10.国際協力
宇宙科学では,近年,国際協働による活動が質量ともに飛躍的に増大しているところ,これは同時に激しい国際 競争の舞台でもある. 日本の宇宙科学を更にバランスよく発展させるためには,世界各国の宇宙科学の最新動向を 的確に把握し,世界の発展段階や共通の問題意識を十分考慮に入れながら,戦略的に対外対応に当たるという姿勢 が必要である. 後発の日本の宇宙科学が,予想よりも遥かに早く世界的なレベルに達したことは,X線天文学,宇宙プラズマ物 理学,太陽物理学,電波天文学の各分野において世界をリードする実績をあげていることからも明らかであり,日 本には,ますます強力な国際的リーダーシップを発揮する大切な役割と責任があると言えよう. 宇宙科学研究本部では,このようなことを常に念頭に置いて,国際的な協働活動が更に円滑かつ適切に進むよう, 対外協力室を中心に,海外の宇宙機関,研究所,大学等との戦略的な対話を継続している. 今年度,国際協力によって進められた活動は以下のとおり. (1)気球協力(米伯印) (2)小惑星・彗星探査 (3)日米テザー実験 (4)「あけぼの」 (5)「GEOTAIL」 (6)「すざく」 (7)「はやぶさ」 (8)「あかり」 (9)「ひので」 (10)「PLANET-C」 (11)「BepiColombo」 (12)「れいめい」 (13)「ASTRO-G」 (14)「かぐや」 (15)Swift 衛星によるガンマ線バーストの観測的研究 (16)フェルミ衛星による GeV ガンマ線の観測的研究 (17)「ASTRO-H」 (18)スペースワイヤ国際標準委員会 (19)「MAXI」 (20)「JEM/SMILES」 (21)「E-POP」 (22)日印回収衛星を利用した宇宙科学協力実験 (23)日欧共同 TEXUS ロケット実験 (24)ダストプラズマ研究 (25)プリ・プロジェクト (26)ワーキンググループ (27)人物交流 (28)日米科学技術協力事業・非エネルギー分野「宇宙」科学協力 (*)JAXA インターナショナルトップヤングフェロー 今年度,日本を宇宙科学におけるトップサイエンスの拠点とするための施策の一環として,「JAXA インターナショナルトップヤングフェロー」という優れた若手研究者を任期付で招聘する制度を新たに立ち上げた. 広く国際公 募を行ったところ,10 倍以上の高い競争率となり,最終的に 4 名の極めて優秀な若手研究者を選抜した. 今後,相 模原に滞在し,各大学等の研究者グループとの連携もとりながら,研究活動に従事し,日本の宇宙科学の更なる発 展に貢献することが期待される. (*)日米科学技術協力事業・非エネルギー分野「宇宙」科学協力 (*)機関間会合等 対外協力室と科学推進部が連携して,国際協力の更なる推進を目指し,米国航空宇宙局,欧州宇宙機関,仏国立 宇宙研究センター,伊宇宙機関等との機関間会合等を実施した. 1)気球協力 a)日米気球協力 宇宙線反粒子の精密観測を通じて初期宇宙における素粒子現象を探求すべく米国と共同で「超伝導スペクトロメ ータを用いた宇宙線観測気球実験(BESS)」を進めている. 2004 年 12 月および 2007 年 12 月に南極マクマード基地で実施した 2 回の長時間飛翔気球実験のデータ解析を進め ていると同時に,南極氷上に着地後 2 年間に亘り回収できなかった測定器本体を 2009 年 12 月末からの 2 週間に及 ぶ氷上作業で回収した.(協定締結済み) b)日伯気球協力 日伯共同気球実験によってより広範な実験を実施するために,新たな協力覚書を取り交わすこととし,実施する 気球実験の選定の自在性を向上させた. 覚書の取り交わしに必要な期間を確保するために本年度の実験実施は見送 ったが,来年度以降予定される遠赤外線干渉計による天文観測実験などの準備を並行して進めた. (協定締結済み) c)日印気球協力 星生成領域の星間ガスのエネルギー収支を明らかにするために,日本(宇宙科学研究本部,名古屋大学)とイン ド(タタ基礎科学研究所)との協力で気球実験を進めている.具体的には,口径 1mの大口径気球搭載望遠鏡に超 流動液体ヘリウムで冷却された高感度なファブリ・ペロー分光器を搭載して,星生成領域を遠赤外線領域において 分光マッピング観測する実験である. 2009 年度には,今まで得られたデータ解析を進めた. さらに,10 月には,気球観測の成果などをふまえた国際会 議をインド・ハイデラバードのタタ基礎科学研究所気球基地において開催した. (協定締結済み) 2)小惑星・彗星探査 2003 年 5 月に打ち上げられた小惑星探査ミッション「はやぶさ」を初め,今後の小惑星・彗星探査に関しても, NASA の協力による探査機の追跡・運用,精密軌道決定が必要な他,各種観測機器による日米共同観測及び小惑星 や彗星ダストのサンプル分析等に関し,日米協力が必須なため,密接な共同作業が進められている.これらの技術 的情報交換のため両国より人員を派遣しあって討論を重ねている.NASA との間では,主として現在進行形で継続 されている,「はやぶさ」観測に関する事項,理学観測データベースの構築,共同解析と公開などである.一方,欧 州との間では,将来の始原天体探査,「はやぶさ後継ミッション」に関わる共同 study を実施してきている.2007 年 度に提案を行った ESA Cosmoc Vision に関しても,欧州各国の科学者コミュニティや ESA との間で,国際協同に 向けた協議を継続して行った.
