ルシャトリエの原理-香川大学学術情報リポジトリ

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ルシャトリェの原理

藤 本 秀 雄 目 次 Ⅰ..緒 言 ⅠⅠ‖ システム論的アブローサ Ⅰ汀.双対性アプローチ ⅠⅤ−レオツチーエフ体系における原理 Ⅴ..非線型拡張 ⅤⅠ小 結 語 Ⅰ. 経済理静ではしばしば,ある制約条件の下で目的関数を最大化させたり,最 小化させる場面がある。そL・て,その極値状態が均衡であることが多い。この ような分析原理は元来物理学から借用してきたもので,力学では古くから最小 作用の原理が知られている。また,静力学でほポテンシャル・エネルギ・−・極値 の状態が平衡である。物理化学や熱力学でも均衡あるいは平衡状態は極値条件 で規定しうる。例えば,断熱系でほユ・ソトロピ・一最大が平衡条件であり,等温 専横の閉じた系ではヘルムホルツの自由エネルギ・一最小が平衡条件である。 さて,経済理論で重要な問題として,与えられた条件が変化した時,均衡状 態がどのように変化するか,というのがある。この分野は㌧比較静学あるいほ比 較動学として,常に大きな研究テ・−・マである。物理学や化学においても,比較 静学ほ重要なテ・−・マであり,そして,そこでほルシャトリェ・の原理という大へ ん有用な法則がある。 ルシャトリエの原理 平衡状態にある系に対して,一・つの作用を加え平衡状 態を乱したとする。すると,平衡状態はこの作用を打消す方向へ変化する(〔4〕 参照)。 この原理は異なる分野では,異なる名前をもらっていることがある。電磁気 学におけるファラディの法則はその例である。

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香川大学経済学部 研究年轍19 ユタ79 ー202− このルシャトリェの原理を経済学に導入したことは,サミコいエ・ルソン〔ニ11〕 の功原の一つである。彼に続いて,多くの経済学暑がルシャトリェ・の原理の拡 張や応用に取組んできた。そして,時折これらの結果は経済学から物理,化 学,数学の方へ逆輸出されている。 さて,本稿でほ上記の研究結果を紹介し,加えて若干の応用例を示すことに する。その構成はおおよそ次のようである。ⅠⅠ節では,棲めて−L般的な枠組の 中で大局的な原理を証明して与える。物理学に・おける元々のルシャトリェ・の原 理ほ,局所的なものである。すなわち,平衡状態を乱す作用ほ微少なものでな ければならなか、つた。しかし,ⅠⅠ節でほ大局的な原理を扱う。この結果ほ,●ア イヒホルンとェ・ツトリによるものである。次に,ⅠⅠⅠ節では,ルブランとメ・−セ ケによる研究を紹介する。それほ凸計画問題の双対性を利用するものである。 しかし,彼らの結果の一部は実は線型の場合,森嶋〔10〕によって己に・得られ ていたものである。ⅠⅤ節でほ森嶋によるレオソチェフ体系における原理を2 次元の場合に.視覚化して扱う。この原理ほ一児,極値問題とほ無関係に思える が,実はそうではない。レオンチェフの基本方程式ほ一・つの計画問題として解 きうるのである。Ⅴ節でほ.これを利用して,森嶋の結果を非線型の場合に拡張 する。しかし,Ⅴ節では詳しい数学的証明の代わりに,そのアイディアを説明 する。ⅤⅠ節では若干の応用例を述べることに.しよう。 ⅠⅠ. 本節でほ,アイヒホルンニエ・ツトリ〔1〕によるルシャトリェ・の原理の定式化 を紹介する。簡単な枠組であり,証明も容易であるが,その結果は,−・般的か つ大局的なものである。そして,それ故に有用である。というのは元来のルシ ャトリコLの原理は,極値条件のうちの2次条件(2次導関数あるいはへッシア ン)を利用した局所的なもので,与件の変化が微少な時だけしか使えなかった からである。 まず,記号を説明しておこう。 ズ:任意の集合, d:任意この集合, A:.Xの部分集合,

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ー20∂− ルシャーリエの原理 β:dの部分集合, ダ:直積Axβの上の実数値関数, 〃(ス)…(影∈Alダ(ガ,ス)=infダ(飢ス)〉。 V∈A 〝(ス)ほ′くラメ叫夕集合dの中の1要素かを固定しておいて−,yがAの中を 動いてダを最小にするようなAの要素の集合である。

