対しては, 酸素, モルヒネ, ステロイ ドの 用の比率が 71%,84%,67%と高く,この 3つが今 後も重要な対応手段になるであろうと えられた. 循環 動態の悪化に対しては利尿剤投与の他, 輸液の減量も今 後は増加すると えられる. また例数は少ないが, 呼吸 器病変を伴わない呼吸器症状への対応も重要と えられ た. 23.呼吸器症状に対するオピオイド ―オピオイドロー テーションで呼吸困難感が出現した症例を経験して― 小林 剛,斎藤 龍生 (独立行政法人国立病院機構西群馬病院 緩和ケア科) 末期がん患者の約 6割が呼吸困難を訴える. 呼吸困難 は死の恐怖を引き起こし, 強い不安感をもたらしやすい のでパニックの要因になる. 家族にとっても不安感や医 療に対する不信感を増強しやすい. 医療者にも死の恐怖 や不安感をもたらしストレスを与え, 呼吸苦の適切な症 状緩和は患者さんだけではなくチームのメンタルケアの 面からも重要である. そのため, 早期の症状緩和が不可 欠である. 呼吸困難に対する薬物治療は, オピオイド, ステロイ ド, 抗不安薬, 気管支拡張薬などがあげられる. オピオイ ドの中でも呼吸困難感に対してのモルヒネの有効性は無 作為化比較試験で確認されている. フェンタニルやオキ シコドンも呼吸困難感に対して有効であったという臨床 報告があり, モルヒネ以外でも呼吸困難感に対して有効 である可能性はある. モルヒネの代替となるオピオイド についての報告はほとんどみられず, どのオピオイドが 有効かという点については検討されていない. モルヒ ネ以外のオピオイドは呼吸困難に有効なのか」というこ とについては, エビデンスになるような研究はない. 今 回, モルヒネからフェンタニルパッチへのオピオイド ローテーション (以下 OR) で呼吸困難感が増強し, 再度 188 第 18回群馬緩和医療研究会

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