東京税関 業務部
首席関税評価官
平成27年5月27日
輸入者のための
関税評価セミナー
1はじめに・・・
輸入申告に必要な主な事項
① 誰が ・・輸入者
② 誰から ・・輸出者
③ 何を ・・税 番
④ どこから・・原産国
⑤ いくつ ・・数 量
⑥ いくらで・・価 格
品目分類
原産地規則
関税評価
関税額
課税価格
関 税 率
【根拠規定】関税定率法、関税定率法施行令、関税定率法基本通達=
×
関税評価
品目分類・原産地規則輸入貨物には関税が課される
【関税法第3条】 2輸入貨物の課税価格を法律の規定により決定することです。
○課税価格の決定方法とは
Ⅰ.原則的な課税価格の決定方法
Ⅱ.原則的な課税価格の決定方法によることができない
貨物の課税価格の決定方法
○評価申告とは
「関税の納税申告の一環として行う、課税価格の計算に関 係のある事項についての申告(仕入書等により課税価格が明 らかでない場合に、課税価格の計算の基礎及びこれに関連す る事項を輸入申告書に記載して申告すること)」をいいます。関税評価制度の概要
3どの規定を適用して、輸入貨物の課税価格を
計算すべきか。
(1)輸入取引無
(2)特別な事情有
(3)課税価格の疑義有
原則
原則外
輸入取引
(輸入売買)有
定率法第4条第1項
定率法第4条の2以下
課税価格の決定の原則
4課税価格の決定の原則
課税価格(取引価格)
+
①仕入書価格
②仕入書価格以外の
現実支払価格の
構成要素
③控除すべき費用等
④価格調整条項付契約
①輸入港まで運賃等 ②仲介料等の手数料・ 容器・包装費用 ③無償・値引き提供し た物品等の費用 ④ロイヤルティ・ライ センス料 ⑤売手帰属収益【
定率法第4条第1項】加 算 要 素
現実支払価格
5買 手
(本邦)
売 手
(外国)
売 買 貨物代金誰と誰の売買により輸入取引が行われているのか。
貨物、仕入書 【定率法基本通達4-1(1)(3)】輸入者
課税価格
輸出者
課税価格の決定の原則
「輸入取引」「売手・買手」とは
◇国際間の移動を伴う売買であり、本邦保税地域内での転売は輸入取引 に該当しません 6輸入貨物につき、買手により売手に対し又は売手のために行わ れた又は行われるべき支払の総額(買手により売手のために行わ れた又は行われるべき当該売手の債務の弁済、その他の間接的な 支払の額を含む。)をいう。【定率法施行令第1条の4】
●通常は、現実支払価格=仕入書価格
(定率法基本通達4-2(3))●
現実支払価格≠仕入書価格
⇒割増金、契約金等の別払い、クレーム求償額、
賠償金との相殺、貸付金、立替金との相殺 有償提供した機械の代金との相殺等現実支払価格
7仕 入 書 価 格
減算 要素 =現実支払価格 別払金等売買
(50,000円)貨物代金
(50,000円)貨物、仕入書
(50,000円) 【定率法基本通達4-2(1)】買 手
(本邦)
売 手
(外国)
仕入書価格に基づき貨物代金を支払っている場合
課税価格=仕入書価格(50,000円)現実支払価格
現実支払価格
8貨物、仕入書
(50,000円-値引5,000円)貨物代金
(45,000円)売買
(初回購入10%値引)買 手
(本邦)
売 手
(外国)
輸入貨物を初回購入する際に値引がある場合
課税価格=値引後の仕入書価格(45,000円)現実支払価格
9開発費の請求
開発費支払
(10,000円) 貨物、仕入書(50,000円) 貨物代金(50,000円) 売買(50,000円) 【定率法基本通達4-2(3)イ、4-2の2(1)】買 手
(本邦)
売 手
(外国)
課税価格=仕入書価格(50,000円)+ 開発費(10,000円)輸入貨物の輸入取引をするために別払金を支払っ
ている場合
現実支払価格
10過払金
(20)不足金
(20) 貨物、仕入書(仮価格100) 貨物代金(仮価格100)売買(価格調整条項付)
【定率法基本通達4-2(3)ニ、4-2の2(2)(3)】買 手
(本邦)
売 手
(外国)
課税価格=仕入書価格(100)± 調整額(20)輸入後に最終的な売買価格が決定される場合
現実支払価格
