原 著 〔東女医大誌 第61巻 第12号頁1038∼1045平成3年12月〕
パラフルオロケミカルを用いたラット保存肺機能評価モデルの開発
東京女子医科大学 第一外科学教室(主任 ソ ネ ヤス ユキ 曽 根 康 之 新田澄郎教授) (受付 平成3年8,月14日)Evaluation of Viability in a New Rat Lung Pe㎡usion System with Pe㎡luorochemical Emulsion
Yasuyuki sONE
Department of Surgery I(Direct6r:Prof. Sumio NITTA) Tokyo Women’s Medical College
An isolated rat lung preparation employing perfluorochemical emulsion was developed as a new screening model for functional assessment. This apparatus consisted of a rodent respirator(with 94.5%02and 5.5%CO2, at 60 cpm), an artific童al lung(with 5%02 and 6%CO2 in nitrogen), two heat exchangers at 370C, two pumps, a reserVoir and an incubation chamber at 37。C。 The perfusate was
Krebs−Ringer bicarbonate buffer containing 20.0%(W/V)perfluorotributylamine and 3.0%(Wバ今 bovine serum albumin. The pH, the Pco2 and the Po20f affluent perfusate and the pH and the Pco20f
effluent were all kept within their respective physiological ranges regardless of the function of the various preserved lungs. Suspended rat lung was perfused(8・mmHg PpA,一2−mmHg Ppv)and ventilated (10−cmH20 EIP,2・cmH20 EEP)concurrently for 10 minutes, then perfused(13・mmHg PpA,一2−mmHg Ppv)and ventilated(13−cmH20 EIP,2−cmH20 EEP)for an additional 10 minutes. After a period of preservation, the same pr㏄edure was repeated again. The recovery rates of VT, Q, Ppvo2 and dry−to−wet weight ratio were evalua専ed。 Simple warm preservation at 370C was carried out with thls system. Some experiments were divided into three groups according to the length of ischemic periods[O min (n=6),30min(n=6)and 60 min(n二4)], with collapse(Paw;O cmH20)and the same perfusate was used for the preservation solution. The others were classified into two groups according to the storage
solution, either Lactate−Ringer solution(n=6)or Euro−Collins solution(n=6), with inflation(Paw=10 cmH20)and with a 30 min per量od of ischemia.
The present study demonstrated that the ischemic time had the most effect on the function of warm preserved lungs at 37。C and that higher vascular resistance was present in initiating reperfusion regardless of the influence of blood components. This new system is useful for systematic study of lung Preservation.
