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行動変動性とオペラント条件づけ

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(1)

The JaPanese fournat QプPsychonomic scienee

2005VoL「23 No2183−200

行動 変動

とオ ペ ン ト

条 件

1)

山 岸  直 基

駒 澤人 学

Behavioral

 variability  

and

 

operant

 conditioning

Naoki

 

YAMAGIsHI

Ko窺 agαwa  Univer3ity

   The  various  relationships  between  different1al reinforcement  procedures and  behavioral vari − ability  are discussed with  reference  to experimental  studies , The research  of behavioral variability

was  classified  into two categories :the collateral  change  of response  variability  in operant  condi −

tioning:and  increasing behavioral variability  by differential reinforcement  procedures. The vari − ability of respQnse  sequences  is increased by three types of differential reinforcement  procedures:

the lag schedule the frequency dependent reinforcement  schedule :arld differential reinforcement

Qf switchiDg , The discussion iClentifies two problems  regarding  the functional behavioral unit cstablished  under  differential reinforcement  procedures:the building blocks of reinforced  re−

sponses , and  reinforcing  effects on  the building blocks. Research of these  problems  could  explore

the function of differential reinforcement  procedures and the disposition of behavioral variability

more  preciscly.

Key  words :behavioral variability , operant , lag schedule , frequency dependent  reinforcement        schedule , differential reinforcement  of switching , behavioral unit

1,は じ め に   ヒ トや ヒ ト以 外の動 物の行 動は,個 体 発 牛 とい う歴 史 の中で,オペ ン ト条 件づ けの過 程に従い変 化 し続けて い る.その行 動はハ の キーつ つ き やラ ッ ト の レバ ー押 しだけで はなく,ヒ ト の社 会 的 行 動,認 知 的 行 動,言 語 行 動な ど広 範 囲に及ぶ.そ し て,オペ ラ ン ト条 件づ け研 究に おい て は,当初か ら個体内の行 動 変 動 性 (behav − ioral variability )の 重要性が認識さ れて いた.この こと は行 動 分 析 学の古 典 的な教 科 書において,変 動 性 (vari− ability)が章の タイ トル る いはそ の一部と なっ て い る こ とか らもうか がい知る こ とが で きるKeller&Schoen ・ feld,1950;Sidman ,1960>.   行 動 変 動 性と オペ 条 件づけに関す るこれ まで の * Departme

典t of Psychology , Komazawa  Univcr−  sity,1−23−1  Komazawa ,  Setagaya−ku

, Tokyo  l54−8525 1) 本 論 文の執 筆にあ たり, 小 野 浩一.教 授 (駒 澤大学 ),  な ら びに匿 名の審査者に貴重 な助 言をい た だ き ま し  た.記 して感 謝 申し上 げます. 研 究は多 岐にわ た る が,大き く二 っ の領 域に分 類す るこ と がで きる.オベ ラ ン ト条件づ けに伴っ て生じ る行 動の 付 随 的な変 動に関 する研 究 領 域と,行 動 変 動 性の 強 化 可 能 性に関 する研 究 領 域である.  オペ ト条 件づ けに 伴っ て生 じ る 行動の付随的な変 動にっ い ての研 究は,あ る行動次元 (強度や持続 時間な ど)にお ける行 動の出現 分 布を行 動 変 動 性の指 標と し, オペ ラ ン ト条 件づ けの対 象とな っ た行 動の頻 度が変 化 す る過程で行動 変動性が どの ように変化するのか を検討し て き た.その結 果,反 応 位 置 Antonitis,1951),反 応 強 度 〔Notterman ,1959),持 続 時 間(Margulies,1961),系 列 反 応 {Vogel & Annau ,1973,ボール押し行 動の トポ グラフ ィ(Iversen,2002 }等において,連 続 強 化 手 続 き を導入し た直後に は大き かっ た行 動変 動性が , オペ ラン ト.条 件づ けの 進行に伴い減 少す ること が明ら かになっ て い る.これ らの研 究は強 化 于続 きの持 続 的な適 用に は行 動 を 定 型 化 する機 能 が あるこ と を 示 す もの で ある.  ・ 方,強 化手続 きによ り 定 型 化 さ れ た 反 応 が,消去手続き に よ り変 動的 に な る こ と が,反応 位 置〔Antonitis, 1951),反 応 強 度 (Notterman ,1959),反 応 問 間 隔 (inter一 Copyright ,The JapanesePsychonomic Society.All .

(2)

184 基 礎 心 理 学 研 究   第23巻   第2 号

response  time:IRT)(Millenson & Hurwitz ,1961),持

続 時 間 (Margulies,1961,反 応 潜 時 (Stebbins& Lan− son,1961),系 列 反 応 〔Schwartz,1980)等におい て確 認

さ れて いる.

  強 化 可 能 性につ い て の研究, す な わ ち オペ ラ ン ト条 件

づ けに よ り行 動 変 動 性を増 加さ せ る試み,は 1960 年 代

か ら始まる Blough 1966Pryor Haag ,& 0’Reilly

1969;Schoenfeld, Harris, Farmer ,1966Shimp ,

1967 >,その ,「行 動 変 動 性を強 化す ること がで き るの

か」とい う問いをキーワードとして系 列 反 応の変 動 性に

つ い て 実 験 的な研 究が行われた Page & Neuringer , 1985;Schwartz,1980,1982a}.こ のい はNeuringer

