5 栄養・食事管理 319 2 配食サービスの事例 319 1 配食企業の概要 319 2 組織と役割 319 3 栄養・食事管理(評価) 320 4 メニュー管理 322 5 生産管理 326 6 危機管理とコンプライアンス 326 3 管理栄養士・栄養士の課題と展望 328 1 配食サービスにおける栄養・食事管理の課題 329 2 課題への対策 329 3 求められる能力 329 巻末資料 331 1 健康増進法(抜粋) 332 2 健康増進法施行規則(抜粋) 333 3 医療法(抜粋) 334 4 医療法施行規則(抜粋) 335 5 大量調理施設衛生管理マニュアル(抜粋) 336 索引 343 コラム 第2章 コーチング(coaching) 39 第3章 ニーズ(needs)とウォンツ(wants)との違い 56 第7章 ニュークックチルシステム 109 クックサーブ,対面サービスの給食施設における 設備計画のための動線計画とオペレーション計画 110 食品リサイクル関連用語 122 フードバンク 123 生産管理における生産性の向上 125 第9章 リスクマネジメント規格 ISO31000 におけるリスクとリスクマネジメント 140 第11章 病院機能評価認定制度 194 第12章 学校給食の歴史 219 全国学校給食週間 227 私費会計と公会計 229 第13章 保育所での母乳の取り扱い 259 第14章 老人保健法(現 高齢者の医療の確保に関する法律)の成立 266 第15章 食品表示に関する法律 301
第
1
部
第
1
章
給食マネジメントの基本
松月弘恵
給食のマネジメント
給食の概念と目的を理解した上で,各種給食の概要や, 管理栄養士・栄養士の配置や役割を理解する。また,給 食における経営管理(マネジメント)の意義と動向につ いて学ぶ。 本章の Key Words 特定給食施設,栄養管理,経営管理(マネジメント),給食の経営資源第 1章 給 食 の マ ネ ジ メ ン ト
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給食
1給食の概念
給食の定義は「特定集団を対象にした栄養管理の実施プロセスにおいて食事を提供すること 及び提供する食事」と,『給食経営管理用語辞典』に示されている1)。対象者が特定されてい ること,食事提供の目的を栄養管理であると明確に示していることが一般の外食とは異なる。 給食の対象は健康な人から傷病者まで,また,乳幼児から高齢者まで,栄養素の管理とライフ ステージの広がりをもつ。しかし,共通の目的は栄養管理であり,給食を食べ続けることは健 康増進や疾病改善につながる。この給食の定義では集団の規模を示していないが,少人数の集 団であっても栄養管理のための食事提供は給食である。健康増進法では,特定かつ多数の対象 者に対し食事を継続的に供給する特定給食施設に,管理栄養士・栄養士の配置と栄養管理の実 施を求め,詳細を健康増進法施行規則で定め,都道府県が管理している。栄養管理とは,栄養 状態の維持・向上と,QOL の向上を目的とした食生活全般の活用であるため,疾病の治癒・ 改善だけではなく,健康増進を含む幅広い概念であるといえる。 平成 25(2013)年度からの 10 年間実施する「健康日本 21(第二次)」では,健康寿命の 延伸を目標としている。その背景には急激に進む少子高齢化と国家経済に及ぼす社会保障の負 担増がある。医療・介護・福祉に要する平成 26(2014)年度の社会保障給付費は 115.2 兆円, 対 GDP 比 23.0%であり(予算ベース。厚生労働省),その財源の内訳は約 6 割を占める保険 料が横ばいで推移する中,税金と借金でまかなう部分が毎年増加している。今後,平成 37 (2025)年にかけて医療・介護の給付費の急激な増加が予想されており,国民が健康であり続 けることは国家財政にとっても重要課題である2)。医療・介護・福祉施設における給食経営は 社会保障制度のもとで運用されるため,社会保障制度改革に関心をもち,社会動向を察知して 給食の経営管理(マネジメント)を実施しなければならない。健康日本 21(第二次)では, 国民の健康増進の手段として,栄養・食生活に関する生活習慣および社会環境の改善を目標と している。表 1.1 に示すように,給食はその具体的手段であることから,栄養管理を行う特定 給食施設の増加を目標に掲げている。 2給食の目的