3)日米テザー実験
テザー衛星実験グループとともに将来の宇宙テザー実験への道を探ってきた.米国側は 1996 年にスペースシャト ルからのテザー実験を実施し,19km のテザー伸展に成功している.我が国では太陽発電衛星へのテザーシステム の応用検討とともに,米国研究者らとのテザー実験に関する情報交換を続けている.これと並行して 2003 年から は宇宙科学研究本部の観測ロケットを用いた国際共同テザー実験(代表者は神奈川工科大の研究者,わが国では首 都大学東京,静岡大学の研究者,欧州からはマドリッド大学や ESA の研究者,米国からはコロラド州立大学や NASA MSFC 等の研究者が参加)を推進している.この実験では長さ 300m のベアーテザーとホローカソードプラズマ源, プラズマ収集ブームを用いたエレクトロダイナミックテザーの基礎実験と OML 理論の検証を予定している. 2008, 2009 年度は搭載機器製作と地上模擬実験を実施し,2010 年夏期に打ち上げを予定している. 4)「あけぼの」 極域プラズマ中のオーロラ粒子の生成機構の解明を目的とした「あけぼの」には,観測項目の一つとして日加協 力のもとで開発されたスプラサーマルイオンエネルギー質量分析装置(SMS)が搭載されている. このため,カナ ダの大学関係者が「あけぼの」を使った極域上層大気の国際共同研究に参加している. また,極域におけるデータ 取得のため,平成元年の打ち上げ以降,カナダのプリンスアルバート局でリアルタイムデータの取得が行われてい たが,2003 年に定常受信を終了し,キャンペーンによる受信へと移行した. 5)「GEOTAIL」 1992 年に打ち上げられた日米共同プロジェクトの「GEOTAIL」は,現在広範囲にわたる地球磁気圏の定常観測 を行っている.打上げ後 17 年近くを経た現在もほとんどすべての観測機器が順調に動作している.日米の観測機 器の取得したデータを総合的に解析することによって,磁気圏のダイナミックな構造及びその高温低密度のプラズ マの素過程の研究に大きな進展をもたらしてきた.衛星からのデータ取得は,臼田受信局(現 JAXA 宇宙輸送ミッ ション本部臼田宇宙空間観測所)だけでなく NASA の深宇宙探査網(DSN)の協力を得ている.また,「GEOTAIL」 は,国際太陽地球系物理研究計画において重要な役割を担っており,他の磁気圏観測衛星や太陽風観測,地上観測 とデータを相互に交換し,地球磁気圏での現象を多角的に捕らえる総合解析を進めている.特に,2000 年に打上げ られた ESA の「Cluster」衛星群との共同観測が行われてきたが,更に,2007 年 2 月に打上げられた NASA の「THEMIS」 衛星群との共同観測が開始された.観測データに基づいた国際的な研究交流も継続され,成果をあげている. (協 定締結済み) 6)「すざく」 すざく衛星は,2005 年 7 月に軌道投入された我が国 5 番目の X 線天文衛星である.この計画では,NASA との協 力により X 線反射望遠鏡及び精密 X 線分光器が日米共同で開発され,X 線 CCD カメラの開発ではマサチューセッ ツ工科大学との技術協力も行われた.また,データの解析に使われるソフトウェアも日米の研究者による共同作業 により開発された.2009 年 4 月からは,4 回目の国際公募に基づく観測が始まり,JAXA,ESA,NASA を通じて募 集した観測が実施された.また,第 5 回目の観測提案の公募を行い,米国や ESA 加盟国をはじめとして,アジア諸 国を含む全世界から合計 238 件の提案があり,競争率は 3.5 倍程度であった. これまでに 250 編を超える論文が査 読付き学術誌に掲載された.(協定締結済み) 7)「はやぶさ」 2003 年 5 月に打ち上げられた,世界初の小惑星サンプルリターンを試みる「はやぶさ」(MUSES-C)探査機は, 2004 年 5 月に地球スウィングバイ成功し,小惑星イトカワに向かって順調に飛行を継続し,2005 年 9 月 12 日に目 標のイトカワに到着し相対的に静止した. その後,通信途絶期間を経て運用が復旧し,以降,探査機の復旧につと め,2007 年度には,イオンエンジンの運転の再開にこぎつけ,2010 年 6 月の地球帰還をめざして運用を継続して いる.この到着から離脱,帰還運用にいたる過程では,MOU に基づき,NASA DSN 局を利用して探査機の追跡を 行い,探査機で取得した光学情報をもとに正確に目標に接近・到着させることができたほか,イトカワからの離脱
が成功裏に完了した.また,イトカワ近傍での運用にあたっては,MOU によるほか NASA, JPL からの申し出で追 跡時間の大幅な拡大がはかられ,当初の予定時間を大幅にこえて支援を受けることができた.
日米合同科学者会議は,イトカワ到着前,到着後の着陸点選定会議,および近傍フェーズ終了後,さらに帰還運 用においては 1 年に 2 回の頻度で開催され,科学者間の分担や運用・解析方法,ならびに成果発表方法について協 議を行った. NASA との協力関係の内容は,MOU に基づくが,主として NASA による探査機の追跡と航法運用, および NASA 選抜の研究者の共同分析チームへの受け入れ,共同解析である. 2009 年度は,この 2 つの領域で共同作業を実施したほか,地球帰還に向けた最終的な軌道運用や,キュレーショ ン作業の確認・リハーサルを行った. 8)「あかり」 2006 年 2 月 22 日に打ち上げられた赤外線天文衛星「あかり (ASTRO-F)」は,全天の高解像度赤外線サーベイ に成功し,大量のデータを取得した.このサーベイの遠赤外線データを解析し,早期に天体カタログを公開するこ とを目標として,英国のインペリアルカレッジ,オープン大学,サセックス大学,オランダの SRON・グロー人間 大学,及び韓国のソウル大学と共同で,ソフトウェア開発とそれを用いたデータ処理を行っている.また ESA に はサーベイ観測中のテレメトリデータの受信,望遠鏡指向方向の決定,公募観測者に対するサポートを依頼し,JAXA より「あかり」観測時間の一部提供を行っている.これらの国際協力により,赤外線を放射する天体のデータベー スである「赤外線天体カタログ」を,2009 年度末に世界の研究者に公開することができた.この天体カタログは天 文学で最重要のカタログであり,ネットワーク経由で多くのアクセスが寄せられている.(協定締結済み) 9)「ひので」 「SOLAR-B」衛星は,2006 年 9 月 23 日に打ち上げに成功し,「ひので」として 2006 年 10 月下旬より太陽観測 を開始した. 同衛星は,可視光磁場望遠鏡(SOT), X 線望遠鏡(XRT),極端紫外線撮像分光装置(EIS)という 3 つの本格的望遠鏡を搭載し,太陽磁場及び太陽コロナの活動現象の起源を究明する. 3 つの望遠鏡は米(NASA),英 (PPARC;現 STFC)との国際協力により,国際協力チームが合同で設計し,分担して製作した. 本計画の日・米・ 英国際協力には共同での衛星運用,共同解析等が含まれている. また,欧州宇宙機構(ESA)との間で,ノルウェ ー宇宙センターのスバルバード局等を用いての観測データ受信と観測データの共同解析を内容とする国際協力が行 われている. X 帯でのデータダウンリンク不調にともない,「ひので」は 2007 年度末より S 帯でのダウンリンクに 切り替えたが,ESA には引き続き全面的なダウンリンクサポートをいただいている. 2007 年 8 月のアイルランド・ ダブリン,2008 年 9-10 月の米国コロラド州ボールダー(高々度研究所)に続き,2009 年 12 月には東京で第 3 回「ひ ので」国際科学会議が開催され,200 名以上の参加者(うち 7 割は海外から)により「ひので」の科学成果が活発 に議論された.(協定締結済み) 10)「PLANET-C」 マイルストーン「飛翔モデル(FM)総合試験」を完了し種子島射場でのフライトオペレーションへ移行した 「PLANET-C(あかつき)」は,世界で初めて金星の大気力学を詳細に調べる探査計画であり,立案初期より,他国 の探査計画と相補的になるように国際的な金星研究コミュニティの中で議論し最適化されてきた(2001 年に JAXA 宇宙科学研究本部で開催の国際金星ワークショップ等).現在進行中の「Venus Express(VEx)」ミッション(ESA) とは特に緊密な協力関係にあり,2009 年 7 月には VEx チームとの合同会議を ISAS にて開催した. 「P-C」の紫外 カメラと電波科学観測には VEx チームから共同研究者が参加しているし,2006 年から「P-C」メンバーの一人が VEx の IDS に加わり金星の科学研究を推進している. VEx からの最新のデータは IDS を通して「PLANET-C」チーム の活性化に寄与しており,今後は金星軌道における 2 衛星の協調観測およびデータ解析における共同作業が活発に なる予定である.NASA とは,「PLANET-C」の打ち上げから金星軌道投入までの重要なフェーズにおいて,衛星追 跡・軌道決定のサポートを受けるとともに,米国研究者を「PLANET-C」に迎え入れてともに科学研究を行うとい う協力関係を築いてきている. 日米欧の金星研究者の枠組み"Venus Exploration Analysis Group"会合も 7 回を数え,
