3. 近畿地域における先進事例のヒアリング調査
3.1. 先進事例調査の目的と調査対象
(1) 調査の目的 平成21 年 2 月に出された第二次循環型社会形成推進基本計画の進捗状況の第1回点 検結果 において、“地域循環圏の形成については、各地で住民、NGO/NPO、大学、 事業者、地方公共団体などの関係主体の連携による先進的な取組が進められて”おり、 “今後は、これら先進・優良事例を継続・発展するため”支援策等の検討とともに、 “先進・優良事例の全国更には世界への展開を目指して情報発信等を進めることが重 要”とされたところである。このため、当課においては、平成21 年度近畿地域循環圏 形成推進調査を実施して、この一環として、地域循環圏の形成に関する先進事例の調 査を行った。 調査にあたっては、近畿地域における地域循環圏の形成に関する先進事例の中から、 今後、地域循環圏形成推進に資すると考えられる先進事例を抽出して、対象とした。 そして、その成立した背景・経緯等と他地域への展開に向けた課題及びその解決策を 整理するとともに、他の地域への展開の実行可能性について検討し、まとめた。 なお、取りまとめた成果は、事例集としての配布も念頭に置いた。 (2) ピックアップの視点と調査対象 本事例集では、以下の視点により抽出した地域循環圏形成に係る先進事例を10 事例 取り上げた。 <ピックアップの視点> ○ 近畿地域内における取組であること ○ 循環型社会形成や地域活性化等の効果の大きさ ○ 将来性や他地域への展開に関する期待の大きさ ○ 新規性の高さ ○ 選定した取組主体の属性(自治体/企業/NPO 等)が多様性を持っていること ○ 取組内容を類型化した際に、同じような取組ばかりとならないこと ○ 地域のバランスがとられていること 等具体的には以下の事例を対象として、ヒアリング調査など実施のうえ取りまとめを 行った。 <先進事例調査対象> 1. 出町柳商店街における容器包装減量と生ごみ堆肥化 2. NPO ごみじゃぱんの「減装(へらそう)商品」の購入促進 3. レジ袋削減の取組み(マイバッグ持参率の向上) 4. 百貨店における陶磁器惣菜食器のリユース 5. 「もったいない陶器市」再生陶器の循環システム 6. リターナブル方式による 1L 化粧瓶入りウーロン茶 7. スーパーによる堆肥化・メタン発酵による食品リサイクルループ化 8. 食品廃棄物のエコフィード化 9. 菜の花プロジェクト 10. 広域認定制度を活用した使用済みユニフォームリサイクル
(3) 各事例の概要 ① 出町商店街における容器包装減量と生ごみ堆肥化(京都市左京区) <事例の概要> ○ 出町商店街において、トレーなしの販売とその受入に対するポイント還元制度の 導入、及び、商店街4 店舗より発生する食品残渣の共同堆肥化を実施している。 堆肥化装置(80kg/日)は、京都市環境事業協会敷地内に設置し、生成した堆肥は、 地域の小学校におけるグリーンカーテン用に利用している。 ○ 地域の商店、行政、学校の連携による地産地消型のリサイクル事例であり、その 実現の手順や取組みのポイントを明らかにすることで、他地域への同様の事例の 拡大が期待できる。 ○ また、生成堆肥をグリーンカーテン用に用いる仕組みは低炭素社会や自然共生社 会にも通じる取組みであり、事業者・行政・NPO・学校の連携は、グリーン購入 の促進や環境教育・環境学習の場の提供にも繋がっている。 ② NPOごみじゃぱんの「減装(へらそう)商品」の購入促進(神戸市灘区) <事例の概要> ○ 神戸大の学生らでつくるNPO「ごみじゃぱん」は、企業が協力し、消費者に簡易 包装の商品購入「ごみ減装(へらそう)ショッピング」を勧める活動を行ってい る。 ○ 環境省の平成18 年度容器包装廃棄物 3R推進モデル事業として、コープこうべ六 甲アイランド店において実施後、毎年、取組を重ねており、平成20 年度は、灘区 のスーパー4 店舗(コープ 2 店舗、ダイエー2 店舗)で実施し、大塚製薬、花王、 日本ハム、ネスレコンフェクショナリー、ハウス、マンダム、レンゴーのメーカ ー7社が協力し、効果の検証を行った。実験結果として、「推奨品の販売量増加 (POSデータ解析により統計的に実証)したこと」や、「実験を全国で1年間行った とした場合、ごみの削減量は年間約20 万トン相当となること」、「比較販売実験 で、中身と価格が同じで包装が違う実験用特別商品の比較販売で減装商品が通常 商品の2 倍売れたこと」、「環境へ配慮した生活が面倒と考える人が、36%から 21%に減少したこと」などが報告されている。 ③ レジ袋削減の取組み(マイバッグ持参率の向上)(和歌山県) <事例の概要> ○ 和歌山県では、事業者、市民団体、行政が連携し、県全域でレジ袋の無料配布中
○ 平成20 年 8 月に協議会を設立し、事業者等との協議の元、レジ袋の無料配布を中 止する小売業者を拡大しており、平成21 年 1 月に第一弾、同年 10 月に第二弾の 無料配布中止事業者を開示し、段階的に拡大を図っている。 ○ また、平成22 年度末(H23.3.31)までにマイバッグ持参率を 80%以上とするこ とを目標としている。 ○ 近畿圏内では、レジ袋の無料配付中止に府県全体として取り組んでいる唯一の事 例である。 ④ 百貨店における陶磁器惣菜食器のリユース(京都市下京区) <事例の概要> ○ 京都大学環境保全センター、京都市、高島屋などでつくる京都エコ容器包装・商 品推進協議会は平成21 年 2 月に、環境省の平成 20 年度容器包装廃棄物 3R 推進 モデル事業として京都と東京で百貨店の総菜容器のリユース実験を実施した。そ の後、平成21 年度も実験を実施しており、今後、定期的、継続的なリユースが期 待される。 ○ 総菜販売のロック・フィールドが協力し、磁器製の食器に入った総菜を販売、返 却された食器を洗浄し、再使用する仕組みである。 ○ 環境省に設置されている「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポ ジット等の循環的な利用に関する研究会」の本年度の主題である食品容器のリユ ース事例であり、全国的にも注目度の高い取組みである。 ⑤ 「もったいない陶器市」再生陶器の循環システム(奈良県生駒市) <事例の概要> ○ NPO法人日本ワンディッシュエイド協会(取組の立ち上げ当初は、ワンディッシ ュエイド食器リサイクルの会)では、環境に配慮された再生陶器=OneDishAid 菓子容器を開発し、デポジット制と容器回収まで導入する容器循環エコシステム をつくり、それを流通にのせ陶磁器の循環型社会を広める運動をしている。 ○ 平成20 年 7 月より生駒市では、NPO 法人日本ワンディッシュエイド協会と協働 という形で陶磁器(食器)リユース・リサイクル事業を運営している。生駒市が、 不要な陶器を市民から回収し、NPO 法人日本ワンディッシュエイド協会が、リユ ースできるものを選別し、陶器市を開催して販売する一方、リサイクルできない ものは、岐阜県土岐市にて再生陶器としてリサイクルしている。
