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気象要因に基づく稲作災害の被害特性 I. 全国規模の災害-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 欝34巻 欝1号 35∼46,1982

気象要因に基づく稲作災害の被害特性

Ⅰ 全国規模の災害*

宮 本 硬 一

ON THE CHARACTER工STICS OFINJURYIN R工CE CROPPING ON

THE BASIS OF CLIMATIC CONDIT工ONSINation・IWide disaster

Koichi MIYAMoTo

It hadbeendefined the‘nation−widedisaster’when theaveragevalueofindexnumberofyieldsinrice

Plants allover the countryisless than94percent.The authorhadinvestigated thathow many times

these disasters occurred during1881−1980and the characteIistics ofirliuryin rice crOPPlng On the

basis ofclimatic conditions.

Thenation=Widedisastersofriceplanthadoccurredin18years suchas1883,1884,1889,1‥……etC.The Wholeareasdamagedaredividedinto董bursectionsnamedas thecoldsummerarea,thedroughtarea,the heavy rain areaandtheaTeaCauSedbyother払ctorsu Theamount ofiniuryin the cold summerarea

is thelargestin thoseofother areas.The years of disaster are assorted with董bur types by chief

CauSeSOfdamage suchas cold summer,drought,heavy rain andother factors.Theyare called thecold SummeryeartyPe(7years),thedrOughtyeartype(4yrs.),the heavy rain year・tyPe(4yrs.)and the

year type caused by other 払ctors(3yrs.).The average value ofin.iuryamountsin the years ofcold

Summer typeis thegreateStinthoseofotherthree types.

水稲の作況指数(全国平均)が‘94’以下の年次を代金国災害’’と名づけ,この100年間における災害の発生状況を 気象的要因によって解析し,水稲被害の特性を明らかにした ①全国災害は明治16年(1883)を皮切りに昭和55年(1980)■まで18回発生した.㊥被害の特に大きな年次は9か 年を数え,明治17年(1884),同30年(’97),同38年(1905),昭和6年(’31),同9年(’34),同16年(’41),同20年 (’45),同28年(’53)および同55年(’80)である.⑧気象的要因から,全国の被害地域は凶冷地域,千ぼつ地域,大 雨地域および複合地域(気象要因以外)に区分され,地域どとの被害品は,凶冷地域が群をぬいて多い.④各災害年 は,主要な被害要因から凶冷型(7か年),干ばつ型(4か年),大雨型(4か年)および投合型(3か年)に類別で き,凶冷塑の年次における被害盈が最大である は じ め に 異常気象という言葉が−・般に言われるようになって久しい.それは昭和37年9月の異常高温以来という事であるか ら,やがて20年になる(宮本,1966).この間,日本の各地では色々な異常天候によって,農作物,とりわけ水稲は 大きな被害をうけてきた.すなわち昭和38年の北日本における稲熱病の大発生(北日本病害虫研究会,1954),翌39 年から連続3か年の北海道冷害(農村省統計調査部,1966∼’68)など,その後も連年のように風水害,干害なども起 こって,この20か年のうち13か年は著しい災害の年であり,その中で被害の比較的大きな冷害は8か年にも及んで, 明治と昭和の戦前にみられた凶作群発期の再来を思わせるものがある. こうした災害多発の中で,昭和55年の冷夏は従来の北日本という地域の範囲を遥かに越えて,日本本土の全域に 低温と多雨をもたらし,典型的な全国災害の様相を示した.その結果,水稲の全国平均の作況指数は‘87,で,総収 *昭和56年11月27日,日本農業気象学会中国四国支部大会にて発表