図 1.1 に,給食の目的の概念図を示した。給食の目的の 1 つは栄養管理であるが,適切な食 事を体験する健康教育の教材でもある。すなわち,給食には給食の利用者への直接的効果だけ ではなく,給食だよりや Web 情報などを通しての家族・保護者や介護者への間接的効果もある。 また,ともに食べる場の提供による精神的安らぎや,コミュニケーションの場としての役割も 期待できる。給食の目的は,栄養管理のみならず,教育・文化・精神等に関連する役割も果た すことである。特に学校給食において,この役割は大きい。これは,「食事」が生命維持の手 段として自然科学の領域に属するだけでなく,社会科学の領域にも関連しているためである。 健康増進法:平成 14 年 8 月 2 日法律第 103 号,最終改正:平成 26 年 6 月 13 日法律第 69 号。p.332,巻末資料参照。 健康増進法施行規則:平成 15 年 4 月 30 日厚生労働省令第 86 号,最終改正:平成 27 年 3 月 31 日厚生労働省令第 70 号。 p.333,巻末資料参照。 1 給 食2
給食施設
1特定給食施設
特定給食施設とは,特定かつ多数の者に対して継続的に食事を提供する施設である(健康増 進法第 20 条)。「多数」の定義は,健康増進法施行規則において 1 回 100 食以上または 1 日 250 食以上と示されている(第 5 条)。特定給食施設の設置者には以下の義務があり,詳細は健康 増進法(p.332,巻末資料 1)および,健康増進法施行規則(p.333,巻末資料 2)に示されている。 ① 都道府県知事に対して厚生労働省令で定める事項を届け出る(健康増進法第 20 条) ② 特別な栄養管理が必要であると都道府県知事に指定された場合は,施設に管理栄養士を置 く(健康増進法第 21 条) ③ ②以外の施設では栄養士または管理栄養士を置くように努める(健康増進法第 21 条) ④ 厚生労働省で定める基準に従い,適切な栄養管理を行う(健康増進法第 21 条) また,都道府県知事は特定給食開始届,定期的に提出される栄養管理報告書や施設巡視によ り,特定給食施設の状況を把握する。施設に管理栄養士や栄養士の配置がなく,適切な栄養管 理が行われていない場合には,都道府県知事は当該施設の設置者に対して指導および助言,勧 告および命令,立入検査等を行うことができる(健康増進法第 22 〜 24 条)。 2その他の給食施設
特定給食施設は提供食数により規定されているが,小規模の医療・介護施設や保育施設では, 特定給食施設の食数に満たなくても栄養管理は必要である。特定給食施設以外の給食施設の定 義,届出,栄養管理の報告に関しては,各都道府県や政令指定都市の条例に示されている。 表 1.1 健康日本 21(第二次)における,栄養・食生活に関する生活習慣および社会環境の 改善に関する目標 ①適正体重を維持している者の増加(肥満,やせの減少) ②適切な量と質の食事をとる者の増加 ア 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が 1 日 2 回以上の日がほぼ毎日の者の割合の増加 イ 食塩摂取量の減少 ウ 野菜と果物の摂取量の増加 ③共食の増加(食事を1人で食べる子どもの割合の減少) ④食品中の食塩や脂肪の低減に取り組む食品企業及び飲食店の登録数の増加 ⑤ 利用者に応じた食事の計画,調理及び栄養の評価,改善を実施している特定給食施設の割合の増加 資 料)国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針,別表第五(平成 15 年 4 月 30 日厚生労働省告示第 195 号,全部改正:平成 24 年 7 月 10 日厚生労働省告示第 430 号) 図 1.1 給食の目的の概念図 原図)松月弘恵 国民の健康増進・疾病の改善 栄養管理された食事の提供 健康教育の教材 共食の場の提供 給食第 1章 給 食 の マ ネ ジ メ ン ト
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給食
1給食の概念