⑥ リターナブル方式による 1L化粧瓶入りウーロン茶(大阪府能勢町) <事例の概要> ○ 大阪府能勢町の能勢酒造㈱社では、リターナブル方式による1L化粧瓶入りウーロ ン茶を新たに開発した。ペットボトル入りウーロン茶の代替品として提供するこ とでペットボトルごみの削減に寄与する商品として近隣家庭への宅配および飲食 店向けに販売している。過去1 年間に販売した約 10.4 万本を、2Lペットボトルに 換算すると約5.2 万本、ダンボールで約 8600 枚(2800kg)を削減したものと推 定される。この取組は、平成20 年度「容器包装 3R推進環境大臣賞」最優秀賞(製 品部門)を受賞している。 ⑦ スーパーによる堆肥化・メタン発酵による食品リサイクルループ化(兵庫県神戸市) <事例の概要> ○ スーパーマーケットのコープこうべでは、自ら堆肥生産施設を作り、地元農園と 連携し、リサイクル堆肥を利用して栽培した農産物を、コープこうべの店頭で販 売している。また、六甲アイランド食品工場で発生するおからの飼料化や、生ご みのメタン発酵による発電など、複合的な食品リサイクルループを実現している。 ○ 小売業の食品リサイクル率の向上が課題となっている中、食品廃棄物の特性に応 じたリサイクル手法を組み合わせ、リサイクルを実施している先進的な事例であ る。 ○ 平成19 年度「食品リサイクル推進環境大臣賞」奨励賞を受賞している。 ⑧ 食品廃棄物のエコフィード化(兵庫県加西市) <事例の概要> ○ エコフィード循環事業協同組合では、食品スーパー、食品工場等から排出される 野菜くず・パンくず、賞味期限切れ食品等を回収し、エコフィード(リサイクル 飼料)を製造している。製造した飼料は、養豚農家、配合飼料工場へ販売し、地 産地消食品として「霜降り豚肉」を生産し、食品スーパーで販売している。 ○ 肥料化は、家畜排せつ物など他の有機資源と競合するが、飼料化は、食品廃棄物 ならではの取組みであり、飼料自給率、食料自給率の拡大の観点から、食品廃棄 物の飼料化は、全国的に期待される取組みである。また、1.の事例とは異なり、 産官学農連携の研究を経て事業化された取組みであるのも特徴的である。 ○ 平成20 年度「食品リサイクル推進環境大臣賞」最優秀賞を受賞しており、平成 21 年にはエコフィード循環事業協同組合が、登録再生利用事業者となっている。
⑨ 菜の花プロジェクト(滋賀県東近江市) <事例の概要> ○ 転作田に菜の花を植え、ナタネを収穫し、搾油したナタネ油を家庭での料理や学 校給食に使い、搾油時に出た油かすは肥料や飼料として使うとともに、廃食油は 回収し、せっけんや軽油代替燃料(BDF)にリサイクルすることで、せっけんや BDFは地域で利活用するプロジェクトとして、環境負荷の少ない「資源循環型」 の経済社会への転換をうたった取組である。 ○ 1998 年に滋賀県愛東町(現在の東近江市)で取組が始まり、2001 年 4 月 28 日に 第1 回「全国菜の花サミット」が開催され、次回は 2010 年 2 月に第 10 回が開催 されるまでに至っており、現在では全国各地の地域が、このプロジェクトに参加し ている。当初は環境生活協働組合によるスタートであったが、2005 年にNPO法人 化され(菜の花プロジェクトネットワークとなり)、全国の本取組における中心 地的存在となっている。 ⑩ 広域認定制度を活用した使用済みユニフォームリサイクル(大阪市中央区) <事例の概要> ○ 大阪市中央区に所在する㈱チクマは、帝人ファイバー株式会社松山営業所に委託 し、ユニフォームを高純度のポリエステル原料(DMT:テレフタル酸ジメチル) に戻す「ユニフォーム to ユニフォーム」システムを実現している。 ○ また、平成16 年に、「ポリエステル繊維 80%以上のユニフォーム」で、「広域 認定制度」の認定を、繊維業界第一号として受け、個別に都道府県知事等の許可 を取得することなく産業廃棄物処理業務が行えるなど、リサイクルを効率的にす すめている。
3.2. 各先進事例の内容
(1) 出町商店街における容器包装減量と生ごみ堆肥化 ① 概要 京都市の循環型社会推進基本計画(平成15 年策定)に基づいた 2R(リデュース、 リユース)の推進事業「2R 型エコタウン構築事業」として、出町商店街振興組合 のエコ商店街事業を採択し、同事業の事務局である「京都市ごみ減量推進会議(以 下、ごみ減量推進会議)」が支援している。 ② 取組体制 出町商店街では、ごみ減量推進会議とともに2R の具体事業を検討し、事業に賛同 する商店街の店舗が活動を実施している。その活動を、大学、近隣事業者、地元放 送局がサポートする体制ができている。 ごみ減量推進会議 ●指定有料ごみ袋の収入を原資とした 事業費の一部支援 ●基礎データ等の調査、情報提供 ●2R 活動メニューの検討 出町商店街 京 都 精 華 大 学 准教授・学生 ●まちづくりの視点からの指導 ●学生による2R のPR資材(エ コスタンプ等)のデザイン、作成 京都大学 助教 ●アドバイス ●PR ●講演 近隣事業者等の支援 ・KBS ラジオ:定期的に取組みを放送 ・タキイ種苗:ゴーヤカーテンのゴーヤの 種を提供、出張授業 ・堀場製作所:出張授業(環境教育) <出町商店街> <エコ商店街の垂れ幕>③ 現状の成果・実績 1) 取組の内容 エコ商店街事業では、以下の二つの事業を実施中。 レジ袋の辞退などに対して、各店舗のオリジナルスタンプを押印、10 個たま ると抽選で景品が当たるというエコスタンプ事業。スタンプは、売上げでは なく販売回数につき2 円であり、通常の値引きとは異なる。また、景品は、 50 円、20 円の金券、トイレットペーパー、水切袋、風呂敷、漫画ミュージア ムの招待券などである。なお、第6 回目となる 2010 年 2 月 13 日~4 月 17 日 の実施分については、10 個集めた際の特典を抽選方式から、20 円等への引き 換え方式に変更し、実施をしている。 出町商店街(4 店:八百屋 2 店舗、総菜 1 店舗、パン屋 1 店舗)から出る生ご みを分別、堆肥化する事業。生成堆肥は、地域の小学校である京極小学校で のゴーヤのグリーンカーテンづくりに活用。 <スタンプカード> 2) 取組の結果 2008 年度に開始したエコスタンプ事業は、2009 年度も継続し、以下の期間で 72 店舗で実施したところ、第4 回(6 月 8 日~7 月 4 日)でのスタンプカードの回収 枚数は2,113 枚であり、レジ袋に換算すると、約 2 万枚のレジ袋の削減効果があっ たことになる。 ・第4 回(6 月 8 日~7 月 4 日) ・第5 回(10 月 5 日~12 月 19 日)
2009 年度(4 月中旬)に開始した堆肥化事業は、5 月に京極小学校でゴーヤ種まき をし、同時に環境教育授業をスタートさせ、9 月末までに 7 回実施した。6 月には 京極小学校でエコ標語づくりと、京都市長も参加してゴーヤ苗植えイベントを商店 街で実施した。10 月に栽培したゴーヤの試食イベントを出町商店街で行い、その 模様は、KBS ラジオで中継された。 ④ 事業のポイント 1) 成功のポイント 出町商店街では、イベントなどの検討・実施を10 名程度の理事の合議制で決めて いるが、結束力が固く、2~3 人がやる気であれば実施する素地がある。 具体事業の開始前に、ごみの発生実態の把握や、参加店舗での現状の取組みやニー ズなど、基礎的な情報把握をしたことが、具体事業の拡大や充実に繋がっていると 考えられる。 事務局(ごみ減量推進会議)があることで、予算管理がしっかりできている。最初 はそのようにある程度事務局(行政等)が、主導的にする必要があるかもしれない が、道筋ができた後は、その事業に参加している方々が自立的に、自然発生的にや っていかれることが望ましい。また、ごみ減量推進会議が、市民と事業者、行政の 協働により、ごみの減量活動に取り組む組織であり、市民と事業者(商店街の店主 や地元企業等)、行政のコーディネートについて経験を有していたこと、またそれ を目的の一つとした組織であったことも、事業の実施に際して有効に作用したと考 えられる。 事業の拡大や充実には、ごみ減量推進会議と商店街だけでなく、以下の様々な主体 の協力を得られたことも大きい。 京都大学の浅利美鈴助教は、ごみ減量推進会議の理事であり、事業に対する アドバイスや、様々な場面でのPR、事業立ち上げ時の講演などの協力をいた だいている。 主な事業となっている「オリジナルスタンプ」事業には、京都精華大学(叡 山電鉄で20 分ほど乗ったところに所在)の片木孝治准教授と学生の協力があ り、スタンプや垂れ幕、キックオフイベントのオリジナルランチプレートは 京都精華大学の学生がデザインしたものである。エコスタンプは、提案した 当初、商店街の方の反応は「よくある取組みの一つ」という感じであったが、 店舗ごとにオリジナルのスタンプをデザインしたことで、商店主の心をつか むことができた。また、お客さんの中にも「あの店はどんなスタンプなのか?」 という興味からレジ袋を断り始めた方がいるなど、お客さんの心をつかむこ ともできた。そして、お客さんの支持を得られたことで、商店街の方の心を