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香川大学農学部学術報告 第34巻 欝1号(1982) 36 穫畳も900万トン代にとどまるというかつてないはどの大きな被害をうけた(気象庁,1981,農林省,1981).これ は,わが国の高い稲作生産力に暗い影が落された事を意味し,現行の稲作技術の安定性に重大な疑問が投じられた事 にもなる. 聾者はこうした近年における稲作災害の傾向から,全国規模の災害について,その実態を明治にさかのぽって明ら かにしようした.すなわち,水稲の作況が全国平均で‘94’を下まわるような,いわゆる作況不良の年について,これ を稲作の全国災害と名づけ,その発生年,被害程度および被害の地域的特徴などを気象要因との関連で解明した.そ の結果,特に蟄要な点としては,災害の規模が全国的な地域に及ぶ時には必ずといってよいほど北日本の冷害が災害 の中心になる,という事があげられる.また,、冷夏に大雨,さらさと地域によっては干天も加わるなど,全国規模の 災害が,この100年間に18匝lも発生したという事実は銘記しておくべきと考える. 調 査 の 方 法 ここでの災害は.塵水省の基準に従って水稲作況指数の全国平均‘90’以下の著しい不良の年は不慮年Aとし, ‘91ん94,のものは不良年Bとした解析の具体的な手順は前報(富永黒川,1981)に準じて行い,対象とした統封 年次は明治14年(1881)から昭和55年(1980)までの100年間であるい水稲の収豊は都道府県の平均収恩を用い,ま た,気象要因は全国66地点の気象公署における創設以来の観測値(月)によった. 水稲の被害は府県どとに,収盈の平均値がそこの平年値を下まわった時(平年差)を減収盈として年次どとに求 め,それをあてた.この平年差がでた府県を被害地域とし,全災害年について被害地域を推定した.これらの被害地 域は第1表に示した気象要因の類別基準によって4地域に区分し,それぞれ,凶冷地域,干ばづ地域,大雨地域およ 第1表 被害地域め気象要因による類別基準

気 象 要 因 l

l(か 月) i 2 i 3 注.偏差:平年偏差 び複合地域とした,なお,複合地域は気象条件以外の要因によると思われる地域のことである 次に各災害年次どとに最も減収の大きかった被害地域の主因によって年次タイプの区分を行い,全災書を四つのタ イプに分類し,それぞれ,凶冷型,干ばつ型,大雨型および後合型の年次とした なお,収盈の平年値は前7か年の南棟を除いた5か年平均とし,沖縄県は水稲面積,地理的位層ならびに資料の不 足などの点から対象外にした. 結 果 と 考 察 11全国災害の発生と被害程度 1)災害の発生 稲作における全国災害の発生状況ほ罪1図のようになる.それによると,この種の災害ほ過去100年に18回発生し, 平均5.6年どとに日本の稲作は大きな被害をうけていた‖また,被害の大きい不良年Aは11か年におよび,全体の 60%ほ被害規模の大きな災害年という事になる第2次大戦以後は昭和28年(1953)に発生したあと,昭和55年まで 全国災害の発生をみていない.しかし;明治と昭和の凶作群発期にはこれが集中的に発生しており,特に昭和6年 (1931)以降はすべてが作況指数‘90’以下の,不良年Aであった事は注目に催する. 2)被害の程度 被害の程度は減収盈,減収率(対被害地域)および被害地域の水稲作付面積を用いて第2,3図に示した.はじめ に,減収盈の金平均は約102万トン,減収率ほ17%,そして作付面積は228万ha(全国比82%)という全国災害の規 模を述べておきたい.

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37 宮本硬一・:気象要因に基づく稲作災害の被害特性 ⑳:不良年A(作況指数90>) X:不良年B(侶)‖旨数91−9皇) %都加0世知 +一 収‖J−上の坪年来 1880 ,90 19(〕0 ▼川 ・20 ・30 ,10 ,50 1GO ’7■() t8り (明日)叫は封(甘33)(川J相(ノヾ9)帽5)(l眉目)椚25J(牒う5)(l什15)(=侶5) 第1図 稲作における全国災害の発生 2,858(×10−ton) 几 ×103ton 2,000 1,800 1,600 1,400 滅 収 1,200 螢 l,000 800 600 400 200 0 【ザ】1617√22 26 写9 3035 38J13大10】215昭6 9、16 20 28 55 (1883)(18.1)欄)(,921侮=■97川り0狛砧=心(J21圧Z3)ぐ26川班(’3Li)r’川(宣5)(’53)(■80) 第2図 会国災笥における年次別水稲減収鼠 被 貴 地 域 巨頭1■柚りヒニ被寓汀1j帆/全国面頼 %00 80 60 40 20 明161・7 22 26 29 30 35 38 43大10121511だ6 916 20 28 55 第3図 被害地域における水稲の作付面積 次にこれら三つの被害の程度を示す事項を総合的にみると,被害の特に大きかった年次は明治17年(1884),同30 年(,97),同38年(1905),昭和6年(,31),同9年ぐ34),同16年(,41),同20年(’45),同28年(’53)および同55年 (・80)の9か年になる.この中には昭和20年のような特異な年も含まれているが,昭和期における被害の大きさは 明治期のものより数段まさっていろ.

