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4章図表 平成における震度 7 以上を観測した地震 ( 平成 29(2017) 年 3 月 31 日時点 ) 平成 28(2016) 年 4 月熊本地震 平成 23(2011) 年 3 月東北地方太平洋沖地震 ( 東日本大震災 ) 平成 16(2004) 年 10 月新潟県中越地震平成

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平成28年度に発生した自然災害(熊本地震等)からの

復旧・復興

平成28(2016)年度は、4月に発生した熊本地震、8月から9月にかけて全国各地に 上陸した一連の台風等の自然災害が多発した1年となりました。 以下では、熊本地震、台風、梅雨前線と低気圧による豪雨、鳥取県中部を震源とする地 震等について、被害の状況と復旧・復興に向けた取組を記述します。

(1)熊本地震

(東日本大震災級の震度7を観測した熊本地震) 熊本地震は、平成28(2016)年4月14日以降、震度7が2回、震度6強が2回、震度 6弱が3回、震度1以上の地震は4,284回発生1しました(図表4-1-1)。 図表4-1-1 熊本地震の震度・震源 14日21時26分M6.5震度7 14日22時07分M5.8 震度6弱 15日00時03分M6.4 震度6強 16日01時45分M5.9震度6弱 16日03時55分M5.8 震度6強 16日09時48分M5.4 震度6弱 16日01時25分M7.3 震度7 ▲ 阿蘇山 震度6弱以上を観測した地震 発生時刻 震央地名 規模 最大震度 4月14日21時26分 熊本県熊本地方 M6.5 7 4月14日22時07分 熊本県熊本地方 M5.8 6弱 4月15日00時03分 熊本県熊本地方 M6.4 6強 4月16日01時25分 熊本県熊本地方 M7.3 7 4月16日01時45分 熊本県熊本地方 M5.9 6弱 4月16日03時55分 熊本県阿蘇地方 M5.8 6強 4月16日09時48分 熊本県熊本地方 M5.4 6弱 本震における震度(震度6弱以上) 震度7 熊本県 益城町、西原村 震度6強 熊本県 熊本市、菊池市、宇土市、宇城市、合志市、大 津町、嘉島町、南阿蘇村 震度6弱 熊本県 大分県 阿蘇市、八代市、玉名市、菊陽町、御船町、美 里町、山都市、氷川町、和水町、上天草市、天 草市 別府市 主な地震の震源 本震 本震 資料: 農林水産省作成 震度7を観測した地震は東日本大震災以来であり、この地震による熊本県内での死者は 224人に達し、避難者は最大で18万3,882人2となりました(図表4-1-2)。また、熊本県 を中心に大分県にかけて、家屋の損壊や交通インフラ、ライフライン等へ甚大な被害をも たらしました。 1 平成29(2017)年3月31日時点 2 熊本県、平成28(2016)年4月17日時点

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図表4-1-2 平成における震度7以上を観測した地震(平成29(2017)年3月31日時点) 名称、震度、マグニチュード 人的被害 農林水産被害 平成28(2016)年4月 熊本地震 震度7 M7.3 死者:227人 (うち熊本県 224人) 1,657億円 震度7 M6.5 平成23(2011)年3月 東北地方太平洋沖地震 (東日本大震災) 震度7 M9.0 不明者:2,562人死者:15,894人 2兆4,268億円 平成16(2004)年10月 新潟県中越地震 震度7M6.8 死者:68人 1,330億円 平成7(1995)年1月 兵庫県南部地震 (阪神・淡路大震災) 震度7 M7.3 死者:6,434人不明者:3人 900億円 資料:農林水産省作成 熊本県を始めとする九州各県の農林水産被害は1,657億円となっており、このうち農業 関係では、農作物等が515億円、農地・農業用施設関係が713億円となっています(図 表4-1-3)。 図表4-1-3 農林水産関係の被害状況 (平成29(2017)年3月14日時点) 区分 主な被害 被害数 被害額(億円) 被害県 農作物等 農作物の損傷 350ha他 2.6 熊本、大分 家畜の斃へい死し等 541,330頭羽他 9.9 熊本、大分 共同利用施設の損壊等 225か所 196.6 熊本、大分、宮崎 農業用ハウスの損傷 420件 28.1 熊本、大分、宮崎 畜舎等の損壊 5,647件 278.0 熊本、大分、宮崎 小計 515.2 農地・農業用 施設関係 農地の損壊 11,696か所 278.3 福岡、佐賀、熊本、大分、宮崎、鹿児 島 農業用施設等の損壊 5,260か所 434.9 福岡、佐賀、長崎、 熊本、大分、宮崎、 鹿児島 (農業用施設:ため池、水路、道路等) 5,187か所 397.1 (農地海岸保全施設) 70か所 35.0 (農村生活環境施設:集落排水施設) 3か所 2.8 小計 713.2 林野関係 林地荒廃 433か所 347.8 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎 治山施設 36か所 26.6 熊本、大分 林道施設等 1,686か所 13.0 佐賀、熊本、大分、宮崎 木材加工・流通施設及び特用林産物施設等 30か所 8.1 福岡、熊本、大分、宮崎 小計 395.6 水産関係 水産物 14件 1.6 熊本、大分 漁場 1件 1.1 熊本 養殖施設 186件 3.2 熊本 漁港施設等 18漁港 19.2 熊本、大分 共同利用施設 24件 8.3 熊本 小計 33.4 合計 1,657.3 資料:農林水産省調べ 4