(2002)が述べ て いる ように,強化の機 能の新た な側 面を 探 求 する もの で ある.なお,こ の領 域で行わ れた実 験 研 究の多く は, 系列反 応を扱っ ている.   本稿で は このい,す な わ ち行動変 動性の二の研 究 領 域 (行 動 変 動 性の強 化 可能 性 )にっ い て展 望 する.以 ド,行 動 変 動 性の定 義 と測 定 指 標,行 動 変 動 性の強 化 可 能性につ いての初期の研究 行動 変動 性を増 加させる分 化 強 化 手 続きの種 類にっ い て述べ,最 後に行 動 単 位と行 動 変 動 性の関 係につ い て論じ ること とする, 2.行 動 変 動 性の定義と測 定 指 標   こ こ で行 動 変 動 性の定 義につ い て触れて おく.Neur − inger(2002)は行 動 特 性 と しての行 動 変 動 性 を,行 動の ば らっ き あ るい は予測不 可 能 性と して定義してい る.つ ま りNeuringer は行動 変 動性をラ ン ダムネス と き わめ て類 似し た概 念で あると考えて い る.   ラ ンダム に は基 本 的二 っ の 性 質が あ る.一っ は 生起し う るすべて の事象頻 度が等しい こ と (等確 率 性 )で あり,も う一っ は,出現 し た事象の系 列にあ ら ゆ る規 則 性が存 在しな い こと (無 規 則 性 )で ある (脇 本, 1970). し た がっ て Neuringer(2002)の基 準に従一・て 行動変 動性を測定する場 合に は,等 確率性と無規 則性の 二っ の指 標 を利 用 すること がで きる.  山 岸 (2003)はこれ まで の行 動 変 動 性 研 究 が 使 用 した 行 動変動 性の指標につ い て考察 し,その多 く が 等 確 率 性 を測る指 標 (た と え ば反 応 出 現 分 布の グラ フ化,反応出 現 分 布の標 準 偏 差や平 均 偏 差,個々 の反 応の生起 確 率を 元に算 出さ れ た σ値)と,無 規 則 性 を 測る指 標 (た と え ば反 応 出現の条 件 付き確 率,系 列反応の 生 起確率を元に 算 出され た σ値,直 前の反応 か らの独立性,周 期 性 )に 分 類さ れ ること を指 摘 してい る(Table 1,  こ の よ うに,動 変 動 性の 実 験 的 研 究に おいて さ まざ ま な指 標が使 用さ れて い る現状にっ い て,山岸(2003) は,行動 変 動性にっ いて議論すると きに は,常によ り具 体 的な レベ ル で対 象を明らかにする必 要が あ る と主 張 し て い る,   ま た,定 義 が一貫 して い ない こ との一因 と しては,研 究 対 象や手 続き が時 代と と もに変 化して き たこ と が挙げ ら れ よ う.すな わ ち,行 動 変 動 性 研 究の初 期に は消 去 時 に生 起 する系 列 反 応な ど,周 期 性な どの規 則 性 を想 定 す る必 要の ない実 験場面が多かっ たので,等確率性のみ が 測 定さ れてい た.その,生 起 し た 反 応 に依存 して強 化 対 象と な る反 応が変 化 する分 化 強 化 手 続 きに焦 点が当て ら れ るよ うになり,しば しば 周 期 的な反 応の生 起が問 題 と なった た め,等 確率性と無 規 則 性を含む行動変動性が 測 定さ れ る ようになっ たの で あ る,

3

.行 動 変 動 性の強 化可能 性につ いて の           初 期の研 究   行 勁 変 動 性を増 加さ せ る分 化 強 化 手 続きに関 する近 年

の研 究は,Schwartz(1980,1982a)とPage &Neurin・

ger (1985)によ る系列反応の変 動性にす る分化 強 化 可 能 性につ いて の研 究に端を発してい る.分 化 強 化と は, 強 度やトポ グラフ ィな どの行 動 次 元にお ける特 定の範 囲 内に含ま れ る反 応群だ け を強化し, そ れ 以外を消 去 する ことであ る.  Schwartz 1980,1982a)は,「直 前に生起 した系列反 応 と異 なる系 列 反 応 」 を 強 化 することが 可 能 なのかにつ い て,ハ ト を対象と し左 右に並ん だ 二っ の キ ーに対 す る系 列反 応の 習 実 験 を 行 った.実 験 箱の正 面に は横に 並ん だ 二っの反 応キーと給 餌 器が あり,左 側の壁には縦 横 5×5 に並んだ計 25個の ラ ン プが あ り,左 上の ラン プーつ 点 灯て い たそ して, 左右に並ん だ :っ の キーの う ち,右 側のキーをっ っ く と点してい るラ ンプ の位 置が右に一っ 移 動し,左側の キーをっ っ に一 つ 移動し た.最 終 的,点 灯ンプが右 下 隅に移 動した と き,その直後に餌が与え ら れ た.餌を得る た めに は, 左 右の キーに対 して各4 回 ずっ 反 応 すこ と が必 要で あっ た.そ して,試 行の途 中で左 右 どちらかのキーに対 して 5回 目の反 応 が 生起 した ときに は 餌 は 提 示 され ず, その試 行は そこ で終 了し た.こ の場 合,ラン プ を左

E

か ら右 下に移 動さ せ る左の キーに対する系 列 反応の種類 は 70 と な る.  Schwartzの一連の研 究で は,ま ず,こ の よ う に複 数 の系 列 反応 が 生 起可 能な場面において,どの よ う な 系 列 反 応が生 起 する のかを検 討した,そ の結 果,ほ と ん どの ハ ト が特 定の系 列 反 応 (た と えば右キ ー4同 反 応 後,左 キーに 4 回 反 応す る)を生 起させ て い た (Schwartz,

(3)

thrtllil'tz{sttth

L

t -:v >・F

#VI:-z)"

eJ 185

Indexesof variability.

Tab]e 1,

The listisbased on Appendix A and B.(Modified from Yamagishi

[2003].}

Indexesof equality of response probability Researchusing the indexinleftcQlumn

a, graph of distribution

1.graph of distributionof response frequency

2,graph of djstributionof response frequencyper

opportunity

3.graph of distributionof multi-dimensional similarity

Herrnstein

{1961)

etc.

Blough

(1966)

Manabe,Staddon,& Cleaveland

(1997)

b.quantificationof distribution 4.standard deviation

5,mean deviation

6,quartiledeviation 7.deciledeviation

8.mean variation fromrnedian

9.average distance frem center to point response

generated

10.U-value based on probabilityof each responses

11.equality ef response frequency

(using

Chi-square value) 12.redundaney

Notterman

(1959)

etc,

Herrick

(1965)

etc,

Stebbins& Lanson

(1961)

etc. Millenson,Hurwitz, & Nixon (1961) Antonitis(1951)

Eckerrnan & Vree]and

(1973)

Page & Neuringer

(1985)

etc. Hasegawa

(1997)

Ferraro& Branch (1968)

c.counting differentresponse generated

13.number!rate of differentresponse generated Schwartz

(1980)

etc.

Indexesof independency

14,conditional probabilityof responses

15.ULvalue based on probability of successive response sequences

16,Chi-squarevalue forMarkov chain rnodel

17.independencyfrompreceding one response

18.independencyfrompreceding two responses

19.independencyof difference

20.cyelic recurrency

Shimp

(1967)

etc,

Page & Neuringer

(1985)

etc. Machado

(1992)

etc. Hasegawa

(1997}

Hasegawa

(1997}

Hasegawa

(1997}

Yamagishi (1998)etc. Other indexes

21.number of response meet criterion of differential forcement

22.number/rate of switching

23,variability score

24.average distance from point preceding response ated tonext

25,number of dorninantresponse 26.record of successive IRT generation

27,graph of frequencydistributionof each run length

28.pictureof response topography

Morris

(1990)

etc.