KBS ラジオは、番組「ただいま勤務中!森谷威夫のお世話になります!!」 内で、市の環境の取組みや市内の小学校の環境教育の取組みを紹介しており、 定期的に出町商店街の取組みを放送している。 ゴーヤの種は、「タキイ種苗株式会社」より提供。ゴーヤの生育などについ ても助言をもらっている。また、「株式会社堀場製作所」と連携し、ゴーヤ を育てている土や野菜の中の硝酸イオン濃度測定やゴーヤの表面温度の測定 などを実施する授業を行っている。地域に根差した商店街や小学校での取組 みは、地元企業にとっても、地域貢献につながる取組みともいえ、CSR の観 点から企業にとっても参加メリットのある取組みとなっていると考えられる。 <京極小学校のゴーヤカーテン> (出所)京都市情報館(http://www.city.kyoto.lg.jp/kamigyo/page/0000066772.html) 2) 苦労した点 スタンプの原資をどうするのか。現在は、期間限定のキャンペーン(売り出し)であ り、商店街とごみ減量推進会議が、1/2 ずつ費用を捻出しているが、継続的にな ると原資の確保が難しい。月に1 万枚配布をして、10 個集まるのが 2 千枚程度、 カード印刷代が2 円/枚程度であることからすると、継続的な運用のためには 20 円 程度が妥当と考えられる。 堆肥化はうまく管理しないと、臭いや虫が発生するので、注意が必要である。 商店街はポテンシャルが大きいはず。人間関係が確立されているので、個人の裁量 が非常に大きく、柔軟性もある。しかしながら、商店街全体の情報の把握がなかな
⑤ 今後の展開・課題 1) スタンプ事業について スタンプを10 個集めた時の特典を抽選方式から、20 円の引き換え方式に変えるこ とで、ランニングコストの削減を図れるため、その方向での実施を検討している。 これまでの取組結果を踏まえると、この際のランニングコストについては、商店街 である程度負担が可能な範囲になると予想される。 商店街の取組みに、周りが商品を拠出してくれるような方法もとれるようにしてい きたいと考えている。他にも京阪電車や叡山電鉄など、近くの大手会社にスポンサ ーになってもらえるようなこともしてもらえないかと考えているが、まだ具体的な 声かけは出来ていない。 特に、京極小学校での授業の実施など、地域の環境にかかわる事業については、エ コスタンプの特典などを消費者が寄付するなど、商店街の利用者がサポーターとな るような出町エコ基金をつくる方向性も模索してみたい。 また取組みとしては、商店街全体でやると盛り上がるということは、商店主の方々 は経験的に共有している。商店街でできるような取組みをどのようにつくっていく か、費用の負担等をどうするかについて整理をしていけば継続できるのではないか と考えている。 波及効果として、出町商店街は、"エコ""環境配慮"というものが 1 つの特徴として 自己認識されはじめていて、ごみ減量推進会議のキャンペーンの時以外でも商店街 のイベントなどで"エコ""環境"をキーワードにした取組みが行われている。また、 区民運動会でも出町商店街のスタンプをモチーフにしたり、環境をテーマにした競 技も行なわれ始めたりしており、"エコ""環境"が地域の特色にもなり始めている。 2) 堆肥化事業について 堀場製作所も、KBS ラジオも引続き興味をもってくれているので、今回、出来た ネットワークが、他の地域での水平展開でも連携していけるのではないか。
エコ商店街事業 2003 年度 京都市「循環型社会推進基本 計画策定」 2007 年度 「2R 型エコタウン構築事 業」として、エコ商店街事 業を実施することを決定 し、モデル商店街を公募し た結果、出町商店街振興組 合が採択された。 2007 年度 2 月にキックオフ イベントを実施。 出町商店街 120 店 舗中、生鮮食品関連 の店舗が密集して いる桝形地区45 店 舗をモデル地区に 指定 ごみ組成調査や、小 売方法と買物方法 の違いによるごみ 発生量の比較など の基礎調査を実施 2008 年度よりエコスタンプ事業を開始 <2008 年度> 第1 回(10 月 27 日~11 月1日):桝形地区 第2 回(12 月 10 日~23 日):桝形地区 第3 回(3 月 23 日~4 月 4 日):その他地区 27 店舗にも拡大 <2009 年度> 第4 回(6 月 8 日~7 月 4 日):回収枚数は 2,113 枚 第5回(10 月 5 日~12 月 19 日):回収枚数は 6,656 枚 (取組実施のフロー図) 企業、消費者 の寄付を原 資とした基 金などによ り、取組みの 通年化をめ ざす。 2006 年 10 月からの家庭ごみの有料 化による指定袋の販売収入の還元先 の一つとして、市民や事業者がごみ 減量活動に取り組む「ごみ減量推進 会議」の活動支援があげられ、同会 議では、特に2R 活動に力を入れる 「2R 型エコタウン構築事業実行委 員会」が新たに立ち上げられた。 2009 年度より生ごみ堆肥化を開始 ごみ組成分析結果を踏まえ、4 店 舗:八百屋2 店舗、総菜 1 店舗、 パン屋1 店舗でスタート 環境事業協会(装置借り受け)、 京極小学校(環境教育)、タキイ 種苗(種の提供)と連携 他地域の商 店街、学校へ の横展開を 期待 エコスタンプ事業では、商店街とごみ減量推進会議が、1/2 ずつ 費用を捻出 【取組概要】 京都市の循環型社会推進基本計画(平成15 年策定)に基づいた 2R(リデュース、リユース)の推 進事業として、ごみ減量推進会議の進める「2R 型エコタウン構築事業」の一環で、エコ商店街事業 を実施することとし、公募の結果、出町商店街振興組合をモデル商店街として取組みを実施してい る。 エコ商店街事業では、以下の二つの事業を実施中。 レジ袋の辞退などに対して、各店舗のオリジナルスタンプを押印、10 個たまると抽選で景品が 当たるというエコスタンプ事業。スタンプは、売上げではなく、販売回数につき2 円であり、 通常の値引きとは異なる。また、景品は、50 円、20 円の金券、トイレットペーパー、水切袋、 風呂敷、漫画ミュージアムの招待券などである。 出町商店街(4 店:八百屋 2 店舗、総菜 1 店舗、パン屋 1 店舗)から出る生ごみを分別、堆肥 化する事業。生成堆肥は、地域の小学校である京極小学校でのゴーヤのグリーンカーテンづく りに活用。 【取組のポイント】 出町商店街では、イベントなどの検討・実施を10 名程度の幹事の合議制で決めているが、結束力 が固く、2~3 人がやる気であれば実施する素地がある。 具体事業の開始前に、ごみの発生実態の把握や、参加店舗での現状の取組みやニーズなど、基礎的 な情報把握をしたことが、具体事業の拡大や充実に繋がっていると考えられる。 事務局(ごみ減量推進会議)があることで、予算管理がしっかりできている。最初はそのようにあ る程度事務局(行政等)が、主導的にする必要があるかもしれないが、道筋ができた後は、その事 業に参加している方々が自立的に、自然発生的にやっていかれることが望ましい。 事業の拡大や充実には、ごみ減量推進会議と商店街だけでなく、地域の大学や事業者など、様々な 主体の協力が得られたことも大きい。