将来ミッションをも見据えたその議論に「P-C」メンバーが毎回加わっており,具体的な提案を目指しているミッ ションにも共同研究者として名前を連ねている. (協定締結済み)
11)「BepiColombo」
「BepiColombo」計画は,JAXA が水星磁気圏探査機「MMO」,ESA が水星表面探査機「MPO」を分担する初め ての本格的な日欧国際共同計画であり,JAXA と ESA の国際協力の中心を担うプロジェクトである.2009 年度に は,JAXA は EM による電気試験,機械モデル試験,JAXA における熱モデル試験を行った. ESA,欧州のプライム メーカ(独 Astrium 社)と共同で,探査機の検討を行った.ESA-JAXA 間のインタフェース会議は,2009 年 7 月, 11 月(ISAS/JAXA)にて開催された.また,ESA におけるシステム PDR への参加(5 月,9 月,10 月)とプロジェ クト間の情報交換を 2008 年 6 月,2009 年 1 月(ESA/ESTEC)と,2008 年 9 月(宇宙研)に行い,それらの合間 に適宜行ったビデオ会議,電話会議にて情報の交換・共有を行った. 搭載観測機器は日本・ヨーロッパから国際公募を経て選択されており,ESA 以外にも,フランス,オーストリア, ドイツ,イタリア,スウェーデン,スイス,ハンガリー,イギリス,ロシア,アメリカ,台湾等との国際協力の元 に設計・製作を行っている.制作した,機械環境試験モデル・熱試験モデル(MTM/TTM)およびエンジニアリン グモデル(EM)を用いて各種の試験を行い,2010 年 3 月より,順次 CDR を開始した.(協定締結済み) 12)「れいめい」 「れいめい」衛星はオーロラ現象の解明を目的として高高度電離圏を飛翔する衛星である .軌道高度は約 610-670km と低く,地上からのレーダー観測によってカバーできる範囲内にある.「れいめい」衛星の観測は光学観 測,レーダー観測,電波観測といった地上観測と相補的な役割を果たすものであり,北欧に設置されている EISCAT 非干渉散乱レーダー,ALIS オーロラ光学観測網,SuperDARN 短波レーダー網,また Athabasca(カナダ)に設置 されている光学イメージャなどとのキャンペーン観測が精力的に行われている. 特に,カナダ・アラスカ域に設置されている THEMIS/GBO オーロラ地上多点観測網が 2007 年度より本格的に 観測を開始し,「れいめい」衛星との共同観測を行っている. 13)「ASTRO-G」 ASTRO-G では,スペース VLBI 衛星とテレメトリ受信,コマンド送信をおこなう地上局のほかに観測を行うため に,1)衛星と一緒に観測を行う地上 VLBI 観測局,数局∼十数局,2)衛星から 1 Gbps の広帯域データ受信を行う リンク局数局,および 3)VLBI 観測データを処理する相関局がそれぞれ必要である. また,部分的に GPS と SLR を利用した高精度軌道決定が要求されており,そのための 4)SLR 地上局も必要である. 1)の地上 VLBI ネットワーク網については,「はるか」での実績も踏まえ,世界の主要な VLBI 観測ネットワーク との連携を進めている. そのために,国立天文台が中心となって,米国の VLBA や高感度の VLA,グリーンバンク 望遠鏡,欧州の欧州 VLBI ネットワーク,オーストラリア,南アフリカが共同して行っている LBA(南半球の VLBI ネットワーク)等との交渉を進めている. さらに,日本の VLBI ネットワーク(JVN)を発展させ,韓国,中国と協 力して EAVN(東アジア VLBI ネットワーク)の構築を進めており,これも ASTRO-G の重要な地上 VLBI ネットワ ークとして期待されている.2)のリンク局は,日本とスペインの国立天文台が,10 数mクラスのアンテナを立ち 上げる準備を進めている. ただ,さらにリンク局が増えると観測時間を増やすことができるので,台湾,南アフリ カなど ASTRO-G プロジェクトへの参加に積極的な国と可能性の検討を進めている.3)については,現在 EAVN の一環で,韓国に韓日共同相関局の立ち上げが進んでおり,その相関局を ASTRO-G でも利用する予定である. さ らに,米国や欧州のネットワークも参加する場合はそれぞれの相関局が利用できる.4)SLR 局については, International Laser Ranging Service (ILRS)を通じた参加交渉を進めている.
これらの広範な国際協力を円滑に進めるために,2008 年 5 月に組織した ASTRO-G の国際科学運用委員会である VISC-2(VSOP-2 International Science Council)において国際協力の議論を行っている. JAXA 外からは,国内は,国立 天文台,山口大学,鹿児島大学,欧州からオランダ,スペイン,ドイツ,ロシアさらに米国,オーストラリア,韓
国の主要な研究機関,国立天文台,VLBI ネットワークの代表に参加メンバを推薦してもらった. その第 3 回の会合 を 2009 年 12 月 1, 2 日に相模原において開催した. 2009 年度から 2010 年度にかけて ASTRO-G は中断の状況にあるが,国内外の協力グループとは継続的に連絡を とり,再開後国際協力の活動も引き続き活性化させる予定である. また,個別の VLBI 観測の研究も,ASTRO-G を見据えて研究協力の議論を進めており,2009 年 12 月には,イタ リアとの研究協力のための提案をイタリア側でおこなった. 14)「かぐや」 「SELENE(かぐや)」は 21 世紀の世界的な月探査時代の幕明けを担う月探査機で,2007 年 9 月 14 日に種子島 宇宙センターから H-IIA ロケットにより打上げられ,2008 年 10 月 30 日まで定常運用,それから後期運用を実施し た.2009 年 2 月 1 日からは高度 50km による低高度運用を行った. 子衛星「おきな(リレー衛星)」は 2009 年 2 月 12 日に運用を終了し,同日 19 時 46 分頃に月の裏側にあるミヌール D クレーター付近に落下した. また,2009 年 6 月 11 日に月の表側の日陰のギルクレータ付近に主衛星を制御落下させるとともに,同年 6 月 29 日 21 時 08 分頃に 子衛星「おうな(VRAD 衛星)」の停波を行い,運用を終了した. これにより「SELENE」ミッションによる観測は 全て終了した.SELENE-NASA の間で,NASA による SELENE の DSN 局支援および SELENE データ共同解析・ 提供等にかかわる相互協定を締結している.これに基づき,月食時の NASA DSN 局を用いた SELENE の追跡管 制作業,SELENE データの共同解析,提供および SELENE 教育・普及啓蒙(EPO)活動協力,SELENE の LCROSS 衝突地点の地形カメラデータ提供などを JAXA-NASA 間において進めた.
また,インドなどとの国際協力については,チャンドラヤーン 1 号用のインド DSN 局の事前試験のために, 「SELENE」を用いた支援を実施した.また,国際相互校正・検証協力の可能性について,研究者間での議論を進め
ている.(協定締結済み)
15)Swift 衛星によるガンマ線バーストの観測的研究
NASA の打上げたガンマ線バースト観測衛星「Swift」は日本から JAXA 宇宙科学研究本部,埼玉大学が当初より その開発に参加している.打ち上げ後,極めて順調に運用が進んでおり,ガンマ線バーストの検出を行い GCN を通 じて速報を行っている. Swift 衛星によって観測されたデータの解析の他,それに加えて「すざく」衛星による観測 結果を用いた研究が行われた.