緒 言 肺移植は}シクロスポリンによる拒絶反応の抑 制1)2》や気管支吻合部への大網被覆3)などの移植手 技の進歩により,末期低肺機能患者の治療法とし て確立しつつある4)5).しかしながら,多くの問題 が残されており肺保存もその一つである.種々な 方法で多くの研究がなされてきたがいまだ十分と は言い難く,また系統的な報告も少ない.心臓や 腎臓で用いられるような簡便な小動物による保存 臓器評価の実験系が確立しておらず6),またvia− bilityの定量的評価法が無いことなどが,肺自体 の解剖学的・生理学的特殊性とともに肺保存の研 究を一層困難なものとしている.系統的肺保存の 研究には,血球成分の影響を受けることなくガス 交換、能も含めた保存前後の肺機能が測定可能で, 簡便な小動物による実験系が心要不可欠と考えら
れる.そこで,人工血液の一つであるパラフルオ ロケミカル(perHuorochemica1:PFC)を利用し たラット摘出肺換気虚説標本による,保存肺機能 評価モデルを開発した.保存時間,保存液を変え て,無慮流,無換気下に37℃温保存を行ない,保 存前後の肺機能を測定し比較検討を加えた.この 実験系の有用性および問題点について基礎的研究 を行なったので報告する. 対象および方法 1.摘出肺標本 平均336g(280∼414g)のウイスター系雄ラット をベント・ミルビタール(5mg/100g体重)にて腹腔 内麻酔後,気管切開口よりカニューレ(内径1.73 mm)を挿入し小動物用人工呼吸器(ハーバード社 製モデル683)にて換気した.胸壁を正中切開し胸 郭を開いた後,胸腺を切除し心膜を開いた.肺動 脈へ挿入固定したカニューレ(内径1.73mm)より 灌流液を10cmH20にて落差送液し,肺内血液を 左室切開口より流出させた.上行大動脈を結紮切 離し左室切開口にカニューレ(内径4mm)を挿入 固定した後,心肺を一塊に周囲組織より切離摘出 した.換気停止は約10秒間,灌流停止は約1分間 で,この心肺標本を37℃恒温槽内に移動,懸架し た. 2.摘出肺換気灌流法 恒温槽はヒーターを内蔵した水槽部と上部のア クリルボックスより構成され,懸架肺部の水蒸気 温を37℃に維持するように,水槽部の水温をヒー ターにて自動制御(理科工業社製REX−C1)した. ポンプ以外の灌流装置は恒温槽内に設置した. 懸架肺は,94.5%02+5.5%CO2ガスを用いた小 動物用人工呼吸器(バーーバード社製モデル683)に て換気し,気道内圧をモニターした.灌流液は, リザーバーより血液ポンプ(JMS社製BP−02)で 100ml/分にて37℃の熱交換器(泉工医科工業社製
HHE−04)と,5%02十6%CO2十89%N2ガスを
流した紙型人工肺(泉工医科工業社製メラシロヅ クスーS,HSO・0.3)を再循環させた.人工肺を通っ た灌流液の一部は,小型送液ポンプ(コールパー マーミ製マスターフレックス,PA・26B)にて37℃ の熱交換器とバブルトラップを通り,肺動脈より v・1 Paw l PPA Ppv一
4,5%02 Respirator 5.5%CO2 37℃r
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Reservoir 5%02 6%CO2 89%N21p
し 一」母E =..=一 Heater _=一 図1 ラット摘出肺換気灌流装置図 ラット摘出肺は,37℃水蒸気にて飽和された恒温槽内 に懸架され,94.5%02十5.5%CO2ガスにて換気され る.灌流布は,リザーパー,熱交換器,5%02十6% CO2+89%N2ガスを流した人工肺を再循環し,一部は 熱交換器,バブルトラップを通り肺動脈へ送液される. AL:Artificial lung, HE:Heat exchanger, P:Roller pump, VT:Tidal volume, Paw:Pulmonary airway pressure, PpA:Pulmonary artery pressure, Ppv: Pulmonary vein pressure.懸架肺を灌流しリザーパーに流出さぜた(図1). 回路充填量は約200mlであり,灌流液と懸架肺は 恒温槽と二つの熱交換器により37℃に維持した. 平均肺動脈圧と平均肺静脈圧をモニターし,一回 換気量:測定には気流抵抗管,差圧トランスデュー サー,呼吸用アンプ,換気量ユニヅトと直流アン プ(日本光電工業社製TV−241T, TP−602T, AR・ 601G, AQ−601G, AD−601G)を,灌流量測定には 内径1mmの観血用フ戸一プローベと電磁血流計 (日本光電工業社製FRO10T, MFV1200)を用い た. 3.灌流液 灌流液は,25g/dl perfluorotributylamine,3.2