(2) 「減装(へらそう)商品」の購入促進の事例 ③ 現状の成果・実績 ② 取組体制 ① 概要 1) 平成 19 年度の取組 a.取組の内容 b.取組の結果 なお、取組の認知度を別途調査したところ、比較的高く認知されていたことが分か これらの実験の結果に対しては、以下の指摘が挙げられた。 2007 年に 3R 推進モデル事業として、コープこうべの六甲アイランド店を対象に、 日用品(160 品目)や食料品(100 品目)を対象として、容器包装が簡易化された 商品の販売実験を行い、一定の成果(簡易包装商品が売れる結果)を得た。 NPO ごみじゃぱんを中心に神戸市内のスーパーマーケットとメーカーの集まりで ある「減装研究会」が取組の主体となっている。 容器包装が軽量な商品の購買を推進するために、カテゴリー毎に中身あたりの容器 包装重量が相対的に軽いものの推奨購買実験を行うことで、消費者の購買行動への 影響を検証する取組(2009~2010 年度の取組)。 キャンペーンとして、1 か月間の実施だからではないか。 住民の意識が高い六甲アイランド、またコープこうべの店舗といった形で、 一般的な消費者が対象となっていないのではないか。 2009 年度以降は、コープこうべ、ダイエー、ジャスコの 3 流通になった。 2008 年度以降は、コープこうべ、ダイエーの 4 店舗に取組を拡大した。 取組の初年度(2007 年度)は、コープこうべ(六甲アイランド店)が取組に 参加した。 取組の契機は、商品の製造事業者や流通業者に対して、容器包装が軽量な商 品を推進していくにはどのような働きかけ方があるか、という問題意識であ った。 NPO ごみじゃぱん ジャスコ ダイエー コープこうべ メーカー ごみじゃぱん内 減装研究会
2) 平成 20 年度の取組 2008 年は、コープこうべ以外の事業者(ダイエー)も巻き込み、以下のような形 でより広い範囲を対象とした販売実験を行った。 販売店舗は 4 店舗とするとともに、コープの事業であるという誤解を解くよ うに取り組んだ。 簡易包装ではなく「減装(へらそう)商品」とした。その理由として、「簡 易包装=贈答品の包装を簡易化した」イメージがあり、日用品のイメージと は結びつきにくいものであったためである。 コープ、コープ以外の両方の流通ルートを通じて、スタート時点で約1500 品 目(各店舗では,店舗規模に応じて 600-800 品目を取り扱っていた)を対象 商品とした。実験の進行と共に商品入れ替えに対応して適宜推奨商品を増や した。 減装商品のロゴ 3) 平成 21 年度以降の取組 対象商品の認定にあたり、学生によるボランタリーな作業によって行うのではなく、 事業者がビジネスとして全国展開を実施するにはどのようにすればよいか、という 問題意識の下、引き続き実施方法を検討した。 併せて、当団体の減装商品を決める認証団体としてのあり方についても、検 討を行っている。 ロゴ(減装商品)は同じとするものの、推奨基準を以下のとおり変更した。 従来は、定性的な取組の説明(容器包装を無くしました、減らしました、変 わりました)に基づき、これまでより簡易化されたという努力の認証を行っ ていた。 2009 年の推奨基準は、容器包装の簡易化を定量化した結果に基づき、推奨商 品を決める形を取るよう検討している。 定量化に当たっては、全国展開を念頭に置き、計算方法などについてはマニ
実験は1 年間(2009 年 11 月 13 日から 2010 年 11 月 14 日まで)実施する。 これまでは値札と同じ程度の大きさの POP を作成し,値札に並べていたが、 対象商品の拡大や修正に対応できるよう、今年はロゴステッカーを作成し、 値札に貼り付ける形を取る。 ④ 事業のポイント 1) 成功のポイント 対象商品の認定に当たっては、各商品の容器包装の重量を計測するなどの地道な作 業が必要であったが、神戸大学の学生を中心にこれらの作業を行うことで、少ない 経費の中で購買実験等を行うことができた。 学生が中心として活動する事で、メーカー、店舗,生活者の共感を得る事が出来た。 2) 苦労した点 初年度の取組においては、コープこうべ1 店舗での実施であったことから、取組自 体がコープこうべの取組であると認識されたり、取組の効果についても他の店舗で 同様の効果が得られるかと言った点が指摘されたりした。 ⑤ 今後の展開・課題 店頭表示である POP などは各事業者に実施させることを前提とし、当団体は推奨 商品の認証と全体的なコンセプト管理に注力する形をとっていきたい。 消費者には「減装商品」のロゴのみが表示されるが、定量情報を出すことは、情報 量やロゴマーク作成コストなどの観点から検討中である。 推奨商品の包装重量データは、商品名と共にホームページで公開している。 店頭での情報伝達という観点から、今後どのような形で定量情報を開示する かという点は検討課題である。 仮に定量情報を開示するとしても、絶対量(重量)を開示するのではなく、 カテゴリーの中での相対的位置付けなどを開示することを考えている。 推奨商品として認定するラインをどこにするか、それを誰が決めるか、といった点 は、全国展開を行っていくうえで検討課題の一つである。 普及・啓発の方法としては、学校を通じたキャンペーンの実施も検討したい。 全国展開への課題としては、当団体を置くような受け皿が必ずしも存在していない 地域があることも挙げられる。
(事業実施のフロー図) 2007 年度 容器包装が簡易化された商品の試験販売を実施 ・コープこうべ六甲アイランド店で実施 ・日用品160 品目、食料品 100 品目を対象 ・本取組の全国展開にあたり推奨賞品の 認証と取組全体の統括(コンセプトの 推奨など)に注力したい。 ・そのためには、定量化のための計測作 業のマニュアル化や個別の販売実験 などの実施体制の構築が課題である。 3R 推進モデル事業(環境省) 2008 年度 実施店舗を拡大のうえ、「減装商品」としての 試験販売を実施 ・神戸市内2 事業者 4 店舗 ・日用品、食料品合わせてのべ1500 品目を対象 2009 年度 「減装商品」の推奨基準は以下のとおり変 更したうえで販売実験を実施 なお、実施期間は、1 年間(2009.11~ 2010.11)とした。 一定の成果が見られたものの、以下の点が 指摘された。 ・実施店舗が一般消費者を代表していない のではないか。 ・キャンペーン期間だったからではないか。 対象商品の認定にあたり、学生中心による ボランティアではない形で実施するには、 どうすればよいかという問題意識 ⇒全国展開を念頭に置いた取組へ!! <推奨基準の変更> 定性的な取組の説明ではなく、容器 包装の簡易化を定量化した結果に基 づき認証することとした。 今後の取組展開 の可能性 NPO ごみじゃぱん、神戸大学 コープこうべ(六甲アイランド店) ダイエー(甲南店) グルメシティ(住吉店) コープこうべシーア店 コープこうべ深江 の4店舗 ジャスコも販売実験に 加わる。 【事業概要】 容器包装が軽量な商品の購買を推進するために、そのような商品の試行的な認定と購買実験 を行うことで、消費者の購買行動に影響を検証する取組。 学生が中心になって活動する事で、メーカー、流通,生活者の共感を得る事が出来た。 【ポイント】 対象商品の認定に当たっては、各商品の容器包装の重量を計測するなどの地道な作業が必要で あったが、神戸大学の学生を中心にこれらの作業を行うことで、少ない経費の中で購買実験等 を行うことができた。 2008 年度以降は、コープこうべ、ダイエーの 4 店舗に取組を拡大した。 2009~2010 年度の実験では、コープこうべ、ダイエー、ジャスコの 3 チャンネルに拡 大して実施している。 取組の契機は、商品の製造事業者や流通業者に対して、容器包装が軽量な商品を推進し ていくにはどのような働きかけ方があるか、という問題意識であった。 NPO ごみじゃぱんを中心に神戸大学と神戸市内のスーパーマーケットが取組の主体となって いる。 取組の初年度(2007 年度)は、コープこうべ(六甲アイランド店)が取組に参加した。