Boren,Moerschbaecher, & Whyte

{1978}

etc. Machado

(1989)

Eckerman & Vreeland

(1973)

Schwartz(1982a)etc,

Morgan & Lee (1996)

Machado

{1992)

Iversen

(2002)

(4)

186 基 礎 心理学 研 究   第23 巻   第 2号 1980;実 験 1).さ ら に,こ の条 件に加え,直前の 1 試行 に おい て生 起し た系 列 反 応 とは異な る系 列 反 応 が 生 起 し た と きにの み餌を与え た (本稿ではこ の 続 きを直前の 1試 行を参 照す る異 反応系 列 強 化 手 続き2)ぶ こ と と する〉.もし直 前に生 起した系 列 反 応と異なる系 列 反 応 を 強化す ることが 可能で あ れ ば,こ の実 験 条 件に お いて は,よ り多 くの類の 系反応が生 起す る とSchwartz は考え た.し か し,こ の よ う な条 件下で も同一系列反応 の反 復が多 く見ら れた (Schwartz ,1980:実 験3,1982a: 実 験 1).これ らの結 果か ら,Schwartzは,強 化の機 能 は,強化子が随伴し た行動を繰り返 すこ とで あり,1el前 に生 起し た系 列 反 応と異なる系 列 反応 を強 化す るこ と は で きない と結 論づ けた (な お,Schwartz (1980,1982a) は直 前に生 起 し た系 列 反 応と 異 な る系 列 反 応の生 起 を変 動 性の増 加と考えて いた),  そ れ に対 し て,Page & Neuringer (1985)は,同じ く ハ を 対 象と し Schwartz 1980,1982aた, 左 右のキーに各4回 ずっ 反 応 すると餌が提 示される条 件と,左右のキーへ の反応 回数にっ い てのの ない 条 件,すなわち 二っ の キーに対 する反 応が合 計8回に な ると1試 行 が 終 ゴ し,そ れぞれの キーへ の反 応が 5回 以 上 生 じて も その 試行が中断 し ない とい う条 件の比較を 行っ た.制 限のない条件の場合,出現 可能な系列反 応の 種 類は 256 種 類と なる.こ の 一.1っの条 件におい て,Sch− wartz と同様, 直 前の 1試 行 を参 照 する異反 応 系 列 強 化 手続き を導入 し た ところ、制限の ない条件において,強 化 手 続きの条 件を満た す 異 反 応 系 列 が 増 加 し た (実 験 L 実 験 2).これ らの結 果か ら,Page & Neuringer は, 直前の系列 反応と 異 な る系 列反応を強 化 するこ とがで き ない とい うSchwartzのは実験 条件に設け ら れた 2) 直 前の N 試 行に生 起 した 反 応 と異 なる反 応 を 分  化 強化する手続きの名称につ いて は, ラグ (lag)  ス ケジュール Page &Neuringer,1985), N バ ッ  ク(N・back)(Manabe , Staddon ,& Cleaveland,

 1997)等 が 使 用 さ れている.しか し本 稿で は主に  「異反応系列強 化手続き.亅とい う名称を採用 する.  それ は 「直前の系 列 反応 と r異な る』系列反応を   分 化 強 化 する」とい う具 体 的な内 容を示 して いる  点,そ して たとえばNeuringer (1992)におい て  異反応系列強化手続き との比較で用い ら れ る 「直  前の 応と同じ系列反応を分化強化する手 続   き (同 反 応 系 列 強 化 手 続き)

1

(山 岸,1998b)と  の 別が明確であるという点にある.ただ しこ の  手 続き は,系 列反 応 以外に も鳴 声や IRT 等さ ま  ざ ま な反 応に適 用 可能で あ り (例え ば Manabe  et al.,1997; Schoenfeld,  Harris,& Farrner,

  1966).それ らをめ た,よ り一般的な名称と し  て は 「異 反応 強化 手続き 」 と す る. 限に よ るもの であると結論づ け た.   制 限の ない条 件で異 反 応 系 列が増 加 し た とい うこ と は,  一定の 実 験 条 件 が 整 え ば,異 反 応 系 列 強 化 手 続 きは 直 前の 試行におい て生 起 し な か っ た系 列 反応と い う反 応 ク ラ スを分 化 強 化で き ること を 意味す る と考え られ る,  さ ら に Page & Neuringer (1985)は,実 験 1,2 と同 様, 左 右の キ ーへ の反 応 回 数に制 限が な い条 件におい て,参照さ れ る直前の試行数を5,10,15,25,50 と変 化さ せ る と,参照 数 が 多 く な るにっ れ,左 右 のキーに対 する個々 の反 応の変 動 性 (等 確 率 性と無 規 則 性を含む) が増 加 することを報 告して い る (実 験3).そ して,参 照 さ れ る直前の試行数を50と し た場合と, その条 件と強 化 率は等しいが強 化の対 象と な る系 列 反 応に条件を設け な い場 合とで個 体 内 比 較を する ことに より,直前の試 行 と 異 な る系列反 応 を 分 化 強 化 する前 者の手 続 きが左 右の キーにする個々 の 反 応の変 動 性 (等 確 率 性 と無 規 則 性 を含む)を増 加さ せ ること を明ら かに し た (実 験 5).そ して最 後に,ある色のキーの下で異 反 応 系 列 強 化 手 続 き に よっ て変 動 的な系 列 反 応が強 化さ れ,別の色の キーの 下で あ る特定の 系 列反応が強化さ れ た結果, それぞれの 反 応 傾 向が キーの色とい う弁 別 刺 激の制 御 下に置か れ る こ とを示 し た (実 験6),これ ら の結 果か ら,Page & Neuringerは,行 動 変 動 性が一っ のオペ ラン ト次元 であ る と結論づ け た. 4.行 動 変 動 性を増 加 させる 分化 強 化       手続きの種 類   (1) 異 反応系 列 強 化 手 続き   異 反 応 系 列 強 化 手 続 きにっ い て は,そ の参 照 数と行 動 変動 性の関係詳細検討さ れ 参 照 数の変 化に より反 応傾 向が変化す るこ と が明らか になっ て い る.   1[i岸 (1998a,2000 )は,異 反 応系 列 強化手 続き がコ ン ビュ ータマ ウ ス上の 二 っ の ボ タン を押 す 反 応の変 動 陸に どのよ うな影 響 を 与 えるのか を 大 学 生 を対 象に検 討し た.まず 山岸(1998a>は, 1試行0)反応数を2 回と し た 場 合 〔出現 可 能な系列 反応 は4種 類 )と3回と し た場 合 (出 現口な系 列 反 応は 8種 類 )にっ い て,前の N 試 行前に生 起し た系 列 反 応と異な る系 列 反 応が生 起 した と きに ポ イン トが与え ら れ る分 化 強 化 条 件と,生 起 する系 列 反応の 種 類とは無 関 係に分 化 強 化 条 件と同じ試行にお い て ポ イ ン ト が与え られる ヨーク ト条 件と を被 験 者 内比 較 と被 験 者間 比較で行っ た.こ の場 合,両 条 件の強 化 率 は等 しくな る.その結 果 分 化 強 化 条 件で は等 確率性が 増 加す る が,定型的なパ ターン が数多く確認 さ れ た,た と えば,直 前の 1試 行を参 照す る異 反 応 系 列 強 化 手 続き