9/dl polyoxypropylene・polyoxyethylene
copolymerを含有した基幹乳剤(緑十字社製Fσ 43Emulsion, stem solution)400mlに,新たに作製した0.567g/dl KCI,3.75g/dl NaHCO3を含 有した添加液30mlと4.28g/dl NaCl,0.200g/dl CaC12,0.144g/dl MgC12,1.28g/dl glucose,21.43 g/dl牛血清アルブミン(マイルズ丁零フラクショ
表1 山流液組成 PerHuorotributylamine PolyoxyP「oPylene・Polyoxyethylene copolymer NaCl KCl MgC12 CaC12 NaHCO3 Glucose Albumin 20.009/d1 2.56 0.60 0.03 0,02 0.03 0.23 0,18 3.00 表2 保存実験群.保存は無換気,無二流下に37℃恒 温槽内にて行なった.・:20.0%(W/V)FC−43と 3.0%(W/V)牛血清アルブミンを加えたKrebs− Ringer重炭酸ナトリウム緩衝液. 群 n 保存時間 保 存 液 気道内圧 1 6 0分 同灌流心 OcmH20 1} 6 30 同灌流心* 0 III 4 60 同灌流液* 0 IV 6 30 ユーロコリンズ液 10
V
6 30 乳酸加リンゲル液 10 に調合した(表1). 4.肺保存および保存肺機能評価法 1)対照値 懸架肺は,まず30秒間気道内圧20cmH20にて 加圧し,最初の10分間は終末吸気圧10cmH20,終 末呼気圧2cmH20,呼吸回数60回/分にて換,気を,平均肺動脈圧8mmHg,平均肺静脈一一2mmHg
にて灌流を行なった.次の10分間は終末吸気圧を13cmH20に,平均肺動脈圧を13mmHgに上昇さ
せた.換気直流中は一回換気量と平均灌流量を連 続記録し,体重100gあたりで示した.保存前の換 気灌流は都合20分間とし,5,10,15,20分値の 一回換気量:と平均灌流量を対照値とした.換気馬 流終了時に肺動脈と肺静脈の血流液のpH,二酸 化炭素分圧(Pco2),酸素分圧(Po2)を測定(ラ ジナメーター呑込ABL−4)し,対照値とした. 2)保存血 保存は全て37℃の恒温槽内にて無換気,無記流 下に行い,保存時間,保存液,気道内圧により以 下の5群に分けた(表2). 1群:n=6,保存時間無し. II群:n=6,保存液にも同じ灌流液を用い気道 を開放し30分間保存した. IH群:n=4, II群と同条件下に60分間保存し た. IV群:n=6,保存液にユーロコリンズ液を用い 気道内圧10cmH20に「て30分間保存した. V群:n=6,保存液に乳酸加リンゲル液を用い IV群と同気道内圧にて30分間保存した. 3)機禽旨言平イ西法 保存後,再び保存前と同条件,同時間の換気灌 流を行ない,保存前と同様に一回換気量,平均灌 流量:,肺動静脈灌流液のpH, Pco2, Po2を測定し た.実験終了後,気管支,肺動脈,肺静脈を切離 開放した左右肺を60℃で72時間乾燥させ,乾燥前 値を乾燥直焼で割って無痛重量比(wet to dry weight ratio)を求めた. 換気灌流5,10,15,20分の保存後一回換気量 と平均灌流量を各々の時間の対照値(保存前面) に対する比率(回復率)で,また保存後の肺静脈 灌流露酸素分圧を対照値に対する回復率で示し た.1群の平均湿乾重量比を心慮の平均値で割っ て,便宜的に各群の乾湿重量比(dry to wet weight ratio)平均回復率とした.同保存条件で保 存時間の違う1,II, III群と,同30分保存,同気 道内圧で保存液の違うIV, V群に分け比較検討し た. 数値は乾湿重量比平均回復率を除いて,平均 値±標準偏差(mean±SD)で示した.有意差検定 は群間においてはunpaired t test,保存前後にお いてはpaired t testを用い,危険率(p)5%を もって有意差ありとした. 結 果 1.1・II・III群 1)肺動脈灌流液のpH, Peo2, Po2および肺静 脈乱流液のpH, Pco2 肺動脈灌流液のpHは保存後のII・III群間に有 意差(p<0.05)を認めたが,その他の群問および 保存前後には差を認めなかった.全平均pH(n= 32)は7。