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やじ馬昆虫撮影記 その6 モナークバタフライ

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Academic year: 2021

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― 57 ― やじ馬昆虫撮影記 773

千葉大学大学院 准教授

野村 昌史

(のむら まさし)

エッセイ

やじ馬昆虫撮影記

 (その 6 モナークバタフライ)

私が滞在しているペンシルベニア州の中部は,北緯 40 度ぐらいなので青森県あたりに相当する。やってき た5 月初頭はまだ寒い日も多く,みぞれが降ったことも あった。6 月に入っても暖かくなったり寒さがぶり返し たりで,春の花は見られても昆虫も少なく,このまま夏 は来ないのではないかとまで思うことも…。またこちら の大学のキャンパス内や,住宅地および広い公園は,基 本的に地面は芝生で覆われており,それはそれで美しい のだが,植生が単純で草花というものがほとんど生えて いない不思議な空間ができあがっている。このため近所 でチョウやハチが見られるような場所はないと言っても 過言ではなく,近場の昆虫撮影はどうしようかと悩んで いた…。 しかし6 月のある日,自宅の隣の公園の一角だけは 様々な種類の樹木や草花が植栽されていることを発見 し,まさに歓喜した。バタフライガーデンとなっている その一角は大学もかかわる組織が管理し,植物の多様性 を維持してチョウや土着の花粉媒介昆虫を保護しようと いう,私にとっては願ってもない場所だった。さっそく 足繁く通い,管理している人たちとも知り合いになり, 彼らの仲間に入れてもらうこともできた。管理している Master Gardener という人たちは,年配者が多いが明る く自然を愛する人たちなので,様々な話をすることがで きて,大学の研究室以外でも居場所を見つけた私は,充 実した時を過ごしている。 さて,こちらに来て撮影したいチョウに,モナークバ タフライと呼ばれるオオカバマダラがいる。長距離移動 することで有名なこのチョウは,果たしてこの地にも現 れるのだろうか?こればかりは北上してくるのを待つし かないが,ガーデンの人たちが毎年見られる,というの で安心していた。そして6 月下旬以降,一気に咲き始め た初夏の花に,発生した多くの昆虫たちが訪れる光景が 見られ,そんなに広くない一角ではあるが,この地にも やってくることを確信した。 とうとう7 月下旬,彼らはやってきた(図―1)。幼虫 時代の食草トウワタMilkweed のために体内に毒を保持 し,鳥などに捕食されない彼らは,翅の痛みも少なく, 優雅に飛ぶ姿は見ていて惚れ惚れするし,気品があり存 在感があった。大型でオレンジ色だがけっして派手では ないこのチョウが,なぜアメリカを代表するチョウにな っているのかが,わかるような気がした。 そしてガーデン内にたくさん植えられているトウワタ には幼虫も発生し,一度見てみたかった姿を撮影するこ ともできた(図―2)。こうしてオオカバマダラの実物を 見ることができると,今度は秋に羽化した成虫が南に長 距離移動し,集団で越冬する地域での撮影もしたくなる …。何を見てもさらなる撮影意欲が湧いてしまうのであ った。 図−1 吸蜜するオオカバマダラ 図−2 オオカバマダラの幼虫

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