(5)

山 岸:行 動 変 動 性 とオペ 条 件づ け 187 の下で は2種 類の系 列 反 応 を交 ほに生 起さ せ,白:前の 2 試 行そ して 3試行を参照 す る異反応 系 列 強 化 手 続きの ドで は4種類の系 列 反 応が ・定の順 序で規 則 的に生 起 して い た.すな わ ち等 確 率 性の み が増 加 し た.   .・方,山 岸 〔2000 )は1試行の反 応数を2同と し た場 合 と4囘 とし た場 合 (出 現 可能な系列反 応は 16 種類) にっ いて,山 岸〔1998a)と同 様の条 件にっい て被 験 者 間 比 較を し た結 果,1試 行の反応 数 が 4回の と き,特にN の値を大 きくし た場 合には,定 型 的な 川頁序を学 習す るこ とは な く, 等確率性と無 規 則 性を含む変 動 的な系 列 反 応 が生 起す ること を確 認して い る.

 また,Manabe  Staddon ,&Cleaveland(1997)は, セ

キセイ イン コ 被験 体と し , 複数の 鳴声を オペ ラ ン ト 条 件づ けに よっ て 獲得さ せ る た め に,直前の N 回の鳴 声と異な る鳴 声を し た ときに餌 を 与え るとい う手 続 きに よっ て 山岸 (1998a,2000}と同 様の結 果 を 得て い る.こ の ときの 鳴声の違い は鳴声の 周 波 数の差 を リアル タイム で分析すること に よ り算 出して い る,そ して N を 1に 設定し た と きに は2種 類の 鳴 声を定 型 的な順 序で鳴 く よ うに な っ た こ と,そ し てN を 2あ る い は 3に設定し た ときには,複 数の鳴き声 を 変 動 的な順序で生 起さ せ る よ うになっ たこ と を報 告して い る.   こ の よ うに,異 反 応 系 列 強 化 手 続 きや,鳴 声 を対 象 と し た異 反 応 強 化 千 続 きにおいて,その什 組み が比 較 的単 純な場 合には, そ の分化強化手続きの要 請に従って,分 化 強化の対象と なっ た反応 が増 加す る と同 時に,それ ら が周 期的 (す な わ ち無 規 則 的で な い)に生起 する よ うに な る.しか し,分 化 強 化 手 続 きの仕 組み が複 雑に な る と, 系 列 反 応や鳴 声は変 動 的に生 起す ること が明らかになっ て い る.       頻 度 依 存 強 化スケ ジュ ール   異 反 応 系 列 強 化 手 続 きは,系 列 反 応が変 動 的になっ た り ある い は定 型 的にな る な どの反 応 傾向の変に伴って 強化率が変化する.Machado (1989,1992,1993 }は, パ ーセ ン タ イル強 化ス ケジュ ール (Platt,1973〕を応用 し,反 応 傾 向が変 化して も強 化 率 を変 化させ ずに,  淀 の強 化 率を維 持した ま ま変 動 的な反 応あ るい は系 列 反 応 を分化 強化す る方法を考案し た.こ の方 法は,一般 的に, 1試行 前か らN 試 行 前まで を参 照しその範 囲に おい て,一定の 基 準 以 下の頻 度で生 起して い る反 応 (あ るい は系 列 反 応 )が生 起し た と き に だ け強化子を提 示す る, こ の と き,反 応 (あ るい は系列反応)の 生 起にって試 行 が 進 行 す る と,参照範 囲も試行の進行に合わせ て移 動 する.そのた め,こ の手 続 きは常に最 近の反 応 傾 向に基 づい て,相 対 的に低 頻 度の反 応 (あ るい は系 列反応) を 分化強化する こと か ら,頻 度 依 存 強化ス ケ ジュ ール (fre− quency  dependent  reinforcement  schedulc )と呼ば れ

て いる3}  Machado (1992,1993)は,等 確 率 性と無 規 則 性を含 む変 動 的な反 応が生 起 する条 件 を調べ る た めに,ハ 被 験 体と し て以下の一連の研究を行っ た,最 初の実 験で は,左 右二 っ の キーの あ る実験箱を使用し,二 っ の キー に対して合 計4回の反 応が 生起 する た びに,餌の提 示 あ るい は タ イム ア ウ トを後 続さ せ,これ を 1試 行と し た. 1試 行 中に生 じ る可 能 性の あ る系 列反 応はこ の 場 合16 種 類 とな る.こ の 実 験で使 用さ れ た頻 度依 存 強化ス ケ ジュール で は,同じ系 列 反 応が何 試 行 前 まで生 起 してい な か っ た か,っ ま り同一系 列 反 応 が 再 生 起 する まで に要 した試 行 数が,強 化の 条 件と して利用 さ れ た.ま ず,最 近の 20試行に生 起 し た系列 反応 そ れ ぞ れにっ い て,再 生 起す る まで に要 した試 行 数を測 定し,現 在の試 行に生 起した系 列 反 応の それ と比 較し た.そ し て 現在の試行で 測 定 さ れ た試 行 数 が,多い方か ら30パ ーセ ン タ イル以 内と な る場 合に,強 化 子 と な る餌が提 示さ れ た.そ して, こ の強 化スケ ジュール と,生 起し た反 応と は無 関 係に強 化 子が提 示さ れる ヨ ーク ト手 続 きとの間で 個 体 内 比 較し た.そ の結 果,頻 度 依 存 強 化ス ケジュールが二 っ の キー に対 する反 応の変動性 (等確率と 無規 則 性を含む)を 増加さ せ ること が明ら かになっ た (Machado ,1992:実 験 1).  Machado (1992)の 実 験2は,左 右二っ の キーへ の反 応 頻 度が等 し くな るように 伴性を設定 す るこ とによ り 変動 的な 反応が 生 起 す る か を検 討し たもの で ある.こ の と きに は,左 右の キーに対 して 1回 反 応が生 起 する た び に強化ある い は タ イム ア ウ トが生じ た.そ して, 最 近の 試 行 (10試行,40試行,80試行の 3条 件で検 討 して い る )にお ける左 右の キーに対する個々 の反応の出 現 確 率 を参 照 し,出 現 確 率の よ り低い反 応に対 する強化 確 率が よ り高 くなるよ うに設 定さ れ た.こ の 場合には,参照す る試行 数に関係な く, 二 っ のキ ーに対する交替反 応 (二 っ のキーに対して交互 に反応 する)が顕 著に出現 した. :.] 度 依 存 強 化スケジュ ール は低 頻 度 反 応 分 化 強  化 手 続 き (differential reinforcement  of least

 frequent responses )と も呼 ば れるが,低 反 応 率

 分化 強化手続き(differential  reinforcement  of

 low rate responding DRL 混 同しやい の で

  本 稿で は使 用しな い,前 者は,相 対 的な反 応 率を  問 題に してい るの に対 して,後者は他の反応と は  無関係に,単に特定の反 応の頻度を問題 と して い

 る とい う点で,両 者は 全 く異な る強 化ス ケジュー  ル であ る.