375±0.026であった.Pco2は群間および 保存前後に差を認めず,全平均Pco2(n=32)は 42,7±2.7mmHgであった. Po2は群言および保表3 1,II, IH群の肺動脈灌流液(PA)pH, Pco2, Po2および肺静脈二流液(PV)pH, Pco2.肺動脈 灌流町pHの保存後II・III群山に有意差(p< 0.05)を認めるが,その他の小間および保存前後 には差を認めない. 1 II III(群) pH oostPre 7,387±0.026 V.377±0.022 7.388±0.030 V.381±0.024 7.353±0.017 V.348±0.017 PA PCO2 immHg) Pre oost 42.1±3.4 S3.0±2.5 4L8±2.6 S2.3士3.4 43.4±2.6 S3.6±2.4 Po2 immHg) Pre o〔>st 65.0±12.2 U3,3±1L3 62.2±14.5 T5.7±10.9 55.8±20.2 T8.5±8.1 pH oostPre 7.412±0.023 V.407±0,024 7.415±0.042 V.415±0.043 7.398±0.021 V.374±0.037 PV Pco2 immHg) Pre oost 39.8±2.9 S0.1±:2.5 39.4±3.6 R9.5±3.8 38.3±2.1 S1.8±3.5 %VT 偽 50 、\ 、\ _
溌++ヨ
玉___ム
。一一〇=亘群 。一一唱lH群 ム…・も=Hi群 mean±SD mean±SD 存前後に差を認めず,全平均Po2(n=32)は60.4± 12.5mmHgであった. 肺静脈灌流液のpHは群間および保存前後に差 を認めず,全平均(n=32)は7.406±0.033であっ た.Pco2は直間および保存前後に差を認めず,全 平均(n=32)は39.8±3.OmmHgであった(表 3). 2)一回換気量 一回換気量の対照値(保存前:n=16)は5分値 0.85±0.06ml/100g体重,10分値0.84±0.06m1/ 100g体重,15分値0.88±0.07ml/100g体重,20分 値0.86±0.07ml/100g体重であった.回復率は1 群:5分値96±9%,10分値96±4%,15分値96土 4%,20分値97±3%,II群:5分値82±6%,10分値79±6%,15分値78±7%,20分値71±
12%,III群:5分値37±20%,10分値17±8%, 15分値9±2%,20分値10±2%であった.全て の換気灌流時間値で有意差(5分値の1・II群間 はp<0.01,その他はp<0.001)をもって1,II, III群の順に高値であった(図2). 3)灌流量灌流量の対照値(保存前:n=16)は5分値
L9±0.5ml/分/100g体重,10分値2.0±0.5ml/ 分/1bOg体重,15分値6.5±0.6ml/分/100g体重, 20分値6.7±0.6m1/分/100g体重であった.回復 0 ∼1 対照値 5 10 唾5 20 (分) 図2 1,II, III群の一回換気量回復率(%VT) 全ての換気灌流時間値で有意差(5分値の1・II恩間 はp<0.01,その他はp<0.001)をもって1,II, III 群の順に高値である. 率は1群:5分値151±67%,10分値130±47%, 15分目102±8%,20分値98±5%,II群:5分値 24±16%,10分値58±16%,15分値70±12%,20 分値74±7%,III群:5分値12±10%,10分値17± 3%,15分値22±4%,20分値22±4%であった. 1,II, III群の順に高値であり,5分値のII・III 群問には差を認めないが,その他の群口には有意 差(5分値の1・II,1・III底面と10分値の1・ II・III群問はp<0.01,15,20分値の1・II・III暫 間はp<0.001)を認めた.1群の5,10分値では 平均回復率が100%を越えており保存直示が前値 より高く,15,20分値ではほぼ同等となった.II, III群では換気血流時間とともに回復率が上昇した (図3). 4)肺静脈溢流液のPo2 肺静脈三流液Po2の対照値(保存前:n=16)は476.1±20.9mmHgであった.回復率は1群:
103±5%,II群:86±9%, III群:17±1%で あった.1,II, III群の順に有意差(1・II群間 p〈0.01,1・III群間pく0.001, II・III群間p〈 0.01)をもって高値であった(図4)。 5)湿乾重量比 湿乾重量比は1群:5.15±0.43,II群:5.89± 0.74,III群:8.91±0,70であった.1, II, III群 の順に低値であり,1・III群間とII・HI群間に有 意差(p〈0.001)を認めた(図5).乾湿重量比平均回復率は1群:100%,II群:87%, III群:58% であった.