11イ 材料・部分品 ロ 工具・金型
売手帰属
収益
4号 特許権等
3号 物品・役務
手数料・
容器・包装
1号 運賃
加算要素
ハ 消費物品 ニ 技術・設計 ハ 包装 ロ 容器 イ 手数料2号
5号
加算要素
【定率法第4条第1項第1号~第5号】 ●運賃等の額の加算は、客観的かつ数値化された資料に基づいて行う。(通達4-7(2)) 121号 運賃
本
邦
輸
入
港
輸
出
国
コンテナー 賃借料 輸出港船 積費用 輸出時 手続費用 輸出国 国内運送 費用運賃
保険
運送関
連費用
実際に要した運送費用をいい、輸入貨物の輸出港
までの運送費用を含む
実際に要した保険料をいい、当該輸入貨物の輸
出港までの運送に係る保険料を含む
輸入貨物の輸入港までの運送に付随して発生す
る費用
加算要素
運賃(運賃・保険料)
13運送取扱人に支払う輸出港における
コンテナー・ターミナル・チャージ
課税価格 = 仕入書価格 + 運賃+コンテナー・ターミナル・チャージ 【定率法第4条第1項第1号】買 手
(本邦) 貨物代金売 手
(E国)運送取扱人
(本邦) 雑貨・仕入書(FOB) 運賃 コンテナー・ターミナル・チャージ(輸出港) 運送契約 (参考) 輸入貨物の輸入港到着後にコンテナーヤードで発生する荷役作業の費用 は含まれない ・ B/Lに運賃の他に当該費用が記載されており、買手は、 運送契約を締結した運送取扱人に当該費用の額を支払っ ている。その費用は、輸出港のコンテナヤードにおいて行われ た輸入貨物の荷役作業に係るもの。 142号 手数料・容器・包装
輸入取引に関して業務を行う者に対し買手が支払
う手数料(買付手数料は除外)
仲介料その他の手数料
容器の費用、包装に要する費用
輸入取引に関し、買手が負担した輸入貨物の容器
の費用又は輸入貨物の包装に要する費用
・売手及び買手のために輸入取引の成立のための仲介
業務を行う者に対し買手が支払う手数料
・輸入貨物の売手による販売に関し当該売手に代わり
業務を行う者に対し買手が支払う手数料
加算要素
15仲介
業務
買手が輸入取引を成立させた仲介者へ手数料を支払っ
ている場合
買 手
(本邦)
売 手
(外国)
貨物、仕入書(50,000円) 貨物代金(50,000円)仲介者
(本邦)
仲介
業務
手数料 (5,000円) 課税価格=仕入書価格(50,000円)+ 手数料(5,000円) ・買手は、この輸入取引に関連して、買手と売手との間にあって、買手と 売手のために、受注、発注、交渉等、輸入取引の成立のための業務を行 うA社に対して、その業務の対価として仕入書価格の10%の手数料を 支払う。 【定率法第4条第1項第2号イ】 16課税価格 = 仕入書価格 + 仕分け・梱包費用 【定率法第4条第1項第2号ハ】
輸出国における輸入貨物の仕分け・梱包に要する費用
仕分け・梱包費用買 手
(本邦)売 手
(E国)A社
(E国) 衣類・仕入書(CIF) 貨物代金 業務委託契約 仕分け・梱包 ・買手と売手は、売買契約において、輸入貨物を船積みするまでに、買手が 輸入貨物の仕分け・梱包を行うことについて取決め。 ・買手は、その取決めに従い、E国に所在する梱包業者A社と業務委託契約 を締結し、売手の工場内にて輸入貨物の仕分け・梱包(国内販売先ごとの 輸入貨物の仕分け・梱包)をA社に委託し、その業務の対価を支払う。 173号 物品・役務
生産費
運賃等の提供費用 提供まで の価値の 増減+
+
/
-
取得費
運賃等の提供費用 提供まで の価値の 増減 ++
/
-
③ 上記①及び②以
外の場合(第三者か
らの購入等)
① 物品(役務)を
自ら生産した場合
② 物品(役務)を
特殊関係にある生産
者から直接に取得し
た場合
無償で提供された物品又は役務
加算要素
18課税価格 = 仕入書価格 + 板ガラス代金 + 輸出通関費用等 【定率法第4条第1項第3号イ】
輸入貨物の原材料の輸出通関費用等
買 手
(本邦)売 手
(E国)A 社
(本邦) ガラス製品・仕入書 貨物代金 板ガラス 代金 板ガラス 板ガラス(無償提供) 輸出通関費用等輸出業者