(6)

188 基 礎 心理学 研 究 第 23巻 第 2 号  次の 実 験で使 用し た頻度 依 存 強 化ス ケジュ ールは,直 前の反 応が生 起し た下で の現 在の反 応の条 件 付き出現確 率を参照 す るもの で あっ た (Machado ,1992:実 験3). そ して実験2で被 験体と なっ たハ トおよび実験 歴の な いハ トをた.た と え ば,直 前の試 行で右反 応が生 起 し て い る場 合,最近の試 行 (20試 行,40試行,80 試行 の 3条 件で検 討 している〉 を 参 照 し,右 反 応が生 起し た 下での左 右の反 応の条 件 付 き 出現 確 率 を算 出 した.そし て条 件 付 き 出 現 確 率の より低い反 応する強化 確率が より高 くなっ て いた.そ して結 果で は,実 験 歴の ないハ ト は,右 右 左 左 右 右 左 左と いう二重 交 替 反 応と いうべ き 反 応 傾 向を示し た,任 意の n 試行に生 起し た反 応と, そ の次の試 行 (n +1試行 )に生 起し た 反応の組み合わ せ を 2反 応 系 列と考え た場 合,こ の よ う な 二 重交 替 反応の出 現に よ り,右 右,右 左,左 左,左 右 とい う全 4種 類の 2 反 応系 列を均 等に出現 させ ること が口に な る.こ の よ うな反 応 方 略に より,左 右の反 応の 条 件 付き出現 確率を 均 衡 状 態に保っ て いたの で あ る.その一方で,実 験2の 実 験歴の あ るハ トは左右の キーに対して,等 確 率 性と無 規 則 性を含む変 動的な反応を示し た.  さ らに Machado 1993は, Machado (1992:実 験2, 実 験3)の頻 度 依 存 強 化ス ケ ジュ ール をさらに発 展さ せ,実験経験のないハ トに対して,[自前の 2反 応が生 起 し た下で の現 在の応の 条 件 付き出現確率を参照 す る よ うに設 定 した.こ のとき,参 照 され る条 件 付 き確 率の均 衡 を保っ 定反 応 系 列,右 右 右 左 右 左 左 左あ るい は その の パ ターンを繰 り返 すこ とで あ る.し か しこ の と きに は,そのよ う なパ ターン は 生,4中3 において,等 確 率 性と無 規 則 性を含む変 動 的な反 応が生 起し た,な お残りの 1羽に は一方のキーに対 する位 置 編 好が見ら れ た.   これ らの結 果か らMachado は,均 衡を保っ よ 型 的 系 列 反 応が複 雑 す ぎた り特 定の実 験 履 歴の ために, 定型 的 な系 列反 応 を 学 習で き な か っ た と きに,行動が変 動 的にな ること を示 唆して い る.  (3) 切 り替 え 反 応の分 化 強 化 手 続 き  異反応系列 強化手続き や頻度 依 存 強 化スケ ジュ ールで は,強 化 対 象と な る系 列 反 応が そ れ 以前に生 起し た系列 反応群に依 存して いた.しか し強 化 対 象が 過去の系 列 反 応 群に依 存 しない よ うな 分 化 強 化 手 続 きに よ っ て も行 動変動 性が増 加 するこ とが報 告さ れて い る,  Morris 1987)は,ハ 二っ の キーにして合 計4 回の反 応が生 起した と きに毎回 無 条 件で強 化 子を 呈示し た場 合には,生 起 し た系 列 反 応の 98% 以上が右 右 右 右 あ るいは左 左 左 左だっ た こと を報告して いる,つ ま り , こ の よ うな条 件 下で は,左右の キーに対する切り替え反 応は ほ と ん ど生 じないのである.  それにして Machado 〔1997)は実験 1において ハ トを被 験 体と して左右の二っ の ペ ッ キング キーに対す る 8回の反 応 を1試 行とし,8反 応を要 素とする系 列の中 で右 か ら 左 あ るい は左か ら右へ の 切り替えを 1回 以

L

含む系 列 反 応の すべ てを分 化 強 化の 対象と し た.っ ま り,強 化 子が提 示 さ れない試 行は,1 試行中に生起し た 8回の 応がのみある い は左の み の場 合だ けである. Machado はこ の手 続き に よ り,系 列 反 応の等 確 率 性 が 増 加する こと を示 した.  さ ら に,実 験2 に お い て切り替え同 数が 3 回あ るい は 4回の系 列 反 応 を 確 率 1.0で強 化 し,切り替 えの 数が0 (最 小 値 )や 7 (最大値)に近づ くにっ 強 化 確 率 することによっ て切 り替え反 応の ’

li

.均 値を 3,5に近づ け るこ とを試みた.こ の実 験 場 面で は,切り替え回数が 3 と4 の と きに列 反 応の 類が最 も 多く な る.そ の結 果,実 験 1と同 様に 8反応系列が等確率的に出現 し た.  (4> 何 が 強 化 され るのか   本節ではこ こま で, 行動変 動性が さ ま ざま な分 化 強 化 于続きの 下で増 加す ることを述べ た.し か し,行 動 変 動 性 を 強 化 する こと がで きる か とい う問題にっ いては さ ら に 検 討 する必 要が あるだろ う.特に,行 動 変 動 性を増加 さ せ る分化 強化手続きにおいて強 化さ れ るの は何か とい う問 題が解 決さ れて いない.   強 化 と い う現 象は オ ペ ラ ン ト行 動の定 義と密 接に関 わっ て い る.オペ ラ ン ト動は多くの場 合,そ の結 果に よって変化す る反 応クラスと定義さ れて いる (たとえば Catania,1998).こ の よ う なオペ ラ ン ト行 動は,通常, 手 続 きの上で強 化 対 象 となっ た反 応ク ラスと,出現 した 反応クラス との応 関係とい う枠 組みで分 析さ れる (た と え ばCatania,1973).その .・で, い くっ かの強化ス ケ ジュ ール におい て,し ば し ば手 続きの Eで強 化 対 象と その下で増加し た反 応クラス と が異な る場 合が ある,  た と え ば,比率スケジュ ール と間 隔スケ ジュ ールにお い て強 化 子を呈 示 する条 件は,反応間 間 隔っ ま りIRT に 直 接 働 きか ける もの で は な い,っ ま り,手 続き 上 は IRT が強化対 象と なっ て いない,し か し,これ らの強 化 ス ケ ジュール によっ て生 じる反 応頻度の 差 がIRT に対 する分 化 強 化の結 果で ある こと が示 唆さ れて い る (Cole,

