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[研究室だより]建築材料工学研究室

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Academic year: 2021

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(1)

工 性 を 良 く す る た め に 潤 滑 剤 を 用 い て も よ い 、 ③ ハ ン マ ー 等 で 叩 い て は な ら な い 、 と い っ た 施 工 指 針 が あ り ま す 。 私 は 、 こ の 点 に 興 味 を 持 ち 、 ま ず 上 記 の 指 針 を 遵 守 し ( 潤 滑 剤 は 用 い ず に )、 ラ グ ス ク リ ュ ー を 打 ち 込 ん だ 場 合 、 木 材 側 が ど の よ う に 壊 れ る の か を X 線 C T 装 置 を 使 っ て 調 べ ま し た 。 す る と 、 図 2に 示 し ま す よ う に 、 ラ グ ス ク リ ュ ー を た と え 弾 性 範 囲 ( 木 材 側 が 壊 れ な い と 考 え ら れ る 領 域 ) で 打 ち 込 ん だ と し て も 、 雌 ね じ の ね じ 山 に は 微 小 な 複 数 の ク ラ ッ ク が 確 認 さ れ ま し た 。このことは 、たとえ 、指針通りに打ち込ん だ と し て も 、 微 小 な ク ラ ッ ク は 避 け ら れ ず 、 こ の ク ラ ッ ク が ラ グ ス ク リ ュ ー 接 合 の 機 械 的 特 性 に 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 を 示 唆 し て い ま す 。 す な わ ち 、 打 ち 込 み 条 件 が 機 械 的 特 性 に 影 響 を 及 ぼ す の だ と す れ ば 、 打 ち 込 み 条 件 ( 施 工 管 理 指 針 ) を よ り 明 確 に し て お く 必 要 が あ る と も 言 え ま す 。 現 在 、 ど の よ う に こ の 微 小 な ク ラ ッ ク が 形 成 さ れ る の か 、 よ り 詳 細 な メ カ ニ ズ ム に つ い て 、 そ の 実 験 方 法 も 含 め 研 究 し て い ま す 。   2 0 2 0 年 4 月 に 近 畿 大 学 産 業 理 工 学 部 に 着 任 致 し ま し た。 ど う ぞ 宜 し く お 願 い 申 し 上 げ ま す。 前 職 は、 公 設 試 験 研 究 機 関 に て 研 究 員 を 11年 間 勤 めてまいりました。 私 は、 幼 少 期 は 愛 知 県 で 育 ち ま し た が、 生 ま れ は 旧 西 ド イ ツ の バ イ エ ル ン 州 に あ る 小 さ な 町 で す。 下 の 名 前 の 由 来 は、 国 木 田 独 歩 と い う 作 家 か らではなく、 ドイツ “独” で “歩” く、 であろう (は ず だ ) と い う 両 親 の 見 切 り 発 車 的 な 発 想 か ら き て い ま す。 旧 西 ド イ ツ に い た 頃 の 事 は 全 く 記 憶 が な く、 帰 国 後、 多 く の 外 国 の 方 々 が 家 に 遊 び に 来 る こ と が 多 々 あ り、 日 本 に い な が ら、 な ん と も 国 際 的 で 恵 ま れ た 家 庭 環 境 で 育 ち、 そ し て ユ ニ ー ク な 両親に育てられたなと今では思います。 産業理工学部のある九州は、学会で何度か訪れた程度であり、居住するのは今回が初 です。九州に所縁のある親類もいません。これまでは、大学、大学院、着任する前まで と、 20年以上関東で過ごしてきたため、環境が激変し、さらには現在の世界的なコロナ 禍で、こちらへ越してきた直後は私の家族も含め本当に不安の毎日でした。しかし、こ ちらは何を食べても美味しく、また山・川・海は美しく、前職で活動していたゴミゴミ とした都会とは雲泥の差だなと日々感じており、これを機に、九州の文化等も楽しみな がら毎日を過ごしたいなと思っております。   さ て、 私 の 現 在 の 専 門 は 建 築 材 料 工 学 お よ び 木 質 構 造 学 で す。 私 は こ れ ま で、 大 学、 大学院修士課程、大学院博士課程と、木材・木質材料をベースにして研究を進めてきま した。修士課程修了後は、民間会社に勤務し、木造住宅の構法開発や施工法、耐震補強 材の研究開発等を経験しました。 その後、 前職の公設試験研究機関に移籍し研究を進め、 社会人博士課程でまとめた博士論文が現在の研究の原点となっています。以下に現在の 研究内容の一部を紹介させて頂きます。 1 .木材―ラグスクリュー接合部の締付け管理法に関する研究 木 造 建 築 物 の 接 合 部 は 、 ボ ル ト や ラ グ ス ク リ ュ ー な ど の 金 物 で 接 合 す る こ と が 一 般 的 で す 。 ラ グ ス ク リ ュ ー と は 、 図 1に 示 し ま す よ う に 、 木 材 に 雌 ね じ を 形 成 し な が ら 打 ち 込 む 接 合 具 で す 。 ラ グ ス ク リ ュ ー を 打 ち 込 む 際 に は 、 ① 木 材 に 先 穴 を あ け る こ と 、 ② 施

【研究室だより】

建築材料工学研究室

建築・デザイン学科

松原 独歩

(98) 図1 ラグスクリュー 図2 ラグスクリューねじ込み後の雌ねじの形成状況 四 【研究室だより】 

(2)

2 .木材の応力緩和特性とそれを活かした新しい木質構造接合部に関する研究 木材は、時間経過と共に応力が減少する、いわゆる応力緩和が顕著な材料として知ら れています。例えば、木材のボルト接合部において、ボルトを締付けると、ボルトには 引 張 応 力 が 生 じ、 木 材 に は そ れ と 釣 り 合 う だ け の 圧 縮 応 力 が 生 じ ま す。 時 間 経 過 と 共 に、この応力が減少していく、つまり接合部が緩んでしまいます。実際の建築現場でも この接合部の緩みは指摘されています。そこで、私たちの研究グループはこの点に着目 し、 応 力 残 存 率 を 最 大 化 さ せ る 条 件 を 明 ら か に し よ う と 研 究 を 開 始 し ま し た。 そ し て、 乾湿繰り返し環境下において、木材の降伏点を超える応力を生じさせた場合は約 30%以 上の応力残存が長期的にも期待できること、木材の繊維方向に応力を生じさせた場合は 約 70%以上の応力残存が期待できること、などを実験的に明らかにしました。また、ボ ルトの初期締付け力を大きくするほど、接合部はより“剛”な接合に近づくことを明ら かにしました。現在、この応力緩和特性について観察を続けると共に、緩和のメカニズ ムを明らかにしようと解析的研究にも着手しています。また、全く新しいアプローチで 剛接合の実現可能性を模索しています。 以上が、現在取り組んでいる研究の一部です。前述以外にも複数ありますが、今後は 大学のある飯塚市の木材利用に関する研究など、地域貢献に資する研究にも取り組んで いきたいと考えております。前職では、中小企業に対する技術支援も経験してきました ので、その経験も幾分か活かせると考えております。これから、教育・研究に精一杯取 り組んでまいりますので、皆様のご指導・ご鞭撻の程心よりお願い申し上げます。 (99)  近畿大学産業理工学部かやのもり 31(2020) 五

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