(3) レジ袋削減の取組み-マイバッグ持参率の向上の事例 ③ 現状の成果・実績 ② 取組体制 ① 概要 1) 取組の内容 主に県内で店舗を展開している小売事業者を中心に協議会(わかやまノーレジ袋推 進協議会)を設立した。 容器包装リサイクル法の改正に伴う排出抑制と県内における一般廃棄物排出量が 全国的に見ても一人あたりで多い中、市民団体がレジ袋を減らす取組を行っている ことを背景に、県内の小売事業者(スーパーマーケット主体)を対象に実施したレ ジ袋の有料化の取組。 協議会の設立後、取組の開始までの間、協議会として取組内容の紹介チラシの作成 や県民への戸別配布、ラジオやテレビの広報番組、県や市町村の広報誌への掲載な どを実施したほか、店頭における普及・啓発などの事前告知を実施した。 レジ袋有料化を開始したのは、2009 年 1 月 23 日であり、当初、31 事業者 192 店 舗が取組に参加した。 協議会への参加=レジ袋有料化に取り組むという位置づけで実施している。 協議会の事務局は、和歌山県環境政策部(環境政策局循環型社会推進課) 2009 年 10 月 1 日に取組を行う店舗が拡大された。(5 事業者 28 店舗が追加。) 協議会の設立は2008 年 8 月 27 日であったが、設立に先立ち、取組に協力い ただけそうな事業者を対象に個別訪問や会合を開催した。 事前告知を通じた県民の反応としては、取組自体に理解を示す方が多かった。 県内のスーパーマーケット等の小売店 わかやまノーレジ袋 推進協議会
2) 取組の結果 事前告知が功を奏し、取組開始後も県民からの苦情などはほとんどなかった。 店では、買い物カゴをそのまま持って帰る人が見られた。 協議会では、取組開始後の状況報告があり、その中ではレジ袋仕入れ分のコスト削 減や容リ協会(日本容器包装リサイクル協会)への委託金の削減などの事業者のメ リットが挙げられた。 協議会の協定ではあまり細かい規定を設けていないため、有料化したレジ袋の金額 設定やお弁当などへの袋の配布、ポイント還元などについては、各事業者による自 主的な判断で行っている。 マイバッグ持参率を県で算出しているが、89.3%(2009 年 1 月当初)→90.5%(7 月)→90.7%(12 月)で推移している。 取組を告知するのぼりと有料レジ袋 ④ 事業のポイント 1) 成功のポイント 協議会設立に先立ち、取組に協力いただけそうな事業者を対象に個別訪問や会合を 開催するとともに、取組開始前においても市町村なども通じた事前告知を住民に対 して実施することで、取組をスムーズに実施した。 和歌山県は地理的に閉ざされているため、商圏が県内に収まっていることもあり、 取組がうまくいっている側面が挙げられる。 商圏が隣県と重なっていると、ゴミ袋が無料の隣県の店舗にお客さんが流れ る可能性があり、大都市圏では難しい取組かもしれない。
⑤ 今後の展開・課題 今後の展開については、食品スーパー以外の業態をどれだけ巻き込めるかが課題の 一つとなっている。 全国展開を行っている大手スーパーによると、レジ袋は地域との関係があるため、 他県での展開は必ずしも容易ではないとのこと。 県内の小規模な事業者については、大量にレジ袋を使っていないこともあり、なか なか取り組むことの実感が湧かないのが実態のようである。
2008 年(5~7 月) 個別に事業者を訪問し 取組の賛同者を募る (事業実施のフロー図) レジ袋使用を減らす取組が 必要!!(市民団体なども 活動) ・容器包装リサイクル法改正に 伴う排出抑制 ・一人あたり一般廃棄物排出量 が全国的にみて多い実情 2008 年 8 月 27 日 「わかやまノーレジ袋推進協議 会」の立ち上げ 2009 年 10 月 1 日 取組を行う店舗の拡大 (県内5 事業者 28 店舗を追加) 2009 年 1 月 23 日 レジ袋有料化のスタート (県内31 事業者 192 店舗) ・レジ袋有料化による 客離れの懸念 ・有料化以外の取組の 可能性 ・協議会参加=レジ袋有 料化を実施 ・県内のスーパーを中心 とした大手事業者の個 別の賛同 ・中小規模の事業者への働きかけ ・食品スーパー以外の業態の取り込み 今後の取組展開 の可能性 商圏が隣県と重なっていると、ゴミ袋が無料の隣県の店舗にお客さんが流れる可能性があり、 大都市圏では難しい取組かもしれない。 和歌山県は地理的に閉ざされているため、商圏が県内に収まっていることもあり、取組がうま くいっている側面が挙げられる。 【ポイント】 協議会設立に先立ち、取組に協力いただけそうな事業者を対象に個別訪問や会合を開催すると ともに、取組開始前においても市町村なども通じた事前告知を住民に対して実施することで、 取組をスムーズに実施した。 協議会の協定ではあまり細かい規定を設けていないため、有料化したゴミ袋の金額設定やお弁 当などへの袋の配布、ポイント還元などについては、各事業者による対応を行っている。 【事業概要】 容器包装リサイクル法の改正に伴う排出抑制と県内における一般廃棄物排出量が全国的に見 ても一人あたりで多い中、市民団体からレジ袋を減らす取組が必要であることが挙げられた ことを契機に、県内の小売事業者(スーパーマーケット主体)を対象に実施したレジ袋の有 料化の取組。 主に県内で店舗を展開している小売事業者を中心に協議会(わかやまノーレジ袋推進協 議会)を設立した。
(4) 百貨店における陶磁器惣菜食器のリユースの事例 ② 取組体制 ① 概要 京都エコ容器包装・商品推進協議会の一員として、(株)髙島屋、(株)ロック・ フィールド、(株)エー・ティ・エーが実施主体として関わるとともに、京都大学 環境保全センター、京都市(環境局循環企画課)ならびに市民(京都市ごみ減量推 進会議)が関与することで、一体的な取組体制を確立した。 百貨店で販売している総菜に磁器製容器を使用し、使用後に購入に店舗に返却する ことで、容器のリユースを行う取組。 平成20 年度「3R モデル事業」(環境省)に採択された。 びっくり!エコ実行委員会が髙島屋をメイン会場に実施しているイベント (びっくり!エコ100 選)に関わる中、2008 年の同イベントに株式会社ロッ ク・フィールド(総菜の製造および販売を行う会社)が参加したことを契機 に、本取組が始まった。 京都市 環境局循環企画課 京都市 ごみ減量推進会議 京都エコ容器包装 推進協議会 (株)エー・ティ・エー【デザインなど】 (株)高島屋【売場の提供、PR など】 (株)ロック・フィールド【メニュー・容器開発など】 京都大学 環境保全センター 店舗での 総菜の購入 店舗に 容器を返却 工場で 容器を洗浄・殺菌 自宅で 総菜を消費 磁器製容器 のリユース 容器の再利用