1999;Galbicka&Platt,1986;Hawkes &Shimp ,19751

Peele, Casey, Silberberg,1984

 行 動 変 動 性を増 加さ せる分 化 強 化 手 続きにおい て, 強

化 子 を呈 示 する た め の条 件は行 動 変 動 性の増 加とは直 接

(7)

山岸:行 動 変 動 性と オペ 条件づ け 189 加させ る,変 動 佐 を 増 加さ せ る分 化 強 化手続きにおい て も,比率スケジュールや間 隔ス ケジュール における IRT の よ う な核と な る反 応が存在 する可 能 性がある.  こ の問 題に は,行 動 単 位 (Marr ,1979Zeiler,1977, 1986)という枠組み が関わっ て いる,次 節で は行 動 単 位 お よび行 動 単位と行 動変動性との関わり にっ い て考 察す る.

5

. 行動単位と行 動 変 動 性   ま ず, 行 動 単位 研 究の 概 略にっ いて述べ る.他の科 学 領 域で は,取 り扱う対象に,その基 本と な る単 位 が 存 在 する.た とえば,生物学に お け る細 胞, タン パ ク質な ど は その であ る.行動単 位研究はこれ ら と同 様,オペラ ン ト行動において も研 究の基礎と なる単位が存 在する の か,そ し てそれはいかに して検 出可 能なのかを探る試み で ある Marr 1979Zeiler,1986.  Zeiler 1977は,行 動 『巨位を3種 類に分 類して い る. 形式的単位 {formal unit )は,実 験 者によっ て任 意に決 め ら れた,強 化 子を呈 示 する た め に必 要とさ れ る反 応, 条 件づ け凵能 な単位 (conditionable  unit )は強 化によ る 条件づ け が可能であ るこ と が明らかにな った反 瓜 理論 的単 位 〔theoretical unit は,直 接 観 察された もので は なく,観 察 さ れた反 応の基 礎にあると推 測さ れ た単 位で ある.  この考え方に 基づ け ば, た と え ば FR ス ケジュ ール で は形 式 的 単 位は規 定さ れ た回 数の反 応で あるが,FR に お ける反応率をIRT に対 する分 化 強 化に よ っ て 説明で きるのであれば,IRT が 理論 的 単位と な る.そ して IRT が条件づ け可能であ るこ と が示さ れ,かつ 随 伴 性の影 響 を受け ること が示さ れる ことで,IRT が 理論 的 単位であ る ことの根 拠と なる.したがっ て,行 動 甲位につ いての 研究は,行 動のどの次元 がオペ ラ ン ト の 基 本 単 位 と して 機能して いるのか を明ら かにす る試み とい え る だ ろ う.  行 動変 動性を増加さ せ る分化 強 化 手 続 きにおい て,理 論 的 単 位を考える場 合,少な くとも二 っ の単位を想 定 す ること が できる.第一は,系 列 反 応と して の単 位であ る. これ まで の 研 究で は多くの場合反応の動 性が研 究の 対 象と なっていた.系 列 反 応につ い て は,そ の単 位 の検 出方 法にっ い て の蓄 積があ り,行 動 変 動 性 研 究に応 用で きる 可能 性がある.  第二 に, 行動変動 性その ものが行 動 単 位で あ る と する もの である.これに は よ りさ な理論 的 単位が存 在する のか を探る試み も含ま れる.これに よ り行 動 単 位と いう 観 点から 「行 動 変 動 性 を 強 化 することが できるのか 」 と い う問いに 答え るこ と がで き る.  (1) 系 列 反応 と しての単 位  これ まで に,分 化 強 化 手 続きの式 的単位と して の系 列反 応が理論 的単 位と して の 妥当性を もっ こ と が報告さ れてい るFetterman&Stubbs1982;Reid, Chadwick ,

Dunham ,& Miller,2001;Stubbs , Fetterman ,&Drey−

fus,1987).  Fetterman & Sttlbbs(1982}で はハ の 二っ の キー に対す る2反 応 系 列を対 象と して,VI ス ケ ジュ ール の 下で,最 初の反 応が左の場 合 (左 右,左 左)と最初の反 応が右の場 合 (右 左,右 右 )に異な る相対強化率を設け るとともに,左 右の キーへ の々 の 反応にする相対強 化 率を.5と し た.た と え ば,VI 基 準が満た される たび に ,05 の確 率で左 右 あるい は左 左 系 列 を 強 化し,.45の 確 率で 右 左,右 右 系 列を強 化す る と,2反応系列の う ち, 2番目の反 応が右 左ど ち らであっ て も強 化 確 率は,5 と なる.そ して,生起する系 列 反 応の相 対 反 応 率が系 列 反 応に対 する相 対 強 化 率に応 して変化する か,個々の反 応に対 する相 対 強 化 率に対 応 する かを 調べ た.っ ま り, 手 続き 上 は2反 応系 列に対 して強 化パ ラ メ, 個々の 反 応に対 して は変えず,理 論 的単 位として個々 の 反 応と2反 応 系 列を設 定した ので ある.そ の結 果,2反 応 系 列およ び個々 の反 応の相対反 応率が 2反応系 列の 相対 強化 率に従っ て変化す る こ と, さ らに交 替 反応 (右 左,左右 )と反 復 反 応 (右 右,左左 )との間で相 対 強 化 率 を変 化 させた場 合にも同 様の果が得ら れ ること, 左 右のキ ーへ の個々の反 応に対 する相 対 強 化 率に対して は マ ッ チン グ が 生 じな か ったこ と を報 告して い る.これ ら の結 果か ら,2反 応 系 列が 理論 的 単 位と して の妥 当 性を もっ ことが示された.  また Stubbs et al.(1987}は二っ α)キーへ の回 数 の 反 応の 直後に餌の呈示か 1秒 間の暗 転 室 内 灯の消 灯,black outが なされる ように した上で,2反応系列, お よ び3反 応 系 列 を 対 象 として相 対 強 化 率 を 変 化させ た,その結 果,それぞ れの実 験におい て,形式的単位と して設 定さ れた 2反 応 系お よ び 3反 応 系 列の相 対 反 応 率が, 柑 対 強化 率の変 化に伴っ て変 化 する こと か ら, そ れらが 理論 的 単 位と な る こ と が確 認されて い る.  一.一方,分 化 強化手続きの下で変動的な反 応が生 起し た と き,形 式 的 単 位で あ る特 定回数の系 列 反 応が行 動単位 と なってい るのか,あ るい は系 列 反応 を構 成する個々 の 反 応が行 動 単 位になる のかにっ い て の検 討はま だほとん ど行わ れ て い な い,  Neuringer (1992)は,並立強化スケジュールを用いて 系列反 応の変動性に対す る強 化 手 続きの効 果を検 討し た 数 少ない研 究の一つ で ある,Neuringer は,ハ 対 象