16)フェルミ衛星による GeV ガンマ線の観測的研究
打ち上げ前に GLAST(Gamma-ray Large Area Space Telescope)衛星と呼ばれ,米国,日本,イタリア,フラン ス,スウェーデン,ドイツの協力で開発された.様々な天体が出すガンマ線を,全天にわたって,毎日監視し続け る事を目的に開発され,特に,宇宙線の加速,巨大ブラックホールが出すジェット流,謎に包まれたガンマ線バー スト現象の他,暗黒物質の有力な候補となっている粒子が反粒子と組み合わさって対消滅する際にガンマ線が放射 される可能性についても研究の対象としている.広島大学,JAXA の宇宙科学研究本部(ISAS),東京工業大学,東 京大学の研究者が,1995 年から,衛星の開発に参画し,特に,GLAST 衛星の主検出装置である Large Area Telescope のシリコン検出器を担当してきた.その後,打ち上げ前の較正実験を行い,打ち上げ後はデータ解析や運用に参加 している. すでに多くの初期成果がサイエンス誌をはじめとした学術誌に公表されており,新たなガンマ線天体の種族の存 在が明らかになってきた. これらの成果をもとに記者会見が行われた. (協定締結済み) 17)「ASTRO-H」 我が国は,これまでに X 線天文衛星を 5 機打ち上げ,大きな成果をあげ,国際的な研究拠点の一つとなっている. ASTRO-H は,「すざく」衛星の後継機となるもので,全長 14 メートル,総重量 2.6 トンにも及び,我が国の科学衛 星としてはかつてない大型の衛星である.1)硬 X 線望遠鏡による 80 キロ電子ボルトまでの撮像観測,2)マイク
ロカロリメータによる超高分解能分光観測,3)0.3 キロ電子ボルトから 600 キロ電子ボルトまでの 3 桁以上におよ ぶ過去最高の高感度広帯域観測,の 3 つの特徴を持つ.ASTRO-H は非常に緊密な国際協力によって開発が行われ る.特に,NASA/GSFC を中心としたグループは,NASA の SMEX/MOO 公募プログラム(海外ミッションへの協力) により ASTRO-H の鍵となる検出器 -精密 X 線分光システム- の共同開発を行うこととなっている.他,オランダ の宇宙機関である SRON の他,スイスのジュネーブ大学,フランス APC/CEA などが参加しており必要に応じて協 定を結んでいる. 国際サイエンスワーキンググループが組織され,NASA, ESA それぞれの公募によりメンバーが選 定されている.(協定締結済み)
18)スペースワイヤ国際標準委員会
次世代衛星標準ネットワークの規格であるスペースワイヤの国際協力が,JAXA, ESA, NASA, ROSCOSMOS の間 で行われている.日本からは JAXA 宇宙科学研究本部が中心となり,日本 SpaceWire ユーザー会を組織して産学の 活動をとりまとめている.年に数回開かれる国際標準委員会に参加し標準規格の発展に寄与するとともに,スペー スワイヤ標準を全面的に用いた新しい衛星アーキテクチャや様々な機能部品,スペースワイヤ高速バックプレーン など日本が得意とする技術を中心とした応用研究を行っている. 19)「MAXI」 MAXI は世界各国が協力して運用している国際宇宙ステーション(ISS)の曝露部に搭載されている,唯一の全天 X 線観測装置である. 2009 年 7 月 16 日に米国のスペースシャトルによって打ち上げられ,2009 年 8 月から観測を開 始した. 2010 年 3 月には,米国の天文衛星 Swift との同時観測を念頭に,ハワイで開催されたアメリカ天文学会高エ ネルギー天文学分科会(HEAD)会場で Swift チームとの合同ミーティングを開催した.また,HEAD では MAXI の成果を発表する特別セッションも設けられた. Swift, Fermi を始めとする海外の衛星と情報を交換し合い,突発天 体の観測を進めている. 20)「JEM / SMILES」 SMILES は,国際宇宙ステーション 日本実験棟 船外実験プラットフォームに搭載され,地球大気中の微量成分 が放出するサブミリ波の強度を測定することにより,下部中間圏から上部対流圏にわたる大気層におけるオゾン反 応化学等に関する知見を得ることを目的とした大気化学観測実験ミッションである.高次データ処理システム開発 の進捗に伴い,データ処理における先見値として必要な既存衛星による観測データ及び気象解析モデルによる気候 値に関して,NASA ゴダード宇宙飛行センターの研究グループから協力を得ている.また,2009 年 5 月に SMILES データ利用のための研究公募を発出し,海外を含めて 28 件の応募テーマが寄せられた.さらに,これらの応募テ ーマ代表者を中心とした研究者による SMILES の科学的成果を議論する場として,2010 年 3 月に SMILES 国際 ワークショップを JAXA 主催で開催した.海外研究者 約 10 名を含む約 50 名が参加し,観測データの初期解析 結果や他の衛星観測との比較結果,またそれらによる地球大気化学への貢献などについて,二日間にわたって議論 がなされた. 21)「E-POP」 CASSIOPE 衛星による大気流出研究における国際協力を行っている.カナダ宇宙庁(CSA)が開発している CASSIOPE 衛星における科学ミッション部である E-POP プロジェクト(プロジェクトマネージャー:カルガリー大 A. Yau 教授)に搭載する一台の観測器を JAXA 宇宙科学研究本部において開発.最終試験が終了,打上機会(2011 年度の予定)を待っている状況で有る. (協定締結済み) 22)日印回収衛星を利用した宇宙科学協力実験 インド回収衛星を利用した微生物培養実験(2010 年に実施予定)では,ミッション覚書をインド宇宙期間(ISRO) - JAXA 間で締結し,フライトモデルの適合性試験を実施中である. 当該実験は,重力や放射線環境がシアノバクテ
リアに及ぼす影響を解明する研究で,環境微生物学的にも高く評価されている.
23)日欧共同 TEXUS ロケット実験
ESA との協力による日欧共同実験としての部分予蒸発液滴列の燃焼実験について,2006 年から準備を開始した. JAXA-ESA 間で締結された協定に従い,JAXA は日欧研究チームの実験要求に基づく実験計画の作成と TEXUS ロケ ットに搭載する燃焼実験モジュール(JCM)の開発を,一方 ESA は JCM の TEXUS ロケットへのインテグレーショ ンとフライト実験機会の提供を担当した. JCM を搭載した TEXUS ロケット 46 号機は 2009 年 11 月 22 日にスウェー デン・キルナ郊外のエスレンジ射場から打ち上げられた. フライト実験は良好に実施され,部分予蒸発した燃料液 滴列に沿った火炎伝播現象の観察および実験データの取得に成功した. 24)ダストプラズマ研究 ドイツ,ロシア等とのダストプラズマ研究に関する協力関係構築が 2006 年から始まり,2007 年から実質的な協 力を開始した. ドイツは Max-Planck Institute for Extraterrestrial Physics(MPE), ロシアは Joint Institute for High Temperatures(JIHT), Institution of Russian Academy of Sciences が主な協力相手である. 2007 年末より国際宇宙ステ ーションで運用中のダストプラズマ実験装置 PK-3Plus を利用した微小重力実験に参加し,2009 年度末までに合計 4 回の微小重力実験機会を得た.2009 年度末までにロシア科学アカデミーとの研究協力協定締結に関し,合意に至った.