ぎて,以上の簡単な枠組のみで,次の定理を証明できる。これは,確かに一−

般的なルシャトリエの原理と呼びうるものである。 定理1.jI∈β,j2∈β,∬1∈〟(jl),∬2∈〝(jりとする。すると, ダ(が,ス2)−ダ(が,ス1)≦ダ(ガⅠ,ス2)−ダ(ぉl,ス1) が成立する。上武で等号が成立するのほ, が∈凡才(ス1),ガ1∈〝(スりの時のみである。 証明 ∬1∈〝(ス1)だから ダ(ガⅠ,ス1)≦ダ(ガ2,ス1)。 また,ガ2∈∬(j2)だから ダ(ガ2,ス2)≦ダ(ガ1,スり。 上の2個の不等式を辺々加えて,両辺からダ(∬1,スり+ダ(ぉ2,ス1)を引くと,定 理の式を得る。等号が成立するのは,上の2個の不等式で共に等号が成立する 時であるが,それほ無論,定理.の条件が成立する場合である。(証明終) 上の定理の応用を1例,その説明を兼ねて挙げておく。この例はサミュ.エル ソンによるものである。 定理2.集合ズとdは共にれ次元ユ・・−・クリッド空間点れとする。そして, ♪’は ダ(ガ,ス)≡G(ガ)+ス・∬ とする。この時,jl∈草,ス2∈β,ガ1∈〟(ス1),が∈〟(ス2)ならば (ス2−ス1)・(∬2−・α1)≦0 が成立する,等号は,が∈〟(ス1),ガ1∈〝(ス2)の時のみである。但し,ス・ガは

ケも 内横∑毎勘を意味する。

i三l 証明 定理1を適用すれば,定理2は直ちに出てくる。 (証明終)

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香川大学経済学部 研究年報19 ー204− Jタ79 注意 以上の定理で〟(ス)ほダが最小になるAの要素の集合としたが,最 大に・なるものの集合とする時は,定理の中の不等号は逝向きとなる。証明ほ全 く同様にして遂行できる。 定理2の経済学的意味を最も簡単な場合に.おいて説明しておこう。ア(ガ,ス) ≡ス・打とする。そして,ス1からス2への変化ほス11(ス1の第1要素)が,ス12へ と減少しただけで,他の要素は不変とする。ここで,次のような解釈を行って おく。我々の経済にほ何種輝かの財があり,それらを生産するために彿種棋の 生産工程があるとする。ガ∈月.%なるガは活動水準ベクトルと呼ばれ 打電が鈴 五番目の工程の活動(すなわち使用)の度合を示す(ここでR.れはR%の非負 象限を表わす)。一・方,んは第宜工程を活動水準1単位.で使用する時の労働投 入量と考.え.る。また,規模に対する収橙不変を仮定しておく。さて,Aをある 所望の最終需要を満たすための活動水準べクレレ芳の集合とする。すると, 〝(ス1)は労働投入ベクトルがス1の時に,所望の最終需要を実現しつつ,総必 要労働量ス・ガを最小化する活動水準ベクトルの集合である。ス11の月12への減少 ほ第1工程において,労働投入量を減らす技術進歩があったと考えればよい。 定理2はその時, (ス12一月11)・(ガ12一打11)≦0, すなわち,∬12≧ガ11となることを意味している。要するに.,第1エ程に・おいて 労働を節約する技術進歩があれば,総必要労働最小化のためには,その工程を より強度に.使用することほあれ,決してより少なく使うように.はならないとい うことである。自明のようでもあるし,そうとも言い切れない複雑な内幕もあ る。その少し複雑な例として,もう1個アイヒホルン=エ・ツトリ〔1〕に・よるも のを述べておく。 定理3.ダ≡G(ガ)+お£j打とする。ここでお∈A⊂点?,スは≠×外の英対称 行列とする。 ガは列ベクトル,がほ行ベクトルを表わすとする。さて,ガ1∈〝(ス1),が∈〝 (ス2)ならば, (が−∬l)‘(ス2−ス1)(が+ガ1)≦0 が成立する。