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(災害対策本部の設置) 熊本地震の発生を受け、平成28(2016)年4月14日、政府は内閣府に非常災害対策 本部を設置し、翌15日には熊本県に政府現地対策本部を設置しました。 農林水産省においても、4月15日に、農林水産大臣を本部長とする農林水産省緊急自 然災害対策本部を設置しました。 政府は、4月26日に、熊本地震を激甚災害として指定しました。この激甚災害の指定 により、農業関係では、全国を対象に、農地、農業用施設、共同利用施設の災害復旧事業 について、被災農業者等の負担軽減を図りました。 (初めて行われたプッシュ型による食料支援) 政府は、平成28(2016)年4月17日から22日までの間、 被災地方自治体からの要請を待たずに支援物資を送るプッシュ 型支援1、4月23日から5月13日までの間はプル型支援2によ り、直ちに食べられる物の供給を基本とした支援を行いまし た。プル型の食料支援に当たっては、タブレット端末等を活用 し、被災地のニーズに応じた支援を行いました。 具体的には、4月17日から19日までの3日間は、主食となるおにぎり、パック御飯、 パン、カップ麺等、4月20日から22日までの3日間は精米、保存用パン等のほか、おか ずとなる缶詰やレトルト食品、子供・高齢者向けの食品等、バリエーションを増やすため の食料供給支援を行いました。 4月23日から25日までの3日間は、これらに加えて清涼飲料水等も供給しました。26 日以降は、大型連休中に多くの工場が休止すること等を踏まえ、食料供給が滞ることがな いよう、パック御飯、レトルト食品等の保存性の高い食品を中心に被災者のニーズに合わ せて必要な食品をまとめて提供しました。その結果、政府の食料供給支援は合計約278 万食となりました(図表4-1-4)。なお、5月14日からは熊本県が主体となった物資供給 が開始されました。 1 国が被災都道府県からの具体的な要請を待たないで、避難所避難者への支援を中心に必要不可欠と見込まれる物資を調達し、 被災地に物資を緊急輸送すること。これは、発災当初は、被災地方自治体において正確な情報把握に時間を要する、民間供給 能力が低下する等の東日本大震災の経験を踏まえて、熊本地震で初めて本格的に実施 2 被災都道府県ができる限り早期に具体的な物資の必要量を把握し、国に物資支援を要請する仕組み 支援物資を被災地へ

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図表4-1-4 主な供給品目リスト パン 54万食 ベビーフード 0.9万食 清涼飲料水 18万本 保存パン 14万食 介護食品 0.8万食 野菜ジュース 3万本 おにぎり 27万食 缶詰 36万食 (アレルギー対応含む)粉ミルク 2トン パックご飯 30万食 栄養補助食品 13万食 LL牛乳 5万本 アルファー化米 0.1万食 ビスケット 9万食 バナナ 16万本 カップ麺 60万食 米 125トン ミニトマト 24トン レトルト食品 33万食 水 24万本 資料:農林水産省調べ (農林水産省職員を現地に派遣) 農林水産省では、食料供給・物流の円滑化や農地・農業用施設の早期復旧を図るため職 員の現地派遣を行いました。 具体的には、物資調達・配達支援担当の責任者として、食料産業局長を九州農政局に派 遣するとともに、九州農政局から国の出先機関支援チームに延べ447人の職員を派遣し、 現場ニーズの把握や物資の確実な提供の実現に向けた取組を実施しました。また、農林水 産省本省幹部職員を九州農政局に派遣し、生産現場の営農再開を支援しました。 さらに、農林水産省本省から災害査定官を熊本県や被災市町村に派遣し、早期の災害復 旧に向けた復旧計画の策定、復旧工法の検討の指導を行うとともに、全国から延べ120 人の農業土木技術職員を熊本県の10市町村に派遣し、農地・農業用施設の災害査定の指 導や査定設計書作成に必要な業務支援を行いました(図表4-1-5)。 図表4-1-5 農業土木技術職員の派遣先・活動状況 (農業土木技術職員の派遣先) 資料:農林水産省作成 (農業土木技術職員の活動状況) 4