25)プリ・プロジェクト
a)SPICA(次世代赤外線天文衛星)
次期赤外線天文衛星 SPICA に関わる国際協力を進めている.特に,ヨーロッパについては,SPICA の望遠鏡お よび遠赤外線観測装置を日欧協力で開発する検討を,ESA Cosmic Vision 2015-2025 の枠組みの中で進めている. 2009 年度には,欧州での Assessment Study を終えた. アメリカとの協力については,NASA からの AO に基づい て 3 つのチームが選出され,焦点面観測機器搭載の可能性について検討を進めている. また,韓国との協力の可能 性についても,協議を進めた. 26)ワーキンググループ a)SCOPE(次期磁気圏衛星 WG)/ Cross-Scale 2017 年打ち上げを目指して現在検討を進めている「SCOPE」ミッションの目的は,高時間分解能観測器を積ん だ編隊衛星を磁気圏に投入することにより,今まで解明できなかった,宇宙プラズマ中の多スケールに跨るダイナ ミックな時間空間変動を解き明かそうというものである.SCOPE そのものがカナダ CSA との共同を想定する. そ れと同時に,ESA で検討されている「Cross-Scale」ミッションと計画を結合させて,より大きな編隊規模の衛星群 を打ち上げ,ミッションのカバーする時間空間スケールをさらに広げようという検討を進めてきた.日本側は,戦 略的研究開発費により検討開発を発展させ,2009 年 1 月に宇宙理学委員会の審査において MDR 合格を得た. しか しながら ESA 側では,2010 年 2 月の Cosmic Vision の第二次選別において「Cross-Scale」は落選した. 今後は日加 がコアとなって国際共同を進めることとなったが,欧州においても小規模化させた復活案がすでに構想されるなど, 欧州との共同の可能性がゼロとなったわけではない.
b)ERG(ジオスペース探査 WG)
当ワーキンググループ(WG)で検討されているジオスペース探査衛星「ERG」(Energization and Radiation in Geospace)と同時期(2013-2015 年頃)の打ち上げを目指して,海外では,Radiation Belt Storm Probe (「RBSP」) 衛星(米国),「ORBITALS」衛星(カナダ),「RESONANCE 衛星」(ロシア),「KuaFu」(中国)が進められている. 当 WG は,2009 年度に小型科学衛星 2 号機として ERG 衛星の提案を ISAS/JAXA に行い,小型科学衛星専門委員会 の審査を経て,宇宙科学研究本部により 2 号機候補として選定された. 強放射線環境下におけるプラズマ・粒子計 測技術の開発・試験とともに,衛星システム設計審査に向けた検討作業を進めている.
c)TETHER(宇宙テザー技術の検証に関する WG) 工学的にも科学的にも将来の宇宙計画に有用であるテザー技術の検証を行う.2009 年夏の打ち上げが延期となっ たが,観測ロケット S520-25 号機における宇宙実験においてテープ・テザーならびに高速かつ高信頼性の伸展装置, 高速点火ホロー・カソード,高電圧電源,GPS 装置,導電ブームなどの実験に必要な機器構成を行って打ち上げに 向かって待機中である. さらに,テザー高速伸展装置の性能,導電テザーの真空チェンバー内での電流収集特性, ホロー・カソードの地上実験などを行ってより進んだ実験に向かって研究を進めている. これにより,観測ロケッ トに続けてさらに導電テザーの研究を進めるため,観測ロケット S520-25 計画と同じく,NASA,ESA,豪州との国 際協力体制を取って,さらなる実験計画として,相乗り衛星,小型衛星実験,さらにはより大型化した計画に向か って提案を進めており,さらに宇宙テザー技術のインフラストラクチャを整備しつつある. d)次期太陽観測衛星 WG(SOLAR-C) SOLAR-B(「ひので」)衛星の成果を受け,次期太陽観測ミッション(SOLAR-C)の検討を行なっている.黄道 面を離脱し太陽極域を観測することで太陽内部の磁気的活動(ダイナモ機構)の解明をめざす案と,太陽大気の撮 像分光観測により磁化プラズマ大気中のエネルギー変換素過程の解明をめざす案の 2 案の並行検討を進めており, 広範な国際協力によるミッション実現をめざす.2008 年 11 月の第 1 回会議に続き,2010 年 3 月に宇宙科学研究本 部にて第 2 回 SOALR-C 国際科学会議(Science Definition Meeting)を開催した.この会議では,米国・欧州の第一 線の太陽研究者を招待し,両案に関連する最新の科学成果のレビュー,および両案で目指すサイエンスを広汎に議 論している.第 1 回の国際科学会議で抽出された重要課題ごとに国際検討サブワーキンググループが編成され,2009 年度を通じて各国際サブワーキンググループによる次期太陽ミッションの科学的・技術的な検討が集中的に進めら れた. e)太陽系外惑星探査 WG(JTPF) 米国で計画中の,大口径および中口径望遠鏡に基づくコロナグラフタイプの地球型系外惑星直接探査ミッション の検討およびそれに関するコロナグラフにおける基礎技術開発での国際協力を進めている.さらに,気球コロナグ ラフにおける国際協力の可能性を検討している.欧州・米国で計画中の干渉計タイプの地球型系外惑星探査ミッシ ョンのための機器開発等における国際協力の議論を進めている.欧州の Blue Dot Team の一員として活動している.
f)大型国際 X 線天文台計画 WG(XEUS/IXO)
大型国際X線天文台計画(International X-ray Observatory)は,日欧で提案していた XEUS 計画と米国が提案して いた Constellation- X 計画が統合して生まれた計画で,2020 年代初めに大型 X 線天文台をラグランジュ点(L2)に 打上げることを目指している.