給食の定義は「特定集団を対象にした栄養管理の実施プロセスにおいて食事を提供すること 及び提供する食事」と,『給食経営管理用語辞典』に示されている1)。対象者が特定されてい ること,食事提供の目的を栄養管理であると明確に示していることが一般の外食とは異なる。 給食の対象は健康な人から傷病者まで,また,乳幼児から高齢者まで,栄養素の管理とライフ ステージの広がりをもつ。しかし,共通の目的は栄養管理であり,給食を食べ続けることは健 康増進や疾病改善につながる。この給食の定義では集団の規模を示していないが,少人数の集 団であっても栄養管理のための食事提供は給食である。健康増進法では,特定かつ多数の対象 者に対し食事を継続的に供給する特定給食施設に,管理栄養士・栄養士の配置と栄養管理の実 施を求め,詳細を健康増進法施行規則で定め,都道府県が管理している。栄養管理とは,栄養 状態の維持・向上と,QOL の向上を目的とした食生活全般の活用であるため,疾病の治癒・ 改善だけではなく,健康増進を含む幅広い概念であるといえる。 平成 25(2013)年度からの 10 年間実施する「健康日本 21(第二次)」では,健康寿命の 延伸を目標としている。その背景には急激に進む少子高齢化と国家経済に及ぼす社会保障の負 担増がある。医療・介護・福祉に要する平成 26(2014)年度の社会保障給付費は 115.2 兆円, 対 GDP 比 23.0%であり(予算ベース。厚生労働省),その財源の内訳は約 6 割を占める保険 料が横ばいで推移する中,税金と借金でまかなう部分が毎年増加している。今後,平成 37 (2025)年にかけて医療・介護の給付費の急激な増加が予想されており,国民が健康であり続 けることは国家財政にとっても重要課題である2)。医療・介護・福祉施設における給食経営は 社会保障制度のもとで運用されるため,社会保障制度改革に関心をもち,社会動向を察知して 給食の経営管理(マネジメント)を実施しなければならない。健康日本 21(第二次)では, 国民の健康増進の手段として,栄養・食生活に関する生活習慣および社会環境の改善を目標と している。表 1.1 に示すように,給食はその具体的手段であることから,栄養管理を行う特定 給食施設の増加を目標に掲げている。 2給食の目的
図 1.1 に,給食の目的の概念図を示した。給食の目的の 1 つは栄養管理であるが,適切な食 事を体験する健康教育の教材でもある。すなわち,給食には給食の利用者への直接的効果だけ ではなく,給食だよりや Web 情報などを通しての家族・保護者や介護者への間接的効果もある。 また,ともに食べる場の提供による精神的安らぎや,コミュニケーションの場としての役割も 期待できる。給食の目的は,栄養管理のみならず,教育・文化・精神等に関連する役割も果た すことである。特に学校給食において,この役割は大きい。これは,「食事」が生命維持の手 段として自然科学の領域に属するだけでなく,社会科学の領域にも関連しているためである。 健康増進法:平成 14 年 8 月 2 日法律第 103 号,最終改正:平成 26 年 6 月 13 日法律第 69 号。p.332,巻末資料参照。 健康増進法施行規則:平成 15 年 4 月 30 日厚生労働省令第 86 号,最終改正:平成 27 年 3 月 31 日厚生労働省令第 70 号。 p.333,巻末資料参照。 1 給 食2
給食施設
1特定給食施設
特定給食施設とは,特定かつ多数の者に対して継続的に食事を提供する施設である(健康増 進法第 20 条)。「多数」の定義は,健康増進法施行規則において 1 回 100 食以上または 1 日 250 食以上と示されている(第 5 条)。特定給食施設の設置者には以下の義務があり,詳細は健康 増進法(p.332,巻末資料 1)および,健康増進法施行規則(p.333,巻末資料 2)に示されている。 ① 都道府県知事に対して厚生労働省令で定める事項を届け出る(健康増進法第 20 条) ② 特別な栄養管理が必要であると都道府県知事に指定された場合は,施設に管理栄養士を置 く(健康増進法第 21 条) ③ ②以外の施設では栄養士または管理栄養士を置くように努める(健康増進法第 21 条) ④ 厚生労働省で定める基準に従い,適切な栄養管理を行う(健康増進法第 21 条) また,都道府県知事は特定給食開始届,定期的に提出される栄養管理報告書や施設巡視によ り,特定給食施設の状況を把握する。施設に管理栄養士や栄養士の配置がなく,適切な栄養管 理が行われていない場合には,都道府県知事は当該施設の設置者に対して指導および助言,勧 告および命令,立入検査等を行うことができる(健康増進法第 22 〜 24 条)。 2その他の給食施設