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(民間による食料供給やボランティア等の支援) 被災地に対しては、農林水産省からの要請に基づく食品製造事業者等からの食料供給支 援に加え、県内外の一般企業や生活協同組合、農業協同組合等の各団体からも、食料供 給、人材派遣等の支援が行われました。 また、熊本地震発生後、復旧・復興に向けた全国各地からのボランティアによる、農作 業を含めた支援活動が数多く行われました。熊本県、大分県では、各市町村に設置された 社会福祉協議会が運営するボランティアセンターを通して、ボランティアの募集が行われ ました。 全国のNGO・NPO1による支援活動も行われました。平成28(2016)年4月30日に は、熊本県、大分県で活動しているNGO・NPO等により、熊本地震・支援団体火の国 会議が立ち上がり、地方公共団体や支援活動組織等と連携しながら、各種情報の共有や、 ボランティア活動のマッチング等の活動が行われました。 (水田の損壊等の被害が発生) 熊本県内の水田では、農地の亀裂や陥没が発生するとともに、水路の破損による断水が 発生しました。熊本県における田植の適期は5月中旬から6月下旬までであり、水稲の作 付けを予定していた水田を早期に復旧させる一方、水稲の作付けが困難な水田において は、大豆や飼料作物等への転換により、営農を再開する環境を整えることが急務となりま した。 農地・農業用施設では、熊本県内において、水田7,674か所が損壊しましたが、稲の作 付けに向けて査定前着工2制度を活用した応急工事等を実施しました。また、熊本県内で 変状の発生した13か所のため池で、安全上の観点から一定の水位まで低下させるととも に、ブルーシートによる保護等を実施しました。 大きな段差が発生した農道 ひび割れたため池の堤体 (園芸作物の落果や枯死等の被害が発生) 園芸作物では、メロン、トマトで落果、いちご、レタス、すいか等で枯死、カーネー ション、胡こちょう蝶蘭らん等の鉢物で落下の被害が発生しました。かんきつ園地では、法のり面めんを支え る石垣が崩落する被害が発生しました。また、茶では、一番茶の収穫適期を逃して収穫で きなかった地域もありました。 共同利用施設のうち選果場では、外壁、選果ライン、かんきつ類の加工施設では、外 壁、加工施設等の一部破損が発生しました。 農業用ハウスでは、ハウス本体・高設栽培ベンチ・配管の損傷、燃油タンクの傾き等の 1 用語の解説3(2)を参照 2 早期の災害復旧を図るため、災害査定を待たずに応急工事に着手することができる制度

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被害が発生しました。 畜産では、畜舎等の施設、設備が全壊又は一部損壊したほか、死亡牛も発生しました。 また、地震発生直後、熊本県下で集乳できない地域が広がり、生乳の廃棄が発生したもの の、4月21日以降は道路事情により集乳できない地域はなくなりました。 倒れたカーネーションの鉢 倒壊した畜舎 (流通施設の被害が発生) 卸売市場では、熊本県熊くま本もと市しの株式会社熊本地方卸売市場青果棟と水産物棟において卸 売場等の施設の一部に被害が発生しました。また、他の市場においても、事務所等に被害 が発生しました。 食品小売業では、スーパーマーケット、コンビニエンスストアにおいて建物の安全性に 問題があるなどの理由から、多くの店舗で休業を余儀なくされ、それ以外の店舗において も、商品がすぐに売り切れてしまい、在庫がない状態が続きました。また、食品卸売業に おいても倉庫内の商品の落下等が発生しました。 食品製造業では、事務所や工場、倉庫の建物被害が発生し、原材料の調達、商品の配送 等に支障が出たことから、操業停止になった工場がありました。 (補正予算等により支援対策を実施) 平成28(2016)年5月17日には平成28年度補正予算が成立し、住宅の確保や生活再 建支援金の支給等被災支援に要する経費として780億円が計上されるとともに、7千億円 の熊本地震復旧等予備費が創設されました。また、10月11日には熊本地震からの復旧・ 復興に向けて4,139億円の第2次補正予算が成立しました。さらに、平成29(2017)年 1月31日には、熊本地震への対応を含めた第3次補正予算が成立し、農村水産関係で306 億円が計上されました。 農林水産省では、5月9日に、既存の事業の運用を工夫することなどによる平成28年 熊本地震による被災農林漁業者への支援対策(第1弾)を公表し、また、5月18日には、 補正予算で措置される熊本地震復旧等予備費を活用した追加対策(第2弾)を公表しまし た(図表4-1-6)。 4