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ルシャトリエの原理 ・−205− 証明 定理1から直ちに出てくる。 (証明終) この定理3も,簡単な経済学的解釈をくっつけることができるが,〔1〕を参 照されたい。 ‥円拍= 本節では,凸計画問題の鞍点定理を巧みに使ったルブラン=メ・−セケ〔7〕の 方法を簡単に紹介する。計画問題の双対変数を利用するので,仮に・双対性アブ ロ・−チとして−おいた。 まず,次の問題(P)を考える。 (P)minf(x)subjecttox∈A≡(x∈X(h(x)≧bl)。 ここで,ズほRルの凸開集合,′は点叩からRへの凸関数,九は点れから忍肌 への凹ベクトル関数,わ1は別次元ベクトルとする。′,ゐ,若あ1ほ全て与えら れたものである。 まず,スレ一夕ーの条件を仮定しておく。すなわち,九(∬0)>ら1なる∬○が Ⅹの申にあるということである(ベクトル比較のための不等号は通常の意味で 用いている。>は全ての要素において左側のベクトルが大きいことを示し,≧ は≧であるが=でもないことを表わす。く,≦も同じように用いる)。さて, がが問題(P)の1個の解とすると,宇沢の鞍点定理ほ次のようになる。 定理4.がが(ア)の解であるための必要十分条件は,財*∈虎勒が存在し て,(∬*,財*)がラグランジュ.関数 エ(ぉ,財)≡′(∬)+y(ろ1−ん(打)) の鞍点となることである。 この定理の証明は例えば,0.Mang■aSarian,“飾れ乙宜彿βαγPγ0♂γα例刑宜彿g,” MeGraw−Hi王Ⅰ,1969年の5牽を見られたい。さて,故点であるというのは, ′(ガ)+財*(む1一九(ガ))≧′(が)+財*(む1一九(が))≧′(が)+y(み1一九(が)) ・‖‥・(3‖1) が,全ての打∈考y≧0について成立することである。(3・1)式から容易に, 財*(わ1一九(ガ*))=0 ‥‥1‥(3・2) が出る。 さて,与件のががみ2に変化した時の(P)の解をな**,ラグランジェ乗数

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香川大学経済学部 研究年報19 J97タ ー206− をy**とする。やほり鞍点定理により, ∫(ガ)+財**(み2一九(ぉ))≧′(が*)+財**(わ2−ん(が*)) ≧′(ぉ**)十財(む2−ん(が*)) が,全てのガ∈考 財≧0について成立し,また, 〃**(あ2・一九(が*))=0 ‥・r・(3・3) (3.4) が出る。 定理5.(財**一財*)(が−あ1)≧0 証明(3.1)のガ,財に∬**,財**を代入して,(3.2)を㌧使うと, ′(∬**)+財*(あ1一九(ガ**))≧ノ■(が)≧′(が)+財**(み1−ん(が)), となる。同様に(3u3)のガ,yにガ*,財*を代入して,(3・4)を使うと, ′(が)+財**(が−ん(ぉ*))≧′(ガ**)≧./(が*)+封*(わ2一ん(∬**)), となる。この2個の不等式を辺々加えて,整理すると定理の結果となる。 (証明終) この結果ほ一・見,定理2と似て−いるが,そうではない。ⅠⅠ節では/ミラメ”・・・・タ スは目的関数に含まれていたが,本節ではパラメ1−・タわは許容集合Aに関係 している。また,定理2ほ/くラメ・一夕の変化と解∬の変化を直接結びつけてい るが,定理5ほパラメ・一夕変化と双対変数yの変化を結びつけるものである。 定理5の経済学的解釈を与えておく。定理2の場合と同様,経済に別種の財 と%種の生産工程があるとする。ガは活動水準ベクトルであり,ん(ガ)が各財 の生産量を表わす生産関数,わが所望の最終需要ベクレレ,∫くガ)が総必要労 働を示す関数と考えてみよ。この時,双対変数財は各財の潜在価格とも見なし うるものである。定理.5は,第官財のみ.の最終需要が増加した時,その潜在価 格財‘が上昇するか,不変であることを意味する。これまた,自然な結果に思 えるであろう。 ⅠⅤ. 今までは,最適化問題に関連して,ルシャトリェ・の原理が定式化されてき た。この原理ほ,特殊な連立方程式体系の解とそのパラメ・一夕の間にも成立す るのである。例えば,線型のレオンチェフ基本方程式においてである。このこ とは,サミュ.・エルソン〔12〕で述べられたが,それを初等的に美事に証明した

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ルシャトリエの原理 −207−

のは森鴨〔9〕である。本節ではそれを詳しく紹介することほやめて,2次元の

図を使って,その内容の1部を目で見てみ.ることにする。

さて,Aをレオンチェフの投入行列で彿×れとする(本節の場合,彿=2と

考えればよい)。∫を循次元単位行列,み1を他次元の最終需要べクレレとす る。レオンチェフの基本方程式ほ, ∬=A∬+が,ガ∈点十弗 である。この式は (∫−A)ズーわ1=0, ……(4・1)