特定給食施設は提供食数により規定されているが,小規模の医療・介護施設や保育施設では, 特定給食施設の食数に満たなくても栄養管理は必要である。特定給食施設以外の給食施設の定 義,届出,栄養管理の報告に関しては,各都道府県や政令指定都市の条例に示されている。 表 1.1 健康日本 21(第二次)における,栄養・食生活に関する生活習慣および社会環境の 改善に関する目標 ①適正体重を維持している者の増加(肥満,やせの減少) ②適切な量と質の食事をとる者の増加 ア 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が 1 日 2 回以上の日がほぼ毎日の者の割合の増加 イ 食塩摂取量の減少 ウ 野菜と果物の摂取量の増加 ③共食の増加(食事を1人で食べる子どもの割合の減少) ④食品中の食塩や脂肪の低減に取り組む食品企業及び飲食店の登録数の増加 ⑤ 利用者に応じた食事の計画,調理及び栄養の評価,改善を実施している特定給食施設の割合の増加 資 料)国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針,別表第五(平成 15 年 4 月 30 日厚生労働省告示第 195 号,全部改正:平成 24 年 7 月 10 日厚生労働省告示第 430 号) 図 1.1 給食の目的の概念図 原図)松月弘恵 国民の健康増進・疾病の改善 栄養管理された食事の提供 健康教育の教材 共食の場の提供 給食第 1章 給 食 の マ ネ ジ メ ン ト 表 1.2 に,特定給食施設とその他の給食施設の提供食数,開設等の届出と栄養管理の特徴 を示した。その他の給食施設は,小規模給食施設や小規模特定給食施設等の名称が用いられる こともある。施設規模の定義は,「1 回 50 食以上 100 食未満,または 1 日 100 食以上 250 食未満」と定めている条例が多いが,「1 回 20 食以上 100 食未満,または 1 日 50 食以上 250 食未満」と規定しているものもある。施設の届出の義務や栄養管理報告書の提出の義務は, 都道府県や政令指定都市により異なる。
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特定給食施設の概要と法規
1各種特定給食施設と関係法規
特定給食施設全般に関する事項は,健康増進法および健康増進法施行規則に示されている。 特定給食施設は利用者により特徴があり, 表 1.3 に示すように,各施設にはその運営を規定 する根拠法令がある。また,給食の衛生管理に関しては食品衛生法に従う。 2管理栄養士・栄養士の配置規定
管理栄養士・栄養士の配置規定は以下の 3 つに大別でき,配置に関しては必置規定(置か なければならない)と,努力規定(置くように努めなければならない)がある。◆
1 健康増進法や健康増進法施行規則による規定
特定給食施設の目的の 1 つは栄養管理であり,その実施のための管理栄養士・栄養士の配 置規定が示されている( )。特定給食施設のうち,1 回 300 食以上または 1 日 750 食以 上提供する「医学的管理を行う特定給食施設」と,1 回 500 食以上または 1 日 1,500 食以上 提供する「特別な栄養管理を必要とする特定給食施設」では,管理栄養士の配置は必置規定で ある。しかし,それ未満の食数の特定給食施設では努力規定である。◆
2 特定給食施設の配置規定法令に基づく規定
施設の特徴により配置規定は異なる。配置規定とその基準,根拠法令を 表 1.5(p.6)に示す。 病院には許可病床数 100 以上で栄養士 1 の必置規定がある。