(8)

190 基 礎 心理学 研 究   第 23 巻  第2 号 と して 二っ のキーに対す る4反 応 系 列 を 手続き的な単 位と して,直 前の 3試 行に生起 した系 列 反応 と は異な る 系列反 応に対 する分 化 強 化 手 続 き (異 反 応 系 列 強 化 手 続 き)の 相対化率と, 直 前の 3試行に生 起し た系 列 反 応 の いずれ か と同じ系 列 反応に対す る分 化強化 于続き (同 反 応 系 列 強 化 手 続き)の相 対 強化 率を変 化さ せ,それ ぞ れの某 準に対 応 する系 列 反 応の相 対 反 応 率がそれぞれの 相対 強化率に対応して変 化 することを示 した.こ の 結 果 は,実 験で用い られた形 式 的単 位が行動 単位と な るこ と を示 唆して いる.   しか し,系列反 応の変 動 性が行 動 単 位である の か につ い て は、これ らのだ げで は不十 分で あ る.Neurin− ger (1992>の研 究をさ らに発展さ せ る に は, Fetterman & Stubbs 1982ら が行っ た方 法の よ うに,複 数の形 式 的 単位を 設定し た上で,行 動 単 位が その いず れ と一致 す るのか を検 討す るこ と が 必要で あ ろ う.  (2) 行 動 単 位 と しての行 動 変 動 性  行 動 変 動 性 はオ ペ ラ ン トで あ る Neuringer ,2002; Page&Neuringer,1985)とい う仮 説は,系列 反 応の属 性で ある変 動 性そ れ自身が異反 応系列 強化手続きので 理論 的 単 位とな る とい う仮 説と して考える こ と がで き る,一方でMachado (1997>は,異 反 応 系 列 強 化 手 続 き と切り替え反 応の分化 強化手続き が同じ過 程に よっ て 変 動 的な系 列 反 応を生 起させて いる こと,両 者において主 要な変 数は,中 程 度の 切 り替 え 反 応 を 含ん だ系 列 反 応を 分 化 強 化す るこ とであ る とギ張 し,異反 応 系 列 強 化 手 続 きのでの理論 的 単 位は系 列 反応のり替え回 数で ある こと を示 唆して い る.  Neuringer(2002)とMachado (1997)の仮 説が機 能 的に対立的な もの であ るのか につ いて は慎 重に検 討 する 必 要が あるが,こ の問 題に対して は,ヨーク ト手続き や, 信 号付き強化が 行 動 単 位に 与 える影 響につ い て検 討を 行っ たReed, Schachtman ,&Hall(1991)の成 果 を利 用

する こ と が可能であ ろ う.  ヨ ーク ト手 続 きを使 用 して行 動 単 位を検 出す る場合, ま ず 異反 応 系 列 強 化 手 続きの下で変 動 的な系 列 反 応の生 起を確 認し,生起した系列反応のり替え回数 別の生 起 頻 度と切 り替え回 数 別の強 化 確 率を算 出す る.そ して算 出された強 化 確 率を元に,直前の試 行におい て生 起 し た 反 応との 異 同と は無 関 係に,切り替え回 数 別の強 化 確 率 を適用して系列 反 応を分化 強化する (ヨーク ト手続 き),   こ の と き,二 っ の条 件 間で,切 り替え回 数につ い ての 強化パ メ ータ は同じである.その一方で,異 反 応 系 列 強化にっ い て の パ ラ メ ータ は 結 果 的に2条 件 間で異 なっ て いる可 能 性が あ る,こ の よ うに,2条 件 間で系列 反 応の変 動 性が一定な の か,それ と も異 反 応系列強化の レベ に し た がっ て変 化してい るの か を検 討 する ことに よ り,系 列反応の行動変動 性と切り替え回 数の うちいず れ が 理論 的 単位と して妥 当 性が あ るのか を検 討す るこ と が で き る,  ま た,行動 単 位の形 成を促 進する こ と が報 告さ れ て い る信 号 付き強 化 (Reed et aL ,199D を利用す ることもで きる だ ろう.Reed ら はラッ トを被 験体と して,二っ の レ バ ーにし て 2回 ずっ 合 計4回 反応 すると 生 起 し た 系列 反 応の類に か か わ らずエ サ が与え ら れ るとい う場 面を設 定し,信 号付き強化 (500ms ,100 dBの音 刺 激 を 強 化

f

一提 示に付 随させる)の効 果を検 討し た.強 化 基 準 を 満たす 前に一方の レバ ー 3回 目反 応 生 起 し た場 合に は,そこで その試 行は終 rした.そ の結 果,信 号 付 き 強 化の ほ う が信 号を付 随さ せ ない場合よ り 系列反 応を定 型 化 する こ と,同 様の実 験 場 面で特定 列反応を強化し た と きには,信 号 付 き 強 化が そ の特 定の 系 列 反応の獲得を促進 する こ と を報 告 している.  これ ら結 果は,信 号 付き強 化が手 続き的 単位と しての 系列反 応の形 成 を促 進 することを示 唆して いる.この よ う な効 果が も た ら さ れ る原 因にっ いて Reed 1989は, 条 件 性 強 化 子 (conditioned  reinforcer )や, 刺激の マ ー

キ ング機 能 (Lieberman , Mclntosh ,& Thomas ,1979)

を想定して いる が,そ の詳 細につ い て はま だ わ かっ て い ない.  こ の よ う に信 号 付き強 化によ り,行動単位の形 成が促 進さ れ る とすれ ば,こ の手 続き を利 用する ことによ り, 異 反 応系列 強 化 手 続 きに よっ て形 成される行 動 単 位を検 出 する こと がで き る,異反 応 系列強 化 于続きの下での 行 動 単 位 が 行 動 変 動 性で あ れ ば,信 号 付 き強化 手続き を付 加 すること によ っ て ,系 列 反 応の変 動 性が増 加 するこ と が予 測さ れ る.その一方で, 行動単 位が 中程 度の切り替 え反 応で あ れ ば,変 動 性よ り も, 中程度の切り替え反 応 を含む系 列 反 応が顕 著に増 加 するだろ う,  (3) 行 動 単 位に関 す る 問 題  以上,行 動単位とい う観点か ら, 行 動 変 動 性 を増 加さ せ る分 化 強 化 手 続きので何が強 化さ れ るの か とい う問 題を論じて き た.しか し,こ こ で行 動 単 位とい う枠 組み 自体にっ いて も考 え な げ れ ば な らな い だ ろ う.   すで に述べ た よ うに,マ ッチ ング(Fetterman et al., 1982;Reid et al.,2001;Stubbs et al.,1987},信 号付き 強化の効果Reed et al.1991な ど,行 動 単 位が さ ま ざ ま な方 法によって検 出で き るこ と が報 告さ れ てい る.こ の ほ か,二次 強 化ス ケ ジ=一ルにお け る形式 的単位の統 一 性の析 (Schwartz,1982b,1986,消 去 抵 抗 (Platt