③ 現状の成果・実績 1) モデル事業(平成 20 年度)の取組 a.取組の内容 髙島屋の3 店舗(京都店、日本橋店、玉川店)にて平成 20 年 2 月 18 日~3 月 10 日に実験的販売を実施した。(容器返却は3 月末まで受け付けた。) 磁器製のリユース食器に入った2 種類の商品(ハンバーグドリア、じゃがいもグラ タン)を販売した。 食器は各家庭で洗浄後、店舗に返却してもらうが、返却時のサービスとして食器1 個返却につき商品(キッシュ)を贈呈した。 店頭でのビラ配布の他、ポスター掲示、顧客へのDM 発送、プレス発表などを実施 した。 店舗から工場への返却食器の輸送については、既存の輸送ルートを活用しており、 新たな環境負荷は発生していない。工場での洗浄・殺菌についても、既存の設備で 対応している。 b.取組の結果 実施期間を通じて、3 店舗合計で 1,907 個の商品が販売された。(購入客数は 1,380 人。)このうち、食器の返却数は414 個であり、返却率は 21.7%という結果とな った。 各店舗間での返却率の違いはあまり見られなかった。 当初の想定よりも多くの商品が販売されたと見ており、パブリシティ効果は 大きかったと考えられる。(会員DM 送付者の購入率が高かった。) 購入者による返却時の洗浄については、特にトラブルは無かった。
2) 平成 21 年度の取組 モデル事業の一環としてではなく、単独の取組として実施している。 対象店舗数は拡大するが、対象商品も平成20 年度より少し工夫している。 実施期間は、2009 年 8 月 9 日~2009 年 12 月 15 日(返却期限は 2010 年 1 月 31 日まで)としており、実施期間を長くしている。また、10 月の 3R 月間には、全国 に拡大して展開している。 リユース容器入りとワンウェイ容器入りとの比較なども検討したが、実施には至ら なかった。 恒常的に行わないのは、PR 効果なども狙い、イベント的要素を保つためである。 ④ 事業のポイント 1) 成功のポイント リユースを進めたかったという京都エコ容器包装・商品推進協議会(浅利助教)、 惣菜を使い捨て容器ではなく温かみのある容器で提供したいという(株)ロック・ フィールドの問題意識、また百貨店における環境取組を実施させたいといった問題 意識から、本取組が生まれた。 商品の価格設定にあたっては、リユース食器のコストも反映させ、事業者として採 算の取れる価格設定を行っており、この点は非常に重要である。 実際の商品価格は840 円、945 円(消費税込)に設定されているが、このう ちリユース食器は250 円/枚程度となっている。 2) 苦労した点 容器が磁器製であり、販売後に割れる等のトラブルが出ないか当初は心配された。 そのため、店頭での包装をしっかり行うことを検討したが、包装資材が多くなって しまってはかえって取組の効果が薄れるため、最小限の包装方法を検討した。 ⑤ 今後の展開・課題 対象製品の拡大や髙島屋以外の百貨店、その他店舗への拡大が期待されるが、その 場合、リユース容器については、より軽く、丈夫なものが求められると考えている。 物理的に可能であるとしても、顧客層やイベント性、採算性などいろいろと 検討すべき点は多い。 モデル事業における食器の返却率については高いとは言えないが、食器を各家庭で そのまま使用しているケースが多くあるのではないかと想定している。しかし、 LCA 上では 20 回以上リユースを行わないと結果的に環境負荷が大きくなってしま うという試算もあり、いかにリユースに回すかという点は課題である。
百貨店における陶磁器総菜食器のリユースの取組 2005 年 びっくり!エコ100 選 2005 (株)髙島屋 2008 年 夏 びっくり!エコ100 選 2008 (株)髙島屋 2008 年 秋 環境省のモデル事業 への応募・採択 2008 年 2/18~3/10 髙島屋3 店舗による 実験的販売の開始 平成 20 年度 容器包装廃棄物 3R 推進モデル事業 (環境省) 「百貨店等における 3R型販売(エコ容器包装やロン グライフ商品)の導入実験」 京都エコ容器包装・商品推進 協議会 京都大学環境保全センター (取組実施のフロー図) 2009 年 8/9~12/15 店舗数を拡大の上 販売を実施中 びっくり!エコ 100 選 2008 の取組を通じて、総菜販売会社の (株)ロック・フィールドと出会う ⇒エコ 100 選の取組と並行して、モ デル事業応募への検討を開始 ㈱ロック・フィールド ㈱エー・ティ・エー 効果的なパブリシティ 本格的な取組への 展開 【取組概要】 百貨店で販売している総菜に磁器製容器を使用し、使用後に購入に店舗に返却することで、 容器のリユースを行う取組。 百貨店の店頭で販売されている総菜を購入した消費者が、使用後に自ら洗浄の上、購入 店舗へ返却を行う。店舗に返却された容器は、工場での洗浄・殺菌を経た後、総菜商品 として、再度百貨店店頭に並ぶ仕組み。 昨年度に髙島屋3 店舗で実験的販売を行った後、今年度は店舗数を拡大の上、本格的な販売 を行っているが、実施期間を限定した取組として行っている。 【取組のポイント】 京都エコ容器包装・商品推進協議会、京都大学環境保全センターによる取組の企画、(株)髙 島屋による販売機会提供・顧客への発信、(株)ロック・フィールドによる商品メニュー開発、 (株)エー・ティ・エーによるデザインとあるように、各主体の得意分野を組み合わせた取組 である。 商品の価格設定にあたっては、リユース食器のコストも反映させ、事業者として採算の取れる 形で取組を実施している。 恒常的な取組としていないのは、イベント要素を持たせることによるPR 効果を狙ってのもので ある。
<陶器リユース・リサイクル事業の取組> (5) 「もったいない陶器市」再生陶器の循環システムの事例 ① 概要 お菓子容器などで不要になった陶磁器の回収・再利用を行うことで、地域における 陶磁器のリユース・リサイクルを行う取組。 現在は、ここで回収され、再利用にまわらなかった陶磁器は、リサイクル坏 土を活用した陶磁器製造のためのリサイクル坏土となっている。 実施当初(2006 年 6 月)は一個人の自宅を回収場所とし、周辺の住民を対象 とした取組を行っていたが、次第にメディアからの取材が増加するとともに 行政の関心が高くなり、2008 年度より生駒市の事業(もったいない陶器市) として実施されるようになった。 不要になった陶磁器が家庭からの一般廃棄物(燃えないゴミ)として処理さ れている現状を踏まえ、リユース・リサイクルを行うことができないかとい う問題意識により始まった。 陶磁器の 利用者 リサイクル坏土を 活用する陶器工場 「もったいない 陶器市」 陶磁器 の リユース 不要な陶器の排出 貰われた陶器 リサイクル 坏土 リサイクル坏土 を使った陶磁器 陶磁器 の リサイクル 陶器市で もらわれない陶器 リサイクル坏土を 製造する工場
② 取組体制
陶磁器のリユース・リサイクルの仕組みを立ち上げたNPO 法人日本ワンディッシ ュエイド協会(立ち上げ当初はOne Dish Aid 食器リサイクルの会、2008 年 7 月に NPO 法人化)、「もったいない陶器市」の事業主体である生駒市、リサイクル坏 土を製造する事業者ともに、不要な陶磁器を「もったいない陶器市」に提供等を行 う地域住民が、本取組に関わっている。 「もったいない陶器市」のうち1 か所は、ディアーズコープいこま(市民生 活協同組合 ならコープ)の店舗前で実施している。 生駒市 ならコープ (ディアーズコープいこま) リサイクル坏土を 製造する事業者 NPO 法人日本 ワンディッシュエイド協会 地域住民 ③ 現状の成果・実績 1) 取組の内容 2006 年 6 月に、陶磁器のリサイクルを行うための回収の取組を自宅周辺で開始し た。 自宅前に回収箱を置いたところ、半年で400kg も集まった。当初は割れた陶 器を集めるつもりであったが、新品同様のものも入っていた。 リサイクル坏土による容器製造を行う工場(岐阜県)に全てを送るのは送料 の面から考えても大変になったので、周辺の人に使えそうな食器を持ってい ってもらう(リユースの)取組も開始したところ、3 分の 1 程度が引き取られ た。 このような経緯を踏まえ、不要な陶磁器の回収だけでなく、再利用の仕組み を構築した。 これらの仕組み等については、メディアからの問合せや取材が増えたことにより、 さらに問合せが増加した結果、市役所にも問合せが起こるようになり、2007 年 11 月には、環境事業課からヒアリングを受けることになった。 これまで前例が無い取組であったことから、市としても2009 年度からの事業 化を計画したところ、市長の意向もあり1 年前倒しで 2008 年度から市の事業 として実施されることとなった。