これは,特定給食施設で 1 回 100 食以上の場合は栄養士配置が努力規定となっていることに,医療施設という特徴が配慮 食品衛生法:昭和 22 年 12 月 24 日法律第 233 号,最終改正:平成 26 年 6 月 13 日法律第 69 号 表 1.4 表 1.2 特定給食施設とその他の給食施設の特徴 提供食数 開設等の届出 栄養管理 報告書の 提出 1 回 1 日 提出先 規定 特定給食施設 100 食以上 250 食以上 都道府県知事 義務 義務 その他の給食施設 50 食以上 100 食未満 100 食以上 250 食未満 都道府県知事 または 政令指定都市市長 条例に 規定され ている* 条例に 規定され ている* 20 食以上 100 食未満 50 食以上 250 食未満 注)*届出を義務付けている府県や政令指定都市が多いが,栄養管理報告書の提出は義務,任意などまちまちである 原表)松月弘恵 3 特 定 給 食 施 設 の 概 要 と 法 規 表 1.3 特定給食施設と関連法規 特定給食施設全般 関連法規 健康増進法,健康増進法施行規則,特定給食施設における栄養管理に関する指導及び支援について 各種給食施設 給食施設の種類 主な施設 根拠法令 病院 病院 医療法,健康保険法 介護保険施設 介護老人福祉施設,介護老人保健施設, 介護療養型医療施設 介護保険法,医療法(介護老人保健施設) 事業所 事業所 社員食堂 労働安全衛生法 寄宿舎 職員寮 労働基準法 福祉施設 児童福祉施設 乳児院,保育所,児童養護施設,児童自 立支援施設等 児童福祉法 老人福祉施設 特別養護老人ホーム,養護老人ホーム等 老人福祉法 障害者福祉施設 身体障害者更生施設等 身体障害者福祉法 障害者支援施設等 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に 支援するための法律 知的障害者更生施設等 知的障害者福祉法 学校 小学校・中学校 学校給食法 特別支援学校の幼稚部,高等部 特別支援学校の幼稚部及び高等部における 学校給食に関する法律 高等学校の夜間課程 夜間課程を置く高等学校における学校給食 に関する法律 原表)松月弘恵 表 1.4 健康増進法に基づく管理栄養士・栄養士の配置規定(特定給食施設全般に関するもの) 継続的に提供する食数 配置規定 根拠法令 1 回 1 日 管理栄養士 栄養士 特定給食施設 100 食以上 250 食以上 栄養士または管理栄養士を置くように努めなければ ならない 健康増進法第 21 条第 2 項 300 食以上 750 食以上 配置される栄養士のうち少なくとも 1 人は管理栄養 士であるよう努めなければならない 健康増進法施 行規則第 8 条 一号施設*1 300 食以上 750 食以上 医学的管理を必要とする者に特別な栄養管理 を行うため,管理栄養士は必置 ― 健康増進法施 行規則第 7 条 二号施設*2 500 食以上 1,500 食以上 特別な栄養管理を行うため,管理栄養士は必 置 ― 健康増進法施 行規則第 7 条 注)*1医学的管理を行う特定給食施設。①許可病床数 300 床以上の病院,②入所定員 300 人以上の介護老人保健施設, ③病院の許可病床数と介護老人保健施設の入所定員の合計が 300 以上の特定給食施設 *2管理栄養士による特別な栄養管理を行う特定給食施設。①児童福祉施設,社会福祉施設,事業所等(事業所,寄 宿舎,矯正施設,自衛隊等),②一号施設,二号施設または複数の二号施設を対象に給食を提供する施設(一号施 設の②は除く),③一号施設,二号施設以外のものも対象として食事を提供する施設(一号施設の②は除く),④ 法令等により栄養士必置とされている複数の社会福祉施設および児童福祉施設に限り食事を提供する施設 原表)松月弘恵第 1章 給 食 の マ ネ ジ メ ン ト 表 1.2 に,特定給食施設とその他の給食施設の提供食数,開設等の届出と栄養管理の特徴 を示した。その他の給食施設は,小規模給食施設や小規模特定給食施設等の名称が用いられる こともある。施設規模の定義は,「1 回 50 食以上 100 食未満,または 1 日 100 食以上 250 食未満」と定めている条例が多いが,「1 回 20 食以上 100 食未満,または 1 日 50 食以上 250 食未満」と規定しているものもある。施設の届出の義務や栄養管理報告書の提出の義務は, 都道府県や政令指定都市により異なる。
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特定給食施設の概要と法規
1各種特定給食施設と関係法規
特定給食施設全般に関する事項は,健康増進法および健康増進法施行規則に示されている。 特定給食施設は利用者により特徴があり, 表 1.3 に示すように,各施設にはその運営を規定 する根拠法令がある。また,給食の衛生管理に関しては食品衛生法に従う。 2管理栄養士・栄養士の配置規定