(9)

山岸1 変 勁 性と オペ ン ト条 件づ け 191 & Day ,1979>な ど を使用し た研究もある4〕  そこ で問題は,これ らの検 出 方 法に よっ て一貫し た結 果が得られるのかとい う点で あ る.も し, 検 出方 法の違 い が行 動 単 位につ いてのに違い を もた ら すな らば, 行動単位とい う概念の 妥 当 性は低くな る.た とえ ば,こ の問題 に関 連して,マ ッ チ ング と変 化 抵 抗につ いて,強 化の効 果を統一的な枠 組みで説明 す る 試 み が な さ れて い る が, その効果が食い違 う場 合が あ ることも報 告 されて

いる (井 垣 。坂

E

−,2003;Nevin & Grace,2000;Taka −

hashi,2000 を参 照 ).  こ の よ う な 問題 をは ら んで はい る が,行 動 変 動 性を増 加させ る分化強化手 続きにお ける行 動 単 位の検 出の試み は強 化の性 質解 明とい う,オペ ラン ト条件づ けの心 的な課 題を解 決 するた めの手 段で あるこ とに変わ り は な い.行 動 変 動 性研究の進 展によ って強 化につ いて より深 い認 識が得ら れ るであ ろ う. 6. お わ り に  本 稿で は,行 動 変 動 性と分化 強化于 続きの関 係にっ い て論じ る と と もに,行 動単位 とい う枠 組み か ら再 検 討 す ること を提 案し た.最 後に行 動 変 動 性 研 究の今 後の展 開 の可 能 性にっ い て触れて お き たい.  行 動 変動性が分 化強化手 続きによって影 響を受 けるだ けで な く,行動 変動性の程 度が強 化の効 果に影 響 を 与え るこ と が報 告さ れて い る (DQughty & Lattal,20011

Grunow & Neuringer 2002:実 験 1;Neuringer, Kor −

nelL & 01ufs,2001 ).こ の よ う な行 動 変動性と強 化の関

係につ い て

, 今後さ らに検 討 する必 要 が あるだろう.  行 動 変 動 性は,ま た,創 造 性 (crcativity )とも密接に

関わ っ て い る 〔Campbell ,1960Shahan&Chase,2002 Stokes,2001 >.創 造 性は,た と え ば異 反応強 化 手 続 きと

類 似 した方法に よ り促進 さ れる こ と が報 告さ れて い る

(Goetz & Baer,1973;Eisenberger & Armeli,1997;

Pryor et al.,1969.創 造性に関して も行動変動 性と同 4〕Platt Day 1979給 餌 器へ の進入行動  を系 列 反 応の区 切り行動と して入する ことによ  り系列 反応が機 能的な行動単 位と な ることを 報 告  してい る.ま た Schwartz 1982b1986が行っ  た よ うに マ ト リッ クス を 利用 し1試行の 左右の  反 応 数に制 限の ある系 列 反 応の遂行す る場合に  は,マ トリッ クス の 存在が 正 しい系列 反 応の維 持  に影響を 及 ぼ すこと が報 告さ れて いる(Vogel &  Annau ,1973).これ らの研 究で は行動単位の  成に上 記の変 数 が 関わっ てお り 他の研究と は同  列には扱え ないた め, 本 文で は積 極 的には取り

L

 げて い ないが,これ らの法 も行 動 単 位の解明に   役立っ の で あろ う, 様,そ れ自体が強化の対 象と なる のか とい う問 題が提 起

さ れて い るが Maltzman ,1960;Winston & Baker,

1985 ),本 稿で 取 り」:げた行動 変動 性と分 化 強化との 係につ い て の一連の研 究 は その基礎 研究 と して位 置づ け るこ と がで き る だ ろ う.

  次に特に行 動 変 動 性と随 伴 性の変 化に関 す る 研 究 が,

新 しい反 応の獲 得と いう問題との関 連か ら,高い心 が

寄せ ら れ ている(Balsam, Deich, Ohyama ,& Stokes, 1998,た と え ば変 動 的な反 応が生 起した場 合に は 定 型 的な反 応が生 起した場 合よ りも,随 伴性の変 化に対す る感 受 性が高 くな ることが指 摘さ れてい る Grunow &

Neuringer,2002:実 験2;Neuringer ,1993;Neuringer ,

Dciss,&Olson, 2000 ), Neuringer らの研 究は分 化 強 化 手続きの下で生 起した変 動 的な行 動が環境に適 応す る よ

うに柔 軟に変 化 すること を示してい る.今 後は行 動の変 遷お よ び獲得において どの よ うな種 類の変 動 性が必 要な

の か を検 討 する ことに よ り,行 動 変 勤 性の機 能が明確に な一・て ゆ くで あろう.

 行 動 淘 汰 説 (Catania,1987;Donahoe & Pal皿 er,

1992に よれ ば,オペ 行 動生 物進 化 と 同様, 変異と淘 汰とい う過 程に よっ て変 遷・複 雑 化 する,つ ま りこ の考え方に従え ば,行 動 変動性は オペ ン ト行 動の 変 遷に .一定の機能を果た して い る といえ る (Skinner, 1981:Staddon& Simmelhag ,1971).行 動 淘 汰 説の適 用範 囲は広 く,知 識の獲 得 (Campbell,19741 Plotkin, 1993〕,文 化の変 遷 (Dawkins ,1982:Dennett,1995},科 学 的な研究 活 動 (Hu11,1988),な ど さ ま ざ ま な行 動につ い ての 統一的な枠組み と なる可 能 性をもっ て お り,坂 上 (2001)は こ の よ うな オペ ラ ン ト行 動の 進化的機構の 明を,実 験 的レ ベ ル,シ ミュ レーシ ョ ン の レベ ル ,概 念 的レ ベ ルで行うこ と を提案して い る.上述し た Grunow &Neuringer(2002:実 験2), Neuringer 1993, Neur ・

inger et al.〔2000>の研 究は淘 汰 と変 異とい う枠 組み が オペ ト条 件づ けとどの よ うに関わっ て い るかにっ い て の実 験的レベ ル で の検 討とい え る,こ の よ うな 実 験 的 なレベ で の取 り組 ま だ始 ま っ たばか りである が, 行 動 変 動 性 研 究の進 展は,行 動と淘 汰の関 係に新 しい知 見 を もた らすこと に な る だ ろ う. 引 用 文 献

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