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香川大学農学部学術報告 欝34巻 欝1号(19る2) 38 3)被害程度の地域性 被害程度の地域的特徴を,減収盈と災害の発生頻度で示すと第4図のようになる.減収鼠(減収率も含む)は北海 道,膏森および刺ヒ地方の太平洋側で特に大きく,関東や北陸の−・部でもやや大きいい このように全国規模の災害に おいては,北日本が被害の主体であることがはっきり認められる.なお,減収率は被害地域を対象とした値である. 災害の発生頻度(仝発生回数に対する比率)をみると,その地域性は減収盈の分布と必ずしも同傾向ではなく,災 害の多発地帯ほ北日本の外に,関東の一・部や近畿,申・四国から北九州にかけての−・帯にも分布しているu これは言 うまでもなく,異常気象の起こり方の地域性を反映したものと思うい 2リ 被害地域の分類,気象分布ならびに地域別減収程 庶 1)気象要因に基づく被害地域の区分 先に示した類別基準(第1表)を用いて,災害年どと に被害地域の区分を行い,その金平均として第5図をか かげる1.それによると,被害地域ほ本土全体におよび, 水稲の作付面積でそれを示すと230万ha以上になる.そ の中で凶冷地域ほ最も広く1道1都18県におよび,作付 面積は87万ha(38%)になる.ついで,干ばつ地域は2 府11県,615万ha(27%),大雨地域は10県,46.1万ba (20%),さらに複合地域は5県,36万ムa(15%)となる‖ また,要因別被害地域の分布で特色があるのほ,干ばつ 地域が瀬戸内海の周辺に集中していること,および大雨 地域が千葉,静岡など太平洋沿岸の一部と九州地方に形 成されている事である.. 次に被害地域どとに災害の主な要因である気象条件の 発生頻度を第6図にまとめたり これは,地域別に;例え ば凶冷地域の場合,災害の気象要因には主因である凶 冷の外に大雨や干ばつも含まれているので,この主因が その地域の被害要因全体の申で,どの桂皮の比重を占め ているかを主因寄与率と名づけ,その程度をみたもので ある. それによると,凶冷地域では北海道,泉北地方の北部 と太平洋側において低温発生の頻度が著しく高い.それ 捌貼摘′10桐畑押(%),批摘り変(q乙ノ 如 51三; 26く 91≦ 荘司41−50 2ト25 8ト90 匹≡]31−40 16∼20 71−80 m21−30 1ト15 6ト70 仁≡ヨ 20ニ≧ 10≧ 60:≧ 数他:仝ジほ年(18ヵ別の世ノ および比率 第4図 被害程度の地域性 欝5図 被害地域の要因別区分(平均) 欝6図 要因別地域における主要な被害要因の発生頻度