管理栄養士・栄養士の配置規定は以下の 3 つに大別でき,配置に関しては必置規定(置か なければならない)と,努力規定(置くように努めなければならない)がある。◆
1 健康増進法や健康増進法施行規則による規定
特定給食施設の目的の 1 つは栄養管理であり,その実施のための管理栄養士・栄養士の配 置規定が示されている( )。特定給食施設のうち,1 回 300 食以上または 1 日 750 食以 上提供する「医学的管理を行う特定給食施設」と,1 回 500 食以上または 1 日 1,500 食以上 提供する「特別な栄養管理を必要とする特定給食施設」では,管理栄養士の配置は必置規定で ある。しかし,それ未満の食数の特定給食施設では努力規定である。◆
2 特定給食施設の配置規定法令に基づく規定
施設の特徴により配置規定は異なる。配置規定とその基準,根拠法令を 表 1.5(p.6)に示す。 病院には許可病床数 100 以上で栄養士 1 の必置規定がある。これは,特定給食施設で 1 回 100 食以上の場合は栄養士配置が努力規定となっていることに,医療施設という特徴が配慮 食品衛生法:昭和 22 年 12 月 24 日法律第 233 号,最終改正:平成 26 年 6 月 13 日法律第 69 号 表 1.4 表 1.2 特定給食施設とその他の給食施設の特徴 提供食数 開設等の届出 栄養管理 報告書の 提出 1 回 1 日 提出先 規定 特定給食施設 100 食以上 250 食以上 都道府県知事 義務 義務 その他の給食施設 50 食以上 100 食未満 100 食以上 250 食未満 都道府県知事 または 政令指定都市市長 条例に 規定され ている* 条例に 規定され ている* 20 食以上 100 食未満 50 食以上 250 食未満 注)*届出を義務付けている府県や政令指定都市が多いが,栄養管理報告書の提出は義務,任意などまちまちである 原表)松月弘恵 3 特 定 給 食 施 設 の 概 要 と 法 規 表 1.3 特定給食施設と関連法規 特定給食施設全般 関連法規 健康増進法,健康増進法施行規則,特定給食施設における栄養管理に関する指導及び支援について 各種給食施設 給食施設の種類 主な施設 根拠法令 病院 病院 医療法,健康保険法 介護保険施設 介護老人福祉施設,介護老人保健施設, 介護療養型医療施設 介護保険法,医療法(介護老人保健施設) 事業所 事業所 社員食堂 労働安全衛生法 寄宿舎 職員寮 労働基準法 福祉施設 児童福祉施設 乳児院,保育所,児童養護施設,児童自 立支援施設等 児童福祉法 老人福祉施設 特別養護老人ホーム,養護老人ホーム等 老人福祉法 障害者福祉施設 身体障害者更生施設等 身体障害者福祉法 障害者支援施設等 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に 支援するための法律 知的障害者更生施設等 知的障害者福祉法 学校 小学校・中学校 学校給食法 特別支援学校の幼稚部,高等部 特別支援学校の幼稚部及び高等部における 学校給食に関する法律 高等学校の夜間課程 夜間課程を置く高等学校における学校給食 に関する法律 原表)松月弘恵 表 1.4 健康増進法に基づく管理栄養士・栄養士の配置規定(特定給食施設全般に関するもの) 継続的に提供する食数 配置規定 根拠法令 1 回 1 日 管理栄養士 栄養士 特定給食施設 100 食以上 250 食以上 栄養士または管理栄養士を置くように努めなければ ならない 健康増進法第 21 条第 2 項 300 食以上 750 食以上 配置される栄養士のうち少なくとも 1 人は管理栄養 士であるよう努めなければならない 健康増進法施 行規則第 8 条 一号施設*1 300 食以上 750 食以上 医学的管理を必要とする者に特別な栄養管理 を行うため,管理栄養士は必置 ― 健康増進法施 行規則第 7 条 二号施設*2 500 食以上 1,500 食以上 特別な栄養管理を行うため,管理栄養士は必 置 ― 健康増進法施 行規則第 7 条 注)*1医学的管理を行う特定給食施設。①許可病床数 300 床以上の病院,②入所定員 300 人以上の介護老人保健施設, ③病院の許可病床数と介護老人保健施設の入所定員の合計が 300 以上の特定給食施設 *2管理栄養士による特別な栄養管理を行う特定給食施設。