統合に向けた検討は,2008 年 4 月の米国からの提案を受けて始まり,その後何回かの会合を経て,口径 4m の大 型反射鏡を 1 台搭載し,伸展式光学ベンチで焦点距離 20-25m を実現し,複数の焦点面検出器を回転台で切り替え ると言う基本方針が合意された.また,国際協力で衛星検討を進める体制が作られ,全体を取りまとめる coordination group のもとに,science definition group, instrument working group, telescope working group が作られ,活発に議論が 行われた.その結果,科学目標を達成するのに必要な望遠鏡の性能が定義され,焦点面検出器として,マイクロカ ロリーメータや広視野撮像検出器,硬 X 線検出器などが搭載され,加えて,回折格子による分散系も搭載されるこ とになった.また,X線反射鏡としては,ヨーロッパで開発されて来た Si pore optics とアメリカで開発されて来た slumped glass mirror の両方について,当面の間並行して検討を進めることが合意された.このような基本方針のも と,ヨーロッパ,アメリカ,日本の各機関で衛星の概念検討が進められた.ヨーロッパの検討は,cosmic vision の 枠組みの中で ESTEC/CDF で進められ,一方アメリカでは,GSFC/MDL で精力的に検討が進められた.我が国で も,伸展式光学ベンチや冷却系を中心に,独自に衛星検討をすすめた.これらの検討により得られた衛星デザイン は,光学ベンチの伸展方式などに違いが見られるものの,概ね似たデザインになっている.アメリカでは,この日 米欧での衛星概念検討の結果をもとに,今後 10 年の天文計画を検討する Decadal Survey への提案書が取りまとめ
られ,2009 年 2 月に提出された.また,ヨーロッパでは,企業 2 社による system assessment study が進められてお り,2010 年末に予想される cosmic vision の down-selection(L-class)に向けた提案書に用いられる予定である. (協 定締結済み)
g)国際共同木星圏総合探査計画 WG / EJSM
2006 年 4 月以来,欧州の研究者とともに木星探査の将来計画を重ねる中で,2007 年 1 月に国際共同木星総合探 査計画 WG が設立された.2007 年度には,日欧共同計画を骨子とする提案書を共同作成して ESA に提出し,10 月 の第一次選抜においては首尾よく選定された(Laplace 計画).その後,ESA は NASA との共同をメインに想定した 計画へと変更し(EJSM と計画名も改名),WG では,JAXA 単独で探査機を打ち上げて,計画全体の科学成果をよ り大きくするには JAXA はどのような貢献をすべきか,という検討作業を進めた.現在は,磁気圏探査機 JMO とト ロヤ群探査機 TAE を提供し,「木星系のいま」と「木星系の起源」という二つのテーマにユニークな貢献をするこ とを想定している.この案は高く評価され,結果として TAE の前哨となるソーラーセイル技術実証計画 IKAROS の知名度(とともに,JAXA の惑星探査に対する期待感)も高まった.また,「氷衛星の科学」と「木星・土星磁気 圏」分野における研究交流も促進された(国際研究会を開催など). h)月内部構造探査 WG/LUNA GLOB ロシアが 2010 年代前半に打ち上げを予定している LUNA-GLOB ミッションに LUNAR-A ミッションで開発した ペネトレータを搭載し,月面グローバルネットワークを構築することで月の内部構造全容を解明することを目指す. ペネトレータの技術完成を目指した開発を進めるとともに,ペネトレータ搭載のための母船側への要求条件やイン ターフェース仕様についての検討をロシア側の Lavochikin Association の幹部,技術者との間で実施している. i)小型 JASMINE WG(赤外線探査による位置天文衛星)
小型 JASMINE は,年周視差を 10μas の精度(固有運動∼5μas/yr)でバルジ領域を数平方度にわたり位置天文 観測をおこなう計画であり,主要なサイエンスとして,銀河系バルジの構造と形成史,さらには巨大ブラックホー ルとバルジの共進化の解明に大きな一歩を踏み出すことを目的とする.バルジ全領域をサーベイ観測する予定の将 来の(中型)JASMINE 計画への科学的,技術的なステップとしての位置づけもある.2009 年 1 月に宇宙理学委員 会において,小型科学衛星ワーキンググループの設置が認められ,活動を本格化している.位置天文観測において, 赤外線でのバルジ観測は,JASMINE が世界で唯一のものであり,その意義から国際的な位置天文コミュニティから も正式に推薦されている.さらに,小型 JASMINE に関して,バルジの構造史解明のために必要な,位置天文情報 とは相補的な視線速度と化学組成の情報を得るために,オーストラリアの地上分光観測によるバルジサーベイ計画 (ARGOS)およびアメリカの UCLA のグループの計画(BRAVAS)との共同研究体制を整備しつつある.
j)超小型精密測位衛星 WG(PPM-Sat)
PPM-SAT が研究対象とする精密衛星測位情報を用いた地球観測では,「GPS 電波掩蔽(RO)」,「衛星重力」なら びに「海面反射」を主要ミッションとしている.GPS-RO について,インド宇宙科学機関(ISRO)が 2009 年に打 上げた地球観測衛星である Ocean-Sat2 による GPS-RO ミッションについて国際協力を進めた.また,米国の大気 科学大学連合(UCAR)と台湾宇宙局(NSPO)が共同で 2006 年に打ち上げた COSMIC による GPS-RO 実験につい てもデータの科学・実利用に関する共同研究を推進している.
k)高感度ガンマ線望遠鏡 WG(CAST)
CAST 計画は,未だ精密な観測の存在しない 100 keV から ~3 MeV の帯域で,最高感度の撮像分光観測を実現 することで,宇宙の高エネルギー現象の理解を飛躍的に高めることを目的とする.新しい「半導体コンプトン望遠 鏡」 技術によって,ガンマ線の入射方向を高い精度で知ることで感度の向上を図る.一部の明るい天体では,数 100 keV 帯域の偏光測定も狙う.フランス,米国との国際協力において,史上初めてのガンマ線領域での集光観測
を行うためのガンマ線レンズと組み合わせたミッション(DUAL)の焦点面検出器としての検討が進められている.
l)ダークバリオン探査衛星 WG(DIOS)
DIOS は,1 キロ電子ボルト以下の軟 X 線領域に存在する酸素の輝線を高感度に検出することによって,これま でに検出されていない宇宙のバリオン物質を検出し,宇宙の大構造形成史に迫る事を目的としている.DIOS WG で は,これを小型衛星として実現することをめざしている. これと平行して,米国,イタリア,オランダの研究者と 協力して,観測装置の一つとして DIOS と同様の観測装置を搭載する Xenia 計画の検討をすすめ,NASA の Decadal Survey (Astro2009)に提案した. m)スプライト及び雷放電の高速測光撮像センサ(GLIMS)WG JEM-GLIMS は,国際宇宙ステーション日本実験モジュール曝露部から,雷放電及び高高度放電発光現象(スプ ライトなど)の光学及び電波観測を行うミッションである.GLIMS ミッションワーキンググループでは,ミッショ ン計画の具体化,ポート共有利用実験装置に搭載される他ミッション機器との設計・製作における共通化,研究推 進体制の整備等の検討を行うことを目的として,2007 年 12 月に設立した.2008 年 8 月に GLIMS ミッションに対 するシステム定義審査会 (SDR)を実施し,同年 10 月にはポート共有利用実験装置全体の SDR を実施した.2009 年度は,バス部製造メーカとの I/F 調整会の実施,NASA における有人安全審査会の実施(11 月),基本設計審査(PDR) 会(8 月)及び詳細設計審査(CDR)会(2 月)を実施し,フライトモデルの製作に着手した. 