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図表4-1-6 熊本地震による被災農林漁業者への支援対策 第1弾(5月9日) 第2弾(5月18日) 補正予算を待たずに、既存の事業の運用を工夫する ことなどにより実行できる対策 補正予算で措置される復旧予備費を活用して実行できる対策 ・被災農業者向け経営体育成支援事業の発動 ・災害関連資金の特例措置の実施  貸付限度額の引上げ、貸付当初5年間実質無利子化 ・手作業による選果、他の集出荷施設等への輸送経費等 への助成 ・牛・豚マルキンの生産者積立金の納付免除、簡易畜舎 の整備や家畜導入等に要する経費の助成 ・被災農業者等の雇用支援 など ・被災農業者向け経営体育成支援事業について、  ①補助率の引上げ  ②撤去費用に対する助成  ③加工用施設等を対象に追加 ・農林水産業共同利用施設や卸売市場等の再建・修繕に 対する支援 ・作物転換する際の種子・種苗の購入、農作業委託等に 対する支援 ・被災した畜産農家等の地域ぐるみでの営農再開、体質 強化を進める取組に対する支援 ・ため池等の災害の未然防止、小規模な水路補修、復旧 と一体となり「創造的復興」にも資する大区画化に対 する支援 ・山地の復旧支援、木材加工施設の再建に対する支援 ・水産荷さばき施設等の再建・修繕に対する支援 など 資料:農林水産省作成 (水稲から大豆への転換等により、不作付地をほぼ解消) 農林水産省は、熊本県、熊本県農業協同組合中央会と水田営農再開連絡会議を設置し、 水田の被害状況や農業者の作付意向の確認を行いました。 水田の早期復旧に向けた応急措置として、査定前着工制度を活用した応急工事や多面的 機能支払1を活用して水路のひび割れや破損の補修等を実施しました。 また、断水等により水稲の作付けが困難な水田については、大豆や飼料作物等の作付け を推進し、食用大豆の種子転用による種子の確保や作業委託に対する助成等の支援を行い ました。この結果、熊本県内において、作付けができなかった水田はほとんどありません でした。 陥没した農地 ベニヤ板の型枠を使った水路の 補修 大豆への作付転換後の水田 1 第3章第2節「農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮」を参照

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(生産施設、農地・農業用施設等の復旧に向けた支援) 農業者が経営を維持していくために必要な農産物の生産施設の復旧、農業用機械の取得 等に対して支援を行いました。 特に、農地・農業用施設の災害復旧については、円滑に災害査定を行うため、現地での 査定を省略できる机上査定が可能な範囲を拡大するなど、査定の簡素化を行うとともに、 全国の地方農政局等から熊本県に災害査定官を集中的に派遣しました。また、査定設計書 の作成に必要な外部への委託費について、平成28(2016)年12月には補助の対象とな る費用の上限を拡大することとし、遡及して平成28(2016)年の災害から適用する措置 を講じ、被災地方自治体の負担軽減を図りました。 さらに、熊本県が管理する農地海岸については、12海岸で堤体の沈下等を確認し、「大 規模災害からの復興に関する法律」に基づく県からの要請を受け、7海岸の復旧を国によ る直轄代行で実施しています。 (共済金の早期支払と融資の負担軽減) 農業共済について、損害評価を迅速に行い、共済金の早期支払を実施しました。 運転資金や施設復旧資金の調達に向けて、制度資金等の貸付限度額を引き上げるととも に、貸付利子を貸付当初5年間実質無利子化し、実質無担保・無保証人での借入れを可能 とする措置を講じました。また、資金借入時の債務保証の保証料を保証当初5年間免除す るとともに、農業者の経営再開に向けて、既往融資の償還猶予等の措置を適切に講じるよ うに関係金融機関に要請を行いました。 (生産活動再開に向けた支援) 生産活動の再開に向けて、耕種部門においては、水稲が作付けできずに、大豆等へ作付 転換した場合に必要となる生産資材に要する経費の助成、集出荷施設等の被害を受けた産 地に対し、人手による選果作業に要する労賃、農作物を他の集出荷施設に輸送し、選果・ 加工するための輸送費の助成、また、果樹と茶では、倒木等の被害を受けた樹木の植え替 えやこれにより生ずる未収益期間に要する経費の助成を措置しました。 また、畜産部門においては、畜産農家の資金繰りを支援するため、経営安定対策事業の 積立金等の納付免除や納付期限の3か月延長等を実施するとともに、酪農・畜産農家の経 営継続支援のため、家畜導入に要する経費等の助成を措置しました。 (復旧・復興は着実に進展) 農林水産省では、熊本地震で被災した農業者の速やかな経営再開に向け、復旧等予備 費、第2次及び第3次補正予算を活用して支援を行いました。このような中、被災地域で は野菜等の集出荷貯蔵施設のほとんどで出荷が再開され、農業用ハウスや畜舎等の再建・ 修繕が進展するなど、復旧・復興は着実に進展しています。 (「自助」「共助」「公助」の大切さ) 今回の地震対応により、「自助」「共助」「公助」の大切さが注目されました。 自助は、農業者が災害に備えて共済に加入し、家庭で食料を備蓄すること、共助は、地 域で営農再開に向けて取り組むこと、公助は、自助、共助ではできないことに、国や地方 公共団体が予算を確保して対策を講じることです。 4