①児童福祉施設,社会福祉施設,事業所等(事業所,寄 宿舎,矯正施設,自衛隊等),②一号施設,二号施設または複数の二号施設を対象に給食を提供する施設(一号施 設の②は除く),③一号施設,二号施設以外のものも対象として食事を提供する施設(一号施設の②は除く),④ 法令等により栄養士必置とされている複数の社会福祉施設および児童福祉施設に限り食事を提供する施設 原表)松月弘恵第 1章 給 食 の マ ネ ジ メ ン ト 表 1.5 各種給食施設独自の管理栄養士・栄養士の配置規定 施 設 管理 栄養士 栄養士 条件等 根拠法令 病院 病院 ○ 1 病床数 100 以上 医療法施行規則 ◎ 1 以上 特定機能病院 医療法施行規則 ○ ○ 入院時食事療養,入院時生活療養の 食事提供の療養は,管理栄養士また は栄養士によって行われること 入院時食事療養及び入 院時生活療養の食事の 提供たる療養の基準等 事業所 事業所 △ 1 回 100 食以上,または 1 日 250 食 以上の給食を行う場合 労働安全衛生規則 ○ 1 回 300 食以上の給食を行う場合 事業附属寄宿舎規定 福祉施設 児童福祉施設 乳児院 ◎ 児童福祉施設最低基準 児童養護施設 ○ 児童 41 人以上の施設 児童自立支援施設 ○ 児童 41 人以上の施設 福祉型障害児入所施設 ○ 児童 41 人以上の施設 医療型障害児入所施設 ○ 1 療養施設においては,病床数 100 以上 情緒障害児短期治療施設 ◎ ― 老人福祉施設 特別養護老人ホーム ○ 1 以上 入所定員 40 人以下の施設では,他の 社会福祉施設等の栄養士と連携をとる ことにより,置かないことができる 特別養護老人ホームの 設備及び運営に関する 基準 養護老人ホーム ○ 1 以上 定員 50 人未満の施設では,併設す る特別養護老人ホームの栄養士と連 携を図ることにより,置かないこと ができる 養護老人ホームの設備 及び運営に関する基準 軽費老人ホーム ○ 1 以上 定員 40 人以下,または他の社会福 祉施設等の栄養士と連携を図ること により入所者に支障がない場合は置 かないことができる 軽費老人ホームの設備 及び運営に関する基準 学校 学校給食単独調理場 または学校給食共同調理場 ◎ 学校給食栄養管理者は栄養士または 栄養教諭でなければならない 学校給食法 単独調理場 (ミルク給食除く) ◎ 児童および生徒数に対する栄養教諭 または学校栄養職員の数 550 人以上 1 人 549 人以下 4 校に 1 人 549 人以下 1 人( 学 校 数 が 3 校以下の市町村) 公立義務教育諸学校の 学級編成及び教職員定 数の標準に関する法律 共同調理場 ◎ 児童および生徒数に対する栄養教諭 または学校栄養職員の数 1,500 人以下 1 人 1,500 〜 6,000 人 2 人 6,001 人以上 3 人 特別支援学校 ◎ 学校給食を実施する学校は栄養教諭 等 1 人 注)◎:必置,○:条件により必置,△:努力配置 原表)松月弘恵 3 特 定 給 食 施 設 の 概 要 と 法 規 され,栄養士を必ず置かなければならないと示されている。さらに高度の医療サービスを提供 する特定機能病院では管理栄養士 1 名以上の配置が必須となっている(医療法施行規則第 22 条の 2)。栄養管理の必要度や難易度により配置規定は異なる。
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3 診療報酬や介護報酬算定の条件となる規定
介護保険施設・老人福祉施設や障害者施設で栄養マネジメント加算を算定する場合,管理栄 養士がチームケアに参画し,他職種と共同して栄養ケア計画を作成する。これは対象者が 1 人であっても管理栄養士配置が条件となる。福祉施設のうち,児童福祉施設と老人福祉施設に は栄養士の配置規定があるが( 参照),障害者福祉施設については規定がない。 入所定員 50 人以下の障害者福祉施設には,上述の◆1,◆2 の基準を適応すると,栄養士 配置の拘束力はない。しかし,対象者に栄養ケア・マネジメントの必要があり,栄養マネジメ ント加算を算定する場合は管理栄養士配置が必要となる。 現状の管理栄養士・栄養士の配置率として,平成 26(2014)年度の衛生行政報告例から作 成した特定給食施設の管理栄養士・栄養士の配置率を 図 1.2 に示した。病院,介護老人保健 施設と老人福祉施設で配置率が高い。