今年度は,フライト モデルの製作を完了し,かみ合わせ試験・バスインタフェース試験・環境試験・性能評価を行い,7 月末にバス側 に GLIMS 機器を引き渡す予定である. n)宇宙線大気瞬間発光現象観測(EUSO)WG EUSO WG では,2009 年 6 月に韓国梨花女子大学にて,12 月には理化学研究所にて国際コラボレーション会合 を開催した. また,9 月にフランス LAL にて International Front-End Electronics Meetings,12 月にスイスで The meeting on Atmosphere monitoring and simulation,2010 年 2 月にパリで Focal Surface Electronics を行い,国際共同 研究により,観測機器の設計を進めた. 27)人物交流 (1)外国人招聘職員 外国人招聘職員名 国 籍 研 究 課 題 招聘期間 受入責任者 Vasiliy Novozhirov アルスター大 教授 オーストラリア 連邦 境界層燃焼における燃料後 退速度の研究 H.21.6.6 ∼ H.21.8.31 宇宙輸送工学研究系 教授 嶋田 徹 Wan Jinchen 西北工業大学 准教授 中華人民共和国 フェーズフィールド法によ るファセット的セル状結晶 成長のモデル化 H.21.7.16 ∼ H.21.10.13 宇宙環境利用科学研究系 准教授 稲富 裕光 Debi Prasad Choudhary
カリフォルニア州立大学 准教授 インド共和国 「ひので」を用いた太陽磁 場ダイナミックスの研究 H.21.10.15 ∼ H.22.1.14 宇宙科学共通基礎研究系 准教授 清水 敏文 Axel Hagermann オープンユニバーシティ アカデミックフェロー ドイツ連邦共和 国 アポロデータの再分析 H.22.1.1 ∼ H.22.3.31 固体惑星研究系 准教授 田中 智
(2)外国からの来訪者 訪問月日 氏名 所属 2009.8.5 陰和俊 中国科学院 副院長 逸東 中国科学院光電研究院院士 李定 中国科学院基礎科学局 局長 董永初 中国科学院 高技術研究発展局 副局長 邱華盛 中国科学院国際合作局 副局長 呉季 中国科学院 空間科学応用研究センター 主任 俊 中国科学院国家天文台 台長 洪暁瑜 中国科学院上海天文台 台長 丁赤 中国科学院電子学研究所 副所長 沈学民 中国科学院 上海技術物理研究所 副所長 史生才 中国科学院紫金山天文台 研究員 于英傑 中国科学院 高技術研究発展局 処長 陳海濤 中国科学院国際合作局
2009.10.28 Roel Gathier オランダ宇宙研究所(SRON)長官
Jan-Willem den Herder オランダ宇宙研究所(SRON)プログラムサイエンティスト L. Vertegaal オランダ科学研究機関自然科学局長 Maarten de Zwart オランダ科学研究機関自然科学局上席プログラムマネジャー 2010.3.9 Steve MacLean カナダ宇宙庁長官 Ms Lauren Small-Pennefather カナダ宇宙庁国際局長 Mark Scullion カナダ大使館科学技術参事官 Ms Sanae Yonemichi, カナダ大使館 通商担当官
28)日米科学技術協力事業・非エネルギー分野「宇宙」科学協力 2009 年度主要活動 研 究 課 題 研 究 代 表 者 2009 年度の主要活動 日 本 側 米 国 側 日米の宇宙科 学協力の枠組 み協議 高橋忠幸 JAXA 宇宙科学研 究本部・教授 M.L.Cleave NASA 本部 宇宙科学における各分野(スペース天文,太陽系科学, 宇宙工学)の日米の研究経過と今後の計画に関する情報を 交換し,必要に応じて LoA などの協定文書を作成するとと もに,今後協力の可能性とその枠組みにつき率直な意見の 交換を行った. ISAS と NASA 科学局の間の正式な宇宙機関会合を開催 した. 人物交流 日本→米国 1 名 米国→日本 1 名 次世代衛星に おける日米協 力可能性の検 討 高橋忠幸 JAXA 宇宙科学研 究本部・教授 J.D.Rosendhal NASA 本部 スペース天文,太陽系科学,月・惑星探査,宇宙工学の 各分野における日米協力の重要性がますます高まっている ことを背景に,双方の諮問委員会,ワークショップなどに 相互に参加者を送り,お互いの計画を紹介するとともに, 長期展望に沿って有効な協力を考えていく活動を行ってい る.今年度は,2018 年以降に計画されている大型赤外線, X 線観測衛星計画についての協力可能性検討の他,日本の 太陽観測衛星への米国参加,将来の大気球実験やロケット 実験についても日米協力を進めるための討議を行った. 人物交流 日本→米国 1 名 X線天文学共 同研究 満田和久 JAXA 宇宙科学研 究本部・教授 P.Hertz NASA 本部 既 存 の 衛 星 等 を 用 い た X 線 天 文 学 の 共 同 研 究 , 「ASTRO-E2(すざく)」衛星の解析ソウフトウエアーの共同 開発,将来の衛星計画・観測装置開発などの協議を日米科 学者の協力で進めている.2009 年度は,「ASTRO-E2(すざ く)」衛星の搭載機器の較正,国際公募観測提案に基づく衛 星運用等を協力しながら進めるとともに,観測データの科 学的な解析も共同で行っている.ASTRO-H 衛星(旧 NeXT) の開発は基本設計フェーズの後期にはいり,日米で基本設 計レビューが行われた.米国で行なわれたレビューにも, 日米協力で開発している軟 X 線分光観測システムの関係者 に加えて,衛星システム,さらに,共同システムズエンジ ニアリングチーム( Joint Systems EngineeringTeam)メン バーも参加し,プレゼンテーションを行った.さらに,日 米欧で検討をすすめている 2020 年代の国際大型 X 線天文 台計画,IXO(International X-ray Observatory)計画につい ては,科学目的,システム検討の国際会議に参加するとと もに,各搭載観測装置を米欧の研究者との協力で行った. 人物交流 日本→米国 7 名
研 究 課 題 研 究 代 表 者 2009 年度の主要活動 日 本 側 米 国 側 赤外線天文学 共同研究 村上 浩 JAXA 宇宙科学研 究本部・教授 Jon.A.Morse NASA 本部 1.太陽系外惑星観測ミッションに向けた日本の観測装置開 発の成果発表と,米国の観測計画への日本の参加について 議論を行った. 2.赤外線天文衛星「あかり」の成果発表と,「あかり」デ ータを使った超新星や遠方銀河に関する共同研究について 議論した. 3.宇宙で生まれた最初の世代の星の光である可能性がある 近赤外線宇宙背景放射光を,観測ロケットを用いて詳細に 観測する CIBER 計画に関して,2008 年度に行った第 1 回 フライトデータに関する議論,及び第 2 回フライトに向け た観測装置設計等の打合せを行った. 4.日本の次期赤外線天文ミッション SPICA 計画に関して, 米国製赤外線センサの情報収集,及び米国観測装置の搭載 について議論を行った. 人物交流 日本→米国 5 名 米国→日本 3 名 太陽・太陽圏 日米共同研究 坂尾太郎 JAXA 宇宙科学研 究本部・准教授 W.Wagner NASA 本部 2006 年に打上げられた「SOLAR−B/ひので」(日米英協 力;太陽観測),「STEREO」(米;太陽圏観測)間の共同観 測により宇宙環境変動予測という新たな研究分野を拓くこ とを目指し,太陽面での活動現象と太陽圏の攪乱現象の関 連を系統的に追及する日米共同研究を組織している.2009 年度も「ひので」衛星の科学観測運用の日米協議およびデ ータ解析の議論を進めるとともに,日米双方の太陽・太陽 圏観測の将来計画について意見交換ならびに検討を進めて いる.また,「ひので」・「STEREO」両衛星での共同観測の 協議と共同研究を進め,研究の交流を促進した. 特に本年度は「ひので」国際科学会議を日本で開催した ことから,米国研究者が多数来日し,「ひので」による太陽 物理研究に関して活発な討議を行った. 人物交流 日本→米国 3 名 米国→日本 14 名 スペース超長 輝線干渉計に よる電波天文 学共同研究 坪井昌人 JAXA 宇宙科学研 究本部・教授 D. Murphy ジ ェ ッ ト 推 進 研究所 J.Ulvestad 米 国 国 立 電 波 天文台 スペース超長輝線干渉計 ASTRO−G(VSOP−2:VLBI SpaceObservatory Programme-2)で技術的課題の 1 つとなっ ている,FPGA の放射線耐性の議論を行うためにすでに検討 を行っている JPL を訪問し議論をおこなった.また,VSOP (「はるか」)計画から協力を継続していた米国の,NASA ジ ェット推進研究所(JPL),米国国立電波天文台などの研究 者と,ASTRO−G 計画に対して,米国側の支援の進め方の 議論を行った.場所は日本で 12 月に行ったため,米国から 相模原に訪問者があった. 人物交流 日本→米国 2 名 米国→日本 4 名