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農林水産省では、災害への備えに万全を期すため、平素からの、農業者の共済の加入、 家庭の食料備蓄、食料産業事業者の事業継続計画(BCP)1の策定の呼びかけを行うとと もに、応急用食料の調達・供給を迅速・的確に行うために、調達可能量の調査を行ってい ます。 熊本県阿あ蘇そ市しの有限会社阿部牧場では、経産牛244頭の飼 養と、牧草197ha、WCS用稲(稲発酵粗飼料用稲)*1150ha の栽培を行い、また、6次産業化*2の取組として牛乳、ヨー グルト等の乳製品の製造・販売を行っています。 熊本地震の発生直後、阿部牧場では、一時的に生乳の廃棄 を余儀なくされ、また、牛の飲み水の確保にも苦労しました。 集乳と飲み水の回復が図られた頃、阿部牧場の阿あ部べ寛ひろ樹き代 表取締役は南阿蘇大橋の崩落等を目の当たりにし、地域のた めに何かをしたいと考え、地域の農業者や取引先等と相談を 重ね、阿蘇地域の畜産加工品、お菓子、観光体験チケット等 を組み合わせた「阿蘇復興支援セット」を企画しました。ホー ムページや道の駅で販売を開始し、テレビやSNS*3を通じ て情報を発信した結果、平成28(2016)年6月までに1万 3千セットを売り上げました。 阿部さんは、熊本地震により離農を考えている農業者を励ますことでもう一度地域を盛り上 げ、阿蘇で育つ子供たちが希望を持てるようにしたいと考えています。 *1 用語の解説3(2)を参照 *2 用語の解説3(1)を参照 *3 Social Networking Serviceの略。登録された利用者同士が交流できるウエブサイトのサービス 鹿児島県 宮崎県 大分県 熊本県 阿蘇市 阿蘇復興支援セット

事 例

被災地域の産品詰め合わせ販売(熊本県)

(2)台風

(台風の上陸数は近年最多の6) 平成28(2016)年は、台風の発生数は過去5年間の平均26でしたが、このうち我が 国に上陸したものは6と最多になりました(図表4-1-7)。台風の進路も例年と異なり、北 海道に1年間で3つの台風が上陸したこと、台風が東北地方太平洋側へ上陸したことは、 気象庁が昭和26(1951)年に台風の観測を開始して以来、初めての出来事となりました。 また、平成28(2016)年の主な台風による農林水産被害額は1,596億円で、最近5年 間では、最多となりました。 1 第1章第3節(2)イ 食料安全保障の確立に向けた取組を参照

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図表4-1-7 最近5年間における台風の発生数・上陸数と農林水産被害額 平成24年 (2012) (2013)25 (2014)26 (2015)27 (2016)28 発生数 25 31 23 27 26 うち上陸数 (接近数) (17)2 (14)2 (12)4 (14)4 (11)6 主な台風による農林水産被害額(億円) 155.7 942.3 195.9 396.6 1596.4 資料:気象庁資料等を基に農林水産省で作成 注:1)上陸数とは台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した台風の数、接近数とは台風の中心が北海道、本州、四国、九州 のいずれかの気象官署等から300km以内に入った台風の数 2)主な台風による被害額は、平成24(2012)年は台風第16号と第17号、平成25(2013)年は第15号、第17号、第18号、第 26号、平成26(2014)年は第18号と第19号、平成27(2015)年は第11号と第15号、平成28(2016)年は第7号、第11 号、第9号、第10号、第16号を計上 (関東地方から北海道にかけて被害をもたらした台風第7号) 台風第7号は、平成28(2016)年8月16日から17日にかけて、関東地方から東北地 方の太平洋沿岸を北上し、北海道襟えり裳もみさき岬付近に上陸しました(図表4-1-8)。 台風に伴う大雨等により、関東地方から北海道にかけて広い範囲で被害が発生し、この うち、農業関係の被害額は46億円に上りました(図表4-1-9)。 図表4-1-9 台風第7号による被害状況 (単位:億円) 被害数 被害額 農作物等 農作物等 7,595ha 31.1 生乳 126t 0.1 農業用ハウス等 165件 0.5 畜舎等 456件 1.8 共同利用施設 3件 0.7 農地・農業用 施設関係 農地の損壊 189箇所 3.8 農業用施設等の 損壊 422箇所 8.4 計 46.4 資料:農林水産省調べ 注:被害額は、各都道府県からの報告を取りまとめたもの 図表4-1-8 台風第7号の経路 台風第7号 17日21時 温帯低気圧に変わる 8月14日03時 台風第7号発生 17日17時半頃、 北海道襟裳岬付近に上陸 資料:気象庁「台風第7号、第11号、第9号、第10号及び前線に よる大雨・暴風」 土砂に埋もれた稲(岩手県) 大雨で冠水した大豆畑(茨城県) 大雨で冠水したたまねぎ畑 (北海道北見市) 4