%6 (%) 200 150 100 50 0 \ \ 、 、 、 \
\髭.一一一一一
/干一王一 一尋
。一く}=1群 ・一司:II群 4…・、ム;田群 mean±SD ∼∼ 対照値 5 10 15 20 (分) 換気灌流時間 図3 1,II, III群の灌流量回復率(%Q) 換気一流5分値のII・HI芦間には差を認めないが,そ の他は有意差(5分値の1・II,1」III群間と10分値 の1・II・III群間はp<0.01,15,20分値の1・II・III 群間はp<0.001)をもって1,II, III群の順に高値で ある.1群の5,10分値では平均回復率が100%を越え ており保存後値が前値より高く,15,20分値ではほぼ 同等となる. Wet/Dry. 10 8 6 4 %PpvO2 (%) 100 50 O I II m (群) mean±SD 図4 1,II, III群の肺静脈三流液酸素分圧回復率(% PpvO2) 1,II, III群の順に有意差(1・II群間p〈0,01,1・ III群間p<0.001, II・III群群p〈0.01)をもって高 値である. 0 I II III (群) mean±SD 図5 1,II, III群の湿乾重量比(Wet/Dry) 1,II, III群の順に低値であり,1・III群間とII・III 群間に有意差(p〈0.001)を認める. %6 %V丁 100一
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%Dry/Wet [群 H群 m群 %PpvO2 図6 1,II, III群の一回換気量,灌流量,肺静脈灌 流弊酸素分圧,乾湿重量比の平均回復率(%VT,% Q,%Ppvo2,%Dry/Wet) 20分値における一回換気量,灌流量,肺静脈灌流液 酸素分圧,乾湿重量比の平均回復率をレーダー・ チャートに示した。1・II・III群間ではどの指標も 保存時間が短い順に高値である. 6)総合評価 20分値における一回換気量,灌流量,肺静脈灌 流液酸素分圧,乾湿重量比の平均回復率を総合的 に評価した.どの指標も1,II, HI群の順に高値 であった(図6).2.IV・V群
1)肺動脈灌流液のpH, Pco2, Po2および肺静 脈灌流液のpH, Pco2 肺動脈灌流液のpH, Pco2, Po2は上間および保 存前後には差を認めず,全平均pH(n=24)は 7.370±0.029,全平均Pco2(n=24)は45.8‡4.2 mmHg,全平均Po2(n=24)は51.6±12.5mmHg表4 1V, V群の肺動脈灌流液(PA)pH, Pco、, Po2 および肺静脈灌流液(PV)pH, Pco2. IV群の保存 前後の肺動脈灌流液Pco2に有意差(p<0.05)を認 めるが,その他の群間およびV群の保存前後には差 を認めない. IV V(群) pH Pre oost 7.385±0.039 V.356±0.022 7.375±0.028 V,363±0.025
PA Pco2immHg) oostPre 44.4±4.5
S6.9±2.9 46.4±4.7 S5.6±5.0 Po2 immHg) Pre oost 53.0±183 S6,4±12.5 52.1±11.2 T4.8±7.4 pH oostPre 7.412±0.027 V.385±0.037 7395±0.033 V.388±0.014 PV Pco2 immHg) Pre oost 41.5±2.9 S3.8±3.0 45.1±4.9 S3.8±4.4 表5 1V, V群の一回換気量,灌流量,肺静脈灌流液 酸素分圧の回復率(%VT,%Q,%Ppvo、)および湿 乾重量比(Wet/Dry). IV・V群問では全ての指標で 差を認めない, IV V(群) %VT i%) 5(分) P0 P5 Q0 82±14 W0土11 X2±12 X3±11 79±20 V9±12 V9±15 W2±16 o唐p(%) 5(分) P0 P5 Q0 30±22 S2±31 T0±22 U4±17 30±28 R4±10 S6±13 T5±18 %PpvO2(%) 97±11 96±6 Wet/Dry 5,98±0.70 5.57±0.46 mean±SD mean±SD %VT であった. 