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宮本硬・一:気象要因に基づく稲作災害の被害特性 39 に対して−,同じく凶冷地域に含まれていながら,山形から北陸,閲束・東山地方でほ主因の比重が若干低下して他の 被害要因もかなり含まれているりまた,西南暖地に分布する千ぼつ地域など各種の被害地域では,主因の出現率が凶 冷地域の場合と異なって全体的にかなり低い.ただ,干ばつ地域の愛知,大雨地域の九州3県および複合地域の徳島 県では主因の寄与率が若干大きい. さらに被害の特に大きな災害年の申から明治と昭和前期のもの,各3か年について,年次別に被害地域の区分をし たので第7図に示す.これをみると,被害の特に大きい災害の場合,各被害地域の分布として大体三つのタイプがみ られる∴すなわち,北冷西暑塾災害(宮本,黒川,1981,官本,’82)では日永の本土全体がはぼ2分されて,北の 冷害,南の干害というタイプ(昭6,9)がまず,あげられる.その2としては,本土全体が凶冷地域となり,それ に大雨地域が加わるという塑(明17)であり,昭和55年冷害もこれに含まれ′る(気象庁,1981).欝3のタイプとし ては,北日本の凶冷埠域は今までのタイプと共通しているが,西日本では大雨地域の外に,干ばつ地域や複合地域も 混在するという多少複雑な分布を示す場合である(明30,38,昭和16)= 戦後の二大災害の−㌦つである昭和28年災害 はこれに入る. 以上,三つのタイプに共通して言えることは,大規模災害の場合,必ずといってよいほど顕著な凶冷地域が北日本 に形成され,加えて西南暖地では干ばつや大雨などによる被害地域が広く分布する事である 2)主な災害年の気象分布 被害の大きな災害年のうち,気象資料が全国的に得られるようになってからの明治30年,同38年,昭和6年,同9 年および同16年の5か年について,被害の主因となった気象条件の地域分布を第8,9図に示した.まず,明治期の 災害年では低温,干ばつおよび大雨の地域分布がはっきり認められる..すなわち,明治30年は先にもふれたように北 冷西暑型であること,■また,同38年は全国的に強い低塩 明治17年 が支配的で,その平年偏差が−1こ5∼一5・0℃の範囲でみら (1884) れた.さらに平年の2∼4倍という多雨域が各地に形成 されていて−,この年は全国的に低温,多雨であり,昭和 55年冷害もこれに類似している(気象庁,19飢) 次に昭和年代の場合も明治期のそれと似て,6年,9 年は北冷西暑塑の気象分布を示し(官本,’82),】6年は 明治38年と同傾向で,気温の平年差が−0り5∼−4.0℃の 範閉で全国的に低温となり,特に北海道が目立ってい 光明治30年 (1897) 明治38年 (1905) 明30(1897) 舅汰=扁差 8月 ※昭和6年 (1931) 降水比率 8月 米昭和9年 (1934) 四大両地域 団複合地域 ※北冷西督型災害 (宮本・黒川,1981) 欝7図 被害の著しい年次における地域区分 第8図 被害の著しい年次における気象分布(1j

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香川大学農学部学術報告 第34巻 第、1」号く1由2) 40 る.また,、大雨は関東を中心に,東北地方の南部および近故地方に至る太平洋沿岸地方で著しい. 3)要因別地域の被客種皮 要因別の被害地城ごとに被害の程度を減収畳と水稲の作 付面積で比較すると,欝10図のようになる.これは仝災 害年の平均値であるが,その中できわだった特徴は凶冷 地域の大きな被害で,その程度は他の地域のどれよりも 著しく大きい.すなわち,凶冷地域の減収盈は50万トン に達しようというのに,他の3地域ではいずれもその半 % ×甘血】 Xユ(=トa 20 500 900 800 7■()0 〃〓 川 〃 . 400 即発 ハリ O ハリ O O ハ∨ 八∪ ハリ n、 0 0 ︵U だU l〇 4 へJ 2 1 楊人‖比地 大両地域 守ばつ地域 凶 、′ヽ t= 地 域 滞10図 被害地城別水稲の減収盈と作付面積(平均) 第9図 被害の著しい年次における気象分布(2) 数ノ=;::各地域/全地域×100「%) ()ト均年数 欝11図 年次タイプ別被害地域の減収割合