研 究 課 題 研 究 代 表 者 2009 年度の主要活動 日 本 側 米 国 側 地球型惑星大 気科学共同研 究 今村 剛 JAXA 宇宙科学研 究本部・准教授 Kevin Baines ジ ェ ッ ト 推 進 研究所 金星の大気力学の解明を目指す「PLANET−C」は,米国 で提案されている金星着陸ミッションや気球ミッション, ま た 金 星 の 大 気 科 学 の 解 明 を 目 指 す ESA の 「 Venus Express」などと相補的な関係にある.また,日本を含む各 国で実施されている地上望遠鏡を用いた金星観測も観測装 置などに違いがあり,互いに相補的な関係にある.そこで, これらの観測で得られる成果を最大化して研究を飛躍的に 進めるために,日本と米国の間では国際協力のもとに計画 を調整し,また装置開発において協力関係を構築してきた. 2009 年度は 6 月に 2 名が渡米し,米国の研究者と今後の金 星探査の方向性と協力体制について議論を行った. 人物交流 日本→米国 2 名 固体月・惑星 探査共同研究 加藤 學 JAXA 宇宙科学研 究本部・教授 T.Morgan NASA 本部 わが国初の本格的な月探査衛星である「SELENE(かぐ や)」は 2009 年 6 月 11 日,月の表側南東端に制御落下し, ミッションを終了した.観測は終了したが,20 か月に及ぶ 科学観測により約 10TB の有用なデータを取得した.日米 の科学者の協力によりデータの詳細解析が進行中である. これまでに無い新しい月の科学が確立されると期待されて いる.また,「かぐや」のデータは後続のアメリカの月探査 機 LRO/LCROSS の運用計画策定に大きく貢献した.低軌道 からの月表面探査衛星 LRO の月周回軌道計画,極域氷探査 衛星 LCROSS の衝突地点決定には極めてクリティカルなデ ータを提供することができ,これらの衛星の成功に大きく 貢献した.RO/LCROSS とのデータ交換も進行しており,次 の着陸ミッション策定にも日米協力が必須である.本年度 は,この連携関係を「かぐや」のデータ解析を基礎に次期 月探査計画策定においても強化することができた. 人物交流 日本→米国 3 名 米国→日本 3 名 惑星・地球磁 気圏探査共同 研究 藤本正樹 JAXA 宇宙科学研 究本部・教授 Richard R.Fisher NASA 本部 日 米 協 力 で 1992 年 に 打 ち 上 げ ら れ た 我 が 国 の 「GEOTAIL」は,ISTP 衛星群のひとつとして,地球磁気圏 の研究において今もなお,国際的にも重要な役割を果たし ている.本課題では,大きな研究実績を挙げてきた我が国 の地球磁気研究の成果を踏まえ「GEOTAIL」で本格化した 日米協力を大きく発展させて,近い将来に開始されるであ ろう我が国の惑星大気,地球・惑星磁気圏探査の将来計画 をも展望して,日米両国でのこの分野の研究計画の調整, 日米共同プロジェクトの立ち上げ,搭載観測装置の開発で の協力を行うことを目的としている.2009 年度は前年度に 引き続き「GEOTAIL」を含む ISTP 衛星群を用いた地球磁 気圏研究の最近の研究結果の交流事業を行うとともに,日 米双方で計画中の将来ミッションにおける協力事業の可能
研 究 課 題 研 究 代 表 者 2009 年度の主要活動 日 本 側 米 国 側 性を討議した. さらに,月探査衛星「かぐや」の成果を新たに月周回を 開始する NASA・ARTEMIS の観測計画策定において活用す べく議論を行った. 人物交流 日本→米国 2 名 太陽系小天体 探査に関する 共同研究 川口淳一郎 JAXA 宇宙科学研 究本部・教授 James Grees NASA 本部 日 本 で 初 の 本 格 的 な 太 陽 系 小 天 体 探 査 ミ ッ シ ョ ン 「MUSES-C はやぶさ」は,2003 年 5 月に打ち上げられ,「は やぶさ」と命名された.このミッションは,太陽系小天体 への着陸及びサンプルリターンを行う野心的なミッション であり,軌道の精密決定イオンエンジン航行,自立的な目 標小天体へのランデブー,フライバイ及び着陸・離陸,地 球への帰還及び回収等さまざまな局面において日米協力が 組み込まれている.「はやぶさ」は 2005 年のイトカワへの 着陸運用の後,一時運用が途絶していたが,その後復旧し, 2006 年度は探査機の機能回復を行い,2007 年度には,地 球帰還にむけたイオンエンジン航行を実施し,2010 年 6 月 の地球帰還にむけて運用を継続している. 本年度に実施した共同研究の活動では,宇宙科学研究本 部において,はやぶさ後継機として計画されている小惑星 サンプルリターンにおける相互の科学者の交流や双方の探 査機搭載科学観測機器への相手側研究者の受け入れの実施 のほか,特に,上述の「はやぶさ」については,日米両国 の参加研究者による合同観測運用会議を開催し,「はやぶ さ」で得られた科学観測データのアーカイブやそれらの配 信,小惑星のサンプルの分析に関する協力について協議を 行った.また,国際始原天体探査 WG の開催にむけて米国 研究者との調整を進めた.2010 年に予定される試料の分析 について,国際専門家会合を行い,キュレーションを含め て受入れから分析への方法について協議を行なった. 人物交流 日本→米国 2 名 米国→日本 4 名 衛星軌道決定 及び運用に関 わる日米協力 川口淳一郎 JAXA 宇宙科学研 究本部・教授 T. Thompson ジ ェ ッ ト 推 進 研究所 2003 年度に打ち上げられた,第 20 号科学衛星「はやぶ さ」について,継続して DSN/NASA による軌道決定ならび に運用支援が行われた. 2007 年度には,「はやぶさ」の軌道決定を協同で実施し イオンエンジンによる帰還航行を実施し,この運用を支援 すべく追跡運用および軌道決定に関する協議を行った.特 に再突入への誘導,制御について精度検討を深めた.特に 「かぐや」の追跡支援については,軌道計画と航法支援につ いて同プロジェクトを通じて調整を行っており,同ミッシ ョンの打ち上げから月軌道投入に貢献した.また,「ひので」 衛星への支援については,局運用に関わるリソース調整に
研 究 課 題 研 究 代 表 者 2009 年度の主要活動 日 本 側 米 国 側 もとづき,運用支援が行われてきている. ジェット推進研究所との間で,2010 年打ち上げ予定の金 星探査機 PLANET-C に関する追跡支援にむけて,調整を開 始すべく NASA 本部との間で意見交換を行った. 深宇宙機のとくに差分 VLBI 観測による軌道決定に関し て,その観測を実際に行い,精度検討を協同で実施した. この中でイカロス探査機による共同 VLBI 実験の調整を進 めた. 人物交流 日本→米国 4 名 米国→日本 4 名 宇宙科学デー タのアーカイ ブ,共同解析 での日米協力 海老澤研 JAXA 宇宙科学研 究本部・教授 J. L. Green NASA ゴ ダ ー ド 宇 宙 飛 行 セ ンター 近年急速に大容量化している宇宙科学データを用いて宇 宙科学研究を実行するために,効果的なデータアーカイブ 法の確立は研究成果の質と量,研究進展の速さを決定する 緊急の課題である.本共同研究では,NASA におけるこの 分野における実績と,宇宙科学研究本部の科学衛星運用•デ ータ利用センターにおける近年の成果を踏まえて,両者の 経験を交流し,データ・アーカイブ法及び大量データの解 析のあり方を研究する.2009 年度は,日本のはやぶさ,か ぐや,あかつきを始めとする月惑星データの共有,米国の この分野における経験を生かしたアーカイブズ化について 協議を行った.また,日本の打ち上げた全天 X 線観測装置 MAXI とアメリカの X 線天文衛星 Swift の共同観測や共同 研究について協議を行った. 人物交流 日本→米国 2 名 米国→日本 2 名