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(東海地方から北海道にかけて被害をもたらした台風第11号・第9号) 台風第11号は、平成28(2016)年8月20日から22日にかけて、東北地方の太平洋 沿岸沖合を北へ進み、北海道釧くし路ろ市し付近に上陸しました(図表4-1-10)。また、台風第9 号は、平成28(2016)年8月21日から23日にかけて、伊い豆ず諸しょ島とう付近を北へ進み、千葉 県館たて山やま市し付近に上陸し、本州を縦断した後、北海道日ひ高だか地方に再上陸しました。 台風第11号と第9号に伴う大雨等では、東海地方から北海道にかけて広い範囲で被害 が発生し、このうち、農業関係の被害額は239億円に上りました(図表4-1-11)。 図表4-1-10 台風第11号・第9号の経路 資料:気象庁「台風第7号、第11号、第9号、第10号及び前線による大雨・暴風」 台風第9号 台風第11号 台風第11号 22日03時 温帯低気圧に変わる 8月20日09時 台風第11号発生 21日23時過ぎ 北海道釧路市付近に上陸 台風第9号 23日12時 温帯低気圧に変わる 8月19日15時 台風第9号発生 23日06時頃、 北海道日高地方に上陸 22日12時半頃、 千葉県館山市付近に上陸 図表4-1-11 台風第11号・第9号による被害状況 (単位:億円) 被害数 被害額 農作物等 農作物等 21,645ha他 85.7 生乳 9t 0.0 共同利用施設 65件 9.8 農業用ハウス等 2,672件 17.9 畜舎等 130件 0.5 農地・農業用施設関係 農地の損壊 1,590箇所 91.9 農業用施設等の損壊 966箇所 32.8 計 238.7 資料:農林水産省調べ 注:被害額は、各都道府県からの報告を取りまとめたもの 美び生せい川がわの氾濫により損壊した農地 (北海道芽室町) 常 とこ 呂ろ川がわの氾濫により畑から流出した たまねぎ(北海道北見市) 大雨で土砂が流入した水田(北海道深川市)

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(近畿地方から北海道にかけて被害をもたらした台風第10号) 平成28(2016)年8月19日に東京都八はちじょう丈島じま付近で発生した台風第10号は、初め南 西に進んだ後、沖縄県 南みなみ大だい東とう島じま付近で向きを北東に変え、30日に岩手県大おお船ふな渡と市し付近に 上陸しました(図表4-1-12)。 台風第10号に伴う大雨等では、近畿地方から北海道にかけて広い範囲で被害が発生し、 このうち農業関係の被害額は520億円に上りました(図表4-1-13)。 図表4-1-13 台風第10号による被害状況 (単位:億円) 被害数 被害額 農作物等 農作物等 23,548ha 178.2 家畜の斃へい死し 145,279頭羽 1.6 生乳 364t 0.4 農業用ハウス等 4,253件 38.9 畜舎等 1,061件 36.6 共同利用施設 25件 20.3 農地・農業用 施設関係 農地の損壊 2,554箇所 127.6 農業用施設等の 損壊 1,382箇所 116.3 計 519.9 資料:農林水産省調べ 注:1)平成28(2016)年11月24日時点 2)被害額は、各都道府県からの報告を取りまとめたもの 図表4-1-12 台風第10号の経路 台風第10号 31日00時 温帯低気圧に変わる 8月19日21時 台風第10号発生 30日18時前に、 岩手県大船渡市付近に上陸 資料:気象庁「台風第7号、第11号、第9号、第10号及び前線に よる大雨・暴風」 大雨で土砂が流入した水田(岩手県) 強風で倒木したりんごの木(岩手県) 猿さるヶが石いし川がわの氾濫により大破した ビニールハウス(岩手県) (沖縄県から中部地方にかけて被害をもたらした台風第16号) 台風第16号は、平成28(2016)年9月17日に沖縄県与よ那な国ぐに島じま付近を北上した後、東 シナ海を北東に進み、20日に非常に強い勢力で鹿児島県大おお隅すみ半はん島とうに上陸、その後も勢力 を弱めることなく日本の南海上を東北東に進み、和歌山県田た辺なべ市し付近に再上陸後、20日 夜に静岡県沖で温帯低気圧に変わりました(図表4-1-14)。 台風第16号に伴う大雨等では、沖縄県から中部地方にかけて広い範囲で被害が発生し、 このうち農業関係の被害額は147億円に上りました(図表4-1-15)。 4

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図表4-1-15 台風第16号による被害状況 (単位:億円) 被害数 被害額 農作物等 農作物等 17,899ha 21.9 家畜の斃へい死し 215,053頭羽 1.4 農業用ハウス等 1,596件 4.7 畜舎等 298件 7.1 共同利用施設 153件 1.5 農地・農業用 施設関係 農地の損壊 2,550箇所 51.1 農業用施設等の 損壊 1,656箇所 58.8 計 146.6 資料:農林水産省調べ 注:1)平成28(2016)年12月2日時点 2)被害額は、各都道府県からの報告を取りまとめたもの 図表4-1-14 台風第16号の経路 140 20 20 30 120 30 160 150 1616 130 12/SEP 1616 13 14 16 15 18 17 19 20 資料:気象庁資料 TROPICAL CYCLONE TRACKS 強風で枝が折損したかきの木 (和歌山県) 大雨で冠水した水田(高知県) 強風で茎葉が損傷したねぎ(徳島県) (災害対策本部の設置) 農林水産省では、平成28(2016)年9月1日に農林水産大臣を本部長とする緊急自然 災害対策本部を設置しました。また、同年10月7日に台風第7号、第11号、第9号、第 10号による被害に対して「平成28年台風による被災農林漁業者への支援対策」を公表し、 10月21日には、台風第16号による被害についてもこの支援対策の対象に追加しました。 さらに、政府は、同年9月23日に台風第7号、第11号、第9号、第10号による災害に ついて、同年10月26日に台風第16号による災害について、それぞれ激甚災害に指定し ました。 この激甚災害の指定により、農業関係では、全国を対象に農地、農業用施設、共同利用 施設の災害復旧事業について、被災農業者等の負担軽減を図りました。 (共済金の早期支払と融資の負担軽減) 農業共済について、損害評価を迅速に行い、共済金の早期支払を実施するとともに、加 工用農産物のうち倒伏等により工場に出荷できる品位を満たさないものについて、適切な 損害評価と共済金の支払を実施しました。 運転資金や施設復旧資金の調達に向けて、制度資金等の貸付利子を貸付当初5年間実質 無利子化、資金借入時の債務保証の保証料を保証当初5年間免除するとともに、農業者の 経営再開に向けて、既往融資の償還猶予等の措置を適切に講じるよう関係金融機関に要請 を行いました。