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官本硬・一:気象要因に基づく稲作災害め被害特性 欝2表 稲作の全国災害における年次別特性 4l 年 次 順作況指数 被寄順位l不良年の区分【要因別年次タイプ 備 考 (%) 93 83 93 93 90 82 90 85 94 94 94 94 90 85 88 (67) 86 87 明 治16(1882) ”17(’83) 〝 22(’88) 〝 26(’92) 〝 29(’96) 〝 30(’97) 〝 35(1902) 〝 38(’05) 〝 43(’10) 大 正.10(’21) 〝 12(’23) 〝 15(’26) 昭 和 6(’31) 〝 9(’34) 〝 16(!41) 〝 20(’45) 〝 28(’53) 〝 55(’80) 干 ば つ 塑 凶 冷 型 大 雨 型 *干 ば つ 型 大 雨 塾 *大 雨 型 *凶 冷 型 凶 冷 塾 大 雨 塾 遮 合 型 後 合 塾 *干 ば つ 塑 *干 ば つ 塾 *凶 冷 塑 凶 冷 型 凶 冷 製 複 合 型 凶 冷 型 凶 冷 型:7か年 子 ば つ 型:4か年 大 雨 塾:4か年 投 合 型:3か年 北冷西署\型災害:6か年 不 良 年 A:11か年 不 良 年 B:7か年 B A B B A A A A B B B B A A A A A A .一 二∵ :−り.ニ 注.被害の順位は昭和20を除外し,減収額と被害地域の水稲面積から評価した *:北冷西魯型災害 不良年A:作況指数が90≧,不良年B:作況指数91∼94 分にもみたない、.また,被害地域の広さでも凶冷地域は群をぬいて大きく,90万ha近くである 一・方,干ばつ地域ではその面積はやや広いが,被害盈は20万トン以下であるさらに大雨地域では被害地域の減収 率が約16%で凶冷地域のそれに近く,他の2地域に比して著しく大きく,狭い地域に集中的な被害が発生するとい う水害の特徴が認められる. 3災害年の要因別年次タイプによる区分と気象分布ならびに被害の程度 1)年次タイプによる区分 各災害年について,凶冷地域や干ばつ地域など,被番地域どとに減収盈と作付面競をノ舞出してみると,災害の主因 となる気象要素ほ年によって異なっている.すなわち,減収鼠の半分以上が一つの気象要因で起こる時,その主要な 要因によって−災害年のタイプが区分され,各災害年はそ・れぞれ,凶冷製(7か年),干ばつ型(4か年),大雨塑(4 か年)ならびに複合型(3か年)とする事ができる,、それらは一・括して第11図に示すと共に,全災害年の特性を罪2 表にかかげる. それらによると,低温による被害が主休をなす凶冷型の年次が他のタイプより目立って多い.また,昭和55年冷害 の被害が過去100年間で第5位に位層づけられており,北冷西暑型災害も全体の3分の1を占めているい以下,年次 タイプどとに説明する (1)凶冷塑 凶冷型の年次ほ明治17年(1884),周35年(1902),同38年(’05),昭和9年(’34),同16年(’41),同20年(,45)お

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香川大学農学部学術報告 欝34巻 欝1号(1982) 42 四凶冷地域 庭園千ばしっ地域 旺E四大両地域 E≡ヨ佐倉地域 ※:北冷酉碧型災鳶 明沼17年 (1884) 昭和20年 (1945) 欝12図 凶冷塑の年次における地域区分(1) よび同55年(’80)で,年次どとに被害地域の分布を示す と欝12,13図のようになる、これらの図から,凶冷の被 害が主体をなす年次にほ,西日本で大雨の被害も加わっ て全国規模の災害になる場合が多い∴す ̄なわ■ち,昭和9 年(北冷西暑型)を除いた他の6か年では,いずれも顕 著な大雨地域が形成されている, (2)干ぼつ型 干ばつ型の年次は明治16年(1882),同26年(’92),大 正15年ぐ26)および昭和6年(’31)で,年次別の被害 地域は欝14図のとおりである.このタイプは明治16年を 除いて,他はいずれも北冷西暑型災害の年である,明治 16年は全国的に干ばつとなって大きな被害をうけた年で あり,被害地域が全国単一七いうのはこの年だけで,き わめて特異な災害年である. (3)大雨型 このタイプに屈する年次は明治22年(1888),同29年 (’96),同30年(’97)および同43年(1910)で,被害地域 の区分は罪15図に示した.ここでは明治22年の場合を除 き,他の3か年では大雨の外,凶冷,干ばつも加わって 三つ以上の被害地域が複雑に分布している.明治22年は 被害地域の分布タイプからみると凶冷塾に類似し,大雨 地域と凶冷地域によって本土を2分している. 第13図 凶冷型の年次における地域区分(2) 明治16年 (1882) 光明治26年 (1892) 賞大正15年 (1926) 驚昭和6年 (1931) 凡例:郡12図に邸ず 欝14図 干ばつ塑の年次における地域区分

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官本硬一・:気象要因に基づく稲作災害の被害特性 光明清30年 (1897) 几例:節12睦=二準ず 節15図 大■雨塑の年次における地域区分 大雨型(明29,1896) 降水比率7月 罪17図 タイプ別の主な年次における気象分布(1) (4)複合型 これは大正10年(1921),同12年(’23)および昭和28 年ぐ53)が含まれ,被害地域は欝16図のとおりである. 第18図 タイプ別の主な年次における気象分布(2)