(本邦) ・ 買手は、特殊関係にないA社から購入した板ガラス代金の他に、板ガ ラスの本邦からの輸出時に、輸出通関費用、輸出通関手続のための倉 庫保管費用、売手までの運賃や保険料を輸出業者に支払っている。 ・ 輸出通関費用 ・ 輸出通関手続のための 倉庫保管費用 ・ 売手までの運賃や保険料 19輸入貨物のデザイン
(日本人が海外で作成したもの)費用
課税価格 = 仕入書価格 + デザイン費用 【定率法第4条第1項第3号ニ】 貨物代金 靴・仕入書 デザイン デザイン費用買 手
(本邦)売 手
(E国)デザイナーA
(F国) デザイン(無償) デザイン作成依頼 ・ 買手は、輸入貨物のデザインの作成をF国に在住する日本人デザイ ナーA氏に依頼し、A氏がF国において作成した輸入貨物のデザイ ンを売手に無償でメールにより提供している。 20特許権等の使用に伴う対価で、次の要件
を満たすもの
①「輸入貨物」に係るもの
③買手により直接又は間接に
支払われるもの
②「輸入取引に係る取引の状況
その他の事情からみて
当該輸入貨物の輸入取引を
するために」
【対象権利】
・特 許 権
・意 匠 権
・商 標 権
・実用新案権
・著 作 権 等
特許権等の価値を構成する要素が輸入貨物 と不可分一体の関係にあり ロイヤルティ等を特許権者へ支払わなければ、売 手から輸入貨物を購入できない状態4号 特許権等
加算要素
21買手
(本邦)
売手
【商標権者】
(外国)
売買契約(FOB) (商標付) 貨物代金(50,000円) ライセンス契約 ロイヤルティ(FOB×5%) 仕入書(50,000円) 課税価格=仕入書価格(50,000円)+ ロイヤルティ(2,500円)買手が売手(商標権者)に支払う商標権使用料
(ロイヤルティ)
【定率法第4条第1項第4号】 50,000円×5%=2,500円 22買手による輸入貨物の処分又は使用による収益で直接
又は間接に売手に帰属するもの
具体的には、輸入貨物の再販売、使用等で得られる売上代金、
賃貸料、加工賃等で
買手が売手に分配する利潤
買 手
(本邦)売 手
(外国) 売買契約 仕入書(@50,000円) 貨物代金(@50,000円) 再販売に係る利潤の50%販売
(@100,000円) 売手帰属収益(@25,000円)加算要素
課税価格 = 仕入書価格(50,000円) + 売手帰属収益(25,000円) 【定率法第4条第1項第5号】5号 売手帰属収益
23複数の輸入貨物に係る加算要素としての無償提供費用等
が一括して支払われる場合には、
原則、個々の輸入貨物の数量等に応じた合理的な方法に
より按分して、当該輸入貨物の課税価格に算入することと
なります。
加算する場合の取扱いについて
金型輸出 ¥1,000 第1回輸入 2,000個・円 第2回輸入 4,000個・円 第3回輸入 4,000個・円 第4回輸入 6,000個・円 第5回輸入 4,000個・円 契約個数 20,000個 契約金額 20,000円 包括評価申告 (¥0.05/個 を加算) 評価加算 ¥300 評価加算 ¥200 評価加算 ¥200 評価加算 ¥100 評価加算 ¥200 24関税率が異なる複数の品目に係るもの である場合には一括加算はできません。 ただし、次に掲げる費用等の額の加算については、輸入者から 希望する旨の申し出があり、かつ、課税上その他特に支障がない と認められるときは、当該費用等の額は、便宜特定の輸入貨物の 課税価格に算入することができます。 (1) 定率法第4条第1項第3号に掲げる費用 (2) 定率法第4条第1項第1~2号、第4~5号に掲げる費用等で あって、個々の輸入貨物への按分が困難と認められるもの
一括加算について
金型輸出 ¥1,000 第1回輸入 2,000個・円 第2回輸入 4,000個・円 第3回輸入 4,000個・円 第4回輸入 6,000個・円 第5回輸入 4,000個・円 契約個数 ∞ 契約単価 1円/個 評価加算 ¥1,000 包括評価申告 (初回輸入申告 に一括加算) 25税関HP(http://www.customs.go.jp)
①