と尊ける。もし,(トA)お>0なるガ≧0が存在すれは,(4・1)式ほ任意の

わ1≧0に対して非負の解を持つ。この条件ほ,アローの条件とか,生産性の条

件とか言われるが,要するにり 全ての財を純生産できるような活動水準ベクト

ルが存在することを意味する。本節でほ,この生産性の条件を仮定する。

さて,2次元の場合に(4.1)式を詳しく番いておこう。 ( …・・(4・2) 簡単化のためにり勘′>0,わ名1>0(全ての宜,ブについて)と仮定しておく。 (4..2)は, ・・∴ _

/≡、:二二_一二二、÷.、

と変形される(分母の(1−α電卓)は生産性の条件により正である)。これを図示

すると図−1のようになる。∬1*, ∬2*が(4・2)の解である。

さて,今わ1Ⅰがわ12へと増加したとしよう。む22ほ不変で元のあ21と同じとす

る。この場合の(4,3)式を図−1に重ねたものが,図−2であり最終需要/くラメ

−タわ2となった時の(4.2)式の解ほガ1**,ガ2**で示している。この図−2か ら種々の命題が出てくる。 命題1.ガ1**一打1*>0,ガ2**−∬2*>0。

証明は必要ないであろう。第1財の需要が増加したら,両部門共にその活動水

準を上げなければいけないのである。ここで,打2の方も増加しなくてはならな

いのは,α21が正であるからである。すなわち,第1産業が第2財を投入物と

して必要とするからである(もし,α2.=0ならば,(4・3)式の第2式が表わす

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−よ)β− 香川大学経済学部 研究年報19 ヱ∂7タ 直線ほ,諾1軸に平行となって,図−・2から叛推できるように,∬2**=ガ2*とな り活動水準は不変である)。このことは・−・般の%産業の場合,Aの分解不可能 性の条件として知られている。次に, 命題2.α1**/ガ1*>ガ2**/ガ2*。 証明 点P,Q,S,Q′,S′を図−・2のように定める。すると, ガ1**/ガ1*=PS′/PQ′=PS/PQ=(∬2**−OP)/(訂2*−rOP)>ガ2**/ガ2*。 (証明終) この定理は,第1財の最終需要が増加した時,両部門共その活動水準は上昇 するのだが,第1財を生産する部門の方が,その上昇率が大きいことを意味し ている。 命題3.む1があ2になった時,ガ2*は不変に保って,(4.2)式の第2式の成 立ほ・あきらめ,第1式のみを成立させる∬1をお群と凄けば, ガ更誉<ガユ** である。 この証明も図−2から明らかであるので省略する。この定理の意味は,第2産業 がその活動水準を変えないことが政策的に望ましい時,あるいは,変えるのに 大へん長時間を要する時は,第1産業の活動水準の上昇率は低まるということ である。もちろん,この時,第2財は外国から借りてくるか,もしくは強制的

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ルシャトリエの原理 −∴斑博一 にあ21から引き下げる必要がある。 Ⅴ. 本節では,ⅠⅤ節の結果の非線型拡張について述べる。図−・1,2からわかるよ うに,ⅠⅤ節の諸命題を得るためには,方程式が線型でなぐてもよい,すなわ ち,図の線は直線でなぐて図−3のような曲線でもよい。また,前節の記号で 園・−3 言うならば,あ1の要素の変化(すなわち,最終需要の変化)だけでなく,Aと いう技術係数の変化についても,ルシャトリェ・の原理が証明できそうだという ことが,図−・2からわかる。そこで,本節では(4・1)式を−・般化した ダ(ガ;e)=0 ……(5・1) という非線型方程式の解ガ∈月.%とパラメ1一夕¢∈C⊂月刊との間のルシャト リュ・の原理笹ついて考えてみる。関数ダは詳しく凄くと, ダ(ガ;¢)≡(ダ1(ぉ;¢),い…,j㌔(ガ;β)) で,点.犯から点れの中へのベクトル健闘数である(すなわち,各ダ‘は実関数 である)。 以上の非線型化のアイディアに対して,第2のアイディアは,方程式(4・1) あるいは(4.2)を最適化問題を通じて解くということである。これは藤本〔2〕

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香川大学経済学部 研究年報19 ヱ∂79 ・・−2JO−