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香川大学農学部学術報告 第34巻 罪1骨(1982) 44 このタイプでは各年次ともかなり異なった被害地城の分布をみせている.すなわち,大正10年の場合,凶冷地域の形 成は全くみられず,明治16年と共に数少ない凶冷地域のない年次としてきわめて特色がある大正12年は複合地域に 加えて広範囲に干ばつ地域が分布している昭和28年は複合地域の外,北日本の低温が大きな被害要因とみることが できる 以上,18か年の災害のうち16か年は凶冷地域の分布をみていること,また,北冷西暑型災害が6か年を数えるこ と,さらに大雨地域が,その規模の比較的小さい ものも含めると15か年に形成されていること, などが全般的な地域分布の特性として指摘でき る. 2)主なタイプ別年次の気象分布 タイプ別の主な年次について,気温と降水鼠の 地域分布を第17,18図にまとめ,掲げることにす る”とりあげた年次は各タイプから1か年ずつ計 4か年セ,明治29年(大雨型),大正15年(干ばつ 型),昭和28年(複合型)および同55年(凶冷型) について,気温は平年偏差,降水盈は平年比率で 示した まず,屡l冷型の昭和55年(’80)についてみると (気象庁,’81),東北地方の太平洋側における強い 低温と,中国地方から北九州にかけての大雨が特 色をなしている、■また,干ぼつの型の大正15年 (’26)では,束北地方の南部から中部地方にかけ ×10二jlla 2,400 2,300作 2,200付 2,100面 2,000槙 1,9()0 1,800 1,」700 1,600 1,500 平 不良年B刷 不良年A㈹ 据∵肌黒 大雨里∴ イばつ里印 判 八げ川上封 〓平均年数 第19図 タイプ別の年次における水稲の減収程度と作付面椴 (平均) %×103ton 32 1,600 28 1,400 拭 241,200 収 201・000 16 800 12 600 8 400 4 200 0 0 %×103ton 281,400 241,200 201,000 滅 例日 凶冷地域 間田 干ばつ地域 間山 大雨地域 円山 稜合地域 ロリ 全 地 域

収16 800

程 12 600 度 8 400 4 200 0 0 第20図 タイプ別の年次における被害地域別減収程度(平均)

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官本硬−・:気象要因に基づく稲作災害の被害特性 45 てと紀伊半島が7月に少雨域となっており,8月になると,関東から九州にかけての太平洋沿岸と,山陰,北九州な ど,広い範囲で少雨がみられたさらに大雨タイプの明治29年(1896)の場合,7月は北日本と本州中部地区に雨域 がみられ,9月においても中部地区時強い大雨の集中がみられる外,四国の東部でも多雨域が若干みられる. 最後に複合型の昭和28年(1953)についてのべる.この年ほ,北日本の低温に加えて東北,北陸およびLL=壌のT部 には多雨地域もあったが,気象要因としては,他の災害年に比べて短期間で時きびしいとは言えないい気象の異常性 がこのように月平均値では強くない場合でも,明治以来の第3位という大きな被害をうけた革に注意を払う必要があ る.これは,病害の多発が北日本のいもち病,九州地方の大雨に伴う稲黄化萎締病などの形でかなりの程度関係した し(鐙谷,,54,桐生,,54),また,6月から9月に至る期間に梅雨前線を始め,各種の原因による水害が全国各地で 発生したという事(冷害気象調査委鼠会,’54)も強く影響したからであろう 3)タイプ別年次における被害の程度 被害要因による年次タイプどとに減収愈や作付面積を示すと,第19図のようになる.まず,タイプ別の平均減収盈 をみると,凶冷塾の年次が他のタイプより著しく多いのが特徴的であるいすなわち,減収盈として142万トン,減収 率では22%,そして水稲作付面熟ま242万ha(全国比87%)となって,伸のタイプより飛びぬかて多いいそれiこ対し て他のタイプでほ減収盈が木隔に減少して,どのタイプでも70∼80万トンで大差がない.減収率も10∼15%で,いず れも凶冷型よりはかなり少ない.ただ,作付面積では複合型のものが凶冷型に近い噂を示している. なお,不良年Aと不良年Bの差としてほ1Aの減収爵が白の2小7倍にも革んで両者の大きな差が示されている 次に,年次タイプ別に被害程度をより詳細にみると,第20図のようになる.これはタイプどとに,被害地域の種類 別で減収患を比醸したものであるいそれによると,どのタイプでも主な要因による減収盈の外に,他の要因によって も被害をうげている事が明示されている.各タイプについて,主因につぐ第2の被害要因をみると,凶冷型では大 雨,干ばつ型と大雨型でほ凶冷,さらに複合型で ほ囲冷と干ぼつが同じ程度で被害を与えていて, 凶冷と大雨の比重がかなり大きい事が認められ る また,不良年Aにおいて時凶冷のしめる比重が 圧倒的に大畠く,大雨による被害がそれについで いる.一方,不良年Bでは干ばつ要因が他の要因 より多少重みをもつ程度である. AB年 年年 不不全 臼田皿 北 東 北 関 東 束i迂 中 抽: 道 北 作 東 LLj 侮 畿 国 第21図 地方別の水稲減収率(1) % 50 40 30 20 10 減 収 率 %30 20 10 0 減 ロリ全 年 nU不良年B