市の事業としてスタートしたことにより、市内の拠点を中心とした陶磁器の リユース・リサイクルの仕組みが構築された。 現在では、コープの店頭での「もったいない陶器市」も実施しているが、日 常的に一般市民が利用する店舗の前でこのような取組を行うことで、気軽に (買い物のついでに)取組に参加できるような状況が生まれたと考えられる。 「もったいない陶器市」の様子(ディアーズコープいこま) 2) 取組の結果 「もったいない陶器市」(陶磁器(食器)のリユース・リサイクル事業)は、1t/ 月程度回収され、このうち3 分の 2 がリユース(陶器市に参加する住民が持って帰 るもの)、3 分の 1 がリサイクル(リサイクル坏土を活用して陶磁器を製造してい る工場)にまわっている。 生駒市における2007 年度の最終処分埋立量は 644t であったが、本取組が始まった 2008 年度には 554t まで減少した。 取組は1 年を通じて実施されたのではなく、市の事業としての陶磁器回収は 7 月から実施、その他陶磁器の回収も実験回収を含めて 9 月から実施されただ けで、このような結果になっている。 「もったいない陶器市」は1 年に 40 回ほど開催しているが、持ち込んだ人は 1,890 人であり、延べ利用者数は 15,000 人程度と推定される。
「もったいない陶器市」での看板、のぼり
④ 事業のポイント 1) 成功のポイント 他の地方公共団体が不思議がるほど、生駒市の対応が柔軟であったとのことは、成 功の要因の一つといわれている。 市としてリユースに力を入れたこと、市長の事業化への決断とともに、樽井 さんの企画力が組み合わさった結果だと言える。 また、リユースがうまく機能している要因として、以下が挙げられる。 供食を行う公共施設(老人ホームなど)では、陶器の食器を使いたいが破損 が心配されることから新品を購入するには躊躇するが、リユース品であれば、 多少揃っていなくても多くの数を使いたいというニーズがあった。 全体に占める割合は低いかもしれないが、一般家庭が持っているリユース食 器に対するニーズと重複することが無く、うまくカバーし合っているのが実 態と考えられる。 2) 苦労した点 継続的にリサイクルの原料として工場に供給するためには、輸送ルートを確保する ことが必要であったが、空車になっているトラックのルートを確保することが出来 たので、安定的にリサイクル原料を送付することができた。 九州の輸送会社が関西に食器を納品し、瀬戸に原料(粘土)を購入するため の輸送ルートに空きがあり、その部分を活用した。 リユースとリサイクルの仕分けについては、当初はリユース向けを選別した上で陳 列していたが、規模が拡大するにつれて選別作業に大きな負荷が生じるようになっ てきたことから、市による事業化の後は、全てをまずリユースにまわすこととした。 選別に要する時間ロスを無くすだけでなく、いろいろなニーズがあること、 また持ってきた人が直ちに自分が出した食器が陳列されるという状況を作り 出すほうが、全体的に活気が出る、といった観点による。 なお、そのような方針の転換は、メンバー間のミーティング等により出てき た意見である。
⑤ 今後の展開・課題 1) 今後の展開 生駒以外にも、大和高田や奈良、桜井にも支部を設置、(2007 年 12 月から)豊中 市でも取組がスタートしているが、いずれも地方公共団体による事業化はなされて いない。また、関東(市原市)でも実験的な回収を実施している。 これまでの取組のノウハウを他地域へ移転させていくことが課題の一つと考 えている。すでに生駒での取組については、ある程度、地域の参加者の中で 取組が十分に機能している段階である。 今後は、食器以外の陶器やガラスなどにも同じようなリユース・リサイクルの取組 が展開できないかを考えている。 リレーセンターに持ち込まれたゴミの中から陶器を仕分けたところ、お皿だ けで1.2t/月にものぼった。 また、関西メタルネットワークでは燃えないゴミの処理をしているが、食器 以外の陶器でも同様の取組ができないか関心を寄せていたため、2008 年 9 月 からリレーセンターとともに実験的な回収を行い、同年12 月から本格回収を 行ったところ、年間で84t(7~8t/月)の回収量にのぼった。 藤野興業(富田林)ではガラスリサイクルを行っているが、その他の陶磁器 についてもリサイクル可能としている。 2) 取組上の課題 費用面で見ると、リユース・リサイクルのための回収を行うより、埋立を行ったほ うが安いのは確かである。 今回の取組は、処理コストの削減が念頭にあったので、処分量を減少させる ことが第一であったが、回収のための人件費がかさむことになると、かえっ て費用対効果の面でもマイナスになる可能性がある。 当市は人口12 万人規模であり、効果のインパクトが小さいかもしれない。
<One Dish Aid(菓子容器循環エコシステム)の取組> ⑥ 概要 リサイクル坏土によるお菓子容器の製造を行うとともに、その容器を取り扱う菓子 店を募り、デポジットによる使用済み容器の回収・再利用の取組。 お菓子の食べ歩きの取材等を通じて数多く集まった容器(陶磁器)が燃えな いゴミとして処理されている実態を踏まえ、うまくリサイクルさせていくこ とができないかという問題意識により始まった取組。 陶器をリサイクルする活動を行っていたグリーンライフ21(GL21、岐阜県) を通じ、岐阜県セラミックス研究所とともに、リサイクル坏土を使った陶器 を作り、これを販売するとともに寄金を集めるという取組を検討した。 ⑦ 取組体制 菓子容器循環エコシステムの仕組みを立ち上げたNPO 法人日本ワンディッシュエ イド協会(立ち上げ当初はOne Dish Aid 食器リサイクルの会、2008 年 7 月に NPO 法人化)、その取組を先駆的に行っていたグリーンライフ21、リサイクル坏土を 活用した陶磁器の開発を行った岐阜県セラミックス研究所、リサイクル坏土を製造 する事業者、リサイクル坏土を活用した陶磁器を製造している工場とともに、この 陶磁器を自店舗の菓子容器として活用し、デポジットによる回収・再利用の取組に 参加している菓子店が、本取組に関わっている主体である。 この取組に賛同頂いている店舗は、2009 年 11 月現在、北海道から鳥取まで の27 店舗であり、このうち 21 店舗(カフェや病院などを除く洋菓子店)が、 デポジット(容器返却ごとに30 円)の取組にも賛同頂いている。 グリーンライフ 21 リサイクル坏土を活用した陶磁器を活用している菓子店 (全国 27 店舗(2009 年 11 月現在)) リサイクル坏土を製造する 事業者 リサイクル坏土を活用した 陶磁器を製造している工場 岐阜県セラミックス 研究所 NPO 法人日本 ワンディッシュエイド協会
⑧ 現状の成果・実績
One Dish Aid(菓子容器循環エコシステム)の取組は、現在、北海道から鳥取まで の27 店舗に賛同頂いており、このうち 21 店舗(カフェや病院などを除く洋菓子店) が、デポジット(容器返却ごとに30 円)に賛同頂いている。 店は容器を 133 円/個で購入することとなっているが、このうち 30 円程度は 当団体への寄金として、各店に任意で設定してもらう。 店は、自らが販売した商品から容器を回収することで、実質的に30 円で容器 を仕入れていることになるというメリットがある。 デポジットの状況については定量的な把握はしていないが、サンプルとして 2~3 店舗の実態は把握している。 カフェが主流でテイクアウト可能な店舗では、95%が回収されている。(イ ートインがあるので、割合は高くなっている。) テイクアウト主体の地域密着型店舗(商圏は10km 圏内)では、30~40%が 回収されている。 全国規模で通信販売も行っているカリスマパティシェ系店舗は、5%程度であ る。(近隣からの回収にとどまる。) 北海道(倶知安)では、市内の 6 店舗が共通の容器を用いて、どの店でも回 収可能な仕組みに取り組んでいる。〔2008 年 6 月〕 ⑨ 事業のポイント 1) 成功のポイント この取組は、関わった主体の全てがトクをするような仕組みとして考案している。 お客様は、容器を店に返却することで、30 円/個もらえる。 お店は、初期投資として価格の高い容器を購入することになるが、デポジッ トによる回収率を向上させることにより、30 円/個で容器を仕入れることがで きるとともに、店のイメージ向上にも寄与する。 当団体としても、多くの容器が流通すれば、団体としての活動資金も集める ことができる。 容器の形態は可能な限りシンプルなものとして汎用性を高めるとともに、大きさに ついてもいくつかの大きさに絞って製造している。 販売については、CSR の一環として活動に協力頂ける事業者((株)ヨネヤマ) にお願いしている。 2) 苦労した点 リサイクル坏土を使った陶器の製造に当たっては、ある程度の技術水準を持つ国内
窯元との契約に当たっては、5 トンの取扱量が必要であり、容器で換算すると 5 万個相当の取り扱いを行うことが条件であったが、うまく契約に至ることが できた。(実際には、付き合いのある企業を介して、契約を行うことができ た。) 当初は、デポジットに対するお店の意識があまり無く、取組についての話は聞いて くれるものの、なかなか買ってくれるお店が出なかった。 取組拡大の契機として、2008 年頃、企業のノベルティとしてのニーズがあり、 いくつかの企業のノベルティを製造した。 三菱地所がオリジナルの陶器(3,000 個)を製作したほか、オタフクソースが 開店した店に送るお皿のうち一部(年間 2 万枚のうち 3,000 枚)についてワ ンディッシュエイドのロゴの入った再生陶器皿とした。 ⑩ 今後の展開・課題 取組に協力頂く店舗の拡大を図っていきたいとともに、リユースやデポジットの状 況についても、今後、モニタリングを行っていきたい。
<不要な陶磁器の回収(「もったいない陶器市」の開催)>
<One Dish Aid(菓子容器循環エコシステム)の取組> 2006 年 6 月 自宅周辺で不要な 陶磁器の回収を開始 2007 年 11 月頃 行政(市)から ヒアリングを受ける (事業実施のフロー図) リサイクル坏土を 使った陶器づくりの 検討(岐阜県セラミッ クス研究所) 2006 年頃 陶磁器のリサイクル のしくみについて 考える お菓子の取材を通じ て、空き容器(陶磁器) が多く手元に残る 2008 年度 市の事業としての「も ったいない陶器市」の 開催 リサイクル 坏土を使った 陶器の製造 2008 年頃 企業のノベルティとしてのリ サイクル容器の活用を契機に 取り扱い拡大 2008 年 6 月倶知安市で 市内6 店舗における 共同リユースの取組 2009 年度から 事業化のところ 1 年前倒しで 事業化 陶磁器について、リユースや リサイクルのしくみがない ことに対する問題意識 グリーンライフ21 との出会い 取組の理解は あるが、協力店 がなかなか見 つからない <不要な陶磁器の回収> ・これまでの取組のノウハウ の他地域への移転 ・食器以外の陶器やガラスな どへの同様の取組の展開 <One Dish Aid の取組> ・取組店舗の拡大のほか、取
組効果のモニタリングを進 める
今後の取組展開 の可能性 One Dish Aid
食器リサイクルの会 2008 年7月 NPO 法人化 (日本ワンディッシュ エイド協会) 【事業概要】 <不要な陶磁器の回収(「もったいない陶器市」の開催)> お菓子容器などで不要になった陶磁器の回収・再利用を行うことで、地域における陶磁器の リユース・リサイクルを行う取組。 実施当初(2006 年 6 月)は一個人の自宅を回収場所とし、周辺の住民を対象とした取組 を行っていたが、次第にメディアからの取材が増加するとともに行政の関心が高くなり、 2008 年度より生駒市の事業(もったいない陶器市)として実施されるようになった。 現在は、ここで回収され、再利用にまわらなかった陶磁器は、リサイクル坏土を活用し て陶磁器を製造している工場に輸送されている。 <One Dish Aid(菓子容器循環エコシステム)の取組>
リサイクル坏土によるお菓子容器の製造を行うとともに、その容器を取り扱う菓子店を募り、 デポジットによる使用済み容器の回収・再利用の取組。 陶器をリサイクルする活動を行っていたグリーンライフ21(GL21、岐阜県)を通じ、 岐阜県セラミックス研究所とともに、リサイクル坏土を使った陶器を作り、これを販売 【ポイント】 <不要な陶磁器の回収(「もったいない陶器市」の開催)> リユースがうまく機能している要因として、以下が挙げられる。 供食を行う公共施設におけるリユース品に対するニーズ 一般家庭のリユース食器に対するニーズとも重複せず、両者でカバーし合っている実態 行政の対応が柔軟であったとのことは、成功の要因の一つといわれている。
<One Dish Aid(菓子容器循環エコシステム)の取組>
この取組は、関わった主体の全てが得をするような仕組みとして考案している。 お客様は、容器を店に返却することで、容器代をもらえる お店は、初期投資としての容器購入はあるが、回収率向上により、容器の仕入れ費用の削減 とともに、店のイメージ向上がなされる 容器の形態は可能な限りシンプルなものとして汎用性を高めるとともに、大きさについてもい くつかの大きさに絞って製造している。 販売については、CSR の一環として活動に協力頂ける事業者((株)ヨネヤマ)にお願いして
(6) リターナブルびんを用いた飲料水・茶飲料の販売 ② 取組体制 ① 概要 元は酒造メーカーであった能勢酒造が、リターナブルびん及びプラスチックケース を用い、ミネラルウォーター、炭酸水、烏龍茶を販売し、酒販流通を通じて、主に 料飲店において提供されている。酒販流通を用いることで業務用として一定量が流 通し、採算性が確保されている。また、このことで、リターナブルびん商品で常に 問題となる回収率も確保されることで、継続的な販売・流通が確立されている。 リターナブルびん及び運搬用のプラスチックケースを用い、びんビールのように、 使用後販売ルートを遡上し返却、容器のリユースを行う取組。 料飲店 酒販問屋 【販路の確保等】 (株)能勢酒造 【商品製造】 平成20 年 12 月には「平成 20 年度容器包装 3R 推進環境大臣賞」製品部門最 優秀賞(環境省)を受賞した。 大阪府豊能郡能勢町の株式会社能勢酒造が昭和44 年(1969 年)より、リターナ ブルびんを用いて飲料水を販売、平成15 年(2003 年)からは、烏龍茶も販売し ている。 流通ルートで 販売 酒販店に 容器を返却 工場で 容器を洗浄・殺菌 料飲店での 提供 ガラスびん 及びケース のリユース 容器の再利用