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(生産活動再開に向けた支援) 被災農業者の生産活動の再開に向けて、耕種部門においては、必要な追加防除、ほ場残 さの除去、種子の確保、追加的な堆肥の投入等に要する経費の助成、果樹と茶では、さら に植え替えやこれにより生ずる未収益期間に要する経費の助成を措置しました。 また、畜産部門においては、畜産農家の資金繰りを支援するため、経営安定対策事業の 積立金等の納付免除や納付期限の3か月延長等を実施するとともに、酪農・畜産農家の経 営継続支援のため、粗飼料の購入経費や家畜導入に要する経費等の助成を措置しました。 (農地、農業用施設、共同利用施設等の復旧に向けた支援) 被災農業者が経営を維持していくために必要な農産物の生産施設の復旧、農業用機械の 取得等に対して支援を行いました。 農地、農業用施設、共同利用施設の早期復旧を支援するため、査定前着工制度を活用し た災害復旧事業への取組や、農林水産省職員の現地派遣による技術的支援等を行いまし た。 (復旧・復興は着実に進展) 農林水産省では、一連の台風で被災した農業者の速やかな経営再開に向け、平成28 (2016)年度第3次補正予算を活用して支援等を行いました。被災地域では、査定前着工 制度を活用した災害復旧事業に取り組み、被災した選果場、農産物処理加工施設等の共同 利用施設のほとんどが復旧を完了しました。また、農地、農業用施設は、降雪前に災害復 旧事業に着手するなど、復旧・復興は着実に進展しています。

(3)平成28年度に発生したその他の自然災害

ア 6月6日から7月15日までの豪雨による災害

(全国に被害をもたらした「6月6日から7月15日までの豪雨による災害」) 平成28(2016)年6月19日から25日にかけて、日本列島に停滞した梅雨前線上を低 気圧が次々と通過した影響で、西日本を中心に豪雨となり、土砂災害、浸水害等が発生し ました。これ以外にも、梅雨前線の影響による豪雨が度たび々たび各地を襲い、6月6日から7月 15日までの豪雨により、東北地方から沖縄にかけて広い範囲で大きな被害が発生し、農 林水産被害額は609億円となり1、このうち農業関係の被害額は366億円に上りました (図表4-1-16)。 1 農林水産省調べ 4

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図表4-1-16 豪雨災害による被害状況 (単位:億円) 被害数 被害額 農作物等 農作物等 902ha他 7.4 家畜の斃へい死し等 13,000羽他 0.0 共同利用施設 15件 0.1 農業用ハウス等 338件 2.0 畜舎等 2件 0.0 農業用機械 25件 0.2 農地・農業用施設関係 農地の損壊 13,807か所 189.2 農業用施設等の損壊 7,099か所 166.7 計 365.7 資料:農林水産省調べ 注:被害額は、各都道府県からの報告を取りまとめたもの 土砂が流入した水田 (大分県) 法面崩落により土砂が流入した水田(鹿児島県) 土砂崩れにより損壊した用水路(熊本県) 土砂が流入した水田(宮崎県) 政府は、同年8月18日に、6月6日から7月15日までの豪雨による災害について、激 甚災害に指定しました。この激甚災害の指定により、農業関係では、農地、農業用施設の 災害復旧事業について、被災農業者等の負担軽減を図りました。また、運転資金や施設復 旧資金の調達に向けて、制度資金等の貸付利子を貸付当初5年間実質無利子化、資金借入 時の債務保証の保証料を保証当初5年間免除するとともに、農業者の経営再開に向けて、 既往融資の償還猶予等の措置を適切に講じるよう関係金融機関に要請を行いました。 さらに、農地、農業用施設の早期復旧を支援するため、査定前着工制度を活用した災害 復旧事業への取組や、農林水産省職員の現地派遣による技術的支援等を行いました。この ような取組により、復旧・復興は着実に進展しています。