l不良年A

︻川川出校人口型 臨大 雨 型 ︻閤凶干ばつ型 円以凶 冷型 第22図 地方別の水稲減収率i2)

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香川大学農学部学術報告 滞34巻 罪1号(1982) 46 4)各地における被害程度 この災害における水稲の被害程度を行政区域の地方別で示すと,第21,22図のようになる.それらによると,北海 道の被害が他の地域にぬきんでて最も大きく,凍北,北陸がそれについでいる.関東以西では地方による差ほ少なく なり,全国的規模の大きな災害は北に偏しているといえよう 次に各地方別の被害を年次タイプの比較でみると,北日本でほ凶冷型と同時に大雨の被害もかなりみられる∴ま た,関東以西においても凶冷による被害が干ばつ,大雨など,他の要因による被害と同程度である.さらに本州中央 部で複合要因の被害が大きいこと,および近畿地区の大雨要因による被害が若干目立っている. む す■ び 昭和55年冷害は昭和28年以来27年ぶりに発生した大災害であるが,この2ア年間に水稲収監の水準は全国平均で約 1…4倍になり,それ以前における収皇増加速度の約2倍である..こうした稲作の飛躍的発展にもカゝかわらず,・一度激 しい異常気象に相通すれば,日本の全土にわたって30年以前の稲作に逆戻りするという,もろさのある事もまた事実 である=現行稲作技術の限界を知らされた思いがする..特にこれを東北地方の太平洋側について言えば,北海道なみ の示安定地帯の感がする.また,西日本で最も幻整をうけた中国地方の被害は,敗戦の異常な年次を除けば,それは 明治30年以来のもので,これは83年ぶりの大災害である. この税金に100年間における全国災害の実態を直視し,省力化と収監増加に象徴されている近代稲作に隠された不 安定性に改めて思いを至すべきである小特に北日本が強い低温の場合,西日本では干ばつになるという,いわゆる北 冷西暑塑の天候や,凶冷に大雨を伴った全国的異常気象が発生しやすいという事実を忘れてはならない 本論叉を■まとめるに当って−,多くの協力をされた香川大学農学部鈴木晴雄氏に辣く感謝する. 引 用 文 献 鐙谷大節,1954:東北地方の異状天候といもち病,農業 技術,9(7),12∼16 気象庁,1981:昭和55年冷害調査報曽,気象庁技術報 告,100,1∼102 北日本病害虫研究会,1954:昭和28年度冷害年における 稲熱病発生の実態と其解析,宮城県立虚業試験場,1 ∼91 桐生知次郎,1954:水害に伴った稲の病害,農及園,29 (1),233∼236 宮本硬−・,1966:近年における東北の異常気象,東北農 薬研究,8,3∼9. 宮本硬−・,県川幸壷,1981:水稲の作況からみた北冷西 暑型災害,東北の農業気象,26,15∼て18 宮本硬「・,1982:わが国の稲作における北冷西暑型災 害,虚及閏,57(5),623∼630 農林省統計調査部,1966∼’68:作物統封,8∼10,農林 省,202∼205,178∼183,278∼281. 農林水産省技術審議官室,1981:冷害と農兼技術←55年 冷害と今後の技術・営農対策1∼162,凍京,農林統 計協会. 冷害気象調査委員会,1954:昭和28年冷害気象調査,冷 害気象長期予報調査資料,Ⅵ,1∼295. (1982年5月31日受理)

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