肺静脈灌流液のpHは群間および保存前後に差 を認めず,全平均(n=24)は7.395±0.029であっ た。Pco2はIV群の保存前後に有意差(p<0.05)を 認めたが,盤面およびV群の保存前後には差を認 めなかった.全平均Pco2(n=24)は39.8±3.O mmHgであった(表4). 2)一回換気量 一回換気.量の対照値(n=12)は5分値0.87± 0.09ml/100g体重,10分値0.88±0.11m1/100g体 重,15分値0.95±0.07ml/100g体重,20分値0.92± 0.08ml/100g体重であった.回復率に差は認めな かった. 3)灌流量 灌流量の対照値(n=12)は5分値2.4±1.Oml/ 分/100g体重,10分値2.8±0.7m1/分/100g体重, 15分値7,0±0.9ml/分/100g体重,20分値7.0±0.7 ml/分/100g体重であった.回復率に差は認めな かったが,換気灌流時間とともに回復率が上昇し た. 4)肺静脈灌流液のPo2 肺静脈源流液Po2の対照値(n=12)は483.1± 21.3mmHgであった.回復率に差は認めなかっ た. %6 100
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, @ ’ @ ’ @. @’ 、、 、 @、 @、 @ 、 り 、 @ 、魅 、 、 o一一..ゆ σ @ノ ’ 、 ’ @, 、、 ?鴨 @、 @ , 亀 @ 、 @ り @ 鴨 @ 、 、 ’ 、、 ’ 0 、 、 』 、 、 も 』 %P ’ @’ @’ @’ 、、、 噺 ’ @ ’ @ ’ @ ’ @ ’ @’ @’ @’ %Dry/Wet =IV群 v群 %PpvO2 図7 1V, V群の一回換気量,灌流量,肺静脈灌流液 酸素分圧,乾湿重量比の平均回復率(%VT,%Q,% Ppvo2,%Dry/Wet) 20分値における一回換気量,灌流量,肺静脈灌流液 酸素分圧,乾湿重量比の平均回復率をレーダー・ チャートに示した.二群間に差は認めないが,灌流 量回復率は他の指標よりも低値である. 5)湿乾重量比 湿乾重量比に差は認めず,乾湿重:量比平均回復 率はIV群:86%, V群:92%であった(表5). 6)総合評価 20分値における一回換気量,灌流量,肺静脈灌 流液酸素分圧,乾湿重量比の平均回復率を総合的 に評価した.二群間に差は認めないが,灌流量回 復率は他の回復率よりも低値であった(図7).考 察 系統的肺保存研究のため,血球成分の影響を受 けることなくガス交換も含めた保存前後の肺機能 が評価可能で簡便な小動物による実験系が必要と 考え,人工血液の一つであるPFCを灌流液に用 いたラット摘出肺換気灌流標本による保存肺機能 評価モデルを開発した.無読流,無換気下に37℃ 温保存を行ない,、保存時間,保存亡の違いを保存 肺機能の回復率として評価した.同保存条件で保 存時間の違う1群(保存時間:0分)・II群(保存 時間:30分)・III群(保存時間:60分)間において, 一回換気量,灌流量,肺静脈灌霊液酸素分圧,乾 湿重量比の回復率すなわち肺コンプライアンス, 肺血管抵抗,ガス交換能,肺水分含量ともに,保 存時間が長くなるにしたがって有意差を持って悪 化した.また,同保存時間,同気道内圧で保存液 の違うIV群(保存液:ユーロコリンズ液)・V群 (保存液:乳酸加リンゲル液)間においては全ての 指標に差は認めなかったが,灌流量回復率が他の 指標よりも低値であった.これらの結果は,虚脱 状態で37℃の温山面環境におかれた肺では30分で 障害が生じ肺保存に与える影響因子としては保存 温度と肺の血気程度が重要であるとする報告7)と 一致し,この保存肺評価モデルの妥当性が示され た.また,通常の含気単純浸漬保存においては保 存肺viabilityの指標として肺血管抵抗が重要で あり,これの定量的評価をなし得た. 主に代謝実験に使用されているラット摘出肺換 気灌流モデル8)は,血球成分や内因性活性物質を 含まず成分組成が明らかな人工血流液を用いるこ とにより血流液の影響を常に一定にすることがで きるが,溶解酸素が著しく少なく保存肺ガス交換 能を評価するに適さない.この実験モデルでは, 生体において代用血液として用いた場合にも生命 の維持並びに呼吸調節機能に支障を来さないこと の知られているPFCの一つで, Henryの法則に したがって37℃,1気圧の純酸素下において約7 V/V%の酸素を溶解することができる20W/V% perHuorotributylamineを灌流液として用いた。 灌流液の状態を極カー定にするため,5%02+ 6%CO2+89%N2ガスを流した人工肺,二つの熱 交換器,恒温油垢槽および5.5%CO2ガスによる人 工呼吸により,肺動脈暗流液のpH, Pco2, Po2と 肺静脈語誌液のpH, Pco2を生理的範囲に維持し た.また94.5%02ガスによる人工呼吸を行なうこ とにより,肺動静脈酸素分圧格差を400mmHg以 上に保ち,初めてヘマトクリット35%の血液と同
等にガス交換能を評価することが可能となっ
た9). 一般に,灌流液は肺水腫の発生を遅らせるため 膠質浸透圧を保つ物質を含んだ電解質液が使用さ れており,このモデルでは3W/V%アルブミン液 を用いた.これにより長期換気血流が可能となり, しいては保存前歯を測定し保存肺機能を回復率と して評価することができた.前実験として,3% hydroxyethylstarch灌流液を5ml/分/100g体重 にてラット摘出肺換気血流を行ない2時間以上は 肺水腫のため困難であったが,3%アルブミン灌 血液では4時間以上可能であった.組成は複雑で あるが膠質浸透圧をほとんど持たない細流液で も,アルブミン血流液と同等の摘出肺換気灌流が 可能であるという報告10>もあり,完全人工灌流感 を目指し今後の研究課題であると考える.再電流 初期圧を低く保つ20分問の圧規定換気灌流にて, 保存条件の違いを保存血機能回復率として評価し た.人工灌流血を用いた摘出肺灌流標本は肺水腫 になりやすく,平均灌流感が約20mmHg以上にな ると急激に肺水腫が進行する.保存時間がない1 群における血流量平均回復率の5分値は151%で あり,保存前換,気長流を行なう前の摘出操作およ び約10秒間の換気停止と約1分間の灌流停止にて も肺血管抵抗の上昇が認められ,保存前値が民謡 と同等となるため15∼20分間の換気灌流を必要と した.他の保存群では灌流量回復率は時間ととも に上昇しており,再灌流直後に肺血管抵抗の上昇 が認められた.この現象を“低酸素性肺血管収縮11)”とするか,いわゆる“no reHow
phenomenon12)13)”とするかは問題のあるところ であるが,血液成分の影響がない条件でも起こる ことは明らかであり,保存肺研究のためその機序 を解明する必要がある.量規定の余流法では再灌 流直後の肺血管抵抗上昇により肺動脈圧が上昇するため,短時間の保存でも容易に肺水腫となりさ らには評価不能となる.種々の保存条件の違い, つまり保存肺機能の違.いを定量的に評価するため 圧規定の潮流法は有用である.保存肺機能障害は 主に再灌流直後に発生し6)ユ4),再三流圧を低く保つ ことが機能障害軽減のため必要である15>が,評価 はより生理的肺循環量に近づけた条件にて行なう 必要がある.この二つの矛盾した必要性を満たす ため,灌流開始10分間は平均肺動脈圧を8mmHg とし次の10分間は13mmHgに上昇させた. この実験において肺血管抵抗は興味ある変化.を 示したが,保存肺vialilityの定量的指標が明らか でない今,肺コンプライアンス,肺血管抵抗16),ガ ス交換能17),湿乾重量比等を総合的に評価してい く必要がある. 結 論 1.人工血液の一つであるパラフルオロケミカ ルを灌流液に用いたラット摘出凶冷気灌流標本に よる保存心機能評価モデルを開発した. 2.同モデル用いて無識流,無換気下に37℃温保 存を行ない,保存肺のコンプライア.ンス,血管抵. 抗,ガス交換の回復率と湿乾重量比を検討した結 果,以下の成績を得た. 1)37℃保存肺では保存後肺機能は保存時間に 強く規.定された. 2)血液成分の影響がない条件下でも再灌流直 後の肺血管抵抗上昇が認められた. 稿を終えるにあたり,御指導と御校閲を賜りました 新田澄郎主任教授に深謝致します.また,本研究にご 協力いただいた教室員諸氏に御礼申し上げます. 文 献
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