公立高等学校における教職員と生徒の協働による学校ビジョンの構築に関する研究 伝統校における価値生成プロジェクトの実践を通してー 学 校 教 育 専 攻 学 校 改 善 コ ー ス 武 田 伊 織 1 .研究の目的 本研究の目的は、公立普通科高校の中でも特 に、伝統的な進学校と位置づけられてきた高等 学校に焦点を当て、学校の教育カとしての包括 的な人間形成機能を豊かに取り戻すことをねら いとして、学校の基本的な在り方に関して、学 校関係者が共有し、そこに向かい合えるような 学校ビジョンを構築し、それを基軸として様々 な教育活動を協働的に展開しながら、学校自身 が総体として自律的に変革していこうとする姿 とそれに接近するための方法論を明らかにする ことにある。 2.研究の特色 本研究では、当初、学校教育に関与する多様 な主体群を設定し、関係者の協働的な関係の構 築を促しながら、学校ビジョンの構築と共有を 可能にするための基本的なしくみやシステムを 構想し、それを研究協力校に導入し、実践を試 みた。しかし、その初期構想を全面的に実施す ることは困難な状況となったため、初期構想に おけるプロダクツやプロセスの基本的な原理を 研究実践の基盤としながら、学校の現状に合わ せて初期構想に代替する方法を模索し、研究活 動を展開させた。具体的には、生徒や教職員有 志による活動を中心としながら、それを学校全 体の取り組みに連動させるという方法で研究を 進めることとなったo 指 導 教 員 佐 古 秀 一 3. 研究課題 学校が関係者の教育期待を共有し、学校とし てのアイデンティティを確認しながら、自校の 教育意思を明確化して関係者の積極的な関与を 促し、そのことによって学校の活性化を可能に する学校ピジョンの構築のしくみや組織体制の 在り方について、以下の2点を明らかにするこ とを研究の課題の中心とした。 ①学校ピジョンの構造と作成プロセス 関係者の教育期待を学校の意思と融合させ、 協働的な関係と積極的で求心的な関与を喚 起する学校ピジョンの構造と作成プロセス の在り方。 ②学校ピジョンの構築に関わる組織体制 関 係 者 の 教 育 期 待 を 学 問 織 問 思 決 定に接合させるための組織体制とその運営
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4.研究の結果 ( 1 )学校ビジョンの形成プロセス 協力校における学校ピジョンは、①{生徒有 志による関係者の教育期待の集約と学校ピジョ ン原案の作成]、②{教職員有志による学校の 教育意思の確認と学校ピジョン原案の検討}、 ③{学校の公的組織での学校ビジョン原案の検 討}、@【学校ピジョンの決定】の四段階を経 て形成された。 各段階での活動にはそれぞれ以下の特徴が指 氏 U つ 山摘できる。まず、第1段階では生徒有志による 活動から質の高い学習期待が発信された。次に 第2段階では生徒側から発信された学習期待と 生徒の活動状況に触発された教職員有志が学校 の教育意思との融合を模索しながら学校ピジョ ンの検討を開始した。さらに第3段階ではその ような生徒及び教職員有志のボランタリィな集 団による検討結果を重ね合わせながら、それが 学校の公的な意思形成へと接合された。その結 果、第4段階ではそれが学校ビジョンという形 で位置づけられ、今後の学習及び教育活動の指 針として活用されることになったo 以上のプロセスを経ながら、質の高い、また 教職員だけでなく、生徒集団の学校への期待を 十分踏まえた学校ビジョンが学校の中に形成さ れ、位置づけられるに至ったのである。 (2)プロダクツとしての学校ビジョン 本研究で学校ビジョンとして作成されたプロ ダクツは、②[学校の基本的な方向性を示す「学 校スローガン