でも利用されているが,この方法で,解の性質の特徴付けが非常に簡単化する

ことがある。(4.1)式の場合で説明すると.,その解ほ,次の間題の最適解とし

て得られる。

(問題)minxl+X2Subjectto(Z−・A)x−bl≧0,α∈R.n。

この間題の許容ベクトル集合は,図−・1の斜線を施した部分である。よって,最

適解が方程式(4.1)の解であることほ.,固より明白であろう。また,生産性の

条件はスレ・一夕・−の条件と見なしうる。さて,以上2個のアイディアを用い

て,(5.1)式の解に関するルシャトリェ・の原理.を考察できる。

まず,我々は関数ダに関して,連続性のほかに次の諸仮定を置く。それら

は曲線が図−3のように極端に歪むことなく,唯一の解を保証するための仮定

である。 Al.ダ(0;¢)≦0,全ての¢∈Cに対して。

A2.任意のβ∈Cに対して,ダ(ガ;¢)≧0となる∬∈R+れが存在する。

A3.任意の¢∈Cと添数集合(1,2,……,≠)の真部分集合アが与えられた

とする。2個のベクトルガ,財∈月+れが,ガ£=眺(宜∈P),ガブ>財.ブ(錘ア)

を満たせば,ダ‘(宜;¢)≦ダ£(封;¢)が全ての宜∈Pについて成立し,し

かも1個は厳密な不等式が成立する。(すなわち,分解不可能性)。

A4.任意のe∈Cに対し,もし,ダ(∬0;¢)≧0ならば,た>1なる任意のス

カラ・−・ゐに対し声てた∬0;¢)≧0となる。

以上の仮定ほ,線型レオ・ソチェ■7・モデルの基本方程式ダ(ガ;み)壷(∫−A)∬−わ

において,Aが分解不可能で生産性の条件を満たす時,全て満足される。我々

のダはもっと−・般的に非線型でよいし,/ミラメ・−・タeの次元も任意なので,わ

だけでなくAの係数もパラメ1−タ化できるのである。このため,我々のルシ

ャトリェの原理は,最終需要の変化だけでなく,技術係数の変化も扱いうるの

である。

さて,上記の仮定の下で,ダ(∬;¢)=0は,任意の¢∈Cに対して唯一・の正

の解∬を持つことが証明できる(証明についてほ藤本〔3〕を見られたい。以下

他の証明についても同様である)。今,C*,¢1∈Cという2個のβをとり,それ

に対応するダ(霊;c)=0の解をそれぞれがと∬1とする。すると,次の定理.が

成立する。

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ルシャトリエの原理 一2JJ− 定理6.もし,ダ(∬*;cl)≦0ならばぉ*<∬1。これはⅠⅤ節の命題1の拡張 である。 我々はⅠⅤ節の命題3の拡張も証明できる。それに・ほ仮定3,4をもう少し強 くする必要がある(〔3〕参照)。さて,ⅠⅤ節の命題2について言えは, ダ(ガ;β)≡A(∬)−¢ という場合であ1り,しかも,各A‘(ガ)が1次同次である 時,命題2の非線型拡張ほ容易に示せる。ダがA(ガ)−Cの形の時は,サンド バ・−・グ〔13二〕によって,己に取り扱われている。彼はA電(ガ)の微分可能性を仮 定し,そして証明においては,ゲー・ル=ニ階堂の定理を用いているが,藤本〔3〕 では微分可能性ほ不必要だし,行列式の理論さえも用いていない。この簡単化 は,上記で述べた最適化問題を利用し,ダ(ガ;¢)=0を解いたことによる。 本節の最後に一言追加しておこう。仮定AlからA4の下で,ダがA(ガ)−G の形の時,A(ガ)は実は〟関数と呼ばれるものになる。この種の関数ほ,更 に」㍉関数,5関数と呼ばれるものと関連していて非常に・興味深い対象である。 これらについてほ,モレ=ラインボルト〔8〕を見られたい。 ⅤⅠ. んシャトリェの原理の応用範囲は,ミクロ,マクロの分野を問わず広い。ミ クロの消費者選好,企業理論についてほ楠本〔5,6.〕を見られたい。これほⅠⅠ節 の結果と関連している。マクロ的計画問題への応用では森嶋〔10,4章二〕を見て もらいたい。これはⅠⅠⅠ節の結果と関連している。ⅠⅤ,Ⅴ節の結果も価値理 論,均衡理論に使われている。非線型の場合,外部性や収獲逓増をある程度許 容できるので,原理の適用範囲が広一められた訳である。今後の課題の一・つは, ルシャトリ.ェの原理をぶ関数の体系に拡張することであろう。もちろん,その 際,原理ほ〟関数に関するものより弱くなる。 〔参考文献〕

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