これは第Ⅲ部(p.185 〜)の各種施設の概要で解説する が,管理栄養士の配置が診療報酬や介護報酬の算定要件になっており,人員配置が当該施設の 経営的メリットとなっているためである。また,提供食数が多い自衛隊の特定給食施設も管理 栄養士の配置率が高い。 健康日本 21(第二次)の栄養・食生活の具体的目標の 1 つに,「利用者に応じた食事の計画, 調理及び栄養の評価,改善を実施している特定給食施設の割合の増加」がある。この目標の評 価は,管理栄養士・栄養士の配置状況で判断することとなっている。配置状況は平成 22(2010) 年度の 70.5%から平成 34(2022)年度には 80%に増加させることを目標としているが,現在, 管理栄養士・栄養士の配置率の低い事業所や児童福祉施設での配置率の増加が目標値達成の鍵 となる。 医療法施行規則:昭和 23 年 11 月 5 日厚生省令第 50 号,最終改正:平成 28 年 6 月 24 日厚生労働省令第 117 号 表 1.5 図 1.2 各種特定給食施設の管理栄養士・栄養士の配置率(平成 26 年度) 注) 管理栄養士のみいる施設, 栄養士のみいる施設, 管理栄養士・栄養士いずれもいる施設, 未配置施設 資料) 厚生労働省:衛生行政報告例(平成 26 年度)より作成 病院 介護老人保健施設 老人福祉施設 児童福祉施設 社会福祉施設 事業所 寄宿舎 矯正施設 自衛隊 学校 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (%)第 1章 給 食 の マ ネ ジ メ ン ト 表 1.5 各種給食施設独自の管理栄養士・栄養士の配置規定 施 設 管理 栄養士 栄養士 条件等 根拠法令 病院 病院 ○ 1 病床数 100 以上 医療法施行規則 ◎ 1 以上 特定機能病院 医療法施行規則 ○ ○ 入院時食事療養,入院時生活療養の 食事提供の療養は,管理栄養士また は栄養士によって行われること 入院時食事療養及び入 院時生活療養の食事の 提供たる療養の基準等 事業所 事業所 △ 1 回 100 食以上,または 1 日 250 食 以上の給食を行う場合 労働安全衛生規則 ○ 1 回 300 食以上の給食を行う場合 事業附属寄宿舎規定 福祉施設 児童福祉施設 乳児院 ◎ 児童福祉施設最低基準 児童養護施設 ○ 児童 41 人以上の施設 児童自立支援施設 ○ 児童 41 人以上の施設 福祉型障害児入所施設 ○ 児童 41 人以上の施設 医療型障害児入所施設 ○ 1 療養施設においては,病床数 100 以上 情緒障害児短期治療施設 ◎ ― 老人福祉施設 特別養護老人ホーム ○ 1 以上 入所定員 40 人以下の施設では,他の 社会福祉施設等の栄養士と連携をとる ことにより,置かないことができる 特別養護老人ホームの 設備及び運営に関する 基準 養護老人ホーム ○ 1 以上 定員 50 人未満の施設では,併設す る特別養護老人ホームの栄養士と連 携を図ることにより,置かないこと ができる 養護老人ホームの設備 及び運営に関する基準 軽費老人ホーム ○ 1 以上 定員 40 人以下,または他の社会福 祉施設等の栄養士と連携を図ること により入所者に支障がない場合は置 かないことができる 軽費老人ホームの設備 及び運営に関する基準 学校 学校給食単独調理場 または学校給食共同調理場 ◎ 学校給食栄養管理者は栄養士または 栄養教諭でなければならない 学校給食法 単独調理場 (ミルク給食除く) ◎ 児童および生徒数に対する栄養教諭 または学校栄養職員の数 550 人以上 1 人 549 人以下 4 校に 1 人 549 人以下 1 人( 学 校 数 が 3 校以下の市町村) 公立義務教育諸学校の 学級編成及び教職員定 数の標準に関する法律 共同調理場 ◎ 児童および生徒数に対する栄養教諭 または学校栄養職員の数 1,500 人以下 1 人 1,500 〜 6,000 人 2 人 6,001 人以上 3 人 特別支援学校 ◎ 学校給食を実施する学校は栄養教諭 等 1 人 注)◎:必置,○:条件により必置,△:努力配置 原表)松月弘恵 3 特 定 給 食 施 設 の 概 要 と 法 規 され,栄養士を必ず置かなければならないと示されている。さらに高度の医療サービスを提供 する特定機能病院では管理栄養士 1 名以上の配置が必須となっている(医療法施行規則第 22 条の 2)。栄養管理の必要度や難易度により配置規定は異なる。