イ 鳥取県中部を震源とする地震

(鳥取県と岡山県に被害をもたらした「鳥取県中部を震源とする地震」) 平成28(2016)年10月21日、鳥取県中部の深さ11kmの地点を震源とするマグニ チュード6.6の地震が発生しました。鳥取県倉くら吉よし市し、東とう伯はく郡ぐん湯ゆ梨り浜はま町ちょうと北ほく栄えい町ちょうでは最大震 度6弱を観測しました。 この地震による、鳥取県と岡山県での農林水産被害額は16億円となり1、このうち農業 関係の被害額は14億円に上りました(図表4-1-17)。特に、鳥取県では、この地震によっ て晩ばん生せいの大玉品種のなしが落果する被害が発生しました。また、鳥取県内のなしやすいか の選果場、ライスセンター等の共同利用施設においても被害が発生しました。 1 農林水産省調べ

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図表4-1-17 鳥取県中部を震源とする地震の被害状況 (単位:億円) 被害数 被害額 農作物等 農作物等 9ha 0.6 農業用ハウス 40件 0.5 畜舎等 33件 0.7 共同利用施設 22件 5.0 農地・農業用施設関係 農地の損壊 180箇所 1.9 農業用施設等の損壊 444箇所 5.5 計 14.2 資料:農林水産省調べ 注:1)平成28(2016)年12月16日時点 2)被害額は、各都道府県からの報告を取りまとめたもの 落果したなし(鳥取県) 損壊したすいか選果機 (鳥取県) 損壊したなし選果機(鳥取県) このため、農業共済について損害評価を迅速に行い、共済金の早期支払を実施するとと もに、農林水産省では、農地、農業用施設、共同利用施設の早期復旧を支援するため、査 定前着工制度の関係地方公共団体等への周知を行いました。 施設を所有する農業協同組合では、農産物の選果や保管等に間に合うよう査定前着工制 度を活用し、共同利用施設の復旧工事を進めています。この結果、災害復旧事業の対象共 同利用施設12施設のうち、7施設が平成29(2017)年に再稼働する見込みとなるなど、 復旧・復興は着実に進展しています。 4

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鳥取県中部を震源とする地震では、収穫直前の王おう秋しゅうやあた ごといった700g以上の大玉のなしが、地震の揺れで落果し、 被害面積は約9haで被害額は約6千万円に上りました。落果 して傷がついたなしは、商品として流通させることは困難で すが、収穫直前であったため、味が良く、すぐに食べるので あれば特段の問題はないことから、なしを購入して支援しよ うとする動きが全国各地で広がりました。 東京都 港みなと区くは、落果したなしを購入して、区立小中学校 や保育園に給食用やおやつ用として提供したほか、区内のイ ベントで無料配布と義援金の受付を行いました。 岡山県真ま庭にわ市しでも、落果したなしを購入し、市内の保育園や幼稚園、市立小中学校など56 の施設に給食用として提供しました。 また、鳥取県は、鳥取県中部地震復興プロジェクトとして、地震で落ちなかった王おう秋しゅうを「合 格まちがい梨」、さらに大玉のあたごを「もっと合格まちがい梨」と名付け、急斜面に建てられ、 地震でも崩れなかった国宝「投なげ入いれ堂どう」に関連した県内のお寺のお守り、県内の縁起の良い名前 の神社をデザインした手ぬぐいと3点セットにして、「桜咲く」にちなみ3,939円で販売する 取組も行いました。

コラム

全国各地に広がった支援の輪(鳥取県ほか)

3点セット

ウ 冬期の大雪等

(東北地方から中国地方にかけて被害をもたらした「大雪等」) 平成28(2016)年度冬期の大雪等により、東北地方、近畿地方、中国地方を中心に広 範囲に雪害が発生し、農林水産被害額は55億円1となり、農業関係の被害額は45億円に 上りました(図表4-1-18)。 図表4-1-18 大雪による被害状況 (単位:億円) 被害数 被害額 農作物等 農作物等 443ha 4.1 樹体 1,020ha 2.6 家畜 1,023頭羽 0.0 生乳 3t 0.0 農業用ハウス 5,407件 33.6 畜舎等 155件 4.3 共同利用施設 19件 0.4 農地・農業用施設関係 調査中 計 45.0 資料:農林水産省調べ 注:1)平成29(2017)年4月4日時点 2)被害額は、各都道府県からの報告を取りまとめたもの 1 農林水産省調べ

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損壊したぶどうのハウス (鳥取県) 倒壊したキャベツの ハウス (秋田県) 折損したりんごの木 (山形県) 倒壊したしゅんぎくのハウス(兵庫県) 農林水産省では、降雪に先立ち、大雪や寒害による園芸作物の被害防止に向けた技術指 導の徹底、農業共済の迅速かつ適切な損害評価の実施について関係地方公共団体等に通知 を発出しました。 加えて平成29(2017)年3月には、被災された農林漁業者の方々が、一日も早く経営 再開できるように、災害復旧事業の促進、共済金等の早期支払、農業用ハウス等の導入の 支援、被災果樹等に対する支援